JP2007263956A - 超音波探傷方法および装置 - Google Patents

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穣 松井
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Abstract

【課題】水浸法(全没水浸法、局部水浸法、水柱超音波法)を用いて、スラブのように表面が粗い検査材の表層部にある微小欠陥を高いS/Nで探傷することが可能な超音波探傷方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】圧電型振動子を用い、水を介して、被検査材の探傷を行なう超音波探傷方法において、被検査材に対してクリーピング波を送信し、被検査材に存在する欠陥で反射したクリーピング波を送信位置とは異なる位置で受信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電型振動子を用い、水媒介を介して被検査材に存在する欠陥を探傷するための超音波探傷方法および装置に関するものである。
鉄鋼製品(棒、板、管など)内部の欠陥の探傷には、超音波探傷が使われている。そして、一般的に良く知られている超音波探傷方法は垂直パルスエコー法で、超音波探触子と検査材とを油や水で音響結合して、超音波探触子から検査材内部に垂直に超音波を送信し、内部に存在する欠陥で反射したエコーを超音波探触子で受信する方法である。この方法は検査材の肉厚の中央部は十分に探傷することができるが、表層部(表面下数ミリ〜10mm程度)については送信パルスや表面エコーが不感帯(探傷不可能領域)となって、探傷することができないという問題がある。そこで、検査材表層部の欠陥を探傷する方法として、以下のような技術が考案されている。
(1)特許文献1に記載の技術
水を介して垂直パルスエコー法で探傷する方法において、超音波の周波数を高周波化して、受信される表面エコーの時間幅を短くし、さらに表層部にある欠陥から発生する多重反射エコーを検出することで、従来、不感帯に隠れてしまい検出できなかった欠陥を検出できるようにしている。
しかしながら、検査材の表面がスラブのように粗い(1mm程度の凹凸がある)場合には、以下の問題がある。図8は、特許文献1の技術を用いて、表面が粗い検査材の表層(表面下数mm〜10mm程度)を探傷した際の超音波の反射経路と受信波形を示す図である。図中、1は超音波探触子、2は被検査材表面、3は欠陥、4,5,6は表面エコー、および7は欠陥エコーをそれぞれ表す。
表面が粗い場合、超音波の表面粗さの山の部分では反射経路A、谷の部分では反射経路Bとして伝播し、表面粗さの凹凸で表面エコーの伝播時間に差が生じる。実際の受信信号はこれら反射経路A、反射経路Bの和である。検査材が鋼であり、仮に表面に1mmの凹みがある部分を探傷したとすると、鋼の音速は約5900m/s、水中の音速は約1490m/sであるので、反射経路Aのエコーに対して表面下約4mmに相当する位置に反射経路Bの表面エコーが現れることになる。このように、表面の粗さにより、表面エコーが探傷ゲート内に入り込んでノイズとなりS/Nが低下する。
(2)表面波を用いて探傷する技術
表層部に在る欠陥を探傷する方法として、表面波(レイリー波)を用いる方法が知られている。図9は、表面波(レイリー波)を用いる方法を説明する図である。この表面波は表層部にエネルギーが集中し、表面に沿って伝播する超音波である。
図10は、表面波のエネルギー分布を示す図である。図10において、xは表面からの深さ、λは波長であり、縦軸はλで無次元化した表面からの深さを表している。このように表面波は表層部に沿って伝播するため、図9に示されるように表面粗さで表面波が散乱しやすく、その散乱波がノイズとなってS/Nが低下するという問題がある。
(3)特許文献2に記載の技術
この技術は、クリーピング波(Creeping wave)を用いて表層部を探傷する方法である。図11は、クリーピング波の伝播の様子を示す図である。クリーピング波は検査材表面に沿って伝播する縦波の一種であり、縦波が検査材表面から少しずつ検査材内部方向へ潜り込むように伝播する。その為、検査材の表面が粗くても、表面粗さによる散乱が生じにくく、上述の(1)および(2)の技術に比べて、表層部への探傷に適している。
