<貨幣入出金機の概念>
まず、本実施例1に係る貨幣入出金機の概念について説明する。図1は、本実施例1に係る貨幣入出金機の概念を説明するための説明図である。図1に示す貨幣入出金機100は、釣銭機200とともに店舗に設置される貨幣処理装置である。
釣銭機200は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の商業施設の店舗において、商品棚が設置されるフロント領域のレジに設置され、商品と引き換えに顧客からレジ担当者に手渡された貨幣の入金処理を行うとともに、釣銭としての貨幣の出金処理を行う装置である。
貨幣入出金機100は、店舗のバックヤード領域に設置され、釣銭機200から回収された売上金の入金処理を行うとともに、釣銭機200に補充されるべき釣銭準備金の出金処理を行う貨幣処理装置である。
釣銭機200及び貨幣入出金機100は、それぞれ収納カセット300を装着することが可能である。担当者が釣銭機200から売上金を回収する場合には、釣銭機200が収納カセット300に売上金としての紙幣を収納した後、収納カセット300を取り外し、取り外した収納カセット300を担当者が持参して貨幣入出金機100の場所に移動する。その後、収納カセット300を貨幣入出金機100に装着すると、貨幣入出金機100が収納カセット300から紙幣を繰り出して入金処理する。また、釣銭機200に釣銭準備金を補充する場合には、貨幣入出金機100が収納カセット300に釣銭準備金としての紙幣を収納した後、収納カセット300を取り外し、取り外した収納カセット300を担当者が持参して釣銭機200の場所に移動する。その後、収納カセット300を釣銭機200に装着すると、釣銭機200が収納カセット300から紙幣を繰り出して入金処理する。
収納カセット300には、不揮発性の記憶部を有するIC(Integrated Circuit)タグ304が付設されている。貨幣入出金機100及び釣銭機200は、ICタグ304へのデータの書き込みと、ICタグ304からのデータの読み出しが可能であり、収納カセット300に貨幣を収納する場合には収納した貨幣の金種及び数量を示す貨幣数量データをICタグ304に書き込む。そして、収納カセット300から貨幣を繰り出した場合にはICタグ304から貨幣数量データを読み出し、繰り出した貨幣の金種及び数量と一致するか否かを判定する。
このように、貨幣入出金機100は、収納カセット300を介して入出金を行うことで釣銭機200と連携し、釣銭機200からの売上金の回収と釣銭機200への釣銭準備金の補充とを貨幣に直接触れることなく行うことができる。
ここで、貨幣入出金機100の操作を練習する場合や、貨幣入出金機100のデモンストレーションを行う場合などには、釣銭機200との連携が必須であると効率的な練習等を行うことができないため、貨幣入出金機100単体で練習等を行わせたいというニーズがある。また、練習やデモンストレーションにおける入出金が売上金に算入されたならば、売上の管理を正確に行うことができない。
そこで、貨幣入出金機100は、釣銭機200を必要とせず、また、売上の管理に影響を与えることなく入出金処理を行う機能を有する。
具体的には、貨幣入出金機100は、操作者による練習開始操作を受け付けた場合に、通常の入出金とは異なる練習モードを開始する(1)。この練習モードでは、貨幣入出金機100は、練習用の収納カセット300を受け付けて入金処理を行うことができる。
収納カセット300は、ICタグ304に練習フラグを格納しており、この練習フラグが「オン」に設定されることで、練習用の収納カセット300として扱われる。練習用の収納カセット300においては、ICタグ304の貨幣数量データは任意の値に設定可能であり、収納カセット300に実際に収納されている貨幣の数量と不一致であってもよい。すなわち、練習フラグが「オン」である場合には、ICタグ304の貨幣数量データは、練習用データとして用いられることになる。図1では、ICタグ304の貨幣数量データが270000円分の貨幣を示し、実際に収納カセット300に収納されている貨幣の金額が16000円である状態を示している。
貨幣入出金機100は、練習用の収納カセット300を受け付けると、ICタグ304から貨幣数量データを読み出し(2)、練習用の貨幣数量データとして操作表示部への表示に用いる。このため、釣銭機200から回収した貨幣の入金時と同様の表示制御を実現し、練習やデモンストレーションを行わせることができる。また、貨幣入出金機100は、収納カセット300から貨幣を繰り出して内部に収納する入金処理を実行する(3)。
貨幣入出金機100は、釣銭機200から回収した貨幣の入金時には、五千円札と千円札をそれぞれ対応する紙幣収納部に搬送し、一万円札を回収カセットに搬送する。一方、練習モードでの入金時には、五千円札と千円札をそれぞれ対応する紙幣収納部に搬送する点は同様であるが、回収カセットは使用せず、一万円札はリジェクト部に搬送する。回収カセットに収納された貨幣は、警送会社等の管理対象であり、店舗の操作者が取り出すことができないからである。なお、練習モードでの入金時には高額紙幣である一万円札を利用しないよう設定することも可能である。
また、練習モードでは、ICタグ304から読み出した練習用の貨幣数量データと収納カセット300から繰り出した貨幣との比較を行わず、売上データへの反映も行わない点が釣銭機200から回収した貨幣の入金時と異なる。ただし、収納した貨幣に基づく貨幣入出金機100における在高の更新は、釣銭機200から回収した貨幣の入金時と同様に実行する。
このように、貨幣入出金機100は、練習開始操作後の収納カセット300の装着を練習用貨幣入金操作として受け付け、収納カセット300に付設されたICタグ304の貨幣数量データを練習用データとして用いて、操作表示部への表示制御を行なうことで、操作者に対して貨幣の入金に関する練習を効率良く行わせることができる。また、貨幣入出金機100は、練習用貨幣出金操作を受け付けた場合には、練習用貨幣出金操作に含まれる出金情報に基づいて練習用データを更新することで、操作者に対して貨幣の出金に関する練習を効率良く行わせることが可能であるが、この出金に関する練習の詳細については後述する。
<貨幣入出金機100の構成>
次に、貨幣入出金機100の構成について図2〜図5を用いて説明する。図2等に示すように、本実施例に係る貨幣入出金機100は、略直方体形状の筐体101を備えており、この筐体101の内部には、紙幣の入金処理及び出金処理を行う紙幣処理ユニット110、硬貨の入金処理及び出金処理を行う硬貨処理ユニット150、及び包装硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数(例えば、20枚や50枚)だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を収納する包装硬貨収納ユニット180がそれぞれ収容されている。図2に示すように、紙幣処理ユニット110及び硬貨処理ユニット150は、貨幣入出金機100を手前側から見て左右に並ぶよう配置されており、これらの紙幣処理ユニット110及び硬貨処理ユニット150の下方に包装硬貨収納ユニット180が配置されている。
