JP2002286702A - 鋼材のマクロ偏析評価方法 - Google Patents

鋼材のマクロ偏析評価方法

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JP2002286702A
JP2002286702A JP2001089240A JP2001089240A JP2002286702A JP 2002286702 A JP2002286702 A JP 2002286702A JP 2001089240 A JP2001089240 A JP 2001089240A JP 2001089240 A JP2001089240 A JP 2001089240A JP 2002286702 A JP2002286702 A JP 2002286702A
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Umihiro Sato
海広 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温塩酸法に代わるマクロ偏析評価法を提供す
るものであり、作業者の主観が入りにくく、鋼材の品質
を表しているというに足る代表的な評価を迅速に定める
ことのできる鋼材のマクロ評価方法を提供することを課
題とする。 【解決手段】 超音波探傷により検査対象鋼材のポロシ
ティーを検出し、ポロシティーの分布を示す超音波探傷
画像を得、当該超音波探傷画像に現れたポロシティ−の
分布状態に基づき、検査対象鋼材のマクロ偏析を評価す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材の評価方法に
関し、詳しくは、超音波探傷を利用した鋼材のマクロ偏
析評価に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材のマクロ偏析の評価、特に中心偏析
の評価は、通常、マクロ試験(温塩酸法)によってお
り、一般には、JIS G 0533、ASTM
E381の規格が知られている。ただし、前者は中心偏
析の等級づけはなされておらず、後者もIC材について
はC1〜C5の等級づけはなされているものの、CC材
については等級づけはなされていない。
【0003】しかし、鋼材の品質評価において、中心偏
析などの度合いを把握しておくことは重要であり、評点
をつけるのは適切な方策の1つである。
【0004】マクロ試験(温塩酸法)でマクロ評点を決
定する場合、試験をした一断面のみの情報によるので、
鋼材の部位によって評点のばらつきが大きく、鋼材全体
の評価を示すデータとしての代表性に問題がある場合が
ある。すなわち、従来から行われている目視観察による
マクロ試験によって、鋼材全体についてより代表性のあ
るデータを得るためには、同一鋼材の多くの断面を見て
評点を決めなければならない。しかし、多くの断面を観
察するのは、時間も労力もそれだけ多く要することにな
り、迅速な試験を行いにくい。
【0005】また、温塩酸法のように偏析を目視観察に
より識別するようにすると、作業者の主観が入る可能性
が高い。さらに、温塩酸法では、使用した塩酸について
環境上問題のないように後処理する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、温塩酸法に
代わるマクロ偏析評価法を提供するものであり、作業者
の主観が入りにくく、鋼材の品質を表しているというに
足る評価を迅速に定めることのできる鋼材のマクロ偏析
評価方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】鋼材の品質を表す代表性
のある評点を得る方法として、大体積評価法である超音
波探傷(UT)法が考えられる。ただし、超音波探傷法
によって直接的に得られるデータは、鋼材の欠陥に起因
する反射波強度であって、反射波強度自体はその鋼材の
偏析の状態を直接的に示すものではない。しかし、本発
明者は、超音波探傷によるポロシティー(空孔)の分布
画像を得たところ、ポロシティーの分布範囲、形態が中
心付近のマクロ偏析の分布範囲、形態と略同様の結果を
得ることができ、さらに、中心ポロシティー径を求めた
