<貨幣処理システム1の概念>
まず、実施例1に係る貨幣処理システムの概念について説明する。図1は、実施例1に係る貨幣処理システムの概念を説明するための説明図である。図1に示すように、この貨幣処理システムは、貨幣釣銭機200と貨幣入出金機100とを有し、貨幣釣銭機200と貨幣入出金機100との貨幣の受け渡しに際しては、IC(Integrated Circuit)タグ304が付設された収納カセット300が利用される。本実施例1では、貨幣釣銭機200と貨幣入出金機100との間で、収納カセット300を用いて紙幣を受け渡す場合を示すこととする。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、ICタグ304以外の記憶媒体を用いることができ、収納カセット300に硬貨を収納して搬送することもできる。
貨幣釣銭機200は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の商業施設の店舗において、商品棚が設置されるフロント領域の精算所であるレジに設置され、商品と引き換えに顧客からレジ担当者に手渡された貨幣の入金処理を行うとともに、釣銭としての貨幣の出金処理を行う。
貨幣入出金機100は、店舗のバックヤード領域に設置され、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣の入金処理を行うとともに、貨幣釣銭機200に補充されるべき釣銭補充金としての貨幣の出金処理を行う。貨幣入出金機100は、貨幣の入金処理及び出金処理の両方(入出金処理)が可能な紙幣収納部134、136と、貨幣の入金処理が可能な回収カセット140とを有する。
貨幣釣銭機200と貨幣入出金機100との間で紙幣を受け渡す場合に、ICタグ304が付設された収納カセット300が利用される。このため、レジ担当者等の店員が直接紙幣に触れる機会をなくすることができる。
貨幣釣銭機200から回収した紙幣を貨幣入出金機100に入金する場合には、まず、貨幣釣銭機200が、収納カセット300に売上金となる紙幣を収納し(1)、収納した紙幣の金種ごとの数量(貨幣量)を示す貨幣量データをICタグ304に書き込む(2)。
その後、レジ担当者が、収納カセット300を貨幣釣銭機200から取り外してバックヤードに運搬し(3)、バックヤードに所在する貨幣入出金機100に収納カセット300を装着する。貨幣入出金機100は、収納カセット300が装着されたならば、この収納カセット300に付設されたICタグ304から貨幣量データを読み取る(4)。
貨幣入出金機100は、ICタグ304から読み取った貨幣量データ(A)と、紙幣収納部134、136の紙幣の在高(B)と、紙幣収納部134、136の紙幣の収納上限(C)とに基づいて、収納カセット300内の全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納できるか否かを判定する(5)。具体的には、貨幣量データ(A)と在高(B)の和が収納上限(C)を超えるか否かを算定して、全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納できるか否かを判定する。
貨幣入出金機100は、全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納できると判定されたならば、収納カセット300内の紙幣の入金処理を行う。これに対して、全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納できないと判定されたならば、貨幣入出金機100は、収納カセット300からの紙幣の入金処理を行う前に、紙幣収納部134、136内の紙幣の少なくとも一部を回収カセット140に移動させる(6)。その後、貨幣入出金機100は、収納カセット300内の紙幣を入金処理する(7)。
このように、本実施例1に係る貨幣処理システムでは、貨幣入出金機100は、収納カセット300内の金種ごとの紙幣の数量(貨幣量)をICタグ304から読み取り、収納カセット300内の全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納できない場合には、紙幣収納部134、136内の紙幣の一部を事前に回収カセット140に移動させ、収納カセット300内の全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納可能な状態にしてから、収納カセット300内の紙幣の入金処理を行う。このため、入金処理の途中で紙幣収納部134、136がフル状態となり、紙幣収納部134、136から回収カセット140への紙幣の移動という割込処理が実行されるまでの間、レジ担当者の待機時間を低減することができる。なお、上記の割込処理を行うためには、入金処理を一時的に中断してデータを待避される等の処理を行わねばならない。また、レジ担当者が貨幣入出金機100上で操作を行っている間に、紙幣の移動を開始できる。このため、レジ担当者の待機時間の低減が可能となる。
<貨幣処理システムの構成>
次に、貨幣処理システムの構成について説明する。図2は、実施例1に係る貨幣処理システムの構成を示す構成図である。図2に示すように、店舗420のフロント領域には、様々な商品が陳列された商品棚が設置され、このフロント領域の精算所には貨幣釣銭機200やPOSレジスタ290が設置される。顧客が精算所で精算処理を行う場合に、レジ担当者は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機200に入金するとともに、釣銭としての貨幣を貨幣釣銭機200から出金して顧客に返却する。
また、POSレジスタ290により、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣釣銭機200に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われる。また、このような店舗420のバックヤード領域(例えば、入金室等が該当する)には、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣を入金する出納機等の貨幣入出金機100が設置されている。また、貨幣釣銭機200において釣銭としての貨幣が不足する場合には、貨幣入出金機100から釣銭補充金を出金し、この貨幣入出金機100から出金された釣銭補充金としての貨幣を貨幣釣銭機200に補充することができる。本実施例1では、かかる貨幣入出金機100及び貨幣釣銭機200を組み合わせることにより貨幣処理システム1が構成される。
また、図2に示すように、この貨幣処理システム1では、警送会社410の警備員等により、紙幣や硬貨が収納されている回収カセット140、170が貨幣入出金機100から取り出され、これらの回収カセット140、170ごと紙幣や硬貨が貨幣入出金機100から警送会社410に回収される。また、警送会社410の警備員は、貨幣釣銭機200で用いられる釣銭準備金を警送会社410から店舗420に運搬し、この店舗420に設けられた金庫422に収納させる。そして、貨幣入出金機100において上記の釣銭準備金が不足した場合には、警送会社410の警備員は、金庫422から貨幣を取り出して貨幣入出金機100に入金する。
また、図2に示すように、この貨幣処理システム1では、貨幣入出金機100はLAN(Local Area Network)404を介して店舗420の外部に設けられたターミナル400やユーザーサーバー402に通信可能に接続されており、これらのターミナル400やユーザーサーバー402により、貨幣入出金機100における貨幣の在高や、警送会社410の警備員等や店舗420のレジ担当者等の操作者の情報が管理される。
<貨幣入出金機100及び貨幣釣銭機200の構成>
次に、この貨幣処理システム1における貨幣入出金機100及び貨幣釣銭機200の構成の詳細について説明する。
まず、店舗420のバックヤード領域に設けられた貨幣入出金機100の構成の詳細について図3〜図7を用いて説明する。図3等に示すように、本実施例1に係る貨幣入出金機100は、略直方体形状の筐体101を備えており、この筐体101の内部には、紙幣の入金処理及び出金処理を行う紙幣処理ユニット110、硬貨の入金処理及び出金処理を行う硬貨処理ユニット150、及び包装硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数(例えば、20枚や50枚)だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を収納する包装硬貨収納ユニット180がそれぞれ収容されている。図3に示すように、紙幣処理ユニット110及び硬貨処理ユニット150は、貨幣入出金機100を手前側から見て左右に並ぶよう配置されており、これらの紙幣処理ユニット110及び硬貨処理ユニット150の下方に包装硬貨収納ユニット180が配置されている。
図3及び図4に示すように、紙幣処理ユニット110は、筐体101の前面側の右側領域に設けられた紙幣受入部120と、筐体101の前面側において紙幣受入部120の下方に設けられた紙幣払出部122と、筐体101の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部130と、筐体101の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部134、136とを備えている。なお、図4において、筐体101の右側の側面が紙幣処理ユニット110の手前側の面となっており、図4における左向きの方向が紙幣処理ユニット110の奥行き方向となっている。
図4に示すように、搬送部130は、筐体101の上部における中央位置に配置された周回搬送部130a及び複数の接続搬送部130bから構成されている。また、紙幣受入部120、紙幣払出部122、出金リジェクト部124、後述する収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部126、回収カセット140及び2つの紙幣収納部134、136が、それぞれ、周回搬送部130aを取り囲むよう配置されている。