図2及び図3に示すように、紙幣処理ユニット110は、筐体101の前面側の右側領域に設けられた紙幣受入部120と、筐体101の前面側において紙幣受入部120の下方に設けられた紙幣払出部122と、筐体101の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部130と、筐体101の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部134、136とを備えている。なお、図3において、筐体101の右側の側面が紙幣処理ユニット110の手前側の面であり、図3における左向きの方向が紙幣処理ユニット110の奥行き方向である。
図3に示すように、搬送部130は、筐体101の上部における中央位置に配置された周回搬送部130a及び複数の接続搬送部130bから構成されている。また、紙幣受入部120、紙幣払出部122、リジェクト部124、収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部126、回収カセット140及び2つの紙幣収納部134、136が、それぞれ、周回搬送部130aを取り囲むよう配置されている。
また、図3に示すように、複数の接続搬送部130bの各々により、紙幣受入部120、紙幣払出部122、リジェクト部124、カセット装着部126、回収カセット140及び2つの紙幣収納部134、136の各々と、周回搬送部130aとの間がそれぞれ接続されている。また、周回搬送部130aには識別部132が設けられており、この識別部132は、周回搬送部130aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。
周回搬送部130aは、図3における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができる。また、搬送部130において、周回搬送部130aと各接続搬送部130bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部130aに沿って配置されている。
図2及び図3に示すように、筐体101の前面には、紙幣受入部120の紙幣受入口120aと、紙幣払出部122の紙幣取出口122aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部126の前面側には扉126aが設けられており、この扉126aを開くことにより収納カセット300をカセット装着部126に装着させたり、このカセット装着部126から収納カセット300を取り出したりすることができる。
また、図5に示すように、カセット装着部126には、当該カセット装着部126に装着された収納カセット300に付設されたICタグ304に様々な情報を書き込む書込部128及びこのICタグ304から様々な情報を読み取る読取部129が設けられている。書込部128によりICタグ304に書き込まれる情報や読取部129によりICタグ304から読み取られる情報の詳細については後述するが、このICタグ304のメモリには収納カセット300に収納された金種ごとの紙幣の枚数が記憶される。
紙幣受入部120には紙幣繰出機構121が設けられており、紙幣受入口120aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると、紙幣繰出機構121が駆動されることにより、紙幣が接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出される。
紙幣払出部122は、各紙幣収納部134、136から周回搬送部130aに繰り出された紙幣を紙幣取出口122aにより筐体101の外部へ放出する。
リジェクト部124は、出金処理時において各紙幣収納部134、136から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部132で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部120から筐体101の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部132で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部122に返却される。
さらに、リジェクト部124は、練習モードにおいて収納カセット300から繰り出された一万円札の搬送先として用いられる。
各紙幣収納部134、136は、識別部132の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。これらの紙幣収納部134、136には、釣銭機200への釣銭準備金の紙幣として貨幣入出金機100から出金されるべき紙幣が収納される。例えば、紙幣収納部134には千円札が収納され、紙幣収納部136には五千円札が収納される。なお、一万円札は後述する回収カセット140に収納される。また、各紙幣収納部134、136には、それぞれ紙幣繰出機構135、137が設けられており、これらの紙幣収納部134、136に収納されている紙幣は、各紙幣繰出機構135、137により接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出される。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット140が収容されており、警送会社により回収されるべき紙幣が回収カセット140に収納される。具体的には、識別部132により識別された紙幣が周回搬送部130aから接続搬送部130bを経て回収カセット140に送られる。また、回収カセット140の前面側には扉140aが設けられており、この扉140aを開くことにより回収カセット140を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット140を取り出したりすることができる。
次に、硬貨処理ユニット150の構成について説明する。図2及び図4に示すように、硬貨処理ユニット150は、筐体101の前面側の左側領域に設けられた硬貨受入部152と、筐体101の前面側において硬貨受入部152の下方に設けられた硬貨払出部166と、筐体101の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部160とを備えている。
硬貨受入部152は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体101内に取り込む。具体的には、硬貨受入部152には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構153(図5参照)が設けられており、硬貨受入部152に受け入れられた硬貨を検知するとこの硬貨繰出機構153が駆動されることにより、当該硬貨繰出機構153によって硬貨が筐体101の内部に1枚ずつ繰り出される。また、図4に示すように、硬貨受入部152には、当該硬貨受入部152により筐体101の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部154が接続されている。
図4に示すように、入金搬送部154の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部156と、第1分岐部158とがそれぞれ設けられている。第1分岐部158は、識別部156による硬貨の識別結果に基づいて、硬貨払出部166から払い出されるべき硬貨(リジェクト硬貨等)を入金搬送部154から分岐させて出金搬送部162へ案内する。