ところ、超音波探傷画像から求めた中心ポロシティー径
が、従来から行われていたマクロ腐食試験により求めら
れた中心偏析径と略同様の結果を得ることができること
を見出し本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明は次の通りである。 (1)超音波探傷により検査対象鋼材のポロシティーを
検出し、ポロシティーの分布を示す超音波探傷画像を
得、当該超音波探傷画像に現れたポロシティーの分布状
態に基づき、検査対象鋼材のマクロ偏析を評価する、鋼
材のマクロ偏析評価方法。 (2)超音波探傷画像に現れたポロシティーの分布状態
から、ポロシティーの分布径を求め、当該分布径に基づ
きマクロ偏析を評価する、前記(1)に記載のマクロ偏
析評価方法。 (3)超音波探傷の走査ピッチが異なる2種の超音波探
傷を行い、走査ピッチのより大きい粗探傷によって、ポ
ロシティーの分布範囲の概要を把握した後、粗探傷によ
って検出されたポロシティーの分布範囲について、粗探
傷よりも走査ピッチの小さい精密探傷を行うことを特徴
とする、前記(1)または(2)に記載のマクロ偏析評
価方法。 (4)超音波探傷が、焦点型探触子を用いる水浸超音波
探傷であることを特徴とする、前記(1)から(3)の
いずれかに記載のマクロ偏析評価方法。 (5)介在物に起因する反射波の位相が入射波の位相に
対して正転するように設計された焦点型探触子を用いた
超音波探傷によって得られる反射波信号のうち、式
(I)の要件を満たす信号をポロシティーに起因する反
射波信号として識別してポロシティーの分布を示す超音
波探傷画像を得ることを特徴とする、請求項1から3の
いずれかに記載のマクロ偏析評価方法。 正半波強度P/全波強度A≧0.5 ・・・・・(I) (6)検査対象鋼材からT断面が露出した試験片を採取
し、当該T断面に超音波を当てて超音波探傷を行うこと
を特徴とする、前記(1)から(5)のいずれかに記載
のマクロ偏析評価方法。 (7)中心偏析を評価することを特徴とする、前記
(6)に記載のマクロ偏析評価方法。 (8)検査対象鋼材からL断面が露出した試験片を採取
し、当該L断面に超音波を当てて超音波探傷を行うこと
を特徴とする、前記(1)から(5)のいずれかに記載
のマクロ偏析評価方法。
【0009】
【発明の実施の形態】上記のように、本発明者らは、鋼
材のポロシティーの分布状態に基づいてマクロ偏析を適
切に評価し得ることを見出した。本発明の評価法は、こ
の関係に基づき、超音波探傷法により鋼材のポロシティ
ーを超音波探傷画像として検出し、検出されたポロシテ
ィーについての情報からマクロ偏析の評価を行うもので
ある。
【0010】本発明では、超音波探傷により検査対象鋼
材のポロシティーを検出する。超音波探傷を行う超音波
探傷装置は、受信した反射波信号を電気的に処理して超
音波探傷画像として出力できる出力装置が設けられてい
れば、非破壊検査等で用いられる一般的なものを用いる
ことができる。超音波探傷装置の探触子としては、焦点
型探触子などが好適である。また、本発明では、水浸式
のパルス反射法などが好適である(概要の模式図を図1
に示す)。これらの好適な態様は、データのばらつきを
抑制する点で好適である。水浸式とは、水中に被試験体
を浸して被試験体と探触子の間を間隔を開けて走査する
探傷方法である。超音波探傷を採用することにより、大
面積あるいは多数の試験片について検査可能であり、信
頼性の高い評価を得ることが可能となる。
【0011】超音波探傷によって得られた受信信号であ
る反射波信号のうちから固形の介在物ではなく、ポロシ
ティーに起因する反射波信号であることを識別するに
は、適切に閾値を設定し、その閾値以上の反射波をポロ
シティーに起因する反射波として抽出する。ポロシティ
ーに起因する反射波の強度は、介在物に起因する反射波
の強度より大きい。そのため、ポロシティーに起因する
反射波を識別しやすいように超音波探傷装置のゲインま
たは感度を調整し、適切な閾値を設定することは容易に
行うことができる。
【0012】また、介在物に起因する反射波については
入射波の位相に対し反射波の位相が正転するように設計
された焦点型探触子を用いる場合には、より正確に介在
物とポロシティーとを識別するため、例えば、正半波強
