JP2019163941A - 超音波探傷試験用標準試験片、超音波探傷試験方法及び軸受部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を評価するための超音波探傷試験における検査限界の見極めや検査条件の最適化を可能にする超音波探傷試験用標準試験片を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る超音波探傷試験用標準試験片は、第1面と、第1面の反対面である第2面とを有する第1部材と、第1面に接合される第3面と、第3面の反対面である第4面とを有する第2部材とを備える。第1面には、第1面から第2面に向かう方向に窪む複数の第1孔が設けられる。隣接する第1孔の第1面における間隔は、第1面に垂直な方向からみた第1孔の投影面積の平方根の2倍以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、超音波探傷試験用標準試験片、超音波探傷試験方法及び軸受部品の製造方法に関する。
従来から、特許文献1(特公平2−15026号公報)に記載の超音波探傷試験用標準試験片が知られている。特許文献1に記載の超音波探傷試験用標準試験片は、第1分割試験片と、第2分割試験片とを有している。第1分割試験片は、第1面と、第2面とを有している。第2面は、第1面の反対面である。第2分割試験片は、第3面と、第4面とを有している。第4面は、第3面の反対面である。第1面には、第1面から第2面に向かう方向に窪む孔が設けられている。第1面と第3面とは、互いに接合されている。第3面と第1面に設けられた孔とで画された空間により、欠陥が模擬されている。
鋼材中の介在物は、鋼材の疲労寿命に影響を与える。この影響は、介在物の大きさが大きくなるほど、顕著になる。しかしながら、非特許文献1(長尾実佐樹ほか、軸受鋼の転動疲労寿命における非金属介在物の大きさの影響、Sanyo Technical Report、Vol.12、No.1、2005年)に記載されているように、小さい介在物であっても、狭い範囲に凝集して存在している場合には、複数の小さな介在物が1つの大きな介在物であるかのようにふるまう結果、鋼材の疲労寿命に顕著な影響を及ぼす場合がある。
長尾実佐樹ほか、軸受鋼の転動疲労寿命における非金属介在物の大きさの影響、Sanyo Technical Report、Vol.12、No.1、2005年
特許文献1に記載の超音波探傷試験用標準試験片においては、第3面と第1面に設けられた孔とで画された空間により模擬される欠陥は、独立して存在している。そのため、特許文献1に記載の超音波探傷試験用標準試験片を用いる場合、超音波探傷試験において、鋼材中に独立して存在している介在物による影響を評価することにより検査限界の見極めや検査条件の最適化に用いることはできるが、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を評価することにより超音波探傷試験における検査限界の見極めや検査条件の最適化を行うことは困難である。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、超音波探傷試験において、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を評価することが可能となる超音波探傷試験用標準試験片、それを用いた超音波探傷試験方法及び軸受部品の製造方法を提供する。
本発明の一態様に係る超音波探傷試験用標準試験片は、第1面と、第1面の反対面である第2面とを有する第1部材と、第1面に接合される第3面と、第3面の反対面である第4面とを有する第2部材とを備える。第1面には、第1面から第2面に向かう方向に窪む複数の第1孔が設けられる。隣接する第1孔の第1面における間隔は、第1面に垂直な方向からみた第1孔の投影面積の平方根の2倍以下である。
上記の超音波探傷試験用標準試験片においては、隣接する第1孔の第1面における間隔が、第1面に垂直な方向からみた第1孔の投影面積の平方根の1倍以下であってもよい。
上記の超音波探傷試験用標準試験片においては、第1孔と第3面とにより画される空間内に、非金属介在物が充填されていてもよい。
上記の超音波探傷試験用標準試験片においては、第1面に垂直な方向からみた第1孔の投影面積の平方根が、10μm以上50μm以下であってもよい。
上記の超音波探傷試験用標準試験片において、第1面には、第1面から第2面に向かう方向に窪む複数の第2孔がさらに設けられていてもよい。第1孔の数と第2孔との数とが異なる、隣接する第1孔の第1面における間隔と隣接する第2孔の第1面における間隔とが異なる、及び第1面に垂直な方向からみた第1孔の投影面積と第1面に垂直な方向からみた第2孔の投影面積とが異なるとの関係の少なくとも1つが充足されていてもよい。
上記の超音波探傷試験用標準試験片においては、第2孔と第3面とにより画される空間内に、非金属介在物が充填されていてもよい。
