JP2001289831A - 超音波プローブ - Google Patents

超音波プローブ

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JP2001289831A
JP2001289831A JP2000108423A JP2000108423A JP2001289831A JP 2001289831 A JP2001289831 A JP 2001289831A JP 2000108423 A JP2000108423 A JP 2000108423A JP 2000108423 A JP2000108423 A JP 2000108423A JP 2001289831 A JP2001289831 A JP 2001289831A
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wave
ultrasonic probe
ultrasonic
subject
acoustic lens
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Hiroshi Yamamoto
弘 山本
Yoshihiko Takishita
芳彦 瀧下
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被検体の劣化度評価と被検体表層部の健全性
評価と欠陥の方向性を検出することができる超音波プロ
ーブを提供する。 【解決手段】 振動子2と当該振動子2から送信された
超音波を収束して被検体Sに入射する音響レンズ3とを
備えた超音波プローブ1において、音響レンズ3の垂直
入射波の伝搬経路G→I及び垂直反射波の伝搬経路I→
Gにおける超音波の伝搬速度と、斜角入射波の伝搬経路
A→B→C及び漏洩波の伝搬経路D→E→Fにおける超
音波の伝搬速度とを異ならせる。また、被検体Sへの斜
角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路を一部遮断
して、これらの伝搬経路に方向性を付与する。具体的に
は、音響レンズの中央部に、振動子設定面3aからレン
ズ曲率面3bまで貫通する透孔4を開設すると共に、音
響レンズの径方向に延びるスリット4aを形成する。透
孔4に代えて、くぼみ5を形成することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体の非破壊検
査に適用される超音波プローブに係り、特に、被検体の
劣化度評価及び被検体表層部の健全性評価並びに被検体
に生じた欠陥の方向性検出を行うに好適な超音波プロー
ブに関する。
【0002】
【従来の技術】被検体の超音波検査を高能率かつ高精度
に行うため、1回の超音波走査で、被検体の劣化度評価
と被検体表層部の健全性評価と被検体に生じた欠陥の方
向性検出とを総合的に行うことが望まれている。
【0003】従来より、被検体の劣化度を評価する技術
としては、例えば特開平10−318995号公報等に
記載されているように、超音波モードの1つである漏洩
弾性表面波の音速変化から、応力分布や破壊靱性値、そ
れに熱脆化や粒界腐蝕といった被検体の劣化度(以下、
本明細書においては、これらを総称して「被検体の劣化
度等」という。)を非破壊で評価する技術が知られてい
る。
【0004】図16は従来よりこの種の非破壊検査に適
用されている超音波プローブの一例を示す要部断面図及
び平面図であって、これらの図から明らかなように、本
例の超音波プローブ101は、平面形状が円形に形成さ
れた単一型の振動子102と、当該振動子102から送
信された超音波を収束して被検体Sに入射する凹レンズ
型の音響レンズ103とを備えた構成になっている。振
動子102は、上下面にそれぞれ上部電極102aと下
部電極102bが設けられた圧電薄膜をもって構成され
る。一方、音響レンズ103は、アルミニウム等の超音
波伝搬速度が大きな物質をもって構成され、振動子対向
面103aが平面状に、レンズ曲率面103bが球面状
に形成されている。なお、前記超音波プローブ101の
上部電極102a側には、必要以上の振動の発生を抑制
するためのダンパ材が取り付けられることがあり、また
下部電極102b側には、振動子102の保護板が取り
付けられることもある。
【0005】被検体の劣化度等を評価するに際し、超音
波プローブ101は、3次元方向に移動する機械式スキ
ャナ(図示省略)に固定され、水中で被検体Sと対向に
配置される。その高さ位置は、図16(a)に示すよう
に、被検体Sの表面よりもやや下方に音響レンズ103
の焦点Pがくるように調整される。図中の符号ΔZは、
被検体Sの表面から焦点Pまでのデフォーカス量を示し
ている。この状態で、振動子102の電極に図示しない
制御部から駆動電圧を供給すると、振動子102が駆動
し、当該振動子102から送信された超音波が音響レン
ズ103及び水を通って被検体Sに入射する。また、被
検体Sからの反射波及び漏洩波は、水及び音響レンズ1
03を通って振動子102に受信される。
【0006】振動子102から送信された超音波のう
ち、経路A→B→Cを通って被検体Sの表面にレーリー
臨界角θで入射した斜角入射波は、漏洩弾性表面波
に変換され、被検体Sの表面に沿って進行する。この漏
洩弾性表面波は、入射点Cから被検体Sの表面を伝搬す
る間にレーリー臨界角θで漏洩し、被検体表面のD
点で漏洩した漏洩波は、経路D→E→Fを通って振動子
102に受信される。一方、振動子102から送信され
た超音波のうち、垂直経路G→H→Iを通って被検体S
の表面に入射した垂直入射波は、被検体Sによって反射
され、その反射波(垂直反射波)が経路I→H→Gを通
って振動子2に受信される。
【0007】振動子102による漏洩波と垂直反射波と
の受信タイミングには、振動子102から斜角入射波及
び垂直入射波が送信されてから漏洩波及び垂直反射波が
振動子102に受信されるまでの各波の行程差に基づく
時間差があり、この時間差Δtと、超音波プローブ10
1と被検体Sとの間に介在する超音波媒質である水中を
伝搬する超音波の音速Vと、音響レンズ103のデ
フォーカス量ΔZとから、次式によって漏洩弾性表面波
の音速Vを算出することができ、当該漏洩弾性表面
波の音速Vの変化から被検体Sの劣化度等を評価す
ることができる。
【0008】
【数1】 図17は、振動子102によって受信された漏洩波のエ
コー波形Lと垂直反射波のエコー波形Vとを示す図であ
って、前記時間差Δtは、この漏洩波のエコー波形Lと
垂直反射波のエコー波形Vとのピーク間の時間差を計測
することによって求められる。また、水中を伝達する超
音波の音速Vは、水温を測定することによって求め
ることができ、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZ
は、被検体Sと超音波プローブ101の設定間隔と音響
レンズ103の焦点距離の差から求めることができる。
【0009】また、この技術によれば、被検体の表層を
伝搬する漏洩弾性表面波の音速変化から被検体の劣化度
等を評価するだけでなく、被検体より漏洩する漏洩波の
レベル変化からクラックの有無や被膜剥離の有無といっ
た被検体表層の健全性を評価する方法としても適用する
ことができる。
【0010】即ち、漏洩弾性表面波は、被検体の表面か
ら1波長程度、被検体の内部に浸透するが、母材に対す
る被膜の密着性が良好である場合には、被検体の内部に
浸透した漏洩弾性表面波の母材への浸透量が大きくなる
ため、振動子にて受信される漏洩波のレベルが低くな
る。これに対して、母材に対する被膜の密着性が悪い場
合には、母材と被膜との間に剥離による空気層が生じ、
当該空気層と被膜との界面で漏洩弾性表面波が反射され
るために漏洩弾性表面波の母材への浸透量が小さくな
り、相対的に振動子にて受信される漏洩波のレベルが大
きくなる。したがって、超音波プローブにおける漏洩波
の受信レベルより演算処理部にて母材に対する被膜の密
着性の良否を判定することができる。また、被検体の表
層にクラック等の欠陥が存在すると、被検体の表層にお
ける漏洩弾性表面波の伝搬がクラック等によって妨げら
れるために、振動子にて受信される漏洩波のレベルが低
くなる。これに対して、被検体の表層にクラック等の欠
陥が存在しない場合には、被検体の表層における漏洩弾
性表面波の伝搬がクラック等によって妨げられないた
め、振動子にて受信される漏洩波のレベルが高くなる。
したがって、この場合にも、超音波プローブにおける漏
洩波の受信レベルより演算処理部にて被検体表層におけ