一方、筐体101内に収納されるべき硬貨(正常硬貨等)は、入金搬送部154により各収納繰出部160へ搬送される。収納繰出部160は、硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。例えば、日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部160が設けられており、入金搬送部154の上流側(すなわち、図4における下側)から低額順に各収納繰出部160に硬貨が金種毎に収納される。また、収納繰出部160には、当該収納繰出部160に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部162に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部162は、収納繰出部160から繰り出された硬貨を硬貨払出部166へ搬送する。また、出金搬送部162は、第1分岐部158により入金搬送部154から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部166へ搬送する。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット170が収容されており、警送会社により回収されるべき硬貨が回収カセット170に収納される。具体的には、図4に示すように、出金搬送部162の途中箇所には第2分岐部164が設けられており、当該第2分岐部164により出金搬送部162から分岐させられた硬貨が回収カセット170に送られて、この回収カセット170に収納される。また、回収カセット170の前面側には扉170aが設けられており、この扉170aを開くことにより回収カセット170を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット170を取り出したりすることができる。
<貨幣入出金機100の制御系の構成>
次に、貨幣入出金機100の制御系の構成について説明する。図5は、貨幣入出金機100における制御系の構成を示すブロック図である。図5に示すように、貨幣入出金機100の筐体101の内部には制御部102が設けられており、当該制御部102により紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150及び包装硬貨収納ユニット180の各々の構成部位が制御される。
具体的には、制御部102には、紙幣処理ユニット110の紙幣繰出機構121、搬送部130、識別部132、紙幣繰出機構135、137、カセット装着部126、書込部128、読取部129等が接続されており、識別部132による紙幣の識別情報や、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部129により読み取られた情報が制御部102に送られるとともに、制御部102は紙幣処理ユニット110の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。
また、制御部102には、硬貨処理ユニット150の硬貨繰出機構153、入金搬送部154、識別部156、第1分岐部158、各収納繰出部160、出金搬送部162及び第2分岐部164等が接続されており、識別部156による硬貨の識別情報が制御部102に送られるとともに、制御部102は硬貨処理ユニット150の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。
また、制御部102には、包装硬貨収納ユニット180のロック機構184及び重量計186等が接続されており、重量計186による包装硬貨の測定結果が制御部102に送られるとともに、制御部102はロック機構184に指令信号を送ることにより当該ロック機構184の制御を行う。
ロック機構184は、包装硬貨収納ユニット180の引出部を筐体101の内部にロックする機構であり、引出部が筐体101の内部にロックされている状態では当該引出部を筐体101の内部から手前側に引き出すことができず、包装硬貨の収納や取出しが制限される。重量計186は、包装硬貨収納ユニット180に収納されている包装硬貨の重量を測定する。このような重量計186により測定される包装硬貨の重量に基づいて、制御部102において包装硬貨収納ユニット180に収納されている包装硬貨の数が検知される。
また、図5に示すように、制御部102には、操作表示部104、通信部105及び記憶部106がそれぞれ接続されている。操作表示部104は、筐体101の上部に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150及び包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部104に表示される。また、このような操作表示部104において操作者は操作画面における操作ボタンに指を触れることによって制御部102に様々な指令を入力することができる。通信部105は、店舗の内外に設けられた各種装置と信号の送受信を行うことができる。
記憶部106は、不揮発性のメモリ等からなる記憶デバイスであり、在高データ106a、売上データ106b及び練習用売上データ106cを記憶する。在高データ106aは、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150、包装硬貨収納ユニット180、回収カセット140及び回収カセット170の各々に収納されている貨幣の在高を示す。売上データ106bは、釣銭機200から回収された売上金や、売上金の回収時に収納カセット300のICタグ304から読み取ったデータに基づいて、店舗の売上を管理するデータである。練習用売上データ106cは、練習モードで表示するために用いられる便宜上の売上を示す。練習用売上データ106cは、売上データ106bと一致する必要は無く、任意に設定可能である。また、練習モードにおける入金処理によって更新することもできる。
さらに、制御部102は、練習操作受付部102a、出金練習処理部102b及び入金練習処理部102cを有する。練習操作受付部102aは、操作者による練習開始操作を受け付けて練習モードを開始し、操作者による練習終了操作を受け付けて練習モードを終了する処理を行う。
出金練習処理部102bは、練習モードにおける出金処理を行う処理部である。出金練習処理部102bは、練習モードにおいて行われた出金操作を練習用貨幣出金操作として受け付けて練習用の出金処理を開始する。この練習モードにおける出金処理では、出金練習処理部102bは、ICタグ304の練習フラグを「オン」にセットし、貨幣入出金機100から収納カセット300に貨幣を搬送し、ICタグ304に収納カセットの在高(練習用の貨幣数量データ)を書き込む。収納カセットの実際の在高は、貨幣入出金機100から搬送した貨幣に対応するが、ICタグ304に書き込む在高は練習用の貨幣数量データとして用いるため、収納カセット300の実際の在高と一致する必要は無く、例えば操作者から入力された出金情報により決定することができる。ただし、貨幣入出金機100の在高データ106aは、収納カセット300に実際に搬送した貨幣の金種及び枚数により更新する。
