JP3753567B2 - 超音波プローブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体の非破壊検査に適用される超音波プローブに係り、特に、被検体に発生する漏洩弾性表面波の音速変化から被検体の劣化度等を評価したり、被検体より発生する漏洩波のレベル変化から被検体表層の健全性を評価するに好適な超音波プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平10−318995号公報等に記載されているように、超音波モードの1つである漏洩弾性表面波の音速変化から、応力分布や破壊靭性値、それに熱脆化や粒界腐蝕といった被検体の劣化度(以下、本明細書においては、これらを総称して「被検体の劣化度等」という。)を非破壊で評価する技術が知られている。
【0003】
図19は従来よりこの種の非破壊検査に適用されている超音波プローブの一例を示す要部断面図及び平面図であって、これらの図から明らかなように、本例の超音波プローブ101は、平面形状が円形に形成された単一型の振動子102と、当該振動子102から送信された超音波を収束して被検体Sに入射する凹レンズ型の音響レンズ103とを備えた構成になっている。振動子102は、上下面にそれぞれ上部電極102aと下部電極102bが設けられた圧電薄膜をもって構成される。一方、音響レンズ103は、アルミニウム等の超音波伝搬速度が大きな物質をもって構成され、振動子対向面103aが平面状に、レンズ曲率面103bが球面状に形成されている。なお、前記超音波プローブ101の上部電極102a側には、必要以上の振動の発生を抑制するためのダンパ材が取り付けられることがあり、また下部電極102b側には、振動子102の保護板が取り付けられることもある。
【0004】
被検体の劣化度等を評価するに際し、超音波プローブ101は、3次元方向に移動する機械式スキャナ(図示省略)に固定され、水中で被検体Sと対向に配置される。その高さ位置は、図19(a)に示すように、被検体Sの表面よりもやや下方に音響レンズ103の焦点Pがくるように調整される。図中の符号ΔZは、被検体Sの表面から焦点Pまでのデフォーカス量を示している。この状態で、振動子102の電極に図示しない制御部から駆動電圧を供給すると、振動子102が駆動し、当該振動子102から送信された超音波が音響レンズ103及び水を通って被検体Sに入射する。また、被検体Sからの反射波及び漏洩波は、水及び音響レンズ103を通って振動子102に受信される。
【0005】
振動子102から送信された超音波のうち、経路A→B→Cを通って被検体Sの表面にレーリー臨界角θL で入射した斜角入射波は、漏洩弾性表面波に変換され、被検体Sの表面に沿って進行する。この漏洩弾性表面波は、入射点Cから被検体Sの表面を伝搬する間にレーリー臨界角θL で漏洩し、被検体表面のD点で漏洩した漏洩波は、経路D→E→Fを通って振動子102に受信される。一方、振動子102から送信された超音波のうち、垂直経路G→H→Iを通って被検体Sの表面に入射した垂直入射波は、被検体Sによって反射され、その反射波(垂直反射波)が経路I→H→Gを通って振動子2に受信される。
【0006】
振動子102による漏洩波と垂直反射波との受信タイミングには、振動子102から斜角入射波及び垂直入射波が送信されてから漏洩波及び垂直反射波が振動子102に受信されるまでの各波の行程差に基づく時間差があり、この時間差Δtと、超音波プローブ101と被検体Sとの間に介在する超音波媒質である水中を伝搬する超音波の音速VW と、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZとから、次式によって漏洩弾性表面波の音速VL を算出することができ、当該漏洩弾性表面波の音速VL の変化から被検体Sの劣化度等を評価することができる。
【0007】
【数1】
【0008】
図20は、振動子102によって受信された漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとを示す図であって、前記時間差Δtは、この漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとのピーク間の時間差を計測することによって求められる。また、水中を伝達する超音波の音速VW は、水温を測定することによって求めることができ、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZは、被検体Sと超音波プローブ101の設定間隔と音響レンズ103の焦点距離の差から求めることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前出の(1)式から漏洩弾性表面波の音速VL を求め、被検体Sの劣化度等を評価するためには、振動子102の受信信号から漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとを明確に分離でき、その時間差Δtを計れることが前提となる。一般に、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを大きくすると、漏洩弾性表面波の伝搬距離が長くなって、経路A→B→C→D→E→Fと経路G→H→I→H→Gの行程差が大きくなり、図20に示すように時間軸上で漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとが分離して時間差Δtの測定が可能になるが、本願発明者らの研究によると、漏洩弾性表面波が減衰しやすい被検体、例えば、母材の表面に溶射皮膜が施された被検体については、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを種々変更しても漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとを明確に分離できず、時間差Δtを求めることができないことが判明した。即ち、本願発明者らは、母材の表面に厚さ0.1mmのWC系サーメット材料からなる溶射皮膜が施された被検体について実験を行ったところ、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを大きくすると漏洩弾性表面波の減衰が大きくなって漏洩波のエコー波形Lを検出することが困難になり、反対に、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを小さくすると垂直反射波のエコー波形Vに漏洩波のエコー波形Lが埋没して両者を明確に分離することができず、時間差Δtを求めることができなかった。
【0010】
これについて理論的な解析を加えると、前記の被検体にのど厚(図19(a)のGH間)が5mmのアルミニウム製(音速=6400m/s)の音響レンズからデフォーカス量ΔZを0.2mmとして10MHzの超音波パルスを送信した場合、WC系溶射皮膜を伝搬する漏洩弾性表面波の音速VL は約2300m/s(表面を研磨した同種の溶射皮膜を用いて予め計測した値)であり、レーリー臨界角は約41度であるので、図19(a)に示した経路G→H→I→H→Gを伝搬する垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間が10.05μsであるのに対して、図19(a)に示した経路A→B→C→D→E→F経路を伝搬する斜角入射波、漏洩弾性表面波及び漏洩波の伝搬時間は10.1μsであり、その差が50nsとなって使用周波数の周期(100ns)の半分しかないので、仮に微弱な漏洩波が受信されていても、時間差Δtを求めることができない。
【0011】
なお、前記においては、被検体の表層を伝搬する漏洩弾性表面波の音速変化から被検体の劣化度等を評価する技術を例にとって説明したが、漏洩弾性表面波を利用した超音波検査方法は、このほかに、被検体より漏洩する漏洩波のレベル変化からクラックの有無や被膜剥離の有無といった被検体表層の健全性を評価する方法としても適用することができる。