るクラックの有無を判定することができる。なお、被検
体表層の健全性を評価するためには、必ずしも漏洩波と
垂直反射波の双方を検出可能な超音波プローブを用いる
必要はないが、少なくとも漏洩波のエコー波形を明確に
検出できる超音波プローブを用いる必要がある。
【0011】一方、被検体に生じた欠陥の方向性を検出
する技術としては、例えば特開平11−51911号公
報等に記載されているように、ラインフォーカス型超音
波送受信器を用いて、圧延金属板の内部に発生した圧延
方向に伸びる非金属介在物を検出する技術が提案されて
いる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前出の
(1)式から漏洩弾性表面波の音速Vを求め、被検
体Sの劣化度等を評価するためには、振動子102の受
信信号から漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエコー
波形Vとを明確に分離でき、その時間差Δtを計れるこ
とが前提となる。一般に、音響レンズ103のデフォー
カス量ΔZを大きくすると、漏洩弾性表面波の伝搬距離
が長くなって、経路A→B→C→D→E→Fと経路G→
H→I→H→Gの行程差が大きくなり、図17に示すよ
うに時間軸上で漏洩波のエコー波形Lと垂直反射波のエ
コー波形Vとが分離して時間差Δtの測定が可能になる
が、本願発明者らの研究によると、漏洩弾性表面波が減
衰しやすい被検体、例えば、母材の表面に溶射皮膜が施
された被検体については、音響レンズ103のデフォー
カス量ΔZを種々変更しても漏洩波のエコー波形Lと垂
直反射波のエコー波形Vとを明確に分離できず、時間差
Δtを求めることができないことが判明した。即ち、本
願発明者らは、母材の表面に厚さ0.1mmのWC系サ
ーメット材料からなる溶射皮膜が施された被検体につい
て実験を行ったところ、音響レンズ103のデフォーカ
ス量ΔZを大きくすると漏洩弾性表面波の減衰が大きく
なって漏洩波のエコー波形Lを検出することが困難にな
り、反対に、音響レンズ103のデフォーカス量ΔZを
小さくすると垂直反射波のエコー波形Vに漏洩波のエコ
ー波形Lが埋没して両者を明確に分離することができ
ず、時間差Δtを求めることができなかった。
【0013】これについて理論的な解析を加えると、前
記の被検体にのど厚(図16(a)のGH間)が5mm
のアルミニウム製(音速=6400m/s)の音響レン
ズからデフォーカス量ΔZを0.2mmとして10MH
zの超音波パルスを送信した場合、WC系溶射皮膜を伝
搬する漏洩弾性表面波の音速Vは約2300m/s
(表面を研磨した同種の溶射皮膜を用いて予め計測した
値)であり、レーリー臨界角は約41度であるので、図
16(a)に示した経路G→H→I→H→Gを伝搬する
垂直入射波及び垂直反射波の伝搬時間が10.05μs
であるのに対して、図16(a)に示した経路A→B→
C→D→E→F経路を伝搬する斜角入射波、漏洩弾性表
面波及び漏洩波の伝搬時間は10.1μsであり、その
差が50nsとなって使用周波数の周期(100ns)
の半分しかないので、仮に微弱な漏洩波が受信されてい
ても、時間差Δtを求めることができない。
【0014】一方、特開平11−51911号公報に記
載の技術によれば、圧延金属板中に存在する非金属介在
物のように方向性を有する欠陥を高精度に検出できる
が、被検体の劣化度評価や被検体表層部の健全性評価に
ついては行うことができず、被検体の超音波検査を効率
化することができない。また、前記公知例に係る超音波
探傷装置は、ラインフォーカス型超音波送受信器を用い
るので、装置が大型化及び複雑化するという問題もあ
る。
【0015】本発明は、かかる従来技術の不備を解決す
るためになされたものであって、その目的は、第1に、
被検体の劣化度評価と被検体表層部の健全性評価と欠陥
の方向性を検出することができ、超音波検査の高能率化
と高精度化を図ることができる超音波プローブを提供す
ることにある。また、第2に、被検体の表層、内部又は
底面に存在する欠陥の方向性を検出できる小型かつ簡単
な構成の超音波プローブを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の目的を
達成するため、まず第1に、振動子設定面が平面状に形
成されたフラット型超音波プローブと、当該フラット型
超音波プローブの先端部に取り付けられ、前記振動子か
ら送信された超音波を集束する音響レンズとを備えた集
束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズとし
て、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波
の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、被検体への斜
角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路における超
音波の伝搬速度とが異なり、かつ、前記被検体への斜角
入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路が一部遮断さ
れたものを用いるという構成にした。
【0017】音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の
伝搬経路における超音波の伝搬速度と、音響レンズの斜
角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速
度とを異ならせ、かつ、被検体への斜角入射波及び被検
体からの漏洩波の伝搬経路を一部遮断する手段として
は、(a)音響レンズとして、振動子対向面の中央部に
レンズ曲率面まで貫通する透孔が開設され、かつ、前記
レンズ曲率面に前記透孔の直径よりも幅の狭いスリット
が形成されたものを用いる、(b)音響レンズとして、
振動子対向面の中央部にレンズ曲率面まで貫通する透孔
が開設され、かつ、前記レンズ曲率面に前記透孔の直径
よりも幅の狭いスリットが形成されたものを用い、前記
透孔内及びスリット内に、音響レンズを構成する素材と
は超音波の伝搬速度が異なる素材からなる充填物を充填
する、(c)音響レンズとして、レンズ曲率面の中央部
にくぼみが形成され、かつ、当該レンズ曲率面に当該く
ぼみの直径よりも幅の狭いスリットが形成されたものを
用いる、(d)音響レンズとして、レンズ曲率面の中央
部にくぼみが形成され、かつ、当該レンズ曲率面に当該
くぼみの直径よりも幅の狭いスリットが形成されたもの
を用い、前記くぼみ内及びスリット内に、音響レンズを
構成する素材とは超音波の伝搬速度が異なる素材からな
る充填物を充填する、といった手段がある。
【0018】なお、前記(b),(d)における充填物
としては、音響レンズを構成する素材よりも超音波の伝
搬速度が遅いものを用いることもできるし、速いものを
用いることもできる。前者の具体例としては、アルミニ
ウムからなる音響レンズの透孔内又はくぼみ内に樹脂を
充填したものを挙げることができる。また、後者の具体
例としては、樹脂からなる音響レンズの透孔内又はくぼ
み内にアルミニウムの円筒体を圧入するか、アルミニウ
ムからなる心材の周囲に樹脂をアウトサートモールドし
て音響レンズとしたものを挙げることができる。
【0019】音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の
伝搬経路における超音波の伝搬速度と、音響レンズの斜
角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速
度とを異ならせると、デフォーカス量ΔZを大きくでき
ない場合にも、振動子による垂直反射波の受信タイミン
グと漏洩波の受信タイミングとをずらすことができるの
で、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形L
とを時間軸上で明確に分離できるようになり、各エコー
波形の受信の時間差Δtを求めることが可能になる。し
たがって、漏洩弾性表面波の音速Vが求められるこ
とから、母材の表面に溶射皮膜などの漏洩弾性表面波L
が減衰しやすい被膜が施された被検体についても、その
劣化度等を非破壊で評価することができる。また、垂直
反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとを時間
軸上で明確に分離でき、漏洩波の受信レベルを正確に求
められることから、被検体表層の健全性も非破壊で評価
