JP2008128863A - 鋼中介在物径の推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼中のB系介在物及びD系介在物の径の精度のよい推定方法を提供する。
【解決手段】超音波探傷装置により鋼中介在物の径を推定する方法であって、超音波探傷装置により圧鍛比6以上の鋼材中の欠陥の反射波強度及び欠陥信号径を検出するステップと、介在物長辺方向の欠陥信号径が所定の径以上であるか否かを判断するステップと、介在物長辺方向の欠陥信号径が所定の径以上である場合には、欠陥信号径に基づく所定の検量線式から介在物径を求めるステップと、介在物長辺方向の欠陥信号径が所定の径未満である場合には、反射波強度に基づく所定の検量線式から介在物径を求めるステップとを有する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、鋼中介在物径を推定する方法に関し、詳しくは、高周波超音波探傷を利用して、精度よく、主にφ20μm以上の鋼中介在物径を推定する方法に関する。
疲労寿命が要求される機械部品鋼、特に転がり軸受用鋼では、鋼中の非金属介在物を極力低減した清浄度の高い鋼であることが重要である。異物混入のないクリーンな環境下で使用される鋼製の転がり軸受の一般的なパフォーマンスを示すL10寿命(転動疲労寿命)には、鋼の清浄度が影響するためである。具体的には、φ20μm以上の介在物が、L10寿命に影響するとの考え方が知られている。介在物の指標としては、鋼製品またはその素材の体積の全部または一部の中における最大介在物の径や個数があり、極力大きな体積中の最大介在物や介在物個数を精度よく予測することで、鋼製品や供給素材の清浄度に関する信頼性を正確に検査・評価でき、また、より一層のL10寿命と清浄度(φ20μm以上の介在物)との関係の明確化にも役立つと考えられる。
大体積の清浄度評価方法には高周波超音波探傷法があり、特に、酸化物系介在物の評価の点で有用である。また、球状・塊状介在物のみならず、クラスタ介在物を評価可能な点でも有用である。
従来の高周波超音波探傷法による鋼中介在物評価方法としては、所定の検量線を算出し、この検量線に基づいて、超音波探傷での欠陥信号径から欠陥径を求める推定方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、鋳片または圧延された鋼材の内部に存在する非金属介在物及び気泡を垂直超音波探傷法を用いて検査する方法であり、欠陥部反射波の強度から、非金属介在物または気泡の判別と、欠陥部の検査面への投影面積の円換算直径を判定する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特許第3712254号公報 特開平9-138222号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は比較的有効であるが、√AREAが約80μm未満の小中径介在物(特に数十ミクロンオーダーの径の介在物)に対して、径の推定精度が劣る。また、特許文献2に記載の方法は、欠陥径の推定を反射波強度のみによっているので、D系介在物径の推定方法としてはよくても、B系介在物(特にミリオーダーの長さをもつ大型介在物)の径の推定方法としては不十分である。ここで、B系介在物とは、圧延・鍛造方向に延伸した酸化物系介在物のことをいい、クラスタ介在物を含むものである。また、D系介在物とは、圧延・鍛造方向に延伸していない球状・塊状の酸化物系介在物のことをいう。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、高周波超音波探傷法による鋼中介在物評価方法における精度のよいB系介在物及びD系介在物の径の推定方法を提供するものである。
本発明は、超音波探傷法により鋼中介在物の径を推定する方法であって、超音波探傷装置により圧鍛比6以上の鋼材中の欠陥の反射波強度及び欠陥信号径を検出するステップと、介在物長辺方向の欠陥信号径が所定の径以上であるか否かを判断するステップと、介在物長辺方向の欠陥信号径が所定の径以上である場合には、欠陥信号径に基づく所定の検量線式から介在物径を求めるステップと、介在物長辺方向の欠陥信号径が所定の径未満である場合には、反射波強度に基づく所定の検量線式から介在物径を求めるステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、圧鍛比6以上の鋼材中のB系介在物及びD系介在物の径を精度よく推定できる高周波超音波探傷による鋼の清浄度検査方法を提供することができる。
