JP4104258B2 - 脱塩乾燥卵白 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐冷凍性又は保水性に優れたゲルを形成し、従来よりもゲル強度が強く、低温でもゲル化する脱塩乾燥卵白に関する。
【0002】
【従来の技術】
▲1▼卵白の導電率が約100μΩ-1(0.1mS/cm)になるまでイオン強度を下げ、生ずる沈殿を除き、加熱するとpH2〜4まで無色透明ゲル、pH6前後では白濁懸濁液、pH10〜12では茶褐色透明ゲルを形成する卵白液が知られている。(特公平6−2037号公報、特開平6−38711号公報、特公平4−3660号公報)
▲2▼導電率5mΩ-1/cm(5mS/cm)以下に下げpH6以上の非熱凝固性の卵白液の乾燥物も知られている。(特公平7-114627号公報)
▲3▼卵白液をイオン交換樹脂を通して灰分を下げてから乾燥した低リン、低カリウムの腎不全患者用の卵白粉も知られている。(特開平4−197158号公報)
▲4▼卵白のナトリウム、カリウム量を30%以上減少させてから乾燥した、腎臓病患者用卵白粉も知られている。(特開平3−98554号公報)
▲5▼卵白液を乾燥して水分含量8〜12重量%の卵白粉とした後、一定日数70〜100℃の温度に保持し、ゲル強度を強化する方法も知られている。(特公昭59−53804号公報)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術▲1▼は、ゲルを得るために卵白液をpH2〜4、pH10〜12といった強酸性あるいは強アルカリ性とする必要があり、中性付近ではゲルを形成しないため通常中性域である食品への利用を考えると実際的ではない。また、上記従来技術▲2▼は卵白液の乾燥物が加熱しても凝固しないことを特徴としている。そして、上記従来技術▲1▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼のいずれの場合も、乾燥卵白粉を溶解し加熱凝固した凝固卵白は耐冷凍性がなく、保水性も低い。
【0004】
そこで、本発明は耐冷凍性又は保水性に優れたゲル形成し、従来よりもゲル強度が強く、中性付近でも透明なゲルを形成する脱塩乾燥卵白を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の目的を達成するために種々検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、(1)脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白1部に対し清水7部の割合で水戻ししたときの導電率が4mS/cm以下である脱塩乾燥卵白、(2) 脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白中の含有率が、ナトリウム900mg%以下、カリウム550mg%以下及びカルシウム50mg%以下である脱塩乾燥卵白、(3)脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白1部に対し清水7部の割合で水戻ししたときの導電率が5.90mS/cm以下である脱塩乾燥卵白、(4)脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白中の含有率が、ナトリウム1050mg%以下、カリウム700mg%以下及びカルシウム53mg%以下である脱塩乾燥卵白を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。尚、本発明において、「%」は湿度の単位を除きすべて「重量%」、「部」は「重量部」を意味する。
本発明における脱塩とは、溶液中でイオンとして解離する無機塩類を除去することをいう。ここでいう無機塩類としては、例えばナトリウムイオン、カルシウムイオンなどの陽イオン、塩素イオンなどの陰イオンが挙げられる。脱塩の方法としては、卵白液を例えば、電気透析法、限外濾過法、逆浸透膜法、イオン交換樹脂を用いる方法、セルロース膜などの半透膜を用いた透析法、など常法に従って行なうとよい。
【0007】
本発明における熱蔵とは、乾燥卵白を55℃〜120℃の雰囲気下で、2時間〜1ヶ月間加熱することをいう。具体的には、卵白を水分4〜14%程度に乾燥あるいは加湿調整したものを、所定温度の雰囲気中で所定期間加熱する。この時、必要に応じ密封できる容器に乾燥卵白を充填密封してもよい。また、加湿しながら行うこともできる。尚、加湿する場合は湿度20〜50%程度にするとよい。
【0008】
