<貨幣処理装置の概念>
まず、本実施例に係る貨幣処理装置の概念について説明する。図1〜図3は、本実施例に係る貨幣処理装置の概念を説明するための説明図である。図1に示した釣銭機200は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の商業施設の店舗において、商品棚が設置されるフロント領域のレジに設置され、商品と引き換えに顧客からレジ担当者に手渡された貨幣の入金処理を行うとともに、釣銭としての貨幣の出金処理を行う貨幣処理装置である。
釣銭機200は、補充と入金とで紙幣の収納動作を切り替える。補充とは、釣銭用の貨幣を釣銭機200内部に収納する処理である。入金とは、商品と引き換えに顧客からレジ担当者に手渡された貨幣を釣銭機200内部に収納する処理である。図1(a)は補充時の動作を示し、図1(b)は入金時の動作を示す。
釣銭機200に補充される紙幣は、店舗のバックヤード領域に設置された貨幣入出金機により収納カセット300に収納されている。収納カセット300を釣銭機200のカセット装着部226に装着すると、釣銭機200は収納カセット300内部の紙幣を一枚ずつ繰り出して釣銭機200の内部に取り込む。
釣銭機200は、取り込んだ紙幣の方向を識別し、所定の指定方向であるならば紙幣収納部に搬送して収納し、指定方向と異なる方向であるならば紙幣取出口222aから払い出す。指定方向は、予め操作者により設定されており、表裏と天地の双方を指定してもよいし、表裏と天地の一方のみを指定してもよい。以降、本明細書では、識別された方向が指定方向と一致する紙幣を正方向紙幣、識別された方向が指定方向と異なる紙幣を異方向紙幣という。
図1では、正方向紙幣を白抜きで示し、異方向紙幣を網掛で示している。図1(a)に示したように、補充の動作では、正方向紙幣が選択的に紙幣収納部に搬送され、異方向紙幣は紙幣取出口222aから払い出されるので、紙幣収納部における紙幣の方向を揃えることができる。また、払い出された異方向紙幣については、操作者が方向を揃えて紙幣受入口220aに投入することで、正方向紙幣として紙幣収納部に収納することができる。特に、表裏又は天地の一方のみを指定している場合には、払い出された異方向紙幣を操作者が一括して反転し、紙幣受入口220aに投入することで、簡易に紙幣収納部に収納することができる。
一方、入金の動作では、図1(b)に示すように、釣銭機200は、紙幣受入口220aに投入された紙幣をその方向に関わらず紙幣収納部に搬送する。取引中に異方向紙幣を払い出し、再度の投入を行わせることとすると、取引に要する時間が長くなり、精算処理の遅延を招くためである。
図2は、補充の動作の説明図である。図2(a)に示すように、釣銭機200は、紙幣受入部220、紙幣払出部222、識別部232、紙幣収納部234、236、238を有する。紙幣収納部234、236、238は、紙幣の金種に対応してそれぞれ設けられている。
補充用の紙幣を収納された収納カセット300が装着されると、釣銭機200は、収納カセット300から紙幣を一枚ずつ繰り出し、識別部232により金種及び方向を識別する。そして、識別した方向が指定方向と一致する正方向紙幣については、識別した金種に応じて紙幣収納部234、236、238のいずれかに搬送する。また、識別した方向が指定方向と異なる異方向紙幣については紙幣払出部222に搬送する。紙幣払出部222は既に説明した紙幣取出口222aを有し、操作者は紙幣取出口222aから紙幣を取り出すことができる。
また、補充の動作では、紙幣受入口220aから紙幣受入部220に投入された紙幣についても、一枚ずつ繰り出して識別部232により金種及び方向を識別する。そして、識別した方向が指定方向と一致する正方向紙幣であれば金種に応じた紙幣収納部234、236、238に搬送し、識別した方向が指定方向と異なる異方向紙幣であれば紙幣払出部222に搬送する。
このため、操作者は紙幣取出口222aから取り出した紙幣の方向を揃え、紙幣受入口220aから紙幣受入部220に投入することで、正方向紙幣として紙幣収納部234、236、238に収納することができる。
図3は、入金の動作の説明図である。図3(b1)に示すように、釣銭機200は、紙幣受入口220aから紙幣受入部220に投入された紙幣を一枚ずつ繰り出し、識別部232により金種及び方向を識別する。そして、取り込み順と方向の識別結果とを対応付けて収納データ208aに格納した上で、紙幣収納部234、236、238に搬送する。
図3(b1)では、同一金種の5枚の紙幣が投入され、2枚目に取り込んだ紙幣が異方向紙幣であり、他の紙幣は正方向紙幣である状態を示している。このため、収納データ208aでは、取り込み順序が2枚目であることを示す「#2」に「NG」が対応付けられ、「#1、#3〜#5」に「OK」が対応付けられている。なお、収納データ208aは、紙幣収納部234、236、238についてそれぞれ設ける。
釣銭機200は、入金の完了後、収納データ208aを参照して異方向紙幣を収納カセット300に搬送する(b2)。具体的には、入金に係る取引の完了後に搬送制御部206が収納データ208aを参照し、異方向紙幣が存在するならば、異方向紙幣が収納カセット300に搬送されるまで、紙幣収納部234、236、238に収納された紙幣を一枚ずつ繰り出して収納カセット300に搬送する。
