JP4093039B2 - 鋼製部品の脱炭の検査方法および鋼製部品の研磨焼の検査方法 - Google Patents

鋼製部品の脱炭の検査方法および鋼製部品の研磨焼の検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鋼製部品の脱炭の検査方法および鋼製部品の研磨焼の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼製部品の脱炭の検査方法としては、電子線マイクロアナライザー(Electron Prove Micro Analyzer : EPMA)を用いた方法がある。この電子線マイクロアナライザーを用いた方法では、鋼製部品を切断することによって鋼製部品から鋼製部品の一部を取出して、この鋼製部品の一部の表面を研磨して試料を作成した後、この試料に電子線を照射してこの試料から炭素の特性X線を発生させて、この炭素の特性X線の測定を行っている。そして、この炭素の特性X線の測定に基づいて鋼製部品中の炭素の含有率を検出して、鋼製部品の脱炭を判断している。
【0003】
また、他の鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法としては、X線照射装置を用いた方法もある。このX線照射装置を用いた方法では、鋼製部品にX線を照射することによって、この鋼製部品の残留応力、X線回折強度に対する回折角の半価幅および残留オーステナイト量を測定している。そして、この測定結果に基づいて鋼製部品の脱炭または研磨焼を判断している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、更なる鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法としては、鏡面状に加工した表面(軌道最表面または切断面)をエッチングし、組織観察により判断する手法がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−304710
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記電子線マイクロアナライザーやエッチングを用いた検査方法では、鋼製部品の破壊が必要になるので、検査した鋼製部品を使用できないという問題がある。
【0007】
また、鋼製部品の破壊や、鋼製部品から取出した鋼製部品の一部の研磨等を必要とするので、鋼製部品の脱炭または研磨焼(エッチングを用いる方法のみ)を検査するときの工数が多くなって、鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査に要するコストと労力が大きくなるという問題がある。
【0008】
一方、上記X線照射装置を用いた検査方法では、鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査に大掛りなX線照射装置を用いるので、このX線照射装置を自由に検査現場に持ち運びできず、鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査を行う場所が限定されるという問題がある。
【0009】
また、人体に危険な放射線のX線を用いるので、X線照射装置の操作に熟練を必要とし、鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査を安全かつ簡単にできないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査を行う場所が限定されず、かつ、鋼製部品の破壊検査をせずに鋼製部品の脱炭または研磨焼を簡単安価かつ安全に検査できる鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本件第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法は、
表面波またはSH波の伝播速度と鋼製部品の残留応力との関係から鋼製部品に脱炭が生じているか否かを判断する表面波またはSH波の伝播速度の閾値を求め、
鋼製部品の表層に表面波またはSH波(horizontally polalized shear wave)を伝播させて、この表層を伝播する表面波またはSH波の伝播速度を測定し、
その測定された表面波またはSH波の伝播速度と、上記表面波またはSH波の伝播速度の閾値とを比較することで、上記鋼製部品に脱炭が生じているか否かを検査することを特徴としている。
また、本件第4の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法は、鋼製部品の表層に表面波またはSH波を伝播させて、この表層を伝播する表面波またはSH波の伝播速度を測定し、
上記表面波またはSH波の伝播速度と、鋼製部品に研磨焼が生じているか否かを判断する表面波またはSH波の伝播速度の閾値とを比較することで、上記鋼製部品に研磨焼が生じているか否かを検査することを特徴としている。
【0012】