次に、本発明における脱塩乾燥卵白とは、卵白液を脱塩し乾燥した後、熱蔵したものをいう。用いる卵白液としては、殻付卵を割卵して卵黄を除いたもの、凍結卵白を解凍したもの、そして熱凝固性を有している限り、酵素処理したもの、リゾチーム等卵白中のある成分を除いたもの、卵白蛋白に脂肪酸や糖類で化学修飾したものなどを用いることができる。また、乾燥卵白中の熱蔵期間中に生じるメイラード反応を防止するために前処理として卵白液を脱糖するとよい。脱糖処理には、通常行われている酵素、酵母、細菌などを利用して糖を分解する方法や、透析膜を用いた透析法あるいは限外濾過法などにより物理的に除去する方法などがある。最終的に脱塩乾燥卵白中の遊離の糖含有率が0.3%以下となるように脱糖を行なうとよい。また、卵白液を乾燥する方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥、静置乾燥などの常法を用いればよい。
【0009】
卵白液を脱塩し乾燥して熱蔵すると、耐冷凍性、又は保水性の優れたゲルが得られる。脱塩すればするほど、耐冷凍性、保水性は向上する。ここで、脱塩の度合いの指標として、導電率により規定することができる。導電率とは、断面積1cm、距離1cmの相対する電極間にある溶液が持つ電気抵抗の逆数を電気伝導度計を用いて測定した値である。本発明における導電率とは、電気伝導度計を用いて25℃で測定した値をいう。また、本発明における乾燥卵白の導電率とは、乾燥卵白1部に対し清水7部の割合で溶解し、電気伝導度計にて測定した値をいう。尚、乾燥卵白1部に対し、清水7部の割合で溶解したものは、生卵白と同程度の卵白濃度となる。後の試験例で詳しく述べるが、脱塩処理を行なわない通常の乾燥卵白の導電率は、原料卵白によっても異なるが、8.0〜8.3mS/cm程度である。本発明の脱塩乾燥卵白の導電率としては、通常の乾燥卵白の導電率よりも低ければよい。特に、4mS/cm以下であると耐冷凍性がさらに得られるので望ましい。尚、導電率が小さいほど耐冷凍性は向上するので0mS/cmに近い値のほうがよい。但し、脱塩に時間を要する等の理由のため、0.1mS/cm程度で十分である。脱塩乾燥卵白の導電率の調整は脱塩の度合いにより調整する。脱塩の度合いが高くなれば、導電率は低くなり、脱塩の度合いが低ければ導電率の高い乾燥卵白が得られる。
【0010】
また、脱塩の度合いの他の指標として、ナトリウム、カリウム、カルシウムそれぞれの乾燥卵白に対する含有率によっても規定することができる。通常の乾燥卵白におけるナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率は、原料卵白によっても異なるが『食品成分表四訂』によると、ナトリウム1300mg%、カリウム1300mg%、カルシウム60mg%となっている。本発明の脱塩乾燥卵白はナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率が通常の乾燥卵白よりも減少していればよく、特に、脱塩乾燥卵白中の含有率が、それぞれナトリウム900mg%以下、カリウム550mg%以下及びカルシウム50mg%以下であると、耐冷凍性がさらに得られるので望ましい。尚、本発明の脱塩乾燥卵白は、ナトリウム、カリウム及びカルシウムの含有率が低下すればするほど耐冷凍性が向上するので、含有率は限りなく0に近い値となるまで脱塩したほうがよい。但し、脱塩に時間を要する等の理由のため、ナトリウム28.5mg%、カリウム5.5mg%、カルシウム1.5mg%程度で十分である。
【0011】
尚、乾燥卵白に含まれる、ナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率の測定方法としては、常法に従い行なえばよい。例えば、乾燥卵白0.5gを密閉容器にとり、これに濃硝酸5mlと過塩素酸2mlを加え、密閉後、マイルストーン(株)社製マイクロウェーブシステム(mls1200mega)で20分間加熱し分解する。得られた分解液を石英ビーカーで加熱乾固し、1%塩酸溶液で溶解し、一定量に定容する。次いで、原子吸光光度計にてナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率を測定すればよい。
【0012】
本発明の脱塩乾燥卵白には、熱凝固性を有する限り、他の成分を添加してもよい。例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、リン酸塩などの塩類、ソルビトール、マルチトール、マルトース、ショ糖、グルコース、デキストリン、オリゴ糖、澱粉などの糖類、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチンなどの蛋白質類、キサンタンガム、ジェランガムなどのガム類などを挙げることができる。これらと併用することで、耐冷凍性や保水性、あるいは、ゲル強度がより向上したゲルを得ることができる。
【0013】