入金練習処理部102cは、練習モードにおける入金処理を行う処理部である。入金練習処理部102cは、練習モードにおいて行われた入金操作(例えば収納カセット300の装着)を入金用貨幣出金操作として受け付けて練習用の入金処理を開始する。この練習モードにおける入金処理では、入金練習処理部102cは、収納カセット300のICタグ304の練習フラグが「オン」であることを条件として、収納カセット300から貨幣入出金機100に貨幣を搬送する。このとき、一万円札についてはリジェクト部224に搬送し、他の貨幣は対応する収納部に搬送する。(例えば、千円札は紙幣収納部134に搬送し、五千円札は紙幣収納部136に搬送する)。
また、入金練習処理部102cは、練習モードにおける入金処理において、ICタグ304から在高(練習用の貨幣数量データ)を読み出して操作表示部104への表示に用いることで、釣銭機200から回収した貨幣の入金時と同様の表示制御を実現し、練習やデモンストレーションを行わせる。
なお、入金練習処理部102cは、練習モードにおける入金処理では、ICタグ304から読み出した在高と収納カセット300から繰り出した貨幣との比較を行わず、売上データ106bへの反映も行わない。ただし、貨幣入出金機100の在高データ106aは、収納カセット300から実際に搬送した貨幣の金種及び枚数により更新する。
<収納カセット300の構成>
次に、収納カセット300の構成について図6を用いて説明する。図6に示すように、収納カセット300は、略直方体形状のケーシング301を有しており、当該ケーシング301の内部に紙幣が積層状態で収納される。また、上述したように、収納カセット300は貨幣入出金機100のカセット装着部126に着脱自在に装着される。
また、収納カセット300のケーシング301の側面には開口302が形成されている。収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に設けられた搬送部130は、開口302を介して収納カセット300の内部に紙幣を送ることができる。同様に、収納カセット300に収納されている紙幣は、開口302を介して貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110の搬送部130に繰り出すことが可能である。
より詳細には、収納カセット300の内部には、当該収納カセット300に収納されている紙幣を開口302からケーシング301の外部に繰り出す紙幣繰出機構が設けられている。また、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110側から収納カセット300の紙幣繰出機構に動力が伝達される。
このように、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126から取り出された状態では当該収納カセット300に収納されている紙幣をケーシング301の外部に繰り出させることができないため、収納カセット300に収納されている紙幣のセキュリティ性を向上させることができる。
また、収納カセット300のケーシング301の側面にはICタグ304が設けられている。そして、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126に装着されているときに、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた書込部128によりICタグ304に様々な情報を書き込んだり、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた読取部129によりICタグ304から様々な情報を読み取ったりすることができるようになっている。具体的には、ICタグ304には、収納カセット300の識別情報、収納カセット300の種別、練習フラグ、在高などを書き込むことができる。
<貨幣入出金機の処理>
次に、貨幣入出金機100の処理について説明する。図7は、貨幣入出金機100の出金処理についての説明図である。貨幣入出金機100は、釣銭機200に対して実際に釣銭を補充するための出金では、ICタグ304の収納カセット種別を「釣銭補充」に設定し、練習フラグを「オフ」に設定する。このとき、ICタグに書き込まれた在高などのデータは、貨幣入出金機100から収納カセット300に出金された貨幣との比較検査(チェック)に用いられる。収納カセット300の実際の在高は、貨幣の出金枚数により定まり、ICタグ304に書き込まれた在高も出金枚数により定まるため、収納カセット300の在高とICタグ304の在高は一致することが必要である。また、貨幣入出金機100から収納カセット300への出金枚数は、貨幣入出金機100の在高データ106aに反映される。
一方、練習モードにおける出金練習では、貨幣入出金機100は、ICタグ304の収納カセット種別を「釣銭補充」に設定し、練習フラグを「オン」に設定する。このとき、ICタグに書き込まれた在高などのデータは、練習の管理に用いられる。収納カセット300の実際の在高は、貨幣の出金枚数により定まるが、ICタグ304に書き込む在高は任意に設定することができ、収納カセット300の在高とICタグ304の在高との不一致は許容される。すなわち、練習モードにおいては、ICタグに書き込まれた在高などのデータは練習用データとして用いられる。また、貨幣入出金機100から収納カセット300への出金枚数は、貨幣入出金機100の在高データ106aに反映される。
図8は、貨幣入出金機100の入金処理についての説明図である。貨幣入出金機100は、釣銭機200から実際に回収した売上金の入金では、ICタグ304の収納カセット種別は「売上回収」に設定する。このとき、練習フラグは「オフ」であり、ICタグから読み出された在高などのデータは、収納カセット300から貨幣入出金機100に入金された貨幣との比較検査(チェック)に用いられる。具体的には、収納カセット300から入金された貨幣とICタグ304の在高とが一致することが必要である。また、収納カセット300から貨幣入出金機100への入金枚数は、貨幣入出金機100の在高データ106a及び売上データ106bに反映される。さらに、入金された貨幣のうち、一万円札については回収カセット140に搬送し、他の貨幣は対応する収納部に搬送する。
一方、練習モードにおける入金練習では、貨幣入出金機100は、ICタグ304の収納カセット種別を「売上回収」に設定する。このとき、練習フラグは「オン」であることが必要であり、ICタグから読み出された在高などのデータは、操作表示部104への表示に用いる。また、収納カセット300の実際の在高とICタグ304の在高との不一致は許容される。すなわち、練習モードにおいては、ICタグに書き込まれた在高などのデータは練習用データとして用いられる。貨幣入出金機100は、ICタグ304から読み出したデータや収納カセット300から入金した貨幣枚数を売上データ106bに反映することはなく、収納カセット300から入金した貨幣枚数を在高データ106aに反映する。さらに、入金された貨幣のうち、一万円札についてはリジェクト部124に搬送し、他の貨幣は対応する収納部に搬送する。
