JP4105876B2 - 方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備および連続熱処理方法 - Google Patents

方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備および連続熱処理方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、方向性珪素鋼板の製造、特に板厚の薄い方向性珪素鋼鈑の製造において、脱炭焼鈍後のストリップに焼鈍分離剤の塗布・乾燥をストリップ全長にわたり、長手方向に、均質に且つ安定して行うことが可能な連続熱処理設備および連続熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性珪素鋼板は、磁気特性が優れていることの他に、良好なフォルステライト被膜を有することが重要である。方向性珪素鋼板の製造では、方向性珪素鋼板用スラブを、例えば1300〜1400℃に加熱して、インヒビターを形成する成分Al,N,Mn,S等を完全に固溶させ、熱延板あるいは中間冷延板にインヒビターを微細に析出させる焼鈍を行い、1回の冷間圧延後あるいは中間焼鈍を挿んだ2回以上の冷間圧延後、Cの除去、1次再結晶の形成、およびSiO2 を含む酸化層の形成を目的とする、いわゆる脱炭焼鈍を施すのが一般的である。
次いで、MgOを主成分とする焼鈍分離剤をストリップに塗布した後、2次再結晶、不純物の除去、およびフォルステライト被膜形成を目的とする仕上焼鈍が行われる。
【0003】
図1に、方向性珪素鋼の冷延板を脱炭焼鈍(焼鈍分離剤の塗布を含む)するための代表的な従来技術による連続熱処理設備の準概略的な等角投影図を、図2に、図1の乾燥炉出側〜テンションリールまでの詳細な等角投影図を示す。
【0004】
このようなラインは、実際には図示したものよりもっと複雑である。例えば、炉部7は一般的に加熱領域、均熱領域、および冷却領域からなる。また焼鈍分離剤塗布装置9は、コータ、塗布液循環装置、塗布液作液装置等から構成されているし、乾燥装置11も、加熱領域、均熱領域、および冷却領域からなる。
【0005】
その様なラインの主な要素は、冷間圧延加工された方向性珪素鋼のコイル状のストリップを装荷して、そこから巻出していくためのペイオフリール1,2、ストリップの先尾端部を切断して溶接の準備をするための入側剪断機3、連続的にストリップ同士の端部を結合するための溶接機4、コイルの溶接準備および溶接中に入側洗浄装置6・炉部7を減速・停止することなく通板可能とするストリップをストレージする入側ストレージルーパー5、ストリップの表面を洗浄し、圧延油や鉄分等の汚れを除去するための入側洗浄装置6、ストリップを脱炭焼鈍するために用いられる加熱・均熱・冷却領域からなる炉部7、コイルの再巻きつけが完了し出側剪断機13が作動している時に、コイルが入側洗浄装置6・炉部7を減速・停止することなく通板可能とするストリップをストレージする出側ストレージルーパー8、炉部から出た脱炭焼鈍されたストリップ表面にMgOを主成分とするスラリー状の焼鈍分離剤を塗布するための焼鈍分離剤塗布装置9、ストリップ表面に塗布されたスラリー状の焼鈍分離剤の乾燥装置11、テンションリールでのストリップ巻取り単位に合わせストリップを分割するとともに必要なサンプルを切断する出側剪断機13、および、ストリップをコイル状に再巻きつけを行うためのテンションリール14,15とからなっている。
【0006】
炉部7の前後のストリップ60の張力は、テンションメータ41,42で測定され、乾燥装置11でのストリップ60の張力は、テンションメータ43で測定され、通過するブライドルロール21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a〜dにフィードバックされ、ブライドル前後のストリップ張力が確保されている。
【0007】
焼鈍分離剤塗布装置9でスラリー状の焼鈍分離剤を塗布されたストリップは、焼鈍分離剤が乾燥完了までロール等へ接触することは許されないので、乾燥炉11を経てサポートロール36まで『カテナリー通板』、あるいは『カテナリー (前半)+浮上通板(後半)』により、ロールに接触することなく搬送され、デフレクターピンチロール32、33を経てテンションリール14,15に再巻きつけされる。
【0008】
このとき、次工程の仕上焼鈍に備えて、ストリップエッジ位置検出センサー51でストリップエッジ位置を監視しながら、それに応じてテンションリール14,15を板幅方向移動機構52,53でシフトさせ、仕上焼鈍時の下側に位置するストリップエッジを揃えている。このとき、ピンチロール31、デフレクターピンチロール32,33の上ロールは開放(上側)され、ストリップとの接触は最小とされている(ピンチロール31には非接触)。
