JP2001095473A - 脱塩乾燥卵白 - Google Patents
脱塩乾燥卵白Info
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Abstract
た、従来品よりもゲル強度が強いゲルを形成する乾燥卵
白を提供する。 【解決手段】乾燥卵白を7倍量の清水で溶解したときの
導電率が4mS/cm以下、あるいは、乾燥卵白中の含有率
がナトリウム900mg%以下、カリウム550mg%以下、及び
カルシウム50mg%以下であり、熱蔵してなる脱塩乾燥卵
白。
Description
性に優れたゲルを形成し、従来よりもゲル強度が強く、
低温でもゲル化する脱塩乾燥卵白に関する。
/cm)になるまでイオン強度を下げ、生ずる沈殿を除
き、加熱するとpH2〜4まで無色透明ゲル、pH6前後で
は白濁懸濁液、pH10〜12では茶褐色透明ゲルを形成す
る卵白液が知られている。(特公平6−2037号公報、特
開平6−38711号公報、特公平4−3660号公報) 導電率5mΩ-1/cm(5mS/cm)以下に下げpH6以上
の非熱凝固性の卵白液の乾燥物も知られている。(特公
平7-114627号公報) 卵白液をイオン交換樹脂を通して灰分を下げてから乾
燥した低リン、低カリウムの腎不全患者用の卵白粉も知
られている。(特開平4−197158号公報) 卵白のナトリウム、カリウム量を30%以上減少させて
から乾燥した、腎臓病患者用卵白粉も知られている。
(特開平3−98554号公報) 卵白液を乾燥して水分含量8〜12重量%の卵白粉とし
た後、一定日数70〜100℃の温度に保持し、ゲル強度を
強化する方法も知られている。(特公昭59−53804号公
報)
ルを得るために卵白液をpH2〜4、pH10〜12といった強
酸性あるいは強アルカリ性とする必要があり、中性付近
ではゲルを形成しないため通常中性域である食品への利
用を考えると実際的ではない。また、上記従来技術は
卵白液の乾燥物が加熱しても凝固しないことを特徴とし
ている。そして、上記従来技術、、、のいずれ
の場合も、乾燥卵白粉を溶解し加熱凝固した凝固卵白は
耐冷凍性がなく、保水性も低い。
れたゲル形成し、従来よりもゲル強度が強く、中性付近
でも透明なゲルを形成する脱塩乾燥卵白を提供すること
を目的とする。
達成するために種々検討した結果本発明に到達した。す
なわち、本発明は、(1)脱塩した乾燥卵白を熱蔵して
なる脱塩乾燥卵白、(2) 脱塩乾燥卵白1部に対し清水
7部の割合で水戻ししたときの導電率が4mS/cm以下の
(1)項記載の脱塩乾燥卵白、及び(3)脱塩乾燥卵白
中の含有率が、ナトリウム900mg%以下、カリウム550mg
%以下及びカルシウム50mg%以下である(1)項又は
(2)項記載の脱塩乾燥卵白を提供するものである。
尚、本発明において、「%」は湿度の単位を除きすべて
「重量%」、「部」は「重量部」を意味する。本発明に
おける脱塩とは、溶液中でイオンとして解離する無機塩
類を除去することをいう。ここでいう無機塩類として
は、例えばナトリウムイオン、カルシウムイオンなどの
陽イオン、塩素イオンなどの陰イオンが挙げられる。脱
塩の方法としては、卵白液を例えば、電気透析法、限外
濾過法、逆浸透膜法、イオン交換樹脂を用いる方法、セ
ルロース膜などの半透膜を用いた透析法、など常法に従
って行なうとよい。
〜120℃の雰囲気下で、2時間〜1ヶ月間加熱することを
いう。具体的には、卵白を水分4〜14%程度に乾燥あ
るいは加湿調整したものを、所定温度の雰囲気中で所定
期間加熱する。この時、必要に応じ密封できる容器に乾
燥卵白を充填密封してもよい。また、加湿しながら行う
こともできる。尚、加湿する場合は湿度20〜50%程度に
するとよい。
卵白液を脱塩し乾燥した後、熱蔵したものをいう。用い
る卵白液としては、殻付卵を割卵して卵黄を除いたも
の、凍結卵白を解凍したもの、そして熱凝固性を有して
いる限り、酵素処理したもの、リゾチーム等卵白中のあ
る成分を除いたもの、卵白蛋白に脂肪酸や糖類で化学修
