JP2013179887A - 処理卵白およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】割卵機により割卵分別して得た卵白液を原料として用いた処理卵白であって、蛋白質含有量が8質量%以上であり、脂質の含有量が卵白蛋白質100質量部に対して0.1質量部以下であり、蛋白質含有量が10質量%濃度の液状の処理卵白のとき、所定の手順で測定される泡の高さおよび硬さの最大値が、基準液卵白(蛋白質含有量が10質量%であって、卵白蛋白質100質量部に対して0.5質量部の卵黄を含有する液卵白)の泡の高さおよび硬さの最大値に対して、それぞれ110%以上である処理卵白。
【選択図】図1
Description
このような食品に用いられる卵白としては、起泡性の高いものが望まれており、卵白を一定時間泡立てた場合の起泡が高く(起泡の容積が大きく)、かつ起泡が硬いものが求められている。
しかしながら、これらの技術はいずれも、起泡剤を用いるものであり、充分な効果を得るために起泡剤の添加量を増やすと、起泡剤により風味に悪影響がでる場合がある。
そこで、工業的には、卵黄が0.05〜0.2%(卵黄脂質が卵白蛋白質100質量部に対して0.17部〜0.67質量部)程度混入している卵白の起泡性を、卵黄が混入していない卵白と同程度に向上させることが求められている。
また、乾燥した卵白から超臨界二酸化炭素により卵黄脂質を抽出除去する方法によっては、起泡性を、卵黄が混入していない卵白と同程度に向上させることはできなかった。
(1)割卵機により割卵分別して得た卵白液を原料として用いた処理卵白であって、蛋白質含有量が8質量%以上であり、脂質の含有量が卵白蛋白質100質量部に対して0.1質量部以下であり、蛋白質含有量が10質量%濃度の液状の処理卵白のとき、下記の(a)〜(c)の手順で測定される泡の高さおよび硬さの最大値が、基準液卵白(蛋白質含有量が10質量%であって、卵白蛋白質100質量部に対して0.5質量部の卵黄を含有する液卵白)の泡の高さおよび硬さの最大値に対して、それぞれ110%以上である処理卵白、
(a)前記液状の処理卵白500gまたは前記基準液卵白500gと、グラニュー糖500gとを12コートミキサーに入れる。
(b)中速(196rpm)で2.5分間撹拌した後、高速(358rpm)で2.5分間撹拌して泡の高さおよび泡の硬さを測定する。
(c)その後、高速撹拌(358rpm)して2.5分間ごとに泡の高さおよび泡の硬さを測定する。
(2)152,000gで超遠心分離したときの沈殿物の質量が処理卵白全質量の1〜2%である(1)に記載の処理卵白、
(3)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチンおよびα2−オボムチンが検出されることを特徴とする(1)または(2)に記載の処理卵白、
(4)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって得られたバンドパターンにおいて、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたα1−オボムチンのバンドのピーク面積が、処理卵白中のオボトランスフェリンのバンドのピーク面積の20〜50%であり、かつ、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたα2−オボムチンのバンドのピーク面積が、処理卵白中のオボトランスフェリンのバンドのピーク面積の8〜25%である(1)ないし(3)のいずれかに記載の処理卵白、
(5)(1)に記載の処理卵白の製造方法であって、割卵機により割卵分別して得た卵白液を珪藻土、パーライト、セルロース、卵殻、シリカゲル、白土、珪酸、アルミナ、酸化アルミニウム、酸化チタン、活性炭、イオン交換樹脂のうちから少なくとも1種の助剤と混合し、該助剤を除去する工程を含む処理卵白の製造方法、
(6)前記工程を行う前に、前記卵白液をあらかじめ高圧ホモジナイザー処理または超音波処理する、(5)記載の処理卵白の製造方法、
(7)(1)に記載の処理卵白の製造方法であって、前記卵白液を高圧ホモジナイザー処理または超音波処理する工程と、該前記工程を行った卵白液をメンブレンフィルターでろ過する工程を含む処理卵白の製造方法、
(8)(1)ないし(4)のいずれかに記載の処理卵白を用いた食品、
