JP2001240937A - 高清浄度鋼 - Google Patents
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Abstract
鋼を提供することを課題とする。 【解決手段】 所定の探傷走査ピッチで検査試料中の非
金属介在物の少なくとも位置および数を検出する粗超音
波探傷を行った後、前記粗探傷よりも探傷走査ピッチを
狭くして前記粗探傷により検出された介在物の粒径を検
出する精密超音波探傷を行い、介在物の粒径が20μm
以上の介在物の個数が、超音波探傷による検査体積10
000mm3のとき10個以下であることが確認された
高清浄度鋼とする。
Description
し、詳しくは、清浄度の信頼性が高い鋼材に関する。
が大幅に改善され、鋼材中の20ミクロンを越える中型
〜大型の非金属介在物(本明細書中では、中型介在物を
含めて単に「大型介在物」という。)、主としてCaO-Al
2O3-MgO系などは一段と少なくなり、かつ、大きさも小
さくなっている(本明細書では「非金属介在物」のこと
を単に「介在物」という場合がある)。このような中
で、偶発的に、あるいはきわめて低い確率で発生する中
型〜大型介在物の検出は、非常に困難になっている。
gO・Al2O3、CaO+MgO・Al2O3など)および窒化物系介在
物などの非金属介在物は、例えば軸受鋼や機械構造用炭
素鋼などの鋼材において疲労破壊の原因となりやすく、
依然として問題となっている。
浄度を見る検査方法としては、被分析対象金属材料から
試験片を採取して光学顕微鏡により試験片の表面を検査
する等の方法が一般的である。鋼材を例に取ると、従来
標準的な鋼中の介在物評価方法として採用されてきた
「JIS G 0555 鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」、
「AMTS E45 Standard Practice for Determining the I
nclusion Content of Steel」、「DIN50602」、「ISO49
67」などの顕微鏡による方法は、検査試料の被検面積
が、例えば100〜200mm2/個と小さいために、
大型介在物の検出精度が低いという問題点があった。こ
れまで大きな体積を検査することが要望されてきたが、
適切な方法はなかった。
解により介在物を抽出しその介在物の粒径を顕微鏡で評
価する方法やEB溶解法により金属材料を溶解し浮上し
た介在物を顕微鏡により観察する方法が提案されている
(特開平9−125199号、特開平9−125200
号)。しかし、酸溶解法は介在物が酸に溶解したり、介
在物まで溶解して介在物が小径化する場合がある。さら
に、酸溶解に時間がかかるなど、処理の迅速性に劣り、
製品の量産工程に対応することも困難であった。また、
EB溶解法は、検査試料となる数g程度の小片を溶解
し、浮上した介在物を顕微鏡により観察する方法である
が、介在物が融解、凝集したりする場合があり、これに
対する対応策が見いだされていない。
鋼材については、より信頼性の高い清浄度評価が付され
たものであることが望まれていた。
あることの信頼性が高い高清浄度鋼を提供することを課
題とする。
めに、本発明では以下の手段を採用した。 (1)所定の探傷走査ピッチで検査試料中の非金属介在
物の少なくとも位置および数を検出する粗超音波探傷を
行った後、前記粗超音波探傷よりも探傷走査ピッチを狭
くして前記粗超音波探傷により検出された介在物の粒径
を検出する精密超音波探傷を行い、粒径が20μm以上
の塊状または粒状酸化物系介在物の個数が、検査対象で
ある鋼10000mm3あたりに10個以下であること
が確認された高清浄度鋼。
傷」のことを単に「粗探傷」、「精密超音波探傷」のこ