上記の超音波探傷試験用標準試験片においては、第1面に垂直な方向からみた第2孔の投影面積の平方根が、10μm以上50μm以下であってもよい。
上記の超音波探傷試験用標準試験片においては、第1面と第3面とが、固相接合されていてもよい。
上記の超音波探傷試験用標準試験片においては、第1部材及び第2部材が、軸受鋼製であってもよい。
本発明の一態様に係る超音波探傷試験方法は、上記の超音波探傷試験用標準試験片に対して超音波である第1入射波を照射するとともに、第1孔で反射された第1入射波である第1反射波を受信する工程と、試験対象物に対して超音波である第2入射波を照射するとともに、試験対象物中に含まれる非金属介在物によって反射された第2入射波である第2反射波を受信するする工程と、第2反射波に基づいて試験対象物の良品判定を行う工程とを備える。良品判定の閾値は、第1反射波に基づいて決定される。
上記の超音波探傷試験方法においては、試験対象物が、軸受部品であってもよい。上記の超音波探傷試験方法においては、試験対象物が、軸受に挿入される軸部材であってもよい。上記の超音波探傷試験方法においては、試験対象物が、軸受が取り付けられるハウジング部材であってもよい。
本発明の一態様に係る軸受部品の製造方法は、加工対象物を準備する工程と、加工対象物に対して上記の超音波探傷試験方法を行う工程と、上記の超音波探傷試験方法にしたがって良品判定がなされた加工対象物に対して、焼き入れ及び焼き戻しを行う工程とを備える。
本発明の一態様に係る軸受部品の製造方法は、加工対象物を準備する工程と、加工対象物に対して焼き入れ及び焼き戻しを行う工程と、焼き入れ及び焼き戻しが行われた加工対象物の表面に対して、機械加工を行う工程と、機械加工が行われた後に、加工対象物に対して上記の超音波探傷試験を行う工程とを備える。
上記の軸受部品の製造方法は、焼き入れ及び焼き戻しが行われた加工対象物の表面に対して、化成処理による表面処理を行う工程をさらに備えていてもよい。表面処理は、機械加工が行われた後、上記の超音波探傷試験が行われる前に行われてもよい。
本発明の一態様に係る超音波探傷試験用標準試験片、それを用いた超音波探傷試験及び軸受部品の製造方法によると、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を評価することが可能となる。
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
(実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の構成)
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の構成を説明する。
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の構成を説明する。
図1は、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の正面図である。図2は、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の上面図である。図3は、図2のIII−IIIにおける断面図である。なお、図2においては、第1面11における第1部材1の形状を明らかにするため、第2部材2は、点線で表示している。図1に示すように、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10は、第1部材1と、第2部材2とを有している。
第1部材1及び第2部材2は、鋼製であることが好ましい。第1部材1及び第2部材2を構成している鋼は、例えば軸受鋼である。第1部材1及び第2部材2を構成している鋼は、好ましくはJIS規格(JIS G 4805:2008)に規定される高炭素クロム軸受鋼である。第1部材1を構成する鋼の鋼種と第2部材2を構成する鋼の鋼種とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
第1部材1は、第1面11と、第2面12とを有している。第2面12は、第1面11の反対面である。第2部材2は、第3面21と、第4面22とを有している。第3面21は、第1面11に接合されている。第1面11と第3面21との接合は、例えば固相接合により行われている。但し、第1面11と第3面21との接合方法は、これに限られるものではない。第4面22は、第3面21の反対面である。
図2及び図3に示されるように、第1面11には、第1孔13が設けられている。第1孔の数は、複数である。図2においては、第1孔13の数は5とされているが、第1孔13の数は、これに限られるものではない。複数の第1孔13は、第1欠陥群を構成している。第1孔13は、第1面11から第2面12に向かう方向に窪んでいる。第1孔13の断面形状は、例えば、部分円形状又は部分楕円形状である。但し、第1孔13の断面形状は、これに限られるものではない。