飾したものなどを用いることができる。また、乾燥卵白
中の熱蔵期間中に生じるメイラード反応を防止するため
に前処理として卵白液を脱糖するとよい。脱糖処理に
は、通常行われている酵素、酵母、細菌などを利用して
糖を分解する方法や、透析膜を用いた透析法あるいは限
外濾過法などにより物理的に除去する方法などがある。
最終的に脱塩乾燥卵白中の遊離の糖含有率が0.3%以下
となるように脱糖を行なうとよい。また、卵白液を乾燥
する方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥、静置乾燥など
の常法を用いればよい。
凍性、又は保水性の優れたゲルが得られる。脱塩すれば
するほど、耐冷凍性、保水性は向上する。ここで、脱塩
の度合いの指標として、導電率により規定することがで
きる。導電率とは、断面積1cm2、距離1cmの相対する
電極間にある溶液が持つ電気抵抗の逆数を電気伝導度計
を用いて測定した値である。本発明における導電率と
は、電気伝導度計を用いて25℃で測定した値をいう。ま
た、本発明における乾燥卵白の導電率とは、乾燥卵白1
部に対し清水7部の割合で溶解し、電気伝導度計にて測
定した値をいう。尚、乾燥卵白1部に対し、清水7部の割
合で溶解したものは、生卵白と同程度の卵白濃度とな
る。後の試験例で詳しく述べるが、脱塩処理を行なわな
い通常の乾燥卵白の導電率は、原料卵白によっても異な
るが、8.0〜8.3mS/cm程度である。本発明の脱塩乾燥卵
白の導電率としては、通常の乾燥卵白の導電率よりも低
ければよい。特に、4mS/cm以下であると耐冷凍性がさ
らに得られるので望ましい。尚、導電率が小さいほど耐
冷凍性は向上するので0mS/cmに近い値のほうがよい。
但し、脱塩に時間を要する等の理由のため、0.1mS/c
m程度で十分である。脱塩乾燥卵白の導電率の調整は脱
塩の度合いにより調整する。脱塩の度合いが高くなれ
ば、導電率は低くなり、脱塩の度合いが低ければ導電率
の高い乾燥卵白が得られる。
トリウム、カリウム、カルシウムそれぞれの乾燥卵白に
対する含有率によっても規定することができる。通常の
乾燥卵白におけるナトリウム、カリウム、カルシウムの
含有率は、原料卵白によっても異なるが『食品成分表四
訂』によると、ナトリウム1300mg%、カリウム1300mg
%、カルシウム60mg%となっている。本発明の脱塩乾燥
卵白はナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率が通
常の乾燥卵白よりも減少していればよく、特に、脱塩乾
燥卵白中の含有率が、それぞれナトリウム900mg%以
下、カリウム550mg%以下及びカルシウム50mg%以下で
あると、耐冷凍性がさらに得られるので望ましい。尚、
本発明の脱塩乾燥卵白は、ナトリウム、カリウム及びカ
ルシウムの含有率が低下すればするほど耐冷凍性が向上
するので、含有率は限りなく0に近い値となるまで脱塩
したほうがよい。但し、脱塩に時間を要する等の理由の
ため、ナトリウム28.5mg%、カリウム5.5mg%、カ
ルシウム1.5mg%程度で十分である。
リウム、カルシウムの含有率の測定方法としては、常法
に従い行なえばよい。例えば、乾燥卵白0.5gを密閉容器
にとり、これに濃硝酸5mlと過塩素酸2mlを加え、密
閉後、マイルストーン(株)社製マイクロウェーブシス
テム(mls1200mega)で20分間加熱し分解する。得られ
た分解液を石英ビーカーで加熱乾固し、1%塩酸溶液で
溶解し、一定量に定容する。次いで、原子吸光光度計に
てナトリウム、カリウム、カルシウムの含有率を測定す
ればよい。
する限り、他の成分を添加してもよい。例えば、塩化ナ
トリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カ
リウム、リン酸塩などの塩類、ソルビトール、マルチト
ール、マルトース、ショ糖、グルコース、デキストリ
ン、オリゴ糖、澱粉などの糖類、カゼイン、大豆蛋白、
ゼラチンなどの蛋白質類、キサンタンガム、ジェランガ