とを「精密探傷」という。 (2)酸素含有量がO≦5ppm以下である、前記
(1)に記載の高清浄度鋼。 (3)不純物であるP、S、Tiの含有量がP≦0.0
20%、S≦0.008%、Ti≦0.004%であ
る、前記(2)に記載の高清浄度鋼。 (4)高清浄度鋼が高炭素クロム軸受用鋼であることを
特徴とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載の
高清浄度鋼。
精密探傷の2通りの超音波探傷を行って、鋼材中に含ま
れる介在物を検出し、超音波探傷により得られたデータ
に基づいて被分析対象の金属材料の清浄度を評価された
結果、粒径(本明細書では塊状または粒状の介在物の粒
径を単に「介在物径」という場合がある)が20μm以
上の介在物の個数が、検査対象の鋼10000mm3あ
たりに10個以下であることが確認された高清浄度鋼で
ある。粗探傷と精密探傷の2通りの超音波探傷により介
在物についての清浄度が信頼性の高い鋼が提供される。
本発明の高清浄度鋼は、粗探傷と精密探傷の2通りの超
音波探傷により、粒径が20μm以上の介在物の個数
が、検査対象の鋼10000mm3あたりに10個以下
であることが確認されたものを製品として選抜すること
により得られる。また、より好ましくは介在物の個数は
検査対象の鋼10000mm3あたりに5個以下であ
る。また、本発明の高清浄度鋼としては、上記のような
介在物についての清浄度が明らかにされるとともに、酸
素含有量が5ppm以下である高清浄度鋼が好ましい形
態として挙げられる。また、さらに高清浄度なものとし
て、不純物であるP、S、Tiの含有量がP≦0.02
0%、S≦0.008%、Ti≦0.004%である、
高清浄度鋼などが好ましい形態として挙げられる。
度の精度が高く、苛酷な条件下でも寿命が長く、また残
存寿命にばらつきが少ない高清浄度鋼である。また、こ
のような高清浄度鋼は、軸受用鋼として好適であり、特
に高炭素クロム軸受用鋼として好適である。
る。
数を検出するために行われ、続いて粗探傷により検出さ
れた介在物について精密探傷が行われ、精密探傷によっ
て主に介在物の大きさを検出(測定)される。
り被検体となる鋼材の検査試料中の介在物を検出するも
のである。超音波探傷では、探触子から超音波(以下
「ビーム」ということがある)が発せられ、対象物に当
たり、その反射波を検出して、その反射波強度および反
射波形情報(グラフとして出力された波形、正半波強
度、負半波強度)に基づいて所望の情報を得る。探触子
による走査は、検査試料の所定の間隔をおいた複数箇所
で超音波の発射、反射波の受信を行う(この間隔のこと
を「探傷走査ピッチ」または単に「走査ピッチ」とい
う)。
ピッチを精密探傷に比較して広くとる粗探傷と、粗探傷
よりも探傷走査ピッチを狭くする精密探傷とが行われ
る。
試料中の介在物の少なくとも位置および数が検出され
る。粗探傷における探傷走査ピッチは、検査試料の大き
さ、予想される非金属介在物の大きさなどから任意に設
定することができるが、少なくとも精密探傷の場合より
も大きく設定し、好ましくは焦点位置における探触子か
らのビーム束の直径の1/2以下とする。ビーム束の直
径の1/2以下とすれば、粗探傷であっても、反射波強
度が約70%以上の領域で介在物の検出を行うことがで
きる。例えば、反射波強度が70%ということは、本来
その介在物から得られる最大反射波強度100%に対
し、ビームのずれにより70%の強度の反射波しか得ら
れないことを意味する。粗探傷における好ましい探傷走
査ピッチは、より具体的には30〜150μmであり、
特に好ましくは30〜50μmに設定する。
含まれる介在物の位置、数が検出される。粗探傷を行う
ことにより、迅速に大体積の検査試料について検出対象
である介在物の位置、数を特定することができる。な
お、粗探傷の段階で、検査試料中の介在物径のおおまか