である。
本発明の処理卵白は、割卵機により割卵分別して得た卵白液を原料として用い、蛋白質含有量が8%以上であり、脂質の含有量が卵白蛋白質100部に対して0.1部以下であり、蛋白質含有量が10%濃度の液状の処理卵白のとき、泡の高さおよび硬さの最大値が、蛋白質含有量が10%であって、卵白蛋白質100部に対して0.5部の卵黄を含有する液卵白の泡の高さおよび硬さの最大値に対して、それぞれ110%以上である。
なお、本発明において液状の生卵白と同様の形態とは、生卵白と同様の物性を有し、同等の水分含量(通常88%)であることをいう。
本発明の処理卵白において、卵白としては、鶏卵などの卵を割卵機などで機械的に割卵し、機械的に卵黄を分離して得られる液状の生卵白、これを凍結処理、濃縮処理もしくは乾燥処理したもの、または凍結処理、濃縮処理もしくは乾燥処理したもの、または凍結処理、濃縮処理もしくは乾燥処理した卵白を通常の液状卵白に戻したものなど種々の状態の卵白を使用することができる。また、加熱殺菌処理、脱糖処理、脱リゾチーム処理など種々の処理を施した卵白を使用することができる。
本発明の処理卵白において、このような卵白を得る場合の割卵方法および卵黄の分離方法としては、例えば、共和機械株式会社製の高速割卵機などにより機械的に高速で行われるものが挙げられる。したがって、本発明の処理卵白が原料として使用する卵白には、工業的規模で機械的に割卵した場合に混入する0.05%〜0.2%程度の卵黄が含まれていてもよい。
本発明の処理卵白では、蛋白質の含有量が8%以上であり、10%以上であることが好ましく、10〜50%であることがより好ましい。本発明の処理卵白では、蛋白質の含有量が8%未満の場合、卵黄が混入していない生の卵白液と同等あるいはそれ以上の起泡性が得られない場合がある。
また、蛋白質含有量が50%を超える場合、卵白蛋白質が水に溶解しにくいため好ましくない。
本発明の脂質の含有量は、卵白蛋白質100部に対して0.1部以下であり、0.05部以下であることが好ましく、0.03部以下であることがより好ましい。脂質の含有量を卵白蛋白質100部に対して0.1部以下にすることにより、本発明の処理卵白の起泡性を高めることができ、卵黄が混入していない生の卵白液と同等あるいはそれ以上の起泡性が食品工業的に得ることができる。脂質の含有量が卵白蛋白質100部に対して0.1部を超える場合、卵黄が混入していない生の卵白液と同等あるいはそれ以上の起泡性が得られない。
工業的規模で機械的に殻付き卵を割卵し、卵黄と卵白とを分離する場合、得られる卵白液には、通常0.05〜0.2%程度の卵黄が混入するため、卵黄脂質が0.017〜0.067%(卵白蛋白質100部に対して0.17〜0.67部)混入する。
具体的には、本発明の処理卵白を凍結乾燥や噴霧乾燥等により乾燥し、約100g(Sg)を500mL容共栓なす形フラスコに精密に量り、クロロホルム・メタノール混液(2:1V/V)300mLを加える。還流冷却管を接続した後、65℃に調節した恒温水槽の中に入れる。穏やかに沸騰を始めたら、そのまま約1時間抽出を行う。抽出終了後、冷却管からなす形フラスコを取り外し、ガラスろ過器とNo.2ろ紙を用いて500mL容なす形フラスコに抽出液をろ過し、次いでクロロホルム・メタノール混液で抽出に用いたなす形フラスコとガラスろ過器を洗い、洗液はろ液に合わせる。
捕集したろ液からクロロホルム・メタノール混液を留去させ、フラスコを傾けたときに内容物が粘性を示す程度に濃縮して、乾固させない。
冷却した後、石油エーテル25mLを正確に加えて内容物を溶解させ、さらに硫酸ナトリウム(無水)5〜15gを加え、栓をして1分間振り混ぜた後、すばやく遠心管に移し、遠心分離(3,000rpm、5分間)する。あらかじめ105℃の電気定温乾燥器で1時間乾燥後、デシケーター中で45分間放冷し、恒量(W0g)としたひょう量瓶に遠心上澄み液10mLをすみやかに正確に量り、石油エーテルを留去した後、105℃の電気定温乾燥器で1時間乾燥し、デシケーター中で45分間放冷後、質量を測定する。質量が一定になるまで105℃の電気定温乾燥器での1時間の乾燥、デシケーター中で45分間の放冷を繰り返し、恒量(W1g)を求める。
下記の式で脂質の含有量を求める。
脂質(g/100g)=((W1−W0)×2.5)/S×100
最後に、上記1.2.に記載の方法で求めた蛋白質含有量との比を求める。
