JP2007151427A - システイン高含有卵白加水分解物及びそれを含有する飲食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 食品として身近な卵白を原料とし、通常の卵白に比べてシステイン含量が高く、システインの供給源として利用できるシステイン高含有卵白加水分解物及びそれを含有する飲食品を提供する。
【解決手段】 卵白を、パパインを用いて加水分解した後、反応液を65〜75℃で加熱処理を行い、次いで、トリプシン、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、アスペルギルス属糸状菌由来プロテアーゼ及びブロメラインからなる群から選ばれた少なくとも1種のタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、さらにペプチダーゼを用いて加水分解し、その後75〜120℃の加熱処理を行い、不溶性部分を除去することにより、タンパク質あたりのアミノ酸組成においてシステインが4.5%以上であるシステイン高含有卵白加水分解物を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】 卵白を、パパインを用いて加水分解した後、反応液を65〜75℃で加熱処理を行い、次いで、トリプシン、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、アスペルギルス属糸状菌由来プロテアーゼ及びブロメラインからなる群から選ばれた少なくとも1種のタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、さらにペプチダーゼを用いて加水分解し、その後75〜120℃の加熱処理を行い、不溶性部分を除去することにより、タンパク質あたりのアミノ酸組成においてシステインが4.5%以上であるシステイン高含有卵白加水分解物を得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、通常の卵白に比べてシステイン含量が高いシステイン高含有卵白加水分解物及びそれを含有する飲食品に関する。
システインは、髪、爪、皮膚の主要な構成要素であり、生体内においては、SH酵素を活性化させることで、有害物質の解毒、エネルギーの発生促進、皮膚代謝促進、メラニン生成抑制等に作用し、生体の正常な代謝に不可欠なアミノ酸の1つであることが知られている。
そのため、美容や健康の面から、健康食品やサプリメント等としてシステインを積極的に摂取することも行われるようになっており、例えば、下記特許文献1には、(A)プロアントシアニジンを含有する植物抽出物、(B)アスコルビン酸又はその誘導体、及び(C)L−システイン又はその誘導体を含有する、健康食品が開示されており、下記特許文献2には、アスコルビン酸:トコフェロール:L−システインの重量比が500〜700:30〜70:120〜200の割合で含有することを特徴とする製剤が開示されている。また、下記特許文献3には、グルタチオンを固形分に占める割合で1重量%以上含有する食品素材(酵母菌体や酵母エキス)からの、該グルタチオンのグルタミン酸残基とシステイン残基との結合を含水状態で加熱により分解し又はγ−グルタミルペプチド加水分解酵素で加水分解し、そしてシステイン残基とグリシン残基との結合をペプチダーゼにより加水分解することを特徴とするシステイン高含有食品素材の新規な製造法が開示されている。
ところで、鶏卵は、良質のタンパク質を多く含む栄養価に優れた食品であり、生卵白中に含まれるタンパク質あたりのアミノ酸組成において、システインが約3%含まれていることが知られている。
鶏卵は、そのまま食されるだけでなく、その栄養価や優れた加工特性から、様々な飲食品の原料としても広く利用されているが、鶏卵の高次利用を目的とした研究も数多く行われている。例えば、卵白をタンパク質加水分解酵素で分解して得られる卵白加水分解物を飲食品に用いた例として、下記特許文献4には、卵白蛋白質の酵素加水分解物を含有することを特徴とする食肉用浸漬剤が開示されている。また、下記特許文献5には、卵白の酵素加水分解物を含有することを特徴とする製菓・製パン用品質改良剤が開示されている。また、下記特許文献6には、烏骨鶏加水分解卵白を含有することを特徴とする組成物が開示されており、該組成物が化粧品、医薬品、食品等として有用であることが記載されている。
特開2005−323604号公報
特開2004−26786号公報
特開2001−321118号公報
特開2004−329165号公報