度Pを全波強度Aで除した数値について所定の閾値を定
め、その閾値を超える場合にポロシティーに起因する反
射波信号であると判断する方法が挙げられる。より具体
的には、閾値として0.5という数値が例示される。す
なわち、下記式(I)を満たす反射波信号がポロシティ
ーに起因するものとして検出する実施形態が挙げられ
る。
【0013】 正半波強度P/全波強度A≧0.5 ・・・・・(I) 正半波強度とは、基準線より上にでている反射波形の強
度である。全波強度とは、正半波強度と負半波強度との
和である。なお、負半波強度とは、基準線より下にでて
いる反射波形の強度である。
【0014】超音波探傷によって得られる反射波信号の
うちからポロシティーを識別し、画像化処理を施すこと
により、被検対象鋼材のポロシティー分布が表された超
音波探傷画像が得られる(ポロシティーの識別と画像化
処理の順序は逆でもよい)。このポロシティーの分布状
態からマクロ偏析の状態を評価することができる。評価
は、分布状態が示された探傷画像から、ポロシティーの
数、分布範囲、分布形状(一点集中型、放射状型、環状
点在型などの形状)などの種々の情報を読み取ることに
より行う。
【0015】1つの好ましい形態としては、分布範囲の
径(すなわち「分布径」)を指標とする方法が挙げられ
る。より具体的には、ポロシティーの分布範囲の最大径
を求め、最大径の大きさにより偏析の状態の指標とする
例が挙げられる。さらに、最大径だけでなく最大径に対
して直行する方向の最大径も併せて求めて、偏析の指標
としてもよい。分布径は、マクロ偏析の範囲を示す指標
として好適である。
【0016】また、本発明の方法は、マクロ偏析のうち
でも、鋼材の中心偏析を評価するのに適している。例え
ば図2に例示されるように、T断面で得られる中心ポロ
シティー径と、マクロ腐食試験による中心偏析径とに
は、極めて高い相関が認められる。したがって、本発明
の具体的な形態としては、ポロシティーの分布状態を示
す超音波探傷画像から中心ポロシティーを抽出し、この
中心ポロシティーの径を求めることにより、中心偏析の
径を求める形態も、本発明のマクロ偏析評価として好適
である。なお、中心ポロシティーとは、検査対象鋼材の
中心または最も中心に近い位置にある、個々のポロシテ
ィーが密集しているポロシティー群のことをいう。通
常、鋼材の超音波探傷に用いられる探触子のビーム径
は、個々のポロシティーの径よりも大きい場合が多いた
め、中心およびその近傍において(偏析内に)密集した
ポロシティー群は、超音波探傷画像上では個々のポロシ
ティーがくっついてひとまとまりに見えることが多い。
本発明では、このように検査対象鋼材の中心部分に現れ
る、ひとまとまりの像を中心ポロシティーとして抽出
し、その径を中心ポロシティー径として測定する。
【0017】図3にT断面の超音波探傷画像の一例を示
す。図3に示されるように、中心部にはひとまとまりの
点の集合が現れており、そのひとまとまりの集合の周り
にさらに点が散在している。中心部にあるひとまとまり
の点の集合部が中心ポロシティーである。散在している
部分を含めた範囲がポロシティーの分布範囲である。
【0018】簡易的には、中心ポロシティー径をそのま
ま中心偏析径としてマクロ偏析の評価とすることも可能
であるが、より正確には、検査対象鋼材の種類などに応
じて、超音波探傷により検出した中心ポロシティー径
と、マクロ腐食試験などの方法で求めた既知のマクロ偏
析の径との関係を示す検量線を作成し、この検量線によ
って、中心偏析径を求めることが好ましい。
【0019】また、本発明では、超音波探傷について粗
探傷と精密探傷という走査ピッチの異なる2種を行うこ
とが、好ましい形態として例示される。探触子の走査ピ
ッチが大きい方が粗探傷であり、粗探傷より走査ピッチ
が小さい探傷が精密探傷である。すなわち、粗探傷によ
ってポロシティーなどの欠陥の分布範囲の概要を把握し
た後、粗探傷によって検出された欠陥の分布範囲につい
て精密探傷を行う。このように粗探傷と精密探傷とを行
うことにより、広い範囲について探傷を行った上で、検
出されたポロシティーについて詳細な探傷を行うことが
でき、検査の迅速性と精度とを適切に調節することがで
きる。