ムなどのガム類などを挙げることができる。これらと併
用することで、耐冷凍性や保水性、あるいは、ゲル強度
がより向上したゲルを得ることができる。
ーター(不動工業(株)社製)を用いてプランジャーを
一定の速度で押し当てたときに破断応力が求められる凝
固物をいう。そして、本発明での「ゲル強度」は、レオメ
ーターで破断応力を測定し、その破断応力を指標とし
た。破断応力の数値が高いゲルほど、ゲル強度が強いゲ
ルであり、逆に、破断応力の数値が低いゲルほど、ゲル
強度が弱いゲルである。
ル強度の強いゲルを得ることができる。後の試験例で詳
しく説明するが、脱塩乾燥卵白に、添加する塩類の量と
しては脱塩乾燥卵白に含まれている無機塩類と添加する
塩類の合計量が、脱塩乾燥卵白と添加する塩の総合計量
に対し0.8%以上となるように添加すると、従来技術
よりもゲル強度の強いゲルが得られ、その総合計量に対
し16%程度となるまで塩類を添加することができる。
従って、本発明の脱塩乾燥卵白を用いると加工食品をゲ
ル強化すると同時に塩味をつけることができる。0.8
%未満であると、ゲル強度の強いゲルが得られず、逆
に、16%を超えて添加することも可能だが、塩辛くな
ってしまい実用的ではない。
増すにしたがって、得られるゲルの耐冷凍性は低下する
傾向にあるので、冷凍食品に用いる場合には、塩類の添
加量は、脱塩乾燥卵白と添加する塩類の総合計量に対し
て、脱塩乾燥卵白に含まれる無機塩類と添加する塩類の
合計量が、2.4%以下程度になるように添加するとよ
い。後の試験例で詳しく説明するが、添加する塩類の量
が少なければ少ないほど、耐冷凍性は向上する。よっ
て、耐冷凍性があり、しかも、ゲル強度の強いゲルを得
るには、脱塩乾燥卵白に、該脱塩乾燥卵白と添加する塩
類の総合計量に対し0.8〜2.4%程度の無機塩類が
含まれるように塩類を添加するとよい。
乾燥状態で混合してもよいし、塩類をあらかじめ清水に
溶解した塩溶液を用いて脱塩乾燥卵白を水戻ししてもよ
く、また、水戻しした脱塩乾燥卵白に塩類を添加しても
よい。
水性の優れたゲルを得られるかは、詳しくわからない
が、タンパク質の変性が軽度(部分変性、モルテングロ
ビュール状態と呼ばれる)であると、変性タンパク質間
の反発力と凝集力が適度に釣り合い、部分変性したタン
パク質が相互に会合して繊維状の凝集体が形成され、次
にこれらの凝集体間で疎水結合やS−S結合が生じ、密
な網目構造を形成し、その網目内に水がしっかりトラッ
プされるため、保水性や耐冷凍性が向上すると推察され
る。
で、従来技術よりもさらにゲル強度の強いゲルが得られ
るのは、詳しくはわからないが、未脱塩の乾燥卵白はあ
る程度の熱蔵により、煮えが生じ不溶化してしまうのに
対し、卵白を脱塩することで、より過酷な条件でも煮え
を生じず熱蔵できることから、ゲル強度がより強くなる
方向に卵白蛋白はさらに熱変性することができるのでは
ないかと推察される。しかしながら、もともと無機塩類
が存在しない状態の卵白蛋白はゲルを形成しにくいた
め、塩類を添加することでゲル強度のより強いゲルが得
られるのではないかと推察される。
造方法について説明する。原料の卵白液を常法に従い電
気透析法、限外濾過法、逆浸透膜法、イオン交換樹脂を
用いる方法、セルロース膜などの半透膜を用いた透析法
等を用い脱塩する。脱塩の目安として、卵白液の状態
で、望ましくは、導電率が4mS/cm以下、あるいはナト
リウム含有率が113mg%以下、カリウム含有率が70mg%
以下及びカルシウム含有率が8mg%以下に脱塩するとよ
い。尚、卵白液の状態で、導電率又は、ナトリウム、カ
リウム、カルシウムの含有率を調整しておけば、乾燥
後、熱蔵して水戻ししても、導電率又は、含有率はさほ
ど変化しない。また、ここで、必要に応じ、脱糖処理を
行ってもよい。尚、脱塩処理前に脱糖することもでき
る。
程度に乾燥する。乾燥卵白の水分含量は特に調整する必
要はないが、噴霧乾燥であれば、水分含量10%以下、
通常は6〜8%、静置乾燥であれば水分含量15%以
下、となる。例えば、噴霧乾燥の場合は送風温度160℃