また、図4に示すように、複数の接続搬送部130bの各々により、紙幣受入部120、紙幣払出部122、出金リジェクト部124、カセット装着部126、回収カセット140及び2つの紙幣収納部134、136の各々と、周回搬送部130aとの間がそれぞれ接続されている。また、周回搬送部130aには識別部132が設けられており、この識別部132は、周回搬送部130aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。
周回搬送部130aは、図4における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができる。また、搬送部130において、周回搬送部130aと各接続搬送部130bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部130aに沿って配置されている。
図3及び図4に示すように、筐体101の前面には、紙幣受入部120の紙幣受入口120aと、紙幣払出部122の紙幣取出口122aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部126の前面側には扉126aが設けられており、この扉126aを開くことにより収納カセット300をカセット装着部126に装着させたり、このカセット装着部126から収納カセット300を取り出したりすることができる。
また、図7に示すように、カセット装着部126には、当該カセット装着部126に装着された収納カセット300に付設されたICタグ304に様々な情報を書き込む書込部128及びこのICタグ304から様々な情報を読み取る読取部129が設けられている。書込部128によりICタグ304に書き込まれる情報や読取部129によりICタグ304から読み取られる情報の詳細については後述するが、このICタグ304のメモリには収納カセット300に収納された金種ごとの紙幣の枚数が記憶される。
紙幣受入部120には紙幣繰出機構121が設けられており、紙幣受入口120aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると、紙幣繰出機構121が駆動されることにより、紙幣が接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出される。
紙幣払出部122は、各紙幣収納部134、136から周回搬送部130aに繰り出された紙幣を紙幣取出口122aにより筐体101の外部へ放出する。
出金リジェクト部124は、出金処理時において各紙幣収納部134、136から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部132で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部120から筐体101の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部132で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部122に返却される。
各紙幣収納部134、136は、識別部132の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。これらの紙幣収納部134、136には、貨幣釣銭機200への釣銭補充金の紙幣として貨幣入出金機100から出金されるべき紙幣が収納される。例えば、紙幣収納部134には千円札が収納され、紙幣収納部136には五千円札が収納される。なお、一万円札は後述する回収カセット140に収納される。また、各紙幣収納部134、136には、それぞれ紙幣繰出機構135、137が設けられており、これらの紙幣収納部134、136に収納されている紙幣は、各紙幣繰出機構135、137により接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出される。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット140が収容されており、警送会社410により回収されるべき紙幣が回収カセット140に収納される。具体的には、識別部132により識別された紙幣が周回搬送部130aから接続搬送部130bを経て回収カセット140に送られる。また、回収カセット140の前面側には扉140aが設けられており、この扉140aを開くことにより回収カセット140を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット140を取り出したりすることができる。
次に、硬貨処理ユニット150の構成について説明する。図3及び図5に示すように、硬貨処理ユニット150は、筐体101の前面側の左側領域に設けられた硬貨受入部152と、筐体101の前面側において硬貨受入部152の下方に設けられた硬貨払出部166と、筐体101の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部160とを備えている。
硬貨受入部152は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体101内に取り込む。具体的には、硬貨受入部152には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構153(図7参照)が設けられており、硬貨受入部152に受け入れられた硬貨を検知するとこの硬貨繰出機構153が駆動されることにより、当該硬貨繰出機構153によって硬貨が筐体101の内部に1枚ずつ繰り出される。また、図5に示すように、硬貨受入部152には、当該硬貨受入部152により筐体101の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部154が接続されている。
図5に示すように、入金搬送部154の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部156と、第1分岐部158とがそれぞれ設けられている。第1分岐部158は、識別部156による硬貨の識別結果に基づいて、硬貨払出部166から払い出されるべき硬貨(リジェクト硬貨等)を入金搬送部154から分岐させて出金搬送部162へ案内する。
一方、筐体101内に収納されるべき硬貨(正常硬貨等)は、入金搬送部154により各収納繰出部160へ搬送される。収納繰出部160は、硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。例えば、日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部160が設けられており、入金搬送部154の上流側(すなわち、図5における下側)から低額順に各収納繰出部160に硬貨が金種毎に収納される。また、収納繰出部160には、当該収納繰出部160に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部162に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部162は、収納繰出部160から繰り出された硬貨を硬貨払出部166へ搬送する。また、出金搬送部162は、第1分岐部158により入金搬送部154から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部166へ搬送する。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット170が収容されており、警送会社410により回収されるべき硬貨が回収カセット170に収納される。具体的には、図5に示すように、出金搬送部162の途中箇所には第2分岐部164が設けられており、当該第2分岐部164により出金搬送部162から分岐させられた硬貨が回収カセット170に送られて、この回収カセット170に収納される。また、回収カセット170の前面側には扉170aが設けられており、この扉170aを開くことにより回収カセット170を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット170を取り出したりすることができる。
次に、包装硬貨収納ユニット180の構成について説明する。図6に示すように、包装硬貨収納ユニット180は、包装硬貨が金種毎に収納される複数の収納領域180a〜180fが設けられた引出部182を有しており、当該引出部182は貨幣入出金機100の筐体101の内部から手前側に引き出し可能となっている。なお、図6に示すように、各収納領域180a〜180fに包装硬貨が収納されたときに当該包装硬貨の長手方向が鉛直方向を向くようになっている。
そして、引出部182を貨幣入出金機100の筐体101の内部から手前側に引き出すことにより、各収納領域180a〜180fに包装硬貨を収納したりこれらの収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨を取り出したりすることができる。また、図7に示すように、包装硬貨収納ユニット180は、引出部182を筐体101の内部にロックするロック機構184が設けられており、引出部182が筐体101の内部にロックされている状態では当該引出部182を筐体101の内部から手前側に引き出すことができない。また、包装硬貨収納ユニット180には、引出部182の各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の重量を測定する重量計186が設けられている。このような重量計186により測定される包装硬貨の重量に基づいて、後述する制御部102において引出部182の各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数が検知される。