特開2003−38087号公報
特開2001−220398号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に開示されたような健康食品やサプリメント等に用いられているシステインは化学合成品が多く、近年の消費者の安全性への認識の高まりから、システインの供給源として利用できる天然食品素材の開発が求められていた。
そのため、上記特許文献3に開示されているように、酵母菌体や酵母エキスを原料とするシステイン高含有食品素材も提案されているが、意外にも卵白中に含まれるシステインを積極的に利用する試みはなされていない。
したがって、本発明の目的は、食品として身近な卵白を原料とし、通常の卵白に比べてシステイン含量が高く、システインの供給源として利用できるシステイン高含有卵白加水分解物及びそれを含有する飲食品を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、タンパク質あたりのアミノ酸組成においてシステインが4.5%以上であることを特徴とする。
また、卵白を、タンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、その後75〜120℃の加熱処理を行い、不溶性部分を除去して得られるものであることが好ましい。
更に、卵白を、パパインを用いて加水分解した後、反応液を65〜75℃で加熱処理を行い、次いで、トリプシン、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、アスペルギルス属糸状菌由来プロテアーゼ及びブロメラインからなる群から選ばれた少なくとも1種のタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、さらにペプチダーゼを用いて加水分解して得られるものであることが好ましい。
本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、食品として身近な卵白を原料とし、該卵白のシステイン含量を高めたものであるので安全性が高い。また、システインがペプチドの形態で存在するので、消化吸収性に優れており、システインの供給源として飲食品等にも配合しやすい。
また、本発明の飲食品は、前記システイン高含有卵白加水分解物を含有するものであり、健康食品やサプリメント等として摂取することができる。
本発明によれば、システインの供給源として利用できるシステイン高含有卵白加水分解物を提供できる。
本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、タンパク質あたりのアミノ酸組成においてシステインが4.5%以上であり、好ましくは4.5〜12%、より好ましくは5〜10%、特に好ましくは6〜9%である。タンパク質あたりのアミノ酸組成におけるシステインが4.5%未満であると、システイン供給源として利用しづらくなる。
なお、卵白加水分解物中のタンパク質あたりのアミノ酸組成におけるシステイン含量は、酸加水分解法などの方法により卵白加水分解物試料中のタンパク質やペプチドをアミノ酸まで加水分解後、生じた遊離アミノ酸(またはその誘導体)及び遊離システイン(またはその誘導体)を遊離アミノ酸含量測定の常法を用いて測定することによって、算出することができる。
一般にシステインはアミノ酸の一つとして知られており、シスチンは2分子のシステインがS―S結合により結合したものとして知られている。上記のような方法で測定されたシステイン含量、即ち酸加水分解後に遊離アミノ酸含量測定の常法を用いて測定されたシステイン含量は、上記シスチンの形であったものも、システインの形であったものも、タンパク質やペプチドを構成している結合型でも、遊離型でも、合計として測定されるため、本発明におけるシステイン含量は、結合型や遊離型を問わず上記シスチン含量も含めたものとし、本発明におけるシステインは、結合型や遊離型を問わず上記シスチンも含めるものとする。
また、本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、ゲルろ過クロマトグラフィーにおける分子量分布分析において、タンパク質・ペプチド・アミノ酸の合計の面積比に対して、好ましくは分子量50〜10,000の部分の面積比が60%以上を占めるものであり、より好ましくは分子量50〜3,000の部分の面積比が60%以上を占めるものであり、特に好ましくは分子量50〜500の部分の面積比が60%以上を占めるものである。分子量分布が上記範囲外であると、溶解度の低下や加熱による変性や凝集等が起こりやすくなるため好ましくないが、分子量分布が上記範囲を満たしていれば、未分解の卵白タンパク質が5〜10質量%残留していてもかまわない。なお、ゲルろ過クロマトグラフィーにおける分子量分布分析は、高速液体クロマトグラフィー等を用いて公知の方法にしたがって行うことができる。
