JP3707962B2 - 超音波検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体の非破壊検査に適用される超音波検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平10−318995号公報等に記載されているように、超音波モードの1つである漏洩弾性表面波の音速変化から、被検体の応力分布や破壊靭性値、それに熱脆化や粒界腐蝕といった材料の劣化度を非破壊で評価する技術が知られている。
【0003】
図13は従来よりこの種の非破壊検査に適用されている超音波プローブの一例を示す要部断面図及び平面図であって、これらの図から明らかなように、本例の超音波プローブ101は、平面形状が円形に形成された単一型の振動子102と、当該振動子102から送信された超音波を収束して被検体Sに入射する凹レンズ型の音響レンズ103とを備えた構成になっており、振動子102の周囲には、通常、必要以上の振動の発生を抑制するため、ダンパ材101aが設けられる。振動子102は、表裏両面に電極が設けられた圧電薄膜をもって構成される。一方、音響レンズ103は、アルミニウム等の超音波伝搬速度が大きな物質をもって構成され、振動子102の設定面103aが平面状に形成され、これと対向するレンズ曲率面103bが球面状に形成されている。前記振動子102は、接着等の手段によって音響レンズ103の振動子設定面103aに固定される。
【0004】
被検体の劣化度等の評価に際し、超音波プローブ101は、3次元方向に移動する機械式スキャナ(図示省略)に固定され、水中で被検体Sと対向に配置される。その高さ位置は、図13(a)に示すように、被検体Sの表面よりもやや下方に音響レンズ103の焦点Pがくるように調整される。図中の符号ΔZは、被検体Sの表面から焦点Pまでのデフォーカス量を示している。この状態で、振動子102の電極に図示しない制御部から駆動電圧を供給すると、振動子102が駆動し、当該振動子102から送信された超音波が音響レンズ103及び水を通って被検体Sに入射する。また、被検体Sからの反射波及び漏洩波は、水及び音響レンズ103を通って振動子102に受信される。
【0005】
振動子102から送信された超音波のうち、斜角経路A→B→Cを通って被検体Sの表面にレーリー臨界角θL で入射した斜角入射波は、漏洩弾性表面波に変換され、被検体Sの表面に沿って進行する。この漏洩弾性表面波は、入射点Cから被検体Sの表面を伝搬する間にレーリー臨界角θL で漏洩し、被検体表面のD点で漏洩した漏洩波は、経路D→E→Fを通って振動子102に受信される。一方、振動子102から送信された超音波のうち、垂直経路G→H→Iを通って被検体Sの表面に入射した垂直入射波は、被検体Sによって反射され、その反射波(垂直反射波)が垂直経路I→H→Gを通って振動子2に受信される。
【0006】
振動子102による漏洩波と垂直反射波との受信タイミングには、振動子102から斜角入射波及び垂直入射波が送信されてから漏洩波及び垂直反射波が振動子102に受信されるまでの各波の行程差に基づく時間差があり、この時間差Δtと、超音波プローブ101と被検体Sとの間に介在する超音波媒質である水中を伝搬する超音波の音速VW と、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZとから、次式によって漏洩弾性表面波の音速VL を算出することができ、当該漏洩弾性表面波の音速VL の変化から被検体Sの劣化度等を評価することができる。
【0007】
【数1】
Figure 0003707962
【0008】
図14に、振動子102によって受信された漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vを示す。前記時間差Δtは、この漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとのピーク間の時間差を計測することによって求められる。また、水中を伝達する超音波の音速VW も、測定により求めることができる。さらに、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZは、被検体Sの表面の位置と、超音波プローブ101の設定位置と、音響レンズ103の焦点距離とから求めることができる。
【0009】
なお、漏洩弾性表面波の音速VL を求める方法としては、上述の方法のほかに、振動子102からの入射波をバースト波として漏洩波と垂直反射波とを積極的に干渉させ、その干渉波の変化曲線(V(z)曲線)のディップ周期から求める方法もあるが、本発明とは直接的に関係しないので、説明を省略する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前出の(1)式から漏洩弾性表面波の音速VL を求め、被検体Sの劣化度等を評価するためには、振動子102の受信信号から漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとを明確に分離でき、その時間差Δtを計れることが前提となる。一般に、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを大きくすると、漏洩弾性表面波の伝搬距離が長くなって、経路A→B→C→D→E→Fと経路G→H→I→H→Gの行程差が大きくなり、図14に示すように時間軸上で漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとが分離して時間差Δtの測定が可能になるが、本願発明者らの研究によると、母材の表面に例えば溶射皮膜などの漏洩弾性表面波が減衰しやすい被膜が施された被検体については、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを種々変更しても漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとを明確に分離できず、時間差Δtを求めることができないことが判明した。即ち、本願発明者らは、母材の表面に厚さ0.1mmのWC系溶射材料からなる溶射皮膜が施された被検体について実験を行ったところ、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを大きくすると漏洩弾性表面波の減衰が大きくなって漏洩波のエコー波形Lを検出することが困難になり、反対に、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを小さくすると垂直反射波のエコー波形Vに漏洩波のエコー波形Lが埋没して両者を明確に分離することができず、時間差Δtを求めることができなかった。