【0020】粗探傷では、所定の探傷走査ピッチで、検
査試料中のポロシティーや介在物などの欠陥の位置を検
出する。粗探傷における探傷走査ピッチは、検査試料の
大きさ、予想される欠陥の大きさなどから任意に設定す
ることができるが、少なくとも精密探傷の場合よりも大
きく設定し、好ましくは探触子から発せられる超音波ビ
ームの束の焦点位置における直径の1/2以下とする。
ビーム束の直径の1/2以下とすれば、粗探傷であって
も、相対反射波強度が少なくとも約70%以上の領域で
欠陥の検出を行うことが可能となる。相対反射波強度が
70%ということは、本来その欠陥から得られる最大反
射波強度100%に対し、ビームのずれにより70%の
強度の反射波しか得られないことを意味する。粗探傷に
おける好ましい探傷走査ピッチは、より具体的には、高
周波焦点型探触子の場合30〜150μmであり、特に
好ましくは30〜50μmに設定する。
【0021】このように粗探傷を行って、検査試料中に
含まれる欠陥の位置などが検出され、欠陥の分布範囲、
分布形状などを示す画像が得られる。粗探傷を行うこと
により、迅速に大体積の検査試料について検出対象であ
る欠陥の分布の概略を知ることができる。粗探傷を行っ
た時点で上記に示した式(I)などの基準に基づき欠陥
のうちからポロシティーに該当するものを識別してもよ
いが、精度の高さをより重視する場合には、評価を行う
ためには粗探傷を行った後、検出された各欠陥について
精密探傷を行うほうが、ポロシティーをより正確に識別
するとともに、各ポロシティーの大きさなどについての
より正確な情報を検出することができる。
【0022】精密探傷は、探傷走査ピッチを粗探傷の場
合よりも狭く設定して行い、好ましくは探傷走査ピッチ
を超音波ビームの半径方向(水平方向)の減衰の影響を
最小限になるように設定する。減衰の影響が最小限にな
るような探傷走査ピッチは、検出した1つの欠陥の真上
(反射波強度が最大となる位置を「真上」とし、この位
置を原点とする)に探触子を移動し(真上の位置が原
点、反射波強度100%)、この探触子を前後左右に動
かして求めることができる。どの程度を最小限とするか
は、評価に求められる精度などによって適宜定めてよ
い。検査対象となる金属材料や探触子の種類にもよる
が、具体的には、高周波焦点型探触子の場合、精密探傷
における探傷走査ピッチとして好ましくは、5〜10μ
mである。
【0023】精密探傷を行った後に、上記したようにポ
ロシティーの分布範囲、分布形状、分布範囲の径、中心
ポロシティー径などの分布状態を求めて、これらをマク
ロ偏析の評価の指標とすることができる。
【0024】また、直接、超音波探傷の被検体となる鋼
材は、例えば、検査対象鋼材から適当なサイズの試験片
として切り出したものを用いることができる。超音波の
当たる面については、平面研磨を施しておくことが、超
音波の伝達損失、表面ノイズ低減のために好ましい。
【0025】また、超音波探傷にかける部分として、T
断面、L断面などが好適である。L断面とは、検査対象
鋼材の長手方向断面であり、L断面について超音波探傷
にかけると、長手方向にポロシティーの分布状況が把握
でき、長手方向に関して代表性のあるデータが得られ
る。T断面とは、長手方向に対して垂直な断面であり、
T断面について超音波探傷にかけると、中心偏析径(形
状)、ポロシティーの分布形態(例えば、一点集中型な
ど)の把握がし易い。
【0026】なお、上記の他、超音波探傷条件は、一般
に金属類に適用し得る超音波探傷の条件に従って行えば
よく、また鋼材の種類、求める偏析の種類などにより適
宜調整してよい。
【0027】中心偏析径、偏析の分布範囲などは、所定
の評価値に換算してマクロ偏析の評価とすることも、マ
クロ偏析の評価をわかりやすくするためには好適であ
る。例えば、所定の範囲ごとにランクA、B、C・・
・、あるいは優、良、可、不可などのようにクラス分け
を行って評価してもよい。このように評点化する場合に
は、検査対象鋼材に求められる精度、品質などの条件に
応じて適宜、そのランク付けを変更しておこうことが望
ましい。
【0028】本発明のマクロ偏析評価方法は、鋼材に対
して好適に適用される。好適なものの具体例としては、
CC−PSW材(CC;連続鋳造、PSW;3ロールプ