【0009】
尚、焼鈍分離剤は乾燥後もロール等に接触すると剥離しやすく、仕上焼鈍での焼きつきという致命的なトラブルを発生するので、サポートロール36に接触後、テンションリール14,15に再巻きつけするまでのロールは必要最小限とされている。
【0010】
出側のストリップが所定の重量(一般的には、ペイオフリール1,2に装荷されるストリップ単位)に達すると、焼鈍分離剤塗布装置9・乾燥装置に位置するストリップの通板速度(以後、ストリップ出側通板速度と呼ぶ)は、減速され (通常30mpm前後)、ピンチロール31、デフレクタピンチロール32,33の上ロールを下降させ、ストリップをピンチした後、出側剪断機13でストリップを分割する。同時に必要なサンプルも切断し、採取する。
【0011】
今、分割点より上流の先行ストリップをテンションリール14で再巻きつけをしているとすると、再巻きつけを完了すると、分割点より下流の後行ストリップは、デフレクタピンチロール32を直進し、デフレクタピンチロール33を経てテンションリール15に再巻きつけが再開される。
【0012】
後行ストリップがテンションリール15に巻きつけられ張力を確立すると、出側ストリップの通板速度を出側ストレージルーパー回復速度(通常炉部通板速度+20mpm程度)まで増速し、ピンチロール31、デフレクターピンチロール32,33の上ロールは開放(上昇)され、再巻きつけが継続される。出側ストレージルーパー8が回復した時点で、ストリップの通板速度は減速され、炉部通板速度と同期される。テンションリール15からテンションリール14への切り替えも同様である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
これらのやり方には幾つかの欠点がある。
第1に、出側ストレージルーパーの下流に焼鈍分離剤塗布装置・乾燥装置が配置されており、テンションリール切り替え時の焼鈍分離剤塗布・乾燥装置でのストリップの停止を回避する手段として、テンションリールの複数化が採用されているが、出側剪断機から距離が離れている側のテンションリールでの再巻きつけにおいては、ストリップ先端通板時に先端のたくれ、突っかけ等のトラブルが頻発し、その結果、焼鈍分離剤塗布・乾燥装置内でストリップを停止させ、大きなトラブルとなっている。特に、板厚が0.27mm未満の薄いストリップでのトラブル発生頻度は大きく、この板厚領域での安定した通板は困難である。
【0014】
第2に、仮に順調にテンションリール切り替えが行われたとしても、テンションリール切り替え時の焼鈍分離剤塗布及び乾燥装置でのストリップの通板速度変化が大きく、例えば、炉部通板速度150mpmでは出側通板速度の『(最大速度(出側ストレージルーパー回復速度)/最小速度(テンションリール切り替え速度)』比率は6倍にも達し、その結果として、焼鈍分離剤の塗布量の変化、および乾燥炉装置での焼鈍分離剤の主成分であるMgOの水和量の変化に繋がり、仕上焼鈍におけるフォルステライトの形成に悪影響を及ぼし、被膜不良を招いている。ストリップの板厚が薄くなるにつれ、被膜不良のレベル、および不良率はますます大きくなり、板厚が0.27mm未満のストリップでは重大な問題となる。
【0015】
尚、テンションリール切り替え時に低速にせざるを得ないのは、焼鈍され座屈しやすいストリップは、テーブル上をピンチロールなしに高速通板することが難しいからである。特に板厚の薄いストリップで顕著である。
【0016】
このように、方向性珪素鋼板の製造において、特に板厚の薄い方向性珪素鋼鈑の製造において、高い生産性で、焼鈍分離剤の塗布・乾燥をストリップ全長にわたり、均質に且つ安定して行うことが困難であった。
【0017】
本発明は、方向性珪素鋼板の製造において、冷延板の脱炭焼鈍後のスラリー状の焼鈍分離剤塗布・乾燥後に、ストリップの分割を高速の走間で行うとともに、カローゼル式のテンションリールに再巻きつけを行うことにより、テンションリール切り替えときのトラブルを解消するとともに、ストリップ長手方向により均質な安定した焼鈍分離剤塗布・乾燥を行い、高い生産性と品質、および安定製造を可能とする方向性珪素板の冷延板の連続熱処理設備と方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は次の通りである。