【0011】
これについて理論的な解析を加えると、前記の被検体にのど厚(図13(a)のGH間)が5mmのアルミニウム製(音速=6400m/s)の音響レンズからデフォーカス量ΔZを0.2mmとして10MHzの超音波パルスを送信した場合、WC系溶射皮膜を伝搬する漏洩弾性表面波の音速VL は約2300m/s(表面を研磨した同種の溶射皮膜を用いて予め計測した値)であり、レーリー臨界角は約41度であるので、図13(a)に示した経路G→H→I→H→Gを伝搬する垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間が10.05μsであるのに対して、図13(a)に示した経路A→B→C→D→E→F経路を伝搬する斜角入射波、漏洩弾性表面波及び漏洩波の伝搬時間は10.1μsであり、その差が50nsとなって使用周波数の周期(100ns)の半分しかないので、仮に微弱な漏洩波が受信されていても、時間差Δtを求めることができない。
【0012】
また、前出の(1)式から漏洩弾性表面波の音速VL を求め、被検体Sの劣化度等を評価するためには、超音波プローブ101と被検体Sとの間に介在される水中を伝搬する超音波の音速VW を特定する必要があるが、周知のように水中を伝搬する超音波の音速VW は水温によって変化し、通常用いる範囲では1℃の差で数m/sも変化するので、(1)式により漏洩弾性表面波の音速VL を精度良く求めるためには、試験毎に水温を測定する必要がある。このため、従来の超音波検査装置にあっては、水温を測定するための温度センサが必要で構造が複雑化すると共に、漏洩弾性表面波の音速VL を測定する毎に水温を測定して水の音速を求めるといった煩雑な手順を経なくてはならないので、漏洩弾性表面波の音速VL の測定、ひいては被検体の劣化度等の検査を効率的に行うことが難しいという不都合がある。
【0013】
なお、前記においては、被検体の応力分布や破壊靭性値それに熱脆化や粒界腐蝕といった材料の劣化度を例にとって説明したが、被検体表面におけるクラックの有無や被検体表面に設けられた被膜の剥離の有無など、被検体表面の健全性を評価する場合にも、同様の不都合がある。
【0014】
本発明は、かかる従来技術の不備を解決するためになされたものであって、その課題は、水温を測定することなく漏洩弾性表面波の音速を高精度に算出することができる超音波検査装置を提供すること、さらには、漏洩弾性表面波の減衰が大きい被検体についても水温を測定することなく漏洩弾性表面波の音速を高精度に算出することができる超音波検査装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を達成するため、超音波プローブ及び当該超音波プローブを被検体に対して移送する機械式スキャナを有する超音波走査部と、当該超音波走査部の駆動部と、当該駆動部を介して前記超音波走査部を制御し、所望の超音波検査を実行する演算処理部とを備えた超音波検査装置において、前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第1の深さ位置に設定して超音波を送信したときの斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間と前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第2の深さ位置に設定して超音波を送信したときの斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間との差分、及び前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第1の深さ位置に設定して超音波を送信したときの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間と前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第2の深さ位置に設定して超音波を送信したときの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間との差分を元に、前記演算処理部にて漏洩弾性表面波の音速を算出するという構成にした。
【0016】
前記構成の超音波検査装置において、前記第1の深さ位置は前記被検体の表面とすることができ、前記第2の深さ位置は前記超音波プローブから送信される超音波によって前記被検体に漏洩弾性表面波が発生する位置とすることができる。
【0017】
図11に示すように音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面に合致させたときに経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL0と、図3に示すように音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面から内側にずらしたときに経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1との時間差ΔtL は、音響レンズ3のデフォーカス量をΔZ、レーリー臨界角をθL 、水の音速をVW 、漏洩弾性表面波の音速をVL としたとき、
【0018】
【数2】
Figure 0003707962
【0019】
で表され、スネルの法則からVW=VLsinθLであることを利用して(2)式からθL を消去すると、下記の(3)式が得られる。
