JPH0599902A - 平角鋼材の検査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 平角形状を有する平角鋼材の表面の全周の欠
陥を連続して検査できる平角鋼材の検査装置を提供す
る。 【構成】 断面が略直方形の材料の欠陥を検出する平角
鋼材の検査装置において、前記平角鋼材の長手方向への
搬送ライン上に該平角鋼材が探傷コイル５を貫通するよ
うに設置された貫通型渦流探傷装置７と、超音波を前記
平角鋼材表面に斜めに入射して探傷する超音波探触子を
有する超音波探傷装置とを同一の搬送ライン上に設けた
ことを特徴とする平角鋼材の検査装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、断面の縦横の長さが異
なる平角鋼材の表面傷、内部欠陥等を検出する平角鋼材
の検査装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から材料の表面欠陥傷、内部欠陥に
ついては超音波探傷装置および渦流探傷装置が用いられ
ている。例えば特開昭６１−２７８７５５号公報には伸
線用ダイス間に超音波探傷装置および渦流探傷装置のプ
ローブを線引ライン上に組合せて配置した線材の探傷装
置が記載されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】また、断面が略直方形
である平角鋼材に対しても、プローブによる渦流探傷装
置が用いられている。しかし、プローブを用いた探傷装
置では、プローブの位置により欠陥の検出感度が異なる
ため、平角鋼材全周の検査を実施しようとすると、プロ
ーブを全周にわたって移動しなければならないという問
題がある。また、プローブを移動させる場合、断面円形
の線材では中心に対して同心円上を回転させればよい
が、特に平角鋼材では、その断面が略長方形であり、縦
横の寸法が異なるのでその形状に沿って移動させるのは
困難である。また、連続して線材の渦流探傷を行う方法
として、探傷コイルを用いて、この探傷コイルを貫通さ
せることにより、連続的に探傷する方法も知られてい
る。しかし、平角鋼材では、探傷コイルに対する平角鋼
材の表面までの距離が、角部および短尺部が長尺部より
近接した状態になり、長尺部の欠陥の検出感度が鈍ると
いう欠点があった。本発明の目的は、断面形状が略長方
形（矩形）という特別な形状を有する材料の表面全体の
欠陥の検出が実施可能な平角鋼材の検査装置を提供する
ことである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者は、平角鋼材に
対して、探傷コイルを用いる方法における角部および短
尺部の欠陥検出感度が長尺部より優れるという点に注目
し、貫通型渦流探傷コイルを平角鋼材の角部の欠陥検出
用とし、平角鋼材の平面部は特定の超音波探傷装置によ
って欠陥を検出するという装置によって、平角鋼材を連
続的にしかも平角鋼材表面全体の欠陥の探傷が可能とな
ることを見いだした。

【０００５】すなわち、本発明は断面が略直方形の材料
の欠陥を検出する平角鋼材の検査装置において、前記平
角鋼材の長手方向への搬送ライン上に該平角鋼材が探傷
コイルを貫通するように設置された貫通型渦流探傷装置
と、超音波を前記平角鋼材表面に斜めに入射して探傷す
る超音波探触子を有する超音波探傷装置とを組合せて設
けたことを特徴とする平角鋼材の検査装置である。

【０００６】本発明の最大の特徴は、平角鋼材の角部お
よび短尺部の欠陥検出用の探傷コイルを用いた渦流探傷
装置と、長尺部の欠陥検出用の超音波探傷装置を組み合
わせて、ほぼ連続的に鋼材の表面欠陥を検出できるよう
にしたことである。本発明の一つの効果である連続性を
最大限に生かすためには、前記両装置が同一の搬送ライ
ン上にあることが望ましい。本発明の装置により、探傷
コイルによって平角鋼材の角部および短尺部の欠陥が感
度よく検出可能となり、長尺部の欠陥検出を超音波探傷
装置で補うことにより、連続した平角鋼材の全表面の欠
陥の検出が可能となった。なお、本発明において、超音
波を平角鋼材表面に斜めに入射すると規定したのは、超
音波による表面の欠陥の検出に対しては、超音波を垂直
に入射するものに比べて、材料表面に到達する横波およ
び表面波が多く表面欠陥の検出には適しているからであ
る。

