JPH10293124A - 焼入硬化層深さ検査装置 - Google Patents

焼入硬化層深さ検査装置

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JPH10293124A
JPH10293124A JP9115249A JP11524997A JPH10293124A JP H10293124 A JPH10293124 A JP H10293124A JP 9115249 A JP9115249 A JP 9115249A JP 11524997 A JP11524997 A JP 11524997A JP H10293124 A JPH10293124 A JP H10293124A
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JP
Japan
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hardened layer
depth
propagation time
ultrasonic
measured
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JP9115249A
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English (en)
Inventor
Shoji Yamaguchi
祥司 山口
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パイプ状、ロッド状等をなした試料の焼入硬
化層深さを、非破壊で検査する。 【解決手段】 発信プローブ11は試料1内に超音波を
発信し、受信プローブ14は試料1内を伝搬した超音波
を受信する。また、制御装置23には距離測定回路19
と伝搬時間測定回路22とが接続され、距離測定回路1
9は発信プローブ11と受信プローブ14との間の離間
距離を測定し、伝搬時間測定回路22は超音波の伝搬時
間を検出する。そして、制御装置23は距離測定回路1
9、伝搬時間測定回路22によるそれぞれの測定値を用
いて硬化層2の深さ寸法が規定寸法に適合するか否かを
評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば建設機械の
足廻り部品等のように金属部材に熱処理を施すことによ
って得られる熱処理部材の焼入硬化層深さを検査する焼
入硬化層深さ検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、建設機械の足廻り部品として用
いられる上ローラ、下ローラは、過酷な条件下で使用さ
れることが多く、その内径側、外径側の表面がクローラ
等の他部品と接触するために高い耐摩耗性、耐衝撃性が
要求される。このため、これらの上ローラ、下ローラ
は、表面側の硬度を高めるために金属材料をそれぞれ必
要とされる形状に成形し、加工された後に、焼入れ等の
熱処理が施された熱処理部材として製造され、その表面
側には焼入れによる硬化層が形成されている。
【0003】従来、この種の熱処理部材は、その一部を
切断研摩し、顕微鏡による組織観察や硬度測定を行うこ
とによって焼入硬化層深さの検査を行っている。しか
し、この検査方法では、組織判別や硬度測定に膨大な時
間と労力を必要とし、検査結果を直ちに製造プロセスに
反映させることが難しいという問題がある。また、熱処
理部材の一部を切断しなければならないため、実際に使
用する熱処理部材を検査することができないという問題
がある。
【0004】そこで、熱処理部材の焼入硬化層深さの検
査を非破壊で行う従来技術として、例えば特開昭53−
126993号公報では、超音波の発信、受信を行う超
音波受信器を熱処理部材に接触させ、超音波受信器から
熱処理部材内に超音波を放射すると共に、熱処理部材内
から反射してくる反射波を超音波受信器で検出すること
によって焼入硬化層深さの検査を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、単一の超音波受信器を用いて超音波の発
信、受信を行っている。このため、平板状の熱処理部材
の検査を行う場合には、一面側から入射した超音波が他
面側で反射されるから、十分な反射波が得られる。しか
し、例えば上ローラ、下ローラ等のようにパイプ状、ロ
ッド状に形成された熱処理部材では、超音波が反射され
る面が曲面となるため、超音波が散乱し、十分な反射波
を検出することができず、正確な焼入硬化層深さの検査
を行うことができないという問題がある。
【0006】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明はパイプ状、ロッド状等の形状に
形成された熱処理部材の焼入硬化層深さを非破壊で検査
することができる焼入硬化層深さ検査装置を提供するこ
とを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明による焼入硬化層深さ検査装置の構成は、表
面に硬化層が形成された試料に接触し前記試料内に向け
て超音波を発信する超音波発信器と、前記試料に接触し
前記超音波発信器から発信された超音波を前記試料を介
して受信する超音波受信器と、前記超音波発信器と超音
波受信器との間の離間距離を測定する距離測定手段と、
前記超音波発信器から発信した超音波を前記超音波受信
器によって受信し超音波発信器と超音波受信器との間に
介在する試料内を超音波が伝搬するときの伝搬時間を測
定する伝搬時間測定手段と、前記距離測定手段によって
測定された離間距離の測定値と前記伝搬時間測定手段に