【0012】
即ち、漏洩弾性表面波は、被検体の表面から1波長程度、被検体の内部に浸透するが、母材に対する被膜の密着性が良好である場合には、被検体の内部に浸透した漏洩弾性表面波の母材への浸透量が大きくなるため、振動子にて受信される漏洩波のレベルが低くなる。これに対して、母材に対する被膜の密着性が悪い場合には、母材と被膜との間に剥離による空気層が生じ、当該空気層と被膜との界面で漏洩弾性表面波が反射されるために漏洩弾性表面波の母材への浸透量が小さくなり、相対的に振動子にて受信される漏洩波のレベルが大きくなる。したがって、超音波プローブにおける漏洩波の受信レベルより演算処理部にて母材に対する被膜の密着性の良否を判定することができる。
【0013】
一方、被検体の表層にクラック等の欠陥が存在すると、被検体の表層における漏洩弾性表面波の伝搬がクラック等によって妨げられるために、振動子にて受信される漏洩波のレベルが低くなる。これに対して、被検体の表層にクラック等の欠陥が存在しない場合には、被検体の表層における漏洩弾性表面波の伝搬がクラック等によって妨げられないため、振動子にて受信される漏洩波のレベルが高くなる。したがって、この場合にも、超音波プローブにおける漏洩波の受信レベルより演算処理部にて被検体表層におけるクラックの有無を判定することができる。
【0014】
被検体表層の健全性を評価するためには、必ずしも漏洩波と垂直反射波の双方を検出可能な超音波プローブを用いる必要はないが、少なくとも漏洩波のエコー波形を明確に検出できる超音波プローブを用いる必要がある。
【0015】
本発明は、かかる従来技術の不備を解決するためになされたものであって、その課題は、被検体の表層を伝搬する漏洩弾性表面波を利用して被検体の劣化度等や健全性を評価する超音波検査方法に適用可能な超音波プローブを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を達成するため、まず第1に、振動子設定面が平面状に形成されたフラット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プローブの先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された超音波を収束する音響レンズとを備えた集束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路と被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路との双方を有し、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせたものを用いたという構成にした。
【0017】
音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、音響レンズの斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせる手段としては、
(a)音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に、振動子対向面からこれと対向するレンズ曲率面まで貫通する透孔を開設する、
(b)音響レンズのレンズ曲率面における垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路にくぼみを形成する、
(c)音響レンズに開設された透孔内又はくぼみ内に当該音響レンズを構成する素材よりも超音波の伝搬速度が遅い素材からなる充填物を充填する、
(d)音響レンズに開設された透孔内又はくぼみ内に当該音響レンズを構成する素材よりも超音波の伝搬速度が速い素材からなる充填物を充填する、
といった手段がある。
【0018】
なお、前記(c)の具体例としては、アルミニウムからなる音響レンズの透孔内又はくぼみ内に樹脂を充填したものを挙げることができる。また、前記(d)の具体例としては、樹脂からなる音響レンズの透孔内又はくぼみ内にアルミニウムの円筒体を圧入するか、アルミニウムからなる心材の周囲に樹脂をアウトサートモールドして音響レンズとしたものを挙げることができる。
【0019】
音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、音響レンズの斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせると、デフォーカス量ΔZを大きくできない場合にも、振動子による垂直反射波の受信タイミングと漏洩波の受信タイミングとをずらすことができるので、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとを時間軸上で明確に分離できるようになり、各エコー波形の受信の時間差Δtを求めることが可能になる。したがって、漏洩弾性表面波の音速VL が求められることから、母材の表面に溶射皮膜などの漏洩弾性表面波Lが減衰しやすい被膜が施された被検体についても、その劣化度等を非破壊で評価することができる。また、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとを時間軸上で明確に分離でき、漏洩波の受信レベルを正確に求められることから、被検体表層の健全性も非破壊で評価することができる。
【0020】
また、本発明は、前記の課題を達成するため、第2に、振動子設定面が平面状に形成されたフラット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プローブの先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された超音波を収束する音響レンズとを備えた集束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、振動子対向面にくぼみが形成したものを用い、当該くぼみと前記フラット型超音波プローブに備えられた振動子の表面にて構成される空間内に超音波遮蔽部材を封入するか、超音波遮蔽体としての空気を封入するという構成にした。
【0022】
かように、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路を有し、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路を有しない音響レンズを備えた超音波プローブを用いると、垂直反射波のエコー波形Vが得られず時間差Δtを求めることができないが、漏洩波の受信レベルを正確に求められるので、被検体表層の健全性を評価することができる。
【0023】
なお、音響レンズの形状については何ら制限があるものではなく、曲率面が球面状に形成された凹レンズを用いることもできるし、シリンドリカルレンズを用いることもできる。
【0024】
凹レンズを用いた場合には、被検体に超音波をスポット状に入射できるため、高精度の超音波検査を実行することができる。一方、シリンドリカルレンズを用いた場合には、被検体に超音波をライン状に入射することができるため、高精度の超音波検査を高能率に実行することができる。
【0025】
なお、音響レンズは、フラット型超音波プローブの先端部に一体不可分に固着することもできるし、フラット型超音波プローブの先端部に着脱可能に取り付けることもできる。
【0026】
音響レンズをフラット型超音波プローブの先端部に着脱可能に取り付けると、仕様が異なる各種のフラット型超音波プローブと音響レンズを組み合わせて、多様な仕様の集束型超音波プローブを得ることができるので、少ない部品点数で多様な超音波検査を実行することができ、超音波検査のトータルコストを低減することができる。また、フラット型の超音波プローブと音響レンズとを着脱可能に結合したことから、水中における集束型超音波プローブの組立が可能で、フラット型超音波プローブと音響レンズとの間に気泡が介在することがなく、検査結果の信頼性を高めることができる。また、気泡を除去するための手数を要しないので、この点からも検査コストの低減を図ることができる。