図3(b2)では、異方向紙幣を取り込んだ後、取り込み順「#3〜#5」の3枚の紙幣が取り込まれている。このため、取り込み順「#5」の紙幣から順次収納カセット300に搬送し、取り込み順「#5〜#2」の4枚の紙幣が収納カセット300に収納されることになる。かかる搬送の結果、収納カセット300には異方向紙幣を含む紙幣が収納され、紙幣収納部234、236、238には正方向紙幣のみが収納されることになる。
このように、本実施例に係る貨幣処理装置である釣銭機200は、収納カセット300又は紙幣受入部220から繰り出された貨幣の方向を識別部232により識別する。そして、紙幣を補充する場合には、識別された方向が指定方向と異なる異方向紙幣を紙幣取出口222aから払い出し、識別された方向が指定方向と一致する正方向紙幣を紙幣収納部234、236、238に収納する。一方、紙幣を入金する場合には、正方向紙幣であるか異方向紙幣であるかを問わず紙幣収納部234、236、238に収納する。このため、釣銭機200内部に補充又は入金される紙幣の方向を効率良く揃えることができる。
また、入金後、紙幣収納部234、236、238に重畳して収納された紙幣に異方向紙幣が含まれている場合には、最先に繰り出される紙幣から異方向紙幣までを収納カセット300に移動させるので、紙幣収納部234、236、238には正方向紙幣が選択的に収納された状態となる。釣銭の出金は紙幣収納部234、236、238から行われるため、釣銭としては正方向紙幣のみを出金することが可能である。
<釣銭機200の構成>
次に、釣銭機200の詳細な構成について図4〜図8を用いて説明する。図4等に示すように、本実施例による釣銭機200は、上下に並ぶよう配置された硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280と、これらの硬貨処理ユニット250や包装硬貨収納ユニット280の隣に並ぶよう配置された紙幣処理ユニット210とを備えており、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250の上方にはPOSレジスタ290が載置される。紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行う。また、包装硬貨収納ユニット280は、各金種の包装硬貨を取り出し可能に収納する。また、POSレジスタ290は、釣銭機200の管理を行う管理装置として用いられる。
まず、紙幣処理ユニット210の構成について図4及び図5を用いて具体的に説明する。図4及び図5に示すように、紙幣処理ユニット210は、略直方体形状の筐体212と、筐体212の前面側に設けられた紙幣受入部220と、筐体212の前面側において紙幣受入部220の下方に設けられた紙幣払出部222と、筐体212の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部230と、筐体212の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部234、236、238とを備えている。なお、図5において、筐体212の右側の側面が紙幣処理ユニット210の手前側の面であり、図5における左向きの方向が紙幣処理ユニット210の奥行き方向である。
図5に示すように、搬送部230は、筐体212の中央位置に配置された周回搬送部230a及び複数の接続搬送部230bから構成されている。また、紙幣受入部220、紙幣払出部222、出金リジェクト部224、収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238が、それぞれ周回搬送部230aを取り囲むよう配置されている。
また、図5に示すように、複数の接続搬送部230bの各々により、紙幣受入部220、紙幣払出部222、出金リジェクト部224、カセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238の各々と、周回搬送部230aとの間がそれぞれ接続される。また、周回搬送部230aには識別部232が設けられており、この識別部232は、周回搬送部230aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、方向(表裏及び天地)、搬送状態等の識別を行う。
周回搬送部230aは、図5における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができる。また、搬送部230において、周回搬送部230aと各接続搬送部230bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部230aに沿って配置されている。
図4及び図5に示すように、筐体212の前面には、紙幣受入部220の紙幣受入口220aと、紙幣払出部222の紙幣取出口222aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部226の前面側には扉226aが設けられており、この扉226aを開くことにより収納カセット300をカセット装着部226に装着させたり、このカセット装着部226から収納カセット300を取り出したりすることができる。