よって測定れた伝搬時間の測定値とを用いて前記硬化層
の深さが予め決められた規定深さ寸法に適合するか否か
を評価する硬化層評価手段とからなる。
【0008】これにより、伝搬時間測定手段は、超音波
発信器から発信した超音波を超音波受信器によって受信
するまでの時間を計測することによって試料内での超音
波の伝搬時間を測定することができ、距離測定手段は、
超音波発信器と超音波受信器との間の離間距離を測定す
ることによって試料内での超音波の伝搬距離を測定する
ことができる。そして、硬化層評価手段は、距離測定手
段によって測定された離間距離の測定値と伝搬時間測定
手段によって測定された伝搬時間の測定値とを用いて超
音波が音速の速い硬化層内を伝搬したものであるか音速
の遅い硬化層以外の試料(母材)内を伝搬したものであ
るかを判定し、硬化層の深さが規定深さ寸法に適合する
か否かを評価することができる。
【0009】また、請求項2に係る発明では、前記硬化
層評価手段は、検査対象となる試料について前記超音波
発信器と超音波受信器との間の離間距離毎に試料内での
超音波の伝搬時間の関係を判定データとして予め記憶し
た記憶手段と、焼入硬化層深さの検査に際して前記距離
測定手段によって測定された離間距離の測定値と前記伝
搬時間測定手段によって測定された伝搬時間の測定値と
を用いて、前記記憶手段によって予め記憶された判定デ
ータを参照し、前記硬化層の深さが予め決められた規定
深さ寸法に適合するか否かを判定する硬化層深さ判定手
段とから構成している。
【0010】この場合、硬化層深さ判定手段は、例えば
距離測定手段によって測定された離間距離の測定値に対
応して記憶手段によって予め記憶された判定データを参
照し、この判定データと伝搬時間測定手段によって測定
された伝搬時間の測定値とを比較することによって硬化
層の深さが規定深さ寸法に適合するか否かを判定するこ
とができる。
【0011】また、請求項3に係る発明では、前記硬化
層評価手段は、前記超音波発信器と超音波受信器とを相
対的に移動させて離間距離を変化させる移動装置と、前
記移動装置によって前記超音波発信器と超音波受信器と
を相対的に移動させつつ前記距離測定手段によって測定
された離間距離の測定値と伝搬時間測定手段によって測
定された伝搬時間の測定値とを記憶する記憶手段と、前
記記憶手段によって記憶された離間距離の測定値と伝搬
時間の測定値とを用いて変曲点の位置を演算する変曲点
演算手段と、前記変曲点演算手段によって演算された変
曲点を用いて硬化層の深さ寸法を演算する深さ寸法演算
手段と、前記深さ寸法演算手段によって演算された硬化
層の深さ寸法値を用いて前記硬化層の深さが予め決めら
れた規定深さ寸法に適合するか否かを評価する硬化層深
さ評価手段とから構成している。
【0012】このように構成することにより、変曲点演
算手段は、記憶手段によって記憶された離間距離の測定
値と伝搬時間の測定値とを変曲点の位置を演算し、深さ
寸法演算手段は、変曲点演算手段によって演算された変
曲点を用いて硬化層と母材との間を超音波が通過すると
きの超音波発信器と超音波受信器との距離寸法を演算
し、この距離寸法を用いて硬化層の深さ寸法を演算する
ことができる。硬化層深さ評価手段は、深さ寸法演算手
段による演算された硬化層の深さ寸法値と予め決められ
た規定深さ寸法とを比較することによって硬化層の深さ
が規定深さ寸法に適合するか否かを評価することができ
る。
【0013】さらに、請求項4に係る発明では、前記変
曲点算定手段は、前記記憶手段によって記憶された離間
距離の測定値を伝搬時間の測定値に対して2階微分する
2階微分演算手段によって構成している。
【0014】上記構成によれば、2階微分演算手段によ
って前記記憶手段によって記憶された離間距離の測定値
を伝搬時間の測定値に対して2階微分し、伝搬時間の測
定値に対して2階微分による微分演算値をパルス状に変
化させることができ、この微分演算値のピークを検出す
ることによって変曲点を演算することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る焼入硬化層深
さ検査装置の実施の形態を、添付図面に従って詳細に説
明する。
【0016】ここで、図1ないし図7は本発明の第1の
実施例による焼入硬化層深さ検査装置を建設機械に用い
る上ローラ、下ローラの検査に適用した場合を例に挙げ
て示している。
【0017】1は検査対象となる試料で、前記試料1は
上ローラ、下ローラ等を構成する筒体として形成され、
浸炭焼入れ可能な鉄材が用いられている。そして、試料
1は、その外周側が焼入れされ硬化層2となり、内周側
が焼入れされていない母材と同材質の母材層3とからな
る。
【0018】次に、上記試料1の焼入硬化層深さを検査
する焼入硬化層深さ検査装置について説明する。
【0019】11は超音波を発信するための超音波発信
器としての発信プローブを示し、前記発信プローブ11
は、試料1に接触し試料1内に向けて超音波を発信し、
発信プローブ11は超音波を伝達するためのバッファ部
材12と前記バッファ部材12に設けられた圧電素子1
3とから構成されている。そして、バッファ部材12は
アクリル樹脂等によって略直方体状に形成され、その一
端側には切欠部12Aが設けられている。
【0020】13は超音波を発信するための圧電素子
で、圧電素子13は、例えばチタン酸バリウム(Ba T
i O3 )、チタン酸ジルコニア(PZT)、酸化亜鉛
(Zn O)等により平板状に形成されている。そして、
前記圧電素子13は、図2に示すようにバッファ部材1
2の切欠部12Aに固着されている。また、前記圧電素
子13の両面には、クロム(Cr )、金(Au )等の薄
膜からなる電極が真空蒸着されている。そして、前記圧
