JP4088577B2 - プッシュオンスイッチ用可動接点およびプッシュオンスイッチ - Google Patents

Description

本発明は、押圧操作により第１、第２スイッチが続いてオンとなる２段動作のプッシュオンスイッチ用可動接点およびプッシュオンスイッチに関する。

この種、２段動作のプッシュオンスイッチは、反転可能な第１可動接点と第２可動接点をケース内に上下２段に配置したもの（例えば、特許文献１参照。）から、ケース内に配置する１枚の可動接点に第１可動接点部と第２可動接点部を持たせたもの（例えば、特許文献２〜４参照。）に改良され、部品点数の減少、組立工数の減少、スイッチの厚みの薄型化などが図られている。
実開平３−８８２７号公報 特開平３−８９４２１号公報 実公平７−５３２３４号公報 特開平１１−２３２９６２号公報

改良された１枚構成の可動接点は、十分な感触を得るため、成型した金属端子付きのケースを備え、可動接点の周辺板部を固定したり、固定接点に段差を付けるなどの措置を行う必要があり、設置面がプリント基板（ＰＣＢ）やフレキシブル基板（ＦＰＣ）など平坦な場合、十分な感触を得難いという問題がある。

また、薄型の電子機器側面にスイッチを構成する場合、幅方向の寸法をコンパクトにする必要があるが、円形環状の周辺板部と上膨らみに湾曲する円形の中心板部とこれらを繋ぐ連結板部とを有する全体に円形の可動接点（例えば、特許文献３参照。）では、中心板部の直径を大きくすると高寿命を実現できるが、幅寸法がコンパクトにならず、逆に全体の直径を小さくすると幅寸法をコンパクトにできるが、中心板部の高寿命を実現できないという問題がある。

本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、プリント基板やフレキシブル基板などの平坦な固定接点形成面の上で、幅寸法をコンパクトにしながら、良好な感触、高寿命を得ることができる２段動作のプッシュオンスイッチ用可動接点および２段動作のプッシュオンスイッチを提供することを目的とする。

本発明のプッシュオンスイッチ用可動接点は、環状の周辺板部と上膨らみに湾曲する中心板部とこれらを繋ぐ連結板部とを有し、前記周辺板部は長方形の環状に形成し、長方形環状の周辺板部の全周を外側縁から内側縁に向かって上向きに傾斜させ、その４隅部に接地部を形成し、また長手辺部の中間部に上方に突出する屈曲部を形成し、前記中心板部は、長方形環状の周辺板部の短手辺部内側縁の相対間隔より短く、長手辺部内側縁の相対間隔より長い直径を有する円板の縁部を、長手辺部と平行で長手辺部内側縁の相対間隔より狭い２直線（平行線）で切り落とした小判形に形成し、前記連結板部は一対で長方形環状の前記周辺板部の長手辺部に沿う中心線上において周辺板部内縁と中心板部外縁とを繋ぎ、各連結板部を周辺板部から中心板部に向かって上向きに傾斜させ、中心板部の押圧操作により、一対の連結板部が下向き傾斜状態に反転して長方形環状の周辺板部の支持面と同一平面上の第１固定接点に接触し、続いて一対の連結板部を支点に中心板部の中央部が下膨らみ状態に反転して長方形環状の周辺板部の支持面と同一平面上の第２固定接点に接触するものである。

本発明のプッシュオンスイッチは、プリント基板又はフレキシブル基板の平坦な上面に、上記本発明のプッシュオンスイッチ用可動接点を設置し、上面から可動接点を固定するための粘着テープを貼り付けてなる。或いは、プリント基板又はフレキシブル基板の上面に、上記本発明のプッシュオンスイッチ用可動接点の高さより浅い長方形状の凹部を形成し、平坦な凹部底面に前記可動接点を設置し、上面から可動接点を固定するための粘着テープを貼り付けてなるものである。

本発明のプッシュオンスイッチ用可動接点は、周辺板部を長方形の環状に形成したものであり、可動接点の幅寸法をコンパクトにでき、また一対の連結板部が感触を伴って下向き傾斜状態に反転して長方形環状の周辺板部の支持面と同一平面上の第１固定接点に接触する１段目の動作に続いて、一対の連結板部を支点に中心板部の中央部が感触を伴って下膨らみ状態に反転して長方形環状の周辺板部の支持面と同一平面上の第２固定接点に接触する２段目の動作が行われるものであり、プリント基板やフレキシブル基板などの平坦な固定接点形成面の上でも、１段目および２段目の動作をそれぞれ良好な感触を伴って行わせることができる。さらに２段目の動作となる中心板部については、この形状を小判形に形成したもので、高寿命（高耐久性）を実現しながらも幅方向の寸法をコンパクトにできる。したがって、本発明のプッシュオンスイッチ用可動接点は、プリント基板やフレキシブル基板などの平坦な固定接点形成面の上で、幅寸法をコンパクトにしながら、良好な感触、高寿命を得ることができるという有利な効果を奏する。

