JP3753056B2 - 連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鋼板などの金属ストリップに対して連続的に焼鈍、酸洗などの処理を施す連続プロセスラインは、金属ストリップを巻き出すとともに先行する金属ストリップと後行する金属ストリップとを溶接する作業が行われる入側セクションと、溶接された金属ストリップを連続的に処理する中央セクションと、処理された金属ストリップを所定長さに分割するとともに分割された金属ストリップを巻き取る出側セクションとを備え、入側セクションと中央セクションとの間には、入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と中央セクションにおける金属ストリップの通板速度に応じて金属ストリップの貯め込み、払い出しを行う入側ルーパが設置され、中央セクションと出側セクションとの間には、中央セクションにおける金属ストリップの通板速度と出側セクションにおける金属ストリップの通板速度に応じて金属ストリップの貯め込み、払い出しを行う出側ルーパが設置されている。
【0003】
ここで、入側ルーパにおいては、入側セクションにおける溶接作業時に、貯め込んだ金属ストリップを後段の中央セクションに払い出し、出側ルーパにおいては、金属ストリップの分割やコイルの取り出し作業時に中央セクションで処理された金属ストリップを貯め込むようにしている。これにより、入側セクション又は出側セクションで金属ストリップの搬送が停止しても、中央セクションにおける処理を停止させないようにしている。
【0004】
一般的なルーパの例を図4に示す。図4において、金属ストリップSは、固定ロール101と可動ロール102との間に巻きかけられて通板するようになっている。そして、可動ロール102は、ルーパキャリッジ103により一体になっており、ウインチ104をモータ105で回動させて、ルーパキャリッジ103に連結されたワイヤ106を巻上げ巻下げすることにより昇降するようになっている。なお、符号107は、カウンタウェイトである。図4に示すルーパにおいては、ルーパキャリッジ103が上昇することによって金属ストリップSは貯め込められ、下降することによって貯め込められた金属ストリップSは払い出されるようになっている。
【0005】
一方、入側セクション、出側セクションで作業がない場合、即ち定常状態においては、ルーパ前後の金属ストリップSの速度は一致しており、ルーパキャリッジ103も高さ方向において所定の位置に停止している。この位置が同期位置と称されるものであり、入側ルーパであれば、キャリッジ最大高さの80〜90%程度の高さに設定され、出側ルーパであれば、その10〜20%程度の高さに設定されるのが一般的である。
【0006】
ところで、出側ルーパにおいては、ルーパの同期位置がキャリッジ最大高さの10〜20%程度の高さに設定され、金属ストリップSの貯蔵量が少ないため、金属ストリップSに蛇行が殆ど生じないが、入側ルーパにおいては、ルーパの同期位置がキャリッジ最大高さの80〜90%程度の高さに設定され、金属ストリップSの貯蔵量が多いため、金属ストリップSの蛇行が生じ易いという問題がある。この金属ストリップSの蛇行が生じると、金属ストリップSが破断してライン停止に至るおそれがある。
【0007】
このような金属ストリップSの蛇行を防止するルーパの同期位置制御方法として、従来、例えば、図5に示すもの(特開平2−165814号公報参照)が知られている。
このルーパの同期位置制御方法は、連続プロセスラインにおいて、中央セクションに通板する金属ストリップSを貯蔵し、払い出すためのルーパの同期位置を制御する際に、ルーパ内の金属ストリップSの蛇行量を蛇行量検出器208で検出し、検出された蛇行量に応じて同期位置制御器209及びキャリッジモータ制御器210でルーパの同期位置を制御すると共に、ライン入側で金属ストリップSの搬送が停止する場合には、搬送停止に至る前に同期位置の制御を停止してルーパのストリップ貯蔵量を確保するようにしている。なお、図5において、符号201は固定ロール、202は可動ロール、203はルーパキャリッジ、204はウインチ、205はモータ、206はワイヤ、207はカウンタウェイトである。
【0008】
また、連続処理ラインにおいて、入側追込み速度を、入側減速開始時までに入側ルーパが同期位置に復帰可能な、できるだけ低い速度に制御することにより、入側追込み時における、金属ストリップのウォーク等に起因する設備上、品質上の問題が発生する可能性を低減できる、連続処理ラインにおける速度制御方法が特開平6−304654号公報に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来のルーパの同期位置制御方法や連続処理ラインにおける速度制御方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、入側セクションにおける溶接による先行金属ストリップと後行金属ストリップとの溶接部は、先行材と後行材の板形状の違い等により本質的に蛇行を生じ易いという特性がある。さらに、前述のルーパの同期位置制御方法や連続処理ラインにおける速度制御方法にあっては、先行金属ストリップと後行金属ストリップとの溶接部を考慮してルーパの同期位置を制御していないため、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できないことがあり、蛇行が生じた場合の蛇行量も一定でなかった。
【0010】
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる、連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、鋭意研究した結果、次の結論に達した。溶接部が入側ルーパを通過する際にはなるべく固定ロールと可動ロールとの間の長さを短くし金属ストリップの貯蔵量を少なくする。さらに、可動ロールがなるべく同一高さの状態で溶接部を通過させる必要がある。