尚、上記研磨焼とは、鋼製部品の表面を研磨する最終工程で、鋼製部品の表面の表面温度が上がって、鋼製部品がもう一度焼き入れされて鋼製部品の材質が再焼でかたくてもろくなったり、鋼製部品の焼戻しが生じて鋼製部品の材質が軟化したりして、出来上がった鋼製部品が、所定の規格に合わなくなる現象をいう。上記再焼の場合は、鋼製部品の製造ラインに異常が発生した場合に生じるため鋼製部品の異常の発見が比較的容易である一方、上記焼戻しの場合は、鋼製部品の異常の発見が困難である。この発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法は、主に上記鋼製部品の焼戻しの検査を行うものとする。
【0013】
また、上記脱炭とは、酸化性の雰囲気下で鋼を加熱する時、鋼中酸素と反応することにより生じる現象であり、軸受鋼のような高炭素鋼の場合は、比較的容易に生じることが知られている。
【0014】
また、上記SH波とは、主振動方向が伝播方向に垂直でかつ材料の表面に略平行な方向で、かつ、材料の表面に沿って伝播する超音波であり、上記表面波とは、主振動方向が材料の表面の法線方向で、かつ、材料の表面に沿って伝播する超音波である。
【0015】
また、この発明の鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法は、主に使用前の鋼製部品の品質保証のために行うものであるが、使用中の鋼製部品の劣化状態を検査するために行っても良いことは勿論である。
【0016】
上記第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または上記第4の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法を、例えば、次のようにして行う。表面波送信機またはSH波送信機と、表面波受信機またはSH波受信機とを被検査物である鋼製部品の表面上に所定の間隔を隔てて配置して、上記表面波送信機またはSH波送信機から送信されて上記鋼製部品を伝播した表面波またはSH波を、上記表面波受信機またはSH波受信機で受信して、この受信された表面波またはSH波の伝播速度を測定することによって行う。
【0017】
上記第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または上記第4の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法によれば、例えば、表面波送信機またはSH波送信機と、表面波受信機またはSH波受信機とを鋼製部品の表面上に所定の間隔を隔てて配置して、表面波またはSH波の伝播速度を測定するだけで、鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査を行うことができるので、上記電子線マイクロアナライザーやエッチングを用いる検査方法とは異なり、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行うのに鋼製部品を破壊したり、鏡面加工する必要がない。また、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行うときの工数を大幅に低減できて、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)に要するコストと労力を大幅に低減できる。
【0018】
また、上記第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または上記第4の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法によれば、軽くて小型で持ち運び可能な表面波送信機またはSH波送信機と、表面波受信機またはSH波受信機とを用いることができて、かつ、人体に安全な表面波またはSH波の伝播速度に基づいて鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行うので、大掛りで人体に危険なX線を使用するX線照射装置を用いる検査方法とは異なり、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行う場所が限定されず、かつ、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を安全に行うことができる。
【0019】
また、本件第2の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法は、上記第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法において、上記鋼製部品は、SUJ2(高炭素クロム軸受鋼)の普通焼入品であり、このSUJ2の普通焼入品の表層を伝播する上記表面波またはSH波の伝播速度が、3180m/s以上の場合に、上記SUJ2の普通焼入品に脱炭が生じていると判断することを特徴としている。
【0020】
本発明者は、SH波における伝播速度と、SUJ2の普通焼入品中の残留応力に相関関係があることを見出し、SH波の伝播速度が3180m/s以上の場合に、SUJ2の普通焼入品に脱炭を示す引張応力が生じていることを発見した。
【0021】
上記第2の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法によれば、鋼製部品としてSUJ2の普通焼入品を用い、かつ、SH波または表面波(鋼製部品を伝播する表面波の伝播速度は、鋼製部品を伝播するSH波の伝播速度とほとんど変わらない)の伝播速度が3180m/s以上の場合に上記SUJ2の普通焼入品に脱炭が生じていると判断するので、脱炭が生じているSUJ2の普通焼入品を確実に発見して排除できて、高品質なSUJ2の普通焼入品を峻別することができる。