図9は、貨幣入出金機100における練習モードの処理手順を示すフローチャートである。まず、練習操作受付部102aは、操作者による練習開始操作を受け付けて練習モードを開始する(ステップS101)。練習モードの開始後、出金練習処理部102bが出金練習処理を実行し(ステップS102)、入金練習処理部102cが入金練習処理を実行する(ステップS103)。その後、練習操作受付部102aが操作者による練習終了操作を受け付けて練習モードにかかる処理を終了する(ステップS104)。
図10は、図9に示した出金練習処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、出金練習処理部102bは、ICタグ304の練習フラグを「オン」にセットする(ステップS201)とともに、収納カセット種別を「釣銭補充」に設定する(ステップS202)。また、ICタグ304の在高を任意の値で設定する(ステップS203)。その後、貨幣入出金機100から収納カセット300に貨幣を搬送し(ステップS204)、貨幣入出金機100の在高データ106aを更新して(ステップS205)、収納カセットの取り外しを許可する(ステップS206)。ステップS206の後、出金練習処理部102bは、出金練習処理を終了し、元の処理に戻る。
図11は、図9に示した入金練習処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、入金練習処理部102cは、収納カセット300の装着を受け付け(ステップS301)、ICタグ304のデータを読み出して練習フラグが「オン」であるか否かを判定する(ステップS302)。
判定の結果、練習フラグが「オン」でなければ(ステップS302;No)、入金練習処理部102cは、エラー出力を行い(ステップS306)、入金練習処理を終了し、元の処理に戻る。
一方、練習フラグが「オン」であれば(ステップS302;Yes)、入金練習処理部102cは、ICタグ304から読み出した在高に基づいて操作表示部104への制御を行う(ステップS303)。また、入金練習処理部102cは、収納カセット300から貨幣入出金機100に貨幣を搬送するよう制御する(ステップS304)。この搬送では、一万円札の搬送先はリジェクト部224となり、他の貨幣の搬送先は対応する収納部となる。ステップS304の後、入金練習処理部102cは、収納カセット300から実際に搬送した貨幣の金種及び枚数により貨幣入出金機100の在高データ106aを更新する(ステップS305)。ステップS305の後、入金練習処理部102cは、入金練習処理を終了し、元の処理に戻る。
図12は、練習モードにおける操作表示部104の表示画面についての説明図である。図12(a)は、出金練習における操作表示部104の表示画面の具体例を示している。図12(a)の表示画面では、「出金練習中です」とのメッセージと、出金する貨幣の金種及び枚数と、出金合計金額とを表示している。具体的には、五千円紙幣5枚と千円紙幣5枚を出金し、出金合計金額は「30,000円」となっている。これらの表示は、ICタグ304に書き込む在高(練習用の貨幣数量データ)に基づいており、実際に収納カセット300に出金する貨幣と一致する必要は無い。
図12(b)は、入金練習における操作表示部104の表示画面の具体例を示している。図12(b)の表示画面では、「入金練習中です」とのメッセージと、「手入力」ボタンと、「練習終了」ボタンと、総合計と、伝票計とを表示している。「手入力」ボタンは、総合計の値を操作者が入力する場合に用いる。「練習終了」ボタンは、練習モードを終了する場合に用いる。
総合計とは、収納カセット300から入金した貨幣の金額の合計である。伝票計とは、釣銭機200における売上金の合計である。釣銭機200に釣銭準備金を残置して売上金を回収する場合は、残置分により総合計と伝票計とが乖離することになる。図12(b)では、総合計と伝票計の双方が「270,000円」の状態を示している。これらの表示は、ICタグ304から読み出した在高(練習用の貨幣数量データ)に基づいており、実際に収納カセット300から入金した貨幣と一致する必要は無い。
図9〜図12の説明では、練習モードの開始後、出金練習処理を行ってから連続して入金練習処理を行う場合を示した。このように、出金練習処理と入金練習処理とを連続して行えば、出金練習処理で取り外された収納カセットをそのまま入金練習処理に用いることができる。しかしながら、出金練習処理と入金練習処理とは必ずしも連続して行う必要はなく、独立して行うことも可能である。
出金練習処理を独立して行った場合には、後処理として収納カセット300を再び貨幣入出金機100に装着し、貨幣を全て取り込むとともに、ICタグ304をクリアすればよい。また、入金練習処理を独立して行う場合には、予め練習用の収納カセット300を用意すればよい。具体的には、ICタグ304の練習フラグを「オン」に設定し、ICタグ304の在高を任意の値に設定し、必要に応じて貨幣を収納カセット300に搬送することで、練習用の収納カセットを用意することができる。
また、入金や出金の練習時に意図的にエラーを発生させ、エラーの対処を練習することも可能である。このエラーの対処では、例えば貨幣を搬送途中で停止させ、かかる貨幣を操作者が取り出してエラーを解除する手順等を練習することができる。練習用の収納カセット300に実際に収納する貨幣は、このエラー対処の練習に用いられる。また、包装硬貨の入金や出金の練習も可能である。
このように多様な練習を可能とする場合には、練習開始操作を受け付けた場合に操作表示部104に練習メニューを表示し、操作者に所望の練習内容を選択させればよい。図13は、練習メニュー画面の具体例である。図13に示した練習メニュー画面では、「入金練習」、「出金練習」、「入金エラー体験」、「出金エラー体験」、「入金練習(包装硬貨あり)」、「出金練習(包装硬貨あり)」に対応する操作ボタンが表示されており、いずれかの操作ボタンが操作された場合に、対応する練習が開始される。
上述してきたように、本実施例1では、貨幣の入出金が可能な貨幣処理装置である貨幣入出金機100は、操作者による操作の受付及び所定の表示を行う操作表示部104を備え、操作表示部104から練習用貨幣出金操作を受け付けた場合に、該練習用貨幣出金操作に含まれる出金情報に基づいて所定の練習用データを更新し、操作表示部104から練習用貨幣入金操作を受け付けた場合に、少なくとも練習用データに基づいて操作表示部104の表示制御を行う。このため、操作者に対して貨幣の入出金に関する練習を効率良く行わせることができる。
また、本実施例1では、貨幣入出金機100は、カセット装着部126に貨幣カセットである収納カセット300を着脱可能であり、収納カセット300に付設された記憶媒体であるICタグ304に格納された在高などのデータを練習用データとして用いることができる。また、貨幣入出金機100は、収納カセット300との間で実際に搬送を行った貨幣とは無関係に練習用データの更新や利用を可能としている。
なお、入金の練習時には、貨幣の搬送先を適宜変更することができる。具体的には、一万円札についてはリジェクト部224に搬送し、他の貨幣は対応する収納部に搬送する。通常の入金時は一万円札を回収カセット140に搬送するが、回収カセット140に収納された貨幣は警送会社等の管理対象となり、店舗の操作者が取り出すことができなくなるからである。