本発明のプッシュオンスイッチは、上記本発明のプッシュオンスイッチ用可動接点を、プリント基板又はフレキシブル基板の平坦な上面、或いは、プリント基板又はフレキシブル基板の上面に形成した上記本発明のプッシュオンスイッチ用可動接点の高さより浅い長方形状の凹部の底面に設置し、上面から貼り付ける粘着テープによって固定したもので、プリント基板やフレキシブル基板などの平坦な固定接点形成面の上で、幅寸法をコンパクトにしながら、良好な感触、高寿命を得ることができる構造簡単で安価、かつ、超薄型の２段動作のプッシュオンスイッチを提供できると共に、薄型の電子機器側面でも構成可能な２段動作のプッシュオンスイッチを提供できるという有利な効果を奏する。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図１および図２は本実施形態の可動接点を示す。この可動接点１は、１枚の弾性金属薄板（薄い金属製の板バネ材）をプレス加工することにより形成されるもので、環状の周辺板部２と上膨らみに湾曲する中心板部３とこれらを繋ぐ幅狭の一対の連結板部４，４とを有する。周辺板部２は長方形状の環状枠形に形成するもので、周辺板部２の一対の長手辺部２ａ，２ａおよび一対の短手辺部２ｂ，２ｂ、即ち周辺板部２の全周を外側縁から内側縁に向かって上向きに傾斜させている。また各短手辺部２ｂ，２ｂの両端部と中間部の外側縁を短手辺部２ｂ，２ｂの傾斜に沿って斜め下方に部分的に突出させて可動接点１の接地部２ｃ，２ｃ，２ｃ，２ｃ，２ｄ，２ｄを形成している。そして、可動接点１の４隅となる周辺板部２の４隅接地部２ｃ，２ｃ，２ｃ，２ｃと、長手辺部２ａ，２ａに沿う周辺板部２（可動接点１）の長手方向中心線Ｘ上にある一対の接地部２ｄ，２ｄの合計６箇所の接地部にて、平坦な設置面に対して周辺板部２（可動接点１）を所定高さ浮き上がらせた状態で支持する。さらに各長手辺部２ａ，２ａの中間部にはそれぞれ、短手辺部２ｂ，２ｂに沿う周辺板部２（可動接点１）の短手方向中心線Ｙが通過する部分を部分的に上方に突出させて台形状の屈曲部２ｅ，２ｅを形成している。各屈曲部２ｅ，２ｅは周辺板部２を長手方向に伸縮可能とし、その上面は後述する中心板部３上面の曲面（球面）と略面一になるように形成されている。

また、一対の前記連結板部４，４は前記長手方向中心線Ｘ上において周辺板部２内側縁と中心板部３外周縁とを繋ぐもので、一端が周辺板部２の各短手辺部２ｂ，２ｂの中間部内側縁に繋がれて、周辺板部２（可動接点１）の中心Ｏ（長手方向中心線Ｘと短手方向中心線Ｙの交点）方向に延出され、他端が中心板部３の外周縁に繋がれている。また各連結板部４，４はこの一端を繋ぐ各短手辺部２ｂ，２ｂの傾斜に沿って周辺板部２から中心板部３に向かって上向きに傾斜させ、中心板部３を周辺板部２より所定高さ持ち上げた状態で支持する。各連結板部４，４の傾斜は周辺板部２の上り傾斜の各短手辺部２ｂ，２ｂと上膨らみに湾曲する上り傾斜の中心板部３とを段差なく略面一状態で繋ぐ角度に形成されている。

さらに、前記中心板部３は周辺板部２の各短手辺部２ｂ，２ｂ内側縁の相対間隔より短く、各長手辺部２ａ，２ａ内側縁の相対間隔より長い直径Ｒを有し、かつ、上膨らみに湾曲する円板３ａの縁部を、周辺板部２の各長手辺部２ａ，２ａと平行で各長手辺部２ａ，２ａ内側縁の相対間隔より狭い間隔を有する２直線（平行線）Ｌ１，Ｌ２で切り落とした小判形に形成するもので、平面視で、中心板部３における直線状の各切り落とし端縁が周辺板部２の各長手辺部２ａ，２ａに沿い、円弧状の非切り落とし端縁が周辺板部２の各短手辺部２ｂ，２ｂに対向する向き（姿勢）で、周辺板部２の内側に同心状に中心板部３を設け、この中心板部３の円弧状の非切り落とし端縁の中間部を周辺板部２の各短手辺部２ｂ，２ｂの中間部内側縁に一対の前記連結板部４，４を介して繋ぎ、平面視で周辺板部２の内側同心位置に中心板部３を支持している。