ここで、本発明におけるゲルとは、レオメーター(不動工業(株)社製)を用いてプランジャーを一定の速度で押し当てたときに破断応力が求められる凝固物をいう。
そして、本発明での「ゲル強度」は、レオメーターで破断応力を測定し、その破断応力を指標とした。破断応力の数値が高いゲルほど、ゲル強度が強いゲルであり、逆に、破断応力の数値が低いゲルほど、ゲル強度が弱いゲルである。
【0014】
特に、塩類を脱塩乾燥卵白に添加するとゲル強度の強いゲルを得ることができる。後の試験例で詳しく説明するが、脱塩乾燥卵白に、添加する塩類の量としては脱塩乾燥卵白に含まれている無機塩類と添加する塩類の合計量が、脱塩乾燥卵白と添加する塩の総合計量に対し0.8%以上となるように添加すると、従来技術よりもゲル強度の強いゲルが得られ、その総合計量に対し16%程度となるまで塩類を添加することができる。従って、本発明の脱塩乾燥卵白を用いると加工食品をゲル強化すると同時に塩味をつけることができる。0.8%未満であると、ゲル強度の強いゲルが得られず、逆に、16%を超えて添加することも可能だが、塩辛くなってしまい実用的ではない。
【0015】
但し、脱塩乾燥卵白に添加する塩類の量を増すにしたがって、得られるゲルの耐冷凍性は低下する傾向にあるので、冷凍食品に用いる場合には、塩類の添加量は、脱塩乾燥卵白と添加する塩類の総合計量に対して、脱塩乾燥卵白に含まれる無機塩類と添加する塩類の合計量が、2.4%以下程度になるように添加するとよい。後の試験例で詳しく説明するが、添加する塩類の量が少なければ少ないほど、耐冷凍性は向上する。
よって、耐冷凍性があり、しかも、ゲル強度の強いゲルを得るには、脱塩乾燥卵白に、該脱塩乾燥卵白と添加する塩類の総合計量に対し0.8〜2.4%程度の無機塩類が含まれるように塩類を添加するとよい。
【0016】
尚、脱塩乾燥卵白に塩類を添加する場合、乾燥状態で混合してもよいし、塩類をあらかじめ清水に溶解した塩溶液を用いて脱塩乾燥卵白を水戻ししてもよく、また、水戻しした脱塩乾燥卵白に塩類を添加してもよい。
【0017】
脱塩して熱蔵することで、耐冷凍性又は保水性の優れたゲルを得られるかは、詳しくわからないが、タンパク質の変性が軽度(部分変性、モルテングロビュール状態と呼ばれる)であると、変性タンパク質間の反発力と凝集力が適度に釣り合い、部分変性したタンパク質が相互に会合して繊維状の凝集体が形成され、次にこれらの凝集体間で疎水結合やS−S結合が生じ、密な網目構造を形成し、その網目内に水がしっかりトラップされるため、保水性や耐冷凍性が向上すると推察される。
【0018】
また、脱塩乾燥卵白に塩類を添加することで、従来技術よりもさらにゲル強度の強いゲルが得られるのは、詳しくはわからないが、未脱塩の乾燥卵白はある程度の熱蔵により、煮えが生じ不溶化してしまうのに対し、卵白を脱塩することで、より過酷な条件でも煮えを生じず熱蔵できることから、ゲル強度がより強くなる方向に卵白蛋白はさらに熱変性することができるのではないかと推察される。しかしながら、もともと無機塩類が存在しない状態の卵白蛋白はゲルを形成しにくいため、塩類を添加することでゲル強度のより強いゲルが得られるのではないかと推察される。
【0019】
次に、本発明の脱塩乾燥卵白の代表的な製造方法について説明する。
原料の卵白液を常法に従い電気透析法、限外濾過法、逆浸透膜法、イオン交換樹脂を用いる方法、セルロース膜などの半透膜を用いた透析法等を用い脱塩する。脱塩の目安として、卵白液の状態で、望ましくは、導電率が4mS/cm以下、あるいはナトリウム含有率が113mg%以下、カリウム含有率が70mg%以下及びカルシウム含有率が8mg%以下に脱塩するとよい。尚、卵白液の状態で、導電率又は、ナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率を調整しておけば、乾燥後、熱蔵して水戻ししても、導電率又は、含有率はさほど変化しない。また、ここで、必要に応じ、脱糖処理を行ってもよい。尚、脱塩処理前に脱糖することもできる。
【0020】
次いで、噴霧乾燥法等により水分4〜14%程度に乾燥する。乾燥卵白の水分含量は特に調整する必要はないが、噴霧乾燥であれば、水分含量10%以下、通常は6〜8%、静置乾燥であれば水分含量15%以下、となる。例えば、噴霧乾燥の場合は送風温度160℃〜170℃、排風温度75℃〜80℃位で乾燥すればよい。尚ここで、卵白粉の水分含量は4〜14%程度に、より望ましくは5〜10%程度に調整するとよい。水分が多くなると不溶化してしまうからである。また、乾燥後加湿して水分を調整してもよい。そして、脱塩した乾燥卵白を必要に応じ、ポリエチレン製やアルミ製等の容器に充填密封したり、あるいはそのまま熱蔵する。熱蔵条件としては、55℃〜120℃で2時間〜1ヶ月間加熱する。必要に応じ湿度20〜50%程度に加湿するとよい。