することができる。一方、被検体への斜角入射波及び被
検体からの漏洩波の伝搬経路を一部遮断すると、超音波
プローブから被検体に入射される斜角入射波及び被検体
から超音波プローブに入射される漏洩波に方向性を付与
できるので、漏洩波の検出信号のS/N(信号対雑音
比)を向上することができ、線状又は面状欠陥の検出精
度を高めることができる。
【0020】また、本発明は、前記の目的を達成するた
め、第2に、振動子設定面が平面状に形成されたフラッ
ト型超音波プローブと、当該フラット型超音波プローブ
の先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された超
音波を集束する音響レンズとを備えた集束型の超音波プ
ローブにおいて、前記音響レンズとして、被検体への斜
角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路を有する
が、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波
の伝搬経路がなく、かつ、前記被検体への斜角入射波及
び被検体からの漏洩波の伝搬経路が一部切断されたもの
を用いるという構成にした。
【0021】被検体への垂直入射波及び被検体からの垂
直反射波の伝搬経路を除き、かつ、被検体への斜角入射
波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路を一部遮断する手
段としては、(a)音響レンズとして、振動子対向面の
中央部にくぼみが形成され、かつ、当該振動子対向面の
径方向に当該くぼみの直径よりも幅の狭いスリットが形
成されたものを用い、前記くぼみ及びスリットとフラッ
ト型超音波プローブにて構成される空間内に超音波遮蔽
部材を封入するか、超音波遮蔽体としての空気を封入す
る、(b)音響レンズとして、振動子対向面に、前記振
動子の中央部と径方向の一部とを覆う超音波遮蔽部材を
備える、といった手段がある。
【0022】かように、被検体への斜角入射波及び被検
体からの漏洩波の伝搬経路を有し、被検体への垂直入射
波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路を有しない音
響レンズを備えた超音波プローブを用いると、垂直反射
波のエコー波形Vが得られず時間差Δtを求めることが
できないが、漏洩波の受信レベルを正確に求められるの
で、被検体表層の健全性を評価することができる。ま
た、前記と同様に、被検体への斜角入射波及び被検体か
らの漏洩波の伝搬経路を一部遮断すると、超音波プロー
ブから被検体に入射される斜角入射波及び被検体から超
音波プローブに入射される漏洩波に方向性を付与できる
ので、漏洩波の検出信号のS/Nを向上することがで
き、線状又は面状欠陥の検出精度を高めることができ
る。
【0023】なお、前記各構成の音響レンズとしては、
被検体に超音波をスポット状に入射でき、高精度の超音
波検査を実行できることから、レンズ曲率面が球面状に
形成された凹レンズを用いることが好ましい。
【0024】さらに、本発明は、前記の目的を達成する
ため、第3に、振動子設定面が平面状に形成されたフラ
ット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プロー
ブの先端部に取り付けられた音響レンズとを備えた超音
波プローブにおいて、前記音響レンズとして、超音波の
伝搬経路が一部遮断されたものを用いるという構成にし
た。
【0025】かように、超音波の伝搬経路が一部遮断さ
れた音響レンズを備えた超音波プローブを用いると、超
音波プローブから被検体に入射される超音波及び被検体
から超音波プローブに入射される超音波に方向性を付与
することができるので、エコー信号のS/Nを向上する
ことができ、線状又は面状欠陥の検出精度を高めること
ができる。
【0026】なお、超音波の伝搬経路を一部遮断する手
段としては、音響レンズの超音波送受信面にスリットを
形成するという手段を用いることができる。
【0027】また、音響レンズの超音波送受信面は、凹
状のレンズ曲率面とすることもできるし、フラットに形
成することもできる。超音波送受信面に凹状のレンズ曲
率面を形成した場合には、振動子から送信された超音波
をスポット状に集束させることができるので、高精度の
超音波検査を行うことができる。一方、超音波送受信面
をフラットに形成した場合には、振動子から送信された
超音波を一度に被検体の広範囲に入射できるので、高能
率の超音波検査を行うことができる。
【0028】前記各構成の超音波プローブにおいては、
音響レンズを、フラット型超音波プローブの先端部に一
体不可分に固着することもできるし、フラット型超音波
プローブの先端部に着脱可能に取り付けることもでき
る。音響レンズをフラット型超音波プローブに着脱可能
に取り付ける場合には、音響レンズとフラット型超音波
プローブとに互いに噛み合うねじを刻設しておき、これ
らを螺合することによって着脱可能に結合することもで
きるし、音響レンズの側面部に形成されたねじ孔にビス
を螺合し、当該ビスによってフラット型超音波プローブ
を着脱可能に固定することもできる音響レンズをフラッ
ト型超音波プローブの先端部に着脱可能に取り付ける
と、仕様が異なる各種のフラット型超音波プローブと音
響レンズを組み合わせて 多様な仕様の集束型超音波プ
ローブを得ることができるので、少ない部品点数で多様
な超音波検査を実行することができ、超音波検査のトー
タルコストを低減することができる。また、フラット型
の超音波プローブと音響レンズとを着脱可能に結合した
ことから、水中における集束型超音波プローブの組立が
可能で、フラット型超音波プローブと音響レンズとの間
に気泡が介在することがなく、検査結果の信頼性を高め
ることができる。また、気泡を除去するための手数を要
しないので、この点からも検査コストの低減を図ること
ができる。
【0029】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る超音波プロー
ブの実施形態例を説明するに先立ち、超音波検査装置の
全体構成を図1及び図2に基づいて説明する。図1は超
音波検査装置のブロック図、図2は超音波検査装置にお
ける超音波プローブ設定部の一部断面した斜視図であ
る。
【0030】これらの図に示すように、本例の超音波検
査装置は、被検体Sの表面に沿って超音波を二次元走査
する超音波走査部10と、当該超音波走査部10の駆動
部20と、当該駆動部20を介して前記超音波走査部1
0を制御し、超音波の受信波形から被検体の応力分布や
破壊靱性値それに劣化度等の所望の検査結果を演算によ
って求める演算処理部30と、当該演算処理部30にて
得られた超音波検査結果を表示する表示部40とから主
に構成されている。
【0031】超音波走査部10は、図2に示すように、
超音波プローブ1と、当該超音波プローブ1及び被検体
Sを収納する水Wが貯えられた水槽11と、超音波プロ
ーブ1を三次元方向に駆動する機械式スキャナ12とか
らなる。機械式スキャナ12は、水槽11の相平行な2
辺に沿ってY−Y方向に配置された一対のY軸ガイド1
3と、当該Y軸ガイド13によってY−Y方向に案内さ
れるY軸スライダ14と、当該Y軸スライダ14に両端
が固定され、X−X方向に配置されたX軸ガイド15
と、当該X軸ガイド15によってX−X方向に案内され
るX軸スライダ16と、当該X軸スライダ16に垂直に
固定されたZ軸ガイド17と、前記超音波プローブ1を
保持し、前記Z軸ガイド17によってZ−Z方向に案内
されるZ軸スライダ18を有しており、前記各スライダ
14,16,18は、図1に示す3つのモータM1〜M
3によって駆動される。これらの各モータには、ロータ
リーエンコーダ等の位置信号出力装置が備えられてお
り、各スライダ14,16,18の座標信号を演算処理
部30にて検出できるようになっている。
【0032】駆動部20には、超音波プローブ1からの
超音波の発信と超音波プローブ1による超音波の受信と
を行うパルサー/レシーバー21と、当該パルサー/レ
シーバー21の受信信号をデジタル変換するA/D変換
器22と、前記機械式スキャナ12に備えられた3つの
モータM1〜M3を駆動するモータドライバ23とが備
えられている。
【0033】また、演算処理部30には、CPU31
と、キーボードやマウス等の入力手段32と、当該入力
手段32からの指令によって駆動するトリガー33及び
モータコントローラ34と、A/D変換された受信信号
をモータドライバ23及びモータコントローラ34を介
