JP4093507B2 - 緩衝液組成 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、pH8〜11のアルカリ域緩衝液(但し、炭酸系緩衝液を除く)を用い、主成分としてアルカリ域にて酵素的反応を行なう酵素含有組成であって、炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を有効成分とする緩衝液組成、およびpH8〜11のアルカリ域緩衝液(但し、炭酸系緩衝液を除く)を用い、主成分としてアルカリ域にて酵素的反応を行なう酵素含有組成であって、炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を有効成分として含有せしめることを特徴とする当該緩衝液組のpH変動の抑制方法に関する。好ましくは酵素的測定用の組成において、炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を有効成分とする緩衝液組成に関するものであり、生化学分野における基本的に重要な緩衝液組成であり、被検液、例えば、生体成分における基質の測定や酵素活性の測定に重要な技術である。
【0002】
【従来の技術】
従来、緩衝液は、生化学反応、例えば酵素的な基質の測定、基質を用いる酵素活性測定や酵素をマーカーとした酵素活性測定に基づく免疫測定法などにおいて、反応媒体のpHの変動を押さえるべく開発され、有機アミン系緩衝液、グッド緩衝液または生化学用緩衝液などの多くの緩衝液が開発されてきた。
【0003】
有機アミン系緩衝液としては、例えば、ジエタノールアミン緩衝液、2−エチルアミノエタノール緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチル−D−グルカミン等が挙げられる。
また、グッド緩衝液としては、例えば、MES(2−(N−Morphilino)ethanesulfonic acid)緩衝液、Bis−Tris(Bis(2−hydroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methane)緩衝液、ADA(N−(2−Acetamido)iminodiacetic acid)緩衝液、PIPES(Piperazine−N,N’−bis(2−ethanesulfonic acid)緩衝液、ACES(N−(2−Acetamido)−2−aminoethanesulfonic acid)緩衝液、MOPSO(3−(N−Morpholino)−2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、BES(N,N−Bis(2−hydroxyethyl)−2−aminoethanesulfonic acid)緩衝液、MOPS(3−(N−Morpholino)propanesulfonic acid)緩衝液、TES(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−2−aminoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(N−2−hydroxyethylpiperazine−N’−2−ethanesulfonic acid)緩衝液、DIPSO(3−[N,N−Bis(2−hydroxyethyl)amino]−2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、TAPSO(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−2−hydroxy−3−aminopropanesulfonic acid)緩衝液、POPSO(Piperazine−N,N’−bis(2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、HEPPSO(N−2−Hydroxyethylpiperazine−N−2−hydroxypropane−3−sulfonic acid)緩衝液、EPPS(N−2−Hydroxyethylpiperazine−N’−3−propanesulfonic acid、別名HEPPS)緩衝液、Tricine(Tris(hydroxymethyl)methylglycine)緩衝液、Bicine(N、N−Bis(2−hydroxyethyl)glycine)緩衝液、TAPS(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid)緩衝液、CHES(2−(Cyclohexylamino)ethanesulfonic acid)緩衝液、CAPSO(3−N−Cyclohexylamino−2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、CAPS(3−Cyclohexylaminopropanesulfonic acid)緩衝液等が挙げられる。
【0004】
