JP3712254B2 - 金属材料中欠陥径の推定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属材料中の欠陥径を推定する方法に関し、詳しくは超音波探傷を利用して迅速に金属材料中の欠陥径を推定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の冶金技術の向上から、鋼などの金属材料の清浄度が大幅に改善され、20ミクロンを越える中型〜大型の鋼材中の非金属介在物は一段と少なくなり、かつ、大きさも小さくなっている。このような中で、偶発的に、あるいはきわめて低い確率で発生する中型〜大型の欠陥を検出することは、非常に困難になっている。中大型の欠陥で多く見られるのは、径がおよそ20〜200μm程度のものである。
【0003】
軸受鋼、構造用鋼、機械構造用鋼などの製品においてはそれら約20μm以上の中大型介在物、あるいは単独または鍛造などで発生する介在物起因の空孔やワレは疲労破壊の原因となる。
【0004】
ところで、現在、金属材料中の中大型介在物は主に清浄度と関連して評価される。欠陥を見る検査方法としては、被分析対象金属材料から試験片を採取して光学顕微鏡により試験片の表面を検査する等の方法が一般的である。しかしながら、従来標準的な鋼中介在物の評価方法として採用されてきた「JIS G 0555 鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」、「ASTM E45 Standard Practice for Determining the Inclusion Content of Steel」、「DIN50602」、「ISO4967」などの顕微鏡による方法は、検査試料の被検面積が、例えば100〜200mm2/個と小さいために、中大型欠陥の検出精度が低いという問題点があった。これまで大きな体積を検査することが要望されてきたが、適切な方法はなかった。
【0005】
また、他の方法として、金属材料から酸溶解により非金属介在物を抽出しその介在物の粒径を顕微鏡で評価する方法やEB溶解法により金属材料を溶解し浮上した介在物を顕微鏡により観察する方法が提案されている(特開平9−125199号、特開平9−125200号)。しかし、酸溶解法は介在物が酸に溶解したり、介在物まで溶解して介在物が小径化する場合がある。さらに、酸溶解に時間がかかるなど、処理の迅速性に劣り、製品の量産工程に対応することも困難であった。また、EB溶解法は、検査試料となる数g程度の小片を溶解し、浮上した介在物を顕微鏡により観察する方法であるが、介在物が融解、凝集したりする場合があり、これに対する対応策が見いだされていない。
【0006】
一方、空孔やワレは、手探傷などにより概略欠陥位置を特定して研磨法により現出させて評価するのが一般的であるが、手間がかかるという難点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
金属材料中の欠陥の検出方法としては、超音波探傷による非破壊検査がある。超音波探傷の一つとして、反射波強度から欠陥の種類、径を検出する方法があるが、反射波強度から精度よく欠陥径を求めるためには、数値補正などの多数の計算工程を経る必要があり、データ処理が煩雑である。また、反射波強度に基づく欠陥は、主に球状の欠陥が対象となり、それ以外の形状の欠陥の場合には精度が低くなる場合がある。
【0008】
本発明は、最近の冶金技術の向上に対応し、鋼などの金属材料の清浄度の大幅な改善に対応した、迅速かつ簡便な金属材料中欠陥径の推定方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では以下の手段を採用した。
(1)超音波探傷により金属材料中の欠陥径を検出する方法であって、所定の探傷走査ピッチで検査試料中の欠陥の位置を検出する粗探傷を行った後、前記粗探傷よりも探傷走査ピッチを狭くして精密探傷を行い、精密探傷により所定の閾値以上の反射波強度を示す探触子の移動距離を欠陥信号径として検出し、検出された欠陥信号径に対応する欠陥径の大きさに応じ下記式(I)または(II)により欠陥信号径から欠陥径を求める、金属材料中欠陥径の推定方法。
欠陥径が超音波ビームの径以下の場合、
da = α・di + β ・・・(I)
欠陥径が超音波ビームの径以上の場合、
da = di − γ ・・・(II)
ただし、da:欠陥径
di:欠陥信号径
α、β、γ:それぞれ定数
(2)焦点型高周波探触子を備えた超音波探傷装置により、超音波探傷を行う、前記(1)に記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