【0022】
また、本件第3の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法は、上記第4の発明の鋼製部品 磨焼の検査方法において、上記鋼製部品は、SUJ2の普通焼入品であり、このSUJ2の普通焼入品の表層を伝播する上記表面波またはSH波の伝播速度が、3150m/s以上の場合に、上記SUJ2の普通焼入品に研磨焼が生じていると判断することを特徴としている。
【0023】
本発明者は、SH波の伝播速度と研磨焼の発生に対応関係があることを見出した。詳細には、SH波の伝播速度が3150m/s以上の場合に、上記SUJ2の普通焼入品に研磨焼が生じていることを見出した。
【0024】
上記第3の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法によれば、鋼製部品としてSUJ2の普通焼入品を用い、かつ、SH波または表面波の伝播速度が3150m/s以上の場合にSUJ2の普通焼入品に研磨焼が生じていると判断するので、研磨焼が生じているSUJ2の普通焼入品を確実に発見して排除できて、高品質な上記SUJ2の普通焼入品を峻別することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または鋼製部品の研磨焼の検査方法の一実施形態としての円筒ころ軸受の内輪10の脱炭または研磨焼の検査方法を、図示の実施の形態により詳細に説明する。この内輪10は、普通焼入品であるSUJ2からなる。
【0026】
図1(A)は、上記内輪10の軌道面10Aを示す平面図であり、図1(B)は、内輪10の正面図である。この実施形態では、図1(A),(B)に示すように、SH波送信機1と内輪10の軌道面10Aとが接触線3で線接触するように、SH波送信機1を内輪10の軌道面10Aの軸方向の略中央に設置する一方、SH波受信機2と内輪10の軌道面10Aとが接触線5で線接触するように、SH波受信機2をSH波送信機1から周方向に離間した状態で内輪10の軌道面10Aの軸方向の略中央に設置している。上記SH波送信機1およびSH波受信機2の軸方向の寸法D1は、内輪10の軸方向の寸法D2の3分の1になっている。
【0027】
また、この実施形態では、図1(B)に示すように、SH波送信機1の接触線3と内輪10の中心P0とを結ぶ直線Lrと、SH波受信機2の接触線5と上記中心P0とを結ぶ直線Lqとがなす角度2αを40°とした。また、上記SH波送信機1の接触線3は、SH波送信機1の軌道面10Aに対する対向面1AのうちのSH波を発生する有効部分7に含まれており、上記SH波受信機2の接触線5は、SH波受信機2の軌道面10Aに対する対向面2AのうちのSH波を検知可能な有効部分8に含まれている。
【0028】
上記構成において、SH送信機1が内蔵する圧電素子からなるSH波発振部(図示せず)を駆動することで、対向面1Aの有効部分7を振動させて、上記SH波送信機1からSH波を発信する。そして、上記SH送信機1から発信されて内輪10の表層付近を伝播したSH波をSH波受信機2で受信して、SH波の伝播速度の測定を行う。具体的には、SH波の振幅が0になるSH波のゼロクロス点を計時基準にして、SH波送信機1の接触線3からSH波受信機2の線接触5までのSH波の伝播時間tを求め、以下の式(1)からSH波の伝播速度Vを測定する。
【0029】
V=2πr・(2α/360°)÷t
=2πr/(9t)[m/s]・・・・・・(1)
(ここで、rは軌道面10Aの半径[m]、πは円周率である。)
【0030】
図2の表に、試料番号が付された10個のSUJ2製の内輪の夫々において、内輪を伝播するSH波の伝播速度と、内輪の一部を切断して内輪の切断面を光学顕微鏡で観察したときの内輪の軌道面の表層部の組織観察による内輪組織の研磨焼の合否結果を示す。この表に示すように、上記組織観察で不合格と判断された試料番号1から5の内輪は、SH波の伝播速度が全て3160m/s以上となる一方、組織観察で合格と判断された試料番号6から10の内輪は、SH波の伝播速度が全て3140m/s以下となっている。このことから、SUJ2製の内輪に研磨焼が生じているか否かを判断するSH波の伝播速度の閾値を、3150m/sにすることができるのである。これは、焼戻しを生じている状態は、SUJ2製の内輪10内の結晶の粒が揃った状態であるが、内輪内の結晶の粒が揃うにつれて、内輪を伝播するSH波の伝播速度が早くなるからである。
【0031】
図3は、図2の表をグラフ化したものである。図3には、SH波伝播速度3150m/s上に引かれた線よりも上に存在する試料番号1から5の内輪が、不合格になる一方、この線よりも下に存在する試料番号6から10の内輪が、合格になる様子を示している。
【0032】
図4は、SUJ2製の内輪を伝播するSH波の伝播速度と、X線照射装置を用いて測定した上記内輪の残留応力との関係を示す図である。
【0033】
図4に示すように、X線照射装置を用いた検査方法での内輪内の残留応力0MPaが、上記実施形態の検査方法でのSH波伝播速度3180m/sに対応していることがわかる。
【0034】