さらに、上記以外の緩衝能を有する生化学用緩衝液としては、例えば、クエン酸−第2リン酸ナトリウム系、塩酸−ベロナールナトリウム−酢酸ナトリウム系、第1リン酸カリウム−第2リン酸ナトリウム系、第1リン酸カリウム−ホウ砂系、第1リン酸カリウム−水酸化ナトリウム系、塩酸−コリジン系、塩酸−ベロナールナトリウム系、塩酸−トリスアミノメタン系、塩酸−ホウ砂系、ホウ酸−炭酸ナトリウム系、ホウ酸−ホウ砂系、塩酸−アミノメチルプロパンジオール系、塩化アンモニウム−アンモニア系、グリシン−水酸化ナトリウム系、ホウ酸−水酸化ナトリウム系、塩酸−ジメチルグリシンナトリウム系、ホウ砂−水酸化ナトリウム系、ホウ砂−炭酸ナトリウム系、セーレンセン緩衝液、グリシン−塩化ナトリウム−塩酸系、第2クエン酸ナトリウム−塩酸系、第2クエン酸ナトリウム−水酸化ナトリウム系、ホウ砂−塩化ナトリウム系、ミカエリス緩衝液、ベロナールナトリウム−酢酸ナトリウム−塩酸系、クラーク−ルブス緩衝液、ホウ酸−塩化カリウム−水酸化ナトリウム系、アトキンス−パンチン緩衝液、パリティッシュ緩衝液、コルトホフ緩衝液、マックイルベイン緩衝液、ハスチング−センドロイ緩衝液、ブリトン−ロビンソン緩衝液、グッド緩衝液、マレイン酸塩緩衝液、トリス−マレイン酸塩緩衝液、ベロナール緩衝液、ベロナール−酢酸塩緩衝液などが挙げられ、何らこれらに限定されるものではない。
【0005】
従来の生化学検査、例えば、アルカリフォスファターゼの活性測定は、アルカリ域緩衝液としてジエタノールアミン緩衝液や2−エチルアミノエタノール緩衝液等を用いて行われてきたが(臨床化学19(2)、p213−227、1990年)、pHの僅かな変化でも、酵素の活性値が大きく変動することが知られてきた。
【0006】
また、アルカリ域緩衝液を開封保存した後当該アルカリ域緩衝液を用いて、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸測定やアルカリフォスファターゼ活性測定を行うと、胆汁酸測定値やアルカリフォスファターゼ活性値の変動が見られ、再現性に乏しい問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、緩衝液を開封保存した場合、原因は不明であるが、緩衝液のpHが変動し、一定のpHを得ることが非常に困難である。特に、アルカリ域緩衝液を開封保存した場合は、pHの低下が起こり、例えば、酵素活性を測定する場合は、酵素の反応性の劣化が生じる欠点があった。従って、pH8〜11のアルカリ緩衝液にて、例えば生体成分である基質の酵素的測定や酵素活性測定などの酵素反応を伴う酵素的測定のための酵素活性の劣化を生じさせない緩衝液の開発が本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムがpH8〜11のアルカリ域緩衝液を用い、アルカリ域にて酵素的反応を伴う組成の酵素の反応性を安定化させること見いだした。
即ち、本発明は、アルカリ域にて酵素的反応を行なう酵素の一つである3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸測定において、通常の0.2Mジエタノールアミン緩衝液(pH9.2)を用いて胆汁酸測定を行うと、開封保存した当該緩衝液で、経時的に測定値の低下が観察されたことから、種々の検討を加えた結果、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムを当該緩衝液に含有せしめると、胆汁酸の測定値の低下が非常に改善され、再現性の良好な測定結果が得られることを見いだした。
【0009】
同様に、アルカリ域にて酵素的反応を行なう酵素の例示としてのアルカリフォスファターゼの活性測定を0.2Mジエタノールアミン緩衝液(pH9.2)を用いて、活性測定を行うと、開封保存した当該緩衝液で、経時的に測定値の低下が観察されたが、上記したような炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムを当該緩衝液に含有せしめると、アルカリフォスファターゼの活性値の低下が劇的に軽減されることを見いだした。
【0010】
さらに、本発明においてpH8〜11のアルカリ域緩衝液を用いる組成において、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等の炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を用いることにより再現性良く測定し得るもので、この炭酸水素イオンを放出せしめるカルシウムやマグネシウムの炭酸化合物も同様に良好な結果を示すことを見い出し、その結果、従来の炭酸水素イオンを含有していないアルカリ域緩衝液組成に比べて開封条件下において格段に酵素的測定における再現性が向上したことを見出した。
【0011】
本発明は上記の知見により完成されたものであって、pH8〜11のアルカリ域緩衝液(但し、炭酸系緩衝液を除く)を用い、主成分としてアルカリ域にて酵素的反応を行なう酵素含有組成であって、炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を有効成分とする緩衝液組成、およびpH8〜11のアルカリ域緩衝液(但し、炭酸系緩衝液を除く)を用い、主成分としてアルカリ域にて酵素的反応を行なう酵素含有組成であって、炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を有効成分として含有せしめることを特徴とする当該緩衝液組のpH変動の抑制方法であって、例えば3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸の安定的測定やアルカリフォスファターゼの活性の安定的測定などの酵素的測定用の緩衝液組成に用いることを可能となし、本発明の炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を有効成分として含有せしめた緩衝液組成は、酵素反応を伴う基質または酵素活性の測定のための酵素的測定用の組成として好適に使用できることを見出した。