さらに、このようにして得られた脱塩乾燥卵白に塩類を添加する場合には、本発明の脱塩乾燥卵白に直接添加、混合すればよい。あるいは清水にあらかじめ塩類を添加してから、本発明の脱塩乾燥卵白を溶解し、加熱凝固させてもよい。
【0021】
このようにして調製した本発明の脱塩乾燥卵白は、耐冷凍性、保水性に優れたゲルを形成することができる。また、透明感のあるゲルを形成するので、今まで白濁することによって、使用できなかった食品へも応用できる。本発明の脱塩乾燥卵白を利用する食品として、例えば、卵スプレッド、トマトソース、サラダ、タルタルソース、ゼリー、魚肉加工品、蓄肉加工品、麺類など、あるいはこれらを冷凍した食品などに特に利用できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1
卵白液に10%クエン酸溶液を加えてpHを6.2に調整後、卵白液に対し酵母を0.1%添加し、卵白液に対する遊離の糖の含有率が0.02%(検出限界)以下になるまで脱糖した。電気透析装置(湯浅アイオニクス(株)社製、イオン交換膜 20cm × 20cm、10セル)を用い、25Vの電圧をかけて脱塩した。酵母等の少量の不溶物を除くため10000rpmで15分間遠心分離にかけた。次いで、脱塩した卵白液を噴霧乾燥し加湿器内にて水分を7%に調整後、アルミ製袋に充填密封し、80℃で14日間保管して、本発明の脱塩乾燥卵白を得た。得られた脱塩乾燥卵白を7倍重量の清水で溶解し、電気伝導度計を用いて25℃にて測定したところ、導電率が1.00 mS/cmであった。
得られた脱塩乾燥卵白を7倍重量の清水で溶解し、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpHを8.5に調整した後、折り径22mmの塩化ビニリデン製チューブに詰め、90℃30分間加熱しゲルを得た。 得られたゲルを−25℃で14日間冷凍保管し、常温にて解凍したところ、解凍したゲルはスポンジ化しておらず離水も少ないという耐冷凍性に優れたゲルであった。また、得られたゲルは透明であった。
【0023】
実施例2
卵白液5kgを透析チューブ(セルロース製、折り径76mm、分画分子量 12000)につめ、20kgのイオン交換水を透析外液として5℃で攪拌しながら透析した。24時間毎に透析外液を交換し、4日間透析した。透析するときに脱糖も同時に行なうことができたため、卵白液中の遊離の糖の含有率は、0.02%(検出限界)以下となった。脱塩した卵白液を噴霧乾燥し、実施例1と同様にして水分を7%に調整後、アルミ製袋に詰め、90℃で4日間熱蔵し、本発明の脱塩乾燥卵白とした。得られた脱塩乾燥卵白のナトリウム含有率は200mg%、カリウム含有率は50mg%、カルシウム含有率は13mg%となった。尚、ナトリウム、カリウム、カルシウムの無機塩類の含有率は、脱塩乾燥卵白0.5gを密閉容器にとり、濃硝酸5mlと過塩素酸2mlを加え密閉後、マイクロウェーブシステム(マイルストーン(株)社製)mls1200megaで20分間加熱分解し、得られた分解液を石英ビーカーで加熱乾固し1%塩酸溶液で溶解し一定量に定容、次いで、原子吸光光度計を用いて測定した。
得られた脱塩乾燥卵白を7倍重量の清水で溶解し、10%のクエン酸溶液でpH4に調整後折り径22mmのチューブに充填し90℃30分間加熱しpH4の白色ゲルを得た。
対照として、脱塩乾燥卵白の代りに市販の乾燥卵白(未脱塩、乾燥して熱蔵しただけのもの)を用いて同様にpH4に調整したゲルを製したところ、市販の乾燥卵白を用いたゲルは多量の離水を生じたのに対し、本発明の脱塩乾燥卵白を用いたゲルは、非常に離水が少なく保水性の優れたものであった。
【0024】
実施例3
実施例1で得られた脱塩乾燥卵白に、添加する塩類として食塩を、前記脱塩乾燥卵白と添加する食塩の総合計量に対して1.0%となるように混合した。この食塩入りの脱塩乾燥卵白に対して7倍重量の清水で溶解後1Nの水酸化ナトリウム溶液でpH8.5に調整後、折り径22mmの塩化ビニリデンチューブに詰め、90℃30分間加熱しゲルを得た。得られたゲルを−25℃7日間冷凍保管し、常温にて解凍したところ、解凍したゲルはスポンジ化しておらず離水が少ないという耐冷凍性に優れたゲルであった。また、得られたゲルは透明であった。
【0025】
実施例4
実施例2で得られた脱塩乾燥卵白に、添加する塩類として食塩を、前記脱塩乾燥卵白と添加する食塩の総合計量に対して8.0%となるように混合した。この食塩入りの脱塩乾燥卵白に対して7倍重量の清水で溶解し、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpH8.5に調整した後、密閉容器に充填し、90℃30分間加熱しゲルを得た。
得られたゲルは、従来の市販品のゲル強度の強いとされる乾燥卵白よりもゲル強度の強いゲルであった。
【0026】
実施例5