特開平4−25985号公報 特開昭64−59152号公報
しかしながら、上述の(3)特許文献2に記載の技術についても、例えばスラブのように表面が粗く、温度が高い検査材に適用しようとすると次に示す問題があった。
すなわち、温度が高い検査材に適用する際しては、音響結合を安定させるために沸騰膜の影響が出ないように水柱超音波法などの局部水浸法を用いる必要がある。一方で、クリーピング波は伝播に従って横波にモード変換するため、減衰が大きいという性質がある。その為、欠陥エコーをより感度良く受信するには、検査材上での超音波の入射位置から欠陥までの距離を短くしなければならない。
図12は、特許文献2に記載の技術を用いた欠陥探傷の様子を示す図である。スラブのように表面性状が粗い検査材では、指向性の広がりによって様々な位置からの表面エコーを受信してしまう。ここでも(1)特許文献1に記載の技術の問題と同様に、水の音速はクリーピング波の約1/4と遅いため、探傷ゲート内に表面粗さで散乱された表面エコーがノイズとなって入ってしまう。クリーピング波を発生させる時の入射角は垂直に近いため、特に表面エコーが大きいこともこの問題に影響する。
従って、(3)特許文献2に記載の技術を用いても欠陥エコーを感度良く検出するために欠陥までの距離を短くすると、表面粗さが粗い検査材では表面粗さ起因のノイズが相対的に大きくなり、S/Nが低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記事情、すなわちクリーピング波法において、欠陥エコーを感度良く受信しようとすると表面粗さ起因のノイズが大きくなり検出能が低下するという相反する問題を解消するために成されたものであり、水浸法(全没水浸法、局部水浸法、水柱超音波法)を用いて、スラブのように表面が粗い検査材の表層部にある微小欠陥を高いS/Nで探傷することが可能な超音波探傷方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、圧電型振動子を用い、水を介して、被検査材の探傷を行なう超音波探傷方法において、被検査材に対してクリーピング波を送信し、被検査材に存在する欠陥で反射したクリーピング波を送信位置とは異なる位置で受信することを特徴とする超音波探傷方法である。
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の超音波探傷方法において、前記送信および前記受信がタンデム法によって行なわれることを特徴とする超音波探傷方法である。
また本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の超音波探傷方法において、送信波および受信波が欠陥位置に焦点を結ぶように、被検査材に対する超音波の送信角度および受信角度を設定することを特徴とする超音波探傷方法である。
また本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波探傷方法において、受信波に被検査材からの表面散乱ノイズが入らないように超音波遮蔽を行うことを特徴とする超音波探傷方法である。
また本発明の請求項5に係る発明は、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の超音波探傷方法において、被検査材の複数位置で被検査材内部からの反射波を受信し、その受信された各反射波に対し、欠陥位置と受信位置との距離の違いによって生じる超音波の伝播時間差について補正を行い、その補正された複数の反射波を合成することを特徴とする超音波探傷方法である。
また本発明の請求項6に係る発明は、圧電型振動子を用い、水を介して、被検査材の探傷を行なう超音波探傷装置において、被検査材に対してクリーピング波を送信する送信用振動子と、被検査材に存在する欠陥で反射したクリーピング波を受信する受信用振動子とを備え、前記送信用振動子と前記受信用振動子とを異なる位置に配置したことを特徴とする超音波探傷装置である。
また本発明の請求項7に係る発明は、請求項6に記載の超音波探傷装置において、前記送信用振動子と前記受信用振動子との配置が、タンデム配置であることを特徴とする超音波探傷装置である。
