JP7265139B2 - 鋼材の表層の検査方法及び鋼材表層検査システム - Google Patents

鋼材の表層の検査方法及び鋼材表層検査システム Download PDF

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本発明は、鋼材の表層に形成された表層硬度変化部を検出して鋼材の表層を検査する検査方法及び鋼材表層検査システムに関する。
従来から、鋼材の表面疵や、内部の構造欠陥などを検出するために様々な検査手法が用いられている。例えば、鋼材の表面疵を検出して、鋼材の表面を検査する手法としては、外観検査や磁粉探傷法を用いた検査が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、パイプラインの検査手法として超音波探傷法を用いた検査が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、近年硫化水素環境下に晒される鋼材では、硫化物腐食割れ(SSC:Sulfide Stress Cracking)が問題となっている。SSCは、硫化水素などの硫化物にさらされる鋼材の表層において、予め定められた硬度の上限値よりも硬度の高い表層硬化部が起点となって発生することが明らかとなっている。また、鋼材の強度が不足すると、鋼材の表層においては予め定められた硬度の下限値よりも硬度の低い表層軟化部が起点となって鋼材の破断が発生してしまう場合がある。以下、表層硬化部および表層軟化部を総称して表層硬度変化部という。
特開2015-075451号公報 特開2006-112525号公報
このような鋼材の表層の検査方法としては、直接的に表層硬度変化部を検出し鋼材の表層を検査する方法と、非接触の検出方式を用いて間接的に表層硬度変化部を検出し鋼材の表層を検査する方法とがある。しかしながら、直接的に表層硬度変化部を検出しようとすると、鋼材の表層全体に対して任意の測定点ごとに表層硬度変化部を検出しなければならない。そのため、直接的に表層硬度変化部を検出し、鋼材の表層全域の検査を行うことは多大な時間を費やしてしまう問題があった。
これに対し、間接的に表層硬度変化部を検出しようとすると、鋼材の表層全域に対する走査線を決定し、走査線に沿って表層硬度変化部の検出を行うことができる。そのため、間接的に表層硬度変化部を検出すると、直接的に表層硬度変化部の検出を行う場合と比較して短時間で鋼材の表層全域に対して検査を行うことができる。しかしながら、間接的に表層硬化部を検出する際、表層硬化部を検出するための感度は比較的高く設定される。表層硬化部を検出するための感度が高く設定されることで、表層硬化部の検出漏れは防止されるが、鋼材の表層硬度が予め定められた硬度の上限値を超えていない部位を表層硬化部と検出してしまう、いわゆる過検出の問題が生じる場合がある。同様にして、間接的に表層軟化部を検出する際、表層軟化部を検出するための感度は比較的高く設定される。表層軟化部を検出するための感度が高く設定されることで、表層軟化部の検出漏れは防止されるが、鋼材の表層硬度が予め定められた硬度の下限値を超えていない部位を表層軟化部と検出してしまう、いわゆる過検出の問題が生じる場合がある。このような過検出の問題が生じてしまうと、実際には鋼材の表層に表層硬度変化部(表層硬化部または表層軟化部)が含まれていない場合であっても、鋼材の表層に表層硬度変化部が検出されると当該鋼材は不良と判定され、鋼製品の製造に使用することができず、歩留りが低下してしまうという問題があった。
そこで、この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、表層硬度変化部の検出漏れを防ぐとともに、表層硬度変化部の過検出を抑制し、短時間で鋼材の表層を検査することが可能な鋼材表層検査システムおよび鋼材の表層の検査方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明の一態様に係る鋼材の表層の検査方法は、非接触の検出方式である磁気特性に基づく検出方式を用いて鋼材の表層を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が予め定められた上限値より高い第一の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が予め定められた下限値より低い第一の表層軟化部のいずれか一方である第一の表層硬度変化部を検出する工程と、前記第一の表層硬度変化部に対してマーキングを行うマーキング工程と、を有する第一の検出工程と、接触式の検出方式であるリバウンド特性に基づく検出方式を用いて前記マーキング工程でマーキングされた前記第一の表層硬度変化部を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が前記上限値を超える第二の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が前記下限値を超える第二の表層軟化部のいずれか一方である第二の表層硬度変化部を検出する第二の検出工程を備える。
本発明の一態様に係る鋼材表層検査システムは、非接触の検出方式である磁気特性に基づく検出方式を用いて鋼材の表層を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が予め定められた上限値より高い第一の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が予め定められた下限値より低い第一の表層軟化部のいずれか一方である第一の表層硬度変化部を検出する第一の検出部と、前記第一の表層硬度変化部に対してマーキングを行うマーキング部と、接触式の検出方式であるリバウンド特性に基づく検出方式を用いて前記マーキング部によってマーキングされた前記第一の表層硬度変化部を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が前記上限値を超える第二の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が前記下限値を超える第二の表層軟化部のいずれか一方である第二の表層硬度変化部を検出する第二の検出部と、を備える。
実施形態の鋼材の表層の検査方法は、鋼材の表層を検査し、前記鋼材の表層の硬度が予め定められた上限値を超える第一の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が予め定められた下限値を超える第一の表層軟化部のいずれか一方である第一の表層硬度変化部を検出する第一の検出工程と、前記第一の検出工程の後に、前記第一の表層硬度変化部を検査し、前記鋼材の表層の硬度が前記上限値を超える第二の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が前記下限値を超える第二の表層軟化部のいずれか一方である第二の表層硬度変化部を検出する第二の検出工程とを備える。
この方法によれば、第一の検出工程では、鋼材の表層全域に対して第一の表層硬度変化部を検出し、第二の検出工程では、第一の表層硬度変化部に対して第二の表層硬度変化部の検出し、鋼材の表層を検査している。そのため、第一の検出工程で検出された第一の表層硬度変化部のうち、鋼材の硬度が予め定められた上限値以下、または、下限値以上となる部位については第二の検出工程で検出されることはなく、表層硬度変化部の過検出を防ぐことができる。また、この方法によれば、第二の検出工程は第一の検出工程で検出された第一の表層硬度変化部に対して第二の表層硬度変化部を検出している。したがって、鋼材の第一の表層硬度変化部に対して第二の研修工程を用いた鋼材の表層の検査方法は、鋼材の表層全域に対して第二の検出工程を用いた鋼材の表層の検査方法と比較して、表層硬度変化部の検出漏れを増加させることなく、表層硬度変化部の過検出を抑制し、短時間で鋼材の表層を検査することができる。