な値を測定しておいてもよい。
きさを精度よく検出するために精密探傷が行われる。精
密探傷は、探傷走査ピッチを粗探傷の場合よりも狭く設
定して行い、好ましくは探傷走査ピッチを超音波ビーム
の半径方向(水平方向)の減衰の影響を最小になるよう
に設定する。減衰の影響が最小になるような探傷走査ピ
ッチは、検出した1つの介在物の真上(反射波強度が最
大となる位置を「真上」とし、この位置を原点とする)
に探触子を移動し(真上の位置が原点、反射波強度10
0%)、この探触子を前後左右に動かして求めことがで
きる。検査対象となる高清浄度鋼や探触子の種類にもよ
るが、具体的には、精密探傷における探傷走査ピッチと
して好ましくは、5〜10μmである。
の反射波強度は、その介在物から受信し得る最大の反射
波強度であることが精度の向上の点で望ましい。しか
し、探傷走査ピッチが大きすぎると、介在物に超音波ビ
ームが当たっても、本来その介在物から得られるべき最
大の反射波強度よりも小さな値しか得られない場合があ
る。探触子から発せられる超音波ビームはビームの束で
あるので幅をもっているが、ビームの中心部と外周部と
では強度に差がある。また、ビーム束が介在物の中心に
当たった場合と、周辺部に当たった場合とでは反射波強
度に差が生じる。本来得られるべき最大の反射波強度
は、超音波ビーム束の中心が介在物の真上(介在物の中
心)に当たったときに得られると考えられ、この最大値
を的確に検出することが超音波探傷により精度よく介在
物の大きさを検出することにつながる。すなわち、あら
かじめ粗探傷により検出された介在物について探傷ピッ
チを狭めた精密探傷を行うことにより、精度よく介在物
の大きさの検出を行うことができる。
の位置の違いにより、反射波強度がどのように異なるか
を示したものである。図6について見ると、介在物から
の最大反射波強度(反射波強度100%)の位置「0.
0」から探触子の中心が15μmずれると反射波強度が
6%減衰してしまうことがわかる。
らの受信し得る最大の反射波強度が得られることが望ま
しいことは上記でも説明したとおりである。超音波ビー
ムの焦点深度が介在物の深度からずれている場合にも、
反射波強度がその介在物径から本来得られるべき最大値
より低下してしまう。したがって、精密探傷で得られた
反射波強度は、深度補正(減衰補正)を行うことが好ま
しい。図4に、軸方向の減衰補正曲線(深度補正曲線)
の例を示す。深度補正は次の深度補正式(1)に従って
行うことができる。
数) 以上の深度補正は距離振幅補償(Distance Amplitude C
orrection)に準じて行うことができる。
物以外に反射波を生じさせる原因となるもののことをい
う。
径(その介在物の最大径、本明細書では「介在物径」と
いうことがある)として表すことができる。具体的に
は、例えば、あらかじめ介在物の最大径と反射波強度と
の検量線を作成しておいて、超音波探傷により得られた
反射波強度から介在物の最大径を算出することができ
る。検量線は、例えば、超音波探傷を行って介在物から
の反射波強度を求めておき、この超音波探傷を行った検
査試料の探傷領域部を切り出し、これを酸溶解して介在
物を取り出しSEM観察により介在物径を求めることに
より作成することができる。
表される。検量線の具体例を図5に示す。図5に示され
る直線は式(2-1)として表される。
うに粗探傷において少なくとも検査試料中の介在物の位
置、数を検出されるが、より好ましい実施形態として、
さらに詳細な反射波形情報を粗探傷により検出し、得ら
れた反射波の受信信号のうちから異常波形(異常信号)
を生じている対象は介在物からの反射波ではないものと
して精密探傷を行う対象から除外しておく形態が挙げら
れる。反射波形情報とは、反射波を受信して得られる情