【0027】
また、本発明は、前記の課題を達成するため、第3に、フラット型超音波プローブと音響レンズの組み合わせを用いる構成に代えて、振動子設定面が球面状に形成された超音波プローブを用い、当該振動子設定面に設けられた振動子の表面中央部に、当該振動子よりも小型の超音波遮蔽部材を備えるという構成にした。
【0028】
この超音波プローブを用いた場合にも、垂直反射波のエコー波形Vが得られず時間差Δtを求めることができないが、漏洩波の受信レベルを正確に求められるので、被検体表層の健全性を評価することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る超音波プローブの実施形態例を説明するに先立ち、超音波検査装置の全体構成を図1及び図2に基づいて説明する。図1は超音波検査装置のブロック図、図2は超音波検査装置における超音波プローブ設定部の一部断面した斜視図である。
【0030】
これらの図に示すように、本例の超音波検査装置は、被検体Sの表面に沿って超音波を二次元走査する超音波走査部10と、当該超音波走査部10の駆動部20と、当該駆動部20を介して前記超音波走査部10を制御し、超音波の受信波形から被検体の応力分布や破壊靭性値それに劣化度等の所望の検査結果を演算によって求める演算処理部30と、当該演算処理部30にて得られた超音波検査結果を表示する表示部40とから主に構成されている。
【0031】
超音波走査部10は、図2に示すように、超音波プローブ1と、当該超音波プローブ1及び被検体Sを収納する水Wが貯えられた水槽11と、超音波プローブ1を三次元方向に駆動する機械式スキャナ12とからなる。機械式スキャナ12は、水槽11の相平行な2辺に沿ってY−Y方向に配置された一対のY軸ガイド13と、当該Y軸ガイド13によってY−Y方向に案内されるY軸スライダ14と、当該Y軸スライダ14に両端が固定され、X−X方向に配置されたX軸ガイド15と、当該X軸ガイド15によってX−X方向に案内されるX軸スライダ16と、当該X軸スライダ16に垂直に固定されたZ軸ガイド17と、前記超音波プローブ1を保持し、前記Z軸ガイド17によってZ−Z方向に案内されるZ軸スライダ18を有しており、前記各スライダ14,16,18は、図1に示す3つのモータM1〜M3によって駆動される。これらの各モータには、ロータリーエンコーダ等の位置信号出力装置が備えられており、各スライダ14,16,18の座標信号を演算処理部30にて検出できるようになっている。
【0032】
駆動部20には、超音波プローブ1からの超音波の発信と超音波プローブ1による超音波の受信とを行うパルサー/レシーバー21と、当該パルサー/レシーバー21の受信信号をデジタル変換するA/D変換器22と、前記機械式スキャナ12に備えられた3つのモータM1〜M3を駆動するモータドライバ23とが備えられている。
【0033】
また、演算処理部30には、CPU31と、キーボードやマウス等の入力手段32と、当該入力手段32からの指令によって駆動するトリガー33及びモータコントローラ34と、A/D変換された受信信号をモータドライバ23及びモータコントローラ34を介してモータ(M1〜M3)から取り込まれた座標信号と共に蓄積する第1のメモリ35と、トリガー33からの信号によって起動されCPU31による信号処理のゲートを設定するタイマー36と、CPU31による信号処理の手順を記憶した第2のメモリ37とが備えられている。
【0034】
したがって、本例の超音波検査装置は、入力手段32を操作することによって機械式スキャナ12に備えられたモータM1〜M3を駆動することができ、水槽11内に設定された被検体Sに対する超音波プローブ1の位置決めを行うことができる。このときの超音波プローブ1の座標信号は、モータドライバ23及びモータコントローラ34を介して第1のメモリ35に取り込まれる。この状態から、入力手段32を操作することによって、パルサー/レシーバー21及びモータコントローラ34を駆動することができ、超音波プローブ1を被検体Sの表面に沿って二次元的に移動しつつ、超音波プローブ1からの超音波の送信と超音波プローブ1による超音波の受信とを行うことができる。超音波プローブ1によって受信された超音波は、A/D変換器22によってA/D変換され、モータドライバ23及びモータコントローラ34を介してモータM1〜M3より取り込まれた座標信号と共に第1のメモリ35に蓄積される。CPU31は、タイマー36に設定されたゲートごとに第1のメモリ35に蓄積された信号を取り込んで、第2のメモリ37に記憶された信号処理手順に基づいてその信号処理を行い、その処理結果を表示装置40に色調表示する。
【0035】
以下、本発明に係る超音波プローブの実施形態例について説明する。
【0036】
〈超音波プローブの第1例〉
第1実施形態例に係る超音波プローブを、図3及び図4に基づいて説明する。図3(a),(b)は第1実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図、図4は振動子によって受信される漏洩波及び垂直反射波のエコー波形図である。
【0037】
図3(a),(b)から明らかなように、本例の超音波プローブ1Aは、振動子設定面7aが平面状に形成されたフラット型超音波プローブ7と、前記振動子設定面7aに取り付けられた平面形状が円形の単一型振動子2と、当該振動子2から送信された超音波を収束して被検体Sに入射する凹型の音響レンズ3とを備えた構成になっている。本例の超音波プローブ1Aは、音響レンズ3として、その中央部に、振動子対向面3aからレンズ曲率面3bまで貫通する透孔4を開設したことを特徴とする。透孔4の直径は、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬範囲以上に設定すれば足りるが、雑音の受信を極力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝搬を阻害しない範囲内で可能な限り大きくする方が好ましい。振動子2は、表裏両面に電極が設けられた圧電薄膜をもって構成され、前記振動子設定面7aに接着等の手段によって固定される。一方、音響レンズ3は、アルミニウム等の超音波伝搬速度が大きな物質をもって構成され、振動子対向面3aが平面状に形成され、これと対向するレンズ曲率面3bが球面状に形成されている。
【0038】
前記したように、超音波プローブは、被検体Sの評価に際して、被検体Sと共に水中に配置される。したがって、音響レンズ3の中央部に透孔4が開設された本実施形態例の超音波プローブ1Aを用いると、図3(a)に示すように、振動子2の斜角経路A→B→C及びD→E→Fと被検体Sとの間には、超音波の伝搬速度が高いアルミニウム製の音響レンズ3(音速=約6400m/s)と超音波の伝搬速度が低い水(19℃で約1480m/s、26℃で約1500m/s)とが介在するのに対して、振動子2の垂直経路G→I及びI→Gと被検体Sとの間には、超音波の伝搬速度が低い水のみが介在することになるので、経路A→B→C→D→E→Fを通る斜角入射波、漏洩弾性表面波及び漏洩波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを通る垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間の方が長くなり、図4に示すように、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとが分離し、かつ漏洩波のエコー波形Lの方が表面反射波のエコー波形Vよりも先行した受信信号が得られる。したがって、漏洩波のエコー波形Lと表面反射波のエコー波形Vとの時間差Δtを求めることができ、漏洩弾性表面波の音速VL を求めることができるので、当該漏洩弾性表面波の音速変化から例えば被検体Sの応力分布や破壊靭性値それに熱脆化や粒界腐蝕といった被検体の劣化度、並びに被検体表面におけるクラックの有無や被検体表面に設けられた被膜の剥離の有無といった被検体表面の健全性を非破壊で評価することができる。
