JP3656181B2 - 超音波探触子の校正方法及び超音波探傷装置 - Google Patents

超音波探触子の校正方法及び超音波探傷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波探触子の校正方法及び超音波探傷装置に係り、主として厚板鋼板の製造ラインの外側に校正用試験片が付設されて実ラインと同じ条件でオフラインでの探触子の校正と検定とを可能にした技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
厚板用自動超音波探傷装置において、探触子の欠陥検出性能を自動で確認する方法としては、特公平4−37948号公報が知られている。この探触子検定方法は、搬送ラインの外側に設置されるオフラインチェック用の校正試験片に平底スリット状の人工疵を搬送ライン進行方向と平行な方向に加工し、平底スリット状人工疵と直交する方向に並べた、それぞれ複数個の探触子を収納した探触子ヘッドを平底スリット状人工疵と直交する方向に走査させ、その結果を表示させることにより、全ての探触子の健全性の確認を同時かつ自動で行えるようにしている。
しかし、この探触子検定方法は、本来、平底穴で検定すべきところを、検定作業の能率を上げるために平底スリット疵で代用しようとするものである。従って、厳密には平底穴と平底スリット疵では欠陥の寸法、形状に起因して反射率が異なるため、探触子の感度、検出性能の面で若干差異が生じてくる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
その一方で、
▲1▼平底穴により検定を義務づけている規格ないしユーザーが存在する。従って、この要求に対しては応えることができない。
▲2▼客先の要望により、実ラインと同一条件で、
・既知の寸法の欠陥を正しい位置・正しい評価判定レベルで確実に検出していること
・無欠陥部で欠陥を検出していないこと
・走査方向と直交する方向の欠陥の検出位置が正常であること
以上の証明を行うデータの提出が必要となった場合、従来は、試験証明用の無欠陥の厚板を準備し、規定の位置及び寸法の平底穴形状の欠陥を加工し、実際に探傷させることにより、データを採取していた。しかし、この方法では、試験証明用の厚板の準備、加工、保管及び搬送に多くの手間とコストがかかり、かつ短時間での実施は困難になる。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、平底穴と平底スリット状の人工疵を加工した校正用試験片を用いて、実ラインと同一の条件でオフラインでの探触子の校正と検定とを可能とした超音波探触子の校正方法及び超音波探傷装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波探触子の校正方法は、裏面に平底穴と平底スリット状の人工疵を加工した複数の校正用試験片を、鋼板の搬送ラインの外側にその平底スリット状の人工疵が搬送ラインと平行な直線状となるように搬送ライン方向に配列し、鋼板のオンライン探傷時と同一の走査速度で、全ての探触子ヘッドを搬送ラインと直角の方向に走査してそれぞれに対応する前記校正用試験片に対する超音波探傷を行うことにより、前記探触子ヘッドに設けられた全ての探触子について検出結果に基づく校正と検定とを行うことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明に係る超音波探傷装置は、裏面に平底穴と平底スリット状の人工疵が加工され、鋼板の搬送ラインの外側にその平底スリット状の人工疵が搬送ラインと平行な直線状となるように搬送ライン方向に配列された複数の校正用試験片と、
複数の探触子が千鳥状に配置され、昇降可能に支持された探触子ヘッドと、該探触子ヘッドが複数取り付けられ、鋼板の幅方向に移動可能で、前記探触子ヘッドを前記校正用試験片上に移動させる台車手段を有し、鋼板の搬送ライン上に設置された超音波探傷機と、
前記探触子の全部ついて探触子毎に検出結果を表示する表示手段とを備えたものである。
また、台車手段は、インサイド台車とエッジ台車とからなるものである。
【0007】
本発明においては、平底穴と平底スリット状の人工疵が裏面に特定の位置及び大きさで加工された方形状の校正用試験片を、探触子ヘッドの個数と同数だけ、鋼板の搬送ラインの外側の近傍に平底スリット状の人工疵が搬送ラインと平行な直線状となるように配列してある。