本発明に係る連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法は、先行する金属ストリップと後行する金属ストリップとを溶接する溶接機を備えた入側セクションと、溶接された前記金属ストリップを連続的に処理する中央セクションと、前記入側セクションと前記中央セクションとの間に設置され、前記入側セクションにおける前記金属ストリップの通板速度と前記中央セクションにおける前記金属ストリップの通板速度とに応じて、前記入側セクションで溶接された金属ストリップの貯め込み、払い出しを行う入側ルーパとを少なくとも備えた連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法において、前記入側ルーパの同期位置Xを、予め設定された前記金属ストリップの溶接部が前記入側ルーパを通過するときの入側ルーパの設定位置Y、予め設定された溶接時間と実測された前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の関数として求められる前記溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び予め設定された前記溶接機から入側ルーパまでの距離と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度及び前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の差である予め設定された追込み差速との関数として求められる前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパに到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御することを特徴としている。
【0012】
X=Y+A−B ……(1)
このルーパの同期位置制御方法によれば、入側ルーパの同期位置Xが、予め設定された金属ストリップの溶接部が入側ルーパを通過するときの入側ルーパの設定位置Y、予め設定された溶接時間と実測された中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の関数として求められる前記溶接部を入側セクションで溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び予め設定されれた前記溶接機から入側ルーパまでの距離と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度及び前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の差である予め設定された追込み差速との関数として求められる前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパに到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮し、X=Y+A−Bに基づいて制御されるので、前記溶接部が入側ルーパに到達したときには、入側ルーパの高さ方向の位置は、実測された中央セクションの通板速度の大小に関わらず、前記入側ルーパの設定位置Yに必ずなり、溶接部は入側ルーパ内を同一高さで通過する。このため、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は連続プロセスラインの概略構成図である。図2は本発明に係るルーパの同期位置制御方法が適用される入側ルーパ及び同期位置制御装置の概略構成図である。
図1において、連続プロセスライン1は、鋼板などの金属ストリップSに対して連続的に焼鈍、酸洗などの処理を施すものであり、入側セクション11、中央セクション12、及び出側セクション13を上流側から下流側に向けて順次配設し、入側セクション11と中央セクション12との間に入側ルーパ4を、中央セクション12と出側セクション13との間に出側ルーパ6をそれぞれ設置してある。
【0014】
ここで、入側セクション11においては、金属ストリップSを巻き出すとともに先行する金属ストリップSと後行する金属ストリップSとを溶接する作業が行われるようになっており、金属ストリップSを巻き出す一対のペイオフリール2と、先行する金属ストリップSと後行する金属ストリップSとを溶接する溶接機3とが設けられている。
また、中央セクション12は、入側セクション11で溶接された金属ストリップSに対して連続的に焼鈍、酸洗などの処理を施すプロセス処理部5を備えている。
【0015】
さらに、出側セクション13においては、中央セクション12で処理された金属ストリップSを所定長さに分割するとともに分割された金属ストリップを巻き取るようになっており、金属ストリップSを所定長さに分割するシャー7と、分割された金属ストリップSを巻き取るテンションリール8とを備えている。
そして、入側ルーパ4は、入側速度(入側セクション11における金属ストリップSの通板速度)と中央速度(中央セクション12における金属ストリップSの通板速度)に応じて金属ストリップSの貯め込み及び払い出しを行うようになっている。即ち、入側セクション11の溶接機3による溶接作業時(入側セクション11における金属ストリップSの停止時)に、入側ルーパ4は、貯め込んだ金属ストリップSを後段の中央セクション12に払い出し、この溶接作業が完了した後、入側セクション11における通板速度が中央セクション12における通板速度よりも速い速度に加速するに従って金属ストリップSを貯めこむようにしている。これにより、入側セクション11で金属ストリップSの搬送が停止しても、中央セクション12における処理を停止させないようにしている。なお、入側セクション11で作業がない場合、即ち定常状態においては、金属ストリップSの入側速度及び中央速度は一致しており、入側ルーパ4は同期位置に位置している。この同期位置の制御については後述する。
【0016】
また、出側ルーパ6は、中央速度と出側速度(出側セクション13における金属ストリップSの通板速度)に応じて金属ストリップSの貯め込み及び払い出しを行うようになっている。即ち、出側セクション13のシャー7による切断作業及びテンションリール8による巻取り時に、出側ルーパ6は、金属ストリップSを貯め込み、前記作業が完了した後、出側セクション13に金属ストリップSを払い出すようにしている。この出側ルーパ6にあっても、定常状態においては、同期位置に位置している
ここで、前記入側ルーパ4及び入側ルーパ4の同期位置制御装置の構成を図2に示す。
【0017】