可動接点１は上記のように構成するもので、前記一対の連結板部４，４の中心板部３との繋ぎ部分をそれぞれ第１可動接点部５，５とし、前記中心板部３の中央部を第２可動接点部６としている。

図４は本実施形態のプッシュオンスイッチの組み立て状態を示し、図３は組み立て前の分解状態を示す。このプッシュオンスイッチ７は、プリント基板（ＰＣＢ）又はフレキシブル基板（ＦＰＣ）（以下、「実装基板」という。）８の平坦な上面に、前記可動接点１を設置し、上面から可動接点１を固定するための絶縁性の粘着テープ９を貼り付け、或いは、前記実装基板８の上面に、前記可動接点１の高さより浅く、前記可動接点１の周辺板部２より一回り大きい長方形状の凹部１０を形成し、その凹部１０の平坦な底面に前記可動接点１を設置し、上面から可動接点１を固定するための粘着テープ９を貼り付けることにより、プッシュオンスイッチ７として完成するもので、図３〜図５は後者の実施形態のプッシュオンスイッチ７を示している。可動接点１の周辺板部２の各接地部２ｃ，２ｃ，２ｃ，２ｃ，２ｄ，２ｄを接地させる実装基板８の可動接点支持面となる平坦な上面、或いは、凹部１０の平坦な底面は、可動接点１に対応する固定接点形成面にもなっており、可動接点１の第１可動接点部５，５に対応する第１固定接点１１，１１と、第２可動接点部６に対応する第２固定接点１２とが面一に露出形成されている。

上記のプッシュオンスイッチ７における可動接点１の動作について、図５を用いて説明すると、この可動接点１は、初期状態では図５の（ａ）に示すように、第１固定接点１１，１１および第２固定接点１２に対しては離間対向している。そして、プッシュオンスイッチ７をオン作動させるために可動接点１の中心板部３を粘着テープ９の上から押圧操作体１３により押圧すると、まず、中心板部３が上膨らみに湾曲した状態のまま押し下げられ、この押し下げに伴って、周辺板部２の各長手辺部２ａ，２ａが下方に撓み変形しながら、周辺板部２から中心板部３に向かって上向きに傾斜している各連結板部４，４が、中心板部３との繋がり部分で屈曲して倒伏して行く。そして、各連結板部４，４の倒伏初期段階では、長方形環状に形成された周辺板部２の各短手辺部２ｂ，２ｂを内側から外側に押し、各長手辺部２ａ，２ａの中間部に形成された各屈曲部２ｅ，２ｅを拡開変形させながら、周辺板部２を長手方向に伸長させる。次いで、各連結板部４，４が水平姿勢を超えた以降では、周辺板部２が長手方向に伸長した分だけ収縮しようとする弾性も手伝って各連結板部４，４は急激に下向き傾斜姿勢に反転（弾性変形）して、この各連結板部４，４と中心板部３との繋がり部分の第１可動接点部５，５が、良好な感触を伴って図５の（ｂ）に示すように周辺板部２の支持面と同一平面上の第１固定接点１１，１１に接触して、第１スイッチとしてオン状態となる。ここで、一対の連結板部４，４は前記長手方向中心線Ｘ上において周辺板部２内側縁と中心板部３外周縁とを繋いでおり、１段目の動作ストロークを十分に確保することができ、１段目の感触をさらに良好にすることができる。しかも、この１段目の良好な感触を得るための十分な動作ストロークを確保しても幅寸法は大きくならず、コンパクトにできる。

そして、上記の第１スイッチのオン状態からさらに押圧操作体１３により可動接点１の中心板部３を押圧すると、各連結板部４，４と中心板部３との繋がり部分の第１可動接点部５，５で支持されている中心板部３の中央部が押圧力に耐え切れなくなったときに急激に下膨らみ状態に反転し、節度を伴いながら下膨らみ状態に反転（弾性変形）して、この中心板部３の中央部の第２可動接点部６が、良好な感触を伴って図５の（ｃ）に示すように周辺板部２の支持面と同一平面上の第２固定接点１２に接触して、第２スイッチとしてオン状態となる。

この後、押圧操作体１３による可動接点１の中心板部３への押圧力を解除すると、まず中心円板部３の中央部が弾性により上膨らみ状態に復元することにより、第２可動接点部６が第２固定接点１２から離れて第２スイッチがオフ状態の図５の（ｂ）の状態に戻り、続いて各連結板部４，４が、上向き傾斜状態に復元すると共に、周辺板部２が長手方向に伸長した分だけ収縮することにより、各第１可動接点５，５がそれぞれ第１固定接点１１，１１から離れて図５の（ａ）に示す第１スイッチおよび第２スイッチが共にオフ状態に復帰するものである。