また、図8に示すように、カセット装着部226には、当該カセット装着部226に装着された収納カセット300に設けられているICタグ304に様々な情報を書き込む書込部228及び当該ICタグ304から様々な情報を読み取る読取部229がそれぞれ設けられている。
紙幣受入部220には紙幣繰出機構221が設けられており、紙幣受入口220aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると、紙幣繰出機構221が駆動されることにより紙幣が接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
紙幣払出部222は、各紙幣収納部234、236、238から周回搬送部230aに繰り出された紙幣を紙幣取出口222aにより筐体212の外部へ放出するよう構成されている。
出金リジェクト部224は、出金処理時において各紙幣収納部234、236、238から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部232で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部220から筐体212の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部232で識別することができない紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部222に返却される。
各紙幣収納部234、236、238は、識別部232の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。これらの紙幣収納部234、236、238には、紙幣処理ユニット210に入金された売上金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納される。例えば、紙幣収納部234には千円札が収納され、紙幣収納部236には二千円札及び五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部238には一万円札が収納される。また、各紙幣収納部234、236、238にはそれぞれ紙幣繰出機構235、237、239が設けられており、これらの紙幣収納部234、236、238に収納されている紙幣は、各紙幣繰出機構235、237、239により接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
次に、硬貨処理ユニット250の構成について説明する。図4及び図6に示すように、硬貨処理ユニット250は、略直方体形状の筐体251と、筐体251の前面側に設けられた硬貨受入部252と、筐体251の前面側において硬貨受入部252の下方に設けられた硬貨払出部266と、筐体251の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部260とを備えている。
硬貨受入部252は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体251内に取り込む。具体的には、硬貨受入部252には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構253(図8参照)が設けられており、硬貨受入部252に受け入れられた硬貨を検知すると、この硬貨繰出機構253が駆動されることにより当該硬貨繰出機構253によって硬貨が筐体251の内部に1枚ずつ繰り出される。また、図6に示すように、硬貨受入部252には、当該硬貨受入部252により筐体251の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部254が接続されている。
図6に示すように、入金搬送部254の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、方向(表裏及び天地)、搬送状態等の識別を行う識別部256と、分岐部258とがそれぞれ設けられている。分岐部258は、識別部256による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部266から払い出されるべき硬貨を入金搬送部254から分岐させて出金搬送部262へ案内する。
一方、正常硬貨等の筐体251内に収納されるべき硬貨は入金搬送部254により各収納繰出部260へ搬送される。収納繰出部260は、硬貨を金種別に収納するとともに、収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。例えば、日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部260が設けられており、入金搬送部254の上流側(すなわち、図6における下側)から低額順に各収納繰出部260に硬貨が金種毎に収納される。また、収納繰出部260には、当該収納繰出部260に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部262に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部262は、収納繰出部260から繰り出された硬貨を硬貨払出部266へ搬送する。また、出金搬送部262は、分岐部258により入金搬送部254から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部266へ搬送する。