【0012】
本発明のアルカリ域緩衝液(但し、炭酸系緩衝液を除く)を含有する組成としては、pH領域としてpHが8〜11の範囲で大いに有効であり、その緩衝液としては、例えば、pH8〜11の間に適宜に調整できる有機アミン系緩衝液、グッド緩衝液やその他に、クエン酸−第2リン酸ナトリウム系、塩酸−ベロナールナトリウム−酢酸ナトリウム系、第1リン酸カリウム−第2リン酸ナトリウム系、第1リン酸カリウム−ホウ砂系、第1リン酸カリウム−水酸化ナトリウム系、塩酸−コリジン系、塩酸−ベロナールナトリウム系、塩酸−トリスアミノメタン系、塩酸−ホウ砂系、ホウ酸−炭酸ナトリウム系、ホウ酸−ホウ砂系、塩酸−アミノメチルプロパンジオール系、塩化アンモニウム−アンモニア系、グリシン−水酸化ナトリウム系、ホウ酸−水酸化ナトリウム系、塩酸−ジメチルグリシンナトリウム系、ホウ砂−水酸化ナトリウム系、ホウ砂−炭酸ナトリウム系、セーレンセン緩衝液、グリシン−塩化ナトリウム−塩酸系、第2クエン酸ナトリウム−塩酸系、第2クエン酸ナトリウム−水酸化ナトリウム系、ホウ砂−塩化ナトリウム系、ミカエリス緩衝液、ベロナールナトリウム−酢酸ナトリウム−塩酸系、クラーク−ルブス緩衝液、ホウ酸−塩化カリウム−水酸化ナトリウム系、アトキンス−パンチン緩衝液、パリティッシュ緩衝液、コルトホフ緩衝液、マックイルベイン緩衝液、ハスチング−センドロイ緩衝液、ブリトン−ロビンソン緩衝液、マレイン酸塩緩衝液、トリス−マレイン酸塩緩衝液、ベロナール緩衝液、ベロナール−酢酸塩緩衝液などの生化学用緩衝液などが挙げられ、これらの緩衝液以外であっても、pH8〜11のアルカリ域にて緩衝能を有するものであれば何ら限定されない。
【0013】
また、有機アミン系緩衝液としては、例えば、ジエタノールアミン緩衝液、2−エチルアミノエタノール緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチル−D−グルカミン等が挙げられる。
さらに、グッド緩衝液としては、例えば、MES(2−(N−Morphilino)ethanesulfonic acid)緩衝液、Bis−Tris(Bis(2−hydroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methane)緩衝液、ADA(N−(2−Acetamido)iminodiacetic acid)緩衝液、PIPES(Piperazine−N,N’−bis(2−ethanesulfonic acid)緩衝液、ACES(N−(2−Acetamido)−2−aminoethanesulfonic acid)緩衝液、MOPSO(3−(N−Morpholino)−2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、BES(N,N−Bis(2−hydroxyethyl)−2−aminoethanesulfonic acid)緩衝液、MOPS(3−(N−Morpholino)propanesulfonic acid)緩衝液、TES(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−2−aminoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(N−2−hydroxyethylpiperazine−N’−2−ethanesulfonic acid)緩衝液、DIPSO(3−[N,N−Bis(2−hydroxyethyl)amino]−2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、TAPSO(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−2−hydroxy−3−aminopropanesulfonic acid)緩衝液、POPSO(Piperazine−N,N’−bis(2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、HEPPSO(N−2−Hydroxyethylpiperazine−N−2−hydroxypropane−3−sulfonic acid)緩衝液、EPPS(N−2−Hydroxyethylpiperazine−N’−3−propanesulfonic acid、別名HEPPS)緩衝液、Tricine(Tris(hydroxymethyl)methylglycine)緩衝液、Bicine(N,N−Bis(2−hydroxyethyl)glycine)緩衝液、TAPS(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid)緩衝液、CHES(2−(Cyclohexylamino)ethanesulfonic acid)緩衝液、CAPSO(3−N−Cyclohexylamino−2−hydroxypropanesulfonic acid)緩衝液、CAPS(3−Cyclohexylaminopropanesulfonic acid)緩衝液等が挙げられる。