【0020】
【数3】
Figure 0003707962
【0021】
一方、音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面に合致させたときに経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV0と音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面からずらしたときに経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV1との時間差ΔtV は、下記の(4)式で表される。
【0022】
【数4】
Figure 0003707962
【0023】
この(4)式から、水の音速VW は、下記の(5)式で求められる。
【0024】
【数5】
Figure 0003707962
【0025】
ここで、(5)式を(3)式に代入すれば、水の音速VW を変数に含まない漏洩弾性表面波の音速VL を求める下記の(6)式を得ることができる。
【0026】
【数6】
Figure 0003707962
【0027】
したがって、超音波プローブの焦点を被検体Sの表面に合致して測定した斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間と超音波プローブの焦点を被検体の内部に設定して測定した斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間との差分ΔtL 、超音波プローブの焦点を被検体Sの表面に合致して測定した垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間と超音波プローブの焦点を被検体の内部に設定して測定した垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間との差分ΔtV 及び音響レンズ3のデフォーカス量をΔZとから漏洩弾性表面波の音速を算出することができ、超音波検査装置の構成の簡略化と演算の効率化を図ることができる。
【0028】
なお、超音波プローブとしては、前出の図13に示すように、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路(G→H及びH→G)における超音波の伝搬速度と斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路(A→B及びE→F)における超音波の伝搬速度とが同じである均質な音響レンズ103を備えたものを用いることもできるし、例えば図3に示すように、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路(G→I及びI→G)における超音波の伝搬速度と斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路(A→B及びE→F)における超音波の伝搬速度とが異なる音響レンズ3を備えたものを用いることもできる。
【0029】
図13の超音波プローブは、漏洩弾性表面波の減衰が小さく、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとが時間軸上で分離できて、(6)式における時間差ΔtL 及びΔtV の算出が可能な被検体の検査に適用される。これに対して、図3に例示する超音波プローブは、この種の被検体のみならず、例えば溶射皮膜が形成された被検体のように、漏洩弾性表面波の減衰が大きいために、図10の超音波プローブでは垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとが時間軸上で分離できず、したがって(6)式における時間差ΔtL 及びΔtV を算出することができない被検体の検査にも適用することができる。
【0030】
なお、音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、音響レンズの斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせる手段としては、
(a)音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に、振動子の設定面からそれと対向するレンズ曲率面まで貫通する透孔を開設する、
(b)音響レンズのレンズ曲率面にくぼみを形成する、
(c)音響レンズに開設された透孔内、若しくは音響レンズの振動子設定面又はレンズ曲率面に形成されたくぼみ内に、当該音響レンズを構成する素材よりも超音波の伝搬速度が遅い素材からなる充填物を充填する、
(d)音響レンズに開設された透孔内、若しくは音響レンズの振動子設定面又はレンズ曲率面に形成されたくぼみ内に、当該音響レンズを構成する素材よりも超音波の伝搬速度が速い素材からなる充填物を充填する、
といった手段がある。
【0031】
なお、前記(c)の具体例としては、アルミニウムからなる音響レンズの透孔内又はくぼみ内に樹脂を充填したものを挙げることができる。また、前記(d)の具体例としては、樹脂からなる音響レンズの透孔内又はくぼみ内にアルミニウムの円筒体を圧入するか、アルミニウムからなる心材の周囲に樹脂をアウトサートモールドして音響レンズとしたものを挙げることができる。
【0032】
音響レンズ及び振動子の形状については何ら制限があるものではなく、曲率面が球面状に形成された凹レンズに平面形状が円形に形成された単一型の振動子を備えることもできるし、シリンドリカルレンズに単一型又はアレイ型の振動子を備えることもできる。
【0033】