次に、包装硬貨収納ユニット280の構成について具体的に説明する。図4及び図7に示すように、包装硬貨収納ユニット280は、手前側の側面が開口している略直方体形状の筐体281と、筐体281内に収容可能であるとともに当該筐体281から手前側に引き出し可能な収納ドロア282とを備えており、収納ドロア282には各金種の包装硬貨が例えば2列で収納される(図7において、収納ドロア282に収納された各金種の包装硬貨を斜線で示している)。
ここで、収納ドロア282には、包装硬貨を1本ずつ収納する収納部(ポケット)が複数個形成されており、各収納部に収納される包装硬貨の金種毎の収納本数及び位置が予め設定されている。具体的には、図7において参照符号Aで示す領域には8本の100円の包装硬貨が収納可能であり、参照符号Bで示す領域には1本の500円の包装硬貨が収納可能であり、参照符号Cで示す領域には1本の50円の包装硬貨が収納可能である。また、図7において参照符号Dで示す領域には6本の10円の包装硬貨が収納可能であり、参照符号Eで示す領域には4本の1円の包装硬貨が収納可能であり、参照符号Fで示す領域には1本の5円の包装硬貨が収納可能である。
また、図8に示すように、包装硬貨収納ユニット280の筐体281の内部には、収納ドロア282が筐体281に完全に収容されたときに当該収納ドロア282を筐体281内にロックするためのロック機構286が設けられている。ここで、ロック機構286が収納ドロア282を筐体281の内部にロックしたときには、この収納ドロア282を筐体281から手前側に引き出すことができなくなり、よって収納ドロア282から包装硬貨を取り出すことができなくなる。
また、包装硬貨収納ユニット280の筐体281における前面開口の近傍には、収納ドロア282が筐体281から手前側に引き出されたり筐体281の内部に戻されたりする際に、当該収納ドロア282に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を検知する検知部284が設けられている。具体的には、図7等に示すように、検知部284は左右一対の光センサ284a及び筐体281からの収納ドロア282の引き出し量を検知するロータリエンコーダ284bを有している。
ここで、各光センサ284aは、発光素子及び受光素子を有しており、発光素子から発せられた光は、包装硬貨収納ユニット280の幅方向(図7における左右方向)に延びる光軸を通って受光素子に送られる。そして、収納ドロア282が筐体281の内部に完全に収容されていたり当該収納ドロア282が筐体281から完全に引き出されたりしているときには、各光センサ284aにおいて発光素子から発せられた光は受光素子により受けられる。一方、収納ドロア282が筐体281から手前側に引き出されたり筐体281の内部に戻されたりする際に、発光素子から発せられた光が収納ドロア282内に収納された包装硬貨により遮られることにより受光素子に届かなくなり、このことにより包装硬貨の孔の有無や直径の大きさが検知される。
前述したように、収納ドロア282において、収納される包装硬貨の金種毎の収納本数及び位置が予め設定されているため、光センサ284aにより検知された包装硬貨の孔の有無や直径の大きさ、ならびにロータリエンコーダ284bにより検知された筐体281からの収納ドロア282の引き出し量に基づいて、収納ドロア282に収納された包装硬貨の金種毎の本数、及び各包装硬貨が収納ドロア282内の所定の位置に正しく収納されているか否か等が検知される。
なお、本実施例による包装硬貨収納ユニット280は上記の構成のものに限定されることはない。他の構成の包装硬貨収納ユニット280において、収納ドロア282に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を検知する検知部284として、収納ドロア282の収納部に収納される包装硬貨の有無及び金種(材質)を検出するセンサを全ての収納部に配置するような方式のものが用いられてもよい。
<POSレジスタの構成>
次に、POSレジスタ290の構成について具体的に説明する。図4及び図8に示すように、POSレジスタ290は、POS制御部291と、POS制御部291にそれぞれ接続されたモニタ等の表示部293及び操作キー等の操作部294とを備えている。
操作部294は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部291に対して様々な指令を与えることができる。また、表示部293は、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、POSレジスタ290には、顧客が視認可能な追加の表示部293aが設けられており、様々な情報を表示部293に表示させる代わりに、あるいは表示部293における表示に加えて、追加の表示部293aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。