(1) 方向性珪素鋼の冷延板を連続熱処理する設備において、焼鈍分離剤塗布装置・乾燥炉の下流に、前記焼鈍分離剤を塗布されたストリップの幅方向のシフトを抑制するためのストリップに進行方向に曲率をつけて面剛性を高める抑え装置と、ストリップを分割するとともにサンプルを切断する出側剪断装置と、コイル状に再巻きつけを行うカローゼル式テンションリールとを含み、前記抑え装置は、ストリップの進行方向に垂直で、互いに平行な2本のロールと、前記ストリップを挿んで、前記2本のロールと非接触であるとともに平行であり、かつ、ストリップ進行方向からみて前記2本のロールの中間に位置する1本のロールからなる3本のロールから構成され、該2本のロールの中間に位置する1本のロールは、ストリップに垂直方向に位置決め機能を有する移動機能を有することを特徴とする方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備。
(2) 前記出側剪断装置は、高速走間剪断機とすることを特徴とする前記(1)に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備。
(3) 前記高速走間剪断機は、ヘリカル型ドラム剪断機とすることを特徴とする前記(2)に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備。
【0019】
(4) 方向性珪素鋼の冷延板を連続熱処理する方法において、表面に焼鈍分離剤を塗布・乾燥されたストリップに進行方向に曲率をつけて面剛性を高め、ストリップ板幅方向のシフトを抑制する工程と、ストリップを分割し、サンプルを採取する工程と、カローゼル式テンションリールにコイル状に再巻きつけをする工程とを含み、前記ストリップ板幅方向のシフトを抑制する工程は、ストリップの進行方向に垂直な互いに平行な2本のロールと、前記2本のロールと平行かつ非接触な1本のロールの間にストリップを挿みこみ、該2本のロールと平行かつ非接触な1本のロールは、ストリップの板幅方向のシフト量に応じて、ストリップに垂直に移動させることを特徴とする方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理方法。
(5) 前記ストリップの剪断およびストリップ分割は、高速で走間剪断することを特徴とする前記(4)に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理方法。
(6) ストリップの剪断およびストリップの分割は、レイキ型で剪断することを特徴とする前記(5)に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を図に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図3に、本発明の1つの実施例である方向性珪素鋼の冷延板を脱炭焼鈍(焼鈍分離剤の塗布を含む)するための連続熱処理設備の準概略的な等角投影図を、図4に、図3の乾燥炉出側〜カローゼル式テンションリールまでの詳細な等角投影図を示す。
【0021】
ラインの主な要素は、冷間圧延加工された方向性珪素鋼のコイル状のストリップを装荷して、そこから巻出していくためのペイオフリール1、2、ストリップの先尾端部を切断して溶接のための準備をするための入側剪断機3、連続的にストリップ同士の端部を結合するための溶接機4、コイルの溶接準備および溶接中に入側洗浄装置6・炉部7を減速・停止することなく通板可能とするストリップをストレージする入側ストレージルーパー5、ストリップの表面を洗浄し、圧延油や鉄分等の汚れを除去するための入側洗浄装置6、ストリップを脱炭焼鈍するために用いられる加熱・均熱・冷却領域からなる炉部7、コイルの再巻きつけが完了し出側高速走間剪断機16が作動している時に、コイルが入側洗浄装置6・炉部7を減速・停止することなく通板可能とするストリップをストレージする出側ストレージルーパー8’、炉部から出た脱炭焼鈍されたストリップ表面にMgOを主成分とするスラリー状の焼鈍分離剤を塗布するための焼鈍分離剤塗布装置9、ストリップ表面に塗布されたスラリー状の焼鈍分離剤の乾燥装置11、ストリップの幅方向のシフトを抑制するための抑え装置55、カローゼル式テンションリール17でのテンションリールでのストリップ巻取り単位に合わせストリップの分割と必要なサンプルの切断を高速の走間で行う出側高速走間剪断機16、および、ストリップをコイル状に再巻きつけを行うためのカローゼル式テンションリール17とからなっている。
【0022】
炉部7の前後のストリップ60の張力は、テンションメータ41、42で測定され、乾燥装置11でのストリップ60の張力は、テンションメータ43で測定され、通過するブライドルロール21a、21b、22a、22b、23a、23b、24a〜dにフィードバックされ、ブライドル前後のストリップ張力が確保されている。