本発明の処理卵白は、蛋白質含有量が10%のとき、泡の高さおよび硬さの最大値が、基準液卵白(蛋白質含有量が10%であって、卵白蛋白質100部に対して0.5部の卵黄を含有する液卵白)の泡の高さおよび硬さの最大値に対して、それぞれ110%以上である。
(a)前記処理卵白500gまたは前記基準液卵白500gと、グラニュー糖500gとを12コートミキサーに入れる。
(b)中速(196rpm)で2.5分間撹拌した後、高速(358rpm)で2.5分間撹拌して泡の高さおよび泡の硬さを測定する。
(c)その後、高速(358rpm)撹拌して2.5分間ごとに泡の高さおよび泡の硬さを測定する。
なお、泡の高さは、ミキサーのボール底面から起泡により生じた泡の上端までの高さを測定したものである。泡の硬さは、泡の表面に錘(起泡した卵白との接触面が直径4cmの丸型)をのせて5秒間沈まない錘の重さを調べたものである。
また、特許4806654号には、本発明の起泡性の測定方法に準じた起泡性の測定方法が記載されている。
起泡性の評価は、基準液卵白の泡の高さおよび硬さの最大値を100とし、これに対する本発明の処理卵白の泡の高さおよび硬さの最大値の比で評価する。例えば、基準液卵白の起泡の高さ10cm、本発明の処理卵白の起泡の高さが15cmの場合、次式により基準液卵白に対する起泡の高さの比を求める。
(15/10)×100=150%
本発明の処理卵白では、基準液卵白に対する起泡の高さおよび硬さを、いずれも110%以上にしてあるため、卵白の良好な風味なまま、卵黄が混入していない生の卵白液と同等あるいはそれ以上の起泡性が食品工業的に得ることができる。
本発明の処理卵白は、卵白液を珪藻土、パーライト、セルロース、卵殻、シリカゲル、白土、珪酸、アルミナ、酸化アルミニウム、酸化チタン、活性炭、イオン交換樹脂のうちから少なくとも1種と混合することにより得られる。
前記珪藻土等の助剤と卵白液を混合することにより、卵白の起泡性を低下させる原因となる卵黄や脂質成分を助剤に吸着させ、除去することができる。これにより、卵白の良好な風味のまま、卵黄が混入していない生の卵白液と同等あるいはそれ以上の起泡性が食品工業的に得ることができる。以下、処理卵白の製造方法について説明する。
なお、本発明の処理卵白が原料として使用する卵白には、工業的規模で機械的に割卵した場合に混入する0.05%〜0.2%程度の卵黄が含まれていてもよい。
本発明の処理卵白は、前記助剤が除去されているため、卵白の風味に影響を与えることがなく、卵白本来の風味が保持されている。
さらに、ろ過性が顕著に向上しているため、孔径0.45μm程度のメンブレンフィルター等によっても液卵白をろ過することができる。そのため、高圧ホモジナイザー処理した卵白を本発明の処理卵白に用いる場合、前記珪藻土などの助剤の代わりにメンブレンフィルターを用いることができる。
メンブレンフィルターとしては、精密ろ過膜であって、例えば、セルロース混合エステル、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネートなどの材質でろ過膜が挙げられる。
このような条件の超遠心分離によって、オボムチンなどの分子量が20万以上の物質が沈殿する。したがって、本発明の処理卵白における、この沈殿物の量の減少は、高圧ホモジナイザーまたは超音波処理によって、オボムチンを中心とした蛋白質重合体が解離して低分子化したことを示している。蛋白質重合体を低分子化し、上記超遠心分離の沈殿物量の質量を1〜2%にすることにより、ろ過効率に優れ、高い起泡性を発現する変性した卵白蛋白質を得ることができる。
例えば、高圧ホモジナイザーで液卵白を処理する際の圧力は、処理に使用する高圧ホモジナイザーの種類、流量等にもよっても異なり、特に限定されるものではないが、所望の起泡性を有する処理卵白を短時間で容易に得ることができることから、好ましくは10〜50MPa、より好ましくは10〜40MPaである。
このような範囲の圧力下において、液卵白を処理すると、卵白蛋白質に大きな衝撃力を付与することができ、卵白蛋白質を一層効率よく構造変化及び変性することができる。圧力が10MPa未満であると、卵白蛋白質に付与される衝突力が小さく、卵白蛋白質を変性させにくく、上記基準液卵白に対して起泡の高さおよび硬さが110%以上の処理卵白を得ることができない。また圧力が50MPaを超えると、卵白蛋白質が熱変性して不溶性の凝集物を生成しやすく、上記基準液卵白に対して起泡の高さおよび硬さが110%以上の処理卵白を得にくい。また、50MPaを超えると、卵白が熱変性するという問題も生じやすい。