また、貨幣入出金機100は、練習に係る入出金については、売上データ106bへの反映を行わないため、売上の管理に影響を与えることがない。ただし、在高データ106aについては練習時にも実際の貨幣の搬送に応じて更新することで、正確に管理を行う。
実施例1では、貨幣入出金機100単体で入出金の練習を行う場合を例に説明を行ったが、本発明は、貨幣入出金機100と釣銭機200とを連携させて入出金の練習を行うことを妨げるものではない。
図14は、貨幣入出金機100と釣銭機200とを連携させて入出金の練習を行う場合についての説明図である。図14に示した構成では、店舗に複数のPOSレジスタ290が設置されている。また、複数のPOSレジスタ290のうち1台に貨幣入出金機100が接続され、他のPOSレジスタ290には釣銭機200が接続されている。
図14に示した構成では、貨幣入出金機100は、POSレジスタ290に接続されて、釣銭機200としての機能(顧客から渡された貨幣の入金と釣銭の出金)を有し、さらに、他の釣銭機200から回収された売上金の入金処理と、他の釣銭機200に補充されるべき釣銭準備金の出金処理を行う。そして、貨幣入出金機100と釣銭機200との間での貨幣の受け渡しは、収納カセット300を介して行われる。
かかる構成では、例えば、貨幣入出金機100の出金練習により取り外された収納カセット300を釣銭機200に装着して釣銭機200の入金練習を行うことができる。同様に、釣銭機200の出金練習により取り外された収納カセット300を貨幣入出金機100に装着して貨幣入出金機100の入金練習を行うことができる。
このように、貨幣入出金機100と釣銭機200を連携させて入出金の練習を行えば、実際の店舗での作業により近い状態で練習を行うことができる。また、貨幣入出金機100と釣銭機200を連携させて入出金の練習を行う場合であっても、実施例1と同様に、収納カセット300に実際に収納した貨幣とICタグ304に書き込んだ貨幣の数量との不一致を許容するとともに、売上管理用のデータへの影響を排除することができる。
なお、貨幣入出金機100と釣銭機200を連携させて入出金の練習を行う場合には、装着された収納カセット300の練習フラグが「オン」であることを条件に練習モードを開始する構成としてもよい。
例えば、貨幣入出金機100に対して練習開始操作を行うことで貨幣入出金機100の練習モードを開始し、出金練習を行って取り外した収納カセット300は、練習フラグが「オン」に設定されている。この収納カセット300を釣銭機200に装着すれば、練習フラグを読み取った釣銭機200が自動的に練習モードを開始し、釣銭機200に対する練習開始操作を行わずとも入金練習が可能となる。
<釣銭機200の構成>
次に、釣銭機200の詳細な構成について図15〜図18を用いて説明する。図15等に示すように、釣銭機200は、上下に並ぶよう配置された硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280と、これらの硬貨処理ユニット250や包装硬貨収納ユニット280の隣に並ぶよう配置された紙幣処理ユニット210とを備えており、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250の上方にはPOSレジスタ290が載置される。紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行う。また、包装硬貨収納ユニット280は、各金種の包装硬貨を取り出し可能に収納する。また、POSレジスタ290は、釣銭機200の管理を行う管理装置として用いられる。
まず、紙幣処理ユニット210の構成について図15及び図16を用いて具体的に説明する。図15及び図16に示すように、紙幣処理ユニット210は、略直方体形状の筐体212と、筐体212の前面側に設けられた紙幣受入部220と、筐体212の前面側において紙幣受入部220の下方に設けられた紙幣払出部222と、筐体212の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部230と、筐体212の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部234、236、238とを備えている。なお、図16において、筐体212の右側の側面が紙幣処理ユニット210の手前側の面であり、図16における左向きの方向が紙幣処理ユニット210の奥行き方向である。
図16に示すように、搬送部230は、筐体212の中央位置に配置された周回搬送部230a及び複数の接続搬送部230bから構成されている。また、紙幣受入部220、紙幣払出部222、リジェクト部224、収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238が、それぞれ周回搬送部230aを取り囲むよう配置されている。
また、図16に示すように、複数の接続搬送部230bの各々により、紙幣受入部220、紙幣払出部222、リジェクト部224、カセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238の各々と、周回搬送部230aとの間がそれぞれ接続される。また、周回搬送部230aには識別部232が設けられており、この識別部232は、周回搬送部230aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。
周回搬送部230aは、図16における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができる。また、搬送部230において、周回搬送部230aと各接続搬送部230bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部230aに沿って配置されている。
図15及び図16に示すように、筐体212の前面には、紙幣受入部220の紙幣受入口220aと、紙幣払出部222の紙幣取出口222aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部226の前面側には扉226aが設けられており、この扉226aを開くことにより収納カセット300をカセット装着部226に装着させたり、このカセット装着部226から収納カセット300を取り出したりすることができる。
また、図18に示すように、カセット装着部226には、当該カセット装着部226に装着された収納カセット300に設けられているICタグ304に様々な情報を書き込む書込部228及び当該ICタグ304から様々な情報を読み取る読取部229がそれぞれ設けられている。
紙幣受入部220には紙幣繰出機構221が設けられており、紙幣受入口220aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると、紙幣繰出機構221が駆動されることにより紙幣が接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
紙幣払出部222は、各紙幣収納部234、236、238から周回搬送部230aに繰り出された紙幣を紙幣取出口222aにより筐体212の外部へ放出するよう構成されている。