さらに、複数の収納領域180a〜180fの側方には、複数のLED(Light Emitting Diode)182aが設けられるおり、また、複数のラベル182bが貼付されている。複数のラベル182bは、複数の収納領域180a〜180fにそれぞれ対応して貼付され、収納する包装硬貨の金種を示している。また、複数のLED182aは、複数の収納領域180a〜180fにそれぞれ対応して設けられ、対応する収納領域において収納や取出しを行う際に点灯することで、包装硬貨に係るレジ担当者の操作を補助する。
なお、各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知するにあたり、重量計186により包装硬貨の重量を測定する代わりに、あるいは重量計186により包装硬貨の重量を測定することに加えて、ラインセンサまたは磁気センサを用いて各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知してもよく、あるいはこれらのラインセンサや磁気センサを組み合わせることにより各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知してもよい。また、収納領域180a〜180f毎にラインセンサや磁気センサが設けられていてもよい。
また、図6に示す例では、各収納領域180a〜180fは複数の領域に区画されており、各区画には包装硬貨が10本ずつ収納される場合を示しているが、このような例に限定されるものではない。各区画に包装硬貨が5本ずつ収納されるようになっていてもよく、あるいは各区画に包装硬貨が3本ずつ収納されるようになっていてもよく、また、異なる本数の包装硬貨が収納される複数の種類の区画が組み合わせられるようになっていてもよい。また、上記の説明では包装硬貨収納ユニット180が1つのみ設けられる場合について説明したが、このような例に限定されることはなく、複数の包装硬貨収納ユニット180が設けられるようになっていてもよい。この場合に、包装硬貨の各金種に対応するよう複数の包装硬貨収納ユニット180を設けてもよく、あるいは例えば2つの包装硬貨収納ユニット180にそれぞれ複数の金種の包装硬貨を収納させるようにしてもよい。
<貨幣入出金機100における制御系の構成>
次に、このような貨幣入出金機100における制御系の構成について説明する。図7は、貨幣入出金機100における制御系の構成を示すブロック図である。図7に示すように、貨幣入出金機100の筐体101の内部には制御部102が設けられており、当該制御部102により紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150及び包装硬貨収納ユニット180の各々の構成部位が制御される。
具体的には、制御部102には、紙幣処理ユニット110の紙幣繰出機構121、搬送部130、識別部132、紙幣繰出機構135、137、カセット装着部126、書込部128、読取部129等が接続されており、識別部132による紙幣の識別情報や、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部129により読み取られた情報が制御部102に送られるとともに、制御部102は紙幣処理ユニット110の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。
また、制御部102には、硬貨処理ユニット150の硬貨繰出機構153、入金搬送部154、識別部156、第1分岐部158、各収納繰出部160、出金搬送部162及び第2分岐部164等が接続されており、識別部156による硬貨の識別情報が制御部102に送られるとともに、制御部102は硬貨処理ユニット150の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。
また、制御部102には、包装硬貨収納ユニット180のロック機構184及び重量計186等が接続されており、重量計186による包装硬貨の測定結果が制御部102に送られるとともに、制御部102はロック機構184に指令信号を送ることにより当該ロック機構184の制御を行う。
また、図7に示すように、制御部102には、操作表示部104、通信部105、記憶部106、在高管理部107、算出部108及び売上金管理部109がそれぞれ接続されている。
操作表示部104は、筐体101の上部に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150及び包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部104に表示される。また、このような操作表示部104において操作者は操作画面における操作ボタンに指を触れることによって制御部102に様々な指令を入力することができる。通信部105は、ターミナル400やユーザーサーバー402に対してLAN404を介して様々な信号の送受信を行うことができる。
記憶部106には、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150及び包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、貨幣入出金機100における貨幣の処理履歴等の様々な情報が記憶される。また、本実施例1では、貨幣釣銭機200における釣銭準備金に関する貨幣の金種毎の残置設定枚数に係る情報も記憶部106に記憶される。ここで、貨幣釣銭機200における釣銭準備金に関する貨幣の金種毎の残置設定枚数とは、例えば店舗420の営業時間の開始時に貨幣釣銭機200に収納されていなければならない釣銭準備金としての貨幣の金種毎の枚数のことをいう。
また、記憶部106は、収納上限値106a及びICタグ利用設定情報106bを記憶する。収納上限値106aは、紙幣収納部134、136に収納可能な紙幣の上限を示す値である。ICタグ利用設定情報106bは、収納カセット300に設けられたICタグ304に書き込まれた情報を貨幣入出金機100が利用するか否かを示す情報である。例えば、ICタグ利用設定情報106bが「利用しない」旨の設定を含む場合には、貨幣入出金機100は、たとえICタグ304から情報を読み取ったとしても、その情報は破棄する。一方、ICタグ利用設定情報106bが「利用する」旨の設定を含む場合には、ICタグ304から読み取られた情報(貨幣量データを含む)が、貨幣釣銭機200と貨幣入出金機100との間で、収納カセット300を用いて紙幣を受け渡す場合に利用される。
算出部108は、在高管理部107により管理されている貨幣釣銭機200の貨幣の在高及び記憶部106に記憶されている情報に基づいて貨幣釣銭機200に入金されるべき釣銭補充金に係る貨幣の金種毎の枚数を算出する。また、売上金管理部109は、貨幣釣銭機200の貨幣の在高に係る情報と、収納カセット300への出金処理などにより出金された釣銭補充金に係る情報とに基づいて、貨幣釣銭機200に入金された売上金に係る貨幣の情報を管理する。
さらに、制御部102は、貨幣量データ取得部102a及び入金制御部102bを有する。貨幣量データ取得部102aは、読取部129がICタグ304から読み出した貨幣量データを取得する処理を行う。
入金制御部102bは、貨幣釣銭機200から回収した貨幣を貨幣入出金機100に入金する処理を行う。入金制御部102bは、収納カセット300がカセット装着部126に装着された場合に、記憶部106からICタグ利用設定情報106bを読み出し、ICタグ304の情報を利用する設定であるか否かを判定する。ICタグ304の情報を利用する設定であるならば、入金制御部102bは、読取部129によるICタグ304からの情報の読み取りが正常に行われたか否かを判定する。ICタグ304の情報を利用する設定であるにも関わらず、情報の読み取りが正常に終了しなければ、入金制御部102bは、収納カセット300を排出制御し、収納カセット300の装着をレジ担当者に再度行わせる。
入金制御部102bは、読取部129によるICタグ304からの情報の読み取りが正常に行われたならば、貨幣量データ取得部102aが取得した貨幣量データと、紙幣収納部134、136における紙幣の在高と、収納上限値106aとを用い、収納カセット300内の全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納可能であるか否かを判定する。
収納カセット300内の全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納することができないならば、入金制御部102bは、紙幣収納部134、136内の紙幣の一部を回収カセット140に移動させる。具体的には、各金種について、貨幣量データに示された数量と、紙幣収納部134、136の在高との合計が該紙幣収納部134、136の上限値以下となるように紙幣を回収カセット140に移動させる。このように、必要に応じて紙幣の移動を行うことで収納カセット300内の全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納することができる状態にしてから、入金制御部102bは、収納カセット300内の紙幣の入金処理を開始する。
また、入金制御部102bは、包装硬貨収納ユニット180に包装硬貨の収納や取出しを行う場合に、引出部182が引き出されたならば、収納や取出しの対象となる包装硬貨の金種に対応するLED182aを点灯させる。そして、重量計186の出力から包装硬貨の収納や取出しが適正に行われたかを判定し、収納や取出しが適正に行われた場合にLED182aを消灯する。なお、包装硬貨の不適切な出し入れが行われた場合には、点灯色や点灯間隔などの態様により、レジ担当者に報知を行う構成としてもよい。
<貨幣釣銭機200の構成>
次に、貨幣釣銭機200の詳細な構成について図8〜図12を用いて説明する。図8等に示すように、本実施例1による貨幣釣銭機200は、上下に並ぶよう配置された硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280と、これらの硬貨処理ユニット250や包装硬貨収納ユニット280の隣に並ぶよう配置された紙幣処理ユニット210とを備えており、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250の上方にはPOSレジスタ290が載置される。紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行う。また、包装硬貨収納ユニット280は、各金種の包装硬貨を取り出し可能に収納する。また、POSレジスタ290は、貨幣釣銭機200の管理を行う管理装置として用いられる。
