以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る多接点入力装置の断面図、図2は同多接点入力装置のキートップ本体取付け前の平面図、図3は同多接点入力装置のキートップ本体取付け前の底面図、図4は同多接点入力装置の部品構成を示す分解状態の断面図、図5は同多接点入力装置の下ケースの平面図、図6は同多接点入力装置の下ケースの底面図、図7は同多接点入力装置の上ケースの平面図である。この多接点入力装置は、概略、下ケース10の中心部とその周囲90度置きの上下左右4方向に合計5つの常開のスイッチS1,S2を構成すると共に、下ケース10に上方から嵌着する上ケース20に、中心部のスイッチ(以降、「中央スイッチ」という。)S1を開閉操作する中央キートップ30と周辺部の上下左右4つのスイッチ(以降「周辺スイッチ」という。)S2を個別に開閉操作可能な1つの周辺キートップ40を保持している。
次に、多接点入力装置の部品構成について説明する。図1,図4,図5,図6に示す如く、下ケース10は、合成樹脂材料(例えば、「LCP」)等の絶縁材料からなり、円板状に形成されている。この下ケース10には、導電性の薄板金属からなる6つの固定端子がインサート成形により一体に設けられており、そのうち1つは中央スイッチS1のA端子(以降、「中央A端子」という。)A1、4つは各周辺スイッチ30のA端子(以降、「周辺A端子」という。)A2、残り1つは5つのスイッチS1,S2に共通のB(アース)端子Bである。下ケース10の上面には、その中心部とその周囲90度置きの上下左右4方向に合計5つの円形の凹部11,12が形成されている。下ケース10の上面中心部の凹部(以降、「中央凹部」という。)11の底面周側部と周辺部の上下左右4つの凹部(以降、「周辺凹部」という。)12の底面周側部には、B端子Bに設けられた5スイッチS1,S2分5つのC形のB接点bが面一に露出配置されており、中央凹部11の底面中心部となる中央凹部12の底面B接点bの内側に、中央A端子A1の一端に設けられた円形のA接点(以降、「中央A接点」という。)a1が、その外側のB接点bと離されて面一に露出配置され、中央凹部11の底面に中央A接点a1とその周囲のB接点bからなる常開接点(以降、「中央常開接点」という。)a1bが面一に露出形成されている。また、各周辺凹部12の底面中心部となる各周辺凹部12の底面B接点bの内側には、各周辺A端子A2の一端にそれぞれ設けられた円形のA接点(以降、「周辺A接点」という。)a2が、その外側のB接点bと離されて面一に露出配置され、各周辺凹部12の底面に周辺A接点a2とその周囲のB接点bからなる常開接点(以降、「周辺常開接点」という。)a2bが面一に露出形成されている。下ケース10の外側面で、下ケース10の中心から各周辺凹部12方向の4箇所には、上ケース20との平坦な嵌合面13が部分的に形成され、この上下左右4つの各嵌合面13の中央部から上ケース20との係合爪14が突出形成されている。下ケース10の外側面で、ある1つの嵌合面13から一方向に45度ずれた1箇所とその1箇所から同方向に180度ずれた1箇所の合計2箇所(例えば、右斜め上方と左斜め下方の2箇所)には、平坦な端子面15が形成され、中央A端子A1と上及び右の周辺スイッチS2の各周辺A端子A2の合計3端子の各他端部が、右斜め上方の1つの端子面15に沿ってその表面側に下ケース10の底面から相互に離されて横並び状態で露出配置されると共に、B端子Bと下及び左の周辺スイッチS2の各周辺A端子A2の合計3端子の各他端部が、左斜め上方の1つの端子面15に沿ってその表面側に下ケース10の底面から相互に離されて横並び状態で露出配置されている。ここで、全ての端子A1,A2,Bの各他端部は、下ケース10の底面では面一に露出され、多接点入力装置を図示しない基板に表面実装できるようになっている。下ケース10の底面周側部で、前記の1つの嵌合面13から逆方向に45度ずれた1箇所とその1箇所から同方向に180度ずれた1箇所の合計2箇所(例えば、右斜め下方と左斜め上方の2箇所)には、多接点入力装置を図示しない基板に表面実装する際に、基板に設けられた位置決め孔に嵌合し、多接点入力装置を基板に対して位置決めするための大きさが大小異なる位置決めピン16が突出形成されている。