探触子ヘッドは複数の探触子を千鳥状に配置したものであり、このような探触子ヘッドを複数取り付けて昇降と鋼板の幅方向への移動が可能なように支持されており、探触子の校正の際には、鋼板のオンライン探傷時と同じ走査速度で、全ての探触子ヘッドをそれぞれに対応する校正用試験片上を平底スリット状の人工疵に直行する方向に走査して超音波探傷を行う。このとき、各探触子ヘッドの全ての探触子が平底スリット状の人工疵を正規の位置及び大きさで検出したかを検査することができ、また特定の探触子が平底穴の人工疵を正規の位置及び大きさで検出したか、かつ、それ以外の探触子はその平底穴の人工疵を検出しなかったかを検査することができる。また探触子の異常が発見されれば、その探触子の校正と検定とを行い、結果を表示し、適正かどうかを判定する。このように、オンラインと同じ条件で、オフラインにおいて全ての探触子の校正と検定とを一度に行うことができ、精度及び効率の高い調整が可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の探触子校正方法の概要を示す図である。図1において、1は被検査材としての厚板の鋼板で、矢印aの方向に間欠的に搬送(シフト搬送)される。2は超音波探傷機10のインサイド台車に昇降軸を介して取り付けられた複数のインサイド探触子ヘッドで、鋼板1の幅方向(矢印bの方向)に移動可能となっており、主に鋼板1のエッジ部を除く内側部分の探傷を行う。3は鋼板1のエッジ部の探傷を行うエッジ探触子ヘッドで、それぞれエッジ台車に昇降軸を介して取り付けられている。エッジ台車も矢印bの方向に移動可能である。4は各インサイド探触子ヘッド2に対応して同じ数だけ配置された複数の校正用試験片、5は各エッジ探触子ヘッド3に対応して同じ数だけ配置された複数(2個)の校正用試験片であり、これらの校正用試験片4、5は搬送ラインの外側の近傍において、後述する平底スリット状の人工疵が搬送ラインと平行な直線状となるように配列されている。また、インサイド台車及びエッジ台車を備えた超音波探傷機10は鋼板1の搬送ライン上に設置され、インサイド台車及びエッジ台車の移動距離は搬送ラインの外側に付設された校正用試験片4、5上まで延びている。
【0009】
各校正用試験片4、5は、同一の構成であり、図2にその1つを示すように、精密に仕上げ加工された方形状の無欠陥の金属板6の裏面に、平底スリット状の人工疵7と平底穴の人工疵8が同じ穴径・穴深さ・スリット幅・スリット深さ・スリット長さで、かつ、金属板6の原点からの特定の位置にそれぞれ1個の平底スリット7と平底穴8が精密に加工してある。
【0010】
また、各インサイド探触子ヘッド2及びエッジ探触子ヘッド3も同じ構成であり、図5にその1つを示すように、複数の探触子9が千鳥状に配置されており、この場合に、各探触子9の探傷可能範囲11が定められているため、1ヘッド当たり、全体として連続した探傷可能範囲12を持つように各探触子9を配置している。従って、図1の斜線部13はエッジ台車の探触子ヘッド3により探傷が終了したエッジ部の探傷済み領域を示し、14はインサイド台車の各探触子ヘッド2によるインサイド部の探傷済み領域を示す。また、インサイド探触子ヘッド2は等間隔で配置されているが、鋼板1の端から端までb方向に移動した後、鋼板1から離れ、その後鋼板1が搬送テーブルにより1ピッチ分だけ移動し、ついでこの探触子ヘッド2が接板後、再びb方向に復動するので、探触子ヘッド2の相互間の隙間の部分を探傷することができる。従って、各インサイド探触子ヘッド2及びエッジ探触子ヘッド3によって鋼板1の全面を探傷することができる。
【0011】
図6は本発明の超音波探傷装置のシステム構成を示す図である。インサイド台車15及びエッジ台車16の走査速度は台車制御装置17により制御され、またインサイド台車15及びエッジ台車16の各インサイド探触子ヘッド2及び各エッジ探触子ヘッド3に対する超音波信号は探傷信号処理装置18により探触子チャンネル毎に送受信の制御及び処理が行われ、台車制御装置17からの走査パルス信号と探傷信号処理装置18からの欠陥検出信号をデータ処理装置19で処理することにより、鋼板1の探傷結果(欠陥の有無・位置・大きさ等)及び校正用試験片4、5に対する校正結果(人工疵の位置・大きさ等)をCRT20に探触子チャンネル毎に表示する。
【0012】
次に、この実施の形態に係る探触子校正方法について説明する。
校正用試験片4、5は図1に示すように鋼板1の搬送ラインの外側に配置固定してあり、人工疵である平底スリット7が搬送ラインと平行な直線状となるように配列されているので、インサイド台車15及びエッジ台車16を搬送ライン外のc方向にオンライン探傷時と同じ走査速度で移動させ、各インサイド探触子ヘッド2により、それぞれに対応する校正用試験片4を、また各エッジ探触子ヘッド3により、それぞれに対応する校正用試験片5を超音波探傷する。なお、図1において、S側の校正用試験片5aはS側のエッジ台車に取り付けられたエッジ探触子ヘッド3aに対するものであり、N側の校正用試験片5bはN側のエッジ台車に取り付けられたエッジ探触子ヘッド3bに対するものである。
【0013】