リジェクト部224は、出金処理時において各紙幣収納部234、236、238から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部232で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部220から筐体212の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部232で識別することができない紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部222に返却される。
各紙幣収納部234、236、238は、識別部232の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。これらの紙幣収納部234、236、238には、紙幣処理ユニット210に入金された売上金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納される。例えば、紙幣収納部234には千円札が収納され、紙幣収納部236には五千円札が収納され、紙幣収納部238には一万円札が収納される。また、各紙幣収納部234、236、238にはそれぞれ紙幣繰出機構235、237、239が設けられており、これらの紙幣収納部234、236、238に収納されている紙幣は、各紙幣繰出機構235、237、239により接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
次に、硬貨処理ユニット250の構成について説明する。図15及び図17に示すように、硬貨処理ユニット250は、略直方体形状の筐体251と、筐体251の前面側に設けられた硬貨受入部252と、筐体251の前面側において硬貨受入部252の下方に設けられた硬貨払出部266と、筐体251の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部260とを備えている。
硬貨受入部252は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体251内に取り込む。具体的には、硬貨受入部252には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構253(図18参照)が設けられており、硬貨受入部252に受け入れられた硬貨を検知すると、この硬貨繰出機構253が駆動されることにより当該硬貨繰出機構253によって硬貨が筐体251の内部に1枚ずつ繰り出される。また、図17に示すように、硬貨受入部252には、当該硬貨受入部252により筐体251の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部254が接続されている。
図17に示すように、入金搬送部254の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部256と、分岐部258とがそれぞれ設けられている。分岐部258は、識別部256による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部266から払い出されるべき硬貨を入金搬送部254から分岐させて出金搬送部262へ案内する。
一方、正常硬貨等の筐体251内に収納されるべき硬貨は入金搬送部254により各収納繰出部260へ搬送される。収納繰出部260は、硬貨を金種別に収納するとともに、収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。例えば、日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部260が設けられており、入金搬送部254の上流側(すなわち、図17における下側)から低額順に各収納繰出部260に硬貨が金種毎に収納される。また、収納繰出部260には、当該収納繰出部260に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部262に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部262は、収納繰出部260から繰り出された硬貨を硬貨払出部266へ搬送する。また、出金搬送部262は、分岐部258により入金搬送部254から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部266へ搬送する。
<POSレジスタの構成>
次に、POSレジスタ290の構成について具体的に説明する。図15及び図18に示すように、POSレジスタ290は、POS制御部291と、POS制御部291にそれぞれ接続されたモニタ等の表示部293及び操作キー等の操作部294とを備えている。
操作部294は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部291に対して様々な指令を与えることができる。また、表示部293は、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、POSレジスタ290には、顧客が視認可能な追加の表示部293aが設けられており、様々な情報を表示部293に表示させる代わりに、あるいは表示部293における表示に加えて、追加の表示部293aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。
また、POSレジスタ290には、カードリーダ296及び印字部297が設けられている(図18参照、図15では図示せず)。カードリーダ296は、レジ担当者等の操作者が携帯するIDカードを読み取ることにより、当該操作者のIDや権限等に関する情報を取得する。また、印字部297は、例えばプリンタから構成され、売上レシートや集計レシートに加えて、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシートに印字する。
<釣銭機200の制御系の構成>
次に、釣銭機200の制御系の構成について図18を用いて説明する。図18に示すように、硬貨処理ユニット250は、上位制御部202及び硬貨制御部250aを有しており、これらの上位制御部202及び硬貨制御部250aは互いに接続されている。
また、紙幣処理ユニット210は紙幣制御部210aを有しており、この紙幣制御部210aは硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、包装硬貨収納ユニット280は包装硬貨制御部280aを有しており、この包装硬貨制御部280aは硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、POSレジスタ290に設けられたPOS制御部291も硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、図示していないが、POSレジスタ290のPOS制御部291は店舗サーバ等の上位端末と通信可能に接続されている。
図18に示すように、硬貨処理ユニット250の上位制御部202には、紙幣処理ユニット210、包装硬貨収納ユニット280及びPOSレジスタ290の各々と通信を行うための通信部203、操作表示部204、練習操作受付部205、出金練習処理部206、入金練習処理部207及び記憶部208がそれぞれ接続されている。