報のことであり、具体的には反射波強度、反射波形情報
(グラフとして出力された波形、正半波強度、負半波強
度など)などの情報である。正半波強度とは、基準線よ
り上にでている反射波形の強度であり、負半波強度と
は、基準線より下にでている反射波形の強度である。
あり、このような空洞からも反射波が生じる。また、外
部から飛び込み乱反射波を反射波信号として探触子が受
信してしまう場合もある。このような検出目的としてい
る介在物以外のものから生じる反射波信号を除外するこ
とにより、粗探傷の後に続くの精密探傷で余計な対象物
について検出を行わずにすむので、検出操作をより迅速
に行うことができる。
より空洞などによる異常信号か、検出目的の介在物から
の信号かを区別することができる。波形そのものをグラ
フ化して検出しその形状をみて識別することができ、ま
た、波形を知る指標となる正半波強度または負半波強度
を検出して、数値として判別することもできる。
の状態、あるいはその鋼の特性などにより反射波強度に
無視できない影響が生じる場合がある。例えば鋼は熱処
理の状態により影響がでやすい。そこで、超音波探傷装
置が受信する反射波を反射波強度として変換する際の感
度をあらかじめ校正しておくことが好ましい。
(「標準試験片S」と略称する)に対して超音波探傷を
行い、探触子を備える超音波探傷装置の基準感度を決定
する一次感度校正と、一次感度校正の後、感度校正量を
求めるための標準試験片Aからの反射波強度と、前記標
準試験片Aと同形状の試験片Bからの反射波強度とから
感度校正量を求めて、感度校正を行う二次感度校正と、
を含む感度校正を前記粗探傷を行う前にあらかじめ行う
ことが好ましい。
い、超音波探傷装置の基準感度を設定する。標準試験片
Sとしては、例えば、FBH(Flat Bottom Hole,1/16
inch(0.4mm))を有する試験片が挙げられ、具体的にはA
STM E127に規定される標準試験片B−020などが例示
される。一次補正は、標準試験片Sからの反射波強度を
装置に記憶させて行うことができる。
う。二次感度校正では、標準試験片Aと被検対象金属材
料から標準試験片Aと同形状の試験片(試験片B)を用
意し、試験片Bの反射波強度を標準試験片Aに基づいて
感度校正量Yを求めて校正する。
または板底面がある試験片であり、図8にその例を示
す。標準試験片Aに用いられる材料としては、感度が高
いことから焼入焼戻処理を施した鋼が好適である。
は板底面を使用して(図8)、標準試験片Aでの測定感
度と等価な、試験片Bでの測定感度を決定する。感度校
正量は標準試験片Aでの反射波強度と試験片Bでの反射
波強度との差として求められる。あるいは、次の感度校
正式(3)により感度校正量Yを決定する。
または底面波強度 Y2:標準試験片Aにおける、人工欠陥からの反射波強
度、または底面波強度 Y1として人工欠陥からの反射波強度を用いる場合には
Y2も同一感度での人工欠陥からの反射波強度を用い、
Y1として底面波強度を用いる場合にはY2も同一感度で
の底面波強度を用いる。
%とした設定した場合の、熱処理等の異なる4種の試験
片Bに対する反射波強度の低下を示したのが図9であ
る。図9は試験片としてSUJ2を用い、4種の異なる処理
方法を施した試験片ごとに走査を行った結果を示したも
のである。「QT」は焼入焼戻処理したもの、「N」は焼
きならし処理したもの、「A」焼きなまし処理したも
の、「LA」は鍛伸処理したままのものである。図9中に
示されるB1エコーとは、探触子から発射された超音波
が欠陥または板底面にあたって生じる最初のエコーのこ
とである。図9に示されるように、鍛伸しただけの試験
片ではおよそ55〜65%程度にまで低下することが認
められる。したがって、これらの反射波強度を、標準試
験片Aと等価となるように、すなわち100%として検