本発明のシステイン高含有卵白加水分解物の原料として用いられる卵白は、鳥類の卵に含まれる卵白であればよく、例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ等の卵が挙げられるが、凍結卵白液や乾燥卵白(卵白粉末)等として市販品を容易に大量入手できる鶏卵の卵白が好ましく、特に乾燥卵白(卵白粉末)が好ましく用いられる。
本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、上記卵白をタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解して得られる反応液から、限外ろ過膜、ゲルろ過、各種カラムクロマトグラフィー、メンブレンフィルター等の公知の方法でシステイン高含有画分を分画・精製することにより得ることもできるが、本発明においては、原料として乾燥卵白を用い、該乾燥卵白を所定のタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、その後75〜120℃の加熱処理を行い、ろ過や遠心分離などの固液分離により不溶性部分を除去して得ることが好ましい。卵白原料として乾燥卵白(卵白粉末)を用い、かつ所定のタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、固液分離することにより、さらなる分画・精製工程を経ずに簡単な工程でシステイン高含有卵白加水分解物を得ることができる。なお、卵白原料として生卵白や凍結卵白液を用いた場合は、理由はよく分からないが、乾燥卵白を用いた場合と比べて加水分解後のシステイン含量は低く、卵白のシステイン含量と大差ないか、かえって卵白より低くなることもある。
上記タンパク質加水分解酵素としては、プロテアーゼ活性又はペプチダーゼ活性を有し、食品製造に使用可能な、パパイン(EC.3.4.22.2)、トリプシン(EC.3.4.21.4)、バチルス属細菌由来プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼS「アマノ」G、商品名:プロテアーゼN「アマノ」G、商品名:プロレザーFG−F(いずれも天野エンザイム株式会社製))、アスペルギルス属糸状菌由来プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼA「アマノ」G、商品名:ニューラーゼA(いずれも天野エンザイム株式会社製)、商品名:オリエンターゼONS、オリエンターゼ
20A(いずれもエイチビィアイ株式会社製)、商品名:フレーバーザイム(ノボザイムズ ジャパン株式会社製))、ブロメライン(EC.3.4.4.24)、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR(天野エンザイム株式会社製))等のいずれか、又はその2つ以上を組み合わせて使用することができる。
20A(いずれもエイチビィアイ株式会社製)、商品名:フレーバーザイム(ノボザイムズ ジャパン株式会社製))、ブロメライン(EC.3.4.4.24)、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR(天野エンザイム株式会社製))等のいずれか、又はその2つ以上を組み合わせて使用することができる。
より具体的には、乾燥卵白を、パパインを用いて加水分解した後、反応液を65〜75℃で加熱処理を行い、次いで、トリプシン、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、アスペルギルス属糸状菌由来プロテアーゼ及びブロメラインからなる群から選ばれた少なくとも1種のタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、さらにペプチダーゼを用いて加水分解することにより得ることが好ましい。
以下、上記製造方法についてより詳細に説明する。
まず、乾燥卵白を、好ましくは濃度10〜20質量%となるように水又は適当な緩衝液に溶解し、酵素と卵白(固形分)の質量比で1:20〜1:1000となるようにパパインを添加して、pH6〜9、40〜70℃で30分間〜10時間反応させた後、得られた反応液を65〜75℃で加熱処理を行う。この加熱処理を行うことにより、パパインによる卵白加水分解物を熱変性させることができ、後工程における加水分解の効率を高めることができる。