〜170℃、排風温度75℃〜80℃位で乾燥すればよい。尚
ここで、卵白粉の水分含量は4〜14%程度に、より望ま
しくは5〜10%程度に調整するとよい。水分が多くなる
と不溶化してしまうからである。また、乾燥後加湿して
水分を調整してもよい。そして、脱塩した乾燥卵白を必
要に応じ、ポリエチレン製やアルミ製等の容器に充填密
封したり、あるいはそのまま熱蔵する。熱蔵条件として
は、55℃〜120℃で2時間〜1ヶ月間加熱する。必要に応
じ湿度20〜50%程度に加湿するとよい。さらに、このよ
うにして得られた脱塩乾燥卵白に塩類を添加する場合に
は、本発明の脱塩乾燥卵白に直接添加、混合すればよ
い。あるいは清水にあらかじめ塩類を添加してから、本
発明の脱塩乾燥卵白を溶解し、加熱凝固させてもよい。
卵白は、耐冷凍性、保水性に優れたゲルを形成すること
ができる。また、透明感のあるゲルを形成するので、今
まで白濁することによって、使用できなかった食品へも
応用できる。本発明の脱塩乾燥卵白を利用する食品とし
て、例えば、卵スプレッド、トマトソース、サラダ、タ
ルタルソース、ゼリー、魚肉加工品、蓄肉加工品、麺類
など、あるいはこれらを冷凍した食品などに特に利用で
きる。
整後、卵白液に対し酵母を0.1%添加し、卵白液に対
する遊離の糖の含有率が0.02%(検出限界)以下になる
まで脱糖した。電気透析装置(湯浅アイオニクス(株)
社製、イオン交換膜 20cm × 20cm、10セ
ル)を用い、25Vの電圧をかけて脱塩した。酵母等の
少量の不溶物を除くため10000rpmで15分間遠心分離
にかけた。次いで、脱塩した卵白液を噴霧乾燥し加湿器
内にて水分を7%に調整後、アルミ製袋に充填密封し、
80℃で14日間保管して、本発明の脱塩乾燥卵白を得た。
得られた脱塩乾燥卵白を7倍重量の清水で溶解し、電気
伝導度計を用いて25℃にて測定したところ、導電率が
1.00 mS/cmであった。得られた脱塩乾燥卵白を7倍重量
の清水で溶解し、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpHを8.5
に調整した後、折り径22mmの塩化ビニリデン製チューブ
に詰め、90℃30分間加熱しゲルを得た。 得られたゲル
を−25℃で14日間冷凍保管し、常温にて解凍したとこ
ろ、解凍したゲルはスポンジ化しておらず離水も少ない
という耐冷凍性に優れたゲルであった。また、得られた
ゲルは透明であった。
6mm、分画分子量12000)につめ、20kgのイ
オン交換水を透析外液として5℃で攪拌しながら透析し
た。24時間毎に透析外液を交換し、4日間透析した。
透析するときに脱糖も同時に行なうことができたため、
卵白液中の遊離の糖の含有率は、0.02%(検出限界)以
下となった。脱塩した卵白液を噴霧乾燥し、実施例1と
同様にして水分を7%に調整後、アルミ製袋に詰め、90
℃で4日間熱蔵し、本発明の脱塩乾燥卵白とした。得ら
れた脱塩乾燥卵白のナトリウム含有率は200mg%、カリ
ウム含有率は50mg%、カルシウム含有率は13mg%となっ
た。尚、ナトリウム、カリウム、カルシウムの無機塩類
の含有率は、脱塩乾燥卵白0.5gを密閉容器にとり、濃
硝酸5mlと過塩素酸2mlを加え密閉後、マイクロウェーブ
システム(マイルストーン(株)社製)mls1200megaで2
0分間加熱分解し、得られた分解液を石英ビーカーで加
熱乾固し1%塩酸溶液で溶解し一定量に定容、次いで、
原子吸光光度計を用いて測定した。得られた脱塩乾燥卵
白を7倍重量の清水で溶解し、10%のクエン酸溶液でpH
4に調整後折り径22mmのチューブに充填し90℃30分間加
熱しpH4の白色ゲルを得た。対照として、脱塩乾燥卵白
の代りに市販の乾燥卵白(未脱塩、乾燥して熱蔵しただ
けのもの)を用いて同様にpH4に調整したゲルを製した
ところ、市販の乾燥卵白を用いたゲルは多量の離水を生
じたのに対し、本発明の脱塩乾燥卵白を用いたゲルは、
非常に離水が少なく保水性の優れたものであった。
て食塩を、前記脱塩乾燥卵白と添加する食塩の総合計量