出されるように校正することが望ましい。この場合、感
度校正量は、標準試験片Aでの反射波強度と試験片Bで
の反射波強度との差をデシベル(dB)に換算した量と
して求めることができる。図9から明らかなように、熱
処理の違いにより、標準試験片Aとの反射波強度の差は
異なる傾向にあるので、上記の一次・二次感度校正は、
熱処理などの処理の違う材料ごとに行われることが好ま
しい。
を行うことにより、被検対象金属材料の材料特性による
測定精度の低下を抑制することができる。
例えば試験片を切り出して作製したものなどを用いるこ
とができる。検査試料の数、大きさは、超音波探傷によ
る走査を行うべき被検金属材料の体積、超音波探傷装置
などから適宜定めることができる。好ましい形態として
は次のようなものが例示される。超音波探傷を行う上で
は検査試料の大きさは、走査面積が10〜10000m
m2程度、検査深さが0.5〜50mm程度とすること
ができる程度の大きさに設定することが好ましい。ま
た、検査試料の数は、データの統計的処理の観点からす
ると、上記の大きさの検査試料を30個(または30箇
所)以上用いることが好ましい。検査試料の数(または
箇所)には特に上限があるわけではないが、処理労力の
煩雑さや統計的な精度向上などの観点からすると、60
個(または箇所)程度用いれば通常十分である。
鋼10000mm3当たりの所定の介在物の個数が特定
される。粗探傷にかけられる検査試料の体積である検査
体積を10000mm3とすることにより被検対象とな
る鋼10000mm3当たりの介在物の個数を求めるこ
とができるが、検査体積をより大きく設定して体積換算
することにより10000mm3当たりの介在物の数を
求めてもよい。
ロの空洞が無数にあり、超音波探傷により走査すると無
数の乱反射、ノイズが発生し検査が困難となる場合があ
る。そこで、検査試料をあらかじめ圧延しておくことに
より空洞部分が圧着され、乱反射などによる弊害を抑制
することができる。
されるが、超音波探傷を行う装置、探触子は様々な種類
が既に市販されており、本発明ではこれらのものを用い
ることができる。好ましい探触子としては、焦点型高周
波探触子などが挙げられる。フラット型探触子の検出能
は1/2波長といわれているが、焦点型探触子では1/
4波長であり、焦点型探触子は本発明の清浄度評価方法
が好適に用いられる10〜200μm程度の介在物の検
出により好適である。探触子周波数は20〜125MH
z程度が好ましい。
概略を例示する。図2に示される超音波探傷装置ではマ
イクロプロセッサを備えたPCが備えられており、マイ
クロプロセッサには図1に示すフローチャートに沿った
演算処理を行うプログラムが組み込まれる。このような
PCを超音波探傷装置に設けられることにより、大量の
データ処理を迅速に行うことができる。
介在物の粒径が20μm以上の介在物の個数が、検査対
象の鋼10000mm3あたりに10個以下(より好ま
しくは5個以下)であることが確認されたものである。
また、さらに総合的な清浄度評価により性質が特定され
ていてもよい。例えば総合的な清浄度の評価は、前記粗
探傷および精密探傷の結果得られた介在物についてのデ
ータに基づいて行うことができる。粗探傷、精密探傷に
より得られるデータとは、介在物の数、位置、大きさな
どであり、さらにこれらのデータに基いて粒度分布をヒ
ストグラムとして表すこともできる。また、得られた実
測データから例えば極値統計法などの統計的手法を用い
て、被検対象の高清浄度鋼全体中の最大介在物径を推定
したデータが確認されたものであってもよい。
じめ所定性状を備えている高清浄度鋼についてによりデ
ータを得ておいて、このデータと別の検査試料のデータ
を比較したり、また望まれる性状データと検査試料のデ
ータとを比較することにより行うことができる。
のとして、気泡を抑えたり、介在物のもととなる酸素の