音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、音響レンズの斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせると、漏洩弾性表面波の減衰が大きいためにデフォーカス量ΔZを大きくできない場合にも、振動子による垂直反射波の受信タイミングと漏洩波の受信タイミングとをずらすことができるので、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとを時間軸上で明確に分離できるようになり、各エコーの伝搬時間を求めることが可能になる。したがって、前出の(6)式を用いて漏洩弾性表面波の音速VL が簡便に求められる。よって、このことから、母材の表面に溶射皮膜などの漏洩弾性表面波を減衰しやすい被膜が施された被検体についても、その応力分布や破壊靭性値それに熱脆化や粒界腐蝕といった材料の劣化度、並びに被検体表面におけるクラックの有無や被検体表面に設けられた被膜の剥離の有無といった被検体の健全性を非破壊で評価することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る超音波検査装置の全体構成を、図1及び図2に基づいて説明する。図1は超音波検査装置のブロック図、図2は超音波検査装置における超音波プローブ設定部の一部断面した斜視図である。
【0035】
これらの図に示すように、本例の超音波検査装置は、被検体Sの表面に沿って超音波を二次元走査する超音波走査部10と、当該超音波走査部10の駆動部20と、当該駆動部20を介して前記超音波走査部10を制御し、超音波の受信波形から被検体の応力分布や破壊靭性値それに劣化度等の所望の検査結果を演算によって求める演算処理部30と、当該演算処理部30にて得られた超音波検査結果を表示する表示部40とから主に構成されている。
【0036】
超音波走査部10は、図2に示すように、超音波プローブ1と、当該超音波プローブ1及び被検体Sを収納する水Wが貯えられた水槽11と、超音波プローブ1を三次元方向に駆動する機械式スキャナ12とからなる。機械式スキャナ12は、水槽11の相平行な2辺に沿ってY−Y方向に配置された一対のY軸ガイド13と、当該Y軸ガイド13によってY−Y方向に案内されるY軸スライダ14と、当該Y軸スライダ14に両端が固定され、X−X方向に配置されたX軸ガイド15と、当該X軸ガイド15によってX−X方向に案内されるX軸スライダ16と、当該X軸スライダ16に垂直に固定されたZ軸ガイド17と、前記超音波プローブ1を保持し、前記Z軸ガイド17によってZ−Z方向に案内されるZ軸スライダ18を有しており、前記各スライダ14,16,18は、図1に示す3つのモータM1〜M3によって駆動される。これらの各モータには、ロータリーエンコーダ等の位置信号出力装置が備えられており、各スライダ14,16,18の座標信号を演算処理部30にて検出できるようになっている。
【0037】
駆動部20には、超音波プローブ1からの超音波の発信と超音波プローブ1による超音波の受信とを行うパルサー/レシーバー21と、当該パルサー/レシーバー21の受信信号をデジタル変換するA/D変換器22と、前記機械式スキャナ12に備えられた3つのモータM1〜M3を駆動するモータドライバ23とが備えられている。
【0038】
また、演算処理部30には、CPU31と、キーボードやマウス等の入力手段32と、当該入力手段32からの指令によって駆動するトリガー33及びモータコントローラ34と、A/D変換された受信信号をモータドライバ23及びモータコントローラ34を介してモータ(M1〜M3)から取り込まれた座標信号と共に蓄積する第1のメモリ35と、トリガー33からの信号によって起動されCPU31による信号処理のゲートを設定するタイマー36と、CPU31による信号処理の手順を記憶した第2のメモリ37とが備えられている。
【0039】
したがって、本例の超音波検査装置は、入力手段32を操作することによって機械式スキャナ12に備えられたモータM1〜M3を駆動することができ、水槽11内に設定された被検体Sに対する超音波プローブ1の位置決めを行うことができる。このときの超音波プローブ1の座標信号は、モータドライバ23及びモータコントローラ34を介して第1のメモリ35に取り込まれる。この状態から、入力手段32を操作することによって、パルサー/レシーバー21及びモータコントローラ34を駆動することができ、超音波プローブ1を被検体Sの表面に沿って二次元的に移動しつつ、超音波プローブ1からの超音波の送信と超音波プローブ1による超音波の受信とを行うことができる。超音波プローブ1によって受信された超音波は、A/D変換器22によってA/D変換され、モータドライバ23及びモータコントローラ34を介してモータM1〜M3より取り込まれた座標信号と共に第1のメモリ35に蓄積される。CPU31は、タイマー36に設定されたゲートごとに第1のメモリ35に蓄積された信号を取り込んで、第2のメモリ37に記憶された信号処理手順に基づいてその信号処理を行い、その処理結果を表示装置40に色調表示する。
【0040】
以下、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの構成について説明する。
【0041】
〈超音波プローブの第1例〉
まず、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第1例を、図3及び図4に基づいて説明する。図3(a),(b)は本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第1例を示す要部断面図及び平面図、図4は振動子によって受信される漏洩波及び垂直反射波のエコー波形図である。
【0042】
図3(a),(b)から明らかなように、本例の超音波プローブ1Aは、従来例に係る超音波プローブ101と基本的構成は同じであり、平面形状が円形に形成された単一型の振動子2と、当該振動子2から送信された超音波を収束して被検体Sに入射する円筒型の音響レンズ3とを備えた構成になっている。本例の超音波プローブ1Aは、音響レンズ3として、その中央部に、振動子2の設定面3aからレンズ曲率面3bまで貫通する透孔4を開設したことを特徴とする。透孔4の直径は、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬範囲以上に設定すれば足りるが、雑音の受信を極力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝搬を阻害しない範囲内で可能な限り大きくする方が好ましい。その他については、従来例に係る超音波プローブ101と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0043】