に対して1.0%となるように混合した。この食塩入りの
脱塩乾燥卵白に対して7倍重量の清水で溶解後1Nの水酸
化ナトリウム溶液でpH8.5に調整後、折り径22mmの塩化
ビニリデンチューブに詰め、90℃30分間加熱しゲルを得
た。得られたゲルを−25℃7日間冷凍保管し、常温にて
解凍したところ、解凍したゲルはスポンジ化しておらず
離水が少ないという耐冷凍性に優れたゲルであった。ま
た、得られたゲルは透明であった。
て食塩を、前記脱塩乾燥卵白と添加する食塩の総合計量
に対して8.0%となるように混合した。この食塩入りの
脱塩乾燥卵白に対して7倍重量の清水で溶解し、1Nの水
酸化ナトリウム溶液でpH8.5に調整した後、密閉容器に
充填し、90℃30分間加熱しゲルを得た。得られたゲル
は、従来の市販品のゲル強度の強いとされる乾燥卵白よ
りもゲル強度の強いゲルであった。
て食塩を、前記脱塩乾燥卵白と添加する食塩の総合計量
に対して2.0%となるように混合し、食塩入りの脱塩乾
燥卵白に対して7倍重量の清水で溶解した。10%のリン
酸三ナトリウム溶液でpH8.5に調整し、折り径57mmのチ
ューブに詰め、90℃30分間加熱しゲルを得た。得られた
ゲルを一辺が5mmのダイス状にカットしたもの200g、耐
冷凍マヨネーズ(キユーピー(株)社製、「耐冷耐熱マ
ヨネーズU−1」)100g、加熱凝固卵黄100gを混合し卵ス
プレッドとした。このようにして得られた卵スプレッド
を冷凍し解凍したところ、離水が少なく、卵白部の食感
がしっかりとした歯触りのよいものであった。尚、対照
として生卵白を加熱して得たゲルから、上記卵スプレッ
ドを同様に製し、冷凍し解凍して食したところ、ゲルは
スポンジ化して離水が激しく、食することのできるもの
ではなかった。
し、脱塩処理時間を変えて脱塩の度合いの異なる脱塩乾
燥卵白を調製した。それぞれ7倍重量の清水を加えて溶
解後、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、折径57
mmのチューブに詰め、80℃で40分間加熱しゲル調製し
た。得られたゲルをを3cmの厚さに切り、ポリエチレン
製袋に入れて密封し、−25℃の冷凍庫内で7日間保管
した。凍結したゲルを25℃の恒温器内で解凍し、ゲル
から離水してポリ袋内に溜まったドリップの量を測定し
た。また、ドリップを除去後、5枚重ねのろ紙上に得ら
れたゲルを置き、1時間静置して減少した水分量を測定
した。ドリップ量及びろ紙上に置いて減少した水分量を
凍結前のゲル中の水分量で割って、それぞれドリップ
率、離水率とした。ドリップ率と離水率の合計を総離水
率とした。スポンジ化は5名の訓練されたパネラーによ
る目視によって5段階の評価を行なった。得られた脱塩
乾燥卵白の導電率は、実施例1と同様の方法で測定し
た。尚、表中の導電率8.11は未脱塩の乾燥卵白である。
結果を表1に示す。
調製したゲルは、未熱蔵のゲルと比較して、総離水率が
低く、スポンジ化もおこりにくくなっており、つまり、
耐冷凍性が向上したことがわかる。また、導電率が低く
なる程、耐冷凍性が向上していることが理解できる。
し、脱塩の度合いの異なる卵白液を調製するために脱塩
処理時間を変え、また、熱蔵条件を80℃7日間、80℃14
日間とした。各脱塩乾燥卵白に7倍重量の清水を加えて
溶解し、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、折径
57mmのチューブに詰め80℃で40分加熱してゲルを調製し
た。得られたゲルを3cmの厚さに切り、レオメーター
(不動工業(株)製)で、直径8mmの球状プランジャー
を用いて、サンプル移動速度6cm/分で圧縮距離を測定し
た。離水率は、ゲルを4枚重ねのろ紙上に1時間静置し、
減少した水の量を測定し、その値を測定前のゲル中の水
分量で割り離水率として表示した。ゲルの透明性はゲル
を厚さ5mmに切り、8ポイントの英字の上に置き、英
字の見え方によって4段階の評価をした。透明性の試験