してモータ(M1〜M3)から取り込まれた座標信号と
共に蓄積する第1のメモリ35と、トリガー33からの
信号によって起動されCPU31による信号処理のゲー
トを設定するタイマー36と、CPU31による信号処
理の手順を記憶した第2のメモリ37とが備えられてい
る。
【0034】したがって、本例の超音波検査装置は、入
力手段32を操作することによって機械式スキャナ12
に備えられたモータM1〜M3を駆動することができ、
水槽11内に設定された被検体Sに対する超音波プロー
ブ1の位置決めを行うことができる。このときの超音波
プローブ1の座標信号は、モータドライバ23及びモー
タコントローラ34を介して第1のメモリ35に取り込
まれる。この状態から、入力手段32を操作することに
よって、パルサー/レシーバー21及びモータコントロ
ーラ34を駆動することができ、超音波プローブ1を被
検体Sの表面に沿って二次元的に移動しつつ、超音波プ
ローブ1からの超音波の送信と超音波プローブ1による
超音波の受信とを行うことができる。超音波プローブ1
によって受信された超音波は、A/D変換器22によっ
てA/D変換され、モータドライバ23及びモータコン
トローラ34を介してモータM1〜M3より取り込まれ
た座標信号と共に第1のメモリ35に蓄積される。CP
U31は、タイマー36に設定されたゲートごとに第1
のメモリ35に蓄積された信号を取り込んで、第2のメ
モリ37に記憶された信号処理手順に基づいてその信号
処理を行い、その処理結果を表示装置40に色調表示す
る。
【0035】以下、本発明に係る超音波プローブの実施
形態例について説明する。
【0036】〈超音波プローブの第1例〉第1実施形態
例に係る超音波プローブを、図3乃至図6に基づいて説
明する。図3(a),(b)は第1実施形態例に係る超
音波プローブの要部断面図及び平面図、図4はフラット
型超音波プローブに対する音響レンズの取付方式の他の
例を示す断面図、図5は振動子によって受信される漏洩
波及び垂直反射波のエコー波形図、図6(a),(b)
は第1実施形態例に係る超音波プローブの効果を示す漏
洩波のCスコープ画像である。
【0037】図3(a),(b)から明らかなように、
本例の超音波プローブ1Aは、振動子設定面7aが平面
状に形成されたフラット型超音波プローブ7と、前記振
動子設定面7aに取り付けられた平面形状が円形の単一
型振動子2と、当該振動子2から送信された超音波を収
束して被検体Sに入射する凹レンズ型の音響レンズ3と
を備えた構成になっている。本例の超音波プローブ1A
は、音響レンズ3として、その中央部に振動子対向面3
aからレンズ曲率面3bまで貫通する透孔4を開設する
と共に、当該透孔4の中心を通って音響レンズ3の径方
向に延びるスリット4aを、音響レンズ3の端面から振
動子対向面3aまで達する位置に形成したことを特徴と
する。
【0038】振動子2は、表裏両面に電極が設けられた
圧電薄膜をもって構成され、前記振動子設定面7aに接
着等の手段によって固定される。一方、音響レンズ3
は、アルミニウム等の超音波伝搬速度が大きな物質をも
って凹レンズ型に構成され、振動子対向面3aが平面状
に、これと対向するレンズ曲率面3bが球面状に形成さ
れている。透孔4の直径は、垂直入射波及び垂直反射波
の伝搬範囲以上に設定すれば足りるが、雑音の受信を極
力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝搬を阻害し
ない範囲内で可能な限り大きくする方が好ましい。ま
た、スリット4aの幅は、透孔4の直径よりも小さい範
囲で任意に設定できるが、あまり小さくすると、超音波
プローブから被検体に入射される斜角入射波及び被検体
から超音波プローブに入射される漏洩波の方向性が失わ
れて線状又は面状欠陥の検出精度が低下し、反対にあま
り大きくすると、超音波プローブから被検体に入射され
る斜角入射波及び被検体から超音波プローブに入射され
る漏洩波のレベルが低下して線状又は面状欠陥の検出精
度が低下するため、これらを考慮して、線状又は面状欠
陥の検出精度が最も高くなる値に設定する。実験による
と、音響レンズの焦点距離が5.7mm、開口径が8.
5mm、透孔4の直径が5mmである場合、スリット4
aの幅を1〜3mm程度にした場合に良好な線状又は面
状欠陥の検出精度が得られた。なお、本例の超音波プロ
ーブ1Aにおいては、音響レンズ3に形成された透孔4
及びスリット4aが被検体への垂直入射波及び被検体か
らの垂直反射波の伝搬経路になり、その他の部分が被検
体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路に
なる。また、スリット4aによって、被検体への斜角入
射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路が一部遮断され
る。
【0039】図3(a)に示すように、フラット型超音
波プローブ7の外周面には雄ねじ7aが刻設され、音響
レンズ3の上半部に形成された凹部3cの内周面には前
記雄ねじ7aと螺合する雌ねじ3dが刻設されていて、
これら両ねじ7a、3dを螺合することによって、フラ
ット型超音波プローブ7の先端部に音響レンズ3が着脱
可能に固定される。前記凹部3cの底面は平面状に形成
されており、フラット型超音波プローブ7の先端部に密
着できるようになっている。
【0040】なお、かかる構成に代えて、図4に示すよ
うに、音響レンズ3の側面に、凹部3cまで貫通するね
じ孔3eを開設し、当該ねじ孔3eに螺合されたビス3
fにて、凹部3c内に挿入されたフラット型超音波プロ
ーブ7の先端部を締結することもできる。
【0041】前記したように、超音波プローブは、被検
体Sの評価に際して、被検体Sと共に水中に配置され
る。したがって、音響レンズ3の中央部に透孔4が開設
された本実施形態例の超音波プローブ1Aを用いると、
図3(a)に示すように、振動子2の斜角経路A→B→
C及びD→E→Fと被検体Sとの間には、超音波の伝搬
速度が高いアルミニウム製の音響レンズ3(音速=約6
400m/s)と超音波の伝搬速度が低い水(19℃で
約1480m/s、26℃で約1500m/s)とが介
在するのに対して、振動子2の垂直経路G→I及びI→
Gと被検体Sとの間には、超音波の伝搬速度が低い水の
みが介在することになるので、経路A→B→C→D→E
→Fを通る斜角入射波、漏洩弾性表面波及び漏洩波の伝
搬時間よりも経路G→I→Gを通る垂直入射波及び垂直
反射波の伝搬時間の方が長くなり、図5に示すように、
垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形Lとが
分離し、かつ漏洩波のエコー波形Lの方が表面反射波の
エコー波形Vよりも先行した受信信号が得られる。した
がって、漏洩波のエコー波形Lと表面反射波のエコー波
形Vとの時間差Δtを求めることができ、漏洩弾性表面
波の音速Vを求めることができるので、当該漏洩弾
性表面波の音速変化から例えば被検体Sの応力分布や破
壊靱性値それに熱脆化や粒界腐蝕といった被検体の劣化
度、並びに被検体表面におけるクラックの有無や被検体
表面に設けられた被膜の剥離の有無といった被検体表面
の健全性を非破壊で評価することができる。
【0042】この点についてより詳細に説明すると、前
記と同様に、母材の表面に厚さ0.1mmのWC系溶射
皮膜が施された被検体とレンズのど厚(透孔4を開設す
る前のGH間の距離)が5mmのアルミニウム製音響レ
ンズを用い、デフォーカス量ΔZを0.2mm、使用周
波数を10MHz、漏洩弾性表面波の音速Vを23
00m/s、レーリー臨界角を41度として垂直波Vと
漏洩弾性表面波Lの時間差Δtを求めると、経路A→B
→C→D→E→Fを伝搬する超音波の伝搬時間が約10
μsであるのに対して、経路G→I→Gを伝搬する超音
波の伝搬時間は約15μsであり、その差が5μs(使
用周波数の周期の50倍)となって、溶射被膜を有する
被検体においても両波を分離できることが判る。なお、
前例においては、使用周波数を10MHzとしたが、5
〜20MHzの範囲で変更した場合にも同様の結果が得
られた。
【0043】また、本実施形態例に係る超音波プローブ
1Aは、音響レンズ3の径方向にスリット4aを設けた
ので、斜角入射波の伝搬及び漏洩波の伝搬は、図3
(b)に矢印で示すように、スリット形成部以外の部分
でのみ行われ、スリット形成部においては斜角入射波の
伝搬及び漏洩波の伝搬が行われない。したがって、超音
波プローブ1Aから被検体Sに入射される斜角入射波及
び被検体Sから超音波プローブ1Aに入射される漏洩波