本実施形態の鋼中介在物径の推定方法では、所定の介在物径を基準とし、所定の介在物径未満の介在物に対しては反射波強度をパラメータとする検量線式を用い、所定の介在物径以上の介在物に対しては欠陥信号径をパラメータとする検量線式を用いて介在物径を推定するものである。
圧鍛比6以上の鋼材中、特に、高清浄度鋼中の介在物に関して、介在物径(√AREA)が80μm未満の小中径介在物については、D系介在物も多く、欠陥信号径よりも反射波強度(特に深度補正を行った値)の方が精度がよい。したがって、反射波強度をパラメータとする検量線式をあらかじめ作成し、介在物径を推定するものである。なお、圧鍛比とは、鋳片または鋼塊の断面積をp、その鋳片または鋼塊を圧延または鍛造して、あるいは圧延と鍛造の両方をおこなって製造される半製品や製品の断面積をqとして、p/qで与えられる。
一方、介在物径(√AREA)が80μm以上の介在物については、B系介在物が多く認められるようになり、欠陥信号径の方が利便性が高い。したがって、欠陥信号径をパラメータとする検量線式をあらかじめ作成し、介在物径を推定するものである。
本実施形態の鋼中介在物径の推定方法では、超音波探傷により被検体となる金属材料の欠陥を検出する。超音波探傷は、探触子から超音波(以下「ビーム」ということがある)が発せられ、対象物に当たり、その反射波を検出して、反射波強度、グラフとして出力された波形などの反射波形情報、欠陥信号径、に基づいて所望の情報を得るものである。探触子による走査は、検査試料の所定の間隔をおいた複数箇所で超音波の発射、反射波の受信を行う(この間隔のことを「探傷走査ピッチ」または単に「走査ピッチ」という)。本実施形態においては、水浸式のパルス反射法による垂直超音波探傷が好適である。
垂直超音波探傷では、所定の探傷走査ピッチで、検査試料中の欠陥を検出する。探傷走査ピッチは、少なくとも探触子から発せられる超音波ビームの束の焦点位置における直径の1/2以下とする。ビーム束の直径の1/2以下とすれば、相対反射波強度が少なくとも約70%以上の領域で欠陥の検出を行うことが可能となる。相対反射波強度が70%ということは、本来その欠陥から得られる最大反射波強度100%に対し、欠陥位置とビームの中心軸のずれにより70%の強度の反射波しか得られないことを意味する。探傷走査ピッチは超音波ビームの半径方向(水平方向)の減衰の影響が極力小さくなるように設定するのが好ましく、具体的には、高周波超音波探触子の場合、5〜50μmに設定する。
このように垂直超音波探傷を行って、検査試料中に含まれる欠陥の位置、反射波強度、正半波強度、負半波強度、欠陥信号径、の値を測定する。なお、 反射波強度は正半波強度と負半波強度のいずれか大きい方の値として得られる。
欠陥信号径は、所定の大きさ以上の反射波強度が現れている探触子の走査範囲として求められ、具体的には、所定の閾値以上の反射波強度を示した探触子の移動距離を欠陥信号径として検出する。これは、最大反射波強度とは無関係に所定の反射波強度を閾値として設定して、この閾値以上になっている範囲の探触子の移動距離を欠陥信号径とするものである。閾値は超音波探傷の種々の条件により適宜設定することができるが、例えば反射波強度30%を閾値とすることができる。
本実施形態の圧鍛比6以上の鋼材中の介在物の径の推定方法は、介在物径(√AREA)が80μm未満の介在物については、反射波強度をパラメータとする検量線式(1)をあらかじめ作成し、介在物径を推定するものである。
√AREA=a×S×H+b(検量線式(1)とする)
ここで、a、bは定数、Sは深度補正係数((欠陥深度−実焦点深度)の関数として得られる)、Hは反射波強度である。
