JP4086785B2 - 荷電制御剤およびそれを含む静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
本発明は、モノアゾ金属類含有化合物を含む電子写真用の帯電制御剤、この帯電制御剤を含む静電荷像現像用トナーに関するものである。
背景技術
電子写真システムは、摩擦帯電させたトナーで静電潜像を現像し、記録紙上に転写して定着させて、画像や文字を形成するものである。
高解像度の画像を得るため、微細化したトナーや、高酸価のトナー用樹脂が使用される。トナーを微細化しても帯電が不充分であると、トナー像は鮮明に現像されず、カブリ易い。そこで、充分な摩擦帯電性を付与するため、予めトナーに荷電制御剤が添加される。負帯電性の荷電制御剤として、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸やナフトエ酸やジカルボン酸の金属錯塩、銅フタロシアニン顔料、または酸成分を含む樹脂等が知られている。また、正帯電性の荷電制御剤として、ニグロシン染料、アジン系染料、トリフェニルメタン系染顔料、四級アンモニウム塩や四級アンモニウム塩を側鎖に有する樹脂等が知られている。
例えばモノアゾ染料の金属錯塩は、特開昭63−267793号公報、特開平7−97530号公報、特開平9−169919号公報、特開平10−186713号公報、特開平11−7164号公報、特開2001−26337号公報に記載されている。
しかし、従来の荷電制御剤は、機械的摩擦や衝撃、電気的衝撃や光照射、温度変化や高温状態、湿度変化や高湿状態に曝されると分解したり変質したりして荷電制御性を失い易く、安定性が悪い。また、記録紙にトナー像を転写し熱や圧力で定着させる際に、トナーに含まれる高酸価のトナー用樹脂のために荷電制御剤が分解または昇華して、記録紙に形成された画像が不鮮明となり易い。さらに、帯電の立上がり速度が遅いため、現像初期に帯電が不充分となりトナー像が鮮明に現像されず、現像途中でトナー像が劣化してしまう。
本発明は、前記課題を解決するためなされたもので、モノアゾ金属類含有化合物を含んでおり、トナーに優れた摩擦帯電性を発現させ、耐熱性や耐湿性に優れ、安定で昇華し難い電子写真用の荷電制御剤、この制御剤を含み、機械的摩擦や衝撃、電気的衝撃や光照射に強く、帯電立上がり速度が速く、現像されたトナー像の品質が優れている静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
発明の開示
前記の目的を達成するためになされた本発明の荷電制御剤は、下記化学式[I]
(式[I]中、R1−、R2−、R3−、およびR4−は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基で置換されていてもよいスルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、および−COO−R7(−R7は水素原子またはアルキル基)から選ばれる同一または異なる基;−A−は、−O−または−COO−;−R5は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、スルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、カルボキシル基、またはスルホン基;−R6は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖で炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基)で示されるモノアゾ化合物と、それに配位している金属および半金属のいずれかの金属類とを含有するモノアゾ金属類含有化合物が、含まれたものである。
このモノアゾ金属類含有化合物は、簡易に合成できるものであり、優れた摩擦帯電性を発現する荷電制御剤のために使用される。
前記モノアゾ金属類含有化合物が下記化学式[II]
(式[II]中、R1−、R2−、R3−、R4−、R5−、R6−、および−A−は前記化学式[I]に同じ;pは1〜2;(M)qは、Mが2価、3価または4価の金属と、ホウ素またはケイ素の半金属とのいずれかの金属類で、qが1〜4;−(O−R8)rは、−R8が炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基で、rが0〜3;sは1〜6;tは0〜2;uは0〜2;(B)v+は1〜2価のカチオン、(B)v−は1〜2価のアニオン)で示されるものであることが好ましい。(B)v+は、例えば水素イオン、アンモニウムイオン、第1〜第4有機アンモニウムイオン、および/またはアルカリ金属カチオン、(B)v−は、例えば有機スルホン酸アニオン、有機カルボン酸アニオン、Cl−、OH−、SO4 2−、および/またはNO3 −である。
前記式[I]のモノアゾ化合物と、金属類付与剤とを反応させると、前記式[II]のモノアゾ金属類含有化合物が得られる。
モノアゾ金属類含有化合物は、前記式[II]中、金属類Mが3価または4価の金属であると、q=1でs=2の構造、またはq=2でs=3の構造をとり易い。金属類Mが2価のアルカリ土類金属であると、q=1でs=1の構造をとり易い。金属類Mがホウ素やケイ素のような半金属であると、q=1でs=2の構造をとり易い。
荷電制御剤は、前記式[II]中、q=1、かつs=2で示されるモノアゾ金属類含有化合物を含んでいることが好ましい。また、平均粒径が1〜5μmであることが、さらに帯電の立上がりが速いので、好ましい。
荷電制御剤は、前記式[II]中の中心金属類Mが、原子価2価の金属であるFe、Zn、Sr、CaおよびMg;原子価3価の金属であるCr、Al、Fe、Ni、CoおよびMn;原子価4価の金属であるTi、ZrおよびSn;半金属であるホウ素、ケイ素である、モノアゾ金属類含有化合物を含んでいてもよい。
荷電制御剤は、前記式[II]中、MがFe、Al、Zr、Ti、およびZnのいずれかの金属であるモノアゾ金属類含有化合物を含んでいるとなお一層好ましい。これら5種の金属であると、人体に対する安全性が高い。