まず、紙幣処理ユニット210の構成について図8及び図9を用いて具体的に説明する。図8及び図9に示すように、紙幣処理ユニット210は、略直方体形状の筐体212と、筐体212の前面側に設けられた紙幣受入部220と、筐体212の前面側において紙幣受入部220の下方に設けられた紙幣払出部222と、筐体212の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部230と、筐体212の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部234、236、238とを備えている。なお、図9において、筐体212の右側の側面が紙幣処理ユニット210の手前側の面となっており、図9における左向きの方向が紙幣処理ユニット210の奥行き方向となっている。
図9に示すように、搬送部230は、筐体212の中央位置に配置された周回搬送部230a及び複数の接続搬送部230bから構成されている。また、紙幣受入部220、紙幣払出部222、出金リジェクト部224、後述する収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238が、それぞれ周回搬送部230aを取り囲むよう配置されている。
また、図9に示すように、複数の接続搬送部230bの各々により、紙幣受入部220、紙幣払出部222、出金リジェクト部224、カセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238の各々と、周回搬送部230aとの間がそれぞれ接続される。また、周回搬送部230aには識別部232が設けられており、この識別部232は、周回搬送部230aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。
周回搬送部230aは、図9における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができる。また、搬送部230において、周回搬送部230aと各接続搬送部230bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部230aに沿って配置されている。
図8及び図9に示すように、筐体212の前面には、紙幣受入部220の紙幣受入口220aと、紙幣払出部222の紙幣取出口222aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部226の前面側には扉226aが設けられており、この扉226aを開くことにより収納カセット300をカセット装着部226に装着させたり、このカセット装着部226から収納カセット300を取り出したりすることができる。
また、図12に示すように、カセット装着部226には、当該カセット装着部226に装着された収納カセット300に設けられているICタグ304に様々な情報を書き込む書込部228及び当該ICタグ304から様々な情報を読み取る読取部229がそれぞれ設けられている。
紙幣受入部220には紙幣繰出機構221が設けられており、紙幣受入口220aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると、紙幣繰出機構221が駆動されることにより紙幣が接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
紙幣払出部222は、各紙幣収納部234、236、238から周回搬送部230aに繰り出された紙幣を紙幣取出口222aにより筐体212の外部へ放出するよう構成されている。
出金リジェクト部224は、出金処理時において各紙幣収納部234、236、238から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部232で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部220から筐体212の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部232で識別することができない紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部222に返却される。
各紙幣収納部234、236、238は、識別部232の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。これらの紙幣収納部234、236、238には、紙幣処理ユニット210に入金された売上金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納される。例えば、紙幣収納部234には千円札が収納され、紙幣収納部236には二千円札及び五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部238には一万円札が収納される。また、各紙幣収納部234、236、238にはそれぞれ紙幣繰出機構235、237、239が設けられており、これらの紙幣収納部234、236、238に収納されている紙幣は、各紙幣繰出機構235、237、239により接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
<収納カセット300>
収納カセット300は、売上金を回収する場合に各紙幣収納部234、236、238の紙幣を収納する。つまり、操作者による回収指示により、紙幣処理ユニット210内の売上金が集約される。また、各紙幣収納部234、236、238に収納できなかったあふれ紙幣を収納したり、自動精査時の保留場所としての役割も果たす。
次に、硬貨処理ユニット250の構成について説明する。図8及び図10に示すように、硬貨処理ユニット250は、略直方体形状の筐体251と、筐体251の前面側に設けられた硬貨受入部252と、筐体251の前面側において硬貨受入部252の下方に設けられた硬貨払出部266と、筐体251の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部260とを備えている。
硬貨受入部252は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体251内に取り込む。具体的には、硬貨受入部252には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構253(図12参照)が設けられており、硬貨受入部252に受け入れられた硬貨を検知すると、この硬貨繰出機構253が駆動されることにより当該硬貨繰出機構253によって硬貨が筐体251の内部に1枚ずつ繰り出される。また、図10に示すように、硬貨受入部252には、当該硬貨受入部252により筐体251の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部254が接続されている。
図10に示すように、入金搬送部254の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部256と、分岐部258とがそれぞれ設けられている。分岐部258は、識別部256による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部266から払い出されるべき硬貨を入金搬送部254から分岐させて出金搬送部262へ案内する。
一方、正常硬貨等の筐体251内に収納されるべき硬貨は入金搬送部254により各収納繰出部260へ搬送される。収納繰出部260は、硬貨を金種別に収納するとともに、収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。例えば、日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部260が設けられており、入金搬送部254の上流側(すなわち、図10における下側)から低額順に各収納繰出部260に硬貨が金種毎に収納される。また、収納繰出部260には、当該収納繰出部260に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部262に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部262は、収納繰出部260から繰り出された硬貨を硬貨払出部266へ搬送する。また、出金搬送部262は、分岐部258により入金搬送部254から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部266へ搬送する。
また、入金搬送部254の途中には、あふれ硬貨分岐部が設けられている。あふれ硬貨分岐部は、識別部256による硬貨の識別結果が正常硬貨であった場合でも、対応する硬貨収納部260がフルの状態である場合に硬貨を硬貨補助収納部264に搬送する。このように、硬貨補助収納部264は、あふれ硬貨を収納する用途に使用することも可能であるが、設定によっては硬貨収納部260がフル状態の場合に運用を停止し、硬貨補助収納部264にあふれ硬貨を入れないようにすることもできる。また、この硬貨補助収納部264は、自動精査処理でも使用される。
次に、包装硬貨収納ユニット280の構成について具体的に説明する。図8及び図11に示すように、包装硬貨収納ユニット280は、手前側の側面が開口している略直方体形状の筐体281と、筐体281内に収容可能となっているとともに当該筐体281から手前側に引き出し可能な収納ドロア282とを備えており、収納ドロア282には各金種の包装硬貨が例えば2列で収納される(図11において、収納ドロア282に収納された各金種の包装硬貨を斜線で示している)。