第1面11において、隣接する第1孔13は、互いに間隔L1だけ離間して配置されている。第1孔13は、第1面11に垂直な方向からみた投影面積A1を有している。投影面積A1の平方根は、好ましくは、10μm以上50μm以下である。間隔L1は、投影面積A1の平方根の2倍以下である。間隔L1は、投影面積A1の平方根の1倍以下であることが好ましい。
図2の例においては、第1孔13は、第1面11に垂直な方向からみて規則的に配列されているが、第1孔13は、第1面11に垂直な方向からみて不規則に配列されていてもよい。この場合には、間隔L1の値としては、隣接する第1孔13の間隔のうち、最も小さいものの値を採用する。
図2の例においては、第1面に垂直な方向からみた第1孔13の投影面積は、全ての第1孔13について同一であるが、第1面11に垂直な方向からみた第1孔13の投影面積は、第1孔13ごとに異なっていてもよい。
上記のとおり、第1面11と第3面21とは、接合されている。そのため、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10中には、第1孔13と第3面21とにより画される空間が存在している。この空間は、鋼材中に存在する介在物を模擬している。この空間には、非金属介在物P1が充填されていてもよい。非金属介在物P1は、例えばアルミニウム酸化物(Al2O3)、硫化マンガン(MnS)、窒化チタン(TiN)等である。但し、非金属介在物P1は、これに限られるものではない。
図2及び図3に示すように、第1面11には、第2孔14がさらに設けられていてもよい。第2孔14の数は、複数である。図2の例においては、第2孔14の数は5とされているが、第2孔14の数は、これに限られるものではない。複数の第2孔14は、第2欠陥群を構成している。第2孔14は、第1面11から第2面12に向かう方向に窪んでいる。第2孔14の断面形状は、例えば、部分円形状又は部分楕円形状である。但し、第2孔14の断面形状は、これに限られるものではない。
第1面11において、隣接する第2孔14は、互いに間隔L2だけ離間して配置されている。第2孔14は、第1面11に垂直な方向からみた投影面積A2を有している。投影面積A2の平方根は、好ましくは、10μm以上50μm以下である。間隔L2は、投影面積A2の平方根の2倍以下である。間隔L2は、投影面積A2の平方根の1倍以下であることが好ましい。
図2の例においては、第2孔14は、第1面11に垂直な方向からみて規則的に配列されているが、第2孔14は、第1面11に垂直な方向からみて不規則に配列されていてもよい。この場合には、間隔L2の値としては、隣接する第2孔14の間隔のうち、最も小さいものの値を採用する。
図2の例においては、第1面に垂直な方向からみた第2孔14の投影面積は、全ての第2孔14について同一であるが、第1面11に垂直な方向からみた第2孔14の投影面積は、第2孔14ごとに異なっていてもよい。
上記のとおり、第1面11と第3面21とは、接合されている。そのため、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10中には、第2孔14と第3面21とにより画される空間が存在している。この空間は、鋼材中に存在する介在物を模擬している。この空間には、非金属介在物P1が充填されていてもよい。非金属介在物P2は、例えばアルミニウム酸化物(Al2O3)、硫化マンガン(MnS)、窒化チタン(TiN)等である。但し、非金属介在物P2は、これに限られるものではない。
間隔L1は、間隔L2と異なっていてもよい。投影面積A1は、投影面積A2と異なっていてもよい。第1孔13の数は、第2孔14の数と異なっていてもよい。要するに、間隔L1と間隔L2とが異なる、投影面積A1と投影面積A2とが異なる、及び第1孔13の数と第2孔14の数とが異なるとの関係の少なくとも1つが充足されていてもよい。
(実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の製造方法)
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の製造方法を説明する。
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の製造方法を説明する。
図4は、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の製造方法を示す工程図である。図4に示すように、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の製造方法は、第1工程S1と、第2工程S2と、第3工程S3とを有している。