モノアゾ金属類含有化合物に混入しているモノアゾ化合物は、未配位であると荷電制御剤の帯電安定性に影響を与えるため、最大でも1%であることが好ましい。一層好ましくは0.5%以下、なお一層好ましくは0.1%以下である。
荷電制御剤は、平均粒径が0.1〜7μmであるモノアゾ金属類含有化合物を含んでいることが好ましい。この範囲から外れると、荷電制御剤は、結着性樹脂であるトナー用樹脂との十分な混合分散や溶融混練ができなくなってしまう。
荷電制御剤は、モノアゾ金属類含有化合物が優れた摩擦帯電性、耐熱性、耐湿性、樹脂との高い親和性および優れた分散性を有し、安定で昇華し難く、さらに帯電立上がり速度を速くするので、静電荷像現像用トナーのために好適に用いられる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記の荷電制御剤、トナー用樹脂、および着色剤を含んでいる。静電荷像現像用トナー中、トナー用樹脂100重量部に対し、荷電制御剤が0.2〜10重量部より好ましくは0.5〜5重量部、着色剤が0.5〜10重量部含まれていることが好ましい。
前記トナー用樹脂は、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、または/およびポリエステル樹脂であって、その酸価が5〜50mgKOH/gであることが好ましい。トナー用樹脂は、酸価が5〜30mgKOH/gのポリエステル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂であると一層好ましい。トナー用樹脂は、トナーの帯電性と定着性とを向上させるするために、重量平均分子量/数平均分子量が2〜10の範囲であることが好ましい。例示したトナー用樹脂を、単独で用いてもよく、複数種適宜混合して用いてもよい。
静電荷像現像用トナーは、摩擦や衝撃等に強く、帯電の立上がり速度が速い。このトナーは、温度や湿度が変化しても長時間優れた帯電安定性を示す。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
前記化学式[I]で示されるモノアゾ化合物は、以下のようにして合成される。
始発物質は、下記化学式[III]
(式[III]中、R1−、R2−、R3−、およびR4−は、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基で例示される直鎖状または分岐鎖状で炭素数1〜18のアルキル基;−CH2CH=CH2、−C(CH3)=CH2で例示される直鎖状または分岐鎖状で炭素数2〜18のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、ナフチル基で例示されるアリール基であって、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子や炭素数1〜18のアルキル基で例示される置換基を有するアリール基、または置換基を有していないアリール基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のようなアルキル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよいスルホンアミド基;メシル基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基で例示される炭素数1〜18のアルコキシル基;アセチルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;F、Cl、Br、Iで例示されるハロゲン原子;ニトロ基;−COO−R7(−R7は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基)から選ばれる、同一または異なる基である。−A−は、−O−、−COO−である。)
で示されるアニリン誘導体と、下記化学式[IV]
(式[IV]中、R5−は、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基で例示される直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基;直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基;スルホンアミド基;フェニル基、トルイル基、ナフチル基で例示されるアリール基であって、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子や炭素数1〜18のアルキル基で例示される置換基を有していても、または置換基を有していなくてもよいアリール基;前記と同様な置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい、ベンジル基やα,α’−ジメチルベンジル基で例示されるアラルキル基;スルホンアミド基;メシル基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基で例示される炭素数1〜18のアルコキシル基;カルボキシル基;またはスルホン基である。R6−は、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基で例示される直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基;−CH2CH=CH2、−C(CH3)=CH2で例示される直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、ナフチル基で例示されるアリール基であって、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子や炭素数1〜18のアルキル基で例示される置換基を有するアリール基、または置換基を有していないアリール基;前