前記したように、超音波プローブは、被検体Sの評価に際して、被検体Sと共に水中に配置される。したがって、音響レンズ3の中央部に透孔4が開設された本実施形態例の超音波プローブ1Aを用いると、図3(a)に示すように、振動子2の斜角経路A→B→C及びD→E→Fと被検体Sとの間には、超音波の伝搬速度が高いアルミニウム製の音響レンズ3(音速=約6400m/s)と超音波の伝搬速度が低い水(19℃で約1480m/s、26℃で約1500m/s)とが介在するのに対して、振動子2の垂直経路G→I及びI→Gと被検体Sとの間には、超音波の伝搬速度が低い水のみが介在することになるので、経路A→B→C→D→E→Fを通る斜角入射波、漏洩弾性表面波及び漏洩波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを通る垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間の方が長くなり、図4に示すように、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとが分離し、かつ漏洩波のエコー波形Lの方が表面反射波のエコー波形Vよりも先行した受信信号が得られる。したがって、漏洩波のエコー波形Lと表面反射波のエコー波形Vとの時間差Δtを求めることができ、前出の(6)式から漏洩弾性表面波の音速VL を求めることができるので、当該漏洩弾性表面波の音速変化から例えば被検体Sの応力分布や破壊靭性値それに熱脆化や粒界腐蝕といった材料の劣化度、並びに被検体表面におけるクラックの有無や被検体表面に設けられた被膜の剥離の有無といった被検体表面の健全性を非破壊で評価することができる。
【0044】
前記と同様に、母材の表面に厚さ0.1mmのWC系溶射皮膜が施された被検体とレンズのど厚が5mmのアルミニウム製音響レンズを用い、デフォーカス量ΔZを0.2mm、使用周波数を10MHz、漏洩弾性表面波の音速VL を2300m/s、レーリー臨界角を41度として垂直波Vと漏洩弾性表面波Lの時間差Δtを求めると、経路A→B→C→D→E→Fを伝搬する超音波の伝搬時間が約10μsであるのに対して、経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間は約15μsであり、その差が5μs(使用周波数の周期の50倍)となって、溶射被膜を有する被検体においても両波を分離できることが判る。
【0045】
なお、前例においては、使用周波数を10MHzとしたが、5〜20MHzの範囲で変更した場合にも同様の結果が得られた。
【0046】
〈超音波プローブの第2例〉
次に、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第2例を、図5に基づいて説明する。図5は第2例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0047】
第2例の超音波プローブ1Bは、音響レンズ3の中央部(垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路)に透孔4を開設する構成に代えて、音響レンズ3のレンズ曲率面3bの中央部にくぼみ5を形成したことを特徴とする。
【0048】
この超音波プローブ1Bを用いた場合にも、第1例に係る超音波プローブ1Aと同様に、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間を相対的に遅らせることができるので、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lの分離が可能になる。また、本例の音響レンズ3は、振動子設定面3aが閉じているので、振動子2の設定を容易かつ確実に行うことができるという効果もある。
【0049】
〈超音波プローブの第3例〉
次に、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第3例を、図6に基づいて説明する。図6は第3例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0050】
第3例の超音波プローブ1Cは、音響レンズ3の中央部に単に透孔4を開設するかくぼみ5を形成する構成に代えて、開設された透孔4内又は形成されたくぼみ5内に音響レンズ3を構成する素材とは超音波の伝搬速度が異なる素材からなる充填物6を充填したことを特徴とする。図6(a)は音響レンズ3の中央部に開設された透孔4内に充填物6を充填した場合、図6(b)は音響レンズ3の振動子設定面3aに形成されたくぼみ5内に充填物6を充填した場合、図6(c)は音響レンズ3のレンズ曲率面3bに形成されたくぼみ5内に充填物6を充填した場合を示している。
【0051】
音響レンズ3を構成する素材と充填物6とは、超音波の伝搬速度の差が大きいほど好ましく、音響レンズ3がアルミニウム(音速=6400m/s)をもって構成される場合には、充填物6としてはアクリル樹脂等の樹脂材料(音速=2000〜2500m/s)が好適に用いられ、反対に音響レンズ3が樹脂材料をもって構成される場合には、充填物6としてはアルミニウムが好適に用いられる。充填部6として樹脂を用いる場合には、開設された透孔4又は形成されたくぼみ5内に充填物である樹脂をポッティングすることによって音響レンズ3を製造することができる。また、充填部6として固体を用いる場合には、開設された透孔4又は形成されたくぼみ5内に充填物である固体を圧入することによっても音響レンズ3を製造することができる。さらに、音響レンズ3が樹脂材料から構成される場合には、アルミニウム等の充填物6の周囲に樹脂をアウトサート成形することによっても所望の音響レンズ3を製造することができる。