以上の構成において、下ケース10の中央凹部11と各周辺凹部12には、導電性の薄板金属からなる円形ドーム状のスナッププレートで構成される可動接点C1,C2が、その周側縁部を各凹部11,12の底面周側部に露出配置されているB接点bの表面に接触状態で収容配置され、下ケース10の中央凹部11に、その底面に露出形成されている中央常開接点a1bと同中央凹部11に収容配置されている可動接点(以降、「中央可動接点」という。)C1とで開閉可能な常開の中央スイッチS1が構成され、また、下ケース10の各周辺凹部12に、その底面に露出形成されている周辺常開接点a2bと同各周辺凹部12に収容配置されている可動接点(以降、「周辺可動接点」)C2とで開閉可能な常開の各周辺スイッチS2が構成されている。下ケース10の上面全面には、各凹部11,12の開放上面を閉じる1枚の円形の粘着テープ50が貼着され、この粘着テープ50によって中央可動接点C1と各周辺可動接点C2は、下ケース10の中央凹部11と各周辺凹部12に収容保持されている。粘着テープ50は、多接点入力装置を図示しない基板に表面実装する際のリフロー半田付け工程を考慮し、このリフロー半田付け工程(約260℃の雰囲気)にも耐える高い耐熱性を有するものを使用している。
図1,図2,図4,図7に示す如く、上ケース20は、薄板金属からなり、下ケース10の上面周側部に接合させる円環状の外枠部21と、この外枠部21の外側縁90度置きの4箇所から部分的に下向きに延び、下ケース10の外側面に形成されている各嵌合面13の外側に嵌合する平板状の縁部22と、この上下左右4つの各縁部22の中央部に形成し、下ケース10の各嵌合面13の中央部から突出形成されている各係合爪14を嵌込む下ケース10との係合孔23と、中心部に円形のハブ部24を有し、そのハブ部24から上下左右4周辺スイッチS2分4本の板バネ部25aを90度置きの放射方向(上下左右4方向)に面一に延ばす十字型の板バネ26と、板バネ26のハブ部24から各板バネ部25の間で90度置きの放射方向(左斜め上,右斜め上、左斜め下、右斜め下の4方向)に面一に延び、先端に斜め下向きの折曲げ部27aを形成し、この折曲げ部27aの端部を外枠部21の内側縁に連設し、外枠部21の内側で外枠部21より所定高さh高い位置に板バネ26を上下動自在に弾性支持する4つの板バネ状の連接アーム部27と、を備えて構成している。板バネ26のハブ部24は、その中心に円形の孔が形成されて円環状の中央ボス取付け部に形成されると共に、板バネ26の4つの自由端部である片持ちの各板バネ部25aの先端自由端部には、それぞれ中心に円形の孔が形成される円環状の周辺ボス取付け部25が形成されている。各連接アーム部27の中間部には、この連接アーム部27を上ケース20の径方向に伸縮可能に構成するためのS字状の伸縮部27bが形成されている。
図1,図4に示す如く、中央キートップ30は、PA等の合成樹脂材料からなり、扁平な円板状の中央キートップ本体30Aと、下端面で中央スイッチS1の可動接点C1の中心頂部を押下げる押圧部である短い軸状の中央ボス部30Bとに分割形成されており、中央キートップ本体30Aの下面中心部から一体に突設した凸部30aと中央ボス部30Bの上端面中心部に設けた凹部30bの嵌合によって、中央キートップ本体30Aの下面中心部に中央ボス部30Bを下向き突出状に結合するように構成されている。