JP4839040B2 - 清澄性の高い卵白加水分解物の製造方法 - Google Patents

清澄性の高い卵白加水分解物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アミノ酸供給素材として利用する卵白ペプチドの製造方法において、強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去し、酸性にした後、酸性プロテアーゼにてアミノ基量が分解前の10倍以上40倍以下になるまで分解した後、pHを8.5以上とし、バチルス リチェンホルミス(Bacillus lichenniformis), バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus Rokko),バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)及びバチルス群(Bacillus sp.)より選ばれる菌体より選ばれる1種又は2種以上のプロテアーゼにて分解する清澄性を向上させた卵白ペプチドの製造方法に関する。
従来、アミノ酸供給素材として利用するペプチドとして、乳蛋白や植物蛋白を原料にした場合は苦味が強くなるのに比べ、卵白の場合は風味が良好であることが知られているが、卵白ペプチドの製造においては、その酵素による加水分解の効率が悪く、清澄性が得られないまま、ろ過や遠心分離により不溶物を除去し清澄性を向上させてきた。(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、ろ過や遠心分離による不溶物の除去は、不溶物が多量に水を含んだ粘性の高い性状なため、清澄液の収率が悪く、廃棄物の処理費用などに工業的な製造において問題があった。ろ過や遠心分離により不溶物の除去された卵白ペプチド及び清澄性の低い卵白ペプチドは、レトルト殺菌など高温殺菌において、粘度が著しく上昇し、乳化破壊や成分分離などが発生し最終製品の性状を大きく変える問題があり、製造工程において廃棄物が発生せず、最終製品の性状に影響を及ぼさない卵白ペプチドの製造方法が望まれていた。
特許公告平3−75144号公報(第1−4頁)
本発明は、上述のごとく製造工程において廃棄物が発生せず、最終製品の性状に影響を及ぼさない清澄性の高い卵白ペプチドを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、卵白の加水分解時の塩濃度を調整し、酸性プロテアーゼにて特定の分子量に調整した後プロテアーゼを作用させることにより、分子量8000以上の高分子の卵白蛋白分解物量が減少し、清澄性が非常に高くなり、得られたペプチドが高温加熱時の凝集による粘度上昇がないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去し、pHが4.5以下とした後、酸性プロテアーゼにてアミノ基量が分解前の10倍以上40倍以下になるまで分解した後、pHを8.5以上にし、バチルス リチェンホルミス(Bacillus lichenniformis),バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus Rokko),バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)及びバチルス群(Bacillus sp.)より選ばれる菌体を起源とするプロテアーゼにて分解することを特長とする清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法に関する。
本発明により、製造工程において廃棄物が発生せず、最終製品の性状に影響を及ぼさない清澄性の高い卵白ペプチドを提供することが可能となる。
以下本発明を詳述する。
本発明でいう卵白とは、鶏卵から分離されたものであれば、生卵白液、冷凍卵白液、粉末卵白などいずれの形態であってもよく、特に限定されるものではないが、生卵白液または冷凍卵白液が好ましい。
本発明でいう強酸性イオン交換樹脂とは、特に限定されるものではないが、分子中にスルホ基(−SOH 強酸性)を持つ合成樹脂で、これらの基が固体の表面にあって、水溶液中の他の陽イオンとHを交換し、水溶液中にHを放出する樹脂などを挙げることができる。卵白液に強酸性イオン交換樹脂を添加すると卵白中のNa(ナトリウム)分やK(カリウム)分を吸着し、卵白中のミネラル分を除去できる。特に限定されるものではないが、強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去し、卵白液を酸性にした後、酸等をもちいてpHを4.5以下にすることが好ましく、さらに好ましくは強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去し、酸等を使用することなく卵白液のpHを4.5以下になるように、添加するイオン交換樹脂量を調整することが好ましい。特に好ましくは、強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去し、酸等を使用することなく卵白液のpHを3.0以上、4.5以下に調整することが好ましい。pHが3.0以下では、蛋白の変性が大きく、分解反応の制御が困難であるという問題がある。pHが4.5を超えると酸性プロテアーゼの反応速度が遅く、清澄性が高くならないという問題がある。
本発明でいう酸性プロテアーゼとは、植物、動物または細菌を起源とする蛋白分解酵素で蛋白質分解活性の至適pH(最大活性を示すpH)が6.0以下にあるものであれば、特に限定されるものではないが、蛋白質分解活性の至適pHが2.0以上5.0以下にあるものが分解効率の面で好ましい。特にアスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)またはアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)を起源とする蛋白分解酵素であり、蛋白質分解活性の至適pHが2.0以上5.0以下にあるものは安価であるために経済性の面より好ましい。蛋白質分解活性の至適pHが2.0未満では、蛋白の変性が大きく、分解反応の制御が困難であるという問題がある。
本発明でいうバチルス リチェンホルミス(Bacillus lichenniformis),バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus Rokko),バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)及びバチルス群(Bacillus sp.)より選ばれる菌体を起源とする1種又は2種以上のプロテアーゼは、特に限定されるものではなく、一般に市販されているプロテアーゼを利用することができる。特に限定されるものではないが、蛋白質分解活性の至適pHが8.5以上11.0以下にあるものが好ましい。特に好ましくは、バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)を起源とする至適pHが9.5以上11.0以下の酵素を使用すると分解物は苦みを感じない分解状態で、清澄性を向上させるために好ましい。蛋白質分解活性の至適pHが11.0を超えると、反応時の蛋白の変性が大きく、分解反応の制御が困難であるという問題がある。