説明の便宜上、1つの探触子ヘッド2を例にとって、これに対応する校正用試験片4との探傷について説明する。図2に示すように、探触子ヘッド2が校正用試験片4をc方向に移動すると、その走査方向は平底スリット7に直交する方向となるため、探触子ヘッド2に設けられている各探触子9は、全て同じ条件で平底スリット7を検出しなければならない。すなわち、同じ位置及び同じ大きさで平底スリット7を検出することが要求される。その検出結果は図6のCRT20に探触子毎に表示され、これによって正常か異常かが判明する。異常と判定されればもちろん当該探触子について適切な処置、校正等(例えば、その探触子の取付状態、傾き、配線チェック等)を施し、校正結果についても検定を行う。
次に、探触子ヘッド2を引き続きc方向に移動させ、平底穴8に対する探傷を行う。この平底穴8は所定の位置に1個設けてあるので、平底穴8の上を通過する特定の探触子9のみがその平底穴8を検出し、それ以外の探触子9は検出しないことが要求される。これに反する検出結果が表示されれば、当然その探触子9は異常と判定される。異常と判定された当該探触子に対しても上記と同様の校正を施す。
このようにして、全部の探触子ヘッド2、3の全部の探触子9について検査ができ、オフラインにおいて一度に校正と検定とを行うことができる。しかも、オンライン探傷時と同じ条件で、かつ、平底スリット7に対するだけでなく、平底穴8に対する証明データの提出が可能である。そしてその校正の終了後、実際の鋼板1に対する探傷をオンラインで実施できる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、平底穴と平底スリット状の人工疵を加工した校正用試験片を用いて、オンライン探傷時と同じ走査速度で、その校正用試験片に対する超音波探傷を行い、各探触子ヘッドの全部の探触子について探触子毎に検出結果を表示することにより、探触子の検査ができ、オフラインで一度に校正と検定とを行うことができる。
また、平底穴に対する証明データの提出も可能であり、さらに、実ラインと同一の条件で、▲1▼既知の寸法の欠陥を正しい位置・正しい評価判定レベルで確実に検出していること、▲2▼無欠陥部で欠陥を検出していないこと、▲3▼走査方向と直交する方向の欠陥の検出位置が正常であること、の証明データの提出要求に対しても容易に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の探触子校正方法を示す概要図である。
【図2】校正用試験片の平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】探触子ヘッドの説明図である。
【図6】本発明の超音波探傷装置のシステム構成図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 インサイド探触子ヘッド
3 エッジ探触子ヘッド
4 校正用試験片
5 校正用試験片
6 金属板
7 平底スリット状人工疵
8 平底穴人工疵
9 探触子
10 超音波探傷機
11 探触子の探傷可能範囲
12 探触子ヘッドの探傷可能範囲
13 エッジ部の探傷済み領域
14 インサイド部の探傷済み領域
15 インサイド台車
16 エッジ台車
17 台車制御装置
18 探傷信号処理装置
19 データ処理装置
20 CRT

Claims (3)

  1. 裏面に平底穴と平底スリット状の人工疵を加工した複数の校正用試験片を、鋼板の搬送ラインの外側にその平底スリット状の人工疵が搬送ラインと平行な直線状となるように搬送ライン方向に配列し、鋼板のオンライン探傷時と同一の走査速度で、全ての探触子ヘッドを搬送ラインと直角の方向に走査してそれぞれに対応する前記校正用試験片に対する超音波探傷を行うことにより、前記探触子ヘッドに設けられた全ての探触子について検出結果に基づく校正と検定を行うことを特徴とする超音波探触子の校正方法。
  2. 裏面に平底穴と平底スリット状の人工疵が加工され、鋼板の搬送ラインの外側にその平底スリット状の人工疵が搬送ラインと平行な直線状となるように搬送ライン方向に配列された複数の校正用試験片と、
    複数の探触子が千鳥状に配置され、昇降可能に支持された探触子ヘッドと、該探触子ヘッドが複数取り付けられ、鋼板の幅方向に移動可能で、前記探触子ヘッドを前記校正用試験片上に移動させる台車手段を有し、鋼板の搬送ライン上に設置された超音波探傷機と、
    前記探触子の全部ついて探触子毎に検出結果を表示する表示手段と、
    を備えたことを特徴とする超音波探傷装置。
  3. 前記台車手段は、インサイド台車とエッジ台車とからなることを特徴とする請求項2記載の超音波探傷装置。
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