第1工程S1においては、第1部材1と、第2部材2とが準備される。第2工程S2においては、第1面11に、複数の第1孔13が形成される。第1孔13の形成は、例えば第1面11に対してエッチングを行うことにより形成される。但し、第1孔13の形成方法は、これに限られるものではない。第2工程S2においては、第1面11に、複数の第2孔14が形成されてもよい。第2孔14の形成は、第1孔13の形成と同様の方法により行われることが好ましい。第2孔14の形成は、第1孔13の形成と同時に行われることが好ましい。
第3工程S3においては、第1部材1と第2部材2との接合が行われる。より具体的には、第3工程S3においては、第1面11と第3面21との接合が行われる。第1面11と第3面21との接合は、例えば固相接合により行われる。第1面11と第3面21との接合においては、第1に、接合治具により、第1部材1及び第2部材2が、第1面11と第3面21とが対向するように挟持されることで、第1面11と第3面21との間に加圧が行われる。第1面11と第3面21との接合においては、第2に、第1部材1と第2部材2とが接合治具により挟持された状態で、加熱が行われる。以上により、第1面11と第3面21との接合が達成される。なお、第1面11と第3面21との接合方法は、これに限られるものではない。
(実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験方法)
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験方法を説明する。
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験方法を説明する。
実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験方法における試験対象物3は、例えば軸受部品である。軸受部品は、例えば、転がり軸受の内輪、転がり軸受の外輪、転がり軸受の転動体等である。但し、軸受部品は、これらに限られるものではない。試験対象物3は、軸受(例えば転がり軸受)に挿入される軸部材であってもよい。試験対象物3は、軸受が取り付けられるハウジング部材であってもよい。
図5は、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験方法に用いられる試験装置4の概略を示す模式図である。図5に示すように、試験装置4は、装置本体41と、探触子42と、モニタ43を有している。探触子42は、装置本体41に接続されている。探触子42は、超音波を発信するとともに、反射された超音波を受信する。モニタ43は、例えば装置本体41に取り付けられている。モニタ43は、探触子42が受信した超音波に基づく信号を表示する。
図6は、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験方法を示す工程図である。図6に示すように、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験方法は、第1工程S4と、第2工程S5と、第3工程S6とを有している。
第1工程S4においては、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10に対して、超音波U1が送信されるとともに、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の内部において反射した超音波U1(反射波R1)を受信する。超音波U1は、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の内部にある複数の第1孔13により構成される第1欠陥群(複数の第2孔14により構成される第2欠陥群)により反射される。試験装置4は、反射波R1に基づいて、超音波探傷試験における良品判定の閾値を設定する。
第2工程S5においては、試験対象物3に対して、超音波U2が送信されるとともに、試験対象物3の内部において反射した超音波U2(反射波R2)を受信する。超音波U2は、試験対象物3の内部にある複数の非金属介在物P3により構成される欠陥群により反射される。第3工程S6においては、試験装置4は、反射波R2と第1工程S4において設定された閾値とを比較する。これにより、試験装置4は、試験対象物3の超音波探傷試験における良品判定を行う。
なお、本試験片に対して実施する非破壊検査は、超音波探傷試験に限らず、渦流探傷試験、放射線透化試験、バルクハウゼン等の非破壊検査手法を用いてもよい。
(実施形態に係る軸受部品20の構成)
以下に、実施形態に係る軸受部品20の構成を説明する。
以下に、実施形態に係る軸受部品20の構成を説明する。
図7は、実施形態に係る軸受部品20の上面図である。図8は、図7におけるVIII−VIIIにおける断面図である。図7及び図8に示すように、実施形態に係る軸受部品20は、例えば転がり軸受の内輪である。但し、実施形態に係る軸受部品20は、これに限られるものではない。例えば、実施形態に係る軸受部品20は、転がり軸受の外輪であってもよく、転がり軸受の転動体であってもよい。