このことから、SUJ2の残留応力が0を境にして引張応力になっている領域は、SUJ2に脱炭を生じている状態であるので、SH波伝播速度が3180m/s以上の領域は、SUJ2製の内輪10に脱炭を生じている状態である。というのも、脱炭を生じている状態では、SUJ2製の内輪に引張応力が生じ、この引張応力が生じると内輪を伝播するSH波の伝播速度が速くなるからである。
【0035】
図5の表に、試料番号が付された10個の内輪の夫々において、内輪の軌道面の表層部を伝播するSH波の伝播速度と、内輪の一部を切断して内輪の軌道面表層部の切断面を光学顕微鏡で観察したときの内輪の組織観察による内輪組織の脱炭の合否結果を示す。この表に示すように、上記組織観察で不合格と判断された試料番号1から5の内輪は、SH波の伝播速度が全て3190m/s以上となる一方、組織観察で合格と判断された試料番号6から10の内輪は、SH波の伝播速度が全て3156m/s以下となっている。このことから、SUJ2製の内輪に脱炭が生じているか否かを判断するSH波の伝播速度の閾値を、3180m/sにすることができるのである。
【0036】
図6は、図5の表をグラフ化したものである。図6には、SH波伝播速度3180m/s上に引かれた線よりも上に存在する試料番号1から5の内輪が、不合格になる一方、この線よりも下に存在する試料番号6から10の内輪が、合格になる様子を示している。
【0037】
上記実施形態の鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法によれば、SH波送信機1と、SH波受信機2とを内輪10の表面上に所定の間隔を隔てて配置して、SH波の伝播速度を測定するだけで、内輪10の脱炭または研磨焼の検査を行うことができるので、上記電子線マイクロアナライザーやエッチングを用いる検査方法とは異なり、内輪10の脱炭または研磨焼の検査を行うのに内輪10を破壊したり、鏡面加工する必要がない。また、内輪10の脱炭または研磨焼の検査を行うときの工数を大幅に低減できて、内輪10の脱炭または研磨焼の検査に要するコストと労力を大幅に低減できる。
【0038】
また、上記実施形態の鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法によれば、軽くて小型で持ち運び可能なSH波送信機1とSH波受信機2とを用いることができて、かつ、人体に安全なSH波の伝播速度に基づいて内輪10の脱炭または研磨焼の検査を行うので、大掛りで人体に危険なX線を使用するX線照射装置を用いる検査方法とは異なり、内輪10の脱炭または研磨焼の検査を行う場所が限定されず、かつ、内輪10の脱炭または研磨焼の検査を安全に行うことができる。
【0039】
また、上記実施形態の鋼製部品の脱炭の検査方法において、鋼製部品としてSUJ2製の内輪10を用い、かつ、SH波の内輪10を伝播するときの伝播速度が3180m/s以上の伝播速度になった場合には、SUJ2製の内輪10に脱炭が生じていると判断できるので、脱炭が生じているSUJ2製の内輪10を確実に発見して排除できて、高品質なSUJ2製の内輪10を峻別することができる。
【0040】
また、上記実施形態の鋼製部品の研磨焼の検査方法において、鋼製部品としてSUJ2製の内輪10を用い、かつ、SH波の内輪10を伝播するときの伝播速度が3150m/s以上の伝播速度になった場合には、SUJ2製の内輪10に研磨焼が生じていると判断できるので、研磨焼が生じているSUJ2製の内輪10を確実に発見して排除できて、高品質なSUJ2製の内輪10を峻別することができる。
【0041】
尚、上記実施形態の鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法では、SH波送信機1およびSH波受信機2を用いて、鋼製部品の一例としての内輪10内にSH波を伝播させて内輪10の脱炭または研磨焼を検査したが、表面波送信機および表面波受信機を用いて、内輪10内にSH波と略同等な伝播速度を有する表面波を伝播させて、内輪10の脱炭または研磨焼を検査しても良い。
【0042】
また、上記実施形態の鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法では、この検査方法を、SUJ2製の円筒ころ軸受の内輪10に適用したが、この検査方法を、SUJ2製の円筒ころ軸受の外輪に適用しても良い。また、この検査方法を、SUJ2製の円筒ころ軸受の内輪および外輪に限らず、SUJ2製の他の軸受や鋼製部品に適用しても良く、SUJ2製以外の鋼製部品に適用しても良い。
【0043】
また、上記実施形態の鋼製部品の脱炭または研磨焼の検査方法では、SH波の伝播速度をSH波の変位のゼロクロス点に基づいて測定したが、この発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または鋼製部品の研磨焼の検査方法では、SH波の伝播速度をSH波の波形の変位の所定の閾値を超えた部分に基づいて測定しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上より明らかなように、第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または上記第4の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法によれば、例えば、表面波送信機またはSH波送信機と、表面波受信機またはSH波受信機とを鋼製部品の表面上に所定の間隔を隔てて配置して、表面波またはSH波の伝播速度を測定するだけで、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行うことができるので、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行うのに鋼製部品を破壊する必要がない。また、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行うときの工数を大幅に低減できて、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)に要するコストと労力を大幅に低減できる。