【0052】
勿論、音響レンズ3を構成する素材よりも超音波の伝搬速度が低い充填物6を充填した場合には、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間が相対的に遅くなって、図4に示すように漏洩波のエコー波形Lの方が垂直反射波のエコー波形Vより先行した形になり、逆に、音響レンズ3を構成する素材よりも超音波の伝搬速度が高い充填物6を充填した場合には、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間が相対的に速くなって、図14に示すように垂直反射波のエコー波形Vの方が漏洩波のエコー波形Lより先行した形になる。
【0053】
本例の超音波プローブ1Cは、音響レンズ3における垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路G→I及びI→Gと斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路A→B→C及びD→E→Fとを音速が異なる素材で構成したので、各経路を通る超音波の伝搬時間の差が大きくなって、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lの分離が可能になると共に、音響レンズ3の振動子設定面が閉じた形になるので、振動子2の設定を容易かつ確実に行うことができる。
【0054】
〈超音波プローブの第4例〉
次に、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第4例を、図7(a),(b)に基づいて説明する。図7(a),(b)は第4例に係る超音波プローブの平面方向から見た要部斜視図及び底面方向から見た要部斜視図である。
【0055】
第4例の超音波プローブ1Dは、図7(a)に示すように、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2として複数個の振動子2a〜2nが隣接して一方向に配列されたアレイ型の振動子を備えたことを特徴とする。このシリンドリカルレンズの底面の垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路には、図7(b)に示すように、透孔4が開設されている。なお、シリンドリカルレンズの底面に透孔4を開設する構成に代えてくぼみを形成することも可能であり、さらには、開設された透孔又は形成されたくぼみ内に、斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路とは超音波の伝搬速度が異なる充填物を充填することも勿論可能である。
【0056】
本例の超音波プローブ1Dは、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2としてアレイ型の振動子を備えたので、被検体Sの表面を面状にトレースすることができ、円筒形の音響レンズに平面形状が円形の単一型の振動子を備えた場合に比べて、被検体Sの検査効率を高めることができる。
【0057】
〈超音波プローブの第5例〉
次に、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第5例を、図8に基づいて説明する。図8は第5例に係る超音波プローブの平面方向から見た要部斜視図である。
【0058】
第5例の超音波プローブ1Eは、図8に示すように、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2として単一型の振動子を備えたことを特徴とする。このシリンドリカルレンズの底面の垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路には、図7(b)に示したと同様に、透孔4が開設される。勿論、シリンドリカルレンズの底面に透孔4を開設する構成に代えてくぼみを形成することも、開設された透孔又は形成されたくぼみ内に、斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路とは超音波の伝搬速度が異なる充填物を充填することも可能である。
【0059】
本例の超音波プローブ1Dは、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2として単一型の振動子を備えたので、被検体Sの表面に超音波ビームを線状に照射することができるので、円筒形の音響レンズに平面形状が円形の単一型の振動子を備えた場合に比べて、被検体Sの検査効率を高めることができる。
【0060】
〈超音波プローブの第6例〉
次に、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第6例を、図9に基づいて説明する。図9は第6例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0061】
第6例の超音波プローブ1Fは、従来例に掲げた超音波プローブ101と同一構成であって、音響レンズ3として、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に透孔やくぼみ、それに充填物が設けられておらず、全体が均質に構成されていることを特徴とする。
【0062】
本例の超音波プローブ1Fを用いた場合には、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとを分離できないが、漏洩弾性表面波の減衰が小さい被検体については、水温の測定を行うことなく、所望の超音波検査を実行することができる。
【0063】
〈超音波プローブの第7例〉
次に、本発明の超音波検査装置に備えられる超音波プローブの第7例を、図10に基づいて説明する。図10は第7例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0064】
第7例の超音波プローブ1Gは、音響レンズを備えず、プローブ本体1aに形成された凹面1bに平面形状が円形に形成された振動子2を設定したことを特徴とする。