に方向性が付与されるので、漏洩波の検出信号のS/N
を向上することができ、線状欠陥又は面状欠陥の検出精
度を高めることができる。図6(a)に本実施形態例に
係る超音波プローブ1Aを用い、スリット4aを線状欠
陥と平行に向けることによって検出された漏洩波のCス
コープ画像を、図6(b)に透孔4のみを有しスリット
4aを有しない超音波プローブを用いて検出された漏洩
波のCスコープ画像を示す。これらの図から明らかなよ
うに、本実施形態例に係る超音波プローブ1Aを用いた
場合には、透孔4のみを有しスリット4aを有しない超
音波プローブを用いた場合に比べて、線状欠陥がより明
瞭に検出される。
【0044】さらに、本実施形態例に係る超音波プロー
ブ1Aは、フラット型超音波プローブ7の先端部に音響
レンズ3を着脱可能に取り付けたので、仕様が異なる各
種のフラット型超音波プローブ7と音響レンズ3とを組
み合わせて多様な仕様の集束型超音波プローブを得るこ
とができ、少ない部品点数で多様な超音波検査を実行す
ることができることから、超音波検査のトータルコスト
を低減することができる。また、フラット型超音波プロ
ーブ7と音響レンズ3とを着脱可能に結合したことか
ら、水中における集束型超音波プローブの組立が可能で
あり、フラット型超音波プローブ7と音響レンズ3の間
に気泡が介在することがないので、検査結果の信頼性を
高めることができる。加えて、気泡を除去するための手
数を要しないので、この点からも検査コストの低減を図
ることができる。
【0045】〈超音波プローブの第2例〉第2実施形態
例に係る超音波プローブを、図7に基づいて説明する。
図7(a),(b)は第2実施形態例に係る超音波プロ
ーブ1Bの要部断面図及び平面図である。
【0046】第2実施形態例に係る超音波プローブ1B
は、音響レンズ3に単に透孔4及びスリット4aを形成
する構成に代えて、形成された透孔4内及びスリット4
a内に音響レンズ3を構成する素材とは超音波の伝搬速
度が異なる素材からなる充填物6を充填したことを特徴
とする。その他については、第1実施形態例に係る超音
波プローブ1Aと同じであるので、重複を避けるために
説明を省略する。
【0047】音響レンズ3を構成する素材と充填物6と
は、超音波の伝搬速度の差が大きいほど好ましく、音響
レンズ3がアルミニウム(音速=6400m/s)をも
って構成される場合には、充填物6としてはアクリル樹
脂等の樹脂材料(音速=2000〜3000m/s)が
好適に用いられ、反対に音響レンズ3が樹脂材料をもっ
て構成される場合には、充填物6としてはアルミニウム
が好適に用いられる。充填部6として樹脂を用いる場合
には、開設された透孔4及び形成されたスリット4a内
に充填物である樹脂をポッティングすることによって音
響レンズ3を製造することができる。また、充填部6と
して固体を用いる場合には、開設された透孔4及び形成
されたスリット4a内に充填物である固体を圧入するこ
とによっても音響レンズ3を製造することができる。さ
らに、音響レンズ3が樹脂材料から構成される場合に
は、アルミニウム等の充填物6の周囲に樹脂をアウトサ
ート成形することによっても所望の音響レンズ3を製造
することができる。
【0048】勿論、音響レンズ3を構成する素材よりも
超音波の伝搬速度が低い充填物6を充填した場合には、
経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よ
りも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間が相対
的に遅くなって、図5に示すように漏洩波のエコー波形
Lの方が垂直反射波のエコー波形Vより先行した形にな
り、逆に、音響レンズ3を構成する素材よりも超音波の
伝搬速度が高い充填物6を充填した場合には、経路A→
B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時間よりも経路
G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間が相対的に速く
なって、図16に示すように垂直反射波のエコー波形V
の方が漏洩波のエコー波形Lより先行した形になる。
【0049】本例の超音波プローブ1Bは、音響レンズ
3における垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路G→I
及びI→Gと斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路A→B→
C及びD→E→Fとを音速が異なる素材で構成したの
で、各経路を通る超音波の伝搬時間の差が大きくなっ
て、垂直反射波のエコー波形Vと漏洩波のエコー波形L
の分離が可能になり、被検体の劣化度等並びに被検体表
層の健全性の評価を行うことができる。また、スリット
4aを有するので、線状又は面状の欠陥の検出を高精度
に行うことができる。
【0050】〈超音波プローブの第3例〉第3実施形態
例に係る超音波プローブを、図8に基づいて説明する。
図8は第3実施形態例に係る超音波プローブの要部断面
図である。
【0051】第3実施形態例に係る超音波プローブ1C
は、音響レンズ3の中央部に透孔4を開設する構成に代
えて、音響レンズ3のレンズ曲率面3bの中央部にくぼ
み5を形成したことを特徴とする。くぼみ5の直径は、
垂直入射波及び垂直反射波の伝搬範囲以上であり、雑音
の受信を極力抑制するため、斜角入射波及び漏洩波の伝
搬を阻害しない範囲内で可能な限り大きく形成される。
その他については、第1実施形態例に係る超音波プロー
ブ1Aと同様に形成される。
【0052】この超音波プローブ1Cを用いた場合に
も、第1実施形態例に係る超音波プローブ1Aと同様
に、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時
間よりも経路G→I→Gを伝搬する超音波の伝搬時間を
相対的に遅らせることができるので、垂直反射波のエコ
ー波形Vと漏洩波のエコー波形Lの分離が可能で、被検
体の劣化度等並びに被検体表層の健全性の評価を行うこ
とができる。また、スリット4aを有するので、線状又
は面状の欠陥の検出を高精度に行うことができる。
【0053】〈超音波プローブの第4例〉第4実施形態
例に係る超音波プローブを、図9に基づいて説明する。
図9(a),(b)は、第4実施形態例に係る超音波プ
ローブ1Dの要部断面図及び平面図である。
【0054】第4実施形態例に係る超音波プローブ1D
は、音響レンズ3に単にくぼみ5及びスリット4aを形
成する構成に代えて、形成されたくぼみ5内及びスリッ
ト4a内に音響レンズ3を構成する素材とは超音波の伝
搬速度が異なる素材からなる充填物6を充填したことを
特徴とする。その他については、第2実施形態例に係る
超音波プローブ1Bと同じであるので、重複を避けるた
めに説明を省略する。
【0055】本例の超音波プローブ1Dも、第2実施形
態例に係る超音波プローブ1Bと同様の効果を有する。
【0056】〈超音波プローブの第5例〉第5実施形態
例に係る超音波プローブを、図10に基づいて説明す
る。図10は第5実施形態例に係る超音波プローブ1E
の要部断面図である。
【0057】第5実施形態例に係る超音波プローブ1E
は、図10に示すように、音響レンズ3の振動子対向面
3aの中央部にくぼみ5を形成すると共に、当該振動子
対向面3aの径方向に当該くぼみ5の直径よりも幅の狭
いスリット4aを形成し、これらくぼみ5及びスリット
4aと前記フラット型超音波プローブ7に備えられた振
動子2の表面にて構成される空間内に超音波遮蔽部材8
を封入するか、超音波遮蔽体としての空気を封入すると
いう構成にした。その他については、第3実施形態例に
係る超音波プローブ1Cと同じであるので、説明を省略
する。
【0058】この超音波プローブ1Eを用いた場合は、
被検体Sへの垂直入射波の伝搬及び被検体Sからの垂直
反射波の伝搬が超音波遮蔽部材8又は超音波遮蔽体とし
ての空気によって制限されるので、垂直反射波のエコー
波形Vが得られず、したがって時間差Δtを求めること
ができないが、斜角入射波の伝搬経路と漏洩波の伝搬経
路とが設けられているので、漏洩波の受信レベルを検出
することができ、この漏洩波の受信レベルから被検体表
層の健全性を評価することができる。また、スリット4
aを有するので、線状又は面状の欠陥の検出を高精度に
行うことができる。
【0059】〈超音波プローブの第6例〉第6実施形態
例に係る超音波プローブを、図11に基づいて説明す