本発明の一実施形態に係る食品には、上記処理卵白が配合されている。また、本実施形態に係る食品によれば、上記起泡材(または起泡物)が配合されていることにより、ふっくらとしていて口当たりが軽く、かつ、風味が良好である。
4.1.実施例1
4.1.1.処理卵白の調製
400個の殻付き卵を割卵機で割り、全卵から卵白液のみを分離して、10kgの未調整卵白を得た。未調整卵白の脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。
未調整卵白の蛋白質濃度を10%に調製後、品温を約25℃に調整し、高圧ホモジナイザー(イズミフードマシナリ製、型番HV−0H)のインバータ周波数を60Hzに設定して、12.5MPaの圧力で高圧ホモジナイザー処理を1回行った。
高圧ホモジナイザー処理後の脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。
次に、高圧ホモジナイザー処理した卵白液100部に対して、7.5部の珪藻土(巴工業株式会社製、セラトムFW−14)を添加し、1時間撹拌混合した。その後、No.2ろ紙を用いて加圧しながらろ過を行った。ろ液を回収して、実施例1の処理卵白を調製した。
高圧ホモジナイザー処理後の脂質の含有量は、0.002%であり、卵白蛋白質100部に対して0.02部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチン及びα2−オボムチンが検出された。
上記「1.4.気泡性」に記載された方法にしたがって、基準液卵白を調製した。脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。
上記「1.4.気泡性」に記載された方法にしたがって、実施例1の処理卵白の気泡性を調製した。すなわち、下記の条件で測定した。
・撹拌装置:ホバート社製12コートミキサー、A120
・試料 :サンプル溶液500g(20℃)+グラニュー糖500g
・測定項目:泡の高さ、泡の硬さ
・撹拌条件:中速(196rpm)で2.5分間撹拌した後、高速(358rpm)で2.5分間撹拌して泡の高さおよび泡の硬さを測定した。その後、高速で撹拌して2.5分間ごとに泡の高さおよび泡の硬さを測定した。
結果を表1に示す。
実施例1の処理卵白を、56℃で3.5分間加熱し殺菌して、実施例2の処理卵白を調製した。脂質の含有量は、0.002%であり、卵白蛋白質100部に対して0.02部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチン及びα2−オボムチンが検出された。
珪藻土をセルロース(日本製紙ケミカル株式会社製、KCフロックW−300G)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の処理卵白を得た。脂質の含有量は、0.003%であり、卵白蛋白質100部に対して0.03部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチン及びα2−オボムチンが検出された。
珪藻土を卵殻粉末(キユーピー株式会社製、微粉卵殻)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の処理卵白を得た。脂質の含有量は、0.005%であり、卵白蛋白質100部に対して0.05部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチン及びα2−オボムチンが検出された。
手割りで割卵し、卵黄の混入を低減した参考例1の卵白液を調製した。
すなわち、殻付き卵を手割りし、分離器で卵白と卵黄を手で分離し、卵白蛋白質の含有量を10%に調整した。脂質の含有量を測定したところ、脂質の含有量は0.002%であり、卵白蛋白質100部に対して0.02部であった。