含有量を下げるため脱酸することを意図してアルミを添
加したアルミキルド鋼などの鋼種、合金が挙げられ、さ
らに具体的にはAl≧0.005wt%含有の高清浄度
アルミキルド鋼なども挙げることができる。
例を示しより詳細に説明する。ただし、本発明の清浄度
評価方法は以下の実施例に限定されるものではない。
した高炭素クロム軸受鋼の丸棒状鋼片を作製した。この
丸棒状鋼片を角65に鍛伸し、T断面試験片を切り出し
た。各試験片をフライス加工して厚さ10mmに加工
し、さらに平面研磨して検査試料とした。
には、焦点型高周波探触子(50MHz)を備えた超音波
探傷装置を用いた。焦点位置は1.5mm、ゲートは
1.0〜2.0mmに設定した。
B−020標準試験片の、φ0.4mm、深さ0.76
mmの平底穴(φ0.4FBH)について超音波探傷を
行い位置を特定し、そのφ0.4FBHに超音波ビーム
の焦点を合わせたときに得られる最大反射波強度を10
0%となるように超音波探傷装置を設定した。このよう
に設定することにより反射波強度のリニアー性を最大に
することができると考えられる。
金属材料から標準試験片と同形状の試験片(試験片B)
を用意し、焦点を欠陥(試験片の底面)に合わせた状態
で、試験片Bの欠陥(試験片の底面)の反射波強度を標
準試験片Aの欠陥(試験片の底面)の反射波強度に一致
させる感度校正量Yを求め、超音波探傷装置に設定し
た。感度校正量Yは、焦点深度にある板底面を使用し
て、標準試験片Aでの反射波の測定感度と、試験片Bで
の測定感度とが同じになるようにする校正量として求め
られる。具体的には、高炭素クロム軸受鋼の焼入焼戻材
(ベース)と鍛伸角材(被検対象金属材料)とから厚さ
1.5mmの板を作製底面に焦点を合わせて、鍛伸丸材
での底面波強度が焼入焼戻材での底面強度と等しくなる
ように測定感度を校正した。
高炭素クロム軸受鋼の丸棒状鋼片から、上記<検査試料
の作製>で説明した方法と同様にして、フライス加工で
厚さ10mmの試験片としたものを、焼入焼戻し、平面
研磨して試験片を作製した。
い、介在物からの反射波強度を求めた。さらに、酸溶解
法により介在物径を求めた。すなわち、この超音波探傷
を行った試験片の探傷領域部を切り出し、これらを酸溶
解して介在物を取り出しSEM観察により介在物径を求
めた。
によるよる介在物径をそれぞれ小さいものから大きいも
のの順にならべて、超音波探傷による強度と、酸溶解法
により測定された介在物径とを対応させて、検量線を作
成した。検量線を図5に示す。図5に示される直線は式
(2-1)として表される。 Y=0.34X+11.85 ・・・・・(2-1) ただし、Y:介在物径(μm) X:補正後反射波強度(%) 相関係数r=0.96 <検査試料の超音波探傷>上記「(a)検査試料の作
製」で説明した方法と同様にして、焼戻材の試験片を3
0個作製した。
て、探傷面積65×65mm、探傷走査ピッチ0.03
mmで粗探傷を行った。粗探傷により得られた反射波の
信号から、反射波の強度として正半波強度(P)、負半
波強度(N)および波形を記録し、介在物の位置と数を
特定した。粗探傷により得られたデータを表2に示す。
れる異常値を示したものを識別した(欠陥No12)。 MURAI値=P/(P+N) ・・・・・(4) 空洞からの反射波についてのMURAI値は0.6〜0.7
との報告があり、また表面エコーからの飛び込みでは
0.7以上となる場合があるため、MURAI値が0.6以
上を異常値と判断した。
各介在物について精密探傷を行った。精密探傷は探傷面
積1×1mm、探傷走査ピッチを0.005mmとして
行った。
で得られた反射波強度を補正した。 f≒1−6×d2(探触子:50MHz時) ・・・・・(1-1) ただし、f:補正係数 d:欠陥深度と焦点深度のずれ(mm)(|d|≦0.