は5名の訓練されたパネラーによる目視によって行なっ
た。得られた脱塩乾燥卵白の導電率は実施例1と同じ方
法で測定した。尚、未脱塩の乾燥卵白の導電率は8.11mS
/cmである。結果を表2に示す。
作ったゲルは、未脱塩、あるいは、未熱蔵の乾燥卵白か
ら調製したゲルと比較して、圧縮距離が長く、すなわち
しなやかであり、離水率が低い、すなわち保水性に優
れ、透明度の高いゲルを形成することがわかる。特に導
電率が4mS/cm以下であるとき、より圧縮距離が長く、
離水率が低く、より透明度の高いゲルを形成することが
わかる。
し、脱塩乾燥卵白中のナトリウム、カリウム、カルシウ
ムの含有率の異なる脱塩乾燥卵白を調製するために、脱
塩処理時間を変え、また、熱蔵日数を80℃7日間と80℃1
4日間とした。ナトリウム、カリウム、カルシウムの含
有率の異なる各脱塩乾燥卵白に、7倍重量の清水を加え
て溶解し、1Nの水酸化ナトリウムでpH8.5に調整後、折
径57mmのチューブに詰め、80℃で40分加熱してゲルを調
製した。得られたゲルを試験例2と同様の方法で圧縮距
離、離水率及びゲルの透明性を測定した。得られた脱塩
乾燥卵白に対するナトリウム、カリウム、カルシウムの
含有率は、実施例2と同様の方法にて測定した。尚、未
脱塩の乾燥卵白中の各含有率はナトリウム1297mg%、カ
リウム1156mg%、カルシウム60mg%であった。結果を表3
に示す。
作ったゲルは、未脱塩、あるいは、未熱蔵の乾燥卵白か
ら調製したゲルと比較して、圧縮距離が長い、すなわち
しなやかであり、離水率が低い、すなわち保水性に優
れ、透明度の高いゲルを形成することがわかる。特に脱
塩乾燥卵白に対してナトリウム含有率が900mg%以下、
カリウム含有率が550mg%以下、カルシウム含有率が50mg
%以下であるとき、より保水性に優れ、より透明度の高
いゲルを形成することがわかる。
し、25%酵母懸濁液を64g添加し、37℃で、糖含有率が
卵白液に対して0.02%(検出限界)以下まで脱糖した。
電気透析機(湯浅アイオニクス(株)社製)を用い、脱
塩した卵白液を調製し、少量の不溶物を除くため、1000
0rpmで15分間遠心分離した。上清に1N水酸化ナトリ
ウム溶液を加えてpH6.5に調整した。噴霧乾燥し加湿器
内にて、水分7%に調整し、アルミ製袋に密封して80℃
で14日間熱蔵し脱塩乾燥卵白を調製した。得られた脱塩
乾燥卵白を実施例1と同じ方法にて導電率を測定した。
このときの導電率は1.1mS/cmであった。得られた脱塩
乾燥卵白に、添加する塩類として食塩を割合を変えて添
加したものを試料とした。尚、対照として、市販されて
いるゲル強度の強い乾燥卵白(市販品A、市販品B)を
用いて、同様に食塩を添加したものを試料とした。但
し、市販の乾燥卵白はもともと無機塩類が5.4%含まれ
ているので、無添加の状態で試料に対する全無機塩類含
有率は5.4%である。試料1部に対して清水7部の割合で
水戻し後、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpH8.5に調整
し、折径22mmのチューブに詰め、90℃30分間加熱してゲ
ルを調製した。得られたゲルを3cmの厚さに切りポリエ
チレン製袋に入れて密封し、−25℃、7日間冷凍保管
し、試験例1の方法でドリップ率を測定した。結果を表4
に示す。
塩類と添加する塩類の合計量が、脱塩乾燥卵白と添加し
た塩類の総合計量に対して2.4%以下であれば、ドリッ
プ率が著しく改善されており、これにより耐冷凍性の向
上したゲルを得られることがわかる。
て清水7部の割合で水戻し後、1Nの水酸化ナトリウム溶
液でpH8.5に調整し、折径22mmのチューブに詰め90℃30
分間加熱してゲルを調製し15mmの厚さに切断した。尚、
対照として、市販されているゲル強度の強い乾燥卵白
(市販品A、市販品B)を用いて同様に食塩を添加した
ものを試料として、同様にゲルを調製した。但し、市販
の乾燥卵白はもともと無機塩類が5.4%含まれているの
で、無添加の状態で試料に対する全無機塩類含有率は5.