検量線式(1)の導出法について説明する。まず、ポロシティのない鋼試料の超音波探傷を行い、検出介在物群からまず1つの介在物を選抜して、検出介在物の反射波強度H、深さ座標値(ビーム路程)を取得する。そして、深さ座標値(ビーム路程)の関数として定まる深さ補正値Sを求める。次に、該介在物について削り込み(削り込みピッチは数μm程度)による実体確認(顕微鏡観察)を行い、介在物の最大径√AREAを計測する。同様の作業を他の介在物に対しても実施する。最大径√AREAが80μm未満であった介在物について、複数の介在物のデータをもとに、√AREAとS×Hとの相関をとり、定数a,bを決定する(図6)。最大径√AREAが80μm未満であった介在物であれば、√AREAとS×Hとの関係(リニア性)も良好となる。
超音波探傷によって反射波強度Hの取得にあたっては、現実には以下のような手順で行う。まずφ20μm以上の介在物が検出できる探傷感度D1[dB]での超音波探傷を行い、ある欠陥について反射波強度H1(%)を取得する。H1(%)≦100のときH=H1とする。H1(%)>100%のとき、該欠陥を含む領域を、探傷感度をD1よりも6dBさげた探傷感度D2 [dB]で再探傷し、反射波強度H2(%)を取得する。H2(%)≦100のときS=H2×2とする。H2(%)>100のとき、該欠陥を含む領域を、探傷感度をD2よりも6dBさげた探傷感度D3[dB]でさらに再探傷し、反射波強度H3を取得する。H3(%)≦100のときH=H3×4とする。探傷感度D1を、φ20μmの介在物が反射波強度30%で検出できる探傷感度としていれば、通常は3回までの探傷で、ほぼすべての欠陥の反射波強度を特定できる。なお、上記は各探傷感度で欠陥からの反射波強度が30〜100%のとき反射波強度の測定精度がよいことを考慮した措置である。
深さ補正値Sは深さ座標値の関数であるが、深さ補正値Sの計算では、実測定で用いる鋼中焦点深さの条件における深度補正曲線(距離振幅特性曲線)を予め求めておく。これは、各深さに同一形状の人工欠陥を有する試験片を用いて、各深さの欠陥からの反射波強度を測定し、鋼中焦点深さ位置にある人工欠陥での反射波強度の測定結果を1として、各深さの人工欠陥からの相対反射波強度を計算し、欠陥深さと相対反射波強度の関数曲線を生成するものである。
なお、本実施形態では、探傷試料の基本イメージは、肌焼鋼・中炭鋼の焼入材、軸受鋼の焼入(焼戻)材であるが、検量線式を作成したときの試料が肌焼鋼焼入材、測定試料が肌焼鋼焼ならし材、のようにミクロ組織が異なるものである場合には、反射波強度に対する補正項が別途必要となる。
検量線式(1)は、特にP/A=0.30以上0.465未満となる球状または塊状の介在物に、特に有効である。なお、P/Aは、欠陥波の簡易位相情報を表すパラメータであって、Pは欠陥波の正半波強度、Aは正半波強度と負半波強度との和である。また、超音波探傷装置のオシロスコープ(Aスコープ)に表示される欠陥波形に関して、波形の基準線より上側の部分のエコー高さを正半波強度、下側の部分のエコー高さを負半波強度といい、これらは、探傷結果として収録される部類のデータである。
本実施形態の圧鍛比6以上の鋼材中の介在物の径の推定方法は、√AREAが80μmを超える介在物については、欠陥信号径をパラメータとする検量線式(2)、(3)をあらかじめ作成し、検量線式(2)により介在物短辺サイズ、検量線式(3)により介在物長辺サイズを求め、介在物径を推定するものである。
daS=α×diS+β(検量線式(2)とする)
ただし、daS:介在物短辺サイズ、diS:介在物短辺方向の欠陥信号径、α、βは定数である。
daL=diL−γ(検量線式(3)とする)
ただし、daL:介在物長辺サイズ、diL:介在物長辺方向の欠陥信号径、γは定数である。
欠陥信号径(diS、diL)に特に精度が要求される場合は、高周波超音波探傷において、探傷ピッチ30〜50μmの粗探傷により検出した介在物につき、探傷ピッチ5〜10μmの精密探傷を行う、という手順をとることもできる。
検量線式(2)の導出にあたっては、ポロシティのない鋼試料の超音波探傷(探傷感度は前記D1[dB]と同じ)を行って、検出のあった大型B系検出介在物群(好ましくは介在物長辺方向の欠陥信号径が約500μm以上の介在物の群)からまず1つの大型B系介在物を選抜し、検出介在物の短辺方向の欠陥信号径を取得する。欠陥信号径を計測する反射波強度の閾値はたとえば30%とする。次に、該介在物について削り込み(削り込みピッチは数μm程度)による実体確認(顕微鏡観察)を行い、介在物短辺サイズの最大値を計測する。同様の作業を他の大型B系介在物に対しても実施する。複数の大型B系介在物のデータをもとに、介在物短辺方向の欠陥信号径と介在物短辺サイズとの関係線図(検量線)を求めて、α、βを決定する(図7)。
