JP2008072968A - 熱中症予防飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 深部体温の上昇を抑制して、積極的に熱中症の予防ができる飲料を提供する。
【解決手段】 飲料に、卵白を加水分解して得られる卵白ペプチドを有効成分として含有させる。前記飲料500ml中、前記卵白ペプチドを100〜1000mg含有させることが好ましい。また、前記卵白ペプチドは、卵白を、パパイン、トリプシン、アスペルギルス属麹菌由来プロテアーゼ、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼから選ばれた1種以上の酵素を用いて加水分解することによって得られるものであることが好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】 飲料に、卵白を加水分解して得られる卵白ペプチドを有効成分として含有させる。前記飲料500ml中、前記卵白ペプチドを100〜1000mg含有させることが好ましい。また、前記卵白ペプチドは、卵白を、パパイン、トリプシン、アスペルギルス属麹菌由来プロテアーゼ、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼから選ばれた1種以上の酵素を用いて加水分解することによって得られるものであることが好ましい。
【選択図】 図3
Description
本発明は、卵白ペプチドを有効成分として含有し、熱中症予防効果が期待できる飲料に関する。
ヒトには体温を調節する機能が備わっており、体温が上昇すると、発汗して体内の熱を放つことで体温を調節している。高温下での長時間運動では、多い時には1時間あたり1〜2Lもの汗を放出すると言われている。しかし、深部体温(直腸温)の上昇に比例してみられる発汗によって体重の1.7〜3.3%の水分が失われると血液濃縮がはじまり、4%の水分が失われると運動困難に陥る。
また、高温環境下でエネルギー消費量の多い労働や運動をしている場合などにおいては、熱放散が不十分になり、体内に熱がたまって循環機能を著しく低下させてしまい、熱中症になってしまうこともある。
熱中症とは、高温や高湿の環境下で起こる全身の熱障害をいい、症状により熱痙攣、熱疲労、体温調節機能障害を伴う熱射病に分けられ、重症の場合、死亡することもある。熱中症は、熱波により主に高齢者に起こるもの、幼児が高温環境で起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、運動中に起こるものなどがある。しかし、運動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや発汗による脱水等の影響により、寒い環境下でも起こりうることが知られている。
一方、汗として失われた水分量と同量の水分を摂取すると、直腸温が低く保たれるだけでなく、運動後の疲労感もきわめて少なくなるという報告や、運動中だけでなく、日ごろから水分を多めにとることで深部体温の上昇をより抑制できるという報告もある。したがって、熱中症の予防には、適切な水分補給を行い、深部体温の上昇を抑制することが重要である。
従来、いわゆるスポーツ飲料と称する飲料が数多く提案されているが、熱中症予防について言及されたものとしては、例えば、下記特許文献1に開示された、グリセリンと水の混合水による熱中症予防についてくらいである。
特開2004−123686号公報
従来のスポーツ飲料の多くは、発汗によって失われる水分やミネラル分の補給、持久力向上のためのエネルギー源の補給等を目的として開発されている。これらのスポーツ飲料においても、水分補給の点から、熱中症予防にはある程度の効果は期待できる、しかしながら、より積極的に熱中症を予防できる飲料はほとんど知られていない。
したがって、本発明の目的は、深部体温の上昇を抑制して、積極的に熱中症の予防ができる飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、卵白を加水分解して得られるペプチドを摂取することにより、運動時における深部体温(直腸温)の上昇を抑制すると共に発汗量が減少することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の熱中症予防飲料は、卵白を加水分解して得られる卵白ペプチドを有効成分として含有することを特徴とする。
本発明の熱中症予防飲料は、有効成分として卵白ペプチドを含有することにより、運動時における深部体温(直腸温)の上昇を抑制すると共に発汗量を減少させることができるので、熱中症の予防に効果的である。
本発明においては、前記飲料500ml中、前記卵白ペプチドを100〜1000mg含有することが好ましい。
また、前記卵白ペプチドは、卵白を、パパイン、トリプシン、アスペルギルス属麹菌由来プロテアーゼ、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、リゾプス属糸状菌由来ぺプチダーゼから選ばれた1種以上の酵素を用いて加水分解することによって得られるものであることが好ましい。
これらの態様によれば、飲料の風味を損なうことなく、熱中症予防効果を付与することができる。
本発明の飲料は、安全で安価な卵白を原料とするペプチドを含有することにより、深部体温の上昇を抑制すると共に発汗量を抑えることができるので、熱中症予防に効果的である。また、深部体温の上昇を抑制することにより、運動時の疲労を低減し、パフォーマンス向上等の効果も期待できる。