本発明の卵白蛋白加水分解物は、特に限定されるものではないが、凍結乾燥や噴霧乾燥によって乾燥した粉末であるほうが保存性において好ましい。液体の場合、腐敗を避けるために冷凍保存する必要があり、経済的でないという問題がある。固形分中の蛋白加水分解物の含量は、特に限定されるものではないが、80%以上が好ましい。80%未満では、ミネラル含量が高くなり、NaやKなどを制限する医療食に添加量の制限があるという問題がある。また、本発明で用いる蛋白加水分解物は、卵白由来の蛋白質のプロテアーゼ分解物である。大豆や小麦などの植物由来の蛋白質や乳や血液由来の蛋白質などの加水分解物は、特有の好ましからぬ風味や呈味を有するため、精製が必要であるため経済的ではない。酸やアルカリによる分解は、着色や種々の副生成物ができるという問題がある。
特に限定されるものではないが、プロテアーゼの反応は、分解温度が45℃以上70℃以下で、分解時間が5時間以上30時間以下で終了するように酵素量を調整することが好ましい。分解温度が45℃未満または分解時間が5時間未満では、分解反応速度が遅いために酵素を大量に添加する必要があり経済的ではないという問題がある。分解温度が70℃を越えると蛋白の熱変性が大きく、分解反応の制御が困難であるという問題がある。分解時間が30時間を越えるとバクテリア汚染による腐敗の危険性が高くなるという問題がある。
本発明でいうアミノ基量とは、蛋白質または蛋白加水分解物の末端またはリジン残基のアミノ基の量であり、ホルモール滴定法、TNBS発色法、またはニンヒドリン発色法等によるアミノ基量測定よって測定することができる。本発明の蛋白加水分解物の分解度は、アミノ基量が分解前の10倍以上40倍以下になるまで分解したものである。アミノ基量が分解前の10倍未満であると清澄性が低く、または40倍を越えると、遊離アミノ酸量が高くなりアミノ酸特有の好ましくない風味が発生するという問題がある。
本発明でいう清澄性とは、卵白ペプチド液の不溶解物量が影響する透明性を意味し、特に限定されるものではないが、固形分0.3%に調整した卵白ペプチド水溶液のλ=660nmにおける透過率が80%以上であることが、ろ過などによって、未分解の蛋白を除去する必要なくレトルト殺菌など高温加熱時の凝集による粘度上昇がなく、最終製品に性状に影響しないために好ましい。透過率が、80%を下回ると最終製品の性状に影響があるという問題がある。
本発明における粘度とは、10重量%濃度の水溶液を、B型粘度計とNo.2ローターを用いて試料温度を10℃、回転数を60rpm、測定時間を30秒の条件で測定するものとする。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これによって限定されるものではない。なお、実施例中の%は特記しない限り重量%を示す。
(実施例1)
pH9.2の液卵白10kgに対し強酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 アンバーライトIR120B(H)−HG)を500mL添加しゆっくりと撹拌しながら5℃にて30分間Na、Kの吸着除去を行った後イオン交換樹脂を除去して得られたpH5.7の液卵白をクエン酸にてpH3.4に調整した。アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼA)20gを添加し55℃にて20時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の18.5倍であった。さらに5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH9.0に調整し、至適pH10.0〜11.0であるバチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)起源のアルカリ性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製プロレザーFG−F)を25g加え60℃にて5時間酵素反応を行った後30%クエン酸水溶液にてpH7.0になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末1034gを得た。
(実施例2)
pH9.2の液卵白10kgに対し強酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 アンバーライトIR120B(H)−HG)を1L添加しゆっくりと撹拌しながら5℃にて30分間Na、Kの吸着除去を行った後イオン交換樹脂を除去し得られたpH3.4の卵白にアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼA)20gを添加し55℃にて20時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の20.6倍であった。さらに5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH9.0に調整し、至適pH10.0〜11.0であるバチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)起源のプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製プロレザーFG−F)を25g加え60℃にて10時間酵素反応を行った後30%クエン酸水溶液にてpH7.0になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末1023gを得た。
(比較例1)
pH9.2の液卵白10kgに対し強酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 アンバーライトIR120B(H)−HG)を500mL添加しゆっくりと撹拌しながら5℃にて30分間Na、Kの吸着除去を行った後イオン交換樹脂を除去して得られたpH5.7の液卵白にリゾパス ニベウス(Rhizopus niveus)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼF3G)40gを添加し45℃にて24時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の13.2倍であった。さらに5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH9.0に調整し、至適pH10.0〜11.0であるバチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)起源のプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製プロレザーFG−F)を25g加え60℃にて10時間酵素反応を行った後30%クエン酸水溶液にてpH7.0になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末1001gを得た。
(比較例2)