【0039】
前記と同様に、母材の表面に厚さ0.1mmのWC系溶射皮膜が施された被検体とレンズのど厚(透孔4を開設する前のGH間の距離)が5mmのアルミニウム製音響レンズを用い、デフォーカス量ΔZを0.2mm、使用周波数を10MHz、漏洩弾性表面波の音速VL を2300m/s、レーリー臨界角を41度として垂直波Vと漏洩弾性表面波Lの時間差Δtを求めると、経路A→B→C→D→E→Fを伝搬する超音波の伝搬時間が約10μsであるのに対して、経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間は約15μsであり、その差が5μs(使用周波数の周期の50倍)となって、溶射被膜を有する被検体においても両波を分離できることが判る。
【0040】
なお、前例においては、使用周波数を10MHzとしたが、5〜20MHzの範囲で変更した場合にも同様の結果が得られた。
【0041】
〈超音波プローブの第2例〉
第2実施形態例に係る超音波プローブを、図5に基づいて説明する。図5は第2実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0042】
第2実施形態例に係る超音波プローブ1Bは、音響レンズ3の中央部(垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路)に透孔4を開設する構成に代えて、音響レンズ3のレンズ曲率面3bの中央部にくぼみ5を形成したことを特徴とする。くぼみ5の直径は、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬範囲以上であり、雑音の受信を極力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝搬を阻害しない範囲内で可能な限り大きく形成される。
【0043】
この超音波プローブ1Bを用いた場合にも、第1例に係る超音波プローブ1Aと同様に、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間を相対的に遅らせることができるので、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lの分離が可能で、被検体の劣化度等並びに被検体表層の健全性の評価を行うことができる。
【0044】
〈超音波プローブの第3例〉
第3実施形態例に係る超音波プローブを、図6(a),(b),(c)に基づいて説明する。図6は第3実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0045】
第3実施形態例に係る超音波プローブ1Cは、音響レンズ3の中央部に単に透孔4を開設するかくぼみ5を形成する構成に代えて、開設された透孔4内又は形成されたくぼみ5内に音響レンズ3を構成する素材とは超音波の伝搬速度が異なる素材からなる充填物6を充填したことを特徴とする。図6(a)は音響レンズ3の中央部に開設された透孔4内に充填物6を充填した場合、図6(b)は音響レンズ3の振動子対向面3aに形成されたくぼみ5内に充填物6を充填した場合、図6(c)は音響レンズ3のレンズ曲率面3bに形成されたくぼみ5内に充填物6を充填した場合を示している。その他については、第1実施形態例及び第2実施形態例に係る超音波プローブと同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0046】
音響レンズ3を構成する素材と充填物6とは、超音波の伝搬速度の差が大きいほど好ましく、音響レンズ3がアルミニウム(音速=6400m/s)をもって構成される場合には、充填物6としてはアクリル樹脂等の樹脂材料(音速=2000〜3000m/s)が好適に用いられ、反対に音響レンズ3が樹脂材料をもって構成される場合には、充填物6としてはアルミニウムが好適に用いられる。充填部6として樹脂を用いる場合には、開設された透孔4又は形成されたくぼみ5内に充填物である樹脂をポッティングすることによって音響レンズ3を製造することができる。また、充填部6として固体を用いる場合には、開設された透孔4又は形成されたくぼみ5内に充填物である固体を圧入することによっても音響レンズ3を製造することができる。さらに、音響レンズ3が樹脂材料から構成される場合には、アルミニウム等の充填物6の周囲に樹脂をアウトサート成形することによっても所望の音響レンズ3を製造することができる。
【0047】
勿論、音響レンズ3を構成する素材よりも超音波の伝搬速度が低い充填物6を充填した場合には、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間が相対的に遅くなって、図4に示すように漏洩波のエコー波形Lの方が垂直反射波のエコー波形Vより先行した形になり、逆に、音響レンズ3を構成する素材よりも超音波の伝搬速度が高い充填物6を充填した場合には、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よりも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間が相対的に速くなって、図20に示すように垂直反射波のエコー波形Vの方が漏洩波のエコー波形Lより先行した形になる。
【0048】
本例の超音波プローブ1Cは、音響レンズ3における垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路G→I及びI→Gと斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路A→B→C及びD→E→Fとを音速が異なる素材で構成したので、各経路を通る超音波の伝搬時間の差が大きくなって、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lの分離が可能になり、被検体の劣化度等並びに被検体表層の健全性の評価を行うことができる。
【0049】
〈超音波プローブの第4例〉
第4実施形態例に係る超音波プローブを、図7(a),(b)に基づいて説明する。図7(a),(b)は第4実施形態例に係る超音波プローブの平面方向から見た要部斜視図及び底面方向から見た要部斜視図である。
【0050】
第4実施形態例に係る超音波プローブ1Dは、図7(a)に示すように、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2として複数個の振動子2a〜2nが隣接して一方向に配列されたアレイ型の振動子を備えたことを特徴とする。このシリンドリカルレンズの底面の垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路には、図7(b)に示すように、透孔4が開設されている。透孔4の大きさは、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬範囲以上であり、雑音の受信を極力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝搬を阻害しない範囲内で可能な限り大きく形成される。なお、シリンドリカルレンズの底面に透孔4を開設する構成に代えてくぼみを形成することも可能であり、さらには、開設された透孔又は形成されたくぼみ内に、斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路とは超音波の伝搬速度が異なる充填物を充填することも勿論可能である。
【0051】
本例の超音波プローブ1Dは、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2としてアレイ型の振動子を備えたので、被検体Sの表面を面状にトレースすることができ、円筒形の音響レンズに平面形状が円形の単一型の振動子を備えた場合に比べて、被検体Sの検査効率を高めることができる。