また本発明の請求項8に係る発明は、請求項6または7に記載の超音波探傷装置において、送信波および受信波が欠陥位置に焦点を結ぶように、被検査体に対する前記送信用振動子および前記受信用振動子の角度を設定したことを特徴とする超音波探傷装置である。
また本発明の請求項9に係る発明は、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、前記送信用振動子と前記受信用振動子との間に超音波遮蔽板を配置したことを特徴とする超音波探傷装置である。
さらに本発明の請求項10に係る発明は、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、前記送信用振動子及び前記受信用振動子を、被検査体表面に対して走査させて、被検査材の複数位置における被検査材内部からの反射波を受信する走査手段と、前記複数位置で受信した反射波を入力し、各反射波に対し、欠陥位置と受信位置との距離の違いによって生じる超音波の伝播時間差に基づいて時間軸の補正を行い、その補正された受信波を合成する信号処理手段を備えたことを特徴とする超音波探傷装置である。
本発明は、送信用振動子から検査材に対してクリーピング波を送信し、検査材に存在する欠陥で反射したクリーピング波を送信位置とは異なる位置に配置した受信用振動子で受信するようにしたので、検査材の表面粗さに起因するノイズを抑制し、検査材に存在する微小欠陥を高い検出能力で探傷することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明を具体的に説明してゆく。図1は、本発明の第1の実施形態を示す図である。図中、8は送信用振動子、9は受信用振動子、10は送信用振動子8の検査材表面との角度、11は受信用振動子9の検査材表面との角度、12は検査材表面での超音波の入射位置、13は検査材表面での超音波の放射位置、および14は検査材内部で送信用振動子8の超音波ビームと受信用振動子9の超音波ビームとの交差点(焦点)をそれぞれ表す。なお、図8と同じ符号については、説明を省略する。
本発明では音響結合方法を水浸法とし、クリーピング波の送受信を送信用振動子8と受信用振動子9とに分割して行なう。送信用振動子8と検査材表面との角度10は、送信用振動子8から送信した超音波が検査材内部に屈折角度約を75°〜90°とするクリーピング波として伝播するように設定し、屈折角度を75°〜90°のクリーピング波を受信できるように、受信用振動子9と検査材表面との角度11を設定する。
このとき、送信用振動子8の検査材表面との角度10と受信用振動子9と検査材表面との角度11とを異なる角度に設定する。このように角度10と角度11を設定することで、図1に示したように送信と受信の超音波ビームの中心を表面深さのある位置で交差させて焦点を結ぶことで、焦点近傍での検出能を高めることができる。
受信用振動子9と送信用振動子8は、図1に示したように前後に配置したタンデム配置とする。検査材内部の送受ビームの交差点14と超音波の入射位置12および放射位置13は同一直線状が配置を容易にする上で適当だが、これに限定されない。
図1の配置とすることで、受信用振動子9は送信ビームの入射位置12に対して、大きく異なる方向を向くことになる。従って、ビームの広がりがあって、送信ビームが入射位置12の周りに広がって表面粗さで散乱したとしても、その表面エコーは受信用振動子9に受信されにくくなる。さらに検査材中での超音波の伝播経路も短くすることができることから、欠陥エコーの信号を強く受信することが可能となる。この結果、表面粗さに起因するノイズを低減し、S/Nを向上させることができる。
図2は、本発明の第2の実施形態を示す図である。この第2の実施形態では、受信用振動子と送信用振動子の間に、図2に示すように超音波遮音板15を設置する。図2に示した経路でわずかに伝播してくる表面散乱ノイズは、超音波遮音板15を設置することで受信用振動子9に受信されなくなり、よりS/Nを向上させることができる。
図13は、本発明の第3の実施形態を示す図である。図13(A)は表面ノイズの伝播経路を説明するための図、図13(B)は表面ノイズと欠陥信号波形の現れ方、および第3の実施形態における信号処理を説明するための図である。