ラネタリーミル)などが挙げられる。一般に、偏析部は
その周囲とは熱間加工性に差があるので、PSW時には
剪断応力が働くことでポロシティーの生成起点になるた
め、CC−PSW材ではポロシティーが生じやすい。
【0029】本発明の評価方法では、超音波探傷により
深さ方向にも測定範囲がとれる。したがって、大体積か
らの三次元的情報であるので、温塩酸法によるマクロ試
験に比べて、検査対象となる鋼材の品質をより代表する
評点をつけることが可能であり、評点のばらつきも少な
くすることができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の評価方法について実施例を示
し、より詳細に説明する。なお、本発明の評価方法は以
下の実施例に限定されるものではない。
【0031】<実施例1> (1-1)検査試料の作製 SUJ2φ167mmのビレットからエメリー切断によ
り、T断面が露出するように円盤状に切り出し、バリを
落として試験片を得た。
【0032】(1-2)超音波探傷の条件設定 超音波探傷には、焦点型高周波探触子(周波数50MH
z)を備えた超音波探傷装置を用い、測定面が水平にな
るように試験片を設置して、水浸式のパルス反射法によ
る超音波探傷を行った。焦点位置における超音波のビー
ム径は約100μmである。また、感度19dB、幾何
焦点:表面下1.5mm、ゲート;表面下1〜2mmの
ように設定した。
【0033】(1-3)超音波探傷(走査方法など) 上記(1-1)のようにして得た試験片のT断面について
探触子を走査した。すなわち、試験片のT断面に超音波
ビームを入射させて超音波探傷を行った。
【0034】まず50μmピッチで粗探傷を行い、ポロ
シティーの分布範囲の概略を割り出した。得られた超音
波探傷像を図4に示す。ポロシティーの分布範囲がおよ
そ試験片の中心部20×20mm四方の範囲にあること
がわかったので、この範囲について10μmピッチで精
密探傷を行った。なお、図4中、下部に散在する点はノ
イズである。
【0035】精密探傷を行い、中心ポロシティーの像を
得て、この像から中心ポロシティー径を求めたところ
6.5mmであった(図5A欄上段)。
【0036】<マクロ試験(温塩酸法)との対応の確認
>上記実施例1で超音波探傷による検出を行った試験片
について、JIS G0533に従った温塩酸法による
中心偏析の分析を行った。温塩酸法によって現れた中心
偏析の様子を実体写真に撮った結果を図5A欄下段に示
す。
【0037】複数の試験片について、実施例1の方法で
中心ポロシティー径を求めるとともに、温塩酸法によっ
て中心偏析の最大径を求めて、それぞれ対応させてグラ
フ化した(図2)。図2に示されるように、この被検査
対象鋼材では、超音波探傷による中心ポロシティーの径
は、温塩酸法により求められる中心偏析径と略一致する
ことが明らかになった。したがって、実施例1で得られ
た中心ポロシティー径に基づき、中心偏析の評価が可能
であることが確認された。
【0038】なお、図5中B欄の上下段に示されるポロ
シティー像および偏析像は、A欄にしめされるものとは
異なる試験片についての中心ポロシティー像および温塩
酸法の結果を示すものである。B欄に示されるものは、
A欄に示されるものよりも、ポロシティー径および偏析
の程度は小さい。
【0039】<実施例2> (2-1)検査試料の作製 SAE4130φ167mmのビレットから、ビレット
の中心を含み、かつL断面が露出するように、厚さ60
mm、長さ約100mmの切断片を切り出し、焼きならし
を実施した後、超音波を当てる表面を平面研磨して、試
験片を得た。
【0040】(2-2)超音波探傷の条件設定 焦点型高周波探触子(周波数15MHz)を備えた超音波
探傷装置を用い、水浸式のパルス反射法による超音波探
傷を行った。焦点位置における超音波のビーム径は約1
mmである。また、感度26dB、幾何焦点:表面下3
0mm、ゲート;表面下15〜45mmのように設定し
た。
【0041】(2-3)超音波探傷(操作方法など) L断面について、200μmピッチで探触子を走査させ
て、ポロシティーの分布が表された超音波探傷画像を得
た(図6)。図6中、は試験片の平面部すなわち検査
