JP4420881B2 - タマゴサラダ - Google Patents

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Description

本発明は、製造後の保存期間が長くなっても、加熱凝固卵白が硬い食感となり難い上にタマゴサラダ特有の好ましい風味を有するタマゴサラダに関する。
茹で卵のダイスカット等をマヨネーズ等の酸性調味料で和えたタマゴサラダは、製造後時間が経過すると、茹で卵の卵白部分、すなわち、加熱凝固卵白が酸変性により変性して硬い食感となってしまい、製造直後の加熱凝固卵白が有していたソフトな食感が損なわれてしまう問題があった。特に、容器詰めされて流通される業務用の製品のように、製造してから食されるまでの保存期間が長くなる場合には、このような問題が顕著であった。
前記問題を解決することを目的として、特開平8−103248号公報(特許文献1)には、茹で卵を乳化剤およびプルランの併用処理に付す方法が提案されている。また、特開2000−60493号公報(特許文献2)には、メタリン酸塩を吸収してなる凝固卵白と酸性調味料とからなる卵食品が提案されている。しかしながら、これらの技術では加熱凝固卵白が酸変性により硬い食感となることをある程度は防止できるものの、依然として十分とは言い難く、また、加熱凝固卵白が乳化剤、プルラン、メタリン酸塩等により処理されているため、加熱凝固卵白の風味が不自然なものとなってしまう問題があった。
このような状況下、本発明者は、加熱凝固卵白の酸変性を防止するにあたり、加熱凝固卵白を添加剤等で処理するのではなく、タマゴサラダに直接アルカリ材を添加することを着想し種々のアルカリ材をタマゴサラダに配合することを試みた。しかしながら、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ材を添加してタマゴサラダのpHを上昇させると、加熱凝固卵白が酸変性により硬い食感となることがある程度防止される傾向は見られたものの、効果が充分に得られるようにアルカリ材の添加量を増やすと酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の風味のバランスが崩れてしまうことから、結局のところ、加熱凝固卵白が酸変性により硬い食感となることを防止することができなかった。
特開平8−103248号公報 特開2000−60493号公報
そこで、本発明の目的は、製造後の保存期間が長くなっても、加熱凝固卵白が硬い食感となり難い上にタマゴサラダ特有の好ましい風味を有するタマゴサラダを提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、アルカリ性の食材である液卵白を加熱処理により改質した未凝固卵白は、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ材に比べて、加熱凝固卵白が酸変性により硬い食感となることを防止する効果が高い上に、前記未凝固卵白はタマゴサラダに比較的多量に配合しても、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の風味のバランスを損なうことがないことを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白が配合されてなるタマゴサラダ、
(2) 前記未凝固卵白の配合量が酸性調味料100部に対して、0.5〜50部である(1)記載のタマゴサラダ、
(3) 請求項1又は2記載のタマゴサラダが容器詰めされてなる容器詰めタマゴサラダ、
である。
本発明によれば、製造後の保存期間が長くなっても、加熱凝固卵白が硬い食感となり難い上にタマゴサラダ特有の好ましい風味を有するタマゴサラダを提供することができる。したがって、特に、容器詰めされて流通される業務用の製品のように、製造から食するまでの保存期間が長い容器詰めされた製品に応用することで、これらの需要を拡大できる。
以下、本発明のタマゴサラダを詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明のタマゴサラダは、截断された加熱凝固卵白を酸性調味料で和えた食品である。このようなタマゴサラダとしては、使用用途に特に制限はなく、例えば、食パンに等に塗り広げて使用するスプレッド、サンドイッチ等のフィリング、コロッケ等の具、各種料理のトッピング等として各種用途に用いられているものが含まれる。また、前記加熱凝固卵白の截断物に加えて、加熱凝固卵黄の截断物や野菜等の截断物等を配合したものであってもよい。
本発明のタマゴサラダに用いる前記加熱凝固卵白とは、鶏卵から得られる液卵白が加熱凝固したものであり、具体的には、例えば、殻付き生卵をそのまま加熱凝固して得られる茹で卵の卵白部分や、殻付き生卵を割卵して卵黄と分離して得られる生液卵白、これを殺菌、凍結、濃縮等の各種処理を施した液卵白、乾燥卵白を水戻した液卵白等を加熱凝固したもの等、通常のタマゴサラダに用いられるものであればよい。
