JP4292697B2 - スリッタラインにおけるループ量制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリッタで数条に分割される鋼板に張力が掛からないようにU字状のループを形成させながら巻き取るためのスリッタラインにおけるループ量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鉄設備の内、帯状の鋼板(板巾1〜2m程度、厚さ数mm以下)をコイル状に巻いたものを巻き戻し機(アンコイラ)から巻き出し、スリッタで数条に分割した後、再び巻取機(リコイラ)に巻き取るスリッタラインの基本的な構成例を図1に示す。
【0003】
アンコイラ1から巻き出された帯状の鋼板Wは、ピンチローラ4の下流側ループピット5内で1回目のループL1を作った後、スリッタ2に噛み込まれ数条に分割された後、スリッタ2の下流側ループピット6内で2回目のループL2を作った後、リコイラ3に再び巻き取られる。
【0004】
鋼板Wはスリッタ2で図4に示すように複数のスリットSが入れられ、数条の細い板wに分割される。ループL1,L2がスリッタ2の前後に設けられるのは、鋼板Wに張力を掛けないで鋼板を分割するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に鋼板Wは圧延機で圧延されて薄い板となりコイル状に巻き取られるが、鋼板Wの断面は図5に示すように僅かではあるが、中心側が端側より厚くなってしまう。
【0006】
リコイラ3はスリッタ2で数条に分割された板wを同時に巻き取るが、このとき板厚の異なる板を巻くことになるため、中心側の厚い方の板はしっかり巻けるし、巻いた後のコイル径は端側より大きくなる。リコイラ3のロールの径は端側も中心側も同一であるため端側の薄い板を中心側の厚い板と同じように巻いたら巻き方が緩くなり、解れ易くなってしまうので、厚い板と同じようにしっかり巻く必要がある。そうすると、厚い板より薄い板の方の巻き取り長さが少なくなり、その少なくなった分だけループピット6の中でループ量が厚い板のループ量より大きくなる。これは板の厚みの違いから来る止むを得ない現象である。
【0007】
現在のスリッタラインの運転方法は、運転に先立ちスリッタ2下流側ループピット6のループL2の量を、図6に示すようにループピット6の深さDの中間深さを基準ループ量として運転を開始する。スリッタ2で分割された数条の板wを同時に巻き取って行く内に、厚みのある板はループ量が少なくなって行きループ位置は上方に上って行く。一方薄い板の方はループ量が大きくなって行きループの位置は下方に下って行く。
【0008】
このループ量が上限または下限の一方に達すると、スリッタ2及びアンコイラ1の速度を調節する。即ち、ループが上限に達するとスリッタ2及びアンコイラ1の速度を上げてループ量が若干大きくなるようにし、下限に達した場合は速度を下げてループ量が小さくなるようにする。しかして、上限又は下限とも調節が利かない程度までループ量の大さが限界に達した場合は運転を中止する。これらの操作は操作員(運転員)が運転状態を見ながら調整しているので、これを自動化することが望まれる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ラインの運転開始から鋼板スリッタが1コイル分終了する前にループ量が限界に達してしまった場合の停止までを自動的に制御するスリッタラインにおけるループ量制御方法を提供することにある。
【0010】
本発明は、アンコイラから巻き戻されピンチローラを介して送られる鋼板をスリッタで数条に分割し、分割した鋼板にループが形成されるようにしながら数条の鋼板をリコイラに巻き取るスリッタラインにおいて、
前記鋼板のループの上限及び下限を検出する上限検出器及び下限検出器を設けると共に、前記数条の鋼板のうちの最も厚い鋼板のループ位置を検出するループ位置検出器を設け、ループ位置設定器の設定値をループ上限位置より若干低く設定し、前記ループ位置設定器の設定値とループ位置検出器の検出値の差をリコイラ側板速検出器の板速検出値に加算し、この加算値をピンチロール速度制御器及びスリッタ速度制御器の速度指令値としてピンチロール速度及びスリッタ速度を制御し、前記上限検出器又は下限検出器が作動したとき運転停止させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。図1は本願発明が適用される上記従来の技術で説明したスリッタラインの構成図、図2はスリッタラインのスリッタ下流側ループピット付近の構成を、図3はスリッタラインの制御ブロックを示す。
【0012】
図1のスリッタラインに、図2に示すように新たに検出器13〜14を設置する。ループ位置検出器13は、スリッタ2の下流側ループピット6の上方にスリッタ2で数条に分割された板w(図4、図5)のうちの厚みのある板を上から見るように取り付ける。このループ位置検出器13としては、厚みのある板のループの位置をある範囲でループの位置に比例し出力するものを使用する。
【0013】
ループ上限検出器14は板wの厚みに関係なくいずれかの板のループが上限に達したときON/OFF信号を出力するようにループピット6に取り付ける。同様にループ下限検出器15はいずれかの板のループが下限に達したときON/OFF信号を出力するようにループピット6に取り付ける。
【0014】
運転に先立ち、ループピット6における鋼板wのループ上限位置よりやや下側になる位置を基準としてその位置を図3のループ位置設定器21に設定する。
【0015】
図3について、板速設定器22でリコイラ3で巻き取る鋼板wの板速を設定する。リコイラ速度制御器23は板速設定器22からの板速設定値と板速検出器12からの板速検出値との偏差を加算器23aで検出しPI演算してリコイラのモータM3の速度を制御してリコイラ3に巻き取る板速を設定速度に制御する。
【0016】