図2において、入側ルーパ4は、複数の固定ロール41と複数の可動ロール42とを有し、各ロール41,42間に金属ストリップSを巻きかけて通板するようになっている。そして、可動ロール42は、ルーパキャリッジ43により一体になっており、ウインチ44をモータ45で回動させて、ルーパキャリッジ43に連結されたワイヤ46を巻上げ巻下げすることにより昇降するようになっている。この入側ルーパ4においては、ルーパキャリッジ43が下降することによって金属ストリップSは貯め込められ、上昇することによって貯め込まれた金属ストリップSは払い出されるようになっている。
【0018】
そして、ウインチ44を回動させるモータ45には、入側ルーパ4の同期位置制御装置47が接続されている。
同期位置制御装置47には、図2に示すように、予め設定された金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパ4の設定位置Y(金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの可動ロール42の固定ロール41に対する設定距離)が入力されるとともに、予め設定された入側セクション11における溶接時間Twと、実測に基づく中央セクション12における金属ストリップSの通板速度(中央速度)Vcと、入側セクション11における金属ストリップSの通板速度(入側速度)Veと実測に基づく中央速度Vcとの差である予め設定された追込み差速Vdと、予め設定された溶接機3から入側ルーパ4までの距離Lとが入力される。そして、同期位置制御装置47は、これら入力された入側ルーパ4の設定位置Y、溶接時間Tw、中央速度Vc、追込み差速Vd、及び溶接機3から入側ルーパまでの距離Lに基づき、後述する手順により入側ルーパ4の同期位置Xを制御するように、モータ45を制御する。
【0019】
次に、図3に基づき、入側ルーパ4の同期位置Xの制御内容を説明する。図3(A)は入側速度及び中央速度の関係を示すタイムチャート、図3(B)はルーパ位置のタイムチャートである。
図3(A)に示すように、先ず、入側セクション11にて溶接作業が行われず、入側速度Veと中央速度Vcとが等しいとき(a部分)には、入側ルーパ4の位置(固定ロール41に対する可動ロール42の位置)は図3(B)に示すように同期位置Xに制御される。この同期位置Xの制御に際しては、同期位置制御装置47は、入力された金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Y、前記溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパ4に到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御することを特徴としている。
【0020】
X=Y+A−B ……(1)
ここで、入側ルーパ使用量Aは、A=Vc×Twで表され、同期位置制御装置47に入力された実測の中央速度Vcと同じく同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接時間Twとの関数で求められる。
また、入側ルーパ蓄積量Bは、B=Vd×L/Veで表され、同期位置制御装置47に入力された予め設定された追込み差速Vd、実測の中央速度Vcと設定追込み差速Vdとの和である入側速度Ve及び同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接機3から入側ルーパまでの距離Lとの関数で求められる。
【0021】
そして、入側セクション11の溶接機3による溶接作業時(b部分)には、入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように減速し、溶接時間Twだけ停止する。これに伴い、入側ルーパ4は、貯め込んだ金属ストリップSを後段の中央セクション12に払い出すように、その位置が図3(B)に示すように低く(可動ロール42と固定ロール41との間の距離が短く)なる。
溶接完了後、c部分では、入側ルーパ4の位置を同期位置Xに移動させるべく、入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように入側速度Veが中央速度Vcよりも大きくなるまで加速し、さらに追込み差速Vd=Ve−Vcが所定の一定値(予め設定された値)である状態をしばらく維持する。これに伴って、入側ルーパ4の位置は高くなり、同期位置Xの近傍まで移動する。これにより、金属ストリップSが入側ルーパ4に徐々に貯め込まれて行く。この際に、溶接部が入側ルーパ4を通過するときには、入側ルーパ4の高さ方向の位置は、入側ルーパの設定位置Yになる。この理由は、同期位置Xが、金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Y、溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び前記溶接部の溶接が完了してから溶接部が入側ルーパ4に到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御されるからである。
【0022】
X=Y+A−B ……(1)
そして、入側ルーパ4の位置が同期位置Xの近傍まで移動したd部分では、入側速度Veは中央速度Vcに至るまで減速し、入側ルーパ4の位置は同期位置Xとなる。このときの同期位置Xは、前述の(1)式に基づいて制御されている。図3(A)においては、入側速度Veと中央速度Vcとが同一の速度状態が所定時間維持され(e部分)、入側ルーパ4の位置が同期位置Xとなってから所定時間経過すると(f部分に到達すると)、中央速度Vcと入側速度Veとが同一速度の状態で減速する。すると、入側ルーパ使用量Aは、A=Vc×Twで表され、同期位置制御装置47に入力された実測の中央速度Vcと同じく同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接時間Twとの関数で求められることから、中央速度Vcが減速した分だけ減少する。一方、入側ルーパ蓄積量Bは、B=Vd×L/Veで表され、同期位置制御装置47に入力された予め設定された追込み差速Vd、実測の中央速度Vcと設定追込み差速Vdとの和である入側速度Ve及び同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接機3から入側ルーパまでの距離Lとの関数で求められる。また、金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Yは設定された値で一定である。従って、前述の(1)式におけるXの値はAとBに応じて変化する。同期位置制御装置47は、この(1)式に基づいて同期位置Xを制御するため、入側ルーパ4の同期位置Xは、図3(B)に示すように、低く制御される。