また、上記鋼材の表層の検査方法において、前記第一の検出工程と前記第二の検出工程とは、異なる検出原理で前記第一の表層硬度変化部、及び、前記第二の表層硬度変化部を検出するものとしても良い。
また、上記鋼材の表層の検査方法において、前記第一の検出工程では、前記鋼材の表層の硬度を間接的に検出する検出方式を用いて前記第一の表層硬度変化部を検出し、前記第二の検出工程では、前記鋼材の表層の硬度を直接検出する検出方式を用いて前記第二の表層硬度変化部を検出するものとしても良い。
また、上記鋼材の表層の検査方法において、前記第一の検出工程では、磁気特性に基づく検出方式により前記第一の表層硬度変化部を検出し、前記第二の検出工程では、リバウンド特性に基づく検出方式により前記第二の表層硬度変化部を検出するものとしても良い。
また、上記鋼材の表層の検査方法において、前記第一の検出工程では、前記第一の表層硬度変化部に対してマーキングを行う工程をさらに備え、前記第二の検出工程では、前記第一の検出工程でマーキングされた領域で前記第二の表層度変化部の検出を行うものとしても良い。
前記鋼材の表層は、前記第一の検出工程で検査される第一検査対象面と、前記第一の検出工程で検査されない第二検査対象面とを有し、前記第二の検出工程では、前記第二検査対象面についても検査を行い、前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記上限値を超える第三の表層硬化部または前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記下限値を超える第三の表層軟化部のいずれ一方である第三の表層硬度変化部を検出するものとしても良い。
また、上記鋼材の表層の検査方法において、前記鋼材の表層は、前記第一の検出工程で検査される第一検査対象面と、前記第一の検出工程で検査されない第二検査対象面とを有し、前記第二検査対象面について検査し、前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記上限値を超える第三の表層硬化部または前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記下限値を超える第三の表層軟化部のいずれか一方である第三の表層硬度変化部を検出する第三の検出工程をさらに備えるものとしても良い。
また、実施形態の鋼材表層検査システムは、第一の検出方式によって鋼材の表層を検査し、前記鋼材の表層の硬度が予め定められた上限値を超える第一の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が予め定められた下限値を超える第一の表層軟化部を検出する第一の検出部と、第二の検出方式によって前記第一の表層硬度変化部を検査し、前記鋼材の表層の硬度が前記上限値を超える第二の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が前記下限値を超える第二の表層軟化部のいずれか一方である第二の表層硬度変化部を検出する第二の検出部とを備える。
また、上記鋼材表層検査システムにおいて、前記第一の検出部は、磁気特性に基づく検出方式により前記第一の表層硬度変化部を検出し、前記第二の検出部は、リバウンド特性に基づく検出方式により前記第二の表層硬度変化部を検出するものとしてもよい。
また、上記鋼材表層検査システムにおいて、前記第一の検出部で前記第一の表層硬度変化部と検出された領域にマーキングを行うマーキング部を備えるものとしても良い。
また、上記鋼材表層検査システムにおいて、前記第一の検出部は、前記第一の表層硬度変化部を検出するための第一プローブを複数備え、前記マーキング部は、複数の前記第一プローブと対応して、前記第一の表層硬度変化部が検出された位置にマーキングを行うためのマーキング本体を複数備え、前記第一の検出部の前記第一プローブが前記第一の表層硬度変化部を検出した場合に、当該第一プローブと対応した前記マーキング本体がマーキングを行うものとしても良い。
また、上記鋼材表層検査システムにおいて、前記第一の検出部は、前記第一の表層硬度変化部を検出するための第一プローブを複数備え、前記第二の検出部は、複数の前記第一プローブと対応して、前記第一の表層硬度変化部を検出するための第二プローブを複数備え、前記第一の検出部の前記第一プローブが前記第一の表層硬度変化部を検出した場合に、当該第一の表層硬度変化部を検出した部分について、当該第一の表層硬度変化部を検出した前記第一プローブと対応した前記第二の検出部の前記第二プローブが検査を行うものとしても良い。
また、上記鋼材表層検査システムにおいて、前記第一の検出部で前記第一の表層硬度変化部が検出された位置を検出する位置検出部を備え、前記第二の検出部は前記位置検出部で検出された位置で検査を行うものとしても良い。
また、上記鋼材表層検査システムにおいて、前記鋼材の表層は、前記第一の検出部で検査される第一検査対象面と、前記第一の検出部で検査されない第二検査対象面とを有し、前記第二の検出部は、第二検査対象面についてリバウンド特性に基づく検出方式により検査し、前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記上限値を超える第三の表層硬化部または前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記下限値を超える第三の表層軟化部である第三の表層硬度変化部を検出するものとしても良い。
本発明によれば、表層硬度変化部の検出漏れを防ぐとともに、表層硬度変化部の過検出を抑制し、短時間で鋼材の表層を検査することがすることが可能な鋼材表層検査システムおよび鋼材の表層の検査方法を提供することができる。
第1の実施形態の鋼製品の製造方法で製造される鋼管を示す斜視図である。 第1の実施形態の鋼材の表層の検査方法で検査される鋼板を示す斜視図である。 第1の実施形態の鋼製品の製造方法を説明するフロー図である。 第1の実施形態の鋼材の表層の検査方法を説明するフロー図である。 第1の実施形態の鋼材表層検査システムの第一検出装置を示す概要図である。 第1の実施形態の鋼材表層検査システムの第一検出装置を示すブロック図である。 第1の実施形態の鋼材表層検査システムの第二検出装置を示す概要図である。 第1の実施形態の鋼材表層検査システムの第一検出装置による工程を説明する説明図である。 第2の実施形態の鋼材表層検査システムの第一検出装置を示す概要図である。 第2の実施形態の鋼材表層検査システムの第一検出装置を示すブロック図である。 第3の実施形態の鋼材表層検査システムを示す概要図である。 第3の実施形態の鋼材表層検査システムを示すブロック図である。 第4の実施形態の鋼材表層検査システムを示す概要図である。 第4の実施形態の鋼材表層検査システムを示すブロック図である。 第4の実施形態の鋼材表層検査システムによる処理手順を示すフロー図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る第1の実施形態について図1から図8を参照して説明する。図1は本実施形態の鋼製品の製造方法で製造される鋼製品の一例を示している。図2は本実施形態の鋼材の表層の検査方法で検査する対象の一例を示している。
図1に示すとおり、本実施形態の鋼製品の製造方法で製造される鋼製品は、一例として鋼管100である。図1に示す鋼管100は、例えば硫化水素を含むガスの搬送用に用いられる。このようなガスを搬送する鋼管100としては、ガスに接触する内面100aに、硫化物腐食割れに対する耐性が求められ、それ故に硫化物腐食割れの起点となりうる表層硬度変化部が生じていないことが求められる。表層硬度変化部は、表層における他の部分と比較して硬度が所定の範囲を超えて異なる部分である。このような表層硬度変化部は、例えば予め定められた硬度の上限値を超える領域である表層硬化部や、予め定められた硬度の下限値を超える領域である表層軟化部である。鋼材に熱処理を施す際、熱処理設備のトラブルなどによって鋼材を均一に加熱したり冷却したりすることができない場合がある。このような場合、製造された鋼材の結晶組織は不均一となり鋼材の表層の硬度が均一とならず、鋼材の表層の一部に表層硬度変化部が生じてしまう。鋼管100は、例えば図2に示すような鋼板101を加工することで得られる。図2に示す鋼板101は、一方の面101aが鋼管100における内面100aであり、他方の面101bが鋼管100における外面100bに該当する。なお、内面100aは、表層硬度変化部を検出する検査対象面102に該当する。