【0052】
〈超音波プローブの第5例〉
第5実施形態例に係る超音波プローブの第5例を、図8に基づいて説明する。図8は第5実施形態例に係る超音波プローブの平面方向から見た要部斜視図である。
【0053】
第5実施形態例に係る超音波プローブ1Eは、図8に示すように、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2として単一型の振動子を備えたことを特徴とする。このシリンドリカルレンズの底面の垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路には、図7(b)に示したと同様に、透孔4が開設される。勿論、シリンドリカルレンズの底面に透孔4を開設する構成に代えてくぼみを形成することも、開設された透孔又は形成されたくぼみ内に、斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路とは超音波の伝搬速度が異なる充填物を充填することも可能である。その他については、第4実施形態例に係る超音波プローブと同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0054】
本例の超音波プローブ1Eは、音響レンズ3としてシリンドリカルレンズを用いると共に、振動子2として単一型の振動子を備えたので、被検体Sの表面に超音波ビームを線状に照射することができ、円筒形の音響レンズに平面形状が円形の単一型の振動子を備えた場合に比べて、被検体Sの検査効率を高めることができる。
【0055】
〈超音波プローブの第6例〉
第6実施形態例に係る超音波プローブの第6例を、図9に基づいて説明する。図9は第6実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0056】
第6実施形態例に係る超音波プローブ1Fは、図9に示すように、音響レンズ3の振動子対向面3aの中央部(垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路)にくぼみ5を形成し、当該くぼみ5と前記フラット型超音波プローブ7に備えられた振動子2の表面にて構成される空間内に超音波遮蔽部材8を封入するか、超音波遮蔽体としての空気を封入するという構成にした。くぼみ5の直径は、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬範囲以上であり、雑音の受信を極力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝搬を阻害しない範囲内で可能な限り大きく形成される。
【0057】
この超音波プローブ1Fを用いた場合は、被検体Sへの垂直入射波の伝搬及び被検体Sからの垂直反射波の伝搬が超音波遮蔽部材8又は超音波遮蔽体としての空気によって制限されるので、垂直反射波のエコー波形Vが得られず、したがって時間差Δtを求めることができないが、斜角入射波の伝搬経路と漏洩波の伝搬経路とが設けられているので、漏洩波の受信レベルを検出することができ、この漏洩波の受信レベルから被検体表層の健全性を評価することができる。
【0058】
〈超音波プローブの第7例〉
第7実施形態例に係る超音波プローブの第7例を、図10(a),(b)に基づいて説明する。図10(a),(b)は第7実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び要部平面図である。
【0059】
第7例の超音波プローブ1Gは、図10(a),(b)に示すように、音響レンズ3に透孔4やくぼみ5を形成せず、レンズ曲率面3bの中央部(垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路)に、前記フラット型超音波プローブ7に備えられた振動子2よりも小径の超音波遮蔽部材8を配設したことを特徴とする。超音波遮蔽部材8の直径は、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬範囲以上であり、雑音の受信を極力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝搬を阻害しない範囲内で可能な限り大きく形成される。
【0060】
本例の超音波プローブ1Gを用いた場合も、被検体Sへの垂直入射波の伝搬及び被検体Sからの垂直反射波の伝搬が超音波遮蔽部材8によって制限されるが、斜角入射波の伝搬経路と漏洩波の伝搬経路とが設けられているので、漏洩波の受信レベルを検出することができ、この漏洩波の受信レベルから被検体表層の健全性を評価することができる。
【0061】
なお、前記第6実施形態例及び第7実施形態例においては、振動子2として平面形状が円形に形成されたものを用い、その対向面の中央部に超音波遮蔽部材8を配置するか、超音波遮蔽体としての空気層を形成するという構成にしたが、かかる構成に代えて、振動子2をリング状に形成し、被検体Sへの垂直入射波の伝搬及び被検体Sからの垂直反射波の伝搬を制限するという構成にすることもできる。
【0062】
〈超音波プローブの第8例〉
第8実施形態例に係る超音波プローブを、図11に基づいて説明する。図11は第8実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【0063】
図11から明らかなように、本例の超音波プローブ1Hは、フラット型超音波プローブ7の外周面には雄ねじ7aを刻設すると共に、音響レンズ3の上半部に形成された凹部3cの内周面に前記雄ねじ7aと螺合可能な雌ねじ3dを刻設し、これら両ねじ7a、3dを螺合することによって、フラット型超音波プローブ7の先端部に音響レンズ3を着脱可能に固定したことを特徴とする。
【0064】
前記凹部3cの底面は平面状に形成されており、フラット型超音波プローブ7の先端部に密着できるようになっている。また、当該音響レンズ3の中央部(垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路)には、凹部3cの底面からレンズ曲率面3bまで貫通する透孔4が開設されている。
【0065】
本例の超音波プローブ1Hは、第1実施形態例に係る超音波プローブ1Aと同様の効果を奏するほか、フラット型超音波プローブ7の先端部に音響レンズ3を着脱可能に取り付けるという構成にしたので、仕様が異なる各種のフラット型超音波プローブ7と音響レンズ3とを組み合わせて多様な仕様の集束型超音波プローブを得ることができ、少ない部品点数で多様な超音波検査を実行することができることから、超音波検査のトータルコストを低減することができる。また、フラット型超音波プローブ7と音響レンズ3とを着脱可能に結合したことから、水中における集束型超音波プローブの組立が可能であり、フラット型超音波プローブ7と音響レンズ3の間に気泡が介在することがないので、検査結果の信頼性を高めることができる。加えて、気泡を除去するための手数を要しないので、この点からも検査コストの低減を図ることができる。
【0066】
なお、本例の超音波プローブ1Hには、音響レンズ3として、垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に凹部3cの底面からレンズ曲率面3bまで貫通する透孔4を開設したものが用いられているが、第2実施例に係る超音波プローブ1Bと同様に、透孔4に代えてくぼみ5が形成されたものを用いることもできるし、第3実施例に係る超音波プローブ1Cと同様に、透孔4内又はくぼみ5内に充填物6が充填されたものを用いることもできる。さらには、第6実施例に係る超音波プローブ1F又は第7実施例に係る超音波プローブ1Gと同様に、所定の部分に超音波遮蔽部材8(空気を含む。)が設けられたものを用いることもできる。
【0067】
〈超音波プローブの第9例〉
第9実施形態例に係る超音波プローブを、図12に基づいて説明する。図12は第9実施形態例に係る超音波プローブの要部斜視図である。
【0068】