電素子13は、後述する超音波発信回路20から高周波
電圧等の発信信号Ei が印加されると圧電素子13が振
動し、ビーム状の超音波を発生させると共に、前記超音
波をバッファ部材12から試料1内に向って放射する。
【0021】そして、バッファ部材12と試料1との間
には、グリース等のマッチングオイルG等が塗布されて
おり、マッチングオイルGはバッファ部材12から放射
される超音波を試料1内に向って効率良く伝達してい
る。
【0022】また、圧電素子13から試料1内に放射さ
れた超音波は、検査精度や超音波の減衰等を考慮して例
えば1〜25MHzの周波数によって励振され、30〜
60度程度を広がり角度θをもって試料1内を伝搬す
る。
【0023】14は試料1に接触し発信プローブ11か
ら発信された超音波を受信する超音波受信器としての受
信プローブを示し、前記受信プローブ14は、図3に示
すように発信プローブ11とほぼ同様な構成をなし、超
音波を伝達するためのバッファ部材15と前記バッファ
部材15に設けられた圧電素子16とから構成されてい
る。そして、バッファ部材15はアクリル樹脂等によっ
て略直方体状に形成され、その一端側には切欠部15A
が設けられている。
【0024】16は超音波を受信するための圧電素子
で、圧電素子16は、例えばチタン酸バリウム(Ba T
i O3 )、チタン酸ジルコニア(PZT)、酸化亜鉛
(Zn O)等により平板状に形成されている。そして、
前記圧電素子13は、図3に示すようにバッファ部材1
5の切欠部15Aに固着されている。また、前記圧電素
子13の両面には、クロム(Cr )、金(Au )等の薄
膜からなる電極が真空蒸着されている。そして、前記圧
電素子16は、圧電素子13から放射された超音波によ
って振動すると共に、電圧等の受信信号Eo を発生させ
る。また、バッファ部材15と試料1との間には、試料
1内に放射された超音波をバッファ部材15内に向って
効率良く伝達するためにグリース等のマッチングオイル
G等が塗布されている。
【0025】17は発信プローブ11、受信プローブ1
4を移動可能に支持するガイド機構を示し、前記ガイド
機構17は、図1に示すように長尺のガイドレール17
Aと、ガイドレール17Aを支持するアーム部材17
B,17Cとから構成されている。そして、アーム部材
17Bは、その基端側がガイドレール17Aに固定的に
取付けられ、ガイドレール17Aからほぼ垂直方向に向
って延びると共に、その先端側には発信プローブ11が
取付けられている。また、アーム部材17Cの基端側に
はスライダ17Dが設けられ、スライダ17Dはガイド
レール17Aに対して移動可能に取付けられている。そ
して、アーム部材17Cは、ガイドレール17Aからほ
ぼ垂直方向に向って延びると共に、その先端側には受信
プローブ14が取付けられている。
【0026】18はガイド機構17に設けられたポテン
ションメータで、前記ポテンションメータ18は抵抗部
18Aとブラシ18Bとからなり、距離測定回路19と
共に距離測定手段を構成している。そして、ブラシ18
Bは、ガイド機構17のスライダ17Dに取付けられ、
受信プローブ14の移動に伴って抵抗部18A上を移動
する。これにより、ポテンションメータ18の抵抗値は
受信プローブ14の位置に対応して変化する。
【0027】19はポテンションメータ18に接続され
た距離測定回路19で、距離測定回路19はポテンショ
ンメータ18によって検出した抵抗値を電圧等の電気信
号に変換し、発信プローブ11と受信プローブ14との
間の離間距離Lを測定し、測定値La を出力する。
【0028】20は圧電素子13に発信信号Ei を印加
して圧電素子13を励振する超音波発信回路、21は圧
電素子16の受信信号Eo を後述の制御装置23によっ
て読込むために波形成形等の処理を行う超音波受信回路
である。
【0029】22は超音波発信回路20と超音波受信回
路21とに接続された伝搬時間測定手段としての伝搬時
間測定回路で、前記伝搬時間測定回路22は、発信プロ
ーブ11が発信した超音波を受信プローブ14によって
受信し、発信プローブ11と受信プローブ14との間に
介在する試料1内を超音波が伝搬するときの伝搬時間T
を測定する。
【0030】即ち、伝搬時間測定回路22は、図4に示
すように超音波発信回路20からパルス状の発信信号E
i を出力して圧電素子13から超音波を発信させる。そ
して、この超音波が受信プローブ14によって受信され
るときには、圧電素子16は受信信号Eo を出力し、超
音波受信回路21はこの受信信号Eo を処理する。これ
により、伝搬時間測定回路22は、超音波受信回路21
からの信号を検出し、超音波が受信プローブ14まで到
達したことを検知すると共に、発信プローブ11から発
信した超音波が受信プローブ14によって受信されるま
での時間を超音波の伝搬時間Tとして測定する。
【0031】23は硬化層評価手段としての制御装置
で、前記制御装置23は、図1に示すように判定データ
マップ24と伝搬時間判定回路25とから構成されてい
る。また、判定データマップ24は、制御装置23内に
予め記憶され、本発明の記憶手段を構成している。
【0032】ここで、判定データマップ24は、図5に
示すように発信プローブ11と受信プローブ14との間
の離間距離L毎に試料1内での超音波の伝搬時間Tの関
係を判定データとなる後述の特性線24A,24Bとし
て記憶している。そして、試料1の硬化層2を検査する
場合、判定データマップ24は、制御装置23によって
参照され、発信プローブ11と受信プローブ14とを測
定値La だけ離間して接触させたとき、試料1内を超音
波が伝搬するのに要する所要時間値τa を読出すのに使
用される。