(3)粗探傷を行うときの探傷走査ピッチを、精密探傷の場合よりも大きくかつ焦点位置における探触子からのビーム束の直径の1/2以下とし、精密探傷を行うときの探傷走査ピッチを粗探傷のときよりも小さくして、超音波探傷を行う、前記(1)または(2)に記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
(4)粗探傷における探傷走査ピッチを30〜150μmとする、前記(1)から(3)のいずれかに記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
(5)精密探傷における探傷走査ピッチを5〜10μmとする、前記(1)から(4)のいずれかに記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の欠陥径推定方法では、超音波探傷により被検体となる金属材料の欠陥を検出する。超音波探傷は、探触子から超音波(以下「ビーム」ということがある)が発せられ、対象物に当たり、その反射波を検出して、反射波強度、グラフとして出力された波形などの反射波形情報に基づいて所望の情報を得るものである。探触子による走査は、検査試料の所定の間隔をおいた複数箇所で超音波の発射、反射波の受信を行う(この間隔のことを「探傷走査ピッチ」または単に「走査ピッチ」という)。本発明においては、例えば、水浸式のパルス反射法などが超音波探傷として好適である。
【0011】
本発明の欠陥径推定方法においては、探傷走査ピッチを精密探傷に比較して広くとる粗探傷と、粗探傷よりも探傷走査ピッチを狭くする精密探傷とを行う。粗探傷は、主に欠陥の位置を検出するために行い、粗探傷により検出された欠陥について精密探傷を行い、精密探傷により欠陥径信号径(di)を求め、所定の式に基づき得られた欠陥信号径(di)から欠陥径(da)を推定する。
【0012】
粗探傷では、所定の探傷走査ピッチで、検査試料中の欠陥の位置を検出する。粗探傷における探傷走査ピッチは、検査試料の大きさ、予想される欠陥の大きさなどから任意に設定することができるが、少なくとも精密探傷の場合よりも大きく設定し、好ましくは探触子から発せられる超音波ビームの束の焦点位置における直径の1/2以下とする。ビーム束の直径の1/2以下とすれば、粗探傷であっても、相対反射波強度が少なくとも約70%以上の領域で欠陥の検出を行うことが可能となる。相対反射波強度が70%ということは、本来その欠陥から得られる最大反射波強度100%に対し、ビームのずれにより70%の強度の反射波しか得られないことを意味する。粗探傷における好ましい探傷走査ピッチは、より具体的には30〜150μmであり、特に好ましくは30〜50μmに設定する。
【0013】
このように粗探傷を行って、検査試料中に含まれる欠陥の位置などが検出される。粗探傷を行うことにより、迅速に大体積の検査試料について検出対象である欠陥の位置などを特定することができる。なお、粗探傷により、検査試料中の欠陥の数を検出することができ、また検査試料中の欠陥径のおおまかな値を測定しておいてもよい。
【0014】
粗探傷を行った後、検出された欠陥径を精度よく検出するために精密探傷を行う。精密探傷は、探傷走査ピッチを粗探傷の場合よりも狭く設定して行い、好ましくは探傷走査ピッチを超音波ビームの半径方向(水平方向)の減衰の影響を最小になるように設定する。減衰の影響が最小限になるような探傷走査ピッチは、検出した1つの欠陥の真上(反射波強度が最大となる位置を「真上」とし、この位置を原点とする)に探触子を移動し(真上の位置が原点、反射波強度100%)、この探触子を前後左右に動かして求めることができる。検査対象となる金属材料や探触子の種類にもよるが、具体的には、精密探傷における探傷走査ピッチとして好ましくは、5〜10μmである。
【0015】
精密探傷においては、粗探傷で検出された欠陥の欠陥信号径を求める。欠陥信号径とは、所定の大きさ以上の反射波強度が現れている探触子の走査範囲として求められ、具体的には、次のような態様が挙げられる。
(A)所定の閾値以上の反射波強度を示した探触子の移動距離を欠陥信号径として検出する(図7)。
【0016】
なお、上記(A)のような欠陥信号径は、超音波探傷に基づく映像から求めることもできる(図6)。
【0017】
(A)の態様は、最大反射波強度とは無関係に所定の反射波強度を閾値として設定して、この閾値以上になっている範囲の探触子の移動距離を欠陥信号径とするものである。閾値は超音波探傷の種々の条件により適宜設定することができるが、例えば反射波強度30%を閾値とすることができる。
【0018】
(A)の態様により求められた欠陥信号径から、その大きさに応じて下記(I)または(II)式で表される検量線に基づいて、欠陥径が求められる。
【0019】
da = α・di + β ・・・(I)
da = di − γ ・・・(II)
ただし、da:欠陥径、di:欠陥信号径、α、β、γは定数である。(I)式は、欠陥径がビーム径以下の場合に適用し、(II)式は、欠陥径がビーム径以上の場合に適用する。ここでいうビーム径は、探触子から発せられる超音波ビームの焦点位置における径である。なお、まれと考えられるがビーム径と欠陥径が一致するときは、いずれでもよい。