これら加熱凝固卵白は截断処理された截断物として用いられるが、截断処理の手段や截断物の形状等に特に制限は無く、例えば、ダイサー等の截断処理機を用い、立方体や直方体の形状に適宜截断条件を調節して截断されたものであればよい。また、加熱凝固卵白の截断物の大きさは、タマゴサラダの用途により適宜調節すればよいが、加熱凝固卵白の食感や風味が適度に感じられ、また、酸性調味料と和えた時のタマゴサラダとしての一体感が得られ易いことから、0.1〜30cmとすることが好ましい。更に、本発明によれば加熱凝固卵白が硬い食感となることを防止できることから、より酸変性して硬くなり易い小さな加熱凝固卵白の截断物、具体的には、体積が好ましくは10cm以下、より好ましくは5cm以下の加熱凝固卵白の截断物が用いられているタマゴサラダにおいて本発明は好適に実施できる。
また、本発明のタマゴサラダに用いる酸性調味料とは、一般的に酸性調味料と称されるpHが3〜5の半固体状又は液状の調味料のことであり、このような酸性調味料としては、具体的には、マヨネーズやサラダクリーム等の半固体状ドレッシング、サウザンドレッシングやフレンチドレッシング等の乳化液状ドレッシング、中華ドレッシング等の分離液状ドレッシング、青じそドレッシング等のノンオイルドレッシング等の他、酢やこれを用いた調味液等が挙げられる。このような酸性調味料の中でも、本発明においては、タマゴサラダに配合する後述の未凝固卵白が加熱処理により不溶化物を生じていることから、このような不溶化物が外観上目立たないマヨネーズ、サラダクリーム、サウザンドレッシング、フレンチドレッシング等の水中油型に乳化された酸性調味料を用いたタマゴサラダにおいて本発明は好適に実施できる。
本発明のタマゴサラダにおける加熱凝固卵白と酸性調味料の配合量は、タマゴサラダを用いる用途等により適宜調節すればよいが、卵の風味と酸性調味料の酸味のバランスを考慮すると、加熱凝固卵白と酸性調味料の合計配合量を100部とした時に、加熱凝固卵白を30〜90部、酸性調味料を10〜70部とすることが好ましい。
本発明は、このようなタマゴサラダであって、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白が配合されてなることを特徴とする。
ここで、未凝固卵白とは、凝固していない卵白、すなわち、凝固卵白でない卵白をいう。つまり、凝固卵白であるかどうかは、当該卵白1gを塊状に取り出して平板上に静置したときに、塊状に取り出した当初の形状が静置後も保持されるかどうかで判定でき、このような凝固卵白に該当しないものが未凝固卵白である。未凝固卵白としては、具体的には、例えば、生液卵白のような液状の卵白や増粘した高粘度の液状の卵白、あるいは、ゆるやかにセットしているが完全に凝固していない卵白等が挙げられ、これらは、タマゴサラダに配合されて加熱凝固卵白や酸性調味料等と混合されると、酸性調味料中に容易に分散されるとともに、この未凝固卵白が分散した酸性調味料が加熱熱凝固卵白等と混合されるものである。
本発明で用いる未凝固卵白は、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理されたものであるが、この不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合とは、SDS−PAGE電気泳動法[ラエムリー(Laemmli)法]により、以下のように測定した値である。まず未凝固卵白5gを採取して遠心分離機(國産遠心器(株)製H−200NR)にて遠心分離(3948G×10分間)を行い不溶化した蛋白質を沈澱させる。この遠心分離により得られた上澄み液1mlを、0.9%生理食塩水で18倍希釈し、さらに、SDS−PAGE用サンプルバッファー(還元剤メルカプトエタノール入り)にて5倍希釈を行い、沸騰水中で約5分間の加熱を行うことにより試料を調製する。使用するゲルとしては、テフコゲルSDS−PAGEミニグラジエントゲル(TEFCO−GEL SDS−PAGE mini GRADIENT GEL)を用い、ポリアクリルアミドゲル濃度勾配は4〜20%とする。その他の泳動条件としては、20mA、約1時間とし、クーマシーブルー染色法を用いる。このような条件で行ったSDS−PAGE電気泳動法により、種々の蛋白質のバンドが現れるが、オボトランスフェリンは、分子量約77000のところに現れる。この電気泳動法により得られたゲルの映像をウルトラルム社(Ultra−Lum,Inc.)製「ウルトラカム4100デジタルイメージングアンドアナリシスシステム(ULTRA−CAM 4100 Digital Imaging and Analysis System)」にて取り込み、画像解析ソフト、ノンリニヤーダイナミックス社(Nonlinear Dynamics Ltd.)製「トータルラブ(TotalLab)」にて、個々の蛋白質が示すバンドの着色度合い(濃度)を解析することにより、蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合を測定する。以上により、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合を測定できる。この不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合は、未凝固卵白が強く加熱されればされるほど低下する。