周辺キートップ40は、中央キートップ30と同じ合成樹脂材料からなり、中央キートップ本体30Aの外径よりやや大きい内径と下ケース10の外径と略同じ外径を有する扁平な円環状に形成され、中央キートップ本体30Aの周囲に配設する周辺キートップ本体40Aと、下端面で周辺スイッチS2の可動接点C2の中心頂部を押下げる4周辺スイッチS2の4可動接点C2分4つの短い軸状の周辺ボス部40Bとに分割形成されており、周辺キートップ本体40Aの下面90度置きの4箇所から一体に突設した凸部40aと各周辺ボス部40Bの上端面中心部に設けた凹部40bの嵌合によって、周辺キートップ本体40Aの下面90度置きの4箇所にそれぞれ周辺ボス部40Bを下向き突出状に結合するように構成されている。中央ボス部30B及び各周辺ボス部40Bの外側面には、上ケース20の板バネ26に形成されている中央ボス取付け部24及び周辺ボス取付け部25に嵌合取付けするためのリング溝30c,40cが形成されている。
以上の構成において、中央キートップ30の中央ボス部30Bは、上ケース20の板バネ26の中心部に形成されている円環状の中央ボス取付け部24の内孔に上方から圧入して嵌合することにより、中央ボス部取付け部24の内周縁部が中央ボス部30Bの外側面に形成されているリング溝30cに嵌込み、中央ボス取付け部24の下面側に中央ボス部30Bのリング溝30cより下部を突出し、かつ、中央ボス取付け部24の上面側に中央ボス部30Bのリング溝30cより上部を突出した状態で、中央ボス取付け部24、つまり、上ケース20の板バネ26の中心部にアウトサートで取付けられ、また、周辺キートップ40の各周辺ボス部40Bは、上ケース20の板バネ26の各板バネ部25aの先端自由端部に形成されている円環状の周辺ボス取付け部25の内孔に上方から圧入して嵌合することにより、周辺ボス取付け部25の内周縁部が周辺ボス部40Bの外側面に形成されているリング溝40cに嵌込み、周辺ボス取付け部25の下面側に周辺ボス部40Bのリング溝40cより下部を突出し、かつ、周辺ボス取付け部25の上面側に周辺ボス部40Bのリング溝40cより上部を突出した状態で、各周辺ボス部取付け部25、つまり、上ケース20の板バネ26の4つの自由端部にアウトサートで取付けられている。ここで、中央ボス部30Bと各周辺ボス部40Bは、形状・大きさ共に同じに形成されるもので、中央ボス部30Bと各周辺ボス部40Bの上端面及び下端面の高さはそれぞれ水平な一平面上に揃い、下ケース20に上ケース20を嵌着したときに、中央ボス部30Bと各周辺ボス部40Bの下端面が、下ケース10の中央凹部11と各周辺凹部12に収容配置されている中央可動接点C1と各周辺可動接点C2の中心頂部の高さと略同一高さになるように設定されている。
次に、多接点入力装置の組立て方法について説明する。先ず、下ケース10の中央凹部11に上方から中央可動接点C1を収容配置すると共に、下ケース10の各周辺凹部12に上方から各周辺可動接点C2を収容配置し、この後、下ケース10の上面全面に粘着テープ50を貼着する。これによって、上述したように、下ケース10の中央凹部11に、その底面に露出形成されている中央常開接点a1bと同中央凹部11に収容配置されている中央可動接点C1とで開閉可能な常開の中央スイッチS1が構成され、また、下ケース10の各周辺凹部12に、その底面に露出形成されている周辺常開接点a2bと同各周辺凹部12に収容配置されている周辺可動接点C2とで開閉可能な常開の各周辺スイッチS2が構成される。従って、下ケース10には、その中心部とその周囲上下左右4方向に合計5つの常開のスイッチS1,S2が構成される。次いで、上述したように、十字型の板バネ26の中心部に中央キートップ30の中央ボス部30Bがアウトサートで取付けられ、また、同板バネ26の4つの自由端部にアウトサートで周辺キートップ26の各周辺ボス部40Bが取付けられている上ケース20を、中心部とその周囲90度置きの上下左右4方向に合計5つの常開のスイッチS1,S2が構成されている下ケース10に上方から嵌着する。これによって、下ケース10の上面周側部に上ケース20の外枠部21が接合され、かつ、下ケース10の外側面に形成されている上下左右4つの各嵌合面13の外側に、上ケース20の外枠部21の外側縁から部分的に下向きに延びる上下左右4つの縁部22が嵌合され、下ケース10の各嵌合面13の中央部から突出形成されている係合爪14が、上ケース20の各縁部22の中央部に形成されている係合孔23に嵌込み、下ケース10に対して上ケース20が結合される。