ここで、収納ドロア282には、包装硬貨を1本ずつ収納する収納部(ポケット)が複数個形成されており、各収納部に収納される包装硬貨の金種毎の収納本数及び位置が予め設定されている。具体的には、図11において参照符号Aで示す領域には8本の100円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Bで示す領域には1本の500円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Cで示す領域には1本の50円の包装硬貨が収納可能となっている。また、図11において参照符号Dで示す領域には6本の10円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Eで示す領域には4本の1円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Fで示す領域には1本の5円の包装硬貨が収納可能となっている。
また、図12に示すように、包装硬貨収納ユニット280の筐体281の内部には、収納ドロア282が筐体281に完全に収容されたときに当該収納ドロア282を筐体281内にロックするためのロック機構286が設けられている。ここで、ロック機構286が収納ドロア282を筐体281の内部にロックしたときには、この収納ドロア282を筐体281から手前側に引き出すことができなくなり、よって収納ドロア282から包装硬貨を取り出すことができなくなる。
また、包装硬貨収納ユニット280の筐体281における前面開口の近傍には、収納ドロア282が筐体281から手前側に引き出されたり筐体281の内部に戻されたりする際に、当該収納ドロア282に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を検知する検知部284が設けられている。具体的には、図11等に示すように、検知部284は左右一対の光センサ284a及び筐体281からの収納ドロア282の引き出し量を検知するロータリエンコーダ284bを有している。
ここで、各光センサ284aは、発光素子及び受光素子を有しており、発光素子から発せられた光は、包装硬貨収納ユニット280の幅方向(図11における左右方向)に延びる光軸を通って受光素子に送られる。そして、収納ドロア282が筐体281の内部に完全に収容されていたり当該収納ドロア282が筐体281から完全に引き出されたりしているときには、各光センサ284aにおいて発光素子から発せられた光は受光素子により受けられる。一方、収納ドロア282が筐体281から手前側に引き出されたり筐体281の内部に戻されたりする際に、発光素子から発せられた光が収納ドロア282内に収納された包装硬貨により遮られることにより受光素子に届かなくなり、このことにより包装硬貨の孔の有無や直径の大きさが検知される。
前述したように、収納ドロア282において、収納される包装硬貨の金種毎の収納本数及び位置が予め設定されているため、光センサ284aにより検知された包装硬貨の孔の有無や直径の大きさ、ならびにロータリエンコーダ284bにより検知された筐体281からの収納ドロア282の引き出し量に基づいて、収納ドロア282に収納された包装硬貨の金種毎の本数、及び各包装硬貨が収納ドロア282内の所定の位置に正しく収納されているか否か等が検知される。
なお、本実施例1による包装硬貨収納ユニット280は上記の構成のものに限定されることはない。他の構成の包装硬貨収納ユニット280において、収納ドロア282に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を検知する検知部284として、収納ドロア282の収納部に収納される包装硬貨の有無及び金種(材質)を検出するセンサを全ての収納部に配置するような方式のものが用いられてもよい。
<POSレジスタの構成>
次に、POSレジスタ290の構成について具体的に説明する。図8及び図12に示すように、POSレジスタ290は、POS制御部291と、POS制御部291にそれぞれ接続されたモニタ等の表示部293及び操作キー等の操作部294とを備えている。
操作部294は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部291に対して様々な指令を与えることができる。また、表示部293は、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、POSレジスタ290には、顧客が視認可能な追加の表示部293aが設けられており、様々な情報を表示部293に表示させる代わりに、あるいは表示部293における表示に加えて、追加の表示部293aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。
また、POSレジスタ290には、カードリーダ296及び印字部297が設けられている(図12参照、図8では図示せず)。カードリーダ296は、レジ担当者等の操作者が携帯するIDカードを読み取ることにより、当該操作者のIDや権限等に関する情報を取得する。また、印字部297は、例えばプリンタから構成され、売上レシートや集計レシートに加えて、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシートに印字する。
<貨幣釣銭機200の制御系の構成>
次に、このような貨幣釣銭機200の制御系の構成について図12を用いて説明する。図12に示すように、硬貨処理ユニット250は、上位制御部202及び硬貨制御部250aを有しており、これらの上位制御部202及び硬貨制御部250aは互いに接続されている。
また、紙幣処理ユニット210は紙幣制御部210aを有しており、この紙幣制御部210aは硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、包装硬貨収納ユニット280は包装硬貨制御部280aを有しており、この包装硬貨制御部280aは硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、POSレジスタ290に設けられたPOS制御部291も硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、図示していないが、POSレジスタ290のPOS制御部291は店舗サーバ等の上位端末と通信可能に接続されている。
図12に示すように、硬貨処理ユニット250の上位制御部202には、紙幣処理ユニット210、包装硬貨収納ユニット280及びPOSレジスタ290の各々と通信を行うための通信部203、操作表示部204、比較部205、出金情報管理部206、記憶部208及び判定部209がそれぞれ接続されている。
この上位制御部202は、通信部203により、紙幣処理ユニット210の紙幣制御部210a、包装硬貨収納ユニット280の包装硬貨制御部280a及びPOSレジスタ290のPOS制御部291に対して信号の送受信を行う。
操作表示部204は、硬貨処理ユニット250の筐体251の上面に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット210、硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部204に表示される。このような操作表示部204において、操作者は、操作画面における操作ボタンに指を触れることによって、上位制御部202に様々な指令を入力することができる。
記憶部208には、紙幣処理ユニット210、硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、貨幣釣銭機200における貨幣の処理履歴等の様々な情報が記憶される。
比較部205は、貨幣釣銭機200に入金された釣銭補充金に係る貨幣の金種毎の枚数と、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部229により読み取られた情報に基づく釣銭補充金に係る貨幣の金種毎の枚数とを比較する。
出金情報管理部206は、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部229により読み取られた情報に基づいて、貨幣入出金機100から出金された貨幣に関する情報(とりわけ、包装硬貨に関する情報)を管理する。
判定部209は、検知部284による包装硬貨収納ユニット280の収納ドロア282への包装硬貨の金種毎の入金本数と、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部229により読み取られた、貨幣入出金機100から出金された包装硬貨の金種毎の本数とが一致するか否かを判定する。比較部205、出金情報管理部206及び判定部209の機能の詳細については後述する。
また、紙幣処理ユニット210の紙幣制御部210aには、通信部240、紙幣繰出機構221、搬送部230、識別部232、紙幣繰出機構235、237、239、カセット装着部226、書込部228、読取部229等が接続されており、識別部232による紙幣の識別情報や、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部229により読み取られた情報が紙幣制御部210aに送られるとともに、紙幣制御部210aは、紙幣処理ユニット210の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。また、紙幣制御部210aは、通信部240により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202に対して信号の送受信を行う。
また、硬貨処理ユニット250の硬貨制御部250aには、硬貨繰出機構253、入金搬送部254、識別部256、分岐部258、各収納繰出部260及び出金搬送部262等が接続されており、識別部256による硬貨の識別情報が硬貨制御部250aに送られるとともに、硬貨制御部250aは硬貨処理ユニット250の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。