以上のように本実施形態によるプッシュオンスイッチ用可動接点１は、周辺板部２を長方形の環状に形成したものであるため、可動接点１の幅寸法をコンパクトにできるものであり、また一対の連結板部４，４が感触を伴って下向き傾斜状態に反転して長方形環状の周辺板部２の支持面と同一平面上の第１固定接点１１，１１に接触する１段目の動作に続いて、一対の連結板部４，４を支点に中心板部３の中央部が感触を伴って下膨らみ状態に反転して長方形環状の周辺板部３の支持面と同一平面上の第２固定接点１２に接触する２段目の動作が行われるため、実装基板８の平坦な固定接点形成面の上でも、１段目および２段目の動作をそれぞれ良好な感触を伴って行わせることができるものであり、さらに２段目の動作となる中心板部３については、この形状を小判形に形成したものであるため、高寿命（高耐久性）を実現しながらも幅方向の寸法をコンパクトにできるものである。

また、本実施形態によるプッシュオンスイッチ７は、前記可動接点１を、実装基板８の平坦な上面、或いは、実装基板８の上面に形成した前記可動接点１の高さより浅い長方形状の凹部１０の底面に設置し、上面から貼り付ける粘着テープ９によって固定したものであるため、実装基板８の平坦な固定接点形成面の上で、幅寸法をコンパクトにしながら、良好な感触、高寿命を得ることができる構造簡単で安価、かつ、超薄型のスイッチ構造にできるものであり、このプッシュオンスイッチ７は薄型の電子機器の幅寸法が小さい側面でも構成可能となるものである。

尚、プリント基板やフレキシブル基板の平坦な固定接点形成面に可動接点１を貼り合わせる以外に、各固定接点１１，１１，１２を形成する金属端子付きの樹脂成型品ケースに固定用の粘着テープ９を貼り合わせた構成にすることで、プリント基板やフレキシブル基板などに表面実装可能となるプッシュオンスイッチも形成することができる。

本実施形態のプッシュオンスイッチ用可動接点を示す平面図である。 本実施形態のプッシュオンスイッチ用可動接点を示す側面図である。 本実施形態のプッシュオンスイッチの組み立て前の分解状態を示す側面図である。 本実施形態のプッシュオンスイッチの組み立て状態を示す断面側面図である。 本実施形態のプッシュオンスイッチ用可動接点の動作を示す断面側面図である。

符号の説明

１ 可動接点
２ 周辺板部
２ａ 長手辺部
２ｂ 短手辺部
２ｃ 接地部
２ｄ 接地部
２ｅ 屈曲部
３ 中心板部
４ 連結板部
５ 第１可動接点
６ 第２可動接点
７ プッシュオンスイッチ
８ 実装基板（プリント基板又はフレキシブル基板）
９ 粘着テープ
１０ 凹部
１１ 第１固定接点
１２ 第２固定接点
Ｘ 長手方向中心線
Ｙ 短手方向中心線
Ｌ１，Ｌ２ ２直線（平行線）

Claims (3)

1. 環状の周辺板部と上膨らみに湾曲する中心板部とこれらを繋ぐ連結板部とを有するプッシュオンスイッチ用可動接点において、前記周辺板部は長方形の環状に形成し、長方形環状の周辺板部の全周を外側縁から内側縁に向かって上向きに傾斜させ、その４隅に接地部を形成し、また長手辺部の中間部に上方に突出する屈曲部を形成し、前記中心板部は、長方形環状の周辺板部の短手辺部内側縁の相対間隔より短く、長手辺部内側縁の相対間隔より長い直径を有する円板の縁部を、長手辺部と平行で長手辺部内側縁の相対間隔より狭い２直線で切り落とした小判形に形成し、前記連結板部は一対で長方形環状の前記周辺板部の長手辺部に沿う中心線上において周辺板部内縁と中心板部外縁とを繋ぎ、各連結板部を周辺板部から中心板部に向かって上向きに傾斜させ、中心板部の押圧操作により、一対の連結板部が下向き傾斜状態に反転して長方形環状の周辺板部の支持面と同一平面上の第１固定接点に接触し、続いて一対の連結板部を支点に中心板部の中央部が下膨らみ状態に反転して長方形環状の周辺板部の支持面と同一平面上の第２固定接点に接触することを特徴とするプッシュオンスイッチ用可動接点。
2. プリント基板又はフレキシブル基板の平坦な上面に、請求項１に記載の可動接点を設置し、上面から可動接点を固定するための粘着テープを貼り付けてなるプッシュオンスイッチ。
3. プリント基板又はフレキシブル基板の上面に、請求項１に記載の可動接点の高さより浅い長方形状の凹部を形成し、平坦な凹部底面に前記可動接点を設置し、上面から可動接点を固定するための粘着テープを貼り付けてなるプッシュオンスイッチ。

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