【0033】さて、試料1は上ローラ、下ローラとして
焼入れを行った後に使用されるもので、この試料1の深
さ方向に向って形成される硬化層2と母材層3との境界
までの深さ寸法を、予め定められた規定深さ寸法D0 と
したとき(図6参照)、判定データマップ24は、この
規定深さ寸法D0 と、硬化層2内での超音波の音速V1
と、硬化層2よりも軟質の母材層3内での超音波の音速
V2 とに基づき、図5に示す特性線24A,24Bとし
て予め設定されている。なお、硬化層2内の音速V1
は、母材層3内の音速V2 よりも大きいことが知られて
いる(V2 >V1)。
【0034】次に、判定データマップ24の作成手順に
ついて図6を参照して述べるに、判定データマップ24
の特性線24A,24Bは以下の手順で決定される。
【0035】まず、規定深さ寸法D0 に相当する位置に
発信プローブ11と受信プローブ14とを設置したとき
の両者の距離寸法を規定値L0 とし、ローラ等の円筒状
の試料1について中心Oから外周側までの半径をRとす
ると、規定値L0 と規定深さ寸法D0 との間には幾何学
的に、下記数1、数2の関係が成立する。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】そして、離間距離Lの測定値La が規定値
L0 よりも短いときには、判定データマップ24の特性
線24Aは、伝搬時間Tに対する離間距離Lの傾きが音
速V1 に対応して設定される。一方、離間距離Lの測定
値La が規定値L0 よりも長いときには、判定データマ
ップ24の特性線24Bは、伝搬時間Tに対する離間距
離Lの傾きが音速V1 よりも小さい音速V2 (V2 <V
1 )に対応して設定される。そして、離間距離Lの測定
値La が規定値L0 と一致するときには、特性線24A
と特性線24Bとが折曲がった状態の特性として設定さ
れている。
【0039】即ち、離間距離Lの測定値La が規定値L
0 よりも短いときには、例えば図6に示すように発信プ
ローブ11と受信プローブ14との離間距離L1 だけ離
間して試料1に接触するから、発信プローブ11から受
信プローブ14まで伝搬する超音波はほぼ硬化層2内を
伝搬する。このため、超音波は硬化層2内の比較的速い
音速V1 で伝搬し、伝搬時間Tは離間距離Lと音速V1
とによって決定される。
【0040】一方、離間距離Lが規定値L0 よりも長い
ときには、発信プローブ11と受信プローブ14との離
間距離L2 だけ離間して試料1に接触するから、発信プ
ローブ11から受信プローブ14まで伝搬する超音波は
硬化層2を通過した後に母材層3内を伝搬し、再び硬化
層2を通過する。このため、超音波は硬化層2内を音速
V1 で伝搬すると共に、母材層3内を音速V2 で伝搬
し、伝搬時間Tは離間距離Lと音速V1 ,V2 とによっ
て決定される。
【0041】また、伝搬時間判定回路25は、硬化層深
さ評価手段を構成し、焼入硬化層深さの検査に際して距
離測定回路19によって測定された離間距離Lの測定値
Laと伝搬時間測定回路22によって測定された伝搬時
間Tの測定値Ta とを用いて、判定データマップ24を
参照し、硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 に適合する
か否かを判定する。
【0042】即ち、伝搬時間判定回路25は、離間距離
Lの測定値La に対応して判定データマップ24を参照
し、所要時間値τa を算定する。そして、伝搬時間測定
回路22による測定値Ta と判定データマップ24によ
る所要時間値τa との差の絶対値( |Ta −τa|)が一
定値ΔTよりも小さいときには硬化層2の深さが規定深
さ寸法D0 に適合するものと判定し、大きいときには不
適合であると判定する。ここで、一定値ΔTは所要時間
値τa の10%程度の値に予め設定されている。
【0043】26は制御装置23に接続された表示装置
を示し、前記表示装置26は、伝搬時間判定回路25に
よって硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 に適合するか
否かを表示する。
【0044】本実施例による焼入硬化層深さ検査装置は
上述の如き構成を有するもので、次に図7を参照して、
制御装置23による焼入硬化層深さ検査処理について説
明する。
【0045】まず、ステップ1では、距離測定回路19
によって発信プローブ11と受信プローブ14との間の
離間距離Lを測定し、測定値La を読込む。ステップ2
では伝搬時間測定回路22によって発信プローブ11と
受信プローブ14との間を伝搬する超音波の伝搬時間T
を測定し、測定値Ta を読込む。
【0046】次に、ステップ3では、制御装置23内の
判定データマップ24を読出し、次のステップ4では、
判定データを参照し、距離測定回路19による測定値L
a に対応して所要時間値τa を読出す。そして、次のス
テップ5では、伝搬時間測定回路22による測定値Ta
と判定データマップ24による所要時間値τa との差
(Ta −τa )を演算する。
【0047】そして、ステップ6では、この差値(Ta
−τa )の絶対値 |Ta −τa|が一定値ΔTよりも小さ
いか否かを判定する。いま、このステップ6で「NO」
と判定したときには、硬化層2の深さが規定深さ寸法D
0 よりも短過ぎまたは長過ぎるからステップ10に移っ
て不適合であると判定し、表示装置26によって硬化層
2の深さが規定深さ寸法D0 に適合しない旨を表示する
と共に、ステップ11に移って検査処理を終了する。
【0048】一方、ステップ6で「YES」と判定した
ときには、ステップ7に移って発信プローブ11と受信
プローブ14とを相対的に移動させ、発信プローブ11