4%である。切断したゲルをレオメーター(不動工業
(株)社製)により直径6mmの球状プランジャーを用い
て6cm/分の速度でゲル強度と圧縮距離を測定した。離水
率については試験例2と同じ方法で測定を行なった。結
果を表5に示す。
る無機塩類と添加する塩類の合計量が、脱塩乾燥卵白と
添加した塩類の総合計量に対して0.8%以上であると
き、従来の市販のゲル強度の強いとされる乾燥卵白より
も、より、ゲル強度が強く、圧縮距離が長い、つまりし
なやかなゲルが得られたことがわかる。
様の方法で、導電率1.1mS/cmの脱塩乾燥卵白を調製
し、これを試料とした。また、対照として未脱塩で80
℃7日間熱蔵した乾燥卵白を試料とした。乾燥卵白試料
に対して7倍重量の清水に溶解し、1Nの水酸化ナトリウ
ムでpH8.5に調整後、その溶液に上白糖を割合を変えて
添加し、折り径22mmのチューブに詰め90℃で30分間加熱
しゲルを調製した。得られたゲルを3cmの厚さに切り、
ポリエチレン製の袋に密封後−30℃で6日間保管後25℃
で解凍した。ドリップ率、離水率、総離水率を試験例1
と同様に測定した。結果を表6に示す。
塩の乾燥卵白に比較して、上白糖を添加した場合でも、
ドリップ率、離水率、総離水率が低いという耐冷凍性に
優れたゲルを形成することがわかる。
の方法によって、1.1mS/cmの脱塩乾燥卵白を調製し、
これを試料とした。また、対照として未脱塩で80℃7
日間熱蔵した乾燥卵白を試料とした。脱塩乾燥卵白に対
して7倍重量の清水に溶解し、1Nの水酸化ナトリウムで
pH8.5に調整後、その溶液に上白糖を、割合を変えて添
加し、折り径22mmのチューブに詰め90℃で30分間加熱し
たゲルを調製した。得られたゲルを3cmの厚さに切り5
枚重ねのろ紙上に得られたゲルを置き、1時間静置して
減少した水分量を測定し、ろ紙上に置いて減少した水分
量を離水前のゲル中の水分量で割って、離水率とした。
また、得られたゲルを15mmの厚さに切り、試験例5と同
様の方法で圧縮距離を測定した。結果を表7に示す。
白と比較して、上白糖を添加た場合でも、離水率が低い
という保水性に優れたゲルを得られたことがわかる。
し、脱塩の度合いの異なる脱塩乾燥卵白を調製するため
に、脱塩処理時間を変えて脱塩を行ない、熱蔵条件を1
06℃で10時間あるいは120℃で2時間、80℃で
7日間とした。各脱塩乾燥卵白に7倍重量の2%食塩水
を加え溶解あるいは懸濁させ、1N水酸化ナトリウム溶液
でpH8.5に調整後、折り径22mmのチューブに詰
め、90℃で30分間加熱した。得られた脱塩乾燥卵白
の導電率は試験例1と同じ方法で測定した。ゲル強度は
試験例5と同様にして測定した。結果を表8に示す。
乾燥卵白であると、100℃を超える高い温度で短い時
間熱蔵しても不溶化しにくく、80℃の熱蔵条件により
得られるゲルよりも、ゲル強度のより強いゲルを得るこ
とができる。つまり、導電率が4mS/cm以下の脱塩した
乾燥卵白であると、熱蔵期間がより短時間で、よりゲル
強度の強いゲルが得られることがわかる。
し、熱蔵日数を80℃で7日間、とした。得られた脱塩乾
燥卵白を7倍重量の2%食塩水で溶解し、1Nの水酸化ナ
トリウムでpH8.5に調整後、折り径22mmのチューブ
に詰め、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃のそれぞれ
異なる温度で30分間加熱して、得られる状態を比較し
た。対照として、酵母にて乾燥卵白中の遊離の糖含有率
0.16%まで脱糖し、80℃14日間熱蔵して調製した未脱塩
乾燥卵白、及び市販の乾燥卵白を用い、同様に比較し
た。ゲルが形成された場合には試験例5と同様にゲル強
度を測定した。結果を表9に示す。
てゲルを形成する際、未脱塩の乾燥卵白あるいは市販の
乾燥卵白ではゲルを形成することができないような低い
加熱温度でもゲル化することがわかる。さらに、70℃に
おいては、未脱塩の乾燥卵白あるいは市販の乾燥卵白と
比較して、ゲル強度の強いゲルを形成することがわか