本発明における卵白とは鳥類の卵に含まれる卵白であり、例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウなどの卵が挙げられる。本発明においては、凍結卵白液や卵白粉末などとして市販品を容易に大量入手できる鶏卵の卵白が好ましく、ハンドリングの点から卵白粉末が好ましく用いられる。
本発明の熱中症予防飲料の有効成分である卵白ペプチドは、上記卵白を酸加水分解又は酵素分解することにより調製することができる。工業的には、加水分解酵素を用いて調製することが好ましい。
卵白ペプチドの調製に用いられる加水分解酵素としては、プロテアーゼ活性又はペプチダーゼ活性を有する食品製造に使用可能な酵素が用いられ、具体的には、パパイン(EC.3.4.22.2)、フィシン(EC.3.4.4.12)、ブロメライン(EC.3.4.4.24)、トリプシン(EC.3.4.21.4)、キモトリプシン(EC.3.4.21.1)、アスペルギルス属麹菌由来プロテアーゼ(商品名「オリエンターゼ」株式会社エイチビイアイ製、商品名「フレバザイム」ノボザイム社製、商品名「プロテアーゼA「アマノ」G」天野エンザイム株式会社製等)、バチルス属細菌由来プロテアーゼ(商品名「プロテアーゼS「アマノ」G」、商品名「プロテアーゼN「アマノ」G」、商品名「プロレザーFG-F」いずれも天野エンザイム株式会社製)、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼ(商品名「ペプチダーゼR」、商品名「ニューラーゼF3G」いずれも天野エンザイム株式会社製)等が例示できる。
本発明においては、パパイン、トリプシン、アスペルギルス属麹菌由来プロテアーゼ、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼから選ばれた1種以上の酵素を用いて加水分解することが好ましく、パパイン、トリプシン、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼの順で酵素を添加し、それぞれ所定時間加水分解を行うことがより好ましい。これにより、溶解性に優れた卵白ペプチドを得ることができる。
以下、卵白ペプチドの製造法について、具体例を挙げて説明する。
水に乾燥卵白を徐々に添加して均一に撹拌し、15質量%程度の卵白水溶液を調製する。この卵白水溶液にパパインを添加して所定時間酵素反応を行った後、加熱して酵素失活処理を行う。この液を冷却して、トリプシンを添加して所定時間反応を行った後、次いで、バチルス属細菌由来プロテアーゼを添加して所定時間反応を行い、次いでリゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼを添加して所定時間反応を行う。そして、得られた反応液を加熱して酵素失活処理を行った後、固液分離して液部を回収し、殺菌後、乾燥粉末化することにより、卵白ペプチドを得ることができる。
なお、上記各酵素の添加量は、酵素:卵白(固形分)の質量比で1:20〜1:1000が好ましく、各酵素反応を行う際には、適宜pH調整を行うことが好ましい。また、前記卵白ペプチドは、RO膜やUF膜等の膜処理、電気透析、ゲル濾過その他各種カラムクロマトグラフィー等の公知の手段により脱塩、分画精製してもよい。
上記のようにして得られた卵白ペプチドは、1質量%水溶液でオートクレーブ(121℃、15分間)しても沈殿を生じず、飲料用途に好適である。
なお、上記卵白ペプチドは、ラットを用いた急性毒性試験の結果、LD50は5g/体重kg以上であり、充分な安全性を有していることが分かった。
上記卵白ペプチドの有効摂取量は、成人1回あたり100〜1000mgであり、好ましくは300〜700mgである。
本発明の熱中症予防飲料は、上記卵白ペプチドを有効成分として含有するものであり、飲料500ml中、上記卵白ペプチドを100〜1000mg含有することが好ましく、300〜700mg含有することがより好ましい。上記卵白ペプチドの含有量が上記範囲外であると、充分な効果が期待できなかったり、風味が悪くなるため好ましくない。
本発明の熱中症予防飲料の種類は、特に限定されず、例えば、炭酸飲料、果実・果汁飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、茶飲料(緑茶、烏龍茶、紅茶など)、豆乳、野菜飲料、スポーツ飲料、乳性飲料等の清涼飲料のほか、乳飲料や乳酸菌飲料等が挙げられる。本発明においては、中でもスポーツ飲料が好ましく、特にヒトの体液と同じ浸透圧(約280mOsm/L)を有する飲料(いわゆるアイソトニック飲料)、あるいはヒトの体液より低い浸透圧を有する飲料(いわゆるハイポトニック飲料)が好ましい。飲料の浸透圧を調整することにより、より高い熱中症予防効果が期待できる。なお、上記飲料の処方、製造は常法に従って行えばよい。
本発明の熱中症予防飲料は、上述した基本的成分の他に、γ−アミノ酪酸(GABA)、唐辛子抽出エキス(カプサイシン)、ミカン皮抽出エキス(ヘスペリジン)、ショウガ抽出エキス(ジンゲロール)等を含むことができる。これらの成分を併用することにより、相乗効果が期待できる。また、乳化剤、安定剤、甘味料、pH調整剤、増粘剤、香料、果汁、糖類(単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類)、脂肪酸類、他のペプチド類、アミノ酸(グルタミン、アルギニン、分枝鎖アミノ酸:バリン、ロイシン、イソロイシン)、ビタミン類、ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等)、有機酸(クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フマル酸等)等を含むことができる。