と受信プローブ14との間の離間距離を変更する。そし
て、ステップ8で、検査処理を終了するか否かを判定す
る。ここで、試料1の焼入硬化層深さ検査処理では、硬
化層2の深さが規定深さ寸法D0 よりも長いか否かの判
定を行うためには、少なくとも1回は規定値L0 よりも
長い離間距離Lに対する検査を行う必要がある。このた
め、ステップ8では、例えば離間距離Lが規定値L0 よ
りも短いとき(L<L0 )と長いとき(L>L0 )に検
査を行ったか否かによって検査処理を終了するか否かの
判定を行う。
【0049】そして、ステップ8で「NO」と判定した
ときには、ステップ1〜7までの処理を行う。一方、ス
テップ8で「YES」と判定したときには、硬化層2の
深さが規定深さ寸法D0 に近い値であるから、ステップ
9に移って規定深さ寸法D0に適合すると判定し、適合
である旨を表示装置26によって表示すると共に、ステ
ップ11に移って検査処理を終了する。
【0050】かくして、本実施例では、距離測定回路1
9によって発信プローブ11と受信プローブ14との間
の離間距離Lを測定し、伝搬時間測定回路22によって
超音波の伝搬時間Tを測定し、さらに距離測定回路19
による測定値La と伝搬時間測定回路22による測定値
Ta とを用いて硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 に適
合するか否かの判定を行う構成としている。従って、本
実施例では、試料1の切断等を行う必要がなく、非破壊
で硬化層2の深さ寸法を検査することができると共に、
品質管理を行う上で作業工程の低減を行うことができ、
硬化層2の深さ寸法の評価を簡略化することができる。
【0051】また、試料1が円筒状やロッド状等の形状
に形成され、超音波を試料1内に向って発信したときに
試料1から十分な強度の反射波を受信することができな
いときでも、硬化層2の深さを検査することができる。
【0052】さらに、本実施例では、距離測定回路19
によって測定された離間距離Lの測定値La を用いて判
定データマップ24内の判定データを参照し、所要時間
値τa を読出すと共に、伝搬時間測定回路22によって
測定された伝搬時間Tの測定値Ta と所要時間値τa と
を用いて硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 に適合する
か否かを判定する構成としている。従って、試料1の検
査に際して、例えば規定値L0 よりも長い離間距離Lで
の伝搬時間Tを1回だけ測定するだけで、硬化層2の深
さを評価することができ、短時間で硬化層2の深さを検
査することができる。
【0053】次に、図8は本発明の第2の実施例を示
し、第2の実施例では、図7に示す検査処理とは異なる
方法で、焼入硬化層深さの検査を行うものである。
【0054】即ち、第1の実施例では離間距離Lの測定
値La を用いて判定データマップ24から所要時間値τ
a を読出し、伝搬時間Tの測定値Ta と所要時間値τa
とを比較することによって硬化層2の深さ寸法が規定深
さ寸法D0 に適合するか否かを判定する構成としたが、
本実施例では離間距離Lの測定値La と伝搬時間Tの測
定値Ta とを用いて判定データマップ24上の交点Kを
算出し、この交点が図5に示すように判定データマップ
24の適合範囲24C内か否かを判定することによって
硬化層2の深さ寸法を検査する構成としたものである。
【0055】ここで、本実施例による焼入硬化層深さの
検査処理を図8を用いて説明すると、ステップ21で
は、距離測定回路19によって発信プローブ11と受信
プローブ14との間の離間距離Lを測定し、測定値La
を読込む。ステップ22では伝搬時間測定回路22によ
って発信プローブ11と受信プローブ14との間を伝搬
する超音波の伝搬時間Tを測定し、測定値Ta を読込
む。
【0056】次に、ステップ23では離間距離Lの測定
値La と伝搬時間Tの測定値Ta とを用いて判定データ
マップ24上の交点Kを算出し、ステップ24では制御
装置23内の判定データマップ24を読出す。
【0057】そして、ステップ25では、交点Kが判定
データマップ24の適合範囲24C内か否かを判定し、
「NO」と判定したときには、硬化層2の深さ寸法が規
定深さ寸法D0 よりも短過ぎまたは長過ぎるからステッ
プ29に移って不適合であると判定し、表示装置26に
よって硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 に適合しない
旨を表示すると共に、ステップ30に移って検査処理を
終了する。
【0058】一方、ステップ25で「YES」と判定し
たときには、ステップ26に移って発信プローブ11、
受信プローブ14を移動させ発信プローブ11と受信プ
ローブ14との間の離間距離を変更する。そして、ステ
ップ27で例えば離間距離Lが規定値L0 よりも短いと
き(L<L0 )と長いとき(L>L0 )に検査を行った
か否かによって検査処理を終了するか否かの判定を行
う。
【0059】そして、ステップ27で「NO」と判定し
たときには、離間距離Lを変化させるために発信プロー
ブ11、受信プローブ14を移動させ、ステップ21〜
26までの処理を行う。
【0060】一方、ステップ27で「YES」と判定し
たときには、硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 に近い
値であるから、ステップ28に移って規定深さ寸法D0
に適合すると判定し、適合である旨を表示装置26によ
って表示すると共に、ステップ30に移って検査処理を
終了する。
【0061】本実施例による焼入硬化層深さの検査処理
は以上の如くであるが、本実施例においても第1の実施