従って、下ケース20の上面側には、上ケース20の十字型の板バネ26が、各連接アーム部27によって下ケース10の上面より所定高さh高い位置に上下動自在に弾性支持され、その十字型の板バネ26の中心部に予めアウトサートで取付けられている中央キートップ30の中央ボス部30Bが、下ケース10の中心部に構成されている常開の中央スイッチS1の真上同芯位置に上下動自在に弾性保持され、また、同板バネ26の4つの自由端部に予めアウトサートで取付けられている周辺キートップ26の各周辺ボス部40Bが、下ケース10の中央スイッチS1の周囲上下左右4方向に構成されている常開の各周辺スイッチS2の真上同芯位置にそれぞれ独立して上下動自在に弾性保持される。次いで、上ケース20の十字型の板バネ26の中心部にて、中央スイッチS1の真上同芯位置に上下動自在に弾性保持されている中央ボス部30Bの上端面中心部に設けた凹部30bに、扁平な円板状の中央キートップ本体30Aの下面中心部から一体に突設した凸部30aを上方から圧入嵌合し、また、同板バネ26の4つの自由端部にて、各周辺スイッチS2の真上同芯位置にそれぞれ独立して上下動自在に弾性保持されている各周辺ボス部40Bの上端面中心部に設けた凹部40bに、扁平な円環状の周辺キートップ本体40Aの下面90度置きの4箇所から一体に突設した凸部40aを上方から圧入嵌合する。これによって、扁平な円板状の中央キートップ本体30Aの下面中心部から中央スイッチS1の可動接点C1の中心頂部に向かって中央ボス部30Bが垂下固定された中央キートップ30が構成され、また、扁平な円環状の周辺キートップ本体40Aの下面90度置きの4箇所から各周辺スイッチS2の可動接点C2の中心頂部に向かって周辺ボス部40Bが垂下固定された周辺キートップ40が構成される。従って、下ケース10の上面側中心部には、中央スイッチS1を開閉操作する中央キートップ30が、上ケース20の板バネ26を介して押込み動作及び復帰動作可能に保持され、また、下ケース10の上面側で、中央キートップ30の周囲(下ケース10の上面側周側部)には、各周辺スイッチS2を個別に開閉操作可能な1つの周辺キートップ40が、上ケース20の板バネ26を介して押込み動作及び復帰動作可能に保持される。以上で多接点入力装置の組立てが完了する。
以上のように組立てられた多接点入力装置は、携帯電話やデジタルカメラ等の電子機器の基板に表面実装することによって、下ケース10の底面で面一に露出されている全ての端子A1,A2,Bの各他端部が、基板の対応するランドに半田付けされて機械的及び電気的に接続され、中央キートップ30の中央キートップ本体30Aと周辺キートップ40の周辺キートップ本体40Aの各表面(上面)が、電子機器のハウジング外表面に露出された状態で取付けられる。
次に、多接点入力装置の動作について説明する。図1の状態(全てのスイッチS1,S2が開いた状態)から中央キートップ30をこの中央キートップ本体30Aの上面を上方から指で押して押込み操作することによって、上ケース20の十字型の板バネ26の4つの自由端部が周辺キートップ40の各周辺ボス部40Bの下端面で各周辺スイッチS2の可動接点C2の中心頂部に支えられ、各板バネ部25aと各連接アーム部27の撓み(弾性変位)を伴って板バネ26の中心部のみが中央キートップ30の押込み動作に追従して押下げられ、中央キートップ30の中央ボス部30Bの下端面で中央スイッチS1の中央可動接点C1の中心頂部が押下げられるので、その中央可動接点C1の中心頂部が、図1の実線に示す上向き凸状から仮想線に示す下向き凸状に動作感触を伴って反転動作(弾性変形)し、中央A接点a1と接触する。これによって、中央A接点a1とその周囲のB接点bが中央可動接点C1を通じて導通し、中央常開接点a1bが閉じられる。