【0014】
なお、本発明のアルカリ域緩衝液においては炭酸系緩衝液を除くものであり、この炭酸系緩衝液としては、例えば炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの緩衝液またはそれらのカリウム塩による緩衝液などであり、炭酸塩に基づく緩衝液を意味し、本発明におけるアルカリ域緩衝液とは別途に炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物を有効成分とするpH変動抑制剤として含有せしめるものと区別する目的のものである。
【0015】
アルカリ域緩衝液を用いる組成として、当該アルカリ域緩衝液として、有機アミン系緩衝液を用いる場合は、20mM〜2Mの濃度、好ましくは20mM〜1Mの濃度、最適には20mM〜500mMの濃度に調整した水性媒体として用いれば良い。また、好適な水性媒体としては水、具体的には精製水が挙げられ、適宜に補酵素、可溶性塩類、界面活性剤、安定化剤や防腐剤などを含有してもよい。
【0016】
また、アルカリ域緩衝液を含有する組成として、当該アルカリ域緩衝液として、グッド緩衝液または生化学用緩衝液を用いる場合は、20mM〜1Mの濃度、好ましくは20mM〜500mMの濃度、最適には20mM〜300mMの濃度に調整して用いれば良い。
さらに本発明における、主成分としてアルカリ域にて酵素的反応を行なう酵素としては、上記の緩衝液のpH8〜11のアルカリ域にて当該基質に対して酵素作用を触媒し得るものであれば何ら限定されるものでなく、例えば酵素の至適pHや安定pHが酸性域にあっても目的の酵素作用をpH8〜11のアルカリ域にて当該基質に対して酵素作用を触媒し得るものであってもよく、好ましくは酵素の至適pHや安定pHのいずれか、または両方がアルカリ域にあって目的の酵素作用をpH8〜11のアルカリ域にて当該基質に対して酵素作用を触媒し得るものであり、好適には3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、7αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、11αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、16αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、17αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、21αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼなどのステロイドデヒドロゲナーゼやアルカリフォスファターゼなどの酵素の至適pHや安定pHのいずれか、または両方がアルカリ域にある酵素が挙げられ、さらに例えばアルコールデヒドロゲナーゼ(基質:エタノール、補酵素:NAD、緩衝液pH8.5〜8.8)、ラクテートデヒドロゲナーゼ(基質:乳酸、補酵素:NAD、緩衝液pH9〜10)、ガラクトースデヒドロゲナーゼ(基質:ガラクトース、補酵素:NAD、至適pH8〜9)が挙げられる。
【0017】
また当該酵素としては、例えば胆汁酸である基質の測定の目的としての酵素である3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの使用形態でもよく、また例えばアルカリフォスファターゼを生体内酵素活性測定の目的とする使用形態でもよく、さらに例えばアルカリフォスファターゼを免疫測定における酵素マーカーとして酵素活性測定の目的とする使用形態でもよいものである。
【0018】
従ってまた、本発明の緩衝液組成に含有される酵素の量としては、基質の測定の目的、生体内酵素活性測定の目的、免疫測定における酵素マーカーの酵素活性測定の目的によって、適宜異なるものである。
基質の測定の目的における緩衝液組成に含有される酵素の量としては、例えば、緩衝液組成中0.001〜200単位、好ましくは0.05〜100単位であり、また生体内酵素活性測定の目的における緩衝液組成に含有される酵素の量としては、生体内酵素の量に依存するものであるが、例えば緩衝液組成中0.0001〜200単位、好ましくは0.01〜100単位であり、免疫測定における酵素マーカーの酵素活性測定の目的における緩衝液組成に含有される酵素の量としては極めて微量であり、例えば緩衝液組成中0.0001m単位〜1単位、好ましくは0.001m単位〜0.5単位である。
【0019】
以下に、本発明について詳しく説明するが、特に限定されるものではない。
炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物として、例えば炭酸水素ナトリウムをアルカリ域緩衝液、例えばジエタノールアミン緩衝液に加えて調整するに当たっては、下記の如く行えば良い。即ち、ジエタノールアミン緩衝液(pH9.2)の調製は、ジエタノールアミン(DEA)(和光純薬工業社製)20.827gを精製水に溶解させる。次いで、適宜にデヒドロゲナーゼなどの酵素的測定のための補酵素、安定化剤や防腐剤、例えば6.6mmolのNADH、1.3gのデキストラン、0.7gのBSA(牛血清アルブミン)、および0.5gのNaN3 を添加し、さらに炭酸水素ナトリウムを0g、4.2g、8.4g、12.6g、16.8g、あるいは21.0gを添加し、30℃でpHを計測しながら、1NのHClあるいは1NのNaOHを加え、pHを9.2に合わせ、精製水で全量を1,000mlとし、それぞれ0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、50mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、100mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、150mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、200mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、250mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)を調製する。
【0020】
この場合、有機アミン系緩衝液の1つであるジエタノールアミン緩衝液への炭酸水素ナトリウムなどの炭酸化合物の添加濃度はモル濃度において10mM〜1Mであれば良く、望ましくは20mM〜500mMであれば良い。また、グッド緩衝液、例えば、Bicine緩衝液に、同様に炭酸水素ナトリウムなどの炭酸化合物の添加濃度は10mM〜1Mであり、望ましく20mM〜500mMであれば良い。
【0021】
このようにして作製したアルカリ域緩衝液を含有する組成物、例えば、3μl〜5mlの適宜な量に、生体成分における基質の測定用の酵素、例えばNADやNADPまたはそれらの還元型であるNADHやNADPH、チオ−NADやチオ−NADPまたはそれらの還元型であるチオ−NADHやチオ−NADPHなどの補酵素を利用する種々のデヒドロゲナーゼ、好適には3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼなどの酵素を0.1〜100U/ml添加し、開封保存しても、その後に例えば20〜40℃にてレートアッセイやエンドポイントアッセイを行なっても、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸測定の安定的な測定が可能となる。
【0022】
例えば、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性測定または基質の測定は以下のように行えばよい。反応液(40mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、1mMNAD(興人化学社製)、0.025%ニトロテトラゾリウムブルー(NTB;同仁化学社製)、5U/mlジアホラーゼ(旭化成工業社製)、0.4%トリトンX−100(米山化学社製)含む溶液)0.5mlに、0.02mlの酵素液を添加し、37℃で予備加温した後、基質溶液(メタノールで溶解した20mMアンドロステロン(シグマ社製)溶液)を0.025ml添加し、37℃、5分間、反応させた後、反応停止液(0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製))2.5mlを添加し、反応において生成された色素を550nm付近の吸光度にて測定し、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性または基質であるアンドロステロンを測定できる。
【0023】
さらに、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸測定の例示としては、R1溶液(30mMグリシン、1.35mMチオ−NAD(オリエンタル酵母工業社製)、0.8%塩化ナトリウム、0.1%トリトンX100および0.05%NaN3 を含むpH4.0溶液)1.30mlに、胆汁酸溶液0.015mlを添加し、37℃、5分間反応させた後、R2溶液(200mMジエタノールアミン、6.6mMNADH、9.5U/ml3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(旭化成工業社製)および0.05%NaN3 を含むpH9.2溶液)0.65mlを添加し、37℃、2分後から、レートアッセイ法にて、デヒドロゲナーゼを用いた可逆反応に基づく酵素サイクリングの反応にて生成されたチオ−NADHの量を400nm付近の吸光度にて測定するか、反応にて減少したNADHの量を340nm付近の吸光度にて測定などの吸光度変化量を測定すれば良い。
【0024】
同様にして、既知濃度の胆汁酸溶液(シグマ社製グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)0.094gを100mlに溶解し、その後40倍希釈し50μMに調製した溶液)を測定し、既知濃度の胆汁酸溶液の吸光度変化量から、胆汁酸濃度を算出することができる。