また検量線式(3)の導出にあたっては、同様に、超音波探傷を行って検出のあった大型B系検出介在物群からまず1つの大型B系介在物を選抜して、検出介在物の長辺方向の欠陥信号径を取得する。次に、該介在物について削り込み(削り込みピッチは数μm程度)による実体確認(顕微鏡観察)を行い、介在物長辺サイズの最大値を計測する。同様の作業を他の大型B系介在物に対しても実施する。複数の大型B系介在物のデータをもとに、介在物長辺方向の欠陥信号径と介在物長辺サイズとの関係線図(検量線)を求めて、γを決定する(図8)。
検量線式(2)、(3)は、√AREAがφ80μm以上の介在物の検量線として用いているので、介在物短辺が80μm以下であれば、長辺は80μm以上となり、実質的にも、検量線式(2)で介在物短辺サイズ、検量線式(3)で介在物長辺サイズを求める方法であれば、圧鍛比6以上の鋼材中の介在物の径の推定方法としては十分である。しかしながら、万一、巨大介在物(介在物短辺サイズが80μmを超えるもの)が検出された場合には、例外的に、介在物短辺サイズもまた検量線式(3)によればよい。すなわち、この場合、検量線式(2)でなく検量線式(3')を使用する。
daS=diS−γ(検量線式(3')とする)
最終的には、√(da S×da L)を計算して介在物径(√AREA)とする。
なお、焦点深さに対し狭い範囲内において介在物を検出していくほうが相関係数の高い検量線を得やすい傾向がある。具体的に例を挙げると、鋼中焦点深度±0.3mmの深さの介在物を検出して検量線を作成するよりも、鋼中焦点深度±0.2mmの深さの範囲に絞って介在物を検出し検量線を作成するほうが相関係数の高い検量線を得やすい。
検査試料は、被検金属材料から試験片を切り出して作製したものなどを用いることができる。検査試料の数、大きさは、超音波探傷による走査を行うべき被検金属材料の体積、超音波探傷装置の条件などから適宜定めることができる。好ましい形態としては次のようなものが例示される。検査試料の大きさは、走査面積が10〜10000mm2程度、深さ方向の検査範囲が0.5〜50mm程度とすることができる程度の大きさに設定することが好ましい。また、検査試料の数は、データを統計的処理する場合には、上記の大きさの検査試料を30個(または30箇所)以上用いることが好ましい。検査試料の数には特に上限があるわけではないが、処理労力の煩雑さや統計的な精度向上などの観点からすると、60個程度用いれば通常十分である。また、検査試料の圧鍛比は40以上とすることが特に好ましい。連続鋳造材などにおいてポロシティが圧着され、介在物と空孔の誤判定がほぼゼロ化するからである。
本実施形態では超音波探傷により欠陥検出を行うが、超音波探傷を行う装置、探触子は様々な種類が既に市販されており、本実施形態ではこれらのものを適宜用いることができる。本実施形態で用いられる探触子としては、点焦点型探触子であり、焦点におけるビーム径は60〜180μm(好ましくは80〜120μm)、探傷周波数は20MHz以上(好ましくは50MHz以上80MHz以下)であることが好ましい。点焦点型探触子を用いることにより、肌焼鋼・中炭鋼・軸受鋼の焼入(焼入焼戻)材でφ20μm以上の介在物検出能を得ることができるからである。
図4には、焦点型探触子による超音波探傷の概略を例示する。図4に示される超音波探傷装置ではマイクロプロセッサを備えたPCが備えられており、マイクロプロセッサには演算処理を行うプログラムが組み込まれる。このようなPCを超音波探傷装置に設けられることにより、大量のデータ処理を迅速に行うことができる。
図5は、本実施形態の鋼中介在物径の推定方法の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ101(図中ではステップをSと略す)では、水浸超音波探傷を用いて鋼中の任意の欠陥iの情報を取得し、ステップ102へ進む。なお、欠陥iの情報は、欠陥信号径、正半波強度、負半波強度、反射波強度、P/A、欠陥位置のX座標値,Y座標値,Z座標値(深さ座標値)などである。