次いで、上記反応液に、トリプシン、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、アスペルギルス属糸状菌由来プロテアーゼ及びブロメラインからなる群から選ばれた少なくとも1種のタンパク質加水分解酵素を添加して加水分解を行う。上記の各タンパク質加水分解酵素の添加順番は特に限定されず、適当な間隔を置いて順次添加してもよく、2種以上のタンパク質加水分解酵素を同時に添加してもよい。本発明においては、トリプシンとバチルス属細菌由来プロテアーゼを併用することが好ましい。
上記の各タンパク質加水分解酵素の添加量は特に限定されないが、通常、酵素と卵白(固形分)の質量比で1:20〜1:1000である。また、上記の各タンパク質加水分解酵素を添加する際には、酸又はアルカリを用いて反応液のpHを使用するタンパク質加水分解酵素の至適pHに適宜調整し、至適温度で反応を行う。なお、本工程において、上記の各タンパク質加水分解酵素を順次添加する場合は、一の酵素を添加してから少なくとも0.5〜1時間酵素反応を行った後、次のタンパク質加水分解酵素を添加することが好ましい。また、上記の各タンパク質加水分解酵素を同時に添加する場合は、0.5〜8時間酵素反応を行うことが好ましい
上記工程で得られた反応液に、さらにペプチダーゼを添加して加水分解を行う。ペプチダーゼの添加量は特に限定されないが、通常、酵素と卵白(固形分)の質量比で1:20〜1:1000である。また、ペプチダーゼを添加する際には、酸又はアルカリを用いて反応液のpHを至適pHに適宜調整し、至適温度で0.5〜6時間酵素反応を行うことが好ましい。
上記の全ての酵素反応が終了したら、反応液を75〜120℃で加熱処理を行い、酵素を失活させた後、遠心分離やろ過等の公知の固液分離の方法により不溶性部分を除去して液部を回収する。回収した液部は、好ましくは加熱殺菌を行った後、スプレードライや凍結乾燥等の公知の方法により、乾燥粉末化すればよい。
本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、他の成分として、賦形剤、甘味料、香料、 乳化剤、安定剤、pH調整剤、増粘剤、脂質、多糖類、オリゴ糖等の通常食品に用いられる成分を適宜含むことができる。
本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、そのままカプセル、錠剤などの形態でサプリメントとして用いることができるほか、システインの供給源として、飲料、乳製品、菓子、大豆加工食品、冷凍食品等の様々な形態の飲食品に配合することができる。上記各飲食品におけるシステイン高含有卵白加水分解物の配合量は特に制限されないが、通常、1食当たり、例えば飲料250mLあたり、システインを20〜600mg含有するように配合することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
加温冷却用ジャケット付きタンクに水600kgを入れ、乾燥卵白(商品名:DEH、株式会社今中製)110kgを少量ずつ均一に懸濁しながら加えた後、60℃まで加温した。なお、溶液のpHは6.8であった。
実施例1
加温冷却用ジャケット付きタンクに水600kgを入れ、乾燥卵白(商品名:DEH、株式会社今中製)110kgを少量ずつ均一に懸濁しながら加えた後、60℃まで加温した。なお、溶液のpHは6.8であった。
そして、パパイン(商品名:パパイン300、日本バイオコン株式会社製)1.1kgを約5Lの上記卵白溶液に溶いてから添加して60℃(±4℃)にて1時間酵素反応を行った。その後、加温して液温が70℃に達した時点(約30分)で加温を終了して放冷し、48%NaOH水溶液を添加してpHを8.0に調整した。
液温が60℃まで下がったことを確認し、トリプシン(商品名:トリプシン5、日本バイオコン株式会社製)0.3kgを約3Lの上記反応液に溶いてから添加して60℃(±4℃)にて1時間酵素反応を行った。次いで、バチルス属細菌由来中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼS「アマノ」G、天野エンザイム株式会社製)0.9kgを同様に反応液に溶いてから添加し、60℃(±4℃)にて1時間酵素反応を行った後、ジャケットに冷却水を流して、反応液を55℃(±1℃)まで冷却した。なお、反応終了時のpHは7.3であった。