【0020】
例えば、探触子から発せられるビームの径が100μmであれば100μm以下の欠陥径の場合には式(I)を適用し、欠陥径が100μm以上であれば式(II)を適用する。なお、超音波探傷により直接的に測定されるのは欠陥信号径であるが、あらかじめ式(I)、(II)における各定数を求めて検量線を作成しておくことにより、式(I)または(II)において欠陥径が100μmとなる欠陥信号径の値を知ることができる。
【0021】
欠陥信号径から欠陥径を求めるために、欠陥信号径と欠陥径との関係を示す検量線をあらかじめ作成しておく。例えば、あらかじめ既知の欠陥を有する標準試験片の欠陥信号径を測定して検量線を作成し、α、βまたはγを設定することができる。また、超音波探傷を行って欠陥からの欠陥信号径を求めておき、この超音波探傷を行った検査試料の探傷領域部を切り出し、これを研磨して欠陥を現出させSEM観察により介在物径を求めて検量線を作成し、α、βまたはγを設定するなどの方法をとることもできる。また、予め超音波探傷による反射波強度と欠陥径との関係を示す検量線を作成しておき、超音波探傷により反射波強度を検出し深度補正(深度方向の減衰補正)をして欠陥径を求め、これと超音波探傷による欠陥信号径との対応から検量線を作成してもよい。
【0022】
なお、焦点深さに対し狭い範囲内において介在物を検出していくほうが相関係数の高い検量線を得やすい傾向がある。具体的に例を挙げると、焦点深度±0.3mmの深さの介在物を検出して検量線を作成するよりも、焦点深度±0.2mmの深さの範囲に絞って介在物を検出し検量線を作成するほうが相関係数の高い検量線を得やすい。
【0024】
検査試料は、被検金属材料から例えば試験片を切り出して作製したものなどを用いることができる。検査試料の数、大きさは、超音波探傷による走査を行うべき被検金属材料の体積、超音波探傷装置などから適宜定めることができる。好ましい形態としては次のようなものが例示される。検査試料の大きさは、走査面積が10〜10000mm2程度、検査深さが0.5〜50mm程度とすることができる程度の大きさに設定することが好ましい。また、検査試料の数は、データを統計的処理する場合には、上記の大きさの検査試料を30個(または30箇所)以上用いることが好ましい。検査試料の数には特に上限があるわけではないが、処理労力の煩雑さや統計的な精度向上などの観点からすると、60個程度用いれば通常十分である。
【0025】
本発明の欠陥検出では超音波探傷を行うが、超音波探傷を行う装置、探触子は様々な種類が既に市販されており、本発明ではこれらのものを用いることができる。好ましい探触子としては、焦点型高周波探触子などが挙げられる。フラット型探触子の検出能は1/2波長といわれているが、焦点型探触子では1/4波長であり、焦点型探触子は本発明の欠陥径推定方法が好適に用いられる10〜200μm程度の欠陥の検出により好適である。探触子周波数は20〜125MHz程度が好ましい。
【0026】
図1には焦点型探触子による超音波探傷の概略を例示する。図1に示される超音波探傷装置ではマイクロプロセッサを備えたPCが備えられており、マイクロプロセッサには演算処理を行うプログラムが組み込まれる。このようなPCを超音波探傷装置に設けられることにより、大量のデータ処理を迅速に行うことができる。
【0027】
本発明の欠陥径推定方法により求められた介在物径についてのデータに基づいて清浄度の評価を行うことができる。本発明では粗探傷、精密探傷により、介在物の数、位置、欠陥径などを得ることができ、例えばこれらのデータに基いて粒度分布をヒストグラムとして表して清浄度の評価を行うことができる。また、得られた実測データから例えば極値統計法などの統計的手法を用いて、被検対象金属材料中の最大欠陥径を推定したデータを得ることもできる。
【0028】
清浄度の評価は、例えば、あらかじめ所定性状を備えている金属材料について本発明の方法によりデータを得ておいて、このデータと別の検査試料のデータを比較したり、また望まれる性状データと検査試料のデータとを比較することにより行うことができる。
【0029】
本発明の欠陥径推定方法は、Mg合金、Al合金、Ti合金、Cr合金、Fe合金(鋼を含む)、Co合金、Ni合金、Cu合金、Zn合金、Ag合金、Au合金、などの各種金属材料に広く適用することができ、好適にされるものとしてはFe合金、Ni合金などが挙げられる。より具体的には、好適なものとして、気泡を抑えたり、欠陥のもととなる酸素の含有量を下げるため脱酸することを意図してアルミを添加したアルミキルド鋼などの鋼種、合金が挙げられ、さらに具体的にはAl≧0.005wt%含有の高清浄度アルミキルド鋼などにも好適に適用することができる。
【0030】