実施形態に係る軸受部品20は、鋼製であることが好ましい。実施形態に係る軸受部品20を構成している鋼は、例えば軸受鋼である。実施形態に係る軸受部品20を構成している鋼は、好ましくはJIS規格(JIS G 4805:2008)に規定される高炭素クロム軸受鋼である。実施形態に係る軸受部品20を構成している鋼は、10μm以上50μm以下の非金属介在物を含有していてもよい。
実施形態に係る軸受部品20は、リング状の形状を有している。上面20aと、底面20bと、内周面20cと、外周面20dとを有している。上面20a及び底面20bは、実施形態に係る軸受部品20の中心軸方向における端面を構成している。底面20bは、上面20aの反対面である。内周面20c及び外周面20dは、上面20a及び底面20bに連なっている。内周面20cと実施形態に係る軸受部品20の中心軸との距離は、外周面20dと実施形態に係る軸受部品20の中心軸との距離よりも小さくなっている。外周面20dは、軌道面を構成している。外周面20dには、軌道溝が形成されている。
(実施形態に係る軸受部品20の製造方法)
以下に、実施形態に係る軸受部品20の製造方法を説明する。
以下に、実施形態に係る軸受部品20の製造方法を説明する。
図9は、実施形態に係る軸受部品20の製造方法を示す工程図である。図9に示すように、実施形態に係る軸受部品20の製造方法は、第1工程S7と、第2工程S8と、第3工程S9とを有している。実施形態に係る軸受部品20の製造方法は、第4工程S10をさらに有していてもよい。
第1工程S7においては、加工対象物の準備が行われる。加工対象物は、第3工程S9を経ることにより実施形態に係る軸受部品20となる部材である。加工対象物は、鋼製であることが好ましい。加工対象物を構成する鋼は、例えば軸受鋼である。加工対象物を構成している鋼は、好ましくはJIS規格(JIS G 4805:2008)に規定される高炭素クロム軸受鋼である。加工対象物を構成している鋼は、10μm以上50μm以下の非金属介在物を含有していてもよい。
第2工程S8においては、加工対象物に対する超音波探傷試験が行われる。加工対象物に対する超音波探傷試験は、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた上記の超音波探傷試験方法にしたがって行われる。この超音波探傷試験において良品判定がなされた加工対象物に対しては、第3工程S9が行われ、この超音波探傷試験において良品判定がなされなかった加工対象物に対しては、第3工程S9が行われない。
第3工程S9においては、加工対象物に対する熱処理が行われる。より具体的には、加工対象物に対する焼き入れ及び焼き戻しが行われる。この焼き入れ及び焼き戻しは、従来公知の方法にしたがって行われる。第4工程S10においては、焼き入れ及び焼き戻しの後に、加工対象物に対する後処理が行われる。この後処理においては、加工対象部材の洗浄、加工対象部材に対する研削、研磨等の機械加工が行われる。また、第4工程S10においては、機械加工が行われた後に、黒染処理等の化成処理による表面処理がなされてもよい。以上により、実施形態に係る軸受部品20の製造が行われる。
(実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例)
以下に、実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例を説明する。実施形態に係る軸受部品の製造方法の変形例は、第1工程S7と、第2工程S8と、第3工程S9と、第4工程S10とを有している。実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例においては、第3工程S9は、第1工程S7の後に行われ、第4工程S10は、第3工程S9の後に行われる。実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例においては、第2工程S8は、第4工程S10の後に行われる。
以下に、実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例を説明する。実施形態に係る軸受部品の製造方法の変形例は、第1工程S7と、第2工程S8と、第3工程S9と、第4工程S10とを有している。実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例においては、第3工程S9は、第1工程S7の後に行われ、第4工程S10は、第3工程S9の後に行われる。実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例においては、第2工程S8は、第4工程S10の後に行われる。
なお、実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例では、第2工程S8が第3工程S9及び第4工程S10の後に行われる(このことを別の観点からいえば、第3工程S9及び第4工程S10は、超音波探傷試験による良品判定が行われる前に行われる)ため、第3工程S9及び第4工程S10は、加工対象物が良品であるか否かを区別することなく行われる。