その後、更にバチルス属細菌由来中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム株式会社製)0.6kgを同様に反応液に溶いてから添加して55℃(±3℃)にて1時間酵素反応を行った後、ジャケットに冷却水を流して反応液を40℃(±2℃)まで冷却した。なお、反応終了時のpHは7.3であった。
その後、更にリゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR、天野エンザイム株式会社製)0.3kgを同様に反応液に溶いてから添加して40℃(±3℃)にて4時間酵素反応を行った後、加温して液温が90℃に達した時点(約50分)で加温を終了し、放冷した。
得られた反応液は、遠心分離機を用いて固液分離して液部を回収し、該液部を更に圧搾ろ過機にてろ過した。得られたろ液をプレート殺菌機にて110℃で加熱した後、スプレードライヤーにて噴霧乾燥し、卵白加水分解物の粉末を得た。
比較例1
加温冷却用ジャケット付きタンクに水50kgを入れ、解凍した凍結液卵白(イセ食品株式会社製)100kgを少量ずつ均一に懸濁しながら加えた後60℃まで加温した。そしてパパイン(商品名:パパイン300、日本バイオコン株式会社製)0.1kg、トリプシン(商品名:トリプシン5、日本バイオコン株式会社製)0.1kg、バチルス属細菌由来中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム株式会社製)0.2kg、バチルス属細菌由来中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼS「アマノ」G、天野エンザイム株式会社製)0.1kgを、各々約1Lの上記卵白溶液に溶いてから添加して、60℃(±4℃)にて6時間酵素反応を行った後、加温して液温が90℃に達した時点(約30分)で加温を終了し、放冷した。
加温冷却用ジャケット付きタンクに水50kgを入れ、解凍した凍結液卵白(イセ食品株式会社製)100kgを少量ずつ均一に懸濁しながら加えた後60℃まで加温した。そしてパパイン(商品名:パパイン300、日本バイオコン株式会社製)0.1kg、トリプシン(商品名:トリプシン5、日本バイオコン株式会社製)0.1kg、バチルス属細菌由来中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼN「アマノ」G、天野エンザイム株式会社製)0.2kg、バチルス属細菌由来中性プロテアーゼ(商品名:プロテアーゼS「アマノ」G、天野エンザイム株式会社製)0.1kgを、各々約1Lの上記卵白溶液に溶いてから添加して、60℃(±4℃)にて6時間酵素反応を行った後、加温して液温が90℃に達した時点(約30分)で加温を終了し、放冷した。
次いで、液温を40℃(±2℃)に調整し、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR、天野エンザイム株式会社製)0.1kgを約1Lの上記反応液に溶いてから添加して40℃(±3℃)にて3時間酵素反応を行った後、加温して液温が90℃に達した時点(約50分)で加温を終了し、放冷した。
得られた反応液は、遠心分離機を用いて固液分離して液部を回収し、該液部を更に圧搾ろ過機にてろ過した。得られたろ液をプレート殺菌機にて110℃で加熱した後、スプレードライヤーにて噴霧乾燥し、卵白加水分解物の粉末を得た。
試験例1
以下に示す方法で、実施例1及び比較例1で得られた卵白加水分解物粉末のアミノ酸組成の分析を行った。
ダラム管に各卵白加水分解物粉末の1%水溶液サンプルとスタンダードを10 μLずつ入れ、真空乾固し、過ギ酸(ギ酸/過酸化水素=19/1で混合、22℃、1時間放置にて調製)10 μLを添加し、22℃にて30分放置し、真空乾固した。そして6M塩酸を300 μL加えて、減圧し、105℃, 24時間乾熱機にて反応させ、真空乾固により塩酸を除去した。そしてメタノール:TEA:水=7:2:1を10 μLダラム管に入れることによりアルカリ処理し、真空乾固した。さらにメタノール:TEA:水:PITC=7:1:1:1を20 μLダラム管に入れ20分,室温放置することによりPITC誘導化した。真空乾固し、リン酸緩衝液(pH7.4、アセトニトリル濃度5%(V/V))200 μLを添加し、超音波処理、0.45μmフィルター処理、遠心分離(12000rpm×3分, 4℃)を行って測定試料とした。各試料を高速液体クロマトグラフィーにて以下の条件で分析した。
カラム:ODS(ULTRON VX-ODS 5μm, 250×4.6 I.D.:商品名、信和化工株式会社製)