つまり、中央スイッチS1が閉じられ、中央固定端子A1が短絡し、所定の信号入力が行われる。中央キートップ30の押込み力を解除すると、図1の実線に示すように、各板バネ部25aと各連接アーム部27が水平姿勢に弾性復帰し、中央キートップ30が非操作位置に復帰動作すると共に、中央可動接点C1の中心頂部が、図1の仮想線に示す下向き凸状から実線に示す上向き凸状に動作感触を伴って弾性復帰し、中央A接点a1から上方に離反し、中央A接点a1とその周囲のB接点bの導通が断たれ、中央常開接点a1bが開かれ、中央スイッチS1が開状態に復帰動作する。ここで、中央キートップ30を押込み操作したときに、各周辺スイッチS2が閉動作しないように、板バネ26の各板バネ部25aのバネ力は、各周辺可動接点C2(中央可動接点C1も同じ)のバネ力(反転動作力)よりも小さい値に設定されている。
また、図1の状態から周辺キートップ40をこの周辺キートップ本体40Aの上面上下左右何れか1箇所、例えば、上面左1箇所を上方から指で押して押込み操作することによって、上ケース20の十字型の板バネ26の上下及び右3つの自由端部が上下及び右3つの周辺ボス部40Bの下端面で上下及び右3つの周辺スイッチS2の各周辺可動接点C2の中心頂部に支えられ、周辺キートップ40全体が操作対象の左周辺スイッチS2方向に傾き、板バネ26の中心部から左側方に延びる左板バネ部25aの撓み(弾性変位)を伴ってその自由端部のみが周辺キートップ40の傾動に追従して押下げられ、周辺キートップ40の左周辺ボス部30Bの下端面で左周辺スイッチS2の左周辺可動接点C2の中心頂部が押下げられるので、その左周辺可動接点C1の中心頂部が、図1の実線に示す上向き凸状から仮想線に示す下向き凸状に動作感触を伴って反転動作(弾性変形)し、左周辺A接点a2と接触する。これによって、左周辺A接点a1とその周囲のB接点bが左周辺可動接点C2を通じて導通し、左常開接点a2bが閉じられる。つまり、左周辺スイッチS2が閉じられ、左周辺固定端子A2が短絡し、所定の信号入力が行われる。周辺キートップの押込み力を解除すると、図1の実線に示すように、板バネ26の中心部から左側方に延びる左板バネ部25aが水平姿勢に弾性復帰し、周辺キートップ40が水平な非操作姿勢に復帰動作すると共に、左周辺可動接点C2の中心頂部が、図1の仮想線に示す下向き凸状から実線に示す上向き凸状に動作感触を伴って弾性復帰し、左周辺A接点a2から上方に離反し、左周辺A接点a2とその周囲のB接点bの導通が断たれ、左周辺常開接点a2bが開かれ、左周辺スイッチS2が開状態に復帰動作する。なお、残り3方向の周辺スイッチS2についても、操作対象スイッチ方向に対応する周辺キートップ40の周辺キートップ本体40Aの1箇所を押込み操作することによって、個別に閉操作することができ、これに伴って短絡される周辺固定端子A2に応じて所定の信号入力が行われる。
以上のように本実施の形態に係る多接点入力装置は、複数の固定端子A1,A2,Bを一体に設けると共に、中心部とその周囲複数方向に上面を開放する凹部11,12を形成し、各凹部11,12底面に常開接点a1b,a2bを露出形成する絶縁材料からなる下ケース10と、下ケース10の各凹部11,12に配設し、その底面の常開接点a1b,a2bを開閉自在に導通させるドーム状のスナッププレートからなる複数の可動接点C1,C2と、下ケース10に上方から嵌着する上ケース20と、中心部の常開接点a1bをその可動接点C1を通じて開閉操作する中央キートップ30及び周辺部の各常開接点a2bをそれぞれの可動接点C2を通じて個別に開閉操作する周辺部の各常開接点a2bに共通の1つの周辺キートップ40と、を備え、中央キートップ30及び周辺キートップ40は、扁平なキートップ本体30A,40Aと下端面で可動接点C1,C2の頂部を押下げるボス部30B,40Bとに分割形成し、キートップ本体30A,40Bの下面に一体に突設する凸部30a,40aに、ボス部30,40に設ける凹部30b,40bを嵌合することによって、キートップ本体30A,40Aの下面にボス部30B,40Bを結合するように構成し、上ケース20は、薄板金属からなり、下ケース10の上面周側部に接合させる環状の外枠部21と、外枠部21の外側縁の複数箇所から部分的に下向きに延び、下ケース10の外側面に嵌合する縁部22と、中心部にハブ部24を有してハブ部24から複数の板バネ部25aを放射状に延ばす板バネ26と、板バネ26のハブ部24から各板バネ部25aの間で放射状に延び、先端に下向きの折曲げ部27aを形成し、折曲げ部27aの端部を外枠部21の内側縁に連接し、外枠部21の内側で外枠部21より高い位置に板バネ26を上下動自在に弾性支持する板バネ状の複数の連接アーム部27と、を備え、中央キートップ30のボス部30Aを板バネ26のハブ部25に取付け、中心部の可動接点C1の頂部上方に対向配置すると共に、周辺キートップ40のボス部40Bを板バネ26の各板バネ部25aの自由端部25に取付け、周辺部の各可動接点C2の頂部上方に対向配置し、上ケース20に、中央キートップ30及び周辺キートップ40を押込み動作及び復帰動作可能に保持したものでる。
本実施の形態に係る多接点入力装置では、上ケース20に、中央キートップ30及び周辺キートップ40を押込み動作及び復帰動作可能に保持したことで、下ケース10には可動接点C1,C2の収容空間のみを確保するだけでよく、先ず、下ケース10の厚みを薄くすることができる。また、上ケース20は、薄板金属からなり、中央キートップ30及び周辺キートップ40をその厚み内で押込み動作及び復帰動作可能に保持できるので、上ケース20の厚み自体は、多接点入力装置の厚みに影響を与えることがなく、実質的に無視することができるための、下ケース10の厚み減少分だけ多接点入力装置の厚みを薄くすることができ、多接点入力装置の更なる薄型化を容易に実現することができる。また、下ケース10に嵌着する上ケース20に板バネ26を一体に備え、中央キートップ30のボス部30Bを板バネ26の中心部のハブ部(中央ボス取付け部)24に取付け、中心部の可動接点C1の頂部上方に対向配置すると共に、周辺キートップ40のボス部40Bを板バネ26の板バネ部25aの自由端部(周辺ボス取付け部)25に取付け、周辺部の各可動接点C2の頂部上方に対向配置することで、中央キートップ30のボス部30B及び周辺キートップ40のボス部40Bが操作対象の可動接点C1,C2を構成するスナッププレートの頂部に対して位置ずれすることがなく、常にスナッププレートの頂部を確実に押下げることができ、スナッププレートの操作感触や耐久性の悪化を防止することができる。さらに、下ケース10の各凹部11,12に上方から可動接点C1,C2を収容配置し、その下ケース10の上面に上方から粘着テープ50を貼着した後、下ケース10に上ケース20を上方から嵌着し、その上ケース20の板バネ26の中心部に取付けられている中央ボス部30Bに設けた凹部30bに中央キートップ本体30Aの下面に一体に突設した凸部30aを上方から圧入して嵌合すると共に、上ケース20の板バネ26の各自由端部に取付けられている周辺ボス部40Bに設けた凹部40bに周辺キートップ本体40Aの下面に一体に突設した凸部40aを上方から圧入して嵌合するだけで、多接点入力装置を組立てることができるため、ある構成部品をその前工程と後工程で組付ける構成部品間に挟持する等の煩わしい組立て工程が一切なく、多接点入力装置の組立性を向上させることができる。