ステップ102では、任意の欠陥iの長辺方向の欠陥信号径が、380μm以上か否かを判定する。ステップ102は、本来的には約80μm未満の介在物の評価と約80μm以上の介在物評価とに分けるものである。つまり、介在物長辺方向の欠陥信号径380μmとは、検量線式(2)または(3)によって計算される介在物径が80μm相当となる欠陥信号径である。
ここで、介在物長辺方向とは、ほぼ楕円形に表示された介在物のUT画像において、最大長さをとれる方向のことをいう。介在物長辺方向は、圧延材の圧延方向とほぼ同じであり、例えば平面探傷(X−Y走査)で、Y方向の探傷走査方向を圧延材の軸方向としておけば、Y方向の欠陥信号径がほぼ介在物長辺方向の欠陥信号径となる。一方、介在物短辺方向は介在物長辺方向に対して垂直な方向のことをいう。
介在物長辺方向の欠陥信号径が、380μm以上である場合には、ステップ103へ進み、介在物長辺方向の欠陥信号径が、380μm未満である場合には、ステップ104へ進む。
ステップ103では、検量線式(2)、(3)を用いて欠陥径を算出し、介在物径(√AREA)を推定する。具体的には、介在物短辺方向の欠陥信号径が380μm未満(介在物短辺サイズが約80μm相当未満)の介在物短辺サイズについては検量線式(2)を用いて計算を行い、介在物長辺方向の欠陥信号径が380μm以上(介在物長辺サイズが約80μm相当以上)の介在物長辺サイズについては検量線式(3)を用いて計算を行い、算出された介在物短辺サイズと介在物長辺サイズに基づいて、介在物の径(√AREA)を推定する。
ステップ104では、検量線式(1)で介在物の径を推定する。なお、P/Aが0.30未満、あるいはP/Aが0.60以上は、非介在物波形として、評価から除外するものとする。
以上、説明した本実施形態の鋼の清浄度検査方法によれば、圧鍛比6以上の鋼材中のB系介在物及びD系介在物の径を精度よく推定できる高周波超音波探傷による鋼の清浄度検査方法を提供することができる。
また、本実施形態の鋼中介在物径の推定方法により求められた介在物径についてのデータに基づいて清浄度の評価を行うことができる。本実施形態では介在物の数、位置、径などを得ることができ、例えばこれらのデータに基づいて粒度分布をヒストグラムとして表して清浄度の評価を行うことができる。また、得られた実測データから例えば極値統計法などの統計的手法を用いて、被検対象金属材料中の最大介在物径を推定したデータを得ることもできる。
以下、本発明の鋼中介在物径の推定方法について実施例を示し、より詳細に説明する。ただし、本発明の鋼中介在物径の推定方法は以下の実施例に限定されるものではない。
<検査試料の作製>
図1に記載したように、介在物についての探傷用として、SUJ2φ65圧延材(圧鍛比=56)より試験片を切り出し、粗加工で10mm厚のプレートを作製し、焼入焼戻を行い、上下面の仕上加工(仕上厚さ9mm)を行って、65mm×120mm×9mmの試験片A〜Dを作製した。以下この試験片A〜Dを「介在物用試験片A〜D」ともいう。また、探傷範囲を図2、図3に示す。本実施例においては、探傷体積を、50mm×100mm×0.5mm(探傷体積20g)としている。
試料Aは、50MHzUTによる√AREAが20μm以上の介在物の検出が、探傷体積20g中に1個(D系)であった試料である。試料Bは、数十μmオーダーの小中径介在物の検出が比較的多数あった試料、試料Cは、D系、B系介在物の検出が多数あった試料、試料Dは、D系、B系介在物の検出が比較的多数あった試料である。
<超音波探傷の基本条件設定>
超音波探傷には、焦点型高周波探触子(探傷周波数50MHz)を備えた超音波探傷装置を用い、水浸式のパルス反射法による超音波探傷を行った。超音波探傷試験の条件を、表1に示す。なお、超音波探傷によって検出されるエコーのうち、P/A<0.30、P/A≧0.6のエコーは、空孔または異常波として扱う。
Figure 2008128863
<検量線式(1)の作成>