実施例1で得られた脱塩乾燥卵白に、添加する塩類として食塩を、前記脱塩乾燥卵白と添加する食塩の総合計量に対して2.0%となるように混合し、食塩入りの脱塩乾燥卵白に対して7倍重量の清水で溶解した。10%のリン酸三ナトリウム溶液でpH8.5に調整し、折り径57mmのチューブに詰め、90℃30分間加熱しゲルを得た。
得られたゲルを一辺が5mmのダイス状にカットしたもの200g、耐冷凍マヨネーズ(キユーピー(株)社製、「耐冷耐熱マヨネーズU−1」)100g、加熱凝固卵黄100gを混合し卵スプレッドとした。このようにして得られた卵スプレッドを冷凍し解凍したところ、離水が少なく、卵白部の食感がしっかりとした歯触りのよいものであった。
尚、対照として生卵白を加熱して得たゲルから、上記卵スプレッドを同様に製し、冷凍し解凍して食したところ、ゲルはスポンジ化して離水が激しく、食することのできるものではなかった。
【0027】
試験例1
実施例1の方法に従って、脱塩乾燥卵白を調製した。但し、脱塩処理時間を変えて脱塩の度合いの異なる脱塩乾燥卵白を調製した。それぞれ7倍重量の清水を加えて溶解後、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、折径57mmのチューブに詰め、80℃で40分間加熱しゲル調製した。得られたゲルをを3cmの厚さに切り、ポリエチレン製袋に入れて密封し、−25℃の冷凍庫内で7日間保管した。凍結したゲルを25℃の恒温器内で解凍し、ゲルから離水してポリ袋内に溜まったドリップの量を測定した。また、ドリップを除去後、5枚重ねのろ紙上に得られたゲルを置き、1時間静置して減少した水分量を測定した。ドリップ量及びろ紙上に置いて減少した水分量を凍結前のゲル中の水分量で割って、それぞれドリップ率、離水率とした。ドリップ率と離水率の合計を総離水率とした。スポンジ化は5名の訓練されたパネラーによる目視によって5段階の評価を行なった。得られた脱塩乾燥卵白の導電率は、実施例1と同様の方法で測定した。尚、表中の導電率8.11は未脱塩の乾燥卵白である。
結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004104258
【0029】
表1より、本発明の脱塩乾燥卵白を用いて調製したゲルは、未熱蔵のゲルと比較して、総離水率が低く、スポンジ化もおこりにくくなっており、つまり、耐冷凍性が向上したことがわかる。また、導電率が低くなる程、耐冷凍性が向上していることが理解できる。
【0030】
試験例2
実施例1の方法に従って、脱塩乾燥卵白を調製した。但し、脱塩の度合いの異なる卵白液を調製するために脱塩処理時間を変え、また、熱蔵条件を80℃7日間、80℃14日間とした。各脱塩乾燥卵白に7倍重量の清水を加えて溶解し、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、折径57mmのチューブに詰め80℃で40分加熱してゲルを調製した。得られたゲルを3cmの厚さに切り、レオメーター(不動工業(株)製)で、直径8mmの球状プランジャーを用いて、サンプル移動速度6cm/分で圧縮距離を測定した。離水率は、ゲルを4枚重ねのろ紙上に1時間静置し、減少した水の量を測定し、その値を測定前のゲル中の水分量で割り離水率として表示した。ゲルの透明性はゲルを厚さ5mmに切り、8ポイントの英字の上に置き、英字の見え方によって4段階の評価をした。透明性の試験は5名の訓練されたパネラーによる目視によって行なった。得られた脱塩乾燥卵白の導電率は実施例1と同じ方法で測定した。尚、未脱塩の乾燥卵白の導電率は8.11mS/cmである。
結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
Figure 0004104258
【0032】
表2より、本発明の脱塩乾燥卵白を使って作ったゲルは、未脱塩、あるいは、未熱蔵の乾燥卵白から調製したゲルと比較して、圧縮距離が長く、すなわちしなやかであり、離水率が低い、すなわち保水性に優れ、透明度の高いゲルを形成することがわかる。特に導電率が4mS/cm以下であるとき、より圧縮距離が長く、離水率が低く、より透明度の高いゲルを形成することがわかる。
【0033】
試験例3
実施例1の方法に従って脱塩乾燥卵白を調製した。但し、脱塩乾燥卵白中のナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率の異なる脱塩乾燥卵白を調製するために、脱塩処理時間を変え、また、熱蔵日数を80℃7日間と80℃14日間とした。ナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率の異なる各脱塩乾燥卵白に、7倍重量の清水を加えて溶解し、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、折径57mmのチューブに詰め、80℃で40分加熱してゲルを調製した。得られたゲルを試験例2と同様の方法で圧縮距離、離水率及びゲルの透明性を測定した。得られた脱塩乾燥卵白に対するナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率は、実施例2と同様の方法にて測定した。尚、未脱塩の乾燥卵白中の各含有率はナトリウム1297mg%、カリウム1156mg%、カルシウム60mg%であった。