対象鋼材のL断面が露出した面についての超音波探傷画
像であり、は試験片の側面部(検査対象鋼材のT断面
の一部にあたる)、は正面部の超音波探傷画像であ
る。図6の画像から、ポロシティー分布範囲の最大径
を測定したところポロシティーの分布範囲の最大径は1
5mmであることがわかった。
【0042】したがって、マクロ偏析も同様の形状で分
布し、その最大径は15mmであると評価された。
【0043】
【発明の効果】本発明の評価法によれば、迅速で、より
客観的なマクロ偏析の評価を行うことができる。また、
本発明では、塩酸を使用する必要がないので、評価作業
に伴って環境上の問題を生じさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波探傷の様子を模式的に示す図である。
【図2】マクロ腐食試験(温塩酸法)による中心偏析径
と、超音波探傷法による中心ポロシティー径との対応を
示す図である。
【図3】T断面のポロシティー分布を示した図である。
【図4】T断面のポロシティー分布(実施例1)を示し
た図である。
【図5】超音波探傷によるポロシティーの分布を示す超
音波探傷映像と、マクロ腐食試験(温塩酸法)により露
出した中心偏析の状態を写した写真を示す図である。
【図6】実施例2において、L断面について探触子を走
査させて得られたポロシティー分布を示した図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波探傷により検査対象鋼材のポロシ
    ティーを検出し、ポロシティーの分布を示す超音波探傷
    画像を得、当該超音波探傷画像に現れたポロシティーの
    分布状態に基づき、検査対象鋼材のマクロ偏析を評価す
    る、鋼材のマクロ偏析評価方法。
  2. 【請求項2】 超音波探傷画像に現れたポロシティーの
    分布状態から、ポロシティーの分布径を求め、当該分布
    径に基づきマクロ偏析を評価する、請求項1に記載のマ
    クロ偏析評価方法。
  3. 【請求項3】 超音波探傷の走査ピッチが異なる2種の
    超音波探傷を行い、走査ピッチのより大きい粗探傷によ
    って、ポロシティーの分布範囲の概要を把握した後、粗
    探傷によって検出されたポロシティーの分布範囲につい
    て、粗探傷よりも走査ピッチの小さい精密探傷を行うこ
    とを特徴とする、請求項1または2に記載のマクロ偏析
    評価方法。
  4. 【請求項4】 超音波探傷が、焦点型探触子を用いる水
    浸超音波探傷であることを特徴とする、請求項1から3
    のいずれかに記載のマクロ偏析評価方法。
  5. 【請求項5】 介在物に起因する反射波の位相が入射波
    の位相に対して正転するように設計された焦点型探触子
    を用いた超音波探傷によって得られる反射波信号のう
    ち、式(I)の要件を満たす信号をポロシティーに起因
    する反射波信号として識別してポロシティーの分布を示
    す超音波探傷画像を得ることを特徴とする、請求項1か
    ら3のいずれかに記載のマクロ偏析評価方法。 正半波強度P/全波強度A≧0.5 ・・・・・(I)
  6. 【請求項6】 検査対象鋼材からT断面が露出した試験
    片を採取し、当該T断面に超音波を当てて超音波探傷を
    行うことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記
    載のマクロ偏析評価方法。
  7. 【請求項7】 中心偏析を評価することを特徴とする、
    請求項6に記載のマクロ偏析評価方法。
  8. 【請求項8】 検査対象鋼材からL断面が露出した試験
    片を採取し、当該L断面に超音波を当てて超音波探傷を
    行うことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記
    載のマクロ偏析評価方法。
JP2001089240A 2001-03-27 2001-03-27 鋼材のマクロ偏析評価方法 Pending JP2002286702A (ja)

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