【0065】
本例の超音波プローブ1を用いた場合にも、第5例に係る超音波プローブ1Fを用いた場合と同様に、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとを分離できないが、漏洩弾性表面波の減衰が小さい被検体については、水温の測定を行うことなく、所望の超音波検査を実行することができる。
【0066】
以下、本発明に係る超音波検査装置を用いた超音波検査方法の一例を、前出の図3(a)並びに図11及び図12に基づいて説明する。この検査方法は、水温の測定を行うことなく、漏洩弾性表面波の音速VL を算出できるようにしたことを特徴とする。図11は音響レンズの焦点を被検体の表面に合致した場合における超音波プローブの配置を示す説明図であり、図12は超音波検査方法の手順を示すフローチャートである。図12に示した超音波検査方法の手順は、図1に示した第2のメモリ37に記憶される。
【0067】
まず、手順S1で、機械式スキャナ12のZ軸スライダ18を駆動して超音波プローブ1を被検体Sに接近する方向又は被検体Sから離隔する方向に移動し、図11に示すように、音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に合致させる。音響レンズ3の焦点が被検体Sの表面に合致すると、漏洩波のエコーレベルが最大になるので、音響レンズ3の焦点が被検体Sの表面に合致したことを知ることができる。
【0068】
手順S2で、振動子2から超音波を送信し、経路A→B→C(D)→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL0と、経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV0を計測する。また、Z軸スライダ18の出力値Z0 の読み込みを行う。
【0069】
次に、手順S3,S4で、漏洩弾性表面波を検出するまで超音波プローブ1を被検体Sに接近させる。超音波プローブ1の停止位置は、必ずしも漏洩弾性表面波のエコーレベルが最大になる位置とする必要はなく、漏洩弾性表面波を検出できる範囲内で任意に設定できる。漏洩弾性表面波が検出されたとき、超音波プローブ1は、図3(a)に示す位置になり、音響レンズ3の焦点位置は、被検体Sの表面からデフォーカス量ΔZだけ内側になる。
【0070】
手順S5で、振動子2から超音波を送信し、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1と、経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV1を計測する。また、Z軸スライダ18の出力値Z1 の読み込みを行う。
【0071】
次いで手順S6に移行し、手順S2で計測された経路A→B→C(D)→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL0と手順S5で計測された経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1との時間差ΔtL(=tL0−tL1)、手順S2で計測された経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV0と手順S5で計測された経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV1との時間差ΔtV(=tV0−tV1)及び手順S2で計測されたZ軸スライダ18の出力値Z0 と手順S5で計測されたZ軸スライダ18の出力値Z1 の差、即ち音響レンズ3のデフォーカス量ΔZ(=Z0−Z1)を算出する。
【0072】
最後に、これらの算出値から、前出の(6)式を用いて漏洩弾性表面波の音速VL を求める。
【0073】
(6)式は水の音速VW を変数に含まないので、この式に基づけば、水の音速VW を測定することなく漏洩弾性表面波の音速VL を算出することができる。なお、上記においては説明を省略したが、上記の検査方法を実行するに際しては、機械式スキャナ12のY軸スライダ14及び/又はX軸スライダ16を適宜駆動して、被検体Sの表面に沿って超音波プローブ1を走査することはもちろんである。
【0074】
なお、図12の超音波検査方法においては、手順S1で音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に合致させたが、この手順において音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に完全に合致させなければ所要の超音波検査を実行できないというものではなく、音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面よりやや内側に位置付けることもできる。この場合には、手順S3,S4において、音響レンズ3の焦点位置が、手順S1で設定された音響レンズ3の焦点位置よりもさらに被検体Sの内側に移動される。
【0075】
【発明の効果】
本発明の超音波検査装置は、超音波プローブの焦点を被検体の表面に合致して測定した斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間と超音波プローブの焦点を被検体の内部に設定して測定した斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間との差分と、超音波プローブの焦点を被検体の表面に合致して測定した垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間と超音波プローブの焦点を被検体の内部に設定して測定した垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間との差分を元にして漏洩弾性表面波の音速を算出するので、検査ごとに水温を測定する必要がなく温度センサを省略できることから、超音波検査装置の構成の簡略化と演算の効率化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波検査装置のブロック図である。