1つの欠陥からの反射波であってもその欠陥の中では強度に差が生じ得る(模式的に示したものが図2、実施例で得られた超音波映像が図6である)。これは、探触子軸(探触子の中心)と欠陥の位置関係よっては反射波強度が低下する傾向があること(図3)、欠陥の形状によって反射波強度に差が生じる場合があることなどが原因と考えられる。したがって、例えば最大の反射波強度だけに基づいて欠陥径を推定しようすると、実測された反射波強度データの補正・校正のために煩雑な作業、演算などの処理を要する場合があり、欠陥形状を加味した評価も不可能である。しかし、本発明は上記のように超音波探傷から直接的に欠陥信号径を得ており、演算処理としてはごく一般的な手法で検量線を作成すればよいので、迅速かつ簡便に欠陥径を推定することができる。また、超音波探傷によって欠陥信号径を得ているため、球状以外の様々な形状の欠陥についても、的確に欠陥径の推定を簡便に行うことができる。
【0031】
また、ビーム径より大きい欠陥では反射波強度が飽和してしまい欠陥径の推定が困難となるが、所定の大きさ以上の反射波強度が現れている探触子の走査範囲である欠陥信号径に基づいて欠陥径を推定するため反射波強度の飽和にほとんど影響を受けず欠陥径を求めることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の欠陥径推定方法について実施例を示し、より詳細に説明する。ただし、本発明の欠陥径推定方法は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
<検査試料の作製>
軸受用鋼QT材による平面形材料を被検対象金属として用いた。
【0034】
介在物についての探傷用として、φ65鍛伸材の中心部または中間部(中心部と外周部との中間の部分)より試験片を切り出し、フライス加工、QT(焼入焼戻)、平面研磨を行って、15×80×8mmの試験片を作製した。以下この試験片を「介在物用試験片」という。
【0035】
空孔についての探傷用として、ベアリング(QT材)から図8に示すような形状の試験片を切り出した。以下この試験片を「空孔用試験片」という。
【0036】
<超音波探傷の基本的条件設定>
超音波探傷には、焦点型高周波探触子(周波数50MHz)を備えた超音波探傷装置を用い、水浸式のパルス反射法による超音波探傷を行った。焦点位置における探触子からのビーム径は約100μmである。
【0037】
なお、以下特に断らない限り、空孔用試験片についての探傷条件は、周波数50MHz、感度31dB、幾何焦点;表面下0.5mm、ゲート;表面下0.3〜1.0mmに設定し、また、介在物用試験片についての探傷条件は、周波数50MHz、感度19dB、幾何焦点;表面下1.5mm、ゲート;表面下1.0〜2.0mmに設定した。
【0038】
<検量線の作成>
(検量線例1)
上記の介在物用試験片について精密探傷(19dB、5μmピッチ)を行って検出された介在物の反射波強度の値を深度補正し、別途に予め作成しておいた反射波強度と介在物径の検量線に基づいて、深度補正後の反射波強度を介在物径(μm)に換算した。深度補正は、欠陥の深さと焦点位置のずれによる反射波強度の減衰を校正するための補正であり、距離振幅補償(Distance Amplitude Correction)に準じて行った。また、精密探傷を行って得られたX方向、Y方向のサイズ(μm)を円換算して信号径diを求めた。これらを繰り返し、複数の介在物について介在物径(欠陥径)と信号径との対応をそれぞれプロットし、介在物径100μm以下についての検量線を作成した(図4)。
【0039】
以上のような実測の結果から得られた各介在物径から検量線を求めたところ、次のような式が得られた。
da=0.1687di+14.421 ・・・(式I−1)
以上のようにして得られた検量線を図4に示す。式I−1は上記式(I)に分類される式であり、da、diの単位はμmである。
【0040】
(検量線例2)
標準試験片STB−040、のφ0.4mm、φ1.0mmドリル穴を探傷し、反射強度30%を越える幅を信号径として記録した。焦点は前記ドリル穴の深さとし、感度19dB、31dBのそれぞれについて実施した。この探傷の結果を図5中「○」のプロットで示す。
【0041】
感度;19dB、反射波強度;>30%についての式は次の通りである。
da≒di−300 (式II−1)
また、感度;31dB、反射波強度;>30%についての式は次の通りである。
da≒di−100 (式II−2)
これらの式は上記式(II)に分類される式であり、da、diの単位はμmである。
【0042】
また、ベアリングの一部を切り出した試験片の空洞欠陥を感度31dBで探傷して、反射波強度が30%を超える幅を信号径として記録した。試験片を研磨してこの空洞部分を現出させて最大径を測定し、先に記録した信号径との対応をプロットしたのが、図5中の「■」である。図5に示されるように、標準試験片の人工欠陥の場合も、実際に存在する欠陥の場合も同様の検量線が得られた。