【0023】
この同期位置Xが低く制御された状態は所定時間維持され(g部分)、そして、入側セクション11の溶接機3による溶接作業時(h部分)には、前と同様に入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように減速し、溶接時間Twだけ停止する。これに伴い、入側ルーパ4は、貯め込んだ金属ストリップSを後段の中央セクション12に払い出すように、その位置が図3(B)に示すように低くなる。
【0024】
また、溶接完了後、i部分では、入側ルーパ4の位置を同期位置Xに移動させるべく、入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように入側速度Veが中央速度Vcよりも大きくなるまで加速し、さらに追込み差速Vd=Ve−Vcが所定の一定値(予め設定された値)である状態をしばらく維持する。これに伴って、入側ルーパ4の位置は高くなり、同期位置Xの近傍まで移動する。これにより、金属ストリップSが入側ルーパ4に徐々に貯め込まれて行く。この際に、溶接部が入側ルーパ4を通過するときには、入側ルーパの高さ方向の位置は、入側ルーパの設定位置Yになる。この理由は、同期位置Xが、金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Y、溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び前記溶接部の溶接が完了してから溶接部が入側ルーパ4に到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、前述の(1)式に基づいて制御され、中央速度Vcが減速してもその分だけ低く同期位置Xが制御されているからである。
【0025】
従って、溶接部が入側ルーパ4に到達したときには、入側ルーパ4の高さ方向の位置は、実測された中央セクションの通板速度Vcの大小に関わらず、入側ルーパの設定位置Yに必ずなり、溶接部は入側ルーパ4内を同一高さで通過する。このため、溶接部が入側ルーパ4内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる。
そして、入側ルーパ4の位置が同期位置Xの近傍まで移動したj部分では、入側速度Veは中央速度Vcに至るまで減速し、入側ルーパ4の位置は同期位置Xとなる。このときの同期位置Xは、前述の(1)式に基づいて制御されている。そして、入側速度Veと中央速度Vcとが同一の速度状態が所定時間維持される(k部分)。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のルーパの同期位置制御方法によれば、入側ルーパの同期位置Xを、予め設定された金属ストリップの溶接部が入側ルーパを通過するときの入側ルーパの設定位置Y、予め設定された溶接時間と実測された中央セクションにおける金属ストリップの通板速度との関数として求められる前記溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び予め設定された溶接機から入側ルーパまでの距離と入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度及び前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の差である予め設定された追込み差速との関数として求められる前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパに到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御するので、前記溶接部が入側ルーパに到達したときには、入側ルーパの高さ方向の位置は、実測された中央セクションの通板速度の大小に関わらず、前記入側ルーパの設定位置Yに必ずなり、溶接部は入側ルーパ内を同一高さで通過する。このため、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる。
X=Y+A−B ……(1)
【図面の簡単な説明】
【図1】連続プロセスラインの概略構成図である。
【図2】本発明に係るルーパの同期位置制御方法が適用される入側ルーパ及び同期位置制御装置の概略構成図である。
【図3】入側ルーパの同期位置の制御内容を説明するためのもので、(A)は入側速度及び中央速度の関係を示すタイムチャート、(B)はルーパ位置のタイムチャートである。
【図4】一般的なルーパの例を示す図である。
【図5】従来例のルーパの同期位置制御方法が適用される入側ルーパ及び同期位置制御装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 連続プロセスライン
2 ペイオフリール
3 溶接機
4 入側ルーパ
5 プロセス処理部
6 出側ルーパ
7 シャー
8 テンションリール
11 入側セクション
12 中央セクション
13 出側セクション
41,101,201 固定ロール
42,102,202 可動ロール
43,103,203 ルーパキャリッジ
44,104,204 ウインチ
45,105,205 モータ
46,106,206 ワイヤ
47 同期位置制御装置
208 蛇行量検出器
209 同期位置制御器
210 キャリッジモータ制御器
S 金属ストリップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鋼板などの金属ストリップに対して連続的に焼鈍、酸洗などの処理を施す連続プロセスラインは、金属ストリップを巻き出すとともに先行する金属ストリップと後行する金属ストリップとを溶接する作業が行われる入側セクションと、溶接された金属ストリップを連続的に処理する中央セクションと、処理された金属ストリップを所定長さに分割するとともに分割された金属ストリップを巻き取る出側セクションとを備え、入側セクションと中央セクションとの間には、入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と中央セクションにおける金属ストリップの通板速度に応じて金属ストリップの貯め込み、払い出しを行う入側ルーパが設置され、中央セクションと出側セクションとの間には、中央セクションにおける金属ストリップの通板速度と出側セクションにおける金属ストリップの通板速度に応じて金属ストリップの貯め込み、払い出しを行う出側ルーパが設置されている。
【0003】
ここで、入側ルーパにおいては、入側セクションにおける溶接作業時に、貯め込んだ金属ストリップを後段の中央セクションに払い出し、出側ルーパにおいては、金属ストリップの分割やコイルの取り出し作業時に中央セクションで処理された金属ストリップを貯め込むようにしている。これにより、入側セクション又は出側セクションで金属ストリップの搬送が停止しても、中央セクションにおける処理を停止させないようにしている。
【0004】
一般的なルーパの例を図4に示す。図4において、金属ストリップSは、固定ロール101と可動ロール102との間に巻きかけられて通板するようになっている。そして、可動ロール102は、ルーパキャリッジ103により一体になっており、ウインチ104をモータ105で回動させて、ルーパキャリッジ103に連結されたワイヤ106を巻上げ巻下げすることにより昇降するようになっている。なお、符号107は、カウンタウェイトである。図4に示すルーパにおいては、ルーパキャリッジ103が上昇することによって金属ストリップSは貯め込められ、下降することによって貯め込められた金属ストリップSは払い出されるようになっている。
【0005】
一方、入側セクション、出側セクションで作業がない場合、即ち定常状態においては、ルーパ前後の金属ストリップSの速度は一致しており、ルーパキャリッジ103も高さ方向において所定の位置に停止している。この位置が同期位置と称されるものであり、入側ルーパであれば、キャリッジ最大高さの80〜90%程度の高さに設定され、出側ルーパであれば、その10〜20%程度の高さに設定されるのが一般的である。
【0006】
ところで、出側ルーパにおいては、ルーパの同期位置がキャリッジ最大高さの10〜20%程度の高さに設定され、金属ストリップSの貯蔵量が少ないため、金属ストリップSに蛇行が殆ど生じないが、入側ルーパにおいては、ルーパの同期位置がキャリッジ最大高さの80〜90%程度の高さに設定され、金属ストリップSの貯蔵量が多いため、金属ストリップSの蛇行が生じ易いという問題がある。この金属ストリップSの蛇行が生じると、金属ストリップSが破断してライン停止に至るおそれがある。
【0007】
このような金属ストリップSの蛇行を防止するルーパの同期位置制御方法として、従来、例えば、図5に示すもの(特開平2−165814号公報参照)が知られている。
このルーパの同期位置制御方法は、連続プロセスラインにおいて、中央セクションに通板する金属ストリップSを貯蔵し、払い出すためのルーパの同期位置を制御する際に、ルーパ内の金属ストリップSの蛇行量を蛇行量検出器208で検出し、検出された蛇行量に応じて同期位置制御器209及びキャリッジモータ制御器210でルーパの同期位置を制御すると共に、ライン入側で金属ストリップSの搬送が停止する場合には、搬送停止に至る前に同期位置の制御を停止してルーパのストリップ貯蔵量を確保するようにしている。なお、図5において、符号201は固定ロール、202は可動ロール、203はルーパキャリッジ、204はウインチ、205はモータ、206はワイヤ、207はカウンタウェイトである。
【0008】
また、連続処理ラインにおいて、入側追込み速度を、入側減速開始時までに入側ルーパが同期位置に復帰可能な、できるだけ低い速度に制御することにより、入側追込み時における、金属ストリップのウォーク等に起因する設備上、品質上の問題が発生する可能性を低減できる、連続処理ラインにおける速度制御方法が特開平6−304654号公報に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来のルーパの同期位置制御方法や連続処理ラインにおける速度制御方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、入側セクションにおける溶接による先行金属ストリップと後行金属ストリップとの溶接部は、先行材と後行材の板形状の違い等により本質的に蛇行を生じ易いという特性がある。さらに、前述のルーパの同期位置制御方法や連続処理ラインにおける速度制御方法にあっては、先行金属ストリップと後行金属ストリップとの溶接部を考慮してルーパの同期位置を制御していないため、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できないことがあり、蛇行が生じた場合の蛇行量も一定でなかった。
【0010】
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる、連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、鋭意研究した結果、次の結論に達した。溶接部が入側ルーパを通過する際にはなるべく固定ロールと可動ロールとの間の長さを短くし金属ストリップの貯蔵量を少なくする。さらに、可動ロールがなるべく同一高さの状態で溶接部を通過させる必要がある。
本発明に係る連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法は、先行する金属ストリップと後行する金属ストリップとを溶接する溶接機を備えた入側セクションと、溶接された前記金属ストリップを連続的に処理する中央セクションと、前記入側セクションと前記中央セクションとの間に設置され、前記入側セクションにおける前記金属ストリップの通板速度と前記中央セクションにおける前記金属ストリップの通板速度とに応じて、前記入側セクションで溶接された金属ストリップの貯め込み、払い出しを行う入側ルーパとを少なくとも備えた連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法において、前記入側ルーパの同期位置Xを、予め設定された前記金属ストリップの溶接部が前記入側ルーパを通過するときの入側ルーパの設定位置Y、予め設定された溶接時間と実測された前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の関数として求められる前記溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び予め設定された前記溶接機から入側ルーパまでの距離と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度及び前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の差である予め設定された追込み差速との関数として求められる前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパに到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御することを特徴としている。