次に、本発明の他の実施の形態を図8を参照して説明する。図8は本発明の他の実施の形態に係る多接点入力装置の断面図であり、図1〜図7に示した実施の形態に係る多接点入力装置と同一部分には同一符号を付して、その説明を省略し、相違する部分について説明する。この他の実施の形態に係る多接点入力装置では、図1〜図7に示した中央キートップ30と周辺キートップ40を一体とした構造のキートップ60を備えている。このキートップ60は、図1〜図7に示した中央キートップ本体30Aと周辺キートップ本体40Aを一体とした構造の1枚の扁平な円板状のキートップ本体61と、下端面で中央スイッチS1の可動接点C1の中心頂部を押下げる押圧部である短い軸状の中央ボス部62及び下端面で周辺スイッチS2の可動接点C2の中心頂部を押下げる4周辺スイッチS2の4可動接点C2分4つの短い軸状の周辺ボス部63とに分割形成されており、キートップ本体61の下面中心部に一体に突設する凸部64と、中央ボス部62の上端面中心部に設ける凹部65の嵌合によって、キートップ本体61の下面中心部に中央ボス部63を下向き突出状に結合すると共に、キートップ本体61の下面中心部の凸部64の周囲で、90度置きの4箇所に一体に突設する凸部66と、各周辺ボス部63の上端面中心部に設ける凹部67の嵌合によって、キートップ本体61の下面中心部に結合する中央ボス部63の周囲で、90度置きの4箇所にそれぞれ周辺ボス部63を下向き突出状に結合するように構成されている。中央ボス部62及び各周辺ボス部63の外側面には、図1〜図7に示した中央ボスボス部30B及び各周辺ボス部40Bと同様に、上ケース20の板バネ26に形成されている中央ボス取付け部24及び周辺ボス取付け部25に嵌合取付けするためのリング溝68,69が形成されている。ところで、この他の実施の形態に係る多接点入力装置では、中央スイッチS1を開じるためにキートップ60をこのキートップ本体61のの上面中央部を指で押して押込み操作したときに、中央スイッチS1の周囲上下左右4方向の各周辺スイッチS2が閉動作しないように、周辺ボス部63を、中央スイッチS1の中央可動接点C1を反転させる中央ボス部62の下動ストロークに対応する長さLだけ、中央ボス部62より短くすることで、中央スイッチS1のみを閉動作させることができ、これによって、図1〜図7に示した中央キートップ30と周辺キートップ40の一体化を実現している。また、このキートップ60は、各周辺スイッチS2を個別に閉じるためにキートップ本体61の上面周側部で、上下左右何れか1箇所を指で押して押込み操作すると、中央ボス部62の下端面が中央スイッチS1の中央可動接点C1の中心頂部に支えられ、全体が操作対象の1つの周辺スイッチS2方向に傾くことで、その操作対象の1つの周辺スイッチS2のみを閉動作させることができる。この場合、中央ボス部62の下端面を球面状に形成して下向きに膨出させ、中央スイッチS1の中央可動接点C1の中心頂部に点接触させることで、キートップ60を違和感なくスムーズに傾動させることができ、中央スイッチ及び各周辺スイッチS2の良好な操作性を得ることができる。
以上、図1〜図7に示した実施の形態及び図8に示した他の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において変形実施することができる。例えば、図1〜図7に示した実施の形態では各周辺スイッチS2に共通の1つの周辺キートップ40を示したが、この周辺キートップ40のキートップ本体40Aを上下左右4方向に90度ずつに分割し、1つの周辺スイッチS2に対し1つの周辺キートップを備えることも、本発明では可能である。また、図1〜図7に示した実施の形態及び図8に示した他の実施の形態では、上ケース20の板バネ26に各ボス部30B,40B,62,63をアウトサートで取付けたが、インサート成形によって一体成形してもよい。また、キートップ本体30A,40A,61と各ボス部30B,40B,62,63の結合手段としての、相互に嵌合可能な凸部30a,40a,64,66と凹部30b,40b,65,67のうち、凸部30a,40a,64,66をキートップ本体30A,40A,61側に設け、凹部30b,40b,65,67をボス部30B,40B,62,63側に設けたが、その逆に設けることもできる。さらに、下ケース10と上ケース20の結合手段としての、相互に嵌合可能な係合爪14と係合孔23のうち、係合爪14を下ケース10側の嵌合面13に設け、係合孔23を上ケース20側の外枠部21の縁部22に設けたが、その逆に設けることもできる。