図12から明らかなように、本例の超音波プローブ1Iは、音響レンズ3の側面に、凹部3cまで貫通するねじ孔3eを開設し、当該ねじ孔3eに螺合されたビス3fにて、凹部3c内に挿入されたフラット型超音波プローブ7の先端部を締結したことを特徴とする。 本例の超音波プローブ1Iも、第8実施形態例に係る超音波プローブ1Hと同様の効果を有する。
【0069】
なお、かかる構成は、アレイ型の振動子を備えたフラット型超音波プローブにシリンドリカルレンズ型の音響レンズを装着する場合にのみ適用できるものではなく、単一型の振動子を備えたフラット型超音波プローブにシリンドリカルレンズ型の音響レンズを装着する場合にも適用できることは勿論である。また、第8実施形態例においては、フラット型超音波プローブ7の外周面に雄ねじ7aを刻設すると共に、音響レンズ3の凹部内周面に雌ねじ3dを刻設し、これら両ねじ7a、3dを螺合することによって、フラット型超音波プローブ7の先端部に音響レンズ3を固定したが、かかる構成に代えて、フラット型超音波プローブ7の外周面と音響レンズ3の凹部内周面とを平滑面とし、音響レンズ3の凹部3cに挿入されたフラット型超音波プローブ7の先端外周面を、音響レンズ3の外部より貫通されたビスにて固定するように構成することもできる。
【0070】
〈超音波プローブの第10例〉
第10実施形態例に係る超音波プローブを、図13(a),(b)に基づいて説明する。図13(a),(b)は、第10実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【0071】
第10実施形態例に係る超音波プローブ1Jは、図13(a),(b)に示すように、フラット型超音波プローブ7の先端部に音響レンズ3を装着する構成に代えて、プローブ本体に形成された球面状の振動子設定面1aにリング状の振動子2を設定し、当該振動子2の表面を保護材9にて覆ったことを特徴とする。
【0072】
本例の超音波プローブ1Jは、第6実施形態例に係る超音波プローブ1F及び第7実施形態例に係る超音波プローブ1Gと同様の効果を有するほか、音響レンズを省略できるので、超音波プローブの小型化を図ることができる。
【0073】
〈超音波プローブの第11例〉
第11実施形態例に係る超音波プローブを、図14(a),(b)に基づいて説明する。図14(a),(b)は、第11実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【0074】
第11実施形態例に係る超音波プローブ1Kは、図14(a),(b)に示すように、プローブ本体に形成された球面状の振動子設定面1aに平面形状が円形の振動子2を設定すると共に、その中心部にそれよりも小径の超音波遮蔽部材8を設け、これら振動子2及び超音波遮蔽部材8の表面を保護材9にて覆ったことを特徴とする。
【0075】
本実施形態例に係る超音波プローブ1Kも、第10実施形態例に係る超音波プローブと同様の効果を有する。
【0076】
以下、前記のように構成された超音波検査装置を用いた超音波検査方法の一例を、前出の図3(a)並びに図15及び図16に基づいて説明する。この検査方法は、水温の測定を行うことなく、漏洩弾性表面波の音速VL を算出できるようにしたことを特徴とする。図15は音響レンズの焦点を被検体の表面に合致した場合における超音波プローブの配置を示す説明図であり、図16は超音波検査方法の手順を示すフローチャートである。図16に示した超音波検査方法の手順は、図1に示した第2のメモリ37に記憶される。
【0077】
まず、手順S1で、機械式スキャナ12のZ軸スライダ18を駆動して超音波プローブ1を被検体Sに接近する方向又は被検体Sから離隔する方向に移動し、図15に示すように、音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に合致させる。音響レンズ3の焦点が被検体Sの表面に合致すると、漏洩波のエコーレベルが最大になるので、音響レンズ3の焦点が被検体Sの表面に合致したことを知ることができる。
【0078】
手順S2で、振動子2から超音波を送信し、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL0と、経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV0を計測する。また、Z軸スライダ18の出力値Z0 の読み込みを行う。
【0079】
次に、手順S3,S4で、漏洩弾性表面波を検出するまで超音波プローブ1を被検体Sに接近させる。超音波プローブ1の停止位置は、必ずしも漏洩弾性表面波のエコーレベルが最大になる位置とする必要はなく、漏洩弾性表面波を検出できる範囲内で任意に設定できる。漏洩弾性表面波が検出されたとき、超音波プローブ1は、図3(a)に示す位置になり、音響レンズ3の焦点位置は、被検体Sの表面からデフォーカス量ΔZだけ内側になる。
【0080】
手順S5で、振動子2から超音波を送信し、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1と、経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV1を計測する。また、Z軸スライダ18の出力値Z1 の読み込みを行う。
【0081】
次いで手順S6に移行し、手順S2で計測された経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL0と手順S5で計測された経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1との時間差ΔtL(=tL0−tL1)、手順S2で計測された経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV0と手順S5で計測された経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV1との時間差ΔtV(=tV0−tV1)及び手順S2で計測されたZ軸スライダ18の出力値Z0 と手順S5で計測されたZ軸スライダ18の出力値Z1 の差、即ち音響レンズ3のデフォーカス量ΔZ(=Z0−Z1)を算出する。
【0082】
最後に、これらの算出値から、下記の(2)式を用いて漏洩弾性表面波の音速VL を求める
【0083】
【数2】
【0084】
(2)式は水の音速VW を変数に含まないので、この式に基づけば、水の音速VW を測定することなく漏洩弾性表面波の音速VL を算出することができる。なお、上記においては説明を省略したが、上記の検査方法を実行するに際しては、機械式スキャナ12のY軸スライダ14及び/又はX軸スライダ16を適宜駆動して、被検体Sの表面に沿って超音波プローブ1を走査することはもちろんである。また、図16の超音波検査方法においては、手順S1で音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に合致させたが、この手順において音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に完全に合致させなければ所要の超音波検査を実行できないというものではなく、音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面よりやや内側に位置付けることもできる。この場合には、手順S3,S4において、音響レンズ3の焦点位置が、手順S1で設定された音響レンズ3の焦点位置よりもさらに被検体Sの内側に移動される。
【0085】
以下、当該(2)式の妥当性について説明する。
音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面に合致させたときに経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL0と音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面からずらしたときに経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1との時間差ΔtL は、音響レンズ3のデフォーカス量をΔZ、レーリー臨界角をθL 、水の音速をVW 、漏洩弾性表面波の音速をVL としたとき、