具体的には、この上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合は、不溶化物を含まない生液卵白を試料とした場合は12〜13%となるが、この生液卵白を加熱処理すると生液卵白中に不溶化物が徐々に生じていき、それにともなって前記上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合が低下していく。これは、オボトランスフェリンが卵白中の可溶性蛋白質の中でも、比較的弱い加熱で熱変性して不溶化する性質を有するため、加熱されると他の蛋白質より先に不溶化し、その結果、上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合が低下するからである。したがって、このような不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合を測定することにより、未凝固卵白の加熱処理の程度を表すことができる。
このような本発明で用いる未凝固卵白は、卵白中の特定の蛋白質が一定量以上加熱変性して不溶化したものであり、外観や風味等、生液卵白と異なる状態に改質されたものである。本発明においては、このように特定の状態に加熱処理された未凝固卵白をタマゴサラダに配合することにより、はじめて、製造後の保存期間が長くなっても、加熱凝固卵白が硬い食感となり難い上にタマゴサラダ特有の好ましい風味を有するタマゴサラダが得られる。
加熱処理された未凝固の卵白としては、サルモネラ菌や大腸菌群を陰性にすることを目的として加熱殺菌処理されたいわゆる殺菌液卵白が知られているが、この殺菌液卵白は、生液卵白が有する起泡力や加熱凝固力等の様々な性質が損なわれないように加熱処理されるもので、外観や風味等生液卵白に近い性質を有するものであり、また、生卵白と同様に不溶化物を含まないことから、前述した不溶化物を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合を測定すると生液卵白と同様の12〜13%の値となるものである。このようないわゆる殺菌液卵白をタマゴサラダに配合した場合は、後述の比較例に示すように、加熱凝固卵白が硬い食感となることを防止する効果が充分に得られず、また、風味の点からも酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の風味のバランスを損ない易いことから好ましくない。また、例えば炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ材を配合した場合も同様に、加熱凝固卵白が硬い食感となることを防止する効果が充分に得られず、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の風味のバランスを損ない易いことから好ましくない。
前記不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白を得るには、殻付き生卵や、殻付き生卵を割卵して卵黄と分離して得られる生液卵白、これを殺菌、凍結、濃縮等の各種処理を施した液卵白、乾燥卵白を水戻した液卵白等をパウチやケーシング等に充填したものをボイル槽等による湯せん加熱や、スチーマー等による蒸気加熱等により前記特定の状態となるように加熱処理すればよい。加熱処理条件としては、オボトランスフェリンが加熱変性により不溶化し易いことから液卵白が好ましくは58℃以上、より好ましくは60℃以上に保持されるように加熱処理温度を調節し、前記特定の状態となるように加熱処理時間を調節すればよい。この際、加熱処理温度を例えば58〜65℃程度に調節して、加熱処理する液卵白全体を前記未凝固卵白としてもよく、また、加熱処理温度を比較的高温の例えば75〜100℃程度に設定して、加熱処理する液卵白の外層は加熱凝固させ、熱の伝わり難い内層のみを前記未凝固卵白としてもよい。なお、後者の場合には、外層が加熱凝固して内層が未凝固の状態の卵白をそのまま截断してタマゴサラダに配合すると、加熱凝固卵白と未凝固卵白が同時に得られ、簡便に本発明のタマゴサラダを製することができる。
本発明で用いる前記特定の状態に加熱処理された未凝固卵白は、原料卵白の性質によりアルカリ性を有する。具体的には、原料とする液卵白によっても異なるが、通常、pH7.5〜11.0程度である。本発明においては、加熱凝固卵白が硬い食感となることを防止する効果が得られ易い点から、pHが高い原料卵白を選択することにより、前記未凝固卵白のpHを8.5〜11.0とすることが好ましい。
前記特定の状態に加熱処理された未凝固卵白の配合量は、用いる酸性調味料の種類や、タマゴサラダの加熱凝固卵白と酸性調味料の配合割合等により異なるが、酸性調味料100部に対して、0.5〜50部とすることが好ましい。これにより、加熱凝固卵白が硬い食感となることを防止する効果が得られ易く、また、風味の点からもより好ましいタマゴサラダが得られ易い。なお、加熱凝固卵白が硬い食感となることを防止する効果がより得られ易い点から、未凝固卵白の配合量は、酸性調味料100部に対して、好ましくは1部以上、より好ましくは5部以上である。また、タマゴサラダ特有のより好ましい風味を有するタマゴサラダを得る点からは、未凝固卵白の配合量は、酸性調味料100部に対して、好ましくは30部以下、より好ましくは20部以下である。