次に、鋼材の表層の検査方法およびこのような検査方法で検査された鋼材を用いた鋼製品の製造方法について説明する。図3に示すように、本実施形態の鋼製品の製造方法は、鋼材準備工程S101と、検査工程S102と、加工工程S103とを備える。鋼材準備工程S101では、加工工程S103で用いる鋼材を準備する。すなわち、本実施形態の例では、鋼管100を形成する鋼材として図2に示す鋼板101を準備する。検査工程S102では、準備された鋼板101のうち、鋼管100において内面100aとなる検査対象面102について表層硬度変化部を検出し、鋼材の表層を検査する。検査の結果、表層硬度変化部が検出されなかった鋼板101を加工工程S103に用いる。加工工程S103では、製品種などに応じて様々な加工法が適用される。本実施形態の鋼管100では、例えば、開先加工工程、Uプレス工程、Oプレス工程、内面溶接工程、外面溶接工程などが行われる。開先加工工程では、図2に示す鋼板101において溶接部となる端縁101cに開先加工を行う。Uプレス工程では、開先加工が行われた鋼板101をU字状に曲げるプレス加工を行う。Oプレス工程では、U字状に曲げられた鋼板101をさらにO字状に曲げるプレス加工を行い、開先100c同士を突き合わせる。内面溶接工程では、突き合わされた開先100cの部分のうち内周側の溶接を行う。外面溶接工程では、内面溶接が行われた開先100cの部分の外周側の溶接を行う。
次に、本実施形態の検査方法による検査工程S102の詳細を図4から図8に基づいて説明する。図4は、本実施形態の検査方法を説明するフロー図である。また、図5から図7は、本実施形態の検査方法に用いられる第一検出装置2および、第二検出装置3を示す概要図である。なお、表層硬度変化部として他の部分より硬度が高い表層硬化部(第二の表層硬化部A2、第三の表層硬化部A3)を検出して、鋼材の表層を検査する場合について以下に説明する。しかしながら、表層硬度変化部はこれに限られず、表層硬度変化部として他の部分より硬度が低い表層軟化部を検出して、鋼材の表層を検査するものとしても良い。図4に示すように、被検体である鋼板101の検査対象面102は、鋼板101の検査対象面102の略全域である第一検査対象面102aと、鋼板101の検査対象面102の端縁に沿って配される第二検査対象面102bとを有している。本実施形態の検査方法は、第一検査対象面102aに対して検査を行い、第一の表層硬化部A1(第二の検出工程S2における検査対象領域)を検出する第一の検出工程S1と、第一の検出工程S1の後に、第一の表層硬化部A1に対して検査を行い、第二の表層硬化部A2(表層硬化部)を検出する第二の検出工程S2と、第二検査対象面102bに対して第三の表層硬化部A3(表層硬化部)を検出する第三の検出工程S3と、第二、第三の検出工程S2、S3の検出結果に基づいて検査対象となる鋼板101の良否を判定し、不良と判定された鋼板101に対する処置を判断する判断工程S4とを備える。なお、判断工程S4は、第二の検出工程の検出結果に基づいて鋼板101の良否を判断する判断工程S41と、第三の検出工程の検出結果に基づいて鋼板101の良否を判断する判断工程S42とを有し、判断工程S42については、判断工程S41において良と判断された鋼板101に対して判断を行っている。なお、第一の検出工程S1で検出される第一の表層硬化部A1と、第二の検出工程S2で検出される第二の表層硬化部A2とは、必ずしも一致するものではない。例えば、後述するように第一の検出工程S1では渦流探傷を利用した間接的に検出する検査方式を利用しており、検出漏れを防ぐためその探傷感度は高く設定されている。探傷感度が高く設定されているため、第一の検出工程S1では、鋼板101の表層の硬度が予め定められた上限値を超えない部位についても第一の表層硬化部A1として検出してしまう場合がある。しかしながら、当該第一の表層硬化部A1については、第二の検出工程S2で再度検査を行う。第二の検出工程S2ではリバウンド特性に基づく検出方式のように直接的に表層硬度変化部を検出する方式を利用し、接触した測定点について検査を行う。そのため、当該測定点における硬度が予め定められた上限値を超える場合、当該測定点における部位を第二の表層硬化部A2(表層硬化部)として検出され、当該測定点における硬度が予め定められた上限値以下の場合、当該測定点における部位は第二の表層硬化部A2(表層硬化部)として検出されない。本実施形態では、第一の検出工程S1と、第二の検出工程S2は異なる検出原理で第一の表層硬化部A1、第二の表層硬化部A2の検出を行い、第三の検出工程S3は、第二の検出工程S2と同様の検出原理で第三の表層硬化部A3の検出を行う。第一の検出工程S1では第一の表層硬化部A1(第二の検出工程S2の検査対象領域)を特定し、第二の検出工程S2では特定された第一の表層硬化部A1に対してのみ検査を行い、第二の表層硬化部A2を検出する。さらに、第二の検出工程において第二の表層硬化部A2が検出されず、鋼板101が良と判定された場合、第一検査対象面102aに対して第三の検出工程S3を行い、第三の表層硬化部A3を検出する。なお、第三の検出工程S3において、第三の表層硬化部A3が検出されなかった場合、鋼板101は良と判定される。また、鋼材表層検査システム1は、第一の検出工程S1で用いられる第一検出装置2と、第二の検出工程S2で用いられる第二検出装置3とを備える。第二検出装置3は、第三の検出工程S3でも用いられる。
具体的には、第一の検出工程S1では鋼板101の第一検査対象面102aに対して磁気特性に基づく検出方式を用いて第一の表層硬化部A1を検出して、第二の検出工程S2での検査領域を特定する。磁気特性に基づく検出方式としては、例えば渦流探傷試験が挙げられる。図5及び図6は、第一検出装置2の一例を示している。図5及び図6に示すように、第一検出装置2は、それぞれコイル31aを有する複数の第一プローブ31と、第一プローブ31のコイル31aに交流電力を供給する交流電源32と、各第一プローブ31のコイル31aのインピーダンスを検出する検出部33と、検出部33の結果に基づいて第一の表層硬化部A1の有無を判定する判定部34と、第一プローブ31を支持する基台35と、基台35を検査対象である鋼板101上で走行させる走行部36とを備える。走行部36は、基台35に車軸36bによって回転可能に支持された複数の車輪36aによって構成されている。複数の第一プローブ31は、車軸36bに平行な方向Xに沿って配列している。第一プローブ31は、磁性体から形成されたコア31bの周囲にコイル31aが配されて構成されている。各第一プローブ31は、車輪36aが走行する鋼板101の第一検査対象面102aに対して一定の隙間を有するようにして基台35に固定されている。複数の第一プローブ31の各コイル31aは、交流電源32と並列接続されており、交流電源32から供給される交流電流によって磁界を生成可能である。被検体が磁性体であると、第一プローブ31と対向する第一検査対象面102aを含む被検体の表層部分では、交流電流による磁界の変化によって渦電流が発生する。通常、図2に示すような鋼板101などの鋼材では、表層部分の状態がほぼ均一であるため、第一プローブ31のコイル31aで検出されるインピーダンスはほぼ一定となる。一方、渦電流が発生する範囲に第一の表層硬化部A1が含まれると、第一の表層硬化部A1は他の部分と比較して磁気特性、すなわちコイル31aによって発生する磁界に対する特性が異なることから、発生する渦電流にも変化が生じる。このため、第一の表層硬化部A1の近傍に第一プローブ31を配置させると、検出部33でコイル31aから検出されるインピーダンスに変化が生じる。判定部34は、このインピーダンスの変化によって第一の表層硬化部A1の有無を判定する。判定部34による判定手法としては、例えば、インピーダンスの検出結果と、予め設定された上限値または下限値との対比によって行われる。当該上限値は、予め被検体の材種ごとに硬度とインピーダンスの相関関係を求め、第一の表層硬化部A1として判定すべき硬度の値から求められる。判定部34の判定結果に基づいて、第一の表層硬化部A1が検出された場合には、第一の表層硬化部A1が検出された領域にマーキング部46によってマーキングされ、第一の表層硬化部A1が検出された領域が特定される。なお、上記では第一プローブ31は複数備えるとしたが、本実施形態の第一の検出工程S1では一つの第一プローブ31によって第一の表層硬化部A1を検出しても良い。