尚、図3、図4に示すラインのその他の部分は、図1、図2のラインと類似しており、同一の部品或いは装置については同一の符号を付けている。
【0023】
出側ストレージルーパー8’の長さは、炉部と出側でのストリップの通板速度の調整、および炉部の通板速度の異なるストリップを連続通板するときの炉部と出側の通板速度差の調整に使われることが主目的であるので、従来に比べ長さが短い。
抑え装置55は、ストリップの進行方向に垂直に、互いに平行な3本のロールから構成され、固定の2本の下ロール56,57の中間にストリップと垂直方向に位置決め機能をもつ上ロール昇降機構59を有する上ロール58からなる。この3本ロールは互いに接触することがない配置とされている。
【0024】
MgOを主成分とする焼鈍分離剤は、極めて摩擦係数が低く、デフレクタピンチロール34でのストリップの幅方向の拘束力が小さく、ストリップエッジ検出センサー51で検出されたストリップエッジの幅方向のシフトに追従させて、リール18,19をリールのストリップ幅方向移動機構により幅方向にシフトさせると、リールのシフトがデフレクタピンチロール34の上流のストリップをシフトさせる恐れがある。
【0025】
また、ストリップの通板速度が速くなると、コータロール10とデフレレクタピンチロール34の間のフリーセクションの距離が大きく、ストリップエッジ検出センサー51で検出されたストリップエッジの幅方向の移動に追従させて、リール18,19をリールのストリップ幅方向移動機構52,53により幅方向にシフトさせると、デフレクタピンチロール34を支点としてストリップを振り、ストリップエッジ位置検出センサー51の位置でのストリップエッジの位置を不安定にすることもある。
【0026】
上記の危惧に加え、カローゼル式テンションリール公転時には張力変動(ストリップ幅方向の偏りを含む)を少なからず発生し、結果としてストリップの幅方向のシフトが起こりやすく、仕上焼鈍時の下側になるストリップのエッジを揃えることがより難しくなる。
【0027】
この課題を解決する方策として、抑え装置55を設置するものであるが、抑え装置としての条件は、(1)極めて摩擦抵抗の少ないストリップの幅方向の拘束力が大きいこと、特に、板厚の薄いストリップに対して有効であること、(2)ストリップ表面に塗布乾燥されたMgOを主成分とする焼鈍分離剤に影響を与えないこと、(3)ストリップの幅方向のシフト量に応じて、ストリップの幅方向の拘束力を調整可能であることが必要である。
【0028】
上記(1)を達成する手立てとして最も有効なのは、ストリップの進行方向に曲率をつけて面剛性を高くする方案である。
上記(2)を有効に機能させる手段として、剥離性のロールが有効である。
上記(3)を実現する方法として、ストリップの進行方向の曲率を変えることが有効である。
以上のことから、並行に配置された昇降機構を保有する上部1本、および下部2本からなる3本の剥離性ロールからなる抑え装置が望ましい。
【0029】
出側高速走間剪断機16としての条件は、(1)高速、望ましくはストリップの炉部通板速度と同じ速度にて切断が可能であること(走間切断)、(2)板厚の薄いストリップを安定して切断が可能であること、望ましくは通板板厚範囲で切断刃のギャップ間隙調整が不要であること、(3)表面に付随する酸化膜をも含んで安定して切断可能であること、(4)サンプル切断が可能であることである。
上記(1)(4)を同時に満足するものとしては、低慣性型剪断機が望ましい。
上記(2)(3)を同時に満足するものとしては、切断刃にレイキのあることが必要である。
以上のことから、出側高速走間剪断機としては、ヘリカル型ドラム剪断機が望ましい。
【0030】
脱炭焼鈍後のストリップ表面は酸化層が生成しており、剪断刃の寿命が短い。ドラム式で超硬等の刃の材質改善の方案も考えられるが、板厚の薄いストリップ剪断では、クリアランスの調整が難しく、実用的でない。
【0031】
焼鈍分離剤塗布装置9でスラリー状の焼鈍分離剤を塗布されたストリップは、焼鈍分離剤が乾燥完了までロール等へ接触することは許されないので、乾燥炉11を経て抑え装置55の下ロール56まで『カテナリー通板』、あるいは『カテナリー(前半)+浮上通板(後半)』により、ロールに接触することなく搬送され、デフレクターピンチロール34を経てカローゼル式テンションリール17のリール18,19に再巻きつけされる。
【0032】