送信用振動子8から検査材に対して超音波を送信し、図13(A)に破線で示す伝播経路で欠陥3から反射してくる信号を受信用振動子9で受信する。このとき、図13(A)に示す伝播経路で表面エコーが受信され、ノイズとなることがある。この表面ノイズの特徴について、図14を用いて説明する。
送信用探触子と受信用探触子の中心間距離をWとし、このとき送信用探触子の中心位置から走査方向に向かってxの位置にある表面反射源pによるノイズの伝播経路を示す図が、図14(A)である。図14(A)における表面反射源pの位置xと伝播時間の関係を図14(B)に示す。表面反射源pの位置xが増えていくと 0≦x<W/2の範囲では伝播時間は徐々に少なくなり、x=W/2のとき最小の伝播時間となり、それ以降の範囲では伝播時間が増加しはじめることがわかる。
さらに、検査材への超音波の入射位置から表面反射源pが離れるほど、表面で最も強く反射する正反射成分は、図15に示すように受信探触子に受信されにくくなるので、表面反射源pが入射位置に近いほどノイズとして受信されやすくなる。クリーピング波は伝播経路による減衰が大きく、欠陥からの反射信号をより強く受信するために、中心間距離Wを可能な限り小さくする必要がある。しかし、中心間距離Wを小さくすると、図14において約0≦x<W/2の範囲からの各表面反射源からのエコーが漏れこみノイズとなる。
このとき、欠陥が近づく方向に走査しながら探傷をおこなうと、図13(A)からもわかるとおり、欠陥からの反射エコーはその伝播経路が短かくなるので、伝播時間が小さくなる。一方で図15で示した伝播経路で受信される0≦x≦W/2の範囲からのノイズエコーは、徐々に伝播経路が長くなるので、伝播時間が大きくなる。
従って、図13(B)に示すように、走査しながら複数波形を記録して各波形に対して受信する振動子の位置と欠陥との距離の違いによって生じる超音波が伝播する時間差にもとづいて時間軸を補正して合成することでノイズを低減させることが可能となる。この結果、表面粗さに起因するノイズを低減し、S/Nを向上させることができる。またx>W/2の範囲からのノイズについても、ノイズの伝播時間の変化量と欠陥からの反射エコーの伝播時間の変化量に差があれば同様にS/Nを向上させる効果がある。
このとき、送信用振動子と受信用振動子の配置方法は第1の実施形態、第2の実施形態のどちらでも良い。
[第一の実施例]
図3は、本発明の第一の実施例を説明する図である。図3(A)は振動子配置および探傷条件を、図3(B)は探傷波形の一例を、および図3(C)は、探傷結果として欠陥エコーの強さとノイズレベルを示す。
この第一の実施例では、受信用振動子及び送信用振動子を周波数5MHz、振動子径0.25インチの広帯域コンポジット振動子とし、音響結合方法を全没水浸法として、送信用振動子と被検査材表面との角度10(送信角度)と、受信用振動子と被検査材表面との角度11(受信角度)を共に14.5°とし、各振動子と被検査材表面との距離を10mmに設定した。検査材(以下、「第1の被検査材」と記載する。)はスラブから切り出した鋼片で、深さ約2mmのところに、それぞれΦ0.5mm、Φ1mm、Φ2mm径の横溝人工欠陥が加工されている。検査材の表面粗さの最大高さRyは約0.3mmである。
図3(B)に深さ2mm 、Φ0.5mmの横溝人工欠陥の探傷波形を示し、図3(C)に人工欠陥からのエコーの強さを示す。図3(C)の縦軸は、受信用振動子の所定の出力値(例えば、測定レンジ最大値)を100%として、表示している。図3(C)において、探傷ゲートは深さ2mmにあるΦ0.5mm、Φ1mm、Φ2mmの横溝人工欠陥からのエコーの最大振幅が入る最小の値としている。
また、本発明と従来法とを比較するために、クリーピング波の送受信を一つの振動子で実施したときの一例を、図4に示す。送受信に用いた振動子は周波数5MHz、振動子径0.25インチの広帯域コンポジット振動子(前述第一の実施例で用いた振動子と同じ振動子)とし、送信角度10および受信角度11を14.5°、振動子から検査材までの距離を10mmとして実施した。