また、包装硬貨収納ユニット280の包装硬貨制御部280aには、通信部289、検知部284、ロック機構286及び記憶部288等が接続されており、検知部284による包装硬貨の検知情報が包装硬貨制御部280aに送られるとともに、包装硬貨制御部280aはロック機構286に指令信号を送ることにより当該ロック機構286の制御を行う。また、包装硬貨制御部280aは、通信部289により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202に対して信号の送受信を行う。また、包装硬貨収納ユニット280の収納ドロア282に収納されている包装硬貨の在高の情報等が記憶部288に記憶される。
また、POSレジスタ290のPOS制御部291には、表示部293、操作部294、記憶部295、通信部292、カードリーダ296、印字部297等がそれぞれ通信可能に接続されており、操作者により操作部294に入力された指令が当該操作部294からPOS制御部291に送られたり、カードリーダ296により読み取られたレジ担当者等の操作者のIDカードに係る情報がPOS制御部291に送られる。
POS制御部291は、表示部293に指令を送ることにより、当該表示部293に様々な情報を表示させる。なお、POS制御部291は、表示部293に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部293における表示に加えて、追加の表示部293aにおいて表示を行わせることもできる。
また、POS制御部291は、印字部297に指令を送ることにより、当該印字部297により様々な情報をレシート等に印字させる。また、POS制御部291は、通信部292により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202や店舗サーバ等の上位端末(図示せず)に対して信号の送受信を行う。
記憶部295には、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250等から送信された、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250における硬貨や紙幣の処理状況や、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250、包装硬貨収納ユニット280の内部に収納されている硬貨や紙幣、包装硬貨の在高等の様々な情報が記憶される。
<収納カセット300の構成>
次に、貨幣入出金機100と貨幣釣銭機200との間で紙幣の受け渡しを行うための収納カセット300の構成について図13を用いて説明する。図13に示すように、収納カセット300は、略直方体形状のケーシング301を有しており、当該ケーシング301の内部に紙幣が積層状態で収納される。また、上述したように、収納カセット300は貨幣入出金機100のカセット装着部126及び貨幣釣銭機200のカセット装着部226にそれぞれ着脱自在に装着される。
また、収納カセット300のケーシング301の側面には開口302が形成されており、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部226に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に設けられた搬送部130や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210に設けられた搬送部230から当該開口302を介して紙幣が収納カセット300の内部に送られたり、収納カセット300に収納されている紙幣が開口302を介して貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110の搬送部130や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210の搬送部230に繰り出されたりする。
より詳細には、収納カセット300の内部には、当該収納カセット300に収納されている紙幣を開口302からケーシング301の外部に繰り出す紙幣繰出機構が設けられている。また、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部226に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110側や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210側から収納カセット300の紙幣繰出機構に動力が伝達される。
このように、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部226から取り出された状態では当該収納カセット300に収納されている紙幣をケーシング301の外部に繰り出させることができないため、収納カセット300に収納されている紙幣のセキュリティ性を向上させることができる。
また、収納カセット300のケーシング301の側面にはICタグ304が設けられている。そして、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部226に装着されているときに、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた書込部128や貨幣釣銭機200のカセット装着部226に設けられた書込部228によりICタグ304に様々な情報を書き込んだり、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた読取部129や貨幣釣銭機200のカセット装着部226に設けられた読取部229によりICタグ304から様々な情報を読み取ったりすることができるようになっている。
<貨幣入出金機100の処理手順>
次に、収納カセット300が装着された場合における貨幣入出金機100の処理手順について説明する。図14は、収納カセット300が装着された場合における貨幣入出金機100の処理手順を示すフローチャートである。
同図に示すように、カセット装着部126が収納カセット300の装着を検知したならば(ステップS101)、入金制御部102bは、記憶部106からICタグ利用設定情報106bを読み出し、ICタグ304の情報を利用する設定であるか否かを判定する(ステップS102)。
ICタグ304の情報を利用する設定でなければ(ステップS102;No)、入金制御部102bは、収納カセット300内の紙幣の入金処理を行う(ステップS112)。このステップS112の入金処理では、収納カセット300から紙幣が1枚ずつ搬送され、識別部132による識別が行われ、識別結果に基づいて紙幣収納部134、136又は回収カセット140に収納される。入金処理の途中で紙幣収納部134、136の内部の紙幣の数が上限値に達したならば、入金制御部102bは、入金処理は中断し、紙幣収納部134、136の内部の紙幣の貨幣の一部又は全部を回収カセット140に搬送した後に、入金処理を再開する。
ステップS112の入金処理の後、在高管理部107及び売上金管理部109は、識別部132による識別結果を売上金の管理に適用する(ステップS113)。具体的には、在高管理部107は、識別部132による識別結果から収納した紙幣の金種及び枚数を特定し、貨幣釣銭機200の貨幣の在高を管理する。また、算出部108は、貨幣釣銭機200の貨幣の在高及び記憶部106に記憶されている情報に基づいて貨幣釣銭機200に入金されるべき釣銭補充金に係る貨幣の金種毎の枚数を算出する。そして、売上金管理部109は、貨幣釣銭機200の貨幣の在高に係る情報と、収納カセット300への出金処理などにより出金された釣銭補充金に係る情報とに基づいて、貨幣釣銭機200に入金された売上金に係る貨幣の情報を管理する。
一方、ICタグ304の情報を利用する設定であるならば(ステップS102;Yes)、読取部129がICタグ304から情報を読み取り(ステップS103)、入金制御部102bは、読取部129によるICタグ304からの情報の読み取りが正常に行われたか否かを判定する(ステップS104)。ICタグ304の情報を利用する設定であるにも関わらず、情報の読み取りが正常に終了しなければ(ステップS104;No)、入金制御部102bは、収納カセット300を排出制御し(ステップS105)、ステップS101に移行する。
読取部129によるICタグ304からの情報の読み取りが正常に行われたならば(ステップS104;Yes)、貨幣量データ取得部102aは、読取部129がICタグ304から読み出した貨幣量データを取得する(ステップS106)。
入金制御部102bは、貨幣量データ取得部102aにより取得された貨幣量データと、紙幣収納部134、136における紙幣の在高と、収納上限値106aとを用い、収納カセット300内の紙幣の全てを紙幣収納部134、136に収納可能であるか否かを判定する(ステップS107)。
収納カセット300内の紙幣の全てを紙幣収納部134、136に収納することができない場合には(ステップS107;No)、入金制御部102bは、紙幣収納部134、136内の紙幣の一部を回収カセット140に移動させる(ステップS108)。具体的には、各金種について、貨幣量データに示された数量と紙幣収納部134、136の在高との合計が該紙幣収納部134、136の上限値以下となるよう、紙幣収納部134、136内の紙幣を回収カセット140に移動させる。
ステップS108の後、若しくは収納カセット300内の紙幣の全てを紙幣収納部134、136に収納することができる場合(ステップS107;Yes)、入金制御部102bは、収納カセット300内の紙幣の入金処理を行う(ステップS109)。このステップS109の入金処理では、収納カセット300から紙幣が1枚ずつ搬送され、識別部132による識別が行われ、識別結果に基づいて紙幣収納部134、136又は回収カセット140に収納される。