3) あらかじめ求めておいた反射波強度と介在物径との関係
を示す検量線(図5)により、補正後反射波強度から介
在物径を算出した。精密探傷の結果を表3に示す。
ていることが識別できたが、本実施例では確認のため欠
陥No12についても精密探傷を行った。その結果、精
密探傷を行った場合にも異常値を示すことが確認され
た。したがって、粗探傷で異常値を示したものは、精密
探傷の対象から除外することができることが明らかにな
った。
超音波探傷の条件設定もとで、被検対象の鋼としてヒー
トロットの異なる14種の高炭素クロム軸受用鋼を用
い、超音波探傷を行った。被検対象となる各鋼は連続鋳
造法により製造した高炭素クロム軸受用鋼であり、この
鋼の丸棒状鋼片から、上記<検査試料の作製>で説明し
た方法と同様にして、それぞれ試験片として作製した。
介在物の検出(超音波探傷)については、各被検鋼ごと
に、65×65×1mm=4225mm3の試験片30
個について走査を行った上で、10000mm3あたり
に体積換算したときの介在物径を求めた。
と共に、各被検対象の鋼中酸素含有量を測定し、さらに
転動疲労寿命試験(10%破損寿命(Before 10% failu
re life;「B10 life」と略称する)。別名で90%寿
命ともいう。)、回転曲げ試験による疲労限の測定(1
07回転)を行った。回転曲げ試験はJISZ2273、JISZ227
4に準じて行った。以上の結果を表4に示す。
値が10000mm3に体積換算したときの平均介在物
数である。
物の個数が、検査対象の鋼10000mm3あたりに1
0個以下であり、かつ酸素含有量が5ppm以下である
被検体鋼(表4中、高清浄度鋼1〜7)を高清浄度の高
炭素クロム軸受用鋼の製品とした。表4から明らかなよ
うに、粒径20μm以上の介在物の個数が検査対象の鋼
10000mm3あたりに10個以下であり、かつ酸素
含有量が5ppm以下である鋼は、転動疲労寿命試験、
回転曲げ試験による疲労限の測定の結果が良好である。
チを変化させて、反射波強度(%)のばらつきを調べ
た。反射波強度(%)とは、検出目的の介在物からの最
大反射波に対して、実測の反射波強度がどの程度減衰し
てしまっているかを示すものである。
査ピッチで探傷し、反射波強度を記録した。最小ピッチ
(0.005mm)での最大反射波強度を100%とし
た。同様の調査を複数の介在物に対して行った。
おり、走査ピッチが大きくなるほど反射波強度(%)の
ばらつきが大きくなることがわかる。すなわち、走査ピ
ッチを大きくすると、検出目的の介在物から本来得られ
る最大反射波強度を受信できない場合が多くなり、精度
が低下することがわかる。
ことの信頼性が高い高清浄度鋼とすることができる。ま
た本発明によれば、苛酷な条件下でも寿命が長く、また
残存寿命にばらつきが少ない高清浄度鋼を提供すること
ができ、軸受用鋼、特に鋼炭素クロム軸受用鋼として好
適なものとすることができる。
ートを示す図である。
に示す図である。
る。
図である。
る。
は欠陥波用試験片、(B)は底面波用試験片である。
欠陥波、底面波の強度の比較を示す図である。
す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 所定の探傷走査ピッチで検査試料中の非
金属介在物の少なくとも位置および数を検出する粗超音
波探傷を行った後、前記粗超音波探傷よりも探傷走査ピ
ッチを狭くして前記粗超音波探傷により検出された介在
物の粒径を検出する精密超音波探傷を行い、粒径が20
μm以上の塊状または粒状酸化物系介在物の個数が、検
査対象である鋼10000mm3あたりに10個以下で
あることが確認された高清浄度鋼。 - 【請求項2】 酸素含有量がO≦5ppm以下である、
請求項1に記載の高清浄度鋼。 - 【請求項3】 不純物であるP、S、Tiの含有量がP
≦0.020%、S≦0.008%、Ti≦0.004
%である、請求項2に記載の高清浄度鋼。 - 【請求項4】 高清浄度鋼が高炭素クロム軸受用鋼であ
ることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載
の高清浄度鋼。
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