(酵素加水分解による卵白ペプチドの調製)
乾燥卵白2kgに水1Lを加えて均一に懸濁した後、60℃まで加温してパパイン(商品名「パパイン300」、日本バイオコン株式会社製)2g、バチルス属細菌由来プロテアーゼ(商品名「プロテアーゼS「アマノ」G」天野エンザイム株式会社製)2gを添加し、60℃で3時間酵素反応を行った。その後、沸騰湯浴中で5分間加熱処理を行い、一旦酵素を失活させた液を40℃に調整後、リゾプス属糸状菌由来プロテアーゼ(商品名「ペプチダーゼR」天野エンザイム株式会社製)0.5gを加え40℃にて2時間酵素反応を行った。その後、沸騰湯浴中5分間の加熱処理を行い、酵素を失活させて、遠心分離(18,000rpm)を行い、上清を回収し、これを凍結乾燥して卵白ペプチド160gを得た。
乾燥卵白2kgに水1Lを加えて均一に懸濁した後、60℃まで加温してパパイン(商品名「パパイン300」、日本バイオコン株式会社製)2g、バチルス属細菌由来プロテアーゼ(商品名「プロテアーゼS「アマノ」G」天野エンザイム株式会社製)2gを添加し、60℃で3時間酵素反応を行った。その後、沸騰湯浴中で5分間加熱処理を行い、一旦酵素を失活させた液を40℃に調整後、リゾプス属糸状菌由来プロテアーゼ(商品名「ペプチダーゼR」天野エンザイム株式会社製)0.5gを加え40℃にて2時間酵素反応を行った。その後、沸騰湯浴中5分間の加熱処理を行い、酵素を失活させて、遠心分離(18,000rpm)を行い、上清を回収し、これを凍結乾燥して卵白ペプチド160gを得た。
この卵白ペプチドを、下記条件でHPLCを行い、分子量分布を調べた。その結果を図1に示す。なお、図中の数字は目安となる分子量の溶出時間を示す。
・カラム:商品名「YMC-Pack Dio1‐60」(8.0×500mm)(株式会社ワイエムシイ製)
・溶出液:0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)
・流速:0.7ml/分
・検出波長:215nm
・カラム:商品名「YMC-Pack Dio1‐60」(8.0×500mm)(株式会社ワイエムシイ製)
・溶出液:0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)
・流速:0.7ml/分
・検出波長:215nm
この卵白ペプチドを用いて、図2に示すスケジュールでエルゴメーターを用いた運動負荷試験を行った。すなわち、運動負荷30分前に、室温25℃に調整した部屋に被験者(男性4名、女性3名:平均年齢25.9歳)を入れ、安静状態にしてもらった。そして、15分後(運動負荷15分前)に、下記被験サンプルを摂取してもらった。被験サンプル摂取15分後、被験者にエルゴメーターによる運動負荷(60%VO2max 運動強度)をかけ、心拍数、血圧、直腸温(深部体温)、発汗量、呼気ガス等を測定した(試験環境:室温25℃)。
・被験サンプル
コントロール区:水200ml
対照区:乾燥卵白500mg/水200ml
試験区:卵白由来ペプチド500mg/水200ml
コントロール区:水200ml
対照区:乾燥卵白500mg/水200ml
試験区:卵白由来ペプチド500mg/水200ml
図3に、直腸温(深部体温)を測定した結果を示す。また、図2に体重当りの発汗量を示す。
図3から、試験区は、コントロール区及び対照区に比べて運動負荷時における直腸温(深部体温)が低く推移していることが分かる。また、図4から、試験区は、対照区に比べて体重当りの発汗量も少ないことが分かる(有意差有り)。
以上の結果から、卵白ペプチドを配合した飲料を摂取することにより、運動時における直腸温(深部体温)の上昇を抑制すると共に発汗量も抑えることもでき、熱中症の予防に有効であることが示唆された。
本発明の飲料は、運動時や、高温・高湿環境下での作業時における熱中症の予防に有効である。
Claims (3)
- 卵白を加水分解して得られる卵白ペプチドを有効成分として含有することを特徴とする熱中症予防飲料。
- 前記飲料500ml中、前記卵白ペプチドを100〜1000mg含有する請求項1記載の飲料。
- 前記卵白ペプチドは、卵白を、パパイン、トリプシン、アスペルギルス属麹菌由来プロテアーゼ、バチルス属細菌由来プロテアーゼ、リゾプス属糸状菌由来ペプチダーゼから選ばれた1種以上の酵素を用いて加水分解することによって得られるものである請求項1又は2記載の飲料。
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JP2011173817A (ja) * | 2010-02-23 | 2011-09-08 | Pharma Foods International Co Ltd | No産生促進組成物及びそれを含有する男性機能改善剤 |
JPWO2011126054A1 (ja) * | 2010-04-07 | 2013-07-11 | 国立大学法人京都大学 | 生理活性ペプチド |
WO2019065718A1 (ja) | 2017-09-26 | 2019-04-04 | 学校法人東洋大学 | 熱中症の予防、軽減及び/又は治療のための組成物 |
JP7496318B2 (ja) | 2018-12-28 | 2024-06-06 | ナガセヴィータ株式会社 | 暑熱ストレス緩和剤 |
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2006
- 2006-09-22 JP JP2006256687A patent/JP2008072968A/ja active Pending
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