溶媒:A液5%アセトニトリル150 mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.0)
B液60%アセトニトリル
グラジエント:時間(分) 0→5→ 5 →
25 → 30 → 40 → 50
B conc.(%) 0→0→10→47.5→100→100→
0
流速:0.8 mL/min
カラム温度:40℃
検出:UV254nm
注入量10 μL
以下に示す方法で、実施例1及び比較例1で得られた卵白加水分解物粉末のアミノ酸組成の分析を行った。
ダラム管に各卵白加水分解物粉末の1%水溶液サンプルとスタンダードを10 μLずつ入れ、真空乾固し、過ギ酸(ギ酸/過酸化水素=19/1で混合、22℃、1時間放置にて調製)10 μLを添加し、22℃にて30分放置し、真空乾固した。そして6M塩酸を300 μL加えて、減圧し、105℃, 24時間乾熱機にて反応させ、真空乾固により塩酸を除去した。そしてメタノール:TEA:水=7:2:1を10 μLダラム管に入れることによりアルカリ処理し、真空乾固した。さらにメタノール:TEA:水:PITC=7:1:1:1を20 μLダラム管に入れ20分,室温放置することによりPITC誘導化した。真空乾固し、リン酸緩衝液(pH7.4、アセトニトリル濃度5%(V/V))200 μLを添加し、超音波処理、0.45μmフィルター処理、遠心分離(12000rpm×3分, 4℃)を行って測定試料とした。各試料を高速液体クロマトグラフィーにて以下の条件で分析した。
カラム:ODS(ULTRON VX-ODS 5μm, 250×4.6 I.D.:商品名、信和化工株式会社製)
溶媒:A液5%アセトニトリル150 mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.0)
B液60%アセトニトリル
グラジエント:時間(分) 0→5→ 5 →
25 → 30 → 40 → 50
B conc.(%) 0→0→10→47.5→100→100→
0
流速:0.8 mL/min
カラム温度:40℃
検出:UV254nm
注入量10 μL
上記分析方法で得られた実施例1及び比較例1の卵白加水分解物のアミノ酸組成の分析結果、及び鶏卵卵白のアミノ酸組成を表1に示す。尚、表中の鶏卵卵白のアミノ酸組成の数値は、5訂食品成分表(五訂増補 食品成分表2006 香川芳子監修 女子栄養大学出版部)の「食品可食部100g当たりのアミノ酸組成」の表の「鶏卵卵白生」に記載の数値から算出した。また、本発明においてはシスチン含量もシステイン含量としているため、上記食品成分表ではシスチンとして表記されている数値から算出した数値を、表1ではシステインの数値として表記した。
表1に示すように、実施例1のシステイン高含有卵白加水分解物のアミノ酸組成は、比較例1の卵白加水分解物のアミノ酸組成、及び鶏卵卵白のアミノ酸組成とは異なり、システイン含量が非常に高いことが分かる。一方、比較例1の卵白加水分解物のアミノ酸組成は、鶏卵卵白のアミノ酸組成とあまり違いが認められないことが分かる。
試験例2
実施例1で得られたシステイン高含有卵白加水分解物について、高速液体クロマトグラフィーにて以下の条件で分子量分布の分析を行った。
カラム:YMC-Pack Dio1-60(8.0×500mm)(商品名、株式会社ワイエムシイ製)
溶出液:0.2M NaCl含有0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)/アセトニトリル(70/30)
流速:0.7ml/分
検出波長:215nm
その結果を図1に示す。なお、図1中の数字は目安となる分子量の溶出時間を示す。また、この分析での各ピークの面積値から計算すると、実施例1で得られたシステイン高含有卵白加水分解物は、タンパク質・ペプチド・アミノ酸の合計を示す全面積に対して、分子量50〜10,000の部分の面積比が93.2%、分子量50〜3,000の部分の面積比が85.1%、分子量50〜500の部分の面積比が61.3%、を占めることが分かった。
実施例1で得られたシステイン高含有卵白加水分解物について、高速液体クロマトグラフィーにて以下の条件で分子量分布の分析を行った。
カラム:YMC-Pack Dio1-60(8.0×500mm)(商品名、株式会社ワイエムシイ製)
溶出液:0.2M NaCl含有0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)/アセトニトリル(70/30)
流速:0.7ml/分
検出波長:215nm