このとき、次工程の仕上焼鈍に備えて、ストリップエッジ位置検出センサー51でストリップエッジ位置を監視しながら、それに応じてリール18,19を板幅方向移動機構52、53でシフトさせ、仕上焼鈍時の下側に位置するストリップエッジを揃えている。このとき、ピンチロール31の上ロール、デフレクターピンチロール34の下ロールは開放(ピンチロールは上側、デフレクタピンチロールは下側)され、ストリップとの接触は最小とされている(ピンチロール31には非接触)。また抑え装置55の3本のロールは、ストリップに接触しながら回転している。
【0033】
尚、焼鈍分離剤は乾燥後もロール等に接触すると剥離しやすく、仕上焼鈍での焼きつきという致命的なトラブルを発生するので、抑え装置55に接触後、リール18,19に再巻きつけするまでのロールは必要最小限とされる。
【0034】
出側のストリップが所定の重量(一般的には、ペイオフリール1,2に装荷されるストリップ単位)に達すると、出側のストリップ通板速度は、減速することなくピンチロール31の上ロールを下降させ、デフレクタピンチロール34の下ロールを上昇させ、ストリップをピンチした後、出側高速走間剪断機16でストリップを分割する。同時に必要なサンプルも切断し、採取する。
【0035】
今、分割点より上流の先行ストリップをストリップ搬出位置Bに位置するリール19で再巻きつけをしているとすると、再巻きつけを完了すると、分割点より下流の後行ストリップは、デフレクタピンチロール34を経てストリップ巻きつけ開始位置Aに位置するリール18に再巻きつけを再開される。
後行ストリップがリール18に再巻きつけされ張力を確立すると、ピンチロール31の上ロール、デフレクターピンチロール34の下ロールは開放(ピンチロールは上昇、デフレクタロールは下降)され、再巻きつけは継続される。
【0036】
ストリップ搬出位置Bに位置するリール19からストリップがライン外に搬出された時点で、カローゼル式テンションリール17はストリップを走行しながらカローゼルリール公転機構20により公転され、リール18はストリップ搬出位置Bへ、リール19はストリップ巻きつけ開始位置Aへ移動し、ストリップ搬出位置Aで再巻きつけを継続する。リール19からリール18への切り替えも同様である。
【0037】
カローゼル式テンションリールの公転時には、ブライドルロール24d〜リール間の張力変動は最小にすべく、所謂公転時のパスライン長さ予測計算に基づく張力制御が行なわれている。抑え装置55によるストリップの幅方向のシフト抑制効果により、カローゼル式テンションリールの公転時も含め仕上焼鈍時の下側に相当するストリップのエッジは、きれいに揃えることが可能である。
【0038】
ストリップのテンションリール切り替えのとき、ストリップ先端のデフレクターピンチロール34からストリップ巻き取り開始位置Aに位置するリールまでの距離は、常に一定で短く、板厚が薄く通板性のよくないストリップでも、安定して通板可能である。
【0039】
また、テンションリール切り替え時の焼鈍分離剤塗布及び乾燥装置でのストリップの通板速度変化はほとんど無く、通板するストリップの炉部通板速度が同じであれば、出側は一定速度通板も可能であり、焼鈍分離剤の塗布量の変化、および乾燥炉装置での焼鈍分離剤の主成分であるMgOの水和量の変化が極めて小さく、仕上焼鈍におけるフォルステライトの形成を安定させ、良好な被膜を得ることが可能である。
【0040】
尚、走間剪断機での走間剪断速度・ストリップ先端の通板速度は、必ずしも炉部と全く同じ必要はなく、焼鈍分離剤の塗布量の制御能力、乾燥炉の炉温制御能力あるいは板温制御能力で許容される出側通板速度の『(最大速度(出側ストレージルーパー回復速度)/最小速度(テンションリール切り替え速度)』比率が決まるが、望ましくは、例えば板厚0.23mmでは2倍未満である。
また抑え装置は、ピンチロール31と必ずしも別個に配置することを必要とせず、ピンチロールと兼ねてもよい。
【0041】
本発明は、珪素鋼板の脱炭焼鈍後、窒化焼鈍を行う焼鈍炉および焼鈍方法に対しても有効である。また本発明は、珪素鋼板の焼鈍炉のみに有効なものではなく、摩擦係数が低く、腰の弱いストリップの再巻きつけにも有効である。
【0042】
【発明の効果】
このように本発明では、高い生産性を確保しながら、テンションリール切り替え時にも、出側のストリップ速度に変動はなく、焼鈍分離剤塗布装置、乾燥装置を安定して通板しており、その結果、焼鈍分離剤の塗布量およびMgOの水和量の変動は著しく小さくなった。その後の仕上焼鈍後の被膜特性も、従来設備で製造したものに比べ、最高特性は同じであったが、平均特性は大幅に向上した。特に、板厚の薄い方向性珪素鋼鈑ほどその向上率は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】方向性珪素鋼の冷延板を脱炭焼鈍(焼鈍分離剤の塗布を含む)するための代表的な従来技術による連続熱処理設備の準概略的な等角投影図。