る。図11は第6実施形態例に係る超音波プローブに備
えられる音響レンズの振動子対向面側から見た平面図で
ある。
【0060】第6実施形態例に係る超音波プローブ1F
は、図11に示すように、音響レンズ3に透孔4やくぼ
み5を形成せず、振動子対向面3aに、その中央部と径
方向の一部とを覆う超音波遮蔽部材8を配設したことを
特徴とする。振動子対向面3aの中央部を覆う超音波遮
蔽部材8の円形部8aは、第1実施形態例に係る超音波
プローブ1Aにおける透孔4に対応するものであり、そ
の直径は、雑音の受信を極力抑制するため、斜角入射波
及び漏洩波の伝搬を阻害しない範囲内で可能な限り大き
く形成される。また、振動子対向面3aの径方向を覆う
超音波遮蔽部材8の突出部8bは、第1実施形態例に係
る超音波プローブ1Aにおけるスリット4aに対応する
ものであり、その幅は、前記円形部8aの直径より小さ
く、かつ斜角入射波及び漏洩波に方向性を付与可能な大
きさに形成される。その他については、第1実施形態例
に係る超音波プローブ1Aと同じであるので、説明を省
略する。
【0061】本例の超音波プローブ1Fを用いた場合
も、被検体Sへの垂直入射波の伝搬及び被検体Sからの
垂直反射波の伝搬が超音波遮蔽部材8によって制限され
るが、斜角入射波の伝搬経路と漏洩波の伝搬経路とが設
けられているので、漏洩波の受信レベルを検出すること
ができ、この漏洩波の受信レベルから被検体表層の健全
性を評価することができる。また、スリット4aを有す
るので、線状又は面状の欠陥の検出を高精度に行うこと
ができる。
【0062】以下、前記のように構成された超音波検査
装置を用いた超音波検査方法の一例を、前出の図3
(a)並びに図12及び図13に基づいて説明する。こ
の検査方法は、水温の測定を行うことなく、漏洩弾性表
面波の音速Vを算出できるようにしたことを特徴と
する。図12は音響レンズの焦点を被検体の表面に合致
した場合における超音波プローブの配置を示す説明図で
あり、図13は超音波検査方法の手順を示すフローチャ
ートである。図13に示した超音波検査方法の手順は、
図1に示した第2のメモリ37に記憶される。
【0063】まず、手順S1で、機械式スキャナ12の
Z軸スライダ18を駆動して超音波プローブ1を被検体
Sに接近する方向又は被検体Sから離隔する方向に移動
し、図12に示すように、音響レンズ3の焦点を被検体
Sの表面に合致させる。音響レンズ3の焦点が被検体S
の表面に合致すると、漏洩波のエコーレベルが最大にな
るので、音響レンズ3の焦点が被検体Sの表面に合致し
たことを知ることができる。
【0064】手順S2で、振動子2から超音波を送信
し、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時
間tL0と、経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間t
V0を計測する。また、Z軸スライダ18の出力値Z
の読み込みを行う。
【0065】次に、手順S3,S4で、漏洩弾性表面波
を検出するまで超音波プローブ1を被検体Sに接近させ
る。超音波プローブ1の停止位置は、必ずしも漏洩弾性
表面波のエコーレベルが最大になる位置とする必要はな
く、漏洩弾性表面波を検出できる範囲内で任意に設定で
きる。漏洩弾性表面波が検出されたとき、超音波プロー
ブ1は、図3(a)に示す位置になり、音響レンズ3の
焦点位置は、被検体Sの表面からデフォーカス量ΔZだ
け内側になる。
【0066】手順S5で、振動子2から超音波を送信
し、経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬時
間tL1と、経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間t
V1を計測する。また、Z軸スライダ18の出力値Z
の読み込みを行う。
【0067】次いで手順S6に移行し、手順S2で計測
された経路A→B→C→D→E→Fを通る超音波の伝搬
時間tL0と手順S5で計測された経路A→B→C→D
→E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1との時間差Δt
(=tL0−tL1)、手順S2で計測された経路G
→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV0と手順S5で計
測された経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間tV1
との時間差Δt(=tV0−tV1)及び手順S2で
計測されたZ軸スライダ18の出力値Zと手順S5
で計測されたZ軸スライダ18の出力値Zの差、即
ち音響レンズ3のデフォーカス量ΔZ(=Z−Z
を算出する。
【0068】最後に、これらの算出値から、下記の
(2)式を用いて漏洩弾性表面波の音速Vを求める
【数2】 (2)式は水の音速Vを変数に含まないので、この
式に基づけば、水の音速Vを測定することなく漏洩
弾性表面波の音速Vを算出することができる。な
お、上記においては説明を省略したが、上記の検査方法
を実行するに際しては、機械式スキャナ12のY軸スラ
イダ14及び/又はX軸スライダ16を適宜駆動して、
被検体Sの表面に沿って超音波プローブ1を走査するこ
とはもちろんである。また、図13の超音波検査方法に
おいては、手順S1で音響レンズ3の焦点を被検体Sの
表面に合致させたが、この手順において音響レンズ3の
焦点を被検体Sの表面に完全に合致させなければ所要の
超音波検査を実行できないというものではなく、音響レ
ンズ3の焦点を被検体Sの表面よりやや内側に位置付け
ることもできる。この場合には、手順S3,S4におい
て、音響レンズ3の焦点位置が、手順S1で設定された
音響レンズ3の焦点位置よりもさらに被検体Sの内側に
移動される。
【0069】以下、当該(2)式の妥当性について説明
する。
【0070】音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面
に合致させたときに経路A→B→C→D→E→Fを通る
超音波の伝搬時間tL0と音響レンズ3の焦点位置を被
検体Sの表面からずらしたときに経路A→B→C→D→
E→Fを通る超音波の伝搬時間tL1との時間差Δt
は、音響レンズ3のデフォーカス量をΔZ、レーリ
ー臨界角をθ、水の音速をV、漏洩弾性表面波
の音速をVとしたとき、
【数3】 で表され、スネルの法則からV=Vsinθであ
ることを利用して(3)式からθを消去すると、下
記の(4)式が得られる。
【0071】
【数4】 一方、音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面に合致
させたときに経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間t
V0と音響レンズ3の焦点位置を被検体Sの表面からず
らしたときに経路G→I→Gを通る超音波の伝搬時間t
V1との時間差Δtは、下記の(5)式で表され
る。
【0072】
【数5】 この(5)式から、水の音速をVは、下記の(6)
式で求められる。
【0073】
【数6】 ここで、(6)式を(4)式に代入すれば、水の音速V
を変数に含まない漏洩弾性表面波の音速Vを求
める(2)式を得ることができる。
【0074】なお、本例においては、第1実施形態例に
係る超音波プローブ1Aを用いた検査方法について説明
したが、第2乃至第4実施例に係る超音波プローブ1B
乃至1Dを用いた場合にも、同様の効果を得ることがで
きる。
【0075】次に、前記のように構成された超音波検査
装置及び超音波プローブを用いた超音波検査方法の他の
例を、図1、図2、図3、図12及び図14を参照して
説明する。ここに、図14は超音波検査方法の手順を示
すフローチャートである。
【0076】まず、図14の手順S1において、入力手
段32を操作し、機械式スキャナ12に備えられたモー
タM1,M2を駆動して、水槽11内に設定された被検
体Sに対する超音波プローブ1のX−Y方向の位置決め
を行う。このときの超音波プローブ1のX−Y座標は、
モータドライバ23及びモータコントローラ34を介し
て第1のメモリ35に取り込まれ、超音波プローブ1の
現在位置が特定される。
【0077】次いで、図14の手順S2に移行し、入力
手段32を操作して機械式スキャナ12に備えられたモ
ータM3を駆動し、機械式スキャナ12のZ軸スライダ
18に取り付けられた超音波プローブ1をZ方向に移動
し、図3に示すように、音響レンズ3の焦点を被検体S