上記の方法にて、R2溶液を、4℃にて開封保存し、酵素添加後、0(初期値)、7、14、21、26、51日目で、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの残存活性、R2溶液のpH及び各種基質に対する感度を測定する。基質は、GCDCA(シグマ社製)、セロノルム(第一化学薬品工業社製)、パソノルムL(第一化学薬品工業社製)及びパソノルムH(第一化学薬品工業社製)等を用いればよい。
【0025】
また、同様にアルカリ域緩衝液としてBicineを用いる場合は以下の様に行えば良い。即ち、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸測定は、R2溶液(100mMBicine(同仁化学社製)緩衝液、6.6mMNADH、9.5U/ml3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(旭化成工業社製)および0.05%NaN3 を含むpH9.0の溶液)に炭酸水素ナトリウムを0〜50mM添加し、4℃にて開封保存し、添加後、0(初期値)、21日目で、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの残存活性及び各種基質に対する感度を測定する。
【0026】
また、ジエタノールアミン緩衝液でのアルカリフォスファターゼの活性測定は、例えば、以下の様に行う。
溶液(200mMジエタノールアミンに炭酸水素ナトリウムを0mM(最終的な溶液のpH10.03)、200mM(最終的な溶液のpH10.11)、500mM(最終的な溶液のpH10.08)、600mM(最終的な溶液のpH10.10)または800mM(最終的な溶液のpH10.10)を含有せしめた溶液)を4℃にて開封保存し、保存後14日目で、アルカリフォスファターゼの活性を測定する。アルカリフォスファターゼの活性測定は、開封保存した当該溶液1mlにアルカリフォスファターゼ基質であるp−ニトロフェニルリン酸二ナトリウムを15mMの濃度で添加し、次いでアルカリフォスファターゼ含有市販の管理血清であるセラクリアN(日本商事社製)20μlを添加する。37℃、1分後から、レートアッセイ法にて、活性を算出する。
【0027】
また、アルカリ域緩衝液として、グッド緩衝液、例えばTricine緩衝液を用いる場合は以下の様に行えば良い。溶液(100mMTricine(同仁化学社製)緩衝液に炭酸水素ナトリウムを0mM(最終的な溶液のpH9.80)、100mM(最終的な溶液のpH9.82)、200mM(最終的な溶液のpH9.81)、300mM(最終的な溶液のpH9.83)、400mM(最終的な溶液のpH9.82)または500mM(最終的な溶液のpH9.80)を含有せしめた溶液)を4℃にて開封保存し、14日目で、アルカリフォスファターゼの活性を前述したように測定する。
【0028】
炭酸水素イオンを放出せしめる炭酸化合物としては、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物があり、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウムや炭酸水素カルシウム等が挙げられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
つぎに実施例にもとづいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
【実施例1】
ジエタノールアミン緩衝液の調製
ジエタノールアミン(DEA)(和光純薬工業株式会社製)20.827gを精製水に溶解させ、6.6mmolのNADH、1.3gのデキストラン、0.7gのBSA、および0.5gのNaN3 を添加し、炭酸水素ナトリウムを0g、4.2g、8.4g、12.6g、16.8g、あるいは21.0gを添加し、30℃でpHを計測しながら、1NのHClを加え、pHを9.2に合わせ、精製水で全量を1,000mlとし、それぞれ0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、50mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、100mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、150mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、200mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)、250mM炭酸水素ナトリウム添加0.2MのDEA緩衝液(pH9.20)を調製した。
【0031】
【実施例2】
(1)3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性測定
反応液(40mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0、1mMNAD(興人化学社製)、0.025%ニトロテトラゾリウムブルー(NTB;同仁化学社製)、5U/mlジアホラーゼ(旭化成工業社製)、0.4%トリトンXー100(米山化学社製)含む溶液)0.5mlに、0.02mlの酵素液を添加し、37℃で予備加温した後、基質溶液(メタノールで溶解した20mMアンドロステロン(シグマ社製)溶液)を0.025ml添加し、37℃、5分間、反応させた後、反応停止液(0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製))2.5mlを添加し、550nmの吸光度を測定し、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性を測定した。