このように、収納カセット300内の紙幣の全てを紙幣収納部134、136に収納することができる状態にしてから入金処理を開始するため、入金処理の途中で紙幣収納部134、136の内部の紙幣の数が上限値に達する事態は生じない。
ステップS109の入金処理の後、在高管理部107及び売上金管理部109は、ICタグ304から読み出した貨幣量データを売上金の管理に適用する(ステップS110)。具体的には、在高管理部107は、貨幣量データに示された金種及び枚数に基づいて貨幣釣銭機200の貨幣の在高を管理する。また、算出部108は、貨幣釣銭機200の貨幣の在高及び記憶部106に記憶されている情報に基づいて貨幣釣銭機200に入金されるべき釣銭補充金に係る貨幣の金種毎の枚数を算出する。
そして、売上金管理部109は、貨幣釣銭機200の貨幣の在高に係る情報と、収納カセット300への出金処理などにより出金された釣銭補充金に係る情報とに基づいて、貨幣釣銭機200に入金された売上金に係る貨幣の情報を管理する。
ステップS110又はステップS113の後、紙幣処理ユニット110は、算出部108により算出された釣銭補充金としての紙幣を収納カセット300に収納し(S111)、処理を終了する。
なお、図14では、収納カセット300を用いた紙幣の入出金について説明したが、硬貨の入出金については別途行われる。硬貨の入金処理では、貨幣釣銭機200から回収した売上金としての硬貨を貨幣入出金機100に投入し、貨幣入出金機100が釣銭補充金としての硬貨を出金処理する。また、包装硬貨の入出金が必要であれば、包装硬貨収納ユニット180のロックを解除し、包装硬貨の入出金を行わせる。
上述してきたように、実施例1に係る貨幣処理システムでは、貨幣入出金機100は、紙幣の収納及び紙幣の繰り出しが可能な紙幣収納部134、136と、紙幣収納部134、136に収納された紙幣の一部又は全部を収納する回収カセット140と、貨幣釣銭機200に収納された紙幣の一部又は全部のうち、紙幣収納部134、136に収納する紙幣の貨幣量に関する情報を取得する貨幣量データ取得部102aと、貨幣量データ取得部102aにより取得された貨幣量に関する情報に基づいて、紙幣収納部134、136に収納された紙幣の一部又は回収カセット140に収納するよう制御する入金制御部102bと備えるよう構成したので、貨幣の入出金処理が可能な収納部と、貨幣の入金処理が可能な回収カセットとを有する場合に、収納部から回収カセットへの貨幣の移行に伴うレジ担当者の待機時間を効率良く低減することができる。
なお、本実施例1では、ICタグ利用設定情報106bを用いてICタグ304に記憶された情報を利用するか否かを特定する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貨幣入出金機100が、ICタグ304に記憶された情報(貨幣量)を正とするか、装置内で計数した貨幣量を正とするかの判定を行う指標とてICタグ利用設定情報106bを用いることもできる。具体的には、収納カセット300に設けられたICタグ304内のメモリには、金種ごとの紙幣の枚数が記憶されているため、ICタグ利用設定情報106bがICタグ304の情報を利用する設定であれば、在高管理部107は、読取部129により収納カセット300のICタグ304から読み取られた情報に基づいて貨幣釣銭機200の貨幣の在高を管理する。ICタグ利用設定情報106bがICタグ304の情報を利用しない設定であれば、在高管理部107は、自装置で計数した金種ごとの紙幣の数量によって、貨幣釣銭機200の貨幣の在高を管理する。
上述した実施例1では、貨幣釣銭機200が収納カセット300に収納した紙幣の金種ごとの数量をICタグ304から読み取り、紙幣収納部134、136内の紙幣を事前に回収カセット140に移動させる構成を例示したが、貨幣釣銭機200と貨幣入出金機100とを通信可能に接続し、該通信を利用して貨幣入出金機100が収納カセット300に収納した紙幣の金種ごとの数量を受信する構成としてもよい。
本実施例2では、通信を利用して貨幣入出金機100が収納カセット300に収納した紙幣の金種ごとの数量を受信する構成について説明する。図15は、実施例2に係る貨幣処理システムの概念を説明するための説明図である。図15に示す貨幣入出金機600と貨幣釣銭機700は、所定のネットワーク、例えばLANを介して通信可能に接続される。
貨幣釣銭機700から紙幣を回収して貨幣入出金機600に入金する場合には、貨幣釣銭機700は、収納カセット300に収納する紙幣の金種ごとの数量を示す貨幣量データを予め貨幣入出金機600に送信する(1)。
貨幣入出金機600は、貨幣量データを受信し(2)、紙幣収納部134、136における紙幣の在高と、紙幣収納部134、136における紙幣の収納上限とを用い、収納カセット300内の紙幣の全てを紙幣収納部134、136に収納可能であるか否かを判定する(3)。そして、収納カセット300内の紙幣の全てを紙幣収納部134、136に収納することができない場合には、貨幣入出金機100は、紙幣収納部134、136内の紙幣の一部を回収カセット140に移動させる(4)。
貨幣釣銭機700は、貨幣量データに示した金種及び数量の紙幣を収納カセット300に収納する(5)。レジ担当者は、収納カセット300を貨幣釣銭機200から取り外して運搬し(6)、貨幣入出金機600に装着する。貨幣入出金機600は、必要に応じて既に紙幣の移動を終えているため、直ちに収納カセット300からの紙幣の入金処理を行うことができる(7)。
このように、本実施例2に係る貨幣処理システムでは、貨幣入出金機600は、貨幣釣銭機700が収納カセット300に収納する紙幣の金種ごとの数量をネットワーク経由で受信し、紙幣収納部134、136内の紙幣の一部を事前に回収カセット140に移動させることで収納カセット300内の紙幣の全てを紙幣収納部134、136に収納することができる状態にしてから、収納カセット300内の紙幣の入金処理を行う。このため、入金処理の途中で紙幣収納部134、136がフル状態となり、回収カセット140への紙幣の移動が必要となる事態を防ぐことができるので、レジ担当者の待機時間を効率良く低減することができる。
次に、貨幣入出金機600が複数の貨幣釣銭機700に対して釣銭の補充を行う場合について説明する。図16は、複数の貨幣釣銭機700への釣銭の補充についての説明図である。図16では、貨幣釣銭機700a〜貨幣釣銭機700cの3台の貨幣釣銭機700を示している。貨幣入出金機600は、貨幣釣銭機700a〜貨幣釣銭機700cのそれぞれについて、10枚の五千円紙幣を釣銭準備金として準備する必要があるとの設定を保持している。また、貨幣入出金機600が払出可能な五千円紙幣が4枚である状態を示している。
ここで、貨幣釣銭機700aの五千円紙幣の在高は3枚であり、貨幣入出金機600が五千円紙幣4枚を全て釣銭補充金として収納カセット300に収納して貨幣釣銭機700aに戻しても釣銭準備金が不足する。同様に、貨幣釣銭機700cの五千円紙幣の在高は5枚であり、貨幣入出金機600が五千円紙幣4枚を全て釣銭補充金として収納カセット300に収納して貨幣釣銭機700cに戻しても釣銭準備金が不足する。
一方で、貨幣釣銭機700bの五千円紙幣の在高は20枚であり、五千円紙幣10枚を貨幣入出金機600に入金することができる。そして、五千円紙幣10枚を貨幣入出金機600に入金した後であれば、貨幣釣銭機700aや貨幣釣銭機700cに充分な釣銭補充金を提供することができる。
このように、貨幣入出金機600が複数の貨幣釣銭機700に釣銭補充金を提供する構成では、各貨幣釣銭機700からどのような順序で売上金を回収するかによって、釣銭補充金が不足する事態が生じる場合がある。そこで、貨幣入出金機600は、複数の貨幣釣銭機700から在高や収納カセット300に収納する貨幣の数量などを受信し、各貨幣釣銭機700の釣銭補充金が不足することのないよう受付順序を設定し、各貨幣釣銭機700に通知する。
図16に示した例では、貨幣釣銭機700bに「受付順序指定:1」を送信し、貨幣釣銭機700cに「受付順序指定:2」を送信し、貨幣釣銭機700aに「受付順序指定:3」を送信している。この受付順序の指定をレジ担当者が確認し、指定された順序で収納カセット300の運搬を行うことにより、貨幣釣銭機700a〜貨幣釣銭機700cに十分な釣銭準備金を収納することができる。
図17は、貨幣入出金機600と貨幣釣銭機700との接続の一例を示す図である。図17では、貨幣釣銭機700a〜貨幣釣銭機700cがそれぞれPOSレジスタ290a〜290cに接続されている。さらに、貨幣入出金機600と貨幣釣銭機700a〜貨幣釣銭機700cがLAN405により接続されている。この構成では、貨幣入出金機600と貨幣釣銭機700a〜貨幣釣銭機700cとはLAN405を介して直接通信可能である。
図18は、貨幣入出金機600における制御系の構成を示す機能ブロック図である。図18に示す通信部605は、図7に示した通信部105の機能に加え、LAN405を介して貨幣釣銭機700と通信する機能を有する。また、制御部102は、貨幣量データ取得部602a、入金制御部602b及び受付順序通知処理部602cを有する。
貨幣量データ取得部602aは、ICタグ304からではなく、LAN405を介した通信により貨幣量データを取得する点が、図7に示した貨幣量データ取得部102aと異なる。
入金制御部602bは、貨幣量データ取得部602aが受信した貨幣量データを用いて、収納カセット300内の全ての紙幣を紙幣収納部134、136に収納可能であるか否かを判定することになる。この判定は、収納カセット300を受け付けてからではなく、受付順序通知処理部602cが設定した受付順序に基づいて事前に行う。具体的には、まず、受付順序が1番目の貨幣釣銭機700について判定を行い、1番目の貨幣釣銭機700からの収納カセット300の受け付けを待機する。そして、1番目の貨幣釣銭機700からの収納カセット300を受け付け、釣銭補充金を収納した収納カセット300が取り外されたならば、次の受付順序の貨幣釣銭機700について判定を行う。
受付順序通知処理部602cは、各貨幣釣銭機700の在高と、紙幣収納部134、136における紙幣の在高と、収納上限値106aとを用い、各貨幣釣銭機700に不足無く釣銭補充を行うことができるよう、各貨幣釣銭機700から収納カセット300を受け付ける順序を設定し、各貨幣釣銭機700に通知する処理を行う。