pH9.2の液卵白10kgに対し強酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 アンバーライトIR120B(H)−HG)を1L添加しゆっくりと撹拌しながら5℃にて30分間Na、Kの吸着除去を行った後イオン交換樹脂を除去し得られたpH3.4の卵白にアスペルギウス ニガー(Aspergillus niger)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼA)20gを添加し55℃にて20時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の20.6倍であった。さらに5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH9.0に調整し、至適pH4.0〜11.0であるカリカ パパヤL(Carica papayaL)起源のプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製パパインW−40)を25g加え60℃にて20時間酵素反応を行った後30%クエン酸水溶液にてpH7.0になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末1020gを得た。
(比較例3)
pH9.2の液卵白10kgに対し強酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 アンバーライトIR120B(H)−HG)を1L添加しゆっくりと撹拌しながら5℃にて30分間Na、Kの吸着除去を行った後イオン交換樹脂を除去し得られたpH3.4の卵白にアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼA)20gを添加し55℃にて20時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の20.6倍であった。さらに5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH7.0になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末998gを得た。
(比較例4)
pH9.2の液卵白10kgに対し至適pH10.0〜11.0であるバチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)起源のプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製プロレザーFG−F)を25g加え60℃にて20時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の2.8倍であった。30%クエン酸水溶液にてpH7.0になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末990gを得た。
(比較例5)
pH9.2の液卵白10kgに対し強酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 アンバーライトIR120B(H)−HG)を500mL添加しゆっくりと撹拌しながら5℃にて30分間Na、Kの吸着除去を行った後イオン交換樹脂を除去して得られたpH5.7の液卵白をクエン酸にてpH3.4に調整した。アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼA)20gを添加し55℃にて4時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の4.6倍であった。さらに5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH9.0に調整し、至適pH10.0〜11.0であるバチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)起源のアルカリ性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製プロレザーFG−F)を25g加え60℃にて10時間酵素反応を行った後30%クエン酸水溶液にてpH7になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末1016gを得た。
(比較例6)
pH9.2の液卵白10kgに対し強酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製 アンバーライトIR120B(H)−HG)を1L添加しゆっくりと撹拌しながら5℃にて30分間Na、Kの吸着除去を行った後イオン交換樹脂を除去しpH3.4の酸性卵白を得た。アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼA)20gを添加し35℃にて20時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の8.8倍であった。さらに5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH9.0に調整し、至適pH10.0〜11.0であるバチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)起源のプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製プロレザーFG−F)を25g加え40℃にて10時間酵素反応を行った後30%クエン酸水溶液にてpH7.0になるまで中和して得られた酵素分解卵白液を90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末1008gを得た。
(比較例7)
pH9.2の液卵白10kgを30%クエン酸水溶液でpH3.4に調整しアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)起源の酸性プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製ニューラーゼA)20gを添加し55℃にて20時間酵素反応を行った。アミノ基量をTNBS法にて測定したところ原料液卵白の19.8倍であった。酵素分解卵白液を5N水酸化ナトリウム水溶液および5N水酸化カリウムの等量混合水溶液にてpH7.0に調整した後、90℃にて30分間加熱して酵素を失活させた。No.2の濾紙を用いて吸引ろ過後スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ酵素分解卵白粉末673gを得た。ろ過による残渣は全固形分中の38.1%であった。
得られた酵素分解卵白粉末1〜9とカゼイン分解物粉末(NZMP製 MPH955)、大豆分解物粉末(不二製油(株)製 ハイニュート)の10%水溶液を直径15mmの試験管に調製し清澄性を目視検査にて確認した。透明でまったく濁りのないものを◎、透明だがやや濁りのあるものを○、濁っているがかろうじて試験管越しに反対側が確認できるものを△、濁っていて試験管越しに反対側が全く確認できないものを×とした。同じく苦味を、10人のパネラーによる官能検査にて苦さの強いものを5点、弱いものを1点としてその平均点にて評価した。また各々0.3%濃度の水溶液を作成し、可視分光光度計(島津製作所製 島津紫外可視分光光度計UV−160)を用いてλ=660nmにおける透過率を測定した。更に各々10%濃度の水溶液を作成し真空シーラーにて密封した後、120℃にて20分間加圧加熱殺菌を行った。得られた溶液および加圧加熱殺菌を行っていない10%濃度の水溶液の粘度を、B型粘度計を用い10℃、No.2ローター、60rpm、30秒の条件にて測定し、殺菌後粘度/殺菌前粘度の計算を行い殺菌による粘度増加倍率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0004839040