の表面より所要のデフォーカス量ΔZだけ下方に合致さ
せる。音響レンズ3の焦点が図15に示すように被検体
Sの表面に合致すると漏洩波のエコーレベルが最大にな
るので、超音波プローブ1をZ方向に移動しつつ、漏洩
波のエコーレベルを連続的に検知することによって、音
響レンズ3の焦点を被検体Sの表面に合致させることが
でき、その位置から所要のデフォーカス量ΔZだけ超音
波プローブ1を下降することによって、音響レンズ3の
焦点を所定の位置に合致させることができる。この操作
は、演算処理部30に備えられた第2のメモリ37に記
憶されたプログラムに基づいて自動的に行わせることが
できる。なお、デフォーカス量ΔZが大きいほど垂直反
射波の検出タイミングと漏洩波の検出タイミングとがず
れて漏洩波レベルの検出が容易になるが、その反面溶射
皮膜Sによる漏洩弾性表面波の減衰が大きくなって
漏洩波レベルが低下するため、両者を勘案して、膜厚が
0.1mmの溶射皮膜の場合、デフォーカス量ΔZを
0.2mm程度とすることが好ましい。
【0078】次いで、図14の手順S3に移行し、入力
手段32を操作して所要の範囲で超音波プローブ1をX
−Y方向に二次元走査しつつ、所要の走査ピッチで漏洩
波のエコー像を超音波プローブ1の座標信号と共に演算
処理部30に備えられた第1のメモリ35に取り込む。
この操作も、演算処理部30に備えられた第2のメモリ
37に記憶されたプログラムに基づいて自動的に行わせ
ることができる。
【0079】最後に、図14の手順S4に移行し、第1
のメモリ35に蓄積されたデータを順次CPU31に取
り込んでCスコープ画像化し、その結果を表示部40に
表示する。この操作も、演算処理部30に備えられた第
2のメモリ37に記憶されたプログラムに基づいて自動
的に行わせることができる。これにより、図6に示すよ
うなCスコープ画像を得ることができる。
【0080】なお、本例においては、第1実施形態例に
係る超音波プローブ1Aを用いた検査方法について説明
したが、第2乃至第6実施例に係る超音波プローブ1B
乃至1Fを用いた場合にも、同様の効果を得ることがで
きる。
【0081】以上説明した各超音波検査方法によると、
被検体Sの表面側から検査部位である被検体Sの表層部
分に超音波を入射するので、被検体Sの厚みや被検体S
の内部状態それに被検体Sの底面の状態に関わりなく、
常に高精度の欠陥検査を行うことができる。また、上記
と同様の理由から、被検体Sの端部まで超音波検査が可
能で、信頼性の高い欠陥検査を行うことができる。
【0082】〈超音波プローブの第7例〉第7実施形態
例に係る超音波プローブを、図15に基づいて説明す
る。図15は第7実施形態例に係る超音波プローブの要
部断面図及び平面図である。
【0083】第7実施形態例に係る超音波プローブ1G
は、図15に示すように、音響レンズ3に透孔4を形成
せず、かつレンズ曲率面3bの曲率を大きくして音響レ
ンズ3の焦点距離を大きくし、さらには音響レンズ3の
中心を通って径方向に延びるスリット4aを音響レンズ
3の端面から振動子対向面3aまで達する位置に形成し
たことを特徴とする。レンズ曲率面3bの曲率は、必要
に応じて任意の値に設定できるが、漏洩弾性表面波の発
生を抑制して被検体内部の探傷を高精度に行えるように
するため、レーリー臨界角θで被検体に入射する斜
角入射波を生じさせない値に調整することが特に好まし
い。その他については、第1実施形態例に係る超音波プ
ローブ1Aと同じであるので、説明を省略する。
【0084】本例の超音波プローブ1Gは、図15
(a)に示すように、音響レンズ3の焦点fを被検体S
の表層から所要の深さに位置付けることによって、被検
体内部又は被検体底面の探傷を行うことができる。な
お、被検体Sが圧延金属板であり、探傷の対象が当該圧
延金属板中に存在する非金属介在物である場合には、音
響レンズ3に形成されたスリット4aを金属板の圧延方
向と平行に向けて超音波探傷を行う。圧延金属板中に存
在する非金属介在物は、圧延方向に伸びる線状欠陥にな
ることが知られているので、スリット4aの向きをこの
ように調整することによって、高精度の超音波探傷が可
能になる。
【0085】本例の超音波プローブ1Gは、音響レンズ
3にスリット4aを形成したので、線状又は面状の欠陥
の検出を高精度に行うことができる。また、音響レンズ
3を凹レンズ状に形成したので、振動子2から送信され
た超音波をスポット状に集束させることができ、高精度
の探傷を行うことができる。さらに、レンズ曲率面3b
の曲率半径を大きくして音響レンズ3の焦点距離を大き
くしたので、被検体Sの表層のみならず、被検体Sの内
部や底面の探傷も行うことができる。
【0086】なお、前記第7実施形態例においては、音
響レンズ3の端面(超音波送受信面)にレンズ曲率面3
bを形成したが、かかる構成に代えて、音響レンズ3の
端面をフラット状に形成し、当該フラット状の端面にス
リット4aを形成することもできる。
【0087】この場合には、超音波がスポット状に集束
されず、被検体Sの広い範囲にわたって超音波が一度に
照射されるので、被検体Sの検査効率を高めることがで
き、粗探傷を高速に行う場合などに適する。
【0088】
【発明の効果】請求項1乃至5に記載の発明は、振動子
設定面が平面状に形成されたフラット型超音波プローブ
と、当該フラット型超音波プローブの先端部に取り付け
られ、前記振動子から送信された超音波を集束する音響
レンズとを備えた集束型の超音波プローブにおいて、前
記音響レンズとして、被検体への垂直入射波及び被検体
からの垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度
と、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝
搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせたものを
用いたので、デフォーカス量ΔZを大きくできない場合
にも、振動子による垂直反射波の受信タイミングと漏洩
波の受信タイミングとをずらすことができ、各エコー波
形の受信の時間差Δtを求めることができる。よって、
母材の表面に溶射皮膜などの漏洩弾性表面波Lが減衰し
やすい被膜が施された被検体についても、その劣化度等
を非破壊で評価することができると共に、漏洩波の受信
レベルを正確に求められることから、被検体表層の健全
性も非破壊で評価することができる。また、音響レンズ
における被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波
の伝搬経路を一部遮断したので、超音波プローブから被
検体に入射される斜角入射波及び被検体から超音波プロ
ーブに入射される漏洩波に方向性を付与でき、漏洩波の
検出信号のS/Nを向上できて、線状又は面状欠陥の検
出精度を高めることができる。
【0089】請求項6乃至8に記載の発明は、前記と同
様の集束型の超音波プローブにおいて、前記音響レンズ
として、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波
の伝搬経路を有し、被検体への垂直入射波及び被検体か
らの垂直反射波の伝搬経路を有しないものを用いたの
で、漏洩波の受信レベルが正確に求められ、被検体表層
の健全性を評価することができる。また、音響レンズに
おける被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の
伝搬経路を一部遮断したので、超音波プローブから被検
体に入射される斜角入射波及び被検体から超音波プロー
ブに入射される漏洩波に方向性を付与でき、漏洩波の検
出信号のS/Nを向上できて、線状又は面状欠陥の検出
精度を高めることができる。
【0090】請求項9に記載の発明は、音響レンズとし
て、レンズ曲率面が球面状に形成された凹レンズを用い
たので、フラット型超音波プローブから出力された超音
波を被検体の表層部分にスポット状に集中させることが
でき、高精度の検査を行うことができる。
【0091】請求項10乃至13に記載の発明は、音響
レンズとして、透孔が開設されておらず、超音波の伝搬
経路が一部遮断されたものを用いたので、振動子から送
信される超音波及び被検体から受信される超音波に方向
性を付与することができ、被検体の表層、内部又は底面
に存在する線状又は面状の欠陥の検出を高精度に行うこ
とができる。
【0092】請求項14に記載の発明は、音響レンズを
フラット型超音波プローブの先端部に着脱可能に取り付
けたので、仕様が異なる各種のフラット型超音波プロー