図4(B)は深さ2mm、Φ0.5mmの横溝人工欠陥の探傷波形を示し、図4(C)に人工欠陥からのエコーの強さを示す。図4(C)の縦軸の表記は、前述の図3(C)と同様であり、その絶対値は図3(C)と同じである。図4(C)において、探傷ゲートは深さ2mmにあるΦ0.5mm、Φ1mm、Φ2mmの横溝人工欠陥からのエコーの最大振幅が入る最小の値としている。
図4では、その探傷波形からわかるように表面エコーが受信されていることがわかる。これに比べて、本発明の第一の実施例(図3)では、探傷波形には欠陥エコーのみが受信されており、表面粗さの凹凸で表面エコーの伝播時間に差が生じて探傷ゲート内に漏れこむノイズを低減することができる。さらに、第一の実施例では送信用振動子と受信用振動子をタンデムに配置とすることで、従来法よりも超音波の伝播距離を短かくして、欠陥からの信号を強く受信することができている。このように、第一の実施例では、受信信号において、表面エコーの除去によるノイズ低減と、伝搬距離短縮による信号レベル増大(信号レベルの減衰量の低減)との相乗効果が得られたことにより、従来法よりもS/Nが大きく改善されていることがわかる。
[第二の実施例]
図5は、本発明の第二の実施例を説明する図である。図5(A)は、振動子配置および探傷条件を、図5(B)は探傷結果として欠陥エコーの強さとノイズレベルを示す。図5(C)の縦軸の表記は、前述の図3(C)と同様であり、その絶対値は図3(C)と同じである。
この第二の実施例では、受信用振動子及び送信用振動子を周波数5MHz、振動子径0.25インチの広帯域コンポジット振動子(前述第一の実施例で用いた振動子と同じ振動子)とし、音響結合方法は全没水浸法とした。送信用振動子の超音波ビームの中心と受信用振動子の超音波ビームの中心が欠陥深さ位置である鋼中深さ約2mmで交差して焦点を結ぶように、送信角度10を14.5°、受信角度11を13.5°に設定した。なお、被検査材は第1の被検査材を用いた。
第二の実施例による欠陥エコーの強さ(図5(B))と第一の実施例による欠陥エコーの強さ(図3(C))を比較すると、鋼中深さ約2mm(欠陥の深さ位置)において、送信超音波ビームと受信超音波ビームとの焦点が交差するように、送信角度10と受信角度11を設定する第二の実施例の探傷条件の方が大きくなっており、焦点近傍での検出能が高くなることがわかる。
[第三の実施例]
図6は、本発明の第三の実施例(前記第2の実施形態)を説明する図である。図6(A)は振動子配置および探傷条件を、図6(B)は探傷結果として信号チャートを示す。この第三の実施例では、受信用振動子および送信用振動子を周波数5MHz、振動子径0.25インチの広帯域コンポジット振動子(前述第一の実施例で用いた振動子と同じ振動子)とし、音響結合方法を全没水浸法として、送信角度10を14.5°、受信角度11を13.5°に設定した。そして、受信用振動子と送信用振動子の間にはアクリルからなる厚み2mmの超音波遮蔽板(遮音板)を設置した。超音波遮蔽板の下端部と検査材表面との間隔は2mmである。被検査材はスラブから切り出した鋼片で、深さ約1mmのところにΦ1mm径の横溝人工欠陥が加工されている。また、表面粗さの最大高さRyは約0.6mmである(以下、「第2の被検査材」と記載する)。第2の検査材を第三の実施例で探傷して得られた信号チャートが図6(B)である。
第三の実施例と比較するために、第二の実施例で第2の検査材を探傷して得られた信号チャートを図7に示す。なお、図7と図6(B)の縦軸、横軸のレンジは同じである。
図7では、横溝人工欠陥以外のところに欠陥指示が現れている。これらは図2に示す経路で、送信用振動子で送信した超音波が表面で散乱し、その一部が受信用振動子で受信された表面散乱ノイズである。図6(B)では、横溝人工欠陥のみが指示されており、第三の実施例により表面散乱ノイズが受信されなくなり、超音波遮蔽板(遮音板)が検出能の向上に寄与していることがわかる。
[第四の実施例]
図16は、第四の実施例(前記第3の実施形態)を説明する図である。図中、16は走査部、17は波形送信部、18は受信信号増幅部、19は受信信号記憶部、20は信号処理部、21は表示部、22は局部水浸センサーヘッドである。また、図17は局部水浸センサーヘッドを説明する図である。図中、23は局部水浸部である。