次に、検量線式(1):√AREA=a×S×H+bの各係数、定数を決定する。SCM420のφ65圧延材ベースの焼入材、あるいはSUJ2のφ65圧延材ベースの焼入焼戻材などによる介在物用試験片について、表1に示した条件での超音波探傷試験(ただし探傷走査ピッチは20μm)により反射波強度30%以上かつ欠陥信号径380μm未満で検出された介在物(好ましくはP/A=0.30以上0.465未満の介在物)の深さと反射波強度H(%)とを精密に測定する。あらかじめ作成しておいた深度補正曲線にしたがい、深さに関する補正係数Sを求める。検出介在物の最大介在物径√AREA(μm)を試料の削り込み〜顕微鏡観察により確認する。サイズの異なる複数の介在物について同様の作業を行い、√AREAとS×Hとの一次の相関をとり、a,bを決定する(図6)。
以上のような各介在物に関する超音波探傷の結果と顕微鏡観察の結果とから検量線式(1)を求めたところ、a=0.18、b=14.9が得られ、図6に示す次のような式が得られた。
√AREA=0.18×S×H+14.9・・・(検量線式(1))
ただし、S=1/(35.1×X4−9.7×X2+1)[ X=介在物深さ(mm)−実焦点深さ(mm)、-0.25≦X≦0.25]
<検量線式(2)の作成>
SCM420のφ65圧延材ベースの焼入材、あるいはSUJ2のφ65圧延材ベースの焼入焼戻材などによる介在物用試験片について、表1に示した条件での超音波探傷試験(ただし探傷走査ピッチは10μm)により反射波強度30%以上で検出されたB系介在物の介在物短辺方向(≒鋼材径方向)の介在物信号径diS(μm)を求める。検出介在物の最大短辺サイズdaS(μm)を試料の削り込み〜顕微鏡観察により確認する。サイズの異なる複数の介在物について同様の作業を行い、daSとdiSとの一次の相関をとり、係数α、βを決定する。
以上のような各介在物に関する超音波探傷の結果と顕微鏡観察の結果とから検量線式(2)を求めたところ、α=0.2、β=9.5が得られ、図7に示す次のような式が得られた。
daS=0.2×diS+9.5・・・(検量線式(2))
<検量線式(3)の作成>
SCM420のφ65圧延材ベースの焼入材、あるいはSUJ2のφ65圧延材ベースの焼入焼戻材などによる介在物用試験片について、表1に示した条件での超音波探傷試験(ただし探傷走査ピッチは10μm)により反射波強度30%以上かつ欠陥信号径380μm以上(好ましくは500μm以上)で検出されたB系介在物の鋼材軸方向(≒介在物長辺方向)の介在物信号径diL(μm)を求める。検出介在物の最大長辺サイズdaL(μm)を試料の削り込み〜顕微鏡観察により確認する。サイズの異なる複数の介在物について同様の作業を行い、daLとdiLとの相関をとり、係数γを決定する。
以上のような各介在物に関する超音波探傷の結果と顕微鏡観察の結果とから検量線式(3)を求めたところ、γの値は300が得られ、図8に示す次のような式が得られた。
daL≒diL−300・・・(検量線式(3))
<検査試料の超音波探傷と試料中の最大介在物径の評価>
上記<検査試料の作製>のようにして用意された試験片A〜Dに対して、それぞれ表1に示した条件の超音波探傷試験(ただし探傷走査ピッチは20μm)を行い、検出した個々の鋼中介在物径を、図5のフローに従って計算した(実施例)。また、比較例1、2として、実施例の検量線式の組み合わせ以外の検量線式の組み合わせを設定した。
<実施例>
√AREAが20μm以上80μm相当未満の介在物の径の推定には、検量線式(1)を用い、√AREAが80μm相当以上介在物の径の推定には検量線式(2)、(3)を用いたものを実施例とした。
<比較例1>
√AREAが20μm以上80μm相当未満の介在物の径の推定には、検量線式(1)を用い、√AREAが80μm相当以上の介在物の径の推定には検量線式(1)を用いたものを比較例1とした。
<比較例2>
√AREAが20μm以上φ80μm相当未満の介在物の径の推定には、検量線式(2)、(3)を用い、√AREAが80μm相当以上介在物の径の推定には検量線式(2)、(3)を用いたものを比較例2とした。
得られた介在物径の推定値に基づく探傷体積中の最大介在物を求めた結果を、表2に示す。なお、本方法の応用としては極値統計処理を併用して、所定の重量[例えば部品重量]中の予測最大介在物径を求めてもよい。また、検出個数で評価することも可能である。
本実施例及び比較例の鋼中介在物径の推定方法による介在物径の推定結果(表中の、「探傷体積3×106 m3 (探傷重量20g)中の最大介在物の√AREA[μm]」)と、超音波探傷により検出された介在物を試験片を削りこんで現出させ、その最大径を実測した結果(表中の、「左記最大介在物の削りこみで確認した√AREA[μm]」)と、を表2に示す。
Figure 2008128863
表2からわかるように、実施例の推定方法によれば試料A〜Dについて精度のよい介在物径の推定がなされている。
一方、比較例1の推定方法によれば、試料C、Dについて、大きな誤差が生じている。また、比較例2の推定方法によれば、試料Bについて大きな誤差が生じている。よって、本発明の鋼中介在物径の推定方法の妥当性が証明された。
本実施例の介在物用試験片の形状を示す図である。 本実施例の高周波超音波探傷による探傷範囲を示す斜視図である。 本実施例の高周波超音波探傷による探傷範囲を示す断面図である。 本実施形態の焦点型探触子による超音波探傷の概略を例示する図である。 本実施形態の鋼中介在物径の推定方法の処理の流れを示すフローチャートである。 本実施例の鋼中介在物径の推定方法の検量線式(1)を示す図である。 本実施例の鋼中介在物径の推定方法の検量線式(2)を示す図である。 本実施例の鋼中介在物径の推定方法の検量線式(3)を示す図である。

Claims (6)

  1. 超音波探傷装置により鋼中介在物の径を推定する方法であって、
    前記超音波探傷装置により圧鍛比6以上の検査試料中の欠陥の反射波強度及び欠陥信号径を検出するステップと、
    介在物長辺方向の前記欠陥信号径が所定の径以上であるか否かを判断するステップと、
    前記介在物長辺方向の欠陥信号径が前記所定の径以上である場合には、欠陥信号径に基づく所定の検量線式から介在物径を求めるステップと、
    前記介在物長辺方向の欠陥信号径が前記所定の径未満である場合には、反射波強度に基づく所定の検量線式から介在物径を求めるステップと、
    を有することを特徴とする鋼中介在物径の推定方法。
  2. 前記反射波強度に基づく所定の検量線式は、検量線式(1)であることを特徴とする請求項1に記載の鋼中介在物径の推定方法。

    検量線式(1):√AREA=a×S×H+b
    (Hは反射波強度、a,bは定数、Sは深度補正係数((欠陥深度−実焦点深度)の関数として得られる)である)
  3. 前記欠陥信号径に基づく所定の検量線式として、
    介在物短辺方向の欠陥信号径が前記所定の径未満の介在物短辺サイズについては検量線式(2)を用い、介在物長辺方向の欠陥信号径が前記所定の径以上の介在物長辺サイズについては検量線式(3)を用いる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の鋼中介在物径の推定方法。

    検量線式(2):daS=α×diS+β
    (daSは介在物短辺サイズ、diSは介在物短辺方向の欠陥信号径、α、βは定数である)
    検量線式(3):daL=diL−γ
    (daLは介在物長辺サイズ、diLは介在物長辺方向の欠陥信号径、γは定数である)
  4. 前記介在物長辺方向の欠陥信号径の前記所定の径は、
    前記欠陥信号径に基づく所定の検量線式から計算される介在物径が80μm相当となる欠陥信号径であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鋼中介在物径の推定方法。
  5. 前記検査試料の圧鍛比は40以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鋼中介在物径の推定方法。
  6. 前記超音波探傷装置の超音波探触子は点焦点型探触子であり、焦点におけるビーム径は60〜180μmであり、探傷周波数は20MHz以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鋼中介在物径の推定方法。
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