例と同様の効果を有する。
【0062】次に、図9ないし図13は本発明の第3の
実施例を示し、本実施例の特徴は、発信プローブ11、
受信プローブ14を移動させつつ伝搬時間T、離間距離
Lを測定し、それぞれの測定値に基づき硬化層2の深さ
寸法を演算することにある。なお、本実施例では前記第
1の実施例と同一の構成には同一の符号を付し、その説
明を省略するものとする。
【0063】図9において、31はアーム部材17Cに
取付けられ受信プローブ14を矢示A方向に移動させる
移動装置としてのアクチュエータで、前記アクチュエー
タ31は、電動モータ等によって構成され、後述の制御
装置32によって制御される。そして、アクチュエータ
31は、アーム部材17Cを移動させることによって、
発信プローブ11と受信プローブ14とを相対的に移動
させ、離間距離Lを変化させる。
【0064】32は硬化層評価手段としての制御装置
で、前記制御装置32は、図9に示すように後述の記憶
回路33、2階微分演算回路35、深さ寸法演算回路3
7、硬化層深さ評価回路38から構成されると共に、距
離測定回路19、伝搬時間測定回路22、表示装置2
6、アクチュエータ31に接続されている。また、制御
装置32内には、予め定められた規定深さ寸法D0 と離
間距離Lの最大値Lmax とが記憶されている。
【0065】33は制御装置32内に設けられた記憶手
段としての記憶回路で、記憶回路33は焼入硬化層深さ
を検査するとき、離間距離Lの測定値La と伝搬時間T
の伝搬時間Ta とを複数回記憶するために用いられる。
即ち、前記記憶回路33は、アクチュエータ31によっ
て発信プローブ11と受信プローブ14との間の相対距
離を変化させながら、n回にわたって距離測定回路19
によって測定された測定値La1〜Lanと伝搬時間測定回
路22によって測定された測定値Ta1〜Tanとを制御装
置32内に記憶する。
【0066】35は記憶回路33に接続された2階微分
演算手段としての2階微分演算回路で、前記2階微分演
算回路35は、変曲点演算手段を構成し、記憶回路33
によって記憶された離間距離Lの測定値La1〜Lanを伝
搬時間Tの測定値Ta1〜Tanに対して2階微分し、微分
演算値αを下記数3の示すように算出する。
【0067】
【数3】
【0068】これにより、微分演算値αは、図12の特
性線36に示すように伝搬時間Tに対してパルス状の変
化する。
【0069】そして、2階微分演算回路35は、ピーク
ホールド回路(図示せず)等を有し、微分演算値αの最
大値α0 を検出する。このとき、図11に示す特性線3
4が屈曲する変曲点をHとすると、最大値α0 は、変曲
点Hに相当する伝搬時間Tと離間距離Lとして例えばk
番目の測定値Takと測定値Lakとによって算出される。
【0070】このため、2階微分演算回路35は、図1
2に示す特性線36を用いて最大値α0 を算出したとき
の時間値Takを読出す。そして、2階微分演算回路35
は、時間値Takと特性線34とを用いて特性線34上の
変曲点Hの位置を算定し、変曲点Hの位置に相当する発
信プローブ11と受信プローブ14との間の距離寸法値
Lakを制御装置32内から読出す。
【0071】37は2階微分演算回路35に接続された
深さ寸法演算手段としての深さ寸法演算回路で、前記深
さ寸法演算回路37は、2階微分演算回路35から出力
される距離寸法値Lakを用いて下記数4の式によって距
離寸法値Lakに対応した深さ寸法値Dk を算出する。
【0072】
【数4】
【0073】38は硬化層深さ評価手段としての硬化層
深さ評価回路で、深さ寸法演算回路37によって演算さ
れた深さ寸法値Dk と第1の実施例で定義された規定深
さ寸法D0 とを用いて、硬化層2の深さが規定深さ寸法
D0 に適合するか否かを判定する。そして、前記硬化層
深さ評価回路38は表示装置26に接続され、表示装置
26によって評価結果を表示する。
【0074】本実施例による焼入硬化層深さ検査装置は
上述の如き構成を有するもので、次に図13を参照して
制御装置32による焼入硬化層深さ検査処理について説
明する。ここで、焼入硬化層深さ検査処理をスタートす
るときには発信プローブ11、受信プローブ14は規定
値L0 よりも短い距離だけ離間して試料1に接触してい
るものとする。
【0075】まず、ステップ31では、距離測定回路1
9によって発信プローブ11と受信プローブ14との間
の離間距離Lを測定し、測定値La を読込む。ステップ
32では伝搬時間測定回路22によって発信プローブ1
1と受信プローブ14との間を伝搬する超音波の伝搬時
間Tを測定し、測定値Ta を読込む。
【0076】次に、ステップ33では、距離測定回路1
9による測定値La と伝搬時間測定回路22による測定
値Ta とを制御装置32内に記憶し、ステップ34では
アクチュエータ31を駆動し、受信プローブ14を試料
1の表面上で摺動変位させ、離間距離Lを増加させる。
【0077】そして、ステップ35では、距離測定回路
19による測定値La が最大値Lmax よりも大きい(L
a >Lmax )か否かを判別し、「NO」と判定したとき
には、測定値La ,Ta の記憶が終了していないから、
ステップ31〜34の処理を行う。
【0078】一方、ステップ35で「YES」と判定し
たときには、測定値La ,Ta の記憶は終了しているか
ら、ステップ36に移って測定値La1〜Lanと測定値T
a1〜Tanとを用いて伝搬時間Tに対する離間距離Lの2
階微分を行い、微分演算値αを算出する。そして、次の
ステップ37では、微分演算値αの最大値α0 を検出
し、変曲点Hの位置として距離寸法値Lakを読出す。
【0079】次に、ステップ38では、距離寸法値Lak