(2)3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによる胆汁酸測定
R1溶液(30mMグリシン、1.35mMチオ−NAD(オリエンタル酵母工業社製)、0.8%塩化ナトリウム、0.1%トリトンX−100および0.05%NaN3 を含むpH4.0溶液)1.30mlに、胆汁酸溶液0.015mlを添加し、37℃、5分間反応させた後、R2溶液(200mMジエタノールアミン、6.6mMNADH、9.5U/ml3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(旭化成工業社製)および0.05%NaN3 を含むpH9.2溶液)0.65mlを添加し、37℃、2分後から、レートアッセイ法にて、吸光度変化量を測定した。
【0032】
同様にして、既知濃度の胆汁酸溶液(シグマ社製グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)0.094gを100mlに溶解し、その後40倍希釈し50μMに調製した溶液)を測定し、既知濃度の胆汁酸溶液の吸光度変化量から、胆汁酸濃度を算出した。
上記の方法にて、R2溶液を、4℃にて開封保存し、酵素添加後、0(初期値)、7、14、21、26、51日目で、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの残存活性、R2溶液のpH及び各種基質に対する感度を測定した。基質は、GCDCA(シグマ社製)、セロノルム(第1化学薬品社製)、パソノルムL(第1化学薬品社製)及びパソノルムH(第1化学薬品社製)を使用した。
【0033】
結果を、表1〜表6に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
表1〜表6により、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸測定において、炭酸水素ナトリウムを添加した系においては、初期値に対する相対感度が炭酸水素ナトリウムが無添加の系に比較して、多いに向上していることが明らかとなった。かつ炭酸水素ナトリウムの適宜な添加量によって、炭酸水素ナトリウムの無添加の系の開封後のpHの変化に比べて、pHの変動を抑制して安定化効果を奏したものであった。
【0041】
【実施例3】
3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸測定
R2溶液(100mMBicine(同仁化学社製)緩衝液、6.6mMNADH、9.5U/ml3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(旭化成工業社製)および0.05%NaN3 を含むpH9.0の溶液)に炭酸水素ナトリウムを0〜50mMの濃度で添加し、4℃にて開封保存し、添加後、0(初期値)、21日目で、3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの残存活性及び各種基質に対する感度を実施例2と同様に測定した。結果を、表7に示した。
【0042】
【表7】
【0043】
表7により、Bicine緩衝液においても、炭酸水素ナトリウムを添加した系においては、初期値に対する相対感度が炭酸水素ナトリウムが無添加の系に比較して、多いに向上していることが明らかとなった。
【0044】
【実施例4】
開封保存ジエタノールアミン緩衝液溶液におけるアルカリフォスファターゼの活性測定
溶液(200mMジエタノールアミンに炭酸水素ナトリウムを0mM(最終的な溶液のpH10.03)、200mM(最終的な溶液のpH10.11)、500mM(最終的な溶液のpH10.08)、600mM(最終的な溶液のpH10.10)または800mM(最終的な溶液のpH10.10)を含有せしめた溶液)を4℃にて開封保存し、保存後14日目で、アルカリフォスファターゼの活性を測定した。
【0045】
アルカリフォスファターゼの活性測定は、開封保存した当該溶液1mlにアルカリフォスファターゼ基質であるp−ニトロフェニルリン酸二ナトリウムを15mMの濃度で添加し、次いでアルカリフォスファターゼ含有市販の管理血清であるセラクリアN(日本商事社製)20μlを添加した。37℃、1分後から、レートアッセイ法にて、活性を算出した。結果を、表8に示した。
【0046】
【表8】
【0047】
表8から、炭酸水素ナトリウムを添加した系においては、炭酸水素ナトリウムが無添加の系に比較して、活性の低下が大いに軽減されていることが明らかとなった。
【0048】
【実施例5】
開封保存したグッド緩衝液におけるアルカリフォスファターゼの活性測定