本発明のタマゴサラダのpHは、前述した特定の状態に加熱処理された未凝固卵白を配合することにより、好ましくは5.5以上に調整することが好ましく、6.0以上に調整することがより好ましい。このようなpHに調整することにより、加熱凝固卵白が硬い食感となることを防止する効果がより得られやすい。なお、タマゴサラダのpHは、あまり高すぎてもタマゴサラダ特有の好ましい風味が得られ難いことから、7.0以下に調整することが好ましく、6.8以下に調整することがより好ましい。
本発明のタマゴサラダには、前述した原料の外に、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、動植物等のエキス類等の各種調味料、からし粉、胡椒等の香辛料、オリゴ糖、水あめ等の糖類、酢酸ナトリウム、グリシン、ポリリジン、卵白リゾチーム、プロタミン等の保存料、キレート剤等を適宜配合することができる。
本発明のタマゴサラダの製造方法は、特に限定するものではなく、前述した原料を、常法により混合してタマゴサラダを製すれば良い。すなわち、まず、加熱凝固卵白、酸性調味料、オボトランスフェリンの割合が特定以下となるように加熱処理された本発明の未凝固卵白、更に必要に応じて、清水、調味料、香辛料、保存料、その他の食品原料や食材を用意し、これらの原材料を、ホバートミキサー、カントーミキサー、フードミキサー、ハンドミキサー、ニーダー、攪拌装置付き二重釜、煮練機、炒め機等の混合機等の攪拌混合機に投入し、常法により攪拌混合することによりタマゴサラダを製することができる。この際、未凝固卵白は、予め酸性調味料と混合しておき、それを加熱凝固卵白と混合してもよい。
製したタマゴサラダは、必要に応じて、耐熱性ナイロンポリ袋等に充填密封して容器詰めして、チルド温度(0〜15℃)や常温(15〜30℃)で流通させる製品とすることができる。
以上のようにして製した本発明のタマゴサラダは、製造後の保存期間が長くなっても、加熱凝固卵白が硬い食感となり難い上にタマゴサラダ特有の好ましい風味を有するものとなる。このような効果が得られる理由は定かではないが、本発明で用いる特定の状態に加熱処理した未凝固卵白は、原料である卵白の性質によりアルカリ性であることから、タマゴサラダのpHを上昇させ、更に、単にpHを上昇させるだけでなく、含まれる不溶化した蛋白質、可溶性の蛋白質、糖類等の成分が複合的に加熱凝固卵白に作用することにより加熱凝固卵白が酸変性により硬い食感となることを防止できるものと推察される。また、前記未凝固卵白は、風味の点からも生卵白と異なるように改質されたものであることから、比較的多量に配合しても、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の風味のバランスを損なうことがないものと推察される。
以下、本発明の実施例及び比較例を述べ、本発明を更に説明する。なお、以下の実施例及び比較例においてpHの値は、品温20℃においてpHメーター(MP225、メトラー・トレド社製)を用いて測定した値である。この際、未凝固卵白のpHを測定する場合には、未凝固卵白をそのまま試料として測定し、タマゴサラダのpHを測定する際には、タマゴサラダ10gをストマッカー袋に採り、清水で10質量倍に希釈し、オレガノ社製ストマッカー(400−T)を用いてノーマルスピードで60秒間、ストマッカー処理し、その処理物を試料として測定した。
[実施例1]
(1)未凝固卵白の製造
生液卵白(pH8.8)5kgを500gずつ折径60mmのナイロン製のケーシングに充填し、これらを湯温が61℃のボイル槽で20分間加熱処理した。これらの加熱処理した卵白をナイロン製ケーシングから攪拌タンクに取り出したところ、いずれも白濁物が生じた液状の状態であり、凝固していなかったことから、未凝固卵白5kgが得られた。得られた未凝固卵白の不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合は9%であり、pHは9.0であった。
(2)茹で卵のダイスカット品の製造
殻付生鶏卵を95℃の湯中で12分間茹でた後、4℃の冷水にて冷却し、殻を剥いて茹卵を得、これをダイサーで一辺がlcmのダイス状に截断することにより茹卵のダイスカット品を得た。得られた茹で卵のダイスカット品は、体積1cmであり、また、加熱凝固卵白が70部、加熱凝固卵黄が30部であった。
(3)タマゴサラダの製造
下記の配合に基づき、以下に説明するように製造した。
(1)で製した未凝固卵白 5.0kg
(2)で製した茹で卵のダイスカット品※1 70.0
マヨネーズ※2 24.7
食塩 0.3
――――――――――――――――――――――――
合計100kg
※1:加熱凝固卵白が70部、加熱凝固卵黄が30部
※2:植物油脂70%、液卵黄15%、食酢12%、調味、香辛料3%から常法により調製したもの、pH4.0