図8に示すように、第一の検出工程S1は、鋼板101の第一検査対象面102a上で第一検出装置2を車輪36aによって走行させる。これにより、第一プローブ31を鋼板101の第一検査対象面102a上で走査して、上記のような検出原理に基づいて、第一の表層硬化部A1の検出を行う(ステップS1a)。鋼板101の幅が広い場合には、複数回位置をずらして第一検出装置2を走行させて、第一の検出工程S1の第一検査対象面102a全域にわたって第一プローブ31を走査させる。その際、複数の第一プローブ31同士の間での検出漏れを防止するために、第一プローブ31の配列ピッチの半分だけずらすようにして重複して走査することが好ましい。このような間接的に検出する検査方式を用いることで、プローブを走査させながら検査対象である第一検査対象面102aについて面的な検査を行うことが可能となる。このため、第一の検出工程S1では、第一検査対象面102aに対して検査を行い、第一の表層硬化部A1を検出することできる。
そして、第一の表層硬化部A1が検出された場合には、該当箇所にマーキングを行い、第二の検出工程S2における検査対象領域を特定する(ステップS1b)。なお、図8に示すように、本実施形態では、第一検出装置2が鋼板101の表層を走査する際、第一検出装置2のコイル31aによって生じる渦電流は、第二検査対象面102bを通過しないため第一の検出工程S1では検査されず、第三の検出工程S3で検査を行う。
以上の工程を実施することにより、鋼板101の表層全体のうち第一検査対象面102aに対して第一の検出工程S1を実施し、第一の表層硬化部A1が検出された場合には当該第一の表層硬化部A1に対してマーキングを施す。これによって、第二の検出工程S2で検査を行う検査領域である第一の表層硬化部A1が特定されることとなる。なお、鋼材の表層全体のうち、第二検査対象面102bについては、後述する第三の検出工程S3を行うものとする。
次に、第二の検出工程S2を実施する。第二の検出工程S2では、第一の表層硬化部A1に対してマーキングが施された領域のうち任意の測定点に対して、直接検出する検出方式としてリバウンド特性に基づく検出方式を用いて検査を行い、第二の表層硬化部A2を検出する(ステップS2a)。リバウンド特性に基づく検出方式としては、例えばリーブ式硬さ試験が挙げられる。図7は、第二検出装置3の一例を示している。図7に示すように、第二検出装置3は、筒状のケース3aと、ケース3aに支持された衝撃子3bとを有する。そして、リーブ式硬さ試験では、第一の表層硬化部A1に対してマーキングが施された領域のうち任意の測定点に対して衝撃子3bを衝突させ、跳ね返った衝撃子3bの速度・加速度、当該衝撃子3bの跳ね返り距離などを測定し、得られた測定値に基づいて硬度を求めるものである。第二の検出工程S2で用いる方式としては被検体である鋼板101に損傷を与えないような衝撃で衝撃子3bをリバウンドさせて測定するものであることが好ましい。このようなリバウンド特性に基づく測定を、第一の表層硬化部A1に対してマーキングが施された領域うち任意の測定点に対して検査を行い、第二の表層硬化部A2を検出する。なお、各測定点での測定回数としては複数回としても良く、また、測定点としてはマーキングされた位置の周辺であっても良い。第二の検出工程S2で、第二の表層硬化部A2と検出された場合、当該鋼板101の第一検査対象面102aは第二の表層硬化部A2を有し、当該鋼板101を不良と判定する(ステップS2b:YES)。第二の検出工程S2において第二の表層硬化部A2と検出するための硬度の上限値としては、第一の検出工程S1におけるインピーダンスの上限値と対応する硬度となる上限値としても良いし、当該硬度と異なる上限値としても良い。
一方、第一の検出工程S1で第一の表層硬化部A1に対してマーキングが施された領域のうち任意の測定点に対して第二の検出工程S2で検査を行い、第二の検出工程S2では第二の表層硬化部A2と検出されなかった場合、当該鋼板101の第一検査対象面102aは第二の表層硬化部A2を有さず、当該鋼板101を良と判定する(ステップS2b:NO)。本実施形態では、第一の検出工程S1で間接的に検出する検出方式により面的に検査して第二の表層硬化部A2と考えられる領域(第一の表層硬化部A1)を絞りこみ、第二の検出工程S2では直接検出する検出方式により絞り込まれた領域(第一の表層硬化部A1)に対して再度検査を行い、正確に表層硬化部(第二の表層硬化部A2)を検出している。このようにすることで、第二の検出工程S2を用いて検査される領域が第一の表層硬化部A1としてマーキングされた領域に限定されるため、第一検査対象面102aにおける第二の表層硬化部A2を短時間で確実に検出することができる。そして、第二の検出工程S2で、第二の表層硬化部A2が検出された鋼板101については不良と判定され、判断工程S41で当該鋼板101の処置が判断される。ここで、第二の検出工程S2で第二の表層硬化部A2が検出され、当該鋼板101が不良と判定され、判断工程S41において鋼板101の処置を廃棄と判断された鋼板101については第三の検出工程S3を実施しないため、第三の検出工程S3にかかる工数を削減することができる。なお、本実施形態において、第一の表層硬化部A1の任意の測定点に対して第二検出装置3で硬度を測定し、第二検出装置3によって測定された硬度をもとに第二の表層硬化部A2を検出している。したがって、第一の検出工程S1で過検出された第一の表層硬化部A1については、第二の検出工程S2で第二の表層硬化部A2としては検出されない。そのため、第二の検出工程S2で検出された第二の表層硬化部A2に基づいて鋼板101の良否を判定することで、鋼板101を誤って不良と判定することがなくなり、歩留まりが解消される。なお、第二の検出工程S2で用いられる第二検出装置3は、任意の測定点に対して直接硬度を測定する検出方式であるため感度を設定する必要がないため、過検出の問題は生じない。
次に、第二の検出工程S2で第二の表層硬化部A2が検出されなかった鋼板101は良と判定される。良と判定された鋼板101の第二検査対象面102bは、第三の検出工程S3で検査される。第三の検出工程S3では、上記のとおり鋼板101の第二検査対象面102bについて検査を行う。第三の検出工程S3では、第二の検出工程S2と同様に直接検出する検出方式として、第二検査対象面102bにおけるリバウンド特性に基づく検出方式を用いて第三の表層硬化部A3を検出する(ステップS3a)。測定位置のピッチとしては、適宜設定可能であるが、一回の試験によって測定される測定値によって代表される測定範囲を示す円の直径よりも小さいピッチとすることが好ましい。そして、第三の検出工程S3で第三の表層硬化部A3が検出された場合(ステップS3b:YES)には、当該鋼板101は不良と判定され、判断工程S42で当該鋼板101の処置が判断される。
一方、第三の検出工程S3で第三の表層硬化部A3が検出されなかった場合(ステップS3b:NO)には、当該鋼板101は良と判定され、加工工程S103(図3)に移行する。