また、POSレジスタ290には、カードリーダ296及び印字部297が設けられている(図8参照、図4では図示せず)。カードリーダ296は、レジ担当者等の操作者が携帯するIDカードを読み取ることにより、当該操作者のIDや権限等に関する情報を取得する。また、印字部297は、例えばプリンタから構成され、売上レシートや集計レシートに加えて、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシートに印字する。
<釣銭機200の制御系の構成>
次に、釣銭機200の制御系の構成について図8を用いて説明する。図8に示すように、硬貨処理ユニット250は、上位制御部202及び硬貨制御部250aを有しており、これらの上位制御部202及び硬貨制御部250aは互いに接続されている。
また、紙幣処理ユニット210は紙幣制御部210aを有しており、この紙幣制御部210aは硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、包装硬貨収納ユニット280は包装硬貨制御部280aを有しており、この包装硬貨制御部280aは硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、POSレジスタ290に設けられたPOS制御部291も硬貨処理ユニット250の上位制御部202に接続されている。また、図示していないが、POSレジスタ290のPOS制御部291は店舗サーバ等の上位端末と通信可能に接続されている。
図8に示すように、硬貨処理ユニット250の上位制御部202には、紙幣処理ユニット210、包装硬貨収納ユニット280及びPOSレジスタ290の各々と通信を行うための通信部203、操作表示部204、搬送制御部205及び記憶部208がそれぞれ接続されている。
この上位制御部202は、通信部203により、紙幣処理ユニット210の紙幣制御部210a、包装硬貨収納ユニット280の包装硬貨制御部280a及びPOSレジスタ290のPOS制御部291に対して信号の送受信を行う。
操作表示部204は、硬貨処理ユニット250の筐体251の上面に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット210、硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部204に表示される。このような操作表示部204において、操作者は、操作画面における操作ボタンに指を触れることによって、上位制御部202に様々な指令を入力することができる。
搬送制御部205は、既に説明したように、釣銭の補充を行う場合には、収納カセット300又は紙幣受入部220から紙幣を一枚ずつ繰り出し、識別部232による識別結果に応じて、異方向紙幣を紙幣取出口222aから払い出し、正方向紙幣を紙幣収納部234、236、238に収納する。
また、取引時に紙幣を入金する場合には、搬送制御部205は、紙幣受入部220から紙幣を一枚ずつ繰り出し、取り込み順と方向の識別結果とを対応付けて収納データ208aに格納した上で、紙幣収納部234、236、238に搬送する。そして、入金にかかる取引の完了後、搬送制御部205は収納データ208aを参照し、紙幣収納部234、236、238に収納された紙幣に異方向紙幣が含まれている場合には、最先に繰り出される紙幣から異方向紙幣までを収納カセット300に移動させる。
また、搬送制御部205は、収納カセット300から貨幣を繰り出して収納した場合に、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部229により読み取られた出金データに示された金種毎の枚数と、収納カセット300から繰り出した貨幣の金種別の枚数とを比較する。
さらに、収納カセット300に収納されず、貨幣入出金機から現金で出金された釣銭補充金に関する情報がICタグ304から読み取った出金データに含まれていた場合には、搬送制御部205は、現金での補充を受け付けるとともに、補充された貨幣の金種別の枚数をICタグ304から出金データと比較する。
例えば、包装硬貨については、包装硬貨収納ユニット280の収納ドロア282への包装硬貨の金種毎の補充本数を検知部284により検知し、出金データに示された包装硬貨の金種毎の本数と一致するか否かを判定することになる。
出金データに示された金種別の枚数と、釣銭機200に補充された貨幣の金種別枚数とが一致したならば、搬送制御部205は、記憶部208に記憶された在高を更新し、釣銭機200を用いた商品の精算処理が可能な状態に復帰する。なお、不一致となった場合には、操作表示部204への表示出力などにより報知を行う。この場合には、釣銭機200を用いた商品の精算処理を停止させてもよい。また、釣銭機200が受け付けた貨幣の金種別枚数に基づいて在高を更新し、商品の精算処理が可能な状態に復帰してもよい。
記憶部208には、紙幣処理ユニット210、硬貨処理ユニット250及び包装硬貨収納ユニット280の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、釣銭機200における貨幣の処理履歴等の様々な情報が記憶される。さらに、記憶部208は、取り込み順と方向の識別結果とを対応付けた収納データ208aを記憶する。