【0012】
X=Y+A−B ……(1)
このルーパの同期位置制御方法によれば、入側ルーパの同期位置Xが、予め設定された金属ストリップの溶接部が入側ルーパを通過するときの入側ルーパの設定位置Y、予め設定された溶接時間と実測された中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の関数として求められる前記溶接部を入側セクションで溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び予め設定されれた前記溶接機から入側ルーパまでの距離と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度及び前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の差である予め設定された追込み差速との関数として求められる前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパに到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮し、X=Y+A−Bに基づいて制御されるので、前記溶接部が入側ルーパに到達したときには、入側ルーパの高さ方向の位置は、実測された中央セクションの通板速度の大小に関わらず、前記入側ルーパの設定位置Yに必ずなり、溶接部は入側ルーパ内を同一高さで通過する。このため、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は連続プロセスラインの概略構成図である。図2は本発明に係るルーパの同期位置制御方法が適用される入側ルーパ及び同期位置制御装置の概略構成図である。
図1において、連続プロセスライン1は、鋼板などの金属ストリップSに対して連続的に焼鈍、酸洗などの処理を施すものであり、入側セクション11、中央セクション12、及び出側セクション13を上流側から下流側に向けて順次配設し、入側セクション11と中央セクション12との間に入側ルーパ4を、中央セクション12と出側セクション13との間に出側ルーパ6をそれぞれ設置してある。
【0014】
ここで、入側セクション11においては、金属ストリップSを巻き出すとともに先行する金属ストリップSと後行する金属ストリップSとを溶接する作業が行われるようになっており、金属ストリップSを巻き出す一対のペイオフリール2と、先行する金属ストリップSと後行する金属ストリップSとを溶接する溶接機3とが設けられている。
また、中央セクション12は、入側セクション11で溶接された金属ストリップSに対して連続的に焼鈍、酸洗などの処理を施すプロセス処理部5を備えている。
【0015】
さらに、出側セクション13においては、中央セクション12で処理された金属ストリップSを所定長さに分割するとともに分割された金属ストリップを巻き取るようになっており、金属ストリップSを所定長さに分割するシャー7と、分割された金属ストリップSを巻き取るテンションリール8とを備えている。
そして、入側ルーパ4は、入側速度(入側セクション11における金属ストリップSの通板速度)と中央速度(中央セクション12における金属ストリップSの通板速度)に応じて金属ストリップSの貯め込み及び払い出しを行うようになっている。即ち、入側セクション11の溶接機3による溶接作業時(入側セクション11における金属ストリップSの停止時)に、入側ルーパ4は、貯め込んだ金属ストリップSを後段の中央セクション12に払い出し、この溶接作業が完了した後、入側セクション11における通板速度が中央セクション12における通板速度よりも速い速度に加速するに従って金属ストリップSを貯めこむようにしている。これにより、入側セクション11で金属ストリップSの搬送が停止しても、中央セクション12における処理を停止させないようにしている。なお、入側セクション11で作業がない場合、即ち定常状態においては、金属ストリップSの入側速度及び中央速度は一致しており、入側ルーパ4は同期位置に位置している。この同期位置の制御については後述する。
【0016】
また、出側ルーパ6は、中央速度と出側速度(出側セクション13における金属ストリップSの通板速度)に応じて金属ストリップSの貯め込み及び払い出しを行うようになっている。即ち、出側セクション13のシャー7による切断作業及びテンションリール8による巻取り時に、出側ルーパ6は、金属ストリップSを貯め込み、前記作業が完了した後、出側セクション13に金属ストリップSを払い出すようにしている。この出側ルーパ6にあっても、定常状態においては、同期位置に位置している
ここで、前記入側ルーパ4及び入側ルーパ4の同期位置制御装置の構成を図2に示す。
【0017】
図2において、入側ルーパ4は、複数の固定ロール41と複数の可動ロール42とを有し、各ロール41,42間に金属ストリップSを巻きかけて通板するようになっている。そして、可動ロール42は、ルーパキャリッジ43により一体になっており、ウインチ44をモータ45で回動させて、ルーパキャリッジ43に連結されたワイヤ46を巻上げ巻下げすることにより昇降するようになっている。この入側ルーパ4においては、ルーパキャリッジ43が下降することによって金属ストリップSは貯め込められ、上昇することによって貯め込まれた金属ストリップSは払い出されるようになっている。
【0018】
そして、ウインチ44を回動させるモータ45には、入側ルーパ4の同期位置制御装置47が接続されている。