ブと音響レンズを組み合わせて、多様な仕様の集束型超
音波プローブを得ることができ、少ない部品点数で多様
な超音波検査を実行することができるので、超音波検査
のトータルコストを低減することができる。また、フラ
ット型の超音波プローブと音響レンズとを着脱可能に結
合したことから、水中における集束型超音波プローブの
組立が可能で、フラット型超音波プローブと音響レンズ
との間に気泡が介在することがなく、検査結果の信頼性
を高めることができる。また、気泡を除去するための手
数を要しないので、この点からも検査コストの低減を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波検査装置のブロック図である。
【図2】超音波検査装置における超音波走査部の構成図
である。
【図3】第1実施形態例に係る超音波プローブの要部断
面図及び平面図である。
【図4】フラット型超音波プローブと音響レンズとの結
合方式の他の例を示す断面図である。
【図5】振動子によって受信される漏洩波及び垂直反射
波のエコー波形を示す波形図である。
【図6】漏洩波のCスコープ画像の一例を示す図であ
る。
【図7】第2実施形態例に係る超音波プローブの要部断
面図及び平面図である。
【図8】第3実施形態例に係る超音波プローブの要部断
面図及び平面図である。
【図9】第4実施形態例に係る超音波プローブの要部断
面図及び平面図である。
【図10】第5実施形態例に係る超音波プローブの要部
断面図及び平面図である。
【図11】第6実施形態例に係る超音波プローブの平面
図である。
【図12】音響レンズの焦点を被検体の表面に合致した
場合における超音波プローブの配置を示す説明図であ
る。
【図13】超音波検査方法の第1例を示すフローチャー
トである。
【図14】超音波検査方法の第2例を示すフローチャー
トである。
【図15】第7実施形態例に係る超音波プローブの要部
断面図及び平面図である。
【図16】従来より知られている超音波プローブの要部
断面図及び平面図である。
【図17】振動子によって受信される漏洩波及び垂直反
射波のエコー波形である。
【符号の説明】
1 超音波プローブ 2 振動子 3 音響レンズ 3a 振動子設定面 3b レンズ曲率面 4 透孔 4a スリット 5 くぼみ 6 充填物 7 フラット型超音波プローブ 8 超音波遮蔽部材 9 保護材

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動子設定面が平面状に形成されたフラ
    ット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プロー
    ブの先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された
    超音波を集束する音響レンズとを備えた集束型の超音波
    プローブにおいて、前記音響レンズとして、被検体への
    垂直入射波及び被検体からの垂直反射波の伝搬経路にお
    ける超音波の伝搬速度と、被検体への斜角入射波及び被
    検体からの漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度
    とが異なり、かつ、前記被検体への斜角入射波及び被検
    体からの漏洩波の伝搬経路が一部遮断されたものを用い
    たことを特徴とする超音波プローブ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の超音波プローブにおい
    て、前記音響レンズとして、振動子対向面の中央部にレ
    ンズ曲率面まで貫通する透孔が開設され、かつ、前記レ
    ンズ曲率面に前記透孔の直径よりも幅の狭いスリットが
    形成されたものを用いたことを特徴とする超音波プロー
    ブ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の超音波プローブにおい
    て、前記透孔及びスリット内に、前記音響レンズを構成
    する素材とは超音波の伝搬速度が異なる素材からなる充
    填物を充填したことを特徴とする超音波プローブ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の超音波プローブにおい
    て、前記音響レンズとして、レンズ曲率面の中央部にく
    ぼみが形成され、かつ、当該レンズ曲率面に当該くぼみ
    の直径よりも幅の狭いスリットが形成されたものを用い
    たことを特徴とする超音波プローブ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の超音波プローブにおい
    て、前記くぼみ及びスリット内に、前記音響レンズを構
    成する素材とは超音波の伝搬速度が異なる素材からなる
    充填物を充填したことを特徴とする超音波プローブ。
  6. 【請求項6】 振動子設定面が平面状に形成されたフラ
    ット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プロー
    ブの先端部に取り付けられ、前記振動子から送信された
    超音波を集束する音響レンズとを備えた集束型の超音波
    プローブにおいて、前記音響レンズとして、被検体への
    斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路を有する
    が、被検体への垂直入射波及び被検体からの垂直反射波
    の伝搬経路がなく、かつ、前記被検体への斜角入射波及
    び被検体からの漏洩波の伝搬経路が一部遮断されたもの
    を用いたことを特徴とする超音波プローブ。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の超音波プローブにおい
    て、前記音響レンズとして、振動子対向面の中央部にく
    ぼみが形成され、かつ、当該振動子対向面の径方向に当
    該くぼみの直径よりも幅の狭いスリットが形成されたも
    のを用い、前記くぼみ及びスリットと前記フラット型超
    音波プローブにて構成される空間内に超音波遮蔽部材を
    封入するか、超音波遮蔽体としての空気を封入したこと
    を特徴とする超音波プローブ。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の超音波プローブにおい
    て、前記音響レンズとして、振動子対向面に、前記振動
    子の中央部と径方向の一部とを覆う超音波遮蔽部材を備
    えたものを用いたことを特徴とする超音波プローブ。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8に記載の超音波プローブ
    において、前記音響レンズとして、レンズ曲率面が球面
    状に形成された凹レンズを用いたことを特徴とする超音
    波プローブ。
  10. 【請求項10】 振動子設定面が平面状に形成されたフ
    ラット型超音波プローブと、当該フラット型超音波プロ
    ーブの先端部に取り付けられた音響レンズとを備えた超
    音波プローブにおいて、前記音響レンズとして、超音波
    の伝搬経路が一部遮断されたものを用いたことを特徴と
    する超音波プローブ。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の超音波プローブに
    おいて、前記音響レンズの超音波送受信面にスリットを
    形成したことを特徴とする超音波プローブ。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の超音波プローブに
    おいて、前記音響レンズの超音波送受信面に凹状のレン
    ズ曲率面を形成したことを特徴とする超音波プローブ。
  13. 【請求項13】 請求項10に記載の超音波プローブに
    おいて、前記音響レンズの超音波送受信面をフラットに
    形成したことを特徴とする超音波プローブ。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至13に記載の超音波プロ
    ーブにおいて、前記フラット型超音波プローブの先端部
    に、前記音響レンズを着脱可能に取り付けたことを特徴
    とする超音波プローブ。
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