走査部16でセンサーヘッドを検査材表面に沿って、XY走査(2次元走査)しながら、超音波の送受信を行う。送信部17は、送信用振動子を駆動するための電気パルスをあらかじめ設定された走査部16によるセンサーヘッドの走査量毎に送信する。駆動された送信用振動子からは超音波が送信され、受信用振動子で被検査材内部からの反射信号を受信する。受信された信号は受信用振動子で電気信号に変換後、受信信号増幅部18で増幅されて、送受信した時のセンサーヘッドの位置の情報とともに受信信号記憶部19に記憶される。受信信号を記憶する際、一発(1パルス)ずつでも構わないし複数の信号を記憶していっても良い。
受信信号増幅部19以降は、図中には記載されていないA/D変換器によってデジタル化することで、PCやDSPなどを用いてソフトウエア的に実現している。
受信信号記憶部19に記憶された受信信号と送受信位置情報をもとに、信号処理部20にて受信信号に対して、送受信毎にあらかじめ設定された遅延をかけたのち、それらの信号の加算平均を行なう。加算平均の回数はあらかじめ設定しておく。遅延量(遅延時間)はあらかじめ人工的に製作した欠陥を有する試験片をもとに求めるか、または幾何学的に伝播経路を考慮して算出する。
本実施例では、図18に示す計算モデルから計算式を導出し、探傷ピッチdx毎の遅延量(遅延時間)dtを求めている。送信用振動子と受信用振動子の超音波ビームの中心と受信用振動子の超音波ビームの中心が交差する鋼中深さ位置をdfとし、送信入射角度をθ1、受信入射角度をθ2、送信角度に対する鋼中の超音波ビームの屈折角度をφ1、受信角度に対する超音波ビームの屈折角度をφ2とする。φ1とφ2は、それぞれθ1とθ2からスネルの法則によって計算される。鋼中の音速をVsとして、遅延量dtは以下の式にて計算した。
Figure 2007263956
表示部21は加算平均された信号を基にCスコープ像(正面象)またはBスコープ像(断層像)を作成し、出力する。
第四の実施例では、受信用振動子および送信用振動子を周波数5MHz、振動子径0.25インチの広帯域コンポジット振動子(前述第一の実施例で用いた振動子と同じ振動子)とし、音響結合方法を図17に示すように局部水浸法とした。送信用振動子の超音波ビームの中心と受信用振動子の超音波ビームの中心が欠陥深さ位置にある鋼中深さ約2mmで交差して焦点を結ぶように、送信角度10を14.5°、受信角度11を13.5°に設定した。探傷走査ピッチは0.5mmとした。
図19は、第2の検査材を第四の実施例で探傷して得られた信号チャートである。図19では、第2の検査材を第二の実施例で探傷した際に横溝人工欠陥以外の箇所で現れている欠陥指示(表面ノイズ)が低減され、検出能が向上していることがわかる。
なお、本発明は上記の実施例に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形をして実施できる。例えば、検査材がスラブのような粗大組織を持つ場合は、粗大組織で生じる超音波の散乱減衰による検出能低下を抑えるために、送信用振動子と受信用振動子に集束型を用いても良い。集束の方法は音響レンズを用いても良いし、アレイ型超音波探触子により実現しても良い。また、音響結合方法は、全没水浸法だけでなく、局部水浸法(部分水浸法、溢水水浸法)、水柱法(噴流水浸法)で実施することも可能である。
本発明の第1の実施形態を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示す図である。 本発明の第一の実施例を説明する図である。 クリーピング波の送受信を一つの振動子で実施したときの一例を示した図である。 本発明の第二の実施例を説明する図である。 本発明の第三の実施例での信号チャートを示した図である。 本発明の第二の実施例での信号チャートを示した図である。 特許文献1の技術を用いて、表面が粗い検査材の表層を探傷した際の超音波の反射経路と受信波形を示す図である。 表面波(レイリー波)を用いる方法を説明する図である。 表面波のエネルギー分布を示す図である。 クリーピング波の伝播の様子を示す図である。 特許文献2に記載の技術を用いた欠陥探傷の様子を示す図である。 本発明の第3の実施形態を示す図である。 表面ノイズの伝播経路を説明する図である。 表面反射源での正反射方向を説明する図である。 本発明の第四の実施例を説明する図である。 局部水浸センサーヘッドを説明する図である。 第四の実施例で用いた計算モデルを説明する図である。 第2の検査材を第四の実施例で探傷して得られた信号チャートである。