その結果を図1に示す。なお、図1中の数字は目安となる分子量の溶出時間を示す。また、この分析での各ピークの面積値から計算すると、実施例1で得られたシステイン高含有卵白加水分解物は、タンパク質・ペプチド・アミノ酸の合計を示す全面積に対して、分子量50〜10,000の部分の面積比が93.2%、分子量50〜3,000の部分の面積比が85.1%、分子量50〜500の部分の面積比が61.3%、を占めることが分かった。
実施例2(清涼飲料水)
混合異性化糖15.0質量%、果汁10質量%、実施例1で得られた卵白加水分解物1.0質量%、香料0.1質量%、カルシウム0.1質量%、水71.8質量%を混合し、プレート殺菌機を用いて90℃、15秒間殺菌して、清涼飲料水を製造した。この清涼飲料水は、100ml当たりシステインを73mg含有するものであり、ペプチドの苦味等もなく飲み易いものであった。
混合異性化糖15.0質量%、果汁10質量%、実施例1で得られた卵白加水分解物1.0質量%、香料0.1質量%、カルシウム0.1質量%、水71.8質量%を混合し、プレート殺菌機を用いて90℃、15秒間殺菌して、清涼飲料水を製造した。この清涼飲料水は、100ml当たりシステインを73mg含有するものであり、ペプチドの苦味等もなく飲み易いものであった。
実施例3(錠剤)
実施例1で得られた卵白加水分解物60質量%、還元麦芽糖18質量%、結晶セルロース18質量%、ショ糖エステル4質量%を含むように各原料を配合後、打錠(300mg /錠)して、錠剤(システイン13mg/錠)を製造した。この錠剤は、サプリメントとして有用である。
実施例1で得られた卵白加水分解物60質量%、還元麦芽糖18質量%、結晶セルロース18質量%、ショ糖エステル4質量%を含むように各原料を配合後、打錠(300mg /錠)して、錠剤(システイン13mg/錠)を製造した。この錠剤は、サプリメントとして有用である。
本発明のシステイン高含有卵白加水分解物は、卵白を原料とする天然食品素材であり、通常の卵白に比べてシステイン含量が高く、システインの供給源として、そのまま摂取することができる。また、様々な飲食品に配合することにより、システインを強化した飲食品を容易に得ることができる。
Claims (4)
- タンパク質あたりのアミノ酸組成においてシステインが4.5%以上であることを特徴とするシステイン高含有卵白加水分解物。
- 卵白を、タンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、その後75〜120℃の加熱処理を行い、不溶性部分を除去して得られる請求項1記載のシステイン高含有卵白加水分解物。
- 卵白を、パパインを用いて加水分解した後、反応液を65〜75℃で加熱処理を行い、次いで、トリプシン、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、アスペルギルス属糸状菌由来プロテアーゼ及びブロメラインからなる群から選ばれた少なくとも1種のタンパク質加水分解酵素を用いて加水分解し、さらにペプチダーゼを用いて加水分解して得られる請求項1又は2記載のシステイン高含有卵白加水分解物。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載のシステイン高含有卵白加水分解物を含有する飲食品。
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---|---|---|---|
JP2005348547A JP2007151427A (ja) | 2005-12-01 | 2005-12-01 | システイン高含有卵白加水分解物及びそれを含有する飲食品 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009132643A (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Q P Corp | 卵白加水分解物およびその製造方法、ならびに化粧料 |
JP2009263308A (ja) * | 2008-04-28 | 2009-11-12 | Taiyo Kagaku Co Ltd | 抗炎症剤 |
CN115633727A (zh) * | 2022-09-09 | 2023-01-24 | 黑龙江飞鹤乳业有限公司 | 水解蛋白组合物的制备方法 |
-
2005
- 2005-12-01 JP JP2005348547A patent/JP2007151427A/ja active Pending
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