【図2】超音波検査装置における超音波走査部の構成図である。
【図3】第1実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【図4】振動子によって受信される漏洩波及び垂直反射波のエコー波形である。
【図5】第2実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図6】第3実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図7】第4実施形態例に係る超音波プローブの平面方向から見た要部斜視図及び底面方向から見た要部斜視図である。
【図8】第5実施形態例に係る超音波プローブの要部斜視図である。
【図9】第6実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図10】第7実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図11】音響レンズの焦点を被検体の表面に合致した場合の説明図である。
【図12】超音波検査方法の手順を示すフローチャートである。
【図13】従来より知られている超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【図14】振動子によって受信される漏洩波及び垂直反射波のエコー波形である。
【符号の説明】
1 超音波プローブ
1A 実施の第1例に係る超音波プローブ
1B 実施の第2例に係る超音波プローブ
1C 実施の第3例に係る超音波プローブ
1D 実施の第4例に係る超音波プローブ
1E 実施の第5例に係る超音波プローブ
1F 実施の第6例に係る超音波プローブ
1G 実施の第7例に係る超音波プローブ
2 振動子
3 音響レンズ
3a 振動子設定面
3b レンズ曲率面
4 透孔
5 くぼみ
6 充填物

Claims (8)

  1. 超音波プローブ及び当該超音波プローブを被検体に対して移送する機械式スキャナを有する超音波走査部と、当該超音波走査部の駆動部と、当該駆動部を介して前記超音波走査部を制御し、所望の超音波検査を実行する演算処理部とを備えた超音波検査装置において、前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第1の深さ位置に設定して超音波を送信したときの斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間と前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第2の深さ位置に設定して超音波を送信したときの斜角入射波及び漏洩弾性表面波並びに漏洩波の伝搬時間との差分、及び前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第1の深さ位置に設定して超音波を送信したときの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間と前記超音波プローブの焦点を前記被検体の第2の深さ位置に設定して超音波を送信したときの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間との差分を元に、前記演算処理部にて漏洩弾性表面波の音速を算出することを特徴とする超音波検査装置。
  2. 請求項1に記載の超音波検査装置において、前記第1の深さ位置が前記被検体の表面であり、前記第2の深さ位置が前記超音波プローブから送信される超音波によって前記被検体に漏洩弾性表面波が発生する位置であることを特徴とする超音波検査装置。
  3. 請求項1に記載の超音波検査装置において、前記超音波プローブとして、振動子と当該振動子から送信された超音波を収束して被検体に入射する音響レンズとを有し、前記音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度が、前記音響レンズの斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と異なるように構成されたものを用いたことを特徴とする超音波検査装置。
  4. 請求項3に記載の超音波検査装置において、前記音響レンズとして、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に振動子設定面からこれと対向するレンズ曲率面まで貫通する透孔を開設するか、前記レンズ曲率面の垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路にくぼみを形成したものを用いたことを特徴とする超音波検査装置。
  5. 請求項3に記載の超音波検査装置において、前記音響レンズとして、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に振動子設定面からこれと対向するレンズ曲率面まで貫通する透孔を開設するか、前記振動子設定面又はレンズ曲率面の垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路にくぼみを形成し、これら透孔内又はくぼみ内に当該音響レンズを構成する素材とは超音波の伝搬速度が異なる素材からなる充填物を充填したものを用いたことを特徴とする超音波検査装置。
  6. 請求項3乃至5のいずれかに記載の超音波検査装置において、前記音響レンズとして、レンズ曲率面が球面状に形成された凹レンズを用いたことを特徴とする超音波検査装置。
  7. 請求項3乃至5のいずれかに記載の超音波検査装置において、前記音響レンズとしてシリンドリカルレンズを用いたことを特徴とする超音波検査装置。
  8. 請求項1に記載の超音波検査装置において、前記超音波プローブとして、振動子設定面が球面状に形成された超音波プローブを用いたことを特徴とする超音波検査装置。
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