結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
Figure 0004104258
【0035】
表3より、本発明の脱塩乾燥卵白を使って作ったゲルは、未脱塩、あるいは、未熱蔵の乾燥卵白から調製したゲルと比較して、圧縮距離が長い、すなわちしなやかであり、離水率が低い、すなわち保水性に優れ、透明度の高いゲルを形成することがわかる。特に脱塩乾燥卵白に対してナトリウム含有率が900mg%以下、カリウム含有率が550mg%以下、カルシウム含有率が50mg%以下であるとき、より保水性に優れ、より透明度の高いゲルを形成することがわかる。
【0036】
試験例4
卵白液16kgに10%クエン酸を加えてpH7に調整し、25%酵母懸濁液を64g添加し、37℃で、糖含有率が卵白液に対して0.02%(検出限界)以下まで脱糖した。電気透析機(湯浅アイオニクス(株)社製)を用い、脱塩した卵白液を調製し、少量の不溶物を除くため、10000rpmで15分間遠心分離した。上清に1N水酸化ナトリウム溶液を加えてpH6.5に調整した。噴霧乾燥し加湿器内にて、水分7%に調整し、アルミ製袋に密封して80℃で14日間熱蔵し脱塩乾燥卵白を調製した。得られた脱塩乾燥卵白を実施例1と同じ方法にて導電率を測定した。このときの導電率は1.1mS/cmであった。得られた脱塩乾燥卵白に、添加する塩類として食塩を割合を変えて添加したものを試料とした。尚、対照として、市販されているゲル強度の強い乾燥卵白(市販品A、市販品B)を用いて、同様に食塩を添加したものを試料とした。但し、市販の乾燥卵白はもともと無機塩類が5.4%含まれているので、無添加の状態で試料に対する全無機塩類含有率は5.4%である。試料1部に対して清水7部の割合で水戻し後、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpH8.5に調整し、折径22mmのチューブに詰め、90℃30分間加熱してゲルを調製した。得られたゲルを3cmの厚さに切りポリエチレン製袋に入れて密封し、−25℃、7日間冷凍保管し、試験例1の方法でドリップ率を測定した。
結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
Figure 0004104258
【0038】
表4より、脱塩乾燥卵白中に存在する無機塩類と添加する塩類の合計量が、脱塩乾燥卵白と添加した塩類の総合計量に対して2.4%以下であれば、ドリップ率が著しく改善されており、これにより耐冷凍性の向上したゲルを得られることがわかる。
【0039】
試験例5
試験例4と同様の方法で試料を準備した。試料1部に対して清水7部の割合で水戻し後、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpH8.5に調整し、折径22mmのチューブに詰め90℃30分間加熱してゲルを調製し15mmの厚さに切断した。尚、対照として、市販されているゲル強度の強い乾燥卵白(市販品A、市販品B)を用いて同様に食塩を添加したものを試料として、同様にゲルを調製した。但し、市販の乾燥卵白はもともと無機塩類が5.4%含まれているので、無添加の状態で試料に対する全無機塩類含有率は5.4%である。切断したゲルをレオメーター(不動工業(株)社製)により直径6mmの球状プランジャーを用いて6cm/分の速度でゲル強度と圧縮距離を測定した。離水率については試験例2と同じ方法で測定を行なった。
結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
Figure 0004104258
【0041】
表5の結果より、脱塩乾燥卵白中に存在する無機塩類と添加する塩類の合計量が、脱塩乾燥卵白と添加した塩類の総合計量に対して0.8%以上であるとき、従来の市販のゲル強度の強いとされる乾燥卵白よりも、より、ゲル強度が強く、圧縮距離が長い、つまりしなやかなゲルが得られたことがわかる。
【0042】
試験例6