符号の説明
1 超音波探触子
2 検査材表面
3 欠陥
4,5,6 表面エコー
7 欠陥エコー
8 送信用振動子
9 受信用振動子
10 送信用振動子8の検査材表面との角度
11 受信用振動子9の検査材表面との角度
12 検査材表面での超音波の入射位置
13 検査材表面での超音波の放射位置
14 検査材内部で送信用振動子8の超音波ビームと受信用振動子9の超音波ビームとの交差点(焦点)
15 超音波遮蔽板
16 走査部
17 波形送信部
18 受信信号増幅部
19 受信信号記憶部
20 信号処理部
21 表示部
22 局部水浸センサーヘッド
23 局部水浸部

Claims (10)

  1. 圧電型振動子を用い、水を介して、被検査材の探傷を行なう超音波探傷方法において、
    被検査材に対してクリーピング波を送信し、被検査材に存在する欠陥で反射したクリーピング波を送信位置とは異なる位置で受信することを特徴とする超音波探傷方法。
  2. 請求項1に記載の超音波探傷方法において、
    前記送信および前記受信がタンデム法によって行なわれることを特徴とする超音波探傷方法。
  3. 請求項1または2に記載の超音波探傷方法において、
    送信波および受信波が欠陥位置に焦点を結ぶように、被検査材に対する超音波の送信角度および受信角度を設定することを特徴とする超音波探傷方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波探傷方法において、
    受信波に被検査材からの表面散乱ノイズが入らないように超音波遮蔽を行うことを特徴とする超音波探傷方法。
  5. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の超音波探傷方法において、
    被検査材の複数位置で被検査材内部からの反射波を受信し、その受信された各反射波に対し、欠陥位置と受信位置との距離の違いによって生じる超音波の伝播時間差について補正を行い、その補正された複数の反射波を合成することを特徴とする超音波探傷方法。
  6. 圧電型振動子を用い、水を介して、被検査材の探傷を行なう超音波探傷装置において、
    被検査材に対してクリーピング波を送信する送信用振動子と、
    被検査材に存在する欠陥で反射したクリーピング波を受信する受信用振動子とを備え、
    前記送信用振動子と前記受信用振動子とを異なる位置に配置したことを特徴とする超音波探傷装置。
  7. 請求項6に記載の超音波探傷装置において、
    前記送信用振動子と前記受信用振動子との配置が、タンデム配置であることを特徴とする超音波探傷装置。
  8. 請求項6または7に記載の超音波探傷装置において、
    送信波および受信波が欠陥位置に焦点を結ぶように、被検査体に対する前記送信用振動子および前記受信用振動子の角度を設定したことを特徴とする超音波探傷装置。
  9. 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
    前記送信用振動子と前記受信用振動子との間に超音波遮蔽板を配置したことを特徴とする超音波探傷装置。
  10. 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の超音波探傷装置において、
    前記送信用振動子及び前記受信用振動子を、被検査体表面に対して走査させて、被検査材の複数位置における被検査材内部からの反射波を受信する走査手段と、
    前記複数位置で受信した反射波を入力し、各反射波に対し、欠陥位置と受信位置との距離の違いによって生じる超音波の伝播時間差に基づいて時間軸の補正を行い、その補正された受信波を合成する信号処理手段を備えたことを特徴とする超音波探傷装置。
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