上記の結果より明らかなように本発明に従うことで濾過による残渣を生じることなく、清澄性に富み、加圧加熱殺菌による粘度の上昇を抑制した酵素分解卵白粉末を得ることができた。またカゼイン分解物、大豆分解物に比べて苦味の少ない風味に優れた物を得ることができた。
本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりである。
(1) 強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去し酸性にした後、酸にてpHを4.5以下に調整し、酸性プロテアーゼにてアミノ基量が分解前の10倍以上40倍以下になるまで分解し、さらにpHを8.5以上とし、バチルス リチェンホルミス(Bacillus lichenniformis),バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus Rokko),バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)及びバチルス群(Bacillus sp.)より選ばれる菌体を起源とする1種又は2種以上のプロテアーゼにて分解することを特徴とする清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法
(2) 強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去することにより、pHを4.5以下にすることを特徴とする前記(1)記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法
(3) 酸性プロテアーゼが、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)またはアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)を起源とするものである前記(1)または(2)いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法
(4) バチルス リチェンホルミス(Bacillus lichenniformis), バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus Rokko),バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis),バチルス群(Bacillus sp.)より選ばれる菌体を起源とする1種又は2種以上のプロテアーゼの至適pHが9.5以上11.0以下である前記(1)〜(3)いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法
(5) プロテアーゼによる分解温度が40℃以上70℃以下で、分解時間が5時間以上30時間以下である前記(1)〜(4)いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法
(6) 固形分0.3%に調整した卵白ペプチド溶液のλ=660nmにおける透過率が80%以上である前記(1)〜(5)いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法。
(7) 卵白ペプチド液を120℃、20分加熱した際の粘度が加熱前の2倍以下である前記(1)〜(6)いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法
(8) 未分解の卵白蛋白の除去工程が不必要な、製造工程において有機系廃棄物の発生しない前記(1)〜(7)いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法
本発明は、アミノ酸供給素材として利用する卵白ペプチドの製造方法において、製造工程において廃棄物が発生せず、最終製品の性状に影響を及ぼさない清澄性に高い卵白ペプチドを提供することができる。特に、廃棄処理を必要とせずに、高齢者食や医療食のアミノ酸供給素材として安価で風味の良いもの提供することができ、食品産業上におおいに貢献できるものである。

Claims (6)

  1. 強酸性イオン交換樹脂を用いて卵白中のNa、Kを吸着除去した後、pHを4.5以下に調整し、酸性プロテアーゼにてアミノ基量が分解前の10倍以上40倍以下になるまで分解した後、pHを8.5以上とし、バチルス リチェンホルミス(Bacillus lichenniformis),バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus Rokko),バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)及びバチルス群(Bacillus sp.)より選ばれる菌体を起源とする1種又は2種以上のプロテアーゼにて分解することを特徴とする清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法であって、固形分0.3%に調整した、卵白ペプチド水溶液のλ=660nmにおける透過率が80%以上である清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法。
  2. 強酸性イオン交換樹脂にて卵白中のNa、Kを吸着除去することにより、pHを4.5以下にすることを特徴とする請求項1記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法。
  3. 酸性プロテアーゼが、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)またはアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)を起源とするものである請求項1または2いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法。
  4. バチルス リチェンホルミス(Bacillus lichenniformis),バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus Rokko),バチルス ズブチルス(Bacillus subtilis)及びバチルス群(Bacillus sp.)より選ばれる菌体を起源とするプロテアーゼの至適pHが9.5以上11.0以下である請求項1〜3いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法。
  5. プロテアーゼによる分解温度が45℃以上70℃以下で、分解時間が5時間以上30時間以下である請求項1〜4いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法。
  6. 10重量%濃度の卵白ペプチド水溶液を120℃にて20分加熱した際の粘度が加熱前の2倍以下である請求項1〜5いずれか記載の清澄性の高い卵白ペプチドの製造方法。
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