珪藻土との混合をしない以外は、実施例1の方法と同様にて、比較例1の処理卵白を調製した。すなわち、未調整卵白の蛋白質濃度を10%に調製後、品温を約25℃に調整し、高圧ホモジナイザー(イズミフードマシナリ製、型番HV−0H)のインバータ周波数を60Hzに設定して、25MPaの圧力で高圧ホモジナイザー処理を1回行い、比較例1の処理卵白を調製した。脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチン及びα2−オボムチンが検出された。
実施例1で得られた処理卵白に対して、卵白蛋白質100部に対して脂質の含有量が0.17部になるよう卵黄を添加し、比較例2の処理卵白を得た。
脂質の含有量は、0.015%であり、卵白蛋白質100部に対して0.15部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチン及びα2−オボムチンが検出された。
また、参考例1の手割りの卵白液と比較して同等の起泡性であった。
400個の殻付き卵を割卵機で割り、全卵から卵白のみを分離して、10kgの未調整卵白を得た。未調整卵白の脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。
次に、未調整卵白の蛋白質濃度を10%に調製後、フードプロセッサー(家庭用ミキサー)で、粘度が7mPa・sになるまで撹拌した。その後、卵白液100部に対して、7.5部のセルロース(日本製紙ケミカル株式会社製、KCフロックW−300G)を添加し、プロペラ式撹拌機で1時間撹拌混合した。その後、5,000rpmで30分間遠心分離し、上清を回収して実施例5の処理卵白を調製した。
脂質の含有量は、0.004%であり、蛋白蛋白質100部に対して0.04部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチンが検出され、α2−オボムチンは検出されなかった。
遠心分離の条件を10,000rpmで30分間とした以外は、実施例5と同様の方法で実施例6の処理卵白を調製した。脂質の含有量は、0.002%であり、卵白蛋白質100部に対して0.02部であった。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチンが検出され、α2−オボムチンは検出されなかった。
特許文献7記載の試験例の製造方法に準じ、処理卵白を調製した。
高圧ホモジナイザーの圧力を、12.5、25、37.5、および50MPaに変え、4種の処理卵白を調製した。
400個の殻付き卵を割卵機で割り、全卵から卵白液のみを分離して、10kgの未調整卵白を得た。未調整卵白の脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。
未調整卵白の蛋白質濃度を10%に調整後、品温を約25℃に調整し、高圧ホモジナイザー(イズミフードマシナリ製、型番HV−0H)のインバータ周波数を60Hzに設定して、12.5、25、37.5、および50MPaの圧力でそれぞれ高圧ホモジナイザー処理を1回行い、4種の液卵白を調製した。高圧ホモジナイザー処理後の脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。
また、実施例5と同様に、卵白の蛋白質濃度を10%に調整後、フードプロセッサー(家庭用ミキサー)で、粘度が7mPa・sになるまで撹拌し、対照の液卵白を調製した。なお、対照の液卵白の脂質の含有量は、0.017%であり、卵白蛋白質100部に対して0.17部であった。
その後、上記5種の試料を、それぞれ上記の測定方法によって沈殿物の質量を測定した。超遠心機は日立工機株式会社製、CS150NXを用いた。結果を表3に示す。
上記5種の試料を、それぞれ上記の方法によって電気泳動を行った。結果を図1に示す。
図1から、デジタルゲルイメージャーによる測定で得られたα1−オボムチンのピーク面積およびα2−オボムチンのピーク面積と、オボトランスフェリンのピーク面積に対する各オボムチンのピーク面積の割合とを算出し、表4に示した。
一方、高圧ホモジナイザー処理した試料は、α1−オボムチンおよびα2−オボムチンのバンドが検出された。
上記5種の試料を、回転速度を380rpmにして、測定時間を表5の通りに変えた以外は4.1.3.と同様の測定方法によって起泡性を測定した。結果を表5に示す。
実施例2で得られた処理卵白を用いて、下記のようにスポンジケーキを製造した。
すなわち、実施例1で得られた処理卵白700部に砂糖375部を加えてミキサー(ホバート社製12コートミキサー、A120)に投入し高速で1 5 分間撹拌して起泡させた。