【０００７】

【実施例】

（実施例１）本発明の一実施例について図面を用いて詳
しく説明する。図１は本発明の検査装置の一例を示す構
成図である。図１の装置において、平角形状の被検査材
９は送り出しリール１により送り出され、レベラ２によ
り矯正された後、超音波探傷用の水槽６へ導入される。
この水槽６には被検査材９の長尺側表面に対して超音波
を斜めに入射する探触子群４、および探触子群４の間に
押さえロール３が設置されている。この押さえロール３
は被検査材９の振動、揺れを防止し欠陥検出への影響を
少なくするためである。続いて、被検査材は探傷コイル
５を貫通するように渦流探傷装置７に導入され、最後に
巻き取りリール８によって巻き取られる。

【０００８】この装置を使用して、図２に示す人工欠陥
１０ないし１６を設けＪＩＳ ＳＵＳ３０４製の短尺寸
法１０ｍｍ、長尺寸法２５ｍｍの平角形状を有する平角
鋼材を試験材１７として表面欠陥の検出実験をおこなっ
た。図２に示す人工欠陥１０ないし１６は深さ０．１ｍ
ｍ、幅０．１ｍｍ、長さ１．３ｍｍである。これらの人
工欠陥のうち、１０および１１は角から短尺側へ５ｍｍ
の位置に設けた欠陥であり、１０は長手方向に平行、１
１は長手方向に直角な欠陥、１２は角部に設けた欠陥で
ある。また人工欠陥１３および１４は角から長尺側へ５
ｍｍの位置に設けた人工欠陥であり、１３は長手方向に
平行、１４は長手方向に直角な欠陥である。また人工欠
陥１５および１６は角から長尺側へ１２．５ｍｍの位置
に設けた人工欠陥であり、１５は長手方向に平行、１６
は長手方向に直角な欠陥である。

【０００９】試験材１７を図１に示した検査装置に導入
し、まず超音波探触子群４からの超音波１８の試験材表
面への入射角度を１１度から１５度に変え、ノイズレベ
ルを５％以下に抑えた時のブラウン管に表示されるエコ
ー高さをブラウン管のフルスケールに対する割合として
測定した。結果を図３に示す。図中の数字は図２の人工
欠陥に対応するものである。この超音波探傷装置では、
人工欠陥のうち１３ないし１６が検出可能であった。超
音波の試験片１７の表面に対する入射角は１４度から１
５度が最も高いエコー高さを示し、高感度であった。こ
の入射角における超音波の屈折角は８０度から９０度で
あった。

【００１０】次に、渦流探傷装置内での検出感度を調査
した。検出コイル５で得られた信号対雑音比（以下Ｓ／
Ｎという）は試験材１７の短尺側および角部の人工欠陥
１０ないし１２に対してＳ／Ｎ＝８〜１０であり、十分
な検出感度が得られた。また、長尺側でも角部に近い人
工欠陥１３および１４ではＳ／Ｎ＝４〜７が得られ検出
可能であった。また、超音波探触子によって高い検出感
度が得られた長尺側中央部の人工欠陥１５および１６は
十分なＳ／Ｎが得られず、検出不可能であった。これに
より、超音波探触子群４により、平角鋼材の長尺側の表
面欠陥を検出し、短尺部および角部の欠陥を検出コイル
を用いた渦流探傷装置により検出することにより、平角
鋼材の表面全周の欠陥の検出が可能となった。

【００１１】

【発明の効果】本発明によれば平角鋼材の表面全周の欠
陥が連続的に検出可能となり、平角鋼材の不良部の確認
を極めて迅速に行うことが可能となる。これにより、欠
陥部を見逃すことなく切断、マーキング等が可能とな
り、平角鋼材を各種製品に加工する前にその表面の品質
が確認できるため、歩留が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の検査装置の一例を示す構成図である。

【図２】本発明の検査装置の欠陥検出実験に用いた試験
材の人工欠陥位置を示す図である。

【図３】本発明の超音波探触子により得られた欠陥のエ
コー高さを示す図である。

【符号の説明】

１ 巻き出しリール ３ 押さえロール ４ 超音波探触子群 ５ 探傷コイル ７ 渦流探傷装置 ８ 巻き取りリール ９ 被検査材 １０，１１，１２，１３，１４，１５，１６ 人工欠陥 １７ 試験材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面が略直方形の材料の欠陥を検出する
   平角鋼材の検査装置において、前記平角鋼材の長手方向
   への搬送ライン上に該平角鋼材が探傷コイルを貫通する
   ように設置された貫通型渦流探傷装置と、超音波を前記
   平角鋼材表面に斜めに入射して探傷する超音波探触子を
   有する超音波探傷装置とを組合せて設けたことを特徴と
   する平角鋼材の検査装置。