【0086】
【数3】
【0087】
で表され、スネルの法則からVW=VLsinθLであることを利用して(3)式からθL を消去すると、下記の(4)式が得られる。
【0088】
【数4】
【0089】
一方、音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面に合致させたときに経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV0と音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面からずらしたときに経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV1との時間差ΔtV は、下記の(5)式で表される。
【0090】
【数5】
【0091】
この(5)式から、水の音速をVW は、下記の(6)式で求められる。
【0092】
【数6】
【0093】
ここで、(6)式を(4)式に代入すれば、水の音速VW を変数に含まない漏洩弾性表面波の音速VL を求める(2)式を得ることができる。
【0094】
なお、本例においては、第1実施形態例に係る超音波プローブ1Aを用いた検査方法について説明したが、第2乃至第5実施例に係る超音波プローブ1B乃至1Eを用いた場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0095】
次に、前記のように構成された超音波検査装置及び超音波プローブを用いた超音波検査方法の他の例を、図1、図2、図3、図15及び図17を参照して説明する。ここに、図17は超音波検査方法の手順を示すフローチャートである。
【0096】
まず、図17の手順S1において、入力手段32を操作し、機械式スキャナ12に備えられたモータM1,M2を駆動して、水槽11内に設定された被検体Sに対する超音波プローブ1のX−Y方向の位置決めを行う。このときの超音波プローブ1のX−Y座標は、モータドライバ23及びモータコントローラ34を介して第1のメモリ35に取り込まれ、超音波プローブ1の現在位置が特定される。
【0097】
次いで、図17の手順S2に移行し、入力手段32を操作して機械式スキャナ12に備えられたモータM3を駆動し、機械式スキャナ12のZ軸スライダ18に取り付けられた超音波プローブ1をZ方向に移動し、図3に示すように、音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面より所要のデフォーカス量ΔZだけ下方に合致させる。音響レンズ3の焦点が図15に示すように被検体Sの表面に合致すると漏洩波のエコーレベルが最大になるので、超音波プローブ1をZ方向に移動しつつ、漏洩波のエコーレベルを連続的に検知することによって、音響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に合致させることができ、その位置から所要のデフォーカス量ΔZだけ超音波プローブ1を下降することによって、音響レンズ3の焦点を所定の位置に合致させることができる。この操作は、演算処理部30に備えられた第2のメモリ37に記憶されたプログラムに基づいて自動的に行わせることができる。なお、デフォーカス量ΔZが大きいほど垂直反射波の検出タイミングと漏洩波の検出タイミングとがずれて漏洩波レベルの検出が容易になるが、その反面溶射皮膜S2 による漏洩弾性表面波の減衰が大きくなって漏洩波レベルが低下するため、両者を勘案して、膜厚が0.1mmの溶射皮膜の場合、デフォーカス量ΔZを0.2mm程度とすることが好ましい。
【0098】
次いで、図17の手順S3に移行し、入力手段32を操作して所要の範囲で超音波プローブ1をX−Y方向に二次元走査しつつ、所要の走査ピッチで漏洩波のエコー像を超音波プローブ1の座標信号と共に演算処理部30に備えられた第1のメモリ35に取り込む。この操作も、演算処理部30に備えられた第2のメモリ37に記憶されたプログラムに基づいて自動的に行わせることができる。
【0099】
最後に、図17の手順S4に移行し、第1のメモリ35に蓄積されたデータを順次CPU31に取り込んでC画像化し、その結果を表示部40に表示する。この操作も、演算処理部30に備えられた第2のメモリ37に記憶されたプログラムに基づいて自動的に行わせることができる。
【0100】
図18に、前記実施形態例に係る装置にて得られた漏洩波のCスコープ画像を示す。図18(a)は、溶射皮膜S2 の形成前に母材S1 に当然施されるべき前処理としてのブラスト処理を中央部にのみ施さないで溶射皮膜S2 が形成された被検体より得られた漏洩波のCスコープ画像であり、図18(b)は、母材S1 の表面に正常に溶射皮膜S2 が形成され、溶射皮膜S2 の形成後に曲げ応力が負荷された被検体より得られた漏洩波のCスコープ画像である。
【0101】
図18(a)の例では、ブラスト処理が施されなかった母材S1 の中央部における漏洩波のエコーレベルが周囲の正常部分に比べて明らかに高くなっており、前記実施形態例に係る装置にて溶射皮膜S2 の剥離若しくは密着不足を鮮明に映像化できることが判る。また、図18(b)の例では、母材S1 の中央部に漏洩波のエコーレベルが周囲の正常部分に比べて明らかに低い縞状のエコー像が現れており、肉眼では観察できない微小(幅2〜5μm)なクラックも鮮明に映像化できることが判る。
【0102】
これに対して、超音波プローブ1として、被検体Sへの漏洩弾性表面波を励起させる斜角入射波の送信と被検体Sからの漏洩波の受信とが可能ではあるが、振動子にて検出される漏洩波のエコー像と垂直反射波のエコー像が時間軸上で分離できないものを用いて同様の検査を行った場合には、正常部分と欠陥部のエコーレベルのレベル差が小さく、欠陥を鮮明に検出することが困難であった。
【0103】
なお、本例においては、第1実施形態例に係る超音波プローブ1Aを用いた検査方法について説明したが、第2乃至第11実施例に係る超音波プローブ1B乃至1Kを用いた場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0104】
以上説明した各超音波検査方法によると、被検体Sの表面側から検査部位である被検体Sの表層部分に超音波を入射するので、被検体Sの厚みや被検体Sの内部状態それに被検体Sの底面の状態に関わりなく、常に高精度の欠陥検査を行うことができる。また、上記と同様の理由から、被検体Sの端部まで超音波検査が可能で、信頼性の高い欠陥検査を行うことができる。
【0105】
【発明の効果】
請求項1乃至3に記載の発明によると、振動子設定面が平面状に形成されたフラット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プローブの先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された超音波を集束する音響レンズとを備えた集束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせたものを用いたので、デフォーカス量ΔZを大きくできない場合にも、振動子による垂直反射波の受信タイミングと漏洩波の受信タイミングとをずらすことができ、各エコー波形の受信の時間差Δtを求めることができる。よって、母材の表面に溶射皮膜などの漏洩弾性表面波Lが減衰しやすい被膜が施された被検体についても、その劣化度等を非破壊で評価することができると共に、漏洩波の受信レベルを正確に求められることから、被検体表層の健全性も非破壊で評価することができる。
【0106】