実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例においては、加工対象物に対する超音波探傷試験が、加工対象物に対する機械加工、表面処理が行われた後に行われる。そのため、超音波探傷試験における検査対象物の表面は、機械加工、表面処理が行われる前に超音波探傷試験を行う場合と比較して表面粗さが小さくなる。その結果、超音波探傷試験における検査対象物の表面において、超音波の減衰を抑制することができる。したがって、実施形態に係る軸受部品20の製造方法の変形例によると、超音波探傷試験の精度の向上が可能となる。
(実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10、それを用いた超音波探傷試験方法及びそれを用いた軸受部品の製造方法の効果)
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10、それを用いた超音波探傷試験方法及びそれを用いた軸受部品の製造方法の効果を説明する。
以下に、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10、それを用いた超音波探傷試験方法及びそれを用いた軸受部品の製造方法の効果を説明する。
実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10は、第1面11に設けられた複数の第1孔13を有している。第1面11における第1孔13の間隔L1は、第1面11に垂直な方向からみた第1孔13の投影面積A1の平方根の2倍以下となっている。そのため、間隔L1が投影面積A1の平方根の2倍以下となるように第1孔13が配置されている場合には、複数の第1孔13により、鋼材中の狭い範囲内に凝集して存在する欠陥が模擬される。
したがって、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いることにより、超音波探傷試験において、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を評価することにより、検査限界の見極めや検査条件の最適化が可能となる。
通常、10μm以上50μm以下の介在物が鋼材中に存在したとしても、そのような介在物が鋼材の疲労寿命に与える影響は小さい。しかしながら、そのような介在物であったとしても、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している場合には、複数の介在物が1つの大きな介在物であるかのうようにふるまうことにより、疲労寿命に大きな影響を与える。実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10において、投影面積A1の平方根が10μm以上50μm以下である場合、単体では鋼材の疲労寿命に大きな影響を与えない介在物が狭い範囲に凝集して存在している場合の影響を評価することが可能となる。
実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10において、第1面11に複数の第2孔14が設けられている場合には、実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10の内部に大きさ、間隔及び数の少なくとも1つが、複数の第1孔13により構成される第1欠陥群とは異なる第2欠陥群が形成される。そのため、この場合には、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を、より精度よく評価することが可能となる。
実施形態に係る超音波探傷試験用標準試験片10を用いた超音波探傷試験及び軸受部品の製造方法によると、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を良品判定の閾値に反映させることにより、鋼材中の狭い範囲に凝集して存在している複数の小さな介在物の影響を考慮した超音波探傷試験及び軸受部品の製造を行うことができる。
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
上記の実施形態は、超音波探傷試験用標準試験片、それを用いた超音波探傷試験方法及び軸受部品の製造方法に特に有利に適用することができる。
1 第1部材、2 第2部材、3 試験対象物、4 試験装置、10 超音波探傷試験用標準試験片、11 第1面、12 第2面、13 第1孔、14 第2孔、20 軸受部品、20a 上面、20b 底面、20c 内周面、20d 外周面、21 第3面、22 第4面、41 装置本体、42 探触子、43 モニタ、A1,A2 投影面積、L1,L2 間隔、P1,P2,P3 非金属介在物、R1,R2 反射波、S1 第1工程、S2 第2工程、S3 第3工程、S4 第1工程、S5 第2工程、S6 第3工程、S7 第1工程、S8 第2工程、S9 第3工程、S10 第4工程、U1,U2 超音波。