その他の構成及び動作は図7に示した貨幣入出金機100と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
貨幣釣銭機700は、LAN405を介して貨幣入出金機600と通信する機能を有し、自装置の在高や収納カセット300に収納する貨幣の金種及び数量を貨幣入出金機600に送信可能である点が実施例1に示した貨幣釣銭機200と異なる。その他の構成及び動作については、実施例1に示した貨幣釣銭機200と同様であるので、説明を省略する。
次に、貨幣入出金機600の処理手順について説明する。図19は、貨幣入出金機600の処理手順を示すフローチャートである。貨幣量データ取得部602aは、まず、各貨幣釣銭機700から貨幣量に関するデータを受信する(ステップS201)。受付順序通知処理部602cは、各貨幣釣銭機700の在高と、紙幣収納部134、136における紙幣の在高と、収納上限値106aとを用い、受付順序を設定して(ステップS202)、各貨幣釣銭機700に通知する(ステップS203)。
入金制御部602bは、受付順序が1番目の貨幣釣銭機700を選択する(ステップS204)。そして、選択した貨幣釣銭機700の貨幣量データを用いることで、貨幣釣銭機700に合わせた紙幣の移動を行う(ステップS205)。その後、入金制御部602bは、選択した貨幣釣銭機700からの収納カセット300の受付が行われたか否かを判定する(ステップS206)。選択した貨幣釣銭機700からの収納カセット300を受け付けていなければ(ステップS206;No)、ステップS206に移行することで、選択した貨幣釣銭機700からの収納カセット300を待機する。
選択した貨幣釣銭機700からの収納カセット300を受け付けたならば(ステップS206;Yes)、入金制御部602bは、収納カセット300内の紙幣を入金処理し(ステップS207)、釣銭補充金を収納カセット300に収納する(ステップS208)。釣銭補充金が収納された収納カセット300は、レジ担当者により取り外され、元の貨幣釣銭機700に運搬される。
ステップS208の後、入金制御部602bは、全ての貨幣釣銭機700を選択済であるか否かを判定する(ステップS209)。未選択の貨幣釣銭機700が残っていれば(ステップS209;No)、入金制御部602bは、次の受付順序の貨幣釣銭機700を選択し(ステップS210)、ステップS205に移行する。そして、全ての貨幣釣銭機700を選択済である場合に(ステップS209;Yes)、処理を終了する。
上述してきたように、実施例2に係る貨幣処理システムでは、貨幣入出金機600は、貨幣釣銭機700の貨幣量に関する情報をネットワーク経由で受信し、受信した貨幣量に関する情報に基づいて、紙幣収納部134、136に収納された紙幣の一部又は回収カセット140に収納するよう制御するので、収納カセット300の装着前に紙幣を移動させることができ、収納部から回収カセットへの貨幣の移行に伴うレジ担当者の待機時間をさらに効率良く低減することができる。
また、貨幣入出金機600は、複数の貨幣釣銭機700の貨幣量に関する情報を用いて貨幣を回収する順序を設定するので、釣銭補充金が不足する事態を防止して効率よく釣銭の補充を行うことができる。
なお、上述した貨幣処理システム、及びこのような貨幣処理システムに設けられた貨幣入出金機や貨幣釣銭機は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、実施例1に示したように貨幣入出金機100や貨幣釣銭機200における貨幣の在高に係る情報や収納カセット300に収納された紙幣に係る情報等の様々な情報が収納カセット300に設けられたICタグ304に書き込まれる代わりに、レジ担当者等の操作者が携帯するIDカードにこれらの情報が書き込まれるようになっていてもよい。
このような変形例に係る貨幣処理システムでは、貨幣釣銭機200から売上金としての貨幣を回収する際に、操作者がIDカードをPOSレジスタ290のカードリーダ296に通すことにより、貨幣釣銭機200の貨幣の在高に係る情報や収納カセット300に収納された紙幣に係る情報を含む様々な情報がIDカードに書き込まれるようになる。
また、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣を貨幣入出金機100に入金させる際に、操作者がIDカードを貨幣入出金機100に設けられたカードリーダ(図示せず)に通すことにより、IDカードに記録されている貨幣釣銭機200の貨幣の在高に係る情報や収納カセット300に収納された紙幣に係る情報を含む様々な情報が読み取られ、この読み取られた情報が制御部102に送られるようになる。
また、貨幣釣銭機200に入金されるべき釣銭補充金としての貨幣を貨幣入出金機100から出金する際に、操作者がIDカードを貨幣入出金機100に設けられたカードリーダ(図示せず)に通すことにより、貨幣入出金機100から出金された釣銭補充金としての貨幣に係る情報を含む様々な情報がIDカードに書き込まれるようになる。
また、貨幣入出金機100から出金された釣銭補充金としての貨幣を貨幣釣銭機200に入金させる際に、操作者がIDカードをPOSレジスタ290のカードリーダ296に通すことにより、IDカードに記録されている釣銭補充金としての貨幣に係る情報を含む様々な情報が読み取られ、この読み取られた情報がPOSレジスタ290のPOS制御部291から貨幣釣銭機200の上位制御部202に送られるようになる。
このように、上述したような変形例に係る貨幣処理システムでは、収納カセット300に設けられたICタグ304を用いなくても、貨幣入出金機100と貨幣釣銭機200との間で様々な情報のやりとりを行うことができるようになる。
ところで、上記の実施例1及び2では、「紙幣」を対象とする場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、「硬貨」を対象とする場合にも同様に適用することができる。
具体的には、(1)貨幣釣銭機200にて硬貨の回収処理を行い、(2)貨幣釣銭機200に設けたICタグリーダライタにて担当者が保持するICタグに回収した硬貨の金種別枚数データを書き込み、(3)担当者が貨幣釣銭機200から回収した硬貨を貨幣入出金機100まで運搬する。そして、(4)貨幣入出金機100は、貨幣入出金機100に設けられたICタグリーダライタによりICタグに記憶されたデータを読み取ることで、回収された硬貨の金種別枚数データを取得し、(5)取得した回収硬貨の金種別枚数データに基づいて、事前に収納繰出部160から硬貨を回収カセット170に移行する。その後、(6)担当者が貨幣釣銭機200から回収した硬貨を硬貨受入部152に投入し、入金処理を行うと、(7)入金された硬貨の金種別枚数データとICタグから取得した金種別枚数データを照合し、(8)照合結果が一致すれば正常終了し、照合結果が不一致であればエラー報知する。
このように、担当者が所持するICタグ又はICカード等の記録媒体を利用して、貨幣釣銭機200から回収した硬貨を貨幣入出金機100の硬貨受入部152に投入する場合にも本発明を適用することができる。
なお、更に別の変形例に係る貨幣処理システムにおいて、硬貨の収納及び収納されている硬貨の繰り出しを行う硬貨収納カセットが貨幣入出金機100及び貨幣釣銭機200にそれぞれ着脱自在に装着されるようになっていてもよい。
この場合には、貨幣入出金機100と貨幣釣銭機200との間でこのような硬貨収納カセットにより硬貨の受け渡しを行うことができるようになるため、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての硬貨や貨幣入出金機100から出金された貨幣釣銭機200に釣銭補充金として補充されるべき硬貨を操作者の手に触れさせないようにすることができるため、セキュリティ性を高めることができる。
また、このような硬貨の収納を行う硬貨収納カセットに上記のICタグ304を設けるようにしてもよい。かかる構成では、硬貨についても紙幣と同様に貨幣量データに基づく事前の移動を行うことでレジ担当者の作業を効率化することができる。
また、上記の実施例2では、貨幣入出金機600が受付順序を設定し、複数の貨幣釣銭機700に通知する構成を例示したが、受付の時刻を設定して複数の貨幣釣銭機700に通知する構成であってもよい。
また、上記の実施例2では、貨幣入出金機600と複数の貨幣釣銭機700とがLAN405を介して通信する構成を例示したが、貨幣入出金機600にPOSレジスタを接続し、貨幣入出金機600に接続したPOSレジスタと貨幣釣銭機700に接続したPOSレジスタとの通信を経由することで、貨幣入出金機600と複数の貨幣釣銭機700とが通信を実現する構成であっても良い。
また、別の例として、貨幣入出金機100において、カセット装着部126に装着された収納カセット300から繰り出された紙幣を識別することなく枚数のみを計数するようになっていてもよい。この場合には、計数された紙幣の枚数と、収納カセット300に設けられたICタグ304に記憶されている紙幣の枚数とを比較し、両者の枚数が一致しない場合に操作表示部104等において両者の枚数が一致しない旨を表示するようになっていてもよい。
また、貨幣入出金機100において、カセット装着部126に装着された収納カセット300から繰り出された紙幣について識別部132により正常な紙幣ではない(すなわち、リジェクト紙幣である)と識別された場合には、このような紙幣を出金リジェクト部124または回収カセット140に保管し、収納カセット300に設けられたICタグ304に記憶されている情報に基づいて、どの紙幣が正常ではないかを確定するようにしてもよい。また、この場合、識別部132による識別結果に基づいて、正常な紙幣ではないと識別された紙幣の情報を書込部128によりICタグ304に上書きしてもよい。また、識別部132により正常ではないと識別された紙幣の金種及び枚数を操作表示部104等により手入力する場合には、リジェクト紙幣の金種及び枚数を手入力項目に反映させることにより入力行為を削減することができる。