る。これにより、従来の乾燥卵白よりも低い温度の加熱
で凝固卵白を得られることが理解できる。
し、熱蔵条件を変えて65℃で4日間とした。得られた脱
塩乾燥卵白を7倍量の清水で溶解した後、2N 塩酸溶液
あるいは2N水酸化ナトリウム溶液でpH4〜10に調
整した。対照として、脱塩し熱蔵しなかったもの、脱塩
をせずに熱蔵したものを用い同様に調製し比較した。こ
れらを折径22mmのチューブに入れ、90℃で30分
加熱した。試験例2と同様にして、ゲルの離水率と透明
度を測定した。但し、離水率の測定はゲルの厚さを15m
mとした。結果を表10に示す。
おいて離水率が少なく保水性に優れたゲルを形成するこ
とがわかる。また、pH7〜10.0の場合、透明なゲルを形
成することも理解できる。
た。但し、脱塩処理時間を変え脱塩の度合いの異なる脱
塩乾燥卵白を調製した。得られた脱塩乾燥卵白の導電率
を実施例1の方法に従って測定したところ、導電率は0.7
5mS/cmであった。脱塩乾燥卵白に7倍重量の清水を加え
て溶解し、溶液のpHを2N塩酸溶液あるいは2N水酸化ナ
トリウム溶液で4〜10に調整した。対照として、脱塩し
熱蔵しなかったもの、脱塩をせずに熱蔵したものを用い
同様に調製し比較した。折り径22mmのチューブに入れ90
℃30分加熱し、ゲルを調製した。得られたゲルを30m
mの厚さに切り、ポリエチレン製袋に入れ、密封して−
30℃の冷凍庫に6日間保管した。25℃で解凍し、ゲ
ルから離水してポリエチレン製袋に溜まったドリップ量
を測定した。さらにドリップを除いた後、ゲルを3枚重
ねのろ紙上に置き、1時間静置して離水量を測定した。
この離水量とドリップ量を合せた値をゲル中の全水分量
で割って凍結保管による総離水量とした。結果を表11に
示す。
いずれのpHでも未脱塩、あるいは、未熱蔵の乾燥卵白
を使ったゲルと比較して、総離水率が低く、つまり耐冷
凍性に優れていることがわかる。
し、脱塩する時間を変えて、実施例1の方法に従って導
電率を測定したところ、導電率は0.75mS/cmであった。
得られた脱塩乾燥卵白に7倍重量の清水を加えて溶解
し、2N 塩酸溶液あるいは2N 水酸化ナトリウム溶液
でpH4〜10に調整した。これらを折径22mmのチ
ューブに入れ、90℃で30分加熱しゲルを調製した。
対照として、脱塩し熱蔵しなかったもの、脱塩をせずに
熱蔵したものを用い同様に調製し比較した。得られたゲ
ルの透明性を試験例2と同様の方法で測定した。ゲルの
保水性はゲルを15mmの厚さに切り、3枚重ねのろ紙
上に1時間静置し、減少した水分量を測定し、加熱凝固
後のゲル中の全水分量に対する割合を求めて離水率とし
た。
いずれのpHにおいても、未脱塩あるいは未熱蔵の乾燥
卵白を用いたゲルよりも、保水性が優れていることがわ
かる。また、未脱塩の乾燥卵白を使ったゲルでは白濁し
てしまうようなpH6〜10において、脱塩乾燥卵白を使っ
たゲルでは透明なゲルが得られることが理解できる。
白は、冷凍しても離水せず、スポンジ化しないつまり耐
冷凍性に優れたゲルを形成する。さらに、保水性に優
れ、中性付近においても透明なゲルを形成する。さら
に、脱塩乾燥卵白に塩類を添加すると、従来のゲル強度
が強い乾燥卵白よりも、よりゲル強度が強いゲルを形成
する。また、従来の乾燥卵白よりも、低温でゲル化し、
また、pH6〜10においては透明なゲルを形成するため、
今まで白濁することで、用い得なかった食品にも利用で
きる。
Claims (3)
- 【請求項1】 脱塩した乾燥卵白を熱蔵してなる脱塩乾
燥卵白。 - 【請求項2】 脱塩乾燥卵白1部に対し清水7部の割合で
水戻ししたときの導電率が4mS/cm以下である請求項1記
載の脱塩乾燥卵白。 - 【請求項3】 脱塩乾燥卵白中の含有率が、ナトリウム
900mg%以下、カリウム550mg%以下及びカルシウム50mg
%以下である請求項1又は2記載の脱塩乾燥卵白。
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