実施例1で得られた処理卵白を用いて、下記のようにスポンジケーキを製造した。
すなわち、まず、実施例2で得られた処理卵白340部に砂糖60部を加えてミキサー(応用例1と同じ)で高速で10分間撹拌して起泡させた。これとは別に、液卵黄160部と砂糖140部を同様にミキサーで起泡させた。次に、これらの起泡物と予め粉体混合した小麦粉(薄力粉)180部及びコーンスターチ20部を混合機で混ぜて生地を得た。続いて、得られた生地を20gずつ絞り袋で天板上に絞り出し、少量の粉糖をふり、180℃のオーブンで13分間焼成してブッセを得た。
実施例2で得られた処理卵白を用いて、下記のようにメレンゲ菓子を製造した。すなわち、まず、実施例1で得られた処理卵白70部及び砂糖30部をミキサー(応用例1と同じ)に投入し、高速で15分間撹拌して起泡させた。次にこの起泡物を直径8cmのスフレ型に35gずつ絞り出した後、250℃のオーブンで5 分間焼成して、メレンゲ菓子を得た。
実施例 で得られた処理卵白を用いて、下記のようにスフレオムレツを製造した。
すなわち、まず、実施例3で得られた処理卵白50部と卵黄50部を撹拌混合して起泡し、得られた起泡物を、油を引いたフライパンに流し込み、加熱凝固させて成型し、スフレオムレツを得た。
Claims (8)
- 割卵機により割卵分別して得た卵白液を原料として用いた処理卵白であって、
蛋白質含有量が8質量%以上であり、
脂質の含有量が卵白蛋白質100質量部に対して0.1質量部以下であり、
蛋白質含有量が10質量%濃度の液状の処理卵白のとき、
下記の(a)〜(c)の手順で測定される泡の高さおよび硬さの最大値が、
基準液卵白(蛋白質含有量が10質量%であって、卵白蛋白質100質量部に対して0.5質量部の卵黄を含有する液卵白)の泡の高さおよび硬さの最大値に対して、それぞれ110%以上である処理卵白。
(a)前記液状の処理卵白500gまたは前記基準液卵白500gと、グラニュー糖500gとを12コートミキサーに入れる。
(b)中速(196rpm)で2.5分間撹拌した後、高速(358rpm)で2.5分間撹拌して泡の高さおよび泡の硬さを測定する。
(c)その後、高速撹拌(358rpm)して2.5分間ごとに泡の高さおよび泡の硬さを測定する。 - 152,000gで超遠心分離したときの沈殿物の質量が処理卵白全質量の1〜2%である請求項1に記載の処理卵白。
- SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、α1−オボムチンおよびα2−オボムチンが検出されることを特徴とする請求項1または2に記載の処理卵白。
- SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって得られたバンドパターンにおいて、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたα1−オボムチンのバンドのピーク面積が、処理卵白中のオボトランスフェリンのバンドのピーク面積の20〜50%であり、かつ、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたα2−オボムチンのバンドのピーク面積が、処理卵白中のオボトランスフェリンのバンドのピーク面積の8〜25%である請求項1ないし3のいずれかに記載の処理卵白。
- 請求項1に記載の処理卵白の製造方法であって、割卵機により割卵分別して得た卵白液を珪藻土、パーライト、セルロース、卵殻、シリカゲル、白土、珪酸、アルミナ、酸化アルミニウム、酸化チタン、活性炭、イオン交換樹脂のうちから少なくとも1種の助剤と混合し、該助剤を除去する工程を含む処理卵白の製造方法。
- 前記工程を行う前に、前記卵白液をあらかじめ高圧ホモジナイザー処理または超音波処理する、請求項5記載の処理卵白の製造方法。
- 請求項1に記載の処理卵白の製造方法であって、前記卵白液を高圧ホモジナイザー処理または超音波処理する工程と、該前記工程を行った卵白液をメンブレンフィルターでろ過する工程を含む処理卵白の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の処理卵白を用いた食品。
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