Claims (16)
- 第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを有する第1部材と、
前記第1面に接合される第3面と、前記第3面の反対面である第4面とを有する第2部材とを備え、
前記第1面には、前記第1面から前記第2面に向かう方向に窪む複数の第1孔が設けられ、
隣接する前記第1孔の前記第1面における間隔は、前記第1面に垂直な方向からみた前記第1孔の投影面積の平方根の2倍以下である、超音波探傷試験用標準試験片。 - 隣接する前記第1孔の前記第1面における間隔は、前記第1面に垂直な方向からみた前記第1孔の投影面積の平方根の1倍以下である、請求項1に記載の超音波探傷試験用標準試験片。
- 前記第1孔と前記第3面とにより画される空間内に非金属介在物が充填される、請求項1又は請求項2に記載の超音波探傷試験用標準試験片。
- 前記第1面に垂直な方向からみた前記第1孔の投影面積の平方根は、10μm以上50μm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の超音波探傷試験用標準試験片。
- 前記第1面には、前記第1面から前記第2面に向かう方向に窪む複数の第2孔がさらに設けられ、
前記第1孔の数と前記第2孔の数とが異なる、隣接する前記第1孔の前記第1面における間隔と隣接する前記第2孔の前記第1面における間隔とが異なる及び前記第1面に垂直な方向からみた前記第1孔の投影面積と前記第1面に垂直な方向からみた前記第2孔の投影面積とが異なるとの関係の少なくとも1つが充足される、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の超音波探傷試験用標準試験片。 - 前記第2孔と前記第3面とにより画される空間内に非金属介在物が充填される、請求項5に記載の超音波探傷試験用標準試験片。
- 前記第1面に垂直な方向からみた前記第2孔の投影面積の平方根は、10μm以上50μm以下である、請求項5又は請求項6に記載の超音波探傷試験用標準試験片。
- 前記第1面と前記第3面とは、固相接合される、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の超音波探傷試験用標準試験片。
- 前記第1部材及び前記第2部材は、軸受鋼製である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の超音波探傷試験用標準試験片。
- 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の前記超音波探傷試験用標準試験片に対して超音波である第1入射波を照射するとともに、前記第1孔で反射された前記第1入射波である第1反射波を受信する工程と、
試験対象物に対して超音波である第2入射波を照射するとともに、前記試験対象物中に含まれる非金属介在物によって反射された前記第2入射波である第2反射波を受信するする工程と、
前記第2反射波に基づいて前記試験対象物の良品判定を行う工程とを備え、
前記良品判定の閾値は、前記第1反射波に基づいて決定される、超音波探傷試験方法。 - 前記試験対象物は、軸受部品である、請求項10に記載の超音波探傷試験方法。
- 前記試験対象物は、軸受に挿入される軸部材である、請求項10に記載の超音波探傷試験方法。
- 前記試験対象物は、軸受が取り付けられるハウジング部材である、請求項10に記載の超音波探傷試験方法。
- 加工対象物を準備する工程と、
前記加工対象物に対して請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の前記超音波探傷試験方法を行う工程と、
前記超音波探傷試験方法にしたがって前記良品判定がなされた前記加工対象物に対し、焼き入れ及び焼き戻しを行う工程とを備える、軸受部品の製造方法。 - 加工対象物を準備する工程と、
前記加工対象物に対して焼き入れ及び焼き戻しを行う工程と、
前記焼き入れ及び前記焼き戻しが行われた前記加工対象物の表面に対して、機械加工を行う工程と、
前記機械加工が行われた後に、前記加工対象物に対して請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の前記超音波探傷試験を行う工程とを備える、軸受部品の製造方法。 - 前記焼き入れ及び前記焼き戻しが行われた前記加工対象物の前記表面に対して、化成処理による表面処理を行う工程をさらに備え、
前記表面処理は、前記機械加工が行われた後、前記超音波探傷試験が行われる前に行われる、請求項15に記載の軸受部品の製造方法。
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