熱蔵日数を80℃で7日間とする以外は、試験例4と同様の方法で、導電率1.1mS/cmの脱塩乾燥卵白を調製し、これを試料とした。また、対照として未脱塩で80℃7日間熱蔵した乾燥卵白を試料とした。乾燥卵白試料に対して7倍重量の清水に溶解し、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、その溶液に上白糖を割合を変えて添加し、折り径22mmのチューブに詰め90℃で30分間加熱しゲルを調製した。得られたゲルを3cmの厚さに切り、ポリエチレン製の袋に密封後−30℃で6日間保管後25℃で解凍した。ドリップ率、離水率、総離水率を試験例1と同様に測定した。
結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
Figure 0004104258
【0044】
表6より、本発明の脱塩乾燥卵白は、未脱塩の乾燥卵白に比較して、上白糖を添加した場合でも、ドリップ率、離水率、総離水率が低いという耐冷凍性に優れたゲルを形成することがわかる。
【0045】
試験例7
熱蔵日数を80℃7日間とする以外は、試験例4と同様の方法によって、1.1mS/cmの脱塩乾燥卵白を調製し、これを試料とした。また、対照として未脱塩で80℃7日間熱蔵した乾燥卵白を試料とした。脱塩乾燥卵白に対して7倍重量の清水に溶解し、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、その溶液に上白糖を、割合を変えて添加し、折り径22mmのチューブに詰め90℃で30分間加熱したゲルを調製した。得られたゲルを3cmの厚さに切り5枚重ねのろ紙上に得られたゲルを置き、1時間静置して減少した水分量を測定し、ろ紙上に置いて減少した水分量を離水前のゲル中の水分量で割って、離水率とした。また、得られたゲルを15mmの厚さに切り、試験例5と同様の方法で圧縮距離を測定した。
結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
Figure 0004104258
【0047】
表7より、脱塩乾燥卵白は未脱塩の乾燥卵白と比較して、上白糖を添加た場合でも、離水率が低いという保水性に優れたゲルを得られたことがわかる。
【0048】
試験例8
実施例1の方法に従い、脱塩乾燥卵白を調製した。但し、脱塩の度合いの異なる脱塩乾燥卵白を調製するために、脱塩処理時間を変えて脱塩を行ない、熱蔵条件を106℃で10時間あるいは120℃で2時間、80℃で7日間とした。各脱塩乾燥卵白に7倍重量の2%食塩水を加え溶解あるいは懸濁させ、1N水酸化ナトリウム溶液でpH8.5に調整後、折り径22mmのチューブに詰め、90℃で30分間加熱した。得られた脱塩乾燥卵白の導電率は試験例1と同じ方法で測定した。ゲル強度は試験例5と同様にして測定した。
結果を表8に示す。
【0049】
【表8】
Figure 0004104258
【0050】
表8より導電率が4mS/cm以下の脱塩した乾燥卵白であると、100℃を超える高い温度で短い時間熱蔵しても不溶化しにくく、80℃の熱蔵条件により得られるゲルよりも、ゲル強度のより強いゲルを得ることができる。つまり、導電率が4mS/cm以下の脱塩した乾燥卵白であると、熱蔵期間がより短時間で、よりゲル強度の強いゲルが得られることがわかる。
【0051】
試験例9
実施例1の方法に従って脱塩乾燥卵白を調製した。但し、熱蔵日数を80℃で7日間、とした。得られた脱塩乾燥卵白を7倍重量の2%食塩水で溶解し、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、折り径22mmのチューブに詰め、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃のそれぞれ異なる温度で30分間加熱して、得られる状態を比較した。対照として、酵母にて乾燥卵白中の遊離の糖含有率0.16%まで脱糖し、80℃14日間熱蔵して調製した未脱塩乾燥卵白、及び市販の乾燥卵白を用い、同様に比較した。ゲルが形成された場合には試験例5と同様にゲル強度を測定した。
結果を表9に示す。
【0052】
【表9】
Figure 0004104258
【0053】
表9より、脱塩乾燥卵白を水戻し後加熱してゲルを形成する際、未脱塩の乾燥卵白あるいは市販の乾燥卵白ではゲルを形成することができないような低い加熱温度でもゲル化することがわかる。さらに、70℃においては、未脱塩の乾燥卵白あるいは市販の乾燥卵白と比較して、ゲル強度の強いゲルを形成することがわかる。これにより、従来の乾燥卵白よりも低い温度の加熱で凝固卵白を得られることが理解できる。
【0054】
試験例10
実施例2の方法に従って脱塩乾燥卵白を調製した。但し、熱蔵条件を変えて65℃で4日間とした。得られた脱塩乾燥卵白を7倍量の清水で溶解した後、2N 塩酸溶液あるいは2N水酸化ナトリウム溶液でpH4〜10に調整した。対照として、脱塩し熱蔵しなかったもの、脱塩をせずに熱蔵したものを用い同様に調製し比較した。これらを折径22mmのチューブに入れ、90℃で30分加熱した。試験例2と同様にして、ゲルの離水率と透明度を測定した。但し、離水率の測定はゲルの厚さを15mmとした。