以上のように、本実施形態の鋼板101の表層の検査方法によれば、第一の検出工程S1で鋼板101の第一検査対象面102aに対して面的な検査を行い、第二の検出工程S2で検査される第一の表層硬化部A1を検出し、検査対象領域を特定している。第二の検出工程S2では、第一の検出工程S1で検出された第一の表層硬化部A1にマーキングされた領域の内任意の測定点に対して検査を行い、第二の表層硬化部A2を検出している。そのため、鋼板101検査対象面102全域の内任意の測定点に対して検査を行った場合と比較して短時間で鋼板101の第一検査対象面102aを検査することができる。また、第一の検出工程S1で第一の表層硬化部A1を検出している。そのため、第二の表層硬化部A2は、第一検査対象面102aのうち第一の表層硬化部A1にマーキングされた領域以外には含まれることがない。したがって、第二の検出工程S2で検査する対象を第一の表層硬化部A1にマーキングされた領域に絞っても、第二の表層硬化部A2を確実に検出することができる。また、第一の検出工程S1で鋼板101の第一検査対象面102aに対して検査を行い、第一の表層硬化部A1を検出し、第二の検出工程S2で検出された第一の表層硬化部A1のうち任意の測定点に対して検査を行い、第二の表層硬化部A2を検出している。第二の検出工程S2では、第一の表層硬化部A1の任意の測定点に対して第二検出装置3で硬度を測定し、第二検出装置3によって測定された硬度をもとに第二の表層硬化部A2を検出している。したがって、第一の検出工程S1で過検出された第一の表層硬化部A1については、第二の検出工程S2で第二の表層硬化部A2としては検出されない。そのため、第二の検出工程S2で検出された第二の表層硬化部A2に基づいて鋼板101の良否を判定することで、鋼板101を誤って不良と判定することがなくなり、歩留まりが解消される。
さらに、第三の検出工程S3で第一の検出工程S1で検査されなかった第二検査対象面102bを検査することで、第一の検出工程S1、第二の検出工程S2及び第三の検出工程S3の三つの工程で網羅的に鋼板101の表面全域を検査することができる。特に、上記のとおり、第二の検出工程S2で第二の表層硬化部A2が検出され、鋼板101が不良と判定された鋼板101は実施せず判断工程S4で鋼板101の処置を判断し、第二の検出工程S2で第二の表層硬化部A2が検出されず、鋼板101が良と判定された鋼板101のみに対して第三の検出工程S3を実施することでより効率的な検査が可能となる。
また、本実施形態の鋼製品の製造方法によれば、上記鋼材の表層の検査方法により表層硬化部(第二の表層硬化部A2、第三の表層硬化部A3)を検出することで、短時間で確実に表層硬化部(第二の表層硬化部A2、第三の表層硬化部A3)の有無を検査して表層硬化部(第二の表層硬化部A2、第三の表層硬化部A3)の無い鋼製品を製造することができる。そして、第三の検出工程S3によって第三の表層硬化部A3が検出されなかった鋼板101に対して加工工程S103によって加工を行い、鋼管100を製造することで、効率的に加工工程S103を実施して鋼管100を製造することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図9及び図10は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の鋼材表層検査システム1Aは、図9及び図10に示す第一検出装置4と、図7に示す第二検出装置3(第二の検出部)とを備える。第二検出装置3は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。第一検出装置4は、第1の実施形態同様に、間接的に検出する検出方式として、磁気特性に基づく検出方式により第一の表層硬化部A1を検出するものであり、本実施形態では渦流探傷により第一の表層硬化部A1を検出するものである。図9及び図10に示すように、第一検出装置4は、基台35と、基台35を検査対象である鋼板101上で走行させる走行部36と、基台35に支持された複数の第一プローブ31と、第一プローブ31と対応して設けられた複数のマーキング本体40と、交流電源32と、制御部41とを備える。
走行部36の複数の車輪36aにおいて、一つにはエンコーダ42が設けられていて車輪36aの回転数を検出可能である。マーキング本体40は、各第一プローブ31と対をなすようにして複数設けられ、対応する第一プローブ31から車軸36bと直交する車輪走行方向Yの後方に一定の間隔を有して配されている。マーキング本体40は、基台35に支持されており、これにより第一プローブ31と対応するマーキング本体40とは基台35を介して連結されている。マーキング本体40は、例えば図示しないが、インクを鋼板101の第一検査対象面102aに吐出させる吐出機構を有している。
制御部41は、各プローブのコイル31aのインピーダンスを検出する検出部33と、検出部33で検出された検出結果に基づいて第一の表層硬化部A1の有無を判定する判定部34と、判定結果に基づいてマーキング本体40を駆動させるマーキング駆動部43とを有する。判定部34は、検出部33からの検出結果に基づいて第一プローブ31ごとに第一の表層硬化部A1の有無を判定する。判定部34は、第1の実施形態同様に例えば予め上限値が設定されていて、当該上限値と検出部33で検出された検出結果を比較することにより第一の表層硬化部A1の有無を判定する。そして、判定部34は、第一の表層硬化部A1が検出された場合に検出情報をマーキング駆動部43に出力する。マーキング駆動部43は、検出情報が取得された第一プローブ31と対応するマーキング本体40を駆動する。ここで、マーキング駆動部43は、検出情報を取得すると、エンコーダ42からの検出結果を取得する。そして、マーキング駆動部43は、第一プローブ31とマーキング本体40との間隔に応じた回転数だけ車輪36aが回転したタイミングで対応するマーキング本体40を駆動させて鋼板101の検査対象面102にマーキングを行う。これにより第一プローブ31で第一の表層硬化部A1が検出された位置でマーキングを行うことができる。すなわち、本実施形態では、第一検出装置4において、複数の第一プローブ31と、交流電源32と、検出部33と、判定部34とによって、第一の表層硬化部A1を検出するための第一の検出部45が構成されている。また、第一検出装置4において、複数のマーキング本体40と、マーキング駆動部43とによって、第一の検出部45で検出された第一の表層硬化部A1となる位置にマーキングするためのマーキング部46が構成されている。
次に、本実施形態の鋼材表層検査システム1Aによる鋼材の表層の検査方法及び作用効果について説明する。なお、鋼管100の製造方法としては、本実施形態の鋼材の表層の検査方法による検査工程S102以外は第1の実施形態同様であるので説明を省略する。
まず、第1の実施形態同様に、第一の検出工程S1では、第一検出装置4を鋼板101の第一検査対象面102a上において走行させる。これにより、第一の検出部45によって渦流探傷により第一検査対象面102aにおける第一の表層硬化部A1を検出することができる。第一の表層硬化部A1の存在が判定部34によって判定されると、当該第一の表層硬化部A1の位置で第一検査対象面102a上にマーキング部46によりマーキングがなされる。
次に、第二の検出工程S2として、第一の検出工程S1でマーキングされた領域の任意の測定点において第二検出装置3であるリバウンド式試験装置によってリバウンド式試験を実施する。そして、第二の表層硬化部A2が検出された場合には、当該鋼板101を不良と判定し、図3に示す判断工程S41のように処置の判断を行う。次に、第三の検出工程S3として、第二検査対象面102bに対して検査を行い、第二検出装置3によって同様に第三の表層硬化部A3を検出し、第三の表層硬化部A3が検出された場合には当該鋼板101を不良と判定し、図3に示す判断工程S42のように処置の判断を行う。
なお、第1の実施形態同様に、第一の検出工程S1で鋼板101の第一検査対象面102aと第二検査対象面102bとを検査しても良く、また、第二の検出工程S2で第二検査対象面102bの検査も実施しても良い。