(1)で製した未凝固の卵白、(2)で製した茹卵のダイスカット品、マヨネーズ、及び食塩をホバートミキサーを用いて攪拌混合してタマゴサラダを得た。攪拌混合により、未凝固卵白は、酸性調味料と混ざるようにしてタマゴサラダ中に分散され、外観上目立たなくなった。得られたタマゴサラダの酸性調味料100部に対する未凝固卵白の配合量は20部であった。また、得られたタマゴサラダのpHは6.5であった。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、加熱凝固卵白はソフトな食感を有しており、また、タマゴサラダはタマゴサラダ特有の好ましい風味を有していた。
更に、得られたタマゴサラダを、1kgずつナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で二週間保存した後に食したところ、製造直後と同様に、加熱凝固卵白はソフトな食感を有し、また、タマゴサラダはタマゴサラダ特有の好ましい風味を有していた。
[実施例2]
実施例(1)において、未凝固卵白を製する際の加熱処理条件を変えた他は、実施例(1)と同じ製法で未凝固卵白を得た。すなわち、生液卵白を充填したケーシングを湯温が63℃のボイル槽で60分間加熱処理した。これらの加熱処理した卵白をナイロン製ケーシングから攪拌タンクに取り出したところ、いずれも白濁して増粘していたが凝固していなかったことから、未凝固卵白5kgが得られた。得られた未凝固卵白の不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合は0%であり、pHは9.0であった。この得られた未凝固卵白を用いた他は、実施例1(2)及び(3)と同じ製法でタマゴサラダを製した。得られたタマゴサラダの酸性調味料100部に対する未凝固卵白の配合量は20部であった。また、得られたタマゴサラダのpHは6.4であった。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、加熱凝固卵白はソフトな食感を有しており、また、タマゴサラダはタマゴサラダ特有の好ましい風味を有していた。
更に、得られたタマゴサラダを、1kgずつナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で二週間保存した後に食したところ、製造直後と同様に、加熱凝固卵白はソフトな食感を有し、また、タマゴサラダはタマゴサラダ特有の好ましい風味を有していた。
[実施例3]
(1)加熱凝固卵白のダイスカット品及び未凝固卵白の製造
生液卵白(pH8.8)6kgをステンレス製のバット(縦20cm×横15cm×高さ15cm)に3kgずつ充填した。充填した液卵白の高さは、10cmであった。これを雰囲気温度が90℃のスチーマーで40分間加熱して卵白の加熱処理物を得た。この卵白の加熱処理物をバットから取り出して包丁で1辺が1cmのダイス状にカットしたところ、卵白の加熱処理物の内層部が未凝固であったため、結果的に、5.7kgの加熱凝固卵白のダイスカット品と、300gの未凝固卵白が得られた。得られた未凝固卵白の不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合は7%であり、pHは9.0であった。
(2)加熱凝固卵黄のダイスカット品の製造
生液卵黄1.5kgを500gずつ折径60mmのナイロン製のケーシングに充填し、これらを湯温が80℃のボイル槽で40分間加熱処理した。これらの加熱処理した卵黄をナイロン製ケーシングから取り出し、ダイサーで一辺がlcmのダイス状に截断することにより加熱凝固卵黄のダイスカット品を得た。
(3)タマゴサラダの製造
下記の配合に基づき、以下に説明するように製造した。
(1)で製した加熱凝固卵白ダイスカット品及び未凝固卵白※1 6.0kg
(2)で製した加熱凝固卵黄のダイスカット品 1.5
マヨネーズ※2 2.5
食塩 0.03
―――――――――――――――――――――――――――――――――
合計10.03kg
※1:加熱凝固卵白のダイスカット品95%、未凝固卵白5%
※2:植物油脂70%、液卵黄15%、食酢12%、調味、香辛料3%から常法により調製したもの、pH4.0
まず、(1)で製した卵白の加熱処理品(加熱凝固卵白のダイスカット品95%、未凝固卵白5%)、(2)で製した加熱凝固卵黄のダイスカット品、マヨネーズ及び食塩を、ホバートミキサーを用いて攪拌混合してタマゴサラダを製した。攪拌混合により、未凝固卵白は、酸性調味料と混ざるようにしてタマゴサラダ中に分散され、外観上目立たなくなった。得られたタマゴサラダの酸性調味料100部に対する未凝固卵白の配合量は12部であった。また、得られたタマゴサラダのpHは6.5であった。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、加熱凝固卵白はソフトな食感を有しており、また、タマゴサラダはタマゴサラダ特有の好ましい風味を有していた。
更に、得られたタマゴサラダを、1kgずつナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で二週間保存した後に食したところ、製造直後と同様に、加熱凝固卵白はソフトな食感を有し、タマゴサラダはタマゴサラダ特有の好ましい風味を有していた。
[比較例1]