【図2】図1の乾燥炉出側〜テンションリールまでの詳細な等角投影図。
【図3】本発明の1実施例である方向性珪素鋼の冷延板を脱炭焼鈍(焼鈍分離剤の塗布を含む)するための連続熱処理設備の準概略的な等角投影図。
【図4】図3の乾燥炉出側〜カローゼル式テンションリールまでの詳細な等角投影図。
【符号の説明】
1、2:ペイオフリール 3:入側剪断機
4:溶接機 5:入側ストレージルーパー
6:入側洗浄装置 7:炉部
8,8’:出側ストレージルーパー
9:焼鈍分離剤塗布装置 10:コータロール
11:乾燥装置 13:出側剪断機
14,15:テンションリール 16:出側高速走間剪断機
17:カローゼル式テンションリール
18,19:リール 20:カローゼルリール公転機構
21a〜b,22a〜b,23a〜b,24a〜d:ブライドルロール
31:ピンチロール
32,33,34:デフレクターピンチロール
36:サポートロール
41,42,43:テンションメータ
51:ストリップエッジ位置検出センサー
52,53:リールのストリップ幅方向移動機構
55:抑え装置 56,57:抑え装置下ロール
58:抑え装置上ロール 59:抑え装置上ロール昇降機構
60:ストリップ
A :ストリップ巻きとり開始位置
B :ストリップ搬出位置

Claims (6)

  1. 方向性珪素鋼の冷延板を連続熱処理する設備において、焼鈍分離剤塗布装置・乾燥炉の下流に、前記焼鈍分離剤を塗布されたストリップの幅方向のシフトを抑制するためのストリップに進行方向に曲率をつけて面剛性を高める抑え装置と、ストリップを分割するとともにサンプルを切断する出側剪断装置と、コイル状に再巻きつけを行うカローゼル式テンションリールとを含み、前記抑え装置は、ストリップの進行方向に垂直で、互いに平行な2本のロールと、前記ストリップを挿んで、前記2本のロールと非接触であるとともに平行であり、かつ、ストリップ進行方向からみて前記2本のロールの中間に位置する1本のロールからなる3本のロールから構成され、該2本のロールの中間に位置する1本のロールは、ストリップに垂直方向に位置決め機能を有する移動機能を有することを特徴とする方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備。
  2. 前記出側剪断装置は、高速走間剪断機とすることを特徴とする請求項1に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備。
  3. 前記高速走間剪断機は、ヘリカル型ドラム剪断機とすることを特徴とする請求項に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備。
  4. 方向性珪素鋼の冷延板を連続熱処理する方法において、表面に焼鈍分離剤を塗布・乾燥されたストリップに進行方向に曲率をつけて面剛性を高め、ストリップ板幅方向のシフトを抑制する工程と、ストリップを分割し、サンプルを採取する工程と、カローゼル式テンションリールにコイル状に再巻きつけをする工程とを含み、前記ストリップ板幅方向のシフトを抑制する工程は、ストリップの進行方向に垂直な互いに平行な2本のロールと、前記2本のロールと平行かつ非接触な1本のロールの間にストリップを挿みこみ、該2本のロールと平行かつ非接触な1本のロールは、ストリップの板幅方向のシフト量に応じて、ストリップに垂直に移動させることを特徴とする方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理方法。
  5. 前記ストリップの剪断およびストリップ分割は、高速で走間剪断することを特徴とする請求項4に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理方法。
  6. ストリップの剪断およびストリップの分割は、レイキ型で剪断することを特徴とする請求項5に記載の方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理方法。
JP2002052616A 2002-02-28 2002-02-28 方向性珪素鋼の冷延板の連続熱処理設備および連続熱処理方法 Expired - Lifetime JP4105876B2 (ja)

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