以上のように、本実施形態の鋼材表層検査システム1A及び鋼材表層検査システム1Aを用いた鋼材の表層の検査方法によれば、第一検出装置4による第一の検出工程S1及び第二検出装置3による第二の検出工程S2という複数の検出方式による検査によって表層硬化部(第二の表層硬化部A2)を確実に検出することができる。さらに、第一検出装置4は磁気特性に基づく検出方式により短時間で第一検査対象面102aを検査できるとともに、第二検出装置3はリバウンド特性に基づく検出方式により第一の表層硬化部A1に対して検査を行うことができる。このようにすることで、第一の検出工程S1で第一の表層硬化部A1を過検出した場合であっても、第二の検出工程S2で検出された第二の表層硬化部A2の有無に基づいて鋼板101の良否を判定することができるため、鋼板101を誤って不良と判定することがなくなり、歩留まりが解消される。そして、第一の検出部45によって第一の表層硬化部A1と検出された位置にマーキング部46によってマーキングを行うことで、第二検出装置3が第一検出装置4によって第一の表層硬化部A1と検出された部分を効率的かつ確実に検査することができる。ここで、第一検出装置4は、第一の検出部45が第一プローブ31を複数備えている。また、第一検出装置4は、マーキング部46がマーキング本体40を、第一プローブ31と基台35を介して連結するように複数備えている。そして、第一検出装置4では、第一プローブ31が第一の表層硬化部A1を検出した場合に対応したマーキング本体40がマーキングを行う。このため、複数の第一プローブ31のいずれかによって第一の表層硬化部A1が検出されると、対応して連結されて設けられたマーキング本体40によって確実にマーキングし、第二の検出工程S2ではマーキングされた領域のうちに任意の測定点に対して第二検出装置3により第二の表層硬化部A2を検出することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図11及び図12は、本発明の第3の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図11及び図12に示すように、本実施形態の鋼材表層検査システム1Bは、基台35と、基台35を被検体である鋼板101上で走行させる走行部36と、基台35に支持された複数の第一プローブ31及び第二プローブ50と、交流電源32と、制御部51とを備える。第一プローブ31については第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。第二プローブ50は、第一プローブ31と対をなすようにして複数設けられ、対応する第一プローブ31から車軸36bと直交する車輪走行方向Yの後方に一定の間隔を有して配されている。第二プローブ50は、基台35に支持されており、これにより第一プローブ31と対応する第二プローブ50とは基台35を介して連結されている。各第二プローブ50は、本実施形態では図7に示すリーブ式硬さ試験装置と同様の構造であり、基台35に支持された状態で被検体である鋼板101に対して衝撃子3b(図7参照)を衝突させてそのリバウンド特性により第二の表層硬化部A2を検出可能である。
制御部51は、各第一プローブ31のコイル31aのインピーダンスを検出する検出部33と、検出部33で検出された検出結果に基づいて第一の表層硬化部A1の有無を判定する第一判定部34と、第一判定部34の判定結果に基づいて第二プローブ50を駆動させる第二プローブ駆動部52と、第二プローブ50の検出結果に基づいて第二の表層硬化部A2の有無を判定し、当該鋼板101の良否を判定する第二判定部53とを有する。第一判定部34は、検出部33からの検出結果に基づいて第一プローブ31ごとに第一の表層硬化部A1の有無を判定する。第一判定部34は、第1、2の実施形態同様に例えば予め上限値が設定されていて、当該上限値と検出部33で検出された検出結果を比較することにより第一の表層硬化部A1の有無を判定する。第一判定部34は、第一の表層硬化部A1が検出された場合に検出情報を第二プローブ駆動部52に出力する。
第二プローブ駆動部52は、検出情報が取得された第一プローブ31と対応する第二プローブ50を駆動する。ここで、第二プローブ駆動部52は、検出情報を取得すると、エンコーダ42からの検出結果を取得する。そして、第二プローブ駆動部52は、第一プローブ31と第二プローブ50との間隔に応じた回転数だけ車輪36aが回転したタイミングで、対応する第二プローブ50を駆動させて鋼板101の第一検査対象面102aに衝撃子3bを衝突させる。これにより第一プローブ31で第一の表層硬化部A1が検出された位置で第二プローブ50を駆動させることができる。そして、第二プローブ50は、駆動させて得られた検出結果を第二判定部53に出力する。第二判定部53は、第二プローブ50から得られた検出結果に基づいて第二の表層硬化部A2の有無を判定し、当該鋼板101の良否を判定する。すなわち、本実施形態では、鋼材表層検査システム1Bにおいて、複数の第一プローブ31と、交流電源32と、検出部33と、第一判定部34とによって、第一の表層硬化部A1を検出するための第一の検出部55が構成されている。また、鋼材表層検査システム1Bにおいて、複数の第二プローブ50と、第二プローブ駆動部52と、第二判定部53とによって、第一の検出部55で検出された第一の表層硬化部A1となる位置で第二の表層硬化部A2を検出するための第二の検出部56が構成されている。
次に、本実施形態の鋼材表層検査システム1Bによる鋼材の表層の検査方法及び作用効果について説明する。なお、鋼管100の製造方法としては、本実施形態の鋼材の表層の検査方法による検査工程S102以外は第1の実施形態同様であるので説明を省略する。
すなわち、第1の実施形態同様に、鋼材表層検査システム1Bを第一検査対象面102a上において走行させる。すると、第一の検出工程S1として、渦流探傷により第一検査対象面102a全体を検査し、第一の表層硬化部A1を検出することができる。第一の表層硬化部A1の存在が第一判定部34によって判定されると、第二の検出工程S2として、第一の検出工程S1で第一の表層硬化部A1が検出された位置で第二プローブ50によってリバウンド式硬さ試験を実施することができる。なお、第一の検出工程S1における第二検査対象面102bがある場合については、図7に示す試験装置によって別途第三の検出工程S3を実施するものとしても良い。
以上のように、本実施形態の鋼材表層検査システム1B及び鋼材表層検査システム1Bを用いた鋼材の表層の検査方法によれば、第1、第2の実施形態同様に、第一の検出部55による第一の検出工程S1及び第二の検出部56による第二の検出工程S2という複数の検出方式によって短時間で表層硬化部(第二の表層硬化部A2)を確実に検出することができる。さらに、第一の検出部55は磁気特性に基づく検出方式により短時間で第一検査対象面102aを検査できるとともに、第二の検出部56はリバウンド特性に基づく検出方式により第一の表層硬化部A1に対して検査を行うことができる。このようにすることで、第一の検出工程S1で第一の表層硬化部A1を過検出した場合であっても、第二の検出工程S2で検出された第二の表層硬化部A2の有無に基づいて鋼板101の良否を判定することができるため、鋼板101を誤って不良と判定することがなくなり、歩留まりが解消される。ここで、第一プローブ31及び第二プローブ50が対をなして複数組備えられ、第二プローブ50は、第一プローブ31と基台35を介して連結されている。このため、複数の第一プローブ31のいずれかによって第一の表層硬化部A1が検出されると、対応して連結して設けられた第二プローブ50によって自動的に第二の検出工程S2として第二の表層硬化部A2を検出することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図13から図15は、本発明の第4の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図13及び図14に示すように、本実施形態の鋼材表層検査システム1Cは、第一検出装置60と、第二検出装置65と、ガイド装置70とを備える。第一検出装置60は、第1の実施形態同様に、間接的に検出する検出方式として、磁気特性に基づく検出方式により第一の表層硬化部A1を検出するものであり、本実施形態では渦流探傷により第一の表層硬化部A1を検出するものである。第一検出装置60は、基台35と、基台35に支持された複数の第一プローブ31と、交流電源32と、検出部33と、第一判定部34とを有する。また、第二検出装置65は、基台66と、基台66に支持され、複数の第一プローブ31とそれぞれ対応する第二プローブ50と、第二プローブ駆動部52と、第二判定部53とを有する。なお、第一検出装置60及び第二検出装置65の構成の詳細は、第3の実施形態の第一の検出部55及び第二の検出部56と同様であるので説明を省略する。