同期位置制御装置47には、図2に示すように、予め設定された金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパ4の設定位置Y(金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの可動ロール42の固定ロール41に対する設定距離)が入力されるとともに、予め設定された入側セクション11における溶接時間Twと、実測に基づく中央セクション12における金属ストリップSの通板速度(中央速度)Vcと、入側セクション11における金属ストリップSの通板速度(入側速度)Veと実測に基づく中央速度Vcとの差である予め設定された追込み差速Vdと、予め設定された溶接機3から入側ルーパ4までの距離Lとが入力される。そして、同期位置制御装置47は、これら入力された入側ルーパ4の設定位置Y、溶接時間Tw、中央速度Vc、追込み差速Vd、及び溶接機3から入側ルーパまでの距離Lに基づき、後述する手順により入側ルーパ4の同期位置Xを制御するように、モータ45を制御する。
【0019】
次に、図3に基づき、入側ルーパ4の同期位置Xの制御内容を説明する。図3(A)は入側速度及び中央速度の関係を示すタイムチャート、図3(B)はルーパ位置のタイムチャートである。
図3(A)に示すように、先ず、入側セクション11にて溶接作業が行われず、入側速度Veと中央速度Vcとが等しいとき(a部分)には、入側ルーパ4の位置(固定ロール41に対する可動ロール42の位置)は図3(B)に示すように同期位置Xに制御される。この同期位置Xの制御に際しては、同期位置制御装置47は、入力された金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Y、前記溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパ4に到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御することを特徴としている。
【0020】
X=Y+A−B ……(1)
ここで、入側ルーパ使用量Aは、A=Vc×Twで表され、同期位置制御装置47に入力された実測の中央速度Vcと同じく同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接時間Twとの関数で求められる。
また、入側ルーパ蓄積量Bは、B=Vd×L/Veで表され、同期位置制御装置47に入力された予め設定された追込み差速Vd、実測の中央速度Vcと設定追込み差速Vdとの和である入側速度Ve及び同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接機3から入側ルーパまでの距離Lとの関数で求められる。
【0021】
そして、入側セクション11の溶接機3による溶接作業時(b部分)には、入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように減速し、溶接時間Twだけ停止する。これに伴い、入側ルーパ4は、貯め込んだ金属ストリップSを後段の中央セクション12に払い出すように、その位置が図3(B)に示すように低く(可動ロール42と固定ロール41との間の距離が短く)なる。
溶接完了後、c部分では、入側ルーパ4の位置を同期位置Xに移動させるべく、入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように入側速度Veが中央速度Vcよりも大きくなるまで加速し、さらに追込み差速Vd=Ve−Vcが所定の一定値(予め設定された値)である状態をしばらく維持する。これに伴って、入側ルーパ4の位置は高くなり、同期位置Xの近傍まで移動する。これにより、金属ストリップSが入側ルーパ4に徐々に貯め込まれて行く。この際に、溶接部が入側ルーパ4を通過するときには、入側ルーパ4の高さ方向の位置は、入側ルーパの設定位置Yになる。この理由は、同期位置Xが、金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Y、溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び前記溶接部の溶接が完了してから溶接部が入側ルーパ4に到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御されるからである。
【0022】
X=Y+A−B ……(1)
そして、入側ルーパ4の位置が同期位置Xの近傍まで移動したd部分では、入側速度Veは中央速度Vcに至るまで減速し、入側ルーパ4の位置は同期位置Xとなる。このときの同期位置Xは、前述の(1)式に基づいて制御されている。図3(A)においては、入側速度Veと中央速度Vcとが同一の速度状態が所定時間維持され(e部分)、入側ルーパ4の位置が同期位置Xとなってから所定時間経過すると(f部分に到達すると)、中央速度Vcと入側速度Veとが同一速度の状態で減速する。すると、入側ルーパ使用量Aは、A=Vc×Twで表され、同期位置制御装置47に入力された実測の中央速度Vcと同じく同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接時間Twとの関数で求められることから、中央速度Vcが減速した分だけ減少する。一方、入側ルーパ蓄積量Bは、B=Vd×L/Veで表され、同期位置制御装置47に入力された予め設定された追込み差速Vd、実測の中央速度Vcと設定追込み差速Vdとの和である入側速度Ve及び同期位置制御装置47に入力された予め設定された溶接機3から入側ルーパまでの距離Lとの関数で求められる。また、金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Yは設定された値で一定である。従って、前述の(1)式におけるXの値はAとBに応じて変化する。同期位置制御装置47は、この(1)式に基づいて同期位置Xを制御するため、入側ルーパ4の同期位置Xは、図3(B)に示すように、低く制御される。
【0023】
この同期位置Xが低く制御された状態は所定時間維持され(g部分)、そして、入側セクション11の溶接機3による溶接作業時(h部分)には、前と同様に入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように減速し、溶接時間Twだけ停止する。これに伴い、入側ルーパ4は、貯め込んだ金属ストリップSを後段の中央セクション12に払い出すように、その位置が図3(B)に示すように低くなる。
【0024】