請求項4乃至6に記載の発明によると、前記と同様の集束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路を有し、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路を有しないものを用いたので、漏洩波の受信レベルが正確に求められ、被検体表層の健全性を評価することができる。
【0107】
請求項7に記載の発明によると、音響レンズとして、レンズ曲率面が球面状に形成された凹レンズを用いたので、フラット型超音波プローブから出力された超音波を被検体の表層部分にスポット状に集中させることができ、高精度の検査を行うことができる。
【0108】
請求項8に記載の発明によると、音響レンズとして、シリンドリカルレンズを用いたので、フラット型超音波プローブから出力された超音波を被検体の表層部分にライン状に集中させることができ、高精度の検査を高能率に行うことができる。
【0109】
請求項9に記載の発明によると、音響レンズをフラット型超音波プローブの先端部に着脱可能に取り付けたので、仕様が異なる各種のフラット型超音波プローブと音響レンズを組み合わせて、多様な仕様の集束型超音波プローブを得ることができ、少ない部品点数で多様な超音波検査を実行することができるので、超音波検査のトータルコストを低減することができる。また、フラット型の超音波プローブと音響レンズとを着脱可能に結合したことから、水中における集束型超音波プローブの組立が可能で、フラット型超音波プローブと音響レンズとの間に気泡が介在することがなく、検査結果の信頼性を高めることができる。また、気泡を除去するための手数を要しないので、この点からも検査コストの低減を図ることができる。
【0110】
請求項10に記載の発明によると、フラット型超音波プローブと音響レンズの組み合わせを用いる構成に代えて、振動子設定面が球面状に形成された超音波プローブを用い、当該振動子設定面に設けられた振動子の表面中央部に、当該振動子よりも小型の超音波遮蔽部材を備えたので、超音波プローブの構成の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波検査装置のブロック図である。
【図2】超音波検査装置における超音波走査部の構成図である。
【図3】第1実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【図4】振動子によって受信される漏洩波及び垂直反射波のエコー波形である。
【図5】第2実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図6】第3実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図7】第4実施形態例に係る超音波プローブの平面側から見た斜視図と底面側から見た斜視図である。
【図8】第5実施形態例に係る超音波プローブの平面側から見た斜視図である。
【図9】第6実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図10】第7実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【図11】第8実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図である。
【図12】第9実施形態例に係る超音波プローブの斜視図である。
【図13】第10実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【図14】第11実施形態例に係る超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【図15】音響レンズの焦点を被検体の表面に合致した場合の説明図である。
【図16】第1例に係る超音波検査方法の手順を示すフローチャートである。
【図17】第2例に係る超音波検査方法の手順を示すフローチャートである。
【図18】第2例に係る超音波検査方法を実行することによって得られる漏洩波のC画像を示す図である。
【図19】従来より知られている超音波プローブの要部断面図及び平面図である。
【図20】振動子によって受信される漏洩波及び垂直反射波のエコー波形である。
【符号の説明】
1 超音波プローブ
2 振動子
3 音響レンズ
3a 振動子対向面
3b レンズ曲率面
4 透孔
5 くぼみ
6 充填物
7 フラット型超音波プローブ
8 超音波遮蔽部材
9 保護材
Claims (7)
- 振動子設定面が平面状に形成されたフラット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プローブの先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された超音波を収束する音響レンズとを備えた集束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路と被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路との双方を有し、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせたものを用いたことを特徴とする超音波プローブ。
- 請求項1に記載の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、前記垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に振動子対向面からこれと対向するレンズ曲率面まで貫通する透孔を開設するか、レンズ曲率面における前記垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路にくぼみを形成したものを用いたことを特徴とする超音波プローブ。
- 請求項1に記載の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、前記垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路に振動子対向面からレンズ曲率面まで貫通する透孔を開設するか、振動子対向面又はレンズ曲率面における前記垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路にくぼみを形成し、これら透孔内又はくぼみ内に当該音響レンズを構成する素材とは超音波の伝搬速度が異なる素材からなる充填物が充填されたものを用いたことを特徴とする超音波プローブ。
- 振動子設定面が平面状に形成されたフラット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プローブの先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された超音波を収束する音響レンズとを備えた集束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、振動子対向面にくぼみが形成したものを用い、当該くぼみと前記フラット型超音波プローブに備えられた振動子の表面にて構成される空間内に超音波遮蔽部材を封入するか、超音波遮蔽体としての空気を封入したことを特徴とする超音波プローブ。
- 請求項1に記載の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、レンズ曲率面が球面状に形成された凹レンズを用いたことを特徴とする超音波プローブ。
- 請求項1に記載の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、シリンドリカルレンズを用いたことを特徴とする超音波プローブ。
- 請求項1に記載の超音波プローブにおいて、前記フラット型超音波プローブの先端部に、前記音響レンズを着脱可能に取り付けたことを特徴とする超音波プローブ。
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