を用いて前記数4の式から深さ寸法値Dk を演算し、ス
テップ39では、制御装置32内から規定深さ寸法D0
を読出し、深さ寸法値Dk と規定深さ寸法D0 との差
(Dk −D0 )を演算する。
【0080】そして、次のステップ40では、この差値
(Dk −D0 )の絶対値( |Dk −D0|)が予め決めら
れた一定値ΔDよりも小さいか(ΔD> |Dk −D0|)
否かを判定する。ここで、一定値ΔDは深さ寸法の許容
範囲を示す定数であり、例えば規定深さ寸法D0 の10
%程度の値に予め設定されている。
【0081】そして、ステップ40で「YES」と判定
したときには、硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 に近
い値であるから、ステップ41に移って適合すると評価
し、適合である旨を表示装置26に表示すると共に、ス
テップ43に移って検査処理を終了する。
【0082】一方、ステップ40で「NO」と判定した
ときには、硬化層2の深さが規定深さ寸法D0 よりも短
過ぎまたは長過ぎるから、ステップ42に移って不適合
であると評価し、不適合である旨を表示装置26に表示
すると共に、ステップ43に移って検査処理を終了す
る。
【0083】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得るこ
とができるが、特に本実施例では、受信プローブ14を
発信プローブ11に対して相対的に移動させつつ離間距
離L、伝搬時間Tを測定し、測定値La1〜Lanと測定値
Ta1〜Tanとを用いて、2階微分を行った場合の微分の
最大値α0 に相当する硬化層2の深さ寸法値Dk を演算
する構成としている。従って、規定深さ寸法D0 に対す
る深さ寸法の大小を評価できると共に、規定深さ寸法D
0 と深さ寸法値Dk との差によって深さ寸法を定量的に
検査、評価でき、検査精度を向上させることができる。
【0084】また、本実施例では、2階微分演算回路3
5によって距離測定回路19によるn回の測定値La1〜
Lanを伝搬時間測定回路22による測定値Ta1〜Tanに
対して2階微分する構成としている。このため、変曲点
Hの位置となるk番目の距離寸法値Lakを確実に読出す
ことができ、硬化層2の深さ寸法値Dk を精度良く演算
することができる。
【0085】なお、各実施例では、上ローラ、下ローラ
等の円筒状に形成された試料1の検査に適用した場合を
例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではな
く、外形の形状が予め分かっているときには、例えば図
14に示すように突起部を有する試料1の焼入硬化層深
さの検査に適用してもよい。この場合、発信プローブ1
1、受信プローブ14を矢示B方向に向って移動させた
ときの移動量と伝搬時間とを測定し、伝搬時間が一定値
よりも増加したときの移動量から硬化層2の深さ寸法を
演算し、深さ寸法が規定深さ寸法に適合するか否かを判
定することができる。
【0086】また、各実施例では距離測定手段としてポ
テンションメータ18等を用いる構成としたが、本発明
はこれに限らず、ガイド機構17に目盛を設けこれを読
み取る構成としてもよく、ディジタル式のエンコーダや
光学式の距離測定装置を用いて発信プローブと受信プロ
ーブとの間の距離を測定してもよい。
【0087】また、第3の実施例では、2階微分演算回
路35は微分演算値αの最大値α0を用い、変曲点Hの
位置としてk番目に相当する距離寸法値Lakを演算する
構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば微分演算
値αが最大値α0 の10%程度の値となるときの短時間
側の時間値を用いて距離寸法値Lakを演算してもよい。
【0088】さらに、前記各実施例では、アクチュエー
タ31によって受信プローブ14を移動させる構成とし
たが、発信プローブ11を移動させる構成としてもよ
く、発信プローブ11、受信プローブ14をそれぞれ移
動させる構成としてもよい。
【0089】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明によ
れば、距離測定手段によって超音波発信器と超音波受信
器との間の離間距離を測定し、伝搬時間測定手段によっ
て超音波の伝搬時間を測定すると共に、距離測定手段に
よる離間距離の測定値と伝搬時間測定手段による伝搬時
間の測定値とを用いて硬化層の深さが規定深さ寸法に適
合するか否かの判定を行う構成としたから、試料の切断
等を行う必要がなく、非破壊で焼入硬化層深さを検査す
ることができると共に、品質管理を行う上で作業工程の
低減を行うことができ、硬化層の深さの評価作業を簡略
化することができる。
【0090】また、試料が円筒状やロッド状に形成さ
れ、超音波を試料内に向って発信したときに試料から十
分な強度の反射波を受信することができないときでも、
焼入硬化層深さを検査することができる。
【0091】また、請求項2の発明によれば、距離測定
手段による離間距離の測定値と伝搬時間測定手段による
伝搬時間の測定値とを用いて、記憶手段によって予め記
憶された判定データを参照し、硬化層の深さが予め決め
られた規定深さ寸法に適合するか否かを判定するから、
離間距離と伝搬時間とを少なくとも一回検出することに
よって硬化層の深さを判定することができ、短時間で焼
入硬化層深さを検査することができる。
【0092】また、請求項3の発明によれば、超音波発
信器と超音波受信器とを相対的に移動させつつ離間距離
と伝搬時間とを測定し、距離測定手段による離間距離の
測定値と伝搬時間測定手段による伝搬時間の測定値を用
いて硬化層の深さ寸法値を演算する構成としたから、規