また、溶接完了後、i部分では、入側ルーパ4の位置を同期位置Xに移動させるべく、入側セクション11における入側速度Veは図3(A)に示すように入側速度Veが中央速度Vcよりも大きくなるまで加速し、さらに追込み差速Vd=Ve−Vcが所定の一定値(予め設定された値)である状態をしばらく維持する。これに伴って、入側ルーパ4の位置は高くなり、同期位置Xの近傍まで移動する。これにより、金属ストリップSが入側ルーパ4に徐々に貯め込まれて行く。この際に、溶接部が入側ルーパ4を通過するときには、入側ルーパの高さ方向の位置は、入側ルーパの設定位置Yになる。この理由は、同期位置Xが、金属ストリップSの溶接部が入側ルーパ4を通過するときの入側ルーパの設定位置Y、溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び前記溶接部の溶接が完了してから溶接部が入側ルーパ4に到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、前述の(1)式に基づいて制御され、中央速度Vcが減速してもその分だけ低く同期位置Xが制御されているからである。
【0025】
従って、溶接部が入側ルーパ4に到達したときには、入側ルーパ4の高さ方向の位置は、実測された中央セクションの通板速度Vcの大小に関わらず、入側ルーパの設定位置Yに必ずなり、溶接部は入側ルーパ4内を同一高さで通過する。このため、溶接部が入側ルーパ4内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる。
そして、入側ルーパ4の位置が同期位置Xの近傍まで移動したj部分では、入側速度Veは中央速度Vcに至るまで減速し、入側ルーパ4の位置は同期位置Xとなる。このときの同期位置Xは、前述の(1)式に基づいて制御されている。そして、入側速度Veと中央速度Vcとが同一の速度状態が所定時間維持される(k部分)。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のルーパの同期位置制御方法によれば、入側ルーパの同期位置Xを、予め設定された金属ストリップの溶接部が入側ルーパを通過するときの入側ルーパの設定位置Y、予め設定された溶接時間と実測された中央セクションにおける金属ストリップの通板速度との関数として求められる前記溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び予め設定された溶接機から入側ルーパまでの距離と入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度及び前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の差である予め設定された追込み差速との関数として求められる前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパに到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御するので、前記溶接部が入側ルーパに到達したときには、入側ルーパの高さ方向の位置は、実測された中央セクションの通板速度の大小に関わらず、前記入側ルーパの設定位置Yに必ずなり、溶接部は入側ルーパ内を同一高さで通過する。このため、溶接部が入側ルーパ内を通過する際の蛇行を防止できると共に、仮に蛇行が生じた場合でもその蛇行量を小さく一定とすることができる。
X=Y+A−B ……(1)
【図面の簡単な説明】
【図1】連続プロセスラインの概略構成図である。
【図2】本発明に係るルーパの同期位置制御方法が適用される入側ルーパ及び同期位置制御装置の概略構成図である。
【図3】入側ルーパの同期位置の制御内容を説明するためのもので、(A)は入側速度及び中央速度の関係を示すタイムチャート、(B)はルーパ位置のタイムチャートである。
【図4】一般的なルーパの例を示す図である。
【図5】従来例のルーパの同期位置制御方法が適用される入側ルーパ及び同期位置制御装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 連続プロセスライン
2 ペイオフリール
3 溶接機
4 入側ルーパ
5 プロセス処理部
6 出側ルーパ
7 シャー
8 テンションリール
11 入側セクション
12 中央セクション
13 出側セクション
41,101,201 固定ロール
42,102,202 可動ロール
43,103,203 ルーパキャリッジ
44,104,204 ウインチ
45,105,205 モータ
46,106,206 ワイヤ
47 同期位置制御装置
208 蛇行量検出器
209 同期位置制御器
210 キャリッジモータ制御器
S 金属ストリップ
Claims (1)
- 先行する金属ストリップと後行する金属ストリップとを溶接する溶接機を備えた入側セクションと、溶接された前記金属ストリップを連続的に処理する中央セクションと、前記入側セクションと前記中央セクションとの間に設置され、前記入側セクションにおける前記金属ストリップの通板速度と前記中央セクションにおける前記金属ストリップの通板速度とに応じて、前記入側セクションで溶接された金属ストリップの貯め込み、払い出しを行う入側ルーパとを少なくとも備えた連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法において、
前記入側ルーパの同期位置Xを、予め設定された前記金属ストリップの溶接部が前記入側ルーパを通過するときの入側ルーパの設定位置Y、予め設定された溶接時間と実測された前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度との関数として求められる前記溶接部を溶接する時の入側ルーパ使用量A、及び予め設定された前記溶接機から入側ルーパまでの距離と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度と前記入側セクションにおける金属ストリップの通板速度及び前記中央セクションにおける金属ストリップの通板速度の差である予め設定された追込み差速との関数として求められる前記溶接部の溶接が完了してから前記溶接部が入側ルーパに到達するまでの入側ルーパ蓄積量Bを考慮して、下記(1)式に基づいて制御することを特徴とする連続プロセスラインにおけるルーパの同期位置制御方法。
X=Y+A−B ……(1)
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