【0045】
また、第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または上記第4の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法によれば、軽くて小型で持ち運び自由な表面波またはSH波送信機と、表面波またはSH波受信機とを用いることができて、かつ、人体に安全なSH波または表面波の伝播速度に基づいて鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行うので、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を行う場所が限定されず、かつ、鋼製部品の脱炭の検査(第1の発明)または研磨焼の検査(第4の発明)を安全に行うことができる。
【0046】
また、第1の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法または上記第4の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法は、検査機材が小型、軽量、安価であり安定性が高いため、鋼製部品の製造ラインの一部あるいは検査ラインを構成する検査装置にも適用し易い。
【0047】
また、第2の発明の鋼製部品の脱炭の検査方法によれば、鋼製部品としてSUJ2の普通焼入品を用い、かつ、SH波または表面波の伝播速度が3180m/s以上の場合に上記SUJ2の普通焼入品に脱炭が生じていると判断するので、脱炭が生じている上記SUJ2の普通焼入品を確実に発見して排除できて、高品質なSUJ2の普通焼入品を峻別することができる。
【0048】
また、第3の発明の鋼製部品の研磨焼の検査方法によれば、鋼製部品としてSUJ2の普通焼入品を用い、かつ、SH波または表面波の伝播速度が3150m/s以上の場合に上記SUJ2の普通焼入品に研磨焼が生じていると判断するので、研磨焼が生じている上記SUJ2の普通焼入品を確実に発見して排除できて、高品質なSUJ2の普通焼入品を峻別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)は、この発明の一実施形態の軸受の内輪の脱炭または研磨焼の検査方法を行うときの内輪の軌道面上のSH波送信機およびSH波受信機の配置を示す平面図であり、図1(B)は、上記内輪の軸方向の正面図である。
【図2】 10個の試料におけるSH波伝播速度と、この10個の試料の組織観察における研磨焼検査の合否との関係を示す図である。
【図3】 図2のグラフである。
【図4】 内輪の残留応力とSH波伝播速度との関係を示す図である。
【図5】 10個の試料におけるSH波伝播速度と、この10個の試料の組織観察における脱炭検査の合否との関係を示す図である。
【図6】 図5のグラフである。
【符号の説明】
1 SH波送信機
2 SH波受信機
10 内輪

Claims (4)

  1. 表面波またはSH波の伝播速度と鋼製部品の残留応力との関係から鋼製部品に脱炭が生じているか否かを判断する表面波またはSH波の伝播速度の閾値を求め、
    鋼製部品の表層に表面波またはSH波を伝播させて、この表層を伝播する表面波またはSH波の伝播速度を測定し、
    その測定された表面波またはSH波の伝播速度と、上記表面波またはSH波の伝播速度の閾値とを比較することで、上記鋼製部品に脱炭が生じているか否かを検査する鋼製部品の脱炭の検査方法。
  2. 鋼製部品の表層に表面波またはSH波を伝播させて、この表層を伝播する表面波またはSH波の伝播速度を測定し、
    上記表面波またはSH波の伝播速度と、鋼製部品に研磨焼が生じているか否かを判断する表面波またはSH波の伝播速度の閾値とを比較することで、上記鋼製部品に研磨焼が生じているか否かを検査する鋼製部品の研磨焼の検査方法。
  3. 請求項1に記載の鋼製部品の脱炭の検査方法において、上記鋼製部品は、SUJ2の普通焼入品であり、このSUJ2の普通焼入品の表層を伝播する上記表面波またはSH波の伝播速度が、3180m/s以上の場合に、上記SUJ2の普通焼入品に脱炭が生じていると判断する鋼製部品の脱炭の検査方法。
  4. 請求項2に記載の鋼製部品の研磨焼の検査方法において、上記鋼製部品は、SUJ2の普通焼入品であり、このSUJ2の普通焼入品の表層を伝播する上記表面波またはSH波の伝播速度が、3150m/s以上の場合に、上記SUJ2の普通焼入品に研磨焼が生じていると判断する鋼製部品の研磨焼の検査方法。
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