また、紙幣処理ユニット210の紙幣制御部210aには、通信部240、紙幣繰出機構221、搬送部230、識別部232、紙幣繰出機構235、237、239、カセット装着部226、書込部228、読取部229等が接続されており、識別部232による紙幣の識別情報や、収納カセット300に設けられたICタグ304から読取部229により読み取られた情報が紙幣制御部210aに送られるとともに、紙幣制御部210aは、紙幣処理ユニット210の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。また、紙幣制御部210aは、通信部240により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202に対して信号の送受信を行う。
また、硬貨処理ユニット250の硬貨制御部250aには、硬貨繰出機構253、入金搬送部254、識別部256、分岐部258、各収納繰出部260及び出金搬送部262等が接続されており、識別部256による硬貨の識別情報が硬貨制御部250aに送られるとともに、硬貨制御部250aは硬貨処理ユニット250の各構成部位に指令信号を送ることにより、これらの構成部位の制御を行う。
また、包装硬貨収納ユニット280の包装硬貨制御部280aには、通信部289、検知部284、ロック機構286及び記憶部288等が接続されており、検知部284による包装硬貨の検知情報が包装硬貨制御部280aに送られるとともに、包装硬貨制御部280aはロック機構286に指令信号を送ることにより当該ロック機構286の制御を行う。また、包装硬貨制御部280aは、通信部289により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202に対して信号の送受信を行う。また、包装硬貨収納ユニット280の収納ドロア282に収納されている包装硬貨の在高の情報等が記憶部288に記憶される。
また、POSレジスタ290のPOS制御部291には、表示部293、操作部294、記憶部295、通信部292、カードリーダ296、印字部297等がそれぞれ通信可能に接続されており、操作者により操作部294に入力された指令が当該操作部294からPOS制御部291に送られたり、カードリーダ296により読み取られたレジ担当者等の操作者のIDカードに係る情報がPOS制御部291に送られる。
POS制御部291は、表示部293に指令を送ることにより、当該表示部293に様々な情報を表示させる。なお、POS制御部291は、表示部293に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部293における表示に加えて、追加の表示部293aにおいて表示を行わせることもできる。
また、POS制御部291は、印字部297に指令を送ることにより、当該印字部297により様々な情報をレシート等に印字させる。また、POS制御部291は、通信部292により、硬貨処理ユニット250の上位制御部202や店舗サーバ等の上位端末(図示せず)に対して信号の送受信を行う。
記憶部295には、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250等から送信された、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250における硬貨や紙幣の処理状況や、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250、包装硬貨収納ユニット280の内部に収納されている硬貨や紙幣、包装硬貨の在高等の様々な情報が記憶される。
<紙幣収納の処理手順>
次に、釣銭機200による紙幣収納の処理手順について説明する。図9は、釣銭機200による紙幣収納の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、収納カセット300の装着を検知した場合、若しくは紙幣受入部220への紙幣の投入を受け付けた場合に開始する。
処理が開始されると、釣銭機200の搬送制御部205は、補充を開始するか否かを判定する(ステップS101)。例えば、補充開始を示す操作を受け付けた場合には、補充を開始すると判定することになる。また、収納カセット300の装着時には、自動的に補充を開始すると判定してもよい。
補充を開始すると判定したならば(ステップS101;Yes)、搬送制御部205は、収納カセット300又は紙幣受入部220から紙幣を一枚繰り出す(ステップS102)。繰り出された紙幣は、識別部232により方向の識別が行われる(ステップS103)。
識別の結果、正方向紙幣であるならば(ステップS104;Yes)、搬送制御部205は、金種に応じた紙幣収納部234、236、238に正方向紙幣を搬送して収納する(ステップS105)。一方、異方向紙幣であるならば(ステップS104;No)、搬送制御部205は、紙幣を紙幣払出部222に搬送して紙幣取出口222aから払い出す(ステップS106)。
ステップS105又はステップS106の後、搬送制御部205は、全ての紙幣を繰り出し済であるか否かを判定する(ステップS107)。繰り出していない紙幣が収納カセット300又は紙幣受入部220に残っていれば(ステップS107;No)、ステップS102に移行し、次の紙幣を繰り出す。そして、全ての紙幣を繰り出したならば(ステップS107;Yes)、処理を終了する。