ループ位置設定器21で設定されたループ位置設定値とループ位置検出器13からのループ位置検出値との差を加算器31で取り、加算器32で板速検出器12からの板速検出値に加算し、スリッタ速度制御器24及びピンチロール速度制御器25の速度指令値とする。
【0017】
スリッタ速度制御器24は加算器32からの速度指令値とスリッタ2のモータM2に直結されているスリッタ速度検出器(図示省略)からのスリッタ速度検出値との差を加算器24aで検出しPI演算してスリッタ2のモータM2を制御する。また、ピンチロール速度制御器25はピンチロール4のモータM4に直結されているピンチロール速度検出器(図示省略)からのピンチロール速度検出値との差を加算器25aで検出しPI演算してピンチロール4のモータM4を制御してアンコイラ1から巻き戻される鋼板Wの速度を制御する。なお、アンコイラ1のモータM1はピンチロール4によりアンコイラ1から巻き戻される鋼板Wの張力が一定となるように制御される。
【0018】
上記実施の形態の動作について説明する。ループ位置設定器21でループピット6における分割された板wのうちの最も厚い板のループ位置を設定し、板速速度設定器22でリコイラ3に巻き取る鋼板wの速度を設定してラインを運転する。リコイラ速度制御器23はリコイラ速度の偏差がなくなるようにリコイラ3のモータを制御するので、鋼板wは設定された板速でリコイラ3に巻き取られる。
【0019】
スリッタ速度制御器24及びピンチロール速度制御器25は板速検出器12で検出した速度検出値に加算器31からのループ位置偏差信号を加えた加算器32からの信号を速度指令値としてスリッタ速度偏差及びピンチロール速度偏差がなくなるようにスリッタ速度及びピンチロール速度を制御する。
【0020】
上記制御中ループ位置検出器13から出力されるループ信号検出値が設定器21によるループ位置設定値より高くなると加算器31から出力される信号は正となり加算器32から出力される速度指令値を増加させる。また、ループ位置検出値がループ位置設定値より低くなると加算器31から出力される信号は負となり加算器32から出力される速度指令値を減少させる。
【0021】
しかして、ループピット6におけるループ位置検出器13でループ位置が検出される厚い板のループ位置が設定位置、即ち上限よりやや低い位置となるようにピンチローラ4及びスリッタ2の速度が制御される。スリッタ2で分割された板wはリコイラ3に設定された板速で巻き取られる。巻き取りが進むと厚みの薄い板のループが大きくなってくる。この大きくなったループが下限位置に達すると下限検出器15が出力して運転停止となる。
【0022】
本発明は上記のように、スリッタにより分割された鋼板のうちの厚みのある鋼板のループ位置を検出するループ位置検出器を設け、ループ位置設定器の設定を上限値よりやや低めに設定し、ループ位置検出器の出力とループ位置設定器の設定値とを比較してその差を上記ループへの送り込み側の速度制御器にフィードバックすると共に、上記分割された鋼板のループの上限及び下限を検出する上限検出器及び下限検出器を設けて、上限又は下限検出器が動作した場合運転を停止するようにしてあるので、上記厚みのある鋼板のループ位置を上限位置近くに保ちながら分割された鋼板をリコイラに巻き取ることができ、厚みの薄い鋼板のループが上記上限よりやや低い位置から下限位置に達するまで上記ループに鋼板を巻き取ることができる。したがって、操作員によるアンコイラ側速度の調節が不必要となる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、上述のとおり構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0024】
(1)操作員が常時運転状態を監視して鋼板送り出し側の速度を調整する必要がなくなり、人員の削減と生産性の向上が図れる。
【0025】
(2)スリッタラインの一連の運転の自動化が簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に用いた一般的スリッタラインの構成図。
【図2】実施の形態にかかるスリッタ下流側ループピット近傍の構成。
【図3】実施の形態にかかるスリッタライン制御ブロック図。
【図4】鋼板が数条に分割される様子を示す平面図。
【図5】鋼板の断面図。
【図6】スリッタ下流側ループピットにおける鋼板のループ量の様子を示す側面図。
【符号の説明】
1…アンコイラ
2…スリッタ
3…リコイラ
4…ピンチローラ
5,6…ループピット
12…板速検出器
13…ループ位置検出器
14…上限検出器
15…下限検出器
21…ループ位置設定器
22…板速設定器
23…リコイラ速度制御器
24…スリッタ速度制御器
25…ピンチロール速度制御器
Claims (2)
- アンコイラから巻き戻されピンチローラを介して送られる鋼板をスリッタで数条に分割し、分割した鋼板にループが形成されるようにしながら数条の鋼板をリコイラに巻き取るスリッタラインにおいて、
前記鋼板のループの上限及び下限を検出する上限検出器及び下限検出器を設けると共に、前記数条の鋼板のうちの最も厚い鋼板のループ位置を検出するループ位置検出器を設け、
ループ位置設定器の設定値をループ上限位置より若干低く設定し、
前記ループ位置設定器の設定値とループ位置検出器の検出値の差をリコイラ側板速検出器の板速検出値に加算し、この加算値をピンチロール速度制御器及びスリッタ速度制御器の速度指令値としてピンチロール速度及びスリッタ速度を制御し、前記上限検出器又は下限検出器が作動したとき運転停止させることを特徴とするスリッタラインにおけるループ量制御方法。 - 請求項1において、
前記上限検出器と下限検出器、ループ位置検出器は、非接触式の検出器であり、上限検出器と下限検出器はループピット内に設けられ、ループ位置検出器はループピットの上方に設けられていることを特徴とするスリッタラインにおけるループ量制御方法。
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