この上位制御部202は、通信部203により、紙幣処理ユニット210の紙幣制御部210a、包装硬貨収納ユニット280の包装硬貨制御部280a及びPOSレジスタ290のPOS制御部291に対して信号の送受信を行う。
操作表示部204は、硬貨処理ユニット250の筐体251の上面に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット210、硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部204に表示される。このような操作表示部204において、操作者は、操作画面における操作ボタンに指を触れることによって、上位制御部202に様々な指令を入力することができる。
練習操作受付部205、出金練習処理部206及び入金練習処理部207は、それぞれ図5に示した練習操作受付部102a、出金練習処理部102b及び入金練習処理部102cに対応し、練習開始操作と練習終了操作の受付、練習モードにおける出金処理及び練習モードにおける入金処理を行う。
記憶部208には、紙幣処理ユニット210、硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、釣銭機200における貨幣の処理履歴等の様々な情報が記憶される。
また、紙幣処理ユニット210の紙幣制御部210aには、通信部240、紙幣繰出機構221、搬送部230、識別部232、紙幣繰出機構235、237、239、カセット装着部226、書込部228、読取部229等が接続されており、識別部232による紙幣の識別情報や、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部229により読み取られた情報が紙幣制御部210aに送られるとともに、紙幣制御部210aは、紙幣処理ユニット210の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。また、紙幣制御部210aは、通信部240により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202に対して信号の送受信を行う。
また、硬貨処理ユニット250の硬貨制御部250aには、硬貨繰出機構253、入金搬送部254、識別部256、分岐部258、各収納繰出部260及び出金搬送部262等が接続されており、識別部256による硬貨の識別情報が硬貨制御部250aに送られるとともに、硬貨制御部250aは硬貨処理ユニット250の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。
また、包装硬貨収納ユニット280の包装硬貨制御部280aには、通信部289、検知部284、ロック機構286及び記憶部288等が接続されており、検知部284による包装硬貨の検知情報が包装硬貨制御部280aに送られるとともに、包装硬貨制御部280aはロック機構286に指令信号を送ることにより当該ロック機構286の制御を行う。
検知部284は、光センサ等により包装硬貨収納ユニット280に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を検知する。ロック機構286は、包装硬貨収納ユニット280の収納ドロアが筐体281に完全に収容されたときに当該収納ドロアを筐体281内にロックする機構である。ロック機構286が収納ドロアを筐体281の内部にロックしたときには、この収納ドロアを筐体281から手前側に引き出すことができなくなり、よって収納ドロア282から包装硬貨を取り出すことができなくなる。
また、包装硬貨制御部280aは、通信部289により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202に対して信号の送受信を行う。また、包装硬貨収納ユニット280の収納ドロア282に収納されている包装硬貨の在高の情報等が記憶部288に記憶される。
また、POSレジスタ290のPOS制御部291には、表示部293、操作部294、記憶部295、通信部292、カードリーダ296、印字部297等がそれぞれ通信可能に接続されており、操作者により操作部294に入力された指令が当該操作部294からPOS制御部291に送られたり、カードリーダ296により読み取られたレジ担当者等の操作者のIDカードに係る情報がPOS制御部291に送られる。
POS制御部291は、表示部293に指令を送ることにより、当該表示部293に様々な情報を表示させる。なお、POS制御部291は、表示部293に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部293における表示に加えて、追加の表示部293aにおいて表示を行わせることもできる。
また、POS制御部291は、印字部297に指令を送ることにより、当該印字部297により様々な情報をレシート等に印字させる。また、POS制御部291は、通信部292により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202や店舗サーバ等の上位端末(図示せず)に対して信号の送受信を行う。
記憶部295には、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250等から送信された、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250における硬貨や紙幣の処理状況や、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250、包装硬貨収納ユニット280の内部に収納されている硬貨や紙幣、包装硬貨の在高等の様々な情報が記憶される。
上述してきたように、本実施例2に係る貨幣処理システムでは、貨幣入出金機100と釣銭機200を連携させて入出金の練習を行うことで、実際の店舗での作業により近い状態で効率的な練習を行うことができる。また、貨幣入出金機100と釣銭機200を連携させて入出金の練習を行う場合であっても、実施例1と同様に、収納カセット300に実際に収納した貨幣とICタグ304に書き込んだ貨幣の数量との不一致を許容するとともに、売上管理用のデータへの影響を排除することができる。
なお、上記の実施例では、出金の練習時に収納カセット300に所定数の貨幣を搬送し、入金の練習時に収納カセット300から所定数の貨幣を搬送する構成について説明を行ったが、この所定数は「0」でもよい。すなわち、出金の練習時には収納カセット300に貨幣を搬送することなくICタグ304の練習用データを更新し、入金の練習時には収納カセット300から貨幣を搬送することなくICタグ304から練習用データを読み出すよう構成してもよい。
また、上記の実施例では、収納カセット300に付設されたICタグ304を記憶媒体として用い、ICタグ304に格納された貨幣の在高を練習用データとして用いる場合を例に説明を行ったが、貨幣入出金機100の記憶部に練習用データを格納して更新や読み出しを行う構成としてもよい。
また、上記の実施例では、貨幣入出金機100を中心に説明を行ったが、釣銭機200やATM等の他の貨幣処理装置であっても、本発明を適用することで操作者に対して貨幣の入出金に関する練習を効率良く行わせることができる。