結果を表10に示す。
【0055】
【表10】
Figure 0004104258
【0056】
表10より、pH6〜10、及びpH3.5〜4.0において離水率が少なく保水性に優れたゲルを形成することがわかる。また、pH7〜10.0の場合、透明なゲルを形成することも理解できる。
【0057】
試験例11
試験例4の方法と同様にして、脱塩乾燥卵白を調製した。但し、脱塩処理時間を変え脱塩の度合いの異なる脱塩乾燥卵白を調製した。得られた脱塩乾燥卵白の導電率を実施例1の方法に従って測定したところ、導電率は0.75mS/cmであった。脱塩乾燥卵白に7倍重量の清水を加えて溶解し、溶液のpHを2N塩酸溶液あるいは2N水酸化ナトリウム溶液で4〜10に調整した。対照として、脱塩し熱蔵しなかったもの、脱塩をせずに熱蔵したものを用い同様に調製し比較した。折り径22mmのチューブに入れ90℃30分加熱し、ゲルを調製した。得られたゲルを30mmの厚さに切り、ポリエチレン製袋に入れ、密封して−30℃の冷凍庫に6日間保管した。25℃で解凍し、ゲルから離水してポリエチレン製袋に溜まったドリップ量を測定した。さらにドリップを除いた後、ゲルを3枚重ねのろ紙上に置き、1時間静置して離水量を測定した。この離水量とドリップ量を合せた値をゲル中の全水分量で割って凍結保管による総離水量とした。
結果を表11に示す。
【0058】
【表11】
Figure 0004104258
【0059】
表11より、脱塩乾燥卵白を使ったゲルは、いずれのpHでも未脱塩、あるいは、未熱蔵の乾燥卵白を使ったゲルと比較して、総離水率が低く、つまり耐冷凍性に優れていることがわかる。
【0060】
試験例12
試験例4と同様にして、脱塩乾燥卵白を調製した。但し、脱塩する時間を変えて、実施例1の方法に従って導電率を測定したところ、導電率は0.75mS/cmであった。得られた脱塩乾燥卵白に7倍重量の清水を加えて溶解し、2N 塩酸溶液あるいは2N 水酸化ナトリウム溶液でpH4〜10に調整した。これらを折径22mmのチューブに入れ、90℃で30分加熱しゲルを調製した。対照として、脱塩し熱蔵しなかったもの、脱塩をせずに熱蔵したものを用い同様に調製し比較した。得られたゲルの透明性を試験例2と同様の方法で測定した。ゲルの保水性はゲルを15mmの厚さに切り、3枚重ねのろ紙上に1時間静置し、減少した水分量を測定し、加熱凝固後のゲル中の全水分量に対する割合を求めて離水率とした。
【0061】
結果を表12に示す。
【0062】
【表12】
Figure 0004104258
【0063】
表12より、脱塩乾燥卵白を使ったゲルは、いずれのpHにおいても、未脱塩あるいは未熱蔵の乾燥卵白を用いたゲルよりも、保水性が優れていることがわかる。また、未脱塩の乾燥卵白を使ったゲルでは白濁してしまうようなpH6〜10において、脱塩乾燥卵白を使ったゲルでは透明なゲルが得られることが理解できる。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の脱塩乾燥卵白は、冷凍しても離水せず、スポンジ化しないつまり耐冷凍性に優れたゲルを形成する。さらに、保水性に優れ、中性付近においても透明なゲルを形成する。さらに、脱塩乾燥卵白に塩類を添加すると、従来のゲル強度が強い乾燥卵白よりも、よりゲル強度が強いゲルを形成する。また、従来の乾燥卵白よりも、低温でゲル化し、また、pH6〜10においては透明なゲルを形成するため、今まで白濁することで、用い得なかった食品にも利用できる。

Claims (4)

  1. 脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白1部に対し清水7部の割合で水戻ししたときの導電率が4mS/cm以下である脱塩乾燥卵白。
  2. 脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白中の含有率が、ナトリウム900mg%以下、カリウム550mg%以下及びカルシウム50mg%以下である脱塩乾燥卵白。
  3. 脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白1部に対し清水7部の割合で水戻ししたときの導電率が5.90mS/cm以下である脱塩乾燥卵白。
  4. 脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾燥卵白であって、脱塩乾燥卵白中の含有率が、ナトリウム1050mg%以下、カリウム700mg%以下及びカルシウム53mg%以下である脱塩乾燥卵白。
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