実施例1において、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白を配合しない他は、実施例1と同じ配合と製法でタマゴサラダを製した。得られたタマゴサラダのpHは6.3であった。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、加熱凝固卵白はソフトな食感を有しており、また、タマゴサラダは、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の好ましい風味を有したものであった。
更に、この得られたタマゴサラダを、1kgずつナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で二週間保存した後に食したところ、加熱凝固卵白が硬い食感となっており、好ましくないものであった。
[比較例2]
実施例1において、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白を配合せず、代わりに殺菌液卵白(生液卵白を常法によりバッチ式で54℃×10分間の条件で加熱殺菌処理したもの、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中の蛋白質全量に対するオボトランスフェリンの割合は13%、pH8.9)を配合した他は同じ配合と製法でタマゴサラダを製した。得られたタマゴサラダのpHは6.5であった。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、加熱凝固卵白はソフトな食感を有していたが、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の好ましい風味のバランスが損なわれており、好ましいものではなかった。
更に、得られたタマゴサラダを、1kgずつナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で二週間保存した後に食したところ、加熱凝固卵白がやや硬い食感となっており、また、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の好ましい風味のバランスも損なわれていることから、好ましいものではなかった。
[比較例3]
実施例1において、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白を配合せず、代わりに炭酸水素ナトリウムを実施例1のタマゴサラダと同じpHとなるように配合した他は同じ配合と製法でタマゴサラダを製した。得られたタマゴサラダのpHは6.5であった。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、加熱凝固卵白はソフトな食感を有していたが、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の好ましい風味のバランスが損なわれており、好ましいものではなかった。
更に、得られたタマゴサラダを、1kgずつナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で二週間保存した後に食したところ、加熱凝固卵白がやや硬い食感となっており、また、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の好ましい風味のバランスも損なわれていることから、好ましいものではなかった。
以上の実施例及び比較例より、不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白が配合されてなる実施例1乃至3のタマゴサラダは、保存後も加熱凝固卵白が硬い食感となり難い上にタマゴサラダ特有の好ましい風味を有することが理解できる。これに対して、未凝固卵白が配合されていない比較例1のタマゴサラダは、加熱凝固卵白が硬い食感となった。また、本発明の未凝固卵白に該当しない殺菌液卵白を配合した比較例2のタマゴサラダは、加熱凝固卵白が硬い食感となることが充分に防止されていないことに加えて、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の好ましい風味のバランスも損なわれてしまい好ましくなかった。更に、未凝固卵白の代わりに炭酸水素ナトリウムを配合した比較例3のタマゴサラダも、加熱凝固卵白が硬い食感となることが充分に防止されていないことに加えて、酸性調味料で調味されるタマゴサラダ特有の好ましい風味のバランスも損なわれてしまい好ましくなかった。

Claims (3)

  1. 不溶化した蛋白質を遠心分離により除去した上澄み液中のオボトランスフェリンの割合が、上澄み液中の蛋白質全量に対して10%以下となるように加熱処理された未凝固卵白が配合されてなることを特徴とするタマゴサラダ。
  2. 前記未凝固卵白の配合量が酸性調味料100部に対して、0.5〜50部である請求項1記載のタマゴサラダ。
  3. 請求項1又は2記載のタマゴサラダが容器詰めされてなる容器詰めタマゴサラダ。
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