ガイド装置70は、被検体である鋼板101を位置決めする位置決め装置71と、第一検出装置60及び第二検出装置65を走行させる走行装置75とを有する。位置決め装置71は、鋼板101の四隅を固定する被検体固定部72を有し、鋼板101を所定の位置に位置決めする。走行装置75は、第一検出装置60及び第二検出装置65を固定する装置固定部76と、装置固定部76を鋼板101の第一検査対象面102aに沿う第一方向Pに沿って移動させる第一移動部80と、装置固定部76を鋼板101の第一検査対象面102aに沿い第一方向Pと直交する第二方向Qに沿って移動させる第二移動部81と、位置検出部82と、移動制御部83と、検出位置書込部84と、記憶部85とを有する。第一移動部80は、第一方向Pに沿って配された第一レール90と、第一レール90上で装置固定部76を移動させる第一走行部91とを有する。第一走行部91は、装置固定部76に回転可能に支持された第一車輪91aと、第一車輪91aを回転駆動させる第一駆動部91bと、第一車輪91aに設けられて第一車輪91aの回転数を検出する第一エンコーダ91cとを有する。
第二移動部81は、第二方向Qに沿って配された第二レール92と、第二レール92上で第一レール90を移動させる第二走行部93とを有する。第二走行部93は、第一レール90に回転可能に支持された第二車輪93aと、第二車輪93aを回転駆動させる第二駆動部93bと、第二車輪93aに設けられて第二車輪93aの回転数を検出する第二エンコーダ93cとを有する。第一駆動部91b及び第二駆動部93bは例えばモータである。位置検出部82は、第一エンコーダ91c及び第二エンコーダ93cの検出結果に基づいて被検体である鋼板101の第一検査対象面102a上における装置固定部76の第一方向P及び第二方向Qの位置を検出する。位置検出部82は、検出結果に基づいて、第一方向P及び第二方向Qに沿う直交座標系における位置情報を生成する。位置検出部82は生成された位置情報を移動制御部83に出力する。また、検出位置書込部84は、第一判定部34から第一の表層硬化部A1の検出情報を取得すると、対応する位置情報を位置検出部82から取得し、記憶部85に記録する。移動制御部83は、位置検出部82から取得した位置情報に基づいて第一駆動部91b及び第二駆動部93bを制御して装置固定部76を所定の位置に移動させることが可能である。また、移動制御部83は、記憶部85に記録された位置情報と一致する位置に装置固定部76を移動させることができるとともに、装置固定部76を当該位置に移動させると、第二プローブ駆動部52に対して駆動指令を出力する。
次に、本実施形態の鋼材表層検査システム1Cによる鋼材の表層の検査方法及び作用効果について説明する。なお、鋼管100の製造方法としては、本実施形態の鋼材の表層の検査方法による検査工程S102以外は第1の実施形態同様であるので説明を省略する。また、図15は、図4に示す鋼材の表層の検査方法を実施するための、本実施形態の鋼材表層検査システム1Cにおける処理フローの一例である。
第一の検出工程S1では、まず、第一検出装置60を装置固定部76に固定する。そして、図15に示すように、移動制御部83が第一駆動部91b及び第二駆動部93bを制御して第一方向P及び第二方向Qに第一検出装置60が固定された装置固定部76を移動させる。これにより第1の実施形態同様に、第一検出装置60を第一検査対象面102a上で走査させる(ステップS11)。なお、第一検査対象面102aに関する情報は、例えば予め記憶部85に記録されていて、移動制御部83は当該情報を参照して走査する範囲を決定するものとすれば良い。第一検出装置60が検査対象面102上を走行中、交流電源32から第一プローブ31のコイル31aに交流電力を供給し、コイル31aのインピーダンスの変化を検出部33により検出する(ステップS12)。これにより、渦流探傷により第一検査対象面102aの検査を行い、第一の表層硬化部A1を検出することができる。位置検出部82では、装置固定部76が移動している間、第一エンコーダ91c及び第二エンコーダ93cから回転角度に関する情報を取得し、これにより装置固定部76の第一方向P及び第二方向Qの位置を検出している。第一の表層硬化部A1の存在が第一判定部34によって判定される(ステップS13:YES)と、第一判定部34は検出情報を検出位置書込部84に出力する。検出位置書込部84は、第一判定部34から検出情報を取得すると対応する位置情報を位置検出部82から取得し、第一の検出工程S1で第一の表層硬化部A1が検出された位置として位置情報を記憶部85に記録する(ステップS14)。第一検査対象面102a上を第一検出装置60で走査し終えたら(ステップS15:YES)、第二の検出工程S2に移行する。
第二の検出工程S2は、第一検出装置60に代えて第二検出装置65を装置固定部76に固定した後開始される。移動制御部83は、記憶部85に記録された位置情報を取得する(ステップS21)。そして、移動制御部83は、第一駆動部91b及び第二駆動部93bを制御して、取得した位置情報と対応する位置に、第二検出装置65が固定された装置固定部76を移動させる(ステップS22)。移動制御部83は、装置固定部76を取得した位置情報と対応する位置に移動させると、第二プローブ駆動部52に駆動指令を出力する。第二プローブ駆動部52は、駆動指令を取得すると対応する第二プローブ50を駆動させる(ステップS23)。そして、第二プローブ50は、駆動させて得られた検出結果を第二判定部53に出力する。第二判定部53は、第二プローブ50から得られた検出結果に基づいて第二の表層硬化部A2の有無を判定し、鋼板101の良否を判定する(ステップS24)。第二の表層硬化部A2が検出され、鋼板101が不良と判定されると(ステップS24:YES)、第二判定部53は記憶部85に判定結果を記録する(ステップS25)。移動制御部83は、記憶部85に記録された全ての位置情報でステップ21~ステップ23を実行したかを判定し(ステップS26)、実行していない位置情報が存在する場合(ステップS26:NO)には、ステップS21に戻って実行していない位置情報を取得する(ステップS21)。なお、第二検査対象面102bがある場合については、図7に示す試験装置によって別途第三の検出工程S3を実施するものとしても良い。
以上のように、本実施形態の鋼材表層検査システム1C及び鋼材表層検査システム1Cを用いた鋼材の表層の検査方法によれば、第1、第2の実施形態同様に、第一検出装置60による第一の検出工程S1及び第二検出装置65による第二の検出工程S2という複数の検出方式による検査によって短時間で表層硬化部(第二の表層硬化部A2)を確実に検出することができる。さらに、第一検出装置60は磁気特性に基づく検出方式により短時間で第一検査対象面102a検査できるとともに、第二検出装置65はリバウンド特性に基づく検出方式により第一の表層硬化部A1に対して検査を行うことができる。このようにすることで、第一の検出工程S1で表層硬度変化部(第一の表層硬化部A1)を漏らすことなく短時間で検出することができる。さらに、第一の検出工程S1の後に、第二の検出工程S2を実施しているため、第一の検出工程S1で表層硬度変化部(第一の表層硬化部A1)を過検出した場合であっても、第二の検出工程S2では表層硬度変化部(第二の表層硬化部A2)を過検出されず、過検出を抑制することができる。第二の検出工程S2で検出された第二の表層硬化部A2の有無に基づいて鋼板101の良否を判定すすることで、表層硬度変化部(第二の表層硬化部A2)を含まない鋼板101を誤って不良と判定することを抑制することができる。表層硬度変化部(第二の表層硬化部A2)を含まない鋼板101が不良と判定されないため、表層硬度変化部を含まない鋼板101を鋼製品の製造に使用することが可能となり、歩留りは向上する。ここで、複数の第一プローブ31のいずれかによって第一の表層硬化部A1が検出され、第二プローブ50によって位置検出部82で検出された位置で検査を行うことで、第一プローブ31によって検出された第一の表層硬化部A1の位置で確実に検査することができる。なお、本実施形態では、位置検出部82で検出した第一の表層硬化部A1について第二プローブ50で第二の検出工程S2を実施するものとしたが、第二プローブ50に代えてマーキング本体を設けて、位置検出部82で検出した第一の表層硬化部A1についてマーキングをするものとしても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