定深さ寸法に対する深さ寸法値の大小を評価できると共
に、規定深さ寸法と深さ寸法値との差によって硬化層の
深さを定量的に検査、評価でき、検査精度を向上させる
ことができる。
【0093】さらに、請求項4の発明によれば、記憶手
段によって記憶された離間距離の測定値を伝搬距離の測
定値に対して2階微分する構成としたから、伝搬時間と
離間距離との関係から変曲点を容易に検出することがで
き、この変曲点を用いることによって硬化層の深さ寸法
を演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例による焼入硬化層深さ検査装置を
示す全体構成図である。
【図2】第1の実施例による発信プローブを拡大して示
す断面図である。
【図3】第1の実施例による受信プローブを拡大して示
す断面図である。
【図4】図1中の超音波発信回路による発信信号と超音
波受信回路による受信信号とを示す特性線図である。
【図5】第1の実施例による判定データマップを示す特
性線図である。
【図6】発信プローブと受信プローブを試料の外周に配
置した場合の配置関係を示す説明図である。
【図7】第1の実施例による焼入硬化層深さの検査処理
を示す流れ図である。
【図8】第2の実施例による焼入硬化層深さの検査処理
を示す流れ図である。
【図9】第3の実施例による焼入硬化層深さ検査装置を
示す全体構成図である。
【図10】第3の実施例による制御装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図11】第3の実施例による記憶回路によって記憶さ
れる離間距離の測定値と伝搬距離の測定値とを示す特性
線図である。
【図12】第3の実施例による2階微分演算回路による
演算値を示す特性線図である。
【図13】第3の実施例による焼入硬化層深さの検査処
理を示す流れ図である。
【図14】本発明による焼入硬化層深さ検査処理を突起
部を有する試料に適用した場合を示す要部断面図であ
る。
【符号の説明】
1 試料 2 硬化層 11 発信プローブ(超音波発信器) 14 受信プローブ(超音波受信器) 19 距離測定回路(距離測定手段) 22 伝搬時間測定回路(伝搬時間測定手段) 23,32 制御装置(硬化層評価手段) 24 判定データマップ(記憶手段) 25 伝搬時間判定回路(硬化層深さ判定手段) 31 アクチュエータ(移動装置) 33 記憶回路(記憶手段) 35 2階微分演算回路(2階微分演算手段) 37 深さ寸法演算回路(深さ寸法演算手段) 38 硬化層深さ評価回路(硬化層深さ評価手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に硬化層が形成された試料に接触し
    前記試料内に向けて超音波を発信する超音波発信器と、
    前記試料に接触し前記超音波発信器から発信された超音
    波を前記試料を介して受信する超音波受信器と、前記超
    音波発信器と超音波受信器との間の離間距離を測定する
    距離測定手段と、前記超音波発信器から発信した超音波
    を前記超音波受信器によって受信し超音波発信器と超音
    波受信器との間に介在する試料内を超音波が伝搬すると
    きの伝搬時間を測定する伝搬時間測定手段と、前記距離
    測定手段によって測定された離間距離の測定値と前記伝
    搬時間測定手段によって測定れた伝搬時間の測定値とを
    用いて前記硬化層の深さが予め決められた規定深さ寸法
    に適合するか否かを評価する硬化層評価手段とからなる
    焼入硬化層深さ検査装置。
  2. 【請求項2】 前記硬化層評価手段は、検査対象となる
    試料について前記超音波発信器と超音波受信器との間の
    離間距離毎に試料内での超音波の伝搬時間の関係を判定
    データとして予め記憶した記憶手段と、焼入硬化層深さ
    の検査に際して前記距離測定手段によって測定された離
    間距離の測定値と前記伝搬時間測定手段によって測定さ
    れた伝搬時間の測定値とを用いて、前記記憶手段によっ
    て予め記憶された判定データを参照し、前記硬化層の深
    さが予め決められた規定深さ寸法に適合するか否かを判
    定する硬化層深さ判定手段とから構成してなる請求項1
    に記載の焼入硬化層深さ検査装置。
  3. 【請求項3】 前記硬化層評価手段は、前記超音波発信
    器と超音波受信器とを相対的に移動させて離間距離を変
    化させる移動装置と、前記移動装置によって前記超音波
    発信器と超音波受信器とを相対的に移動させつつ前記距
    離測定手段によって測定された離間距離の測定値と伝搬
    時間測定手段によって測定された伝搬時間の測定値とを
    記憶する記憶手段と、前記記憶手段によって記憶された
    離間距離の測定値と伝搬時間の測定値とを用いて変曲点
    の位置を演算する変曲点演算手段と、前記変曲点演算手
    段によって演算された変曲点を用いて硬化層の深さ寸法
    を演算する深さ寸法演算手段と、前記深さ寸法演算手段
    によって演算された硬化層の深さ寸法値を用いて前記硬
    化層の深さが予め決められた規定深さ寸法に適合するか
    否かを評価する硬化層深さ評価手段とから構成してなる
    請求項1に記載の焼入硬化層深さ検査装置。
  4. 【請求項4】 前記変曲点算定手段は、前記記憶手段に
    よって記憶された離間距離の測定値を伝搬時間の測定値
    に対して2階微分する2階微分演算手段によって構成し
    てなる請求項3に記載の焼入硬化層深さ検査装置。
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