補充開始と判定しない場合(ステップS101;No)、搬送制御部205は、入金を開始する否かを判定する(ステップS108)。例えば、入金開始を示す操作を受け付けた場合には、入金を開始すると判定することになる。また、POSレジスタ290から取引中であることを示す信号を受け付けている場合には、入金を開始すると判定してもよい。
入金を開始すると判定しなければ(ステップS108;No)、搬送制御部205は、そのまま処理を終了する。入金を開始すると判定したならば(ステップS108;Yes)、搬送制御部205は、紙幣受入部220から紙幣を一枚繰り出す(ステップS109)。繰り出された紙幣は、識別部232により方向の識別が行われる(ステップS110)。
搬送制御部205は、取り込み順と方向の識別結果とを対応付けて収納データ208aを生成し、記憶部208に記憶させる(ステップS111)。その後、金種に応じた紙幣収納部234、236、238に紙幣を搬送して収納する(ステップS112)
ステップS112の後、搬送制御部205は、全ての紙幣を繰り出し済であるか否かを判定する(ステップS113)。繰り出していない紙幣が紙幣受入部220に残っていれば(ステップS113;No)、ステップS109に移行し、次の紙幣を繰り出す。そして、全ての紙幣を繰り出したならば(ステップS113;Yes)、処理を終了する。
次に、取引完了後の紙幣の搬送処理について説明する。図10は、取引完了後の紙幣の搬送処理の処理手順を示すフローチャートである。搬送制御部205は、まず、取引が完了したか否かを判定する(ステップS201)。その結果、取引が完了していなければ(ステップS201;No)、そのまま処理を終了する。
取引が完了したならば(ステップS201;Yes)、搬送制御部205は、記憶部208から収納データ208aを読み出す(ステップS202)。搬送制御部205は、読み出した収納データ208aを参照し、紙幣収納部234、236、238に異方向紙幣が収納されているか否かを判定する(ステップS203)。その結果、紙幣収納部234、236、238に異方向紙幣が収納されていなければ(ステップS203;No)、そのまま処理を終了する。
紙幣収納部234、236、238に異方向紙幣が収納されているならば(ステップS203;Yes)、搬送制御部205は、収納カセット300に搬送すべき紙幣の枚数を特定する(ステップS204)。具体的には、最先に出金される紙幣から、異方向紙幣のうち最先に出金される紙幣と最も離隔した位置に所在する紙幣までの紙幣の枚数を搬送すべき紙幣の枚数として特定する。なお、収納データ208aは紙幣収納部234、236、238についてそれぞれ設けられており、複数の紙幣収納部に異方向紙幣が収納されていれば、紙幣収納部ごとに搬送すべき紙幣の枚数を特定することになる。搬送制御部205は、特定した枚数の紙幣を紙幣収納部234、236、238から収納カセット300に搬送し(ステップS205)、処理を終了する。
<入出金の変形例>
次に、入出金の変形例について説明する。図11は、入出金の変形例の説明図である。図1〜図10までの説明では、入金完了後に異方向紙幣を収納カセット300に搬送する構成を示したが、出金時に異方向紙幣を収納カセット300に搬送してもよい。また、この場合には、入金時における紙幣の方向の記憶は必須ではない。
具体的には、まず、図11(b1)に示すように、紙幣受入口220aから紙幣受入部220に投入された紙幣を一枚ずつ繰り出し、金種に応じた紙幣収納部234、236、238に搬送して収納する。
その後、釣銭の出金が発生したときに、図11(b2)に示すように出金のために繰り出した紙幣の方向を識別部232により識別し、異方向紙幣であれば収納カセット300に搬送して収納し、正方向紙幣であれば紙幣払出部222に搬送して払い出す。この変形例であっても、釣銭として払い出される紙幣は全て正方向紙幣となり、異方向紙幣を収納カセット300に収納することができる。
なお、図11では、入金時における紙幣の方向の記憶を行わないこととしたが、入金時には図3などと同様に紙幣の方向を収納データ208aとして記憶しておき、出金時に収納データ208aを参照して収納カセット300に搬送するか紙幣払出部222に搬送するかを決定してもよい。
また、入金に係る取引の完了後の異方向紙幣の搬送を行わず、出金時の搬送のみで異方向紙幣を収納カセット300に搬送してもよいが、入金に係る取引の完了後の異方向紙幣の搬送と出金時の異方向紙幣の搬送を組み合わせて用いてもよい。
例えば、取引が連続して発生し、取引完了後の異方向紙幣の搬送を行うことなく次の取引を開始した場合には、釣銭の出金時に異方向紙幣の搬送を行い、一連の取引が完了した場合に取引完了後の異方向紙幣の搬送を行うことができる。
<紙幣回収の処理>
次に、紙幣収納部からの紙幣の回収について説明する。図12は、紙幣収納部からの紙幣の回収についての説明図である。店舗の閉店時などには、紙幣収納部234、236、238に収納された紙幣を収納カセット300に移動させ、売上金として回収することになる。
釣銭機200は、紙幣収納部234、236、238を回収する場合に、紙幣の方向を問わずに全て収納カセット300に移動させるか、特定方向の紙幣を選択的に収納カセット300に移動させるかを切り替えることができる。
図12(c1)は、紙幣の方向を問わずに全て収納カセット300に移動させる場合を示している。この場合には、紙幣収納部234、236、238に正方向紙幣と異方向紙幣とが混在していれば、収納カセット300においても正方向紙幣と異方向紙幣が混在した状態で回収が行われることになる。