すなわち、第一の検出工程S1では鋼材の第一検査対象面102aに対して第一検出装置により第一の表層硬化部A1を検出し、第二の検出工程S2では第一の表層硬化部A1に対して検査を行い、第二検出装置により第二の表層硬化部A2を検出し、さらに第三の検出工程S3において、または、第二の検出工程S2において、鋼材の第二検査対象面102bに対して検査を行い、第三の表層硬化部A3を検出するものとしたが、これに限られるものではない。鋼材の表層において、他の部分と比較して硬度が変化した表層硬度変化部を検出するものとして、上記表層硬化部以外に、他の部分と比較して硬度が低い表層軟化部を検出するものとしても良い。または、表層硬化部及び表層軟化部の両方を検出するようにしても良い。表層軟化部については、予め定められた下限値を超えているか否かによって判定できる。
第一の検出工程S1では、第一の検出部として、磁気特性に基づく検出方式としては、例えば渦流探傷試験装置を用いてインピーダンスの変化を検出するものとしたがこれに限られるものではない。渦流探傷試験装置において、インピーダンスの変化以外にも電流量の変化などを検出するものとしても良い。また、例えば、渦流探傷試験以外の間接的に検出する検出方式の試験方法としては超音波探傷試験が挙げられる。表層硬度変化部では、他の部分と比較して組織の状態が異なることから、超音波に対する反射特性が異なる。当該特性を用いて、発信子から被検体である鋼板101に送信された超音波を受信子で受信することで表層硬度変化部を検出することも可能である。また、第二の検出工程S2では、第一の検出工程S1で第一の表層硬化部が検出された位置で試験を行うものとしたが、これに加えて第一の表層硬化部A1が検出されていない他の部分でも試験を実施しても良い。さらに、第二の検出工程S2でも、リバウンド特性に基づく検出方式以外の検出方式で第二の表層硬化部A2を検出するものとしても良い。直接検出する検出方式を選択する場合には、被検体である鋼板101に傷等の損傷を与えない試験方法であることが好ましい。
また、上記実施形態では、鋼板101について表層硬化部の有無を検査するものとしたが、これに限られるものではなく、鋼板101を加工して鋼製品である鋼管100を製造し後に鋼管100に対して表層硬化部の有無を検査するようにしても良い。上記実施形態において検査対象である鋼材として鋼板を例に説明したが、鋼板だけでなく、鋼管、H鋼、棒鋼など様々な鋼材が対象となる。また、このような鋼材の表層の検査方法で検査された鋼材を用いた鋼製品の製造方法としても、鋼管に限られるものではなく、鋼板、H鋼、棒鋼など様々な鋼製品が対象となる。
1、1A、1B、1C 鋼材表層検査システム
2、4、60 第一検出装置(第一の検出部)
3、5、65 第二検出装置(第二の検出部)
31 第一プローブ
40 マーキング本体
45、55 第一の検出部
46 マーキング部
50 第二プローブ
56 第二の検出部
82 位置検出部
100 鋼管(鋼製品)
101 鋼板(鋼材)
102a 第一検査対象面
102b 第二検査対象面
A1 第一の表層硬化部(第一の表層硬度変化部)
A2 第二の表層硬化部(第二の表層硬度変化部)
A3 第三の表層硬化部(第三の表層硬度変化部)
S1 第一の検出工程
S2 第二の検出工程
S3 第三の検出工程
S102 検査工程
S103 加工工程

Claims (4)

  1. 非接触の検出方式である磁気特性に基づく検出方式を用いて鋼材の表層を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が予め定められた上限値より高い第一の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が予め定められた下限値より低い第一の表層軟化部のいずれか一方である第一の表層硬度変化部を検出する工程と、前記第一の表層硬度変化部に対してマーキングを行うマーキング工程と、を有する第一の検出工程と、
    接触式の検出方式であるリバウンド特性に基づく検出方式を用いて前記マーキング工程でマーキングされた前記第一の表層硬度変化部を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が前記上限値を超える第二の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が前記下限値を超える第二の表層軟化部のいずれか一方である第二の表層硬度変化部を検出する第二の検出工程
    を備える鋼材の表層の検査方法。
  2. 前記鋼材の表層は、前記第一の検出工程で検査される第一検査対象面と、前記第一の検出工程で検査されない第二検査対象面とを有しており
    接触式の検出方式であるリバウンド特性に基づく検出方式を用い、前記第二検査対象面を検査することで、前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記上限値より高い第三の表層硬化部または前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記下限値より低い第三の表層軟化部のいずれか一方である第三の表層硬度変化部を検出する第三の検出工程を備える請求項1に記載の鋼材の表層の検査方法。
  3. 非接触の検出方式である磁気特性に基づく検出方式を用いて鋼材の表層を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が予め定められた上限値より高い第一の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が予め定められた下限値より低い第一の表層軟化部のいずれか一方である第一の表層硬度変化部を検出する第一の検出部と、
    前記第一の表層硬度変化部に対してマーキングを行うマーキング部と、
    接触式の検出方式であるリバウンド特性に基づく検出方式を用いて前記マーキング部によってマーキングされた前記第一の表層硬度変化部を検査することで、前記鋼材の表層の硬度が前記上限値を超える第二の表層硬化部または前記鋼材の表層の硬度が前記下限値を超える第二の表層軟化部のいずれか一方である第二の表層硬度変化部を検出する第二の検出部
    を備える鋼材表層検査システム。
  4. 前記鋼材の表層は、前記第一の検出部で検査される第一検査対象面と、前記第一の検出部で検査されない第二検査対象面とを有しており
    前記第二の検出部は、接触式の検出方式であるリバウンド特性に基づく検出方式を用いて前記第二検査対象面を検査することで、前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記上限値より高い第三の表層硬化部または前記第二検査対象面の表層の硬度が予め定められた前記下限値より低い第三の表層軟化部のいずれか一方である第三の表層硬度変化部を検出する、請求項3に記載の鋼材表層検査システム。
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