グッド緩衝液の1つとして、Tricine緩衝液を用いた。即ち、溶液(100mMTricine(同仁化学社製)緩衝液に炭酸水素ナトリウムを0mM(最終的な溶液のpH9.80)、100mM(最終的な溶液のpH9.82)、200mM(最終的な溶液のpH9.81)、300mM(最終的な溶液のpH9.83)、400mM(最終的な溶液のpH9.82)または500mM(最終的な溶液のpH9.80)を含有せしめた溶液)を4℃にて開封保存し、14日目で、アルカリフォスファターゼの活性を測定した。アルカリフォスファターゼの活性測定は実施例4と同様に実施した。結果を、表9に示した。
【0049】
【表9】
【0050】
表9から、炭酸水素ナトリウムを添加した系においては、炭酸水素ナトリウムが無添加の系に比較して、活性の低下が大いに軽減されていることが明らかとなった。
【0051】
【実施例6】
開封保存した生化学用緩衝液におけるアルカリフォスファターゼの活性測定
生化学用緩衝液の1つとして、塩酸−トリスアミノメタン系緩衝液を用いた。即ち、溶液(50mMTris(シグマ社製、商品名Trizma−base)緩衝液に炭酸水素カリウムを0mM(最終的な溶液のpH9.20)または300mM(最終的な溶液のpH9.20)を含有せしめた溶液)を4℃にて開封保存し、14日目で、アルカリフォスファターゼの活性を測定した。アルカリフォスファターゼの活性測定は実施例4と同様に実施した。
【0052】
その結果、100mM炭酸水素カリウム含有Tris緩衝液におけるpHおよびアルカリフォスファターゼの活性はそれぞれpH9.20および110U/L(初期値、111U/L)であったが、炭酸水素カリウム不含Tris緩衝液におけるpHおよびアルカリフォスファターゼの活性はそれぞれpH8.90および95U/L(初期値、110U/L)であった。
【0053】
従って、炭酸水素カリウムを有効成分として含む緩衝液組成物はpHの低下を抑制し、さらにアルカリフォスファターゼの活性が再現性良く測定できることが明らかとなった。
【0054】
【発明の効果】
アルカリ域緩衝液を用いる組成物は、上記した3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた胆汁酸の活性測定やアルカリフォスファターゼ活性測定等の他に、NADH等を用いたデヒドロゲナーゼの活性測定またはその基質の測定、デヒドロゲナーゼを用いた可逆反応に基づく酵素サイクリングによる酵素活性測定やその基質の測定、キサンチンデヒドロゲナーゼ活性測定等に利用され、炭酸化合物を含有せしめたアルカリ域緩衝液を用いる組成物は上記の酵素的測定において再現性の良好な測定結果を与えることができ、さらに緩衝液の濃度の低減化という効能を有するとともに、開封後の組成物のpHを安定に維持、調整し得る。さらに、本発明の緩衝液組成物は、酵素的測定用の媒体として好適に用いられる。
Claims (8)
- 至適pHをアルカリ域に有する酵素を用いて基質の測定又は該酵素活性を測定するために用いられるアルカリ域緩衝液組成物であって、
20mM〜2M濃度のジエタノールアミン緩衝液、2−エチルアミノエタノール緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝液、及びN−メチル−D−グルカミン緩衝液からなる群から選ばれた有機アミン系緩衝液、或いは20mM〜1M濃度のBicine緩衝液、Tricine緩衝液、TAPSO緩衝液、TAPS緩衝液、HEPPSO緩衝液、CAPS緩衝液、及びCHES緩衝液からなる群から選ばれたグッド緩衝液に10mM〜1M濃度の炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムを加えてなるpH8〜11のアルカリ域緩衝液組成物。 - 至適pHをアルカリ域に有する酵素が、デヒドロゲナーゼまたはアルカリホスファターゼである請求項1記載の緩衝液組成物。
- デヒドロゲナーゼが、基質測定用試薬に用いられるデヒドロゲナーゼであり、還元型NAD(P)と共存してなる請求項2記載の緩衝液組成物。
- デヒドロゲナーゼが、ステロイドデヒドロゲナーゼである請求項3記載の緩衝液組成物。
- 至適pHをアルカリ域に有する酵素を用いて基質の測定又は該酵素活性を測定するために用いられるpH8〜11のアルカリ域緩衝液組成物のpH変動を抑制する方法であって、
20mM〜2M濃度のジエタノールアミン緩衝液、2−エチルアミノエタノール緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝液、及びN−メチル−D−グルカミン緩衝液からなる群から選ばれた有機アミン系緩衝液、或いは20mM〜1M濃度のBicine緩衝液、Tricine緩衝液、TAPSO緩衝液、TAPS緩衝液、HEPPSO緩衝液、CAPS緩衝液、及びCHES緩衝液からなる群から選ばれたグッド緩衝液に、10mM〜1M濃度の炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムを加えることにより、該緩衝液組成物のpH変動を抑制する方法。 - 至適pHをアルカリ域に有する酵素が、デヒドロゲナーゼまたはアルカリホスファターゼである請求項5記載の方法。
- デヒドロゲナーゼが、基質測定用試薬に用いられるデヒドロゲナーゼであり、還元型NAD(P)と共存してなる請求項6記載の方法。
- デヒドロゲナーゼが、ステロイドデヒドロゲナーゼである請求項7記載の方法。
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