【0044】
<検査試料の超音波探傷>
上記<検査試料の作製>のようにして用意された2種の試験片に対してそれぞれ粗探傷を行った。粗探傷の走査ピッチは0.1mmピッチとした。粗探傷により検出された欠陥について、その欠陥近傍の2mm×2mmの範囲について0.005mmのピッチで精密探傷を行った。
【0045】
(空孔用試験片の精密探傷)
空孔用試験片ついて精密探傷(感度;31dB、反射波強度;>30%)によって欠陥信号径0.26mm×0.21mmの大きさの空洞が検出されたため、図4、図5のグラフを参照し、感度31dBの場合の欠陥信号径であってこの信号径が200μm以上(すなわち、欠陥径が100μm以上)であることから、式(II−2)を用いて推定される欠陥径を求めたところ、0.16mm×0.11mmであった。
【0046】
超音波探傷により検出された空洞を、試験片を研磨して現出させ、その最大径を実測したところ、0.14mm×0.08mmであった。
【0047】
(介在物用試験片の精密探傷)
介在物用試験片について精密探傷(感度;19dB、反射波強度;>30%)によって欠陥信号径0.20mm×0.21mmの大きさの介在物が検出されたため、図4、図5のグラフを参照し、感度19dBの場合の欠陥信号径であってこの信号径が400μm以下であることから、式(I−1)を用いて推定される欠陥径を求めたところ、0.048mm×0.050mmであった。
【0048】
図6(a)に空洞の超音波探傷映像を、図6(b)に介在物の超音波探傷映像を示す。
【0049】
図6に示されるように、1つの欠陥からの反射波であってもその欠陥全体の中では強度に差が生じているが、本発明の推定方法によれば、超音波探傷を用いて、複雑な演算処理などをしなくても簡便に欠陥径を推定することができることが確認された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、鋼中の欠陥径を迅速かつ簡便に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焦点型探触子による超音波探傷の概略を模式的に示す図である。
【図2】超音波探傷による欠陥映像の模式図である。(a)と(b)との2種を示す。
【図3】ビーム径と反射波強度の関係を示す図である。
【図4】欠陥信号径がビーム径以下の場合の欠陥信号径diと欠陥径daとの検量線の例を示す図である。
【図5】欠陥信号径と欠陥径との関係を示す各種の検量線を示した図である。
【図6】超音波探傷映像および欠陥写真を示す図である。(a)は空洞の、(b)は介在物の映像図である。
【図7】欠陥信号径の設定する一つの方法の概念を示す図である。
【図8】空孔についての探傷用として、ベアリング(QT材)から切り出した試験片の形状を示す図である。図8中の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
Claims (5)
- 超音波探傷により金属材料中の欠陥径を検出する方法であって、所定の探傷走査ピッチで検査試料中の欠陥の位置を検出する粗探傷を行った後、前記粗探傷よりも探傷走査ピッチを狭くして精密探傷を行い、精密探傷により所定の閾値以上の反射波強度を示す探触子の移動距離を欠陥信号径として検出し、検出された欠陥信号径に対応する欠陥径の大きさに応じ下記式(I)または(II)により欠陥信号径から欠陥径を求める、金属材料中欠陥径の推定方法。
欠陥径が超音波ビームの径以下の場合、
da = α・di + β ・・・(I)
欠陥径が超音波ビームの径以上の場合、
da = di − γ ・・・(II)
ただし、da:欠陥径
di:欠陥信号径
α、β、γ:それぞれ定数 - 焦点型高周波探触子を備えた超音波探傷装置により、超音波探傷を行う、請求項1に記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
- 粗探傷を行うときの探傷走査ピッチを、精密探傷の場合よりも大きくかつ焦点位置における探触子からのビーム束の直径の1/2以下とし、精密探傷を行うときの探傷走査ピッチを粗探傷のときよりも小さくして、超音波探傷を行う請求項1または2に記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
- 粗探傷における探傷走査ピッチを30〜150μmとする、請求項1から3のいずれかに記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
- 精密探傷における探傷走査ピッチを5〜10μmとする、請求項1から4のいずれかに記載の金属材料中欠陥径の推定方法。
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