図12(c2)は、異方向紙幣を選択的に収納カセット300に移動させる場合を示している。この場合には、紙幣収納部234、236、238から繰り出した紙幣の方向を識別部232により識別し、異方向紙幣(#2)は収納カセット300に搬送し、正方向紙幣(#1、#3〜#5)は紙幣払出部222に搬送する。
図11(b2)に示した出金時の異方向紙幣の搬送を用いていれば、収納カセット300には異方向紙幣のみが収納されているため、異方向紙幣を選択的に収納カセット300に搬送することで、収納カセット300の紙幣を異方向紙幣で揃えることができる。また、操作者は紙幣取出口222aから取り出した正方向紙幣を一括して反転し、紙幣受入口220aに投入することで、異方向紙幣として収納カセット300に収納することができる。ここで、指定方向として表裏又は天地の一方のみを指定している場合には、収納カセット300に収納された異方向紙幣を一括して反転すれば、全て正方向紙幣とすることが可能である。
なお、図12(c2)では、回収のための搬送中に識別部232による識別を行う場合を示したが、収納データ208aを参照して収納カセット300に搬送するか紙幣払出部222に搬送するかを決定してもよい。
<入金完了後の搬送の変形例>
次に、入金完了後の搬送の変形例について説明する。図13は、入金完了後の搬送の変形例の説明図である。図1〜図10までの説明では、入金完了後に異方向紙幣を収納カセット300に搬送する構成を示したが、入金完了後に異方向紙幣を出金リジェクト部224に搬送して集積してもよい。
具体的には、図3(b1)に示した入金の完了後、図13に示すように、搬送制御部206が収納データ208aを参照し、異方向紙幣が存在するならば、異方向紙幣が全て出金リジェクト部224に搬送されるまで、紙幣収納部234、236、238に収納された紙幣を一枚ずつ繰り出して出金リジェクト部224に搬送する。
図13では、異方向紙幣を取り込んだ後、取り込み順「#3〜#5」の3枚の紙幣が取り込まれている。このため、取り込み順「#5」の紙幣から出金リジェクト部224に搬送し、取り込み順「#5〜#2」の4枚の紙幣が出金リジェクト部224に集積されることになる。
搬送制御部206は、出金リジェクト部224に集積された紙幣の数が所定数に達した場合に、操作者に報知を行う。かかる報知を受けた操作者は、出金リジェクト部224から紙幣を取り出し、方向を揃えて紙幣受入部220に投入することで、正方向紙幣として紙幣収納部234、236、238に収納することができる。
なお、図13では、入金完了後の異方向紙幣の搬送先として出金リジェクト部224を用いる場合を示したが、出金時の異方向紙幣の搬送先として出金リジェクト部224を用いることも可能である。
<一時保留部を用いる変形例>
図14は、一時保留部を用いる場合の入金についての説明図である。図14に示した構成では、釣銭機200は、入金された紙幣を一時的に収納する一時保留部234aを有している。この構成では、取引時に入金された紙幣は、まず、一時保留部234aに収納され、入金の確定前にキャンセル操作が行われると、一時保留部234aに収納された紙幣は全て紙幣払出部222に搬送される。そして、入金の確定が行われた場合に、各紙幣は対応する紙幣収納部234、236,238に収納される。その後の処理については、図3、図11、図13などに示した処理と同様に行えばよい。
上述してきたように、本実施例に係る貨幣処理装置である釣銭機200は、収納カセット300又は紙幣受入部220から繰り出された貨幣の方向を識別部232により識別する。そして、紙幣を補充する場合には、識別された方向が指定方向と異なる異方向紙幣を紙幣取出口222aから払い出し、識別された方向が指定方向と一致する正方向紙幣を紙幣収納部234、236、238に収納する。一方、紙幣を入金する場合には、正方向紙幣であるか異方向紙幣であるかを問わず紙幣収納部234、236、238に収納する。このため、釣銭機200内部に補充又は入金される紙幣の方向を効率良く揃えることができる。
また、入金後、紙幣収納部234、236、238に重畳して収納された紙幣に異方向紙幣が含まれている場合には、最先に繰り出される紙幣から異方向紙幣までを収納カセット300に移動させるので、紙幣収納部234、236、238には正方向紙幣が選択的に収納された状態となる。釣銭の出金は紙幣収納部234、236、238から行われるため、釣銭としては正方向紙幣のみを出金することが可能である。
なお、上述した貨幣処理システム、及びこのような貨幣処理システムに設けられた貨幣処理装置や釣銭機は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、入金時に異方向紙幣を直接収納カセット300に搬送し、正方向紙幣を紙幣収納部234、236、238に搬送するよう制御してもよい。また、入金時に異方向紙幣が紙幣収納部234、236、238に収納された時点で紙幣の繰り出しを停止し、異方向紙幣を紙幣収納部234、236、238から収納カセット300に搬送した上で紙幣の繰り出しを再開してもよい。
また、上記の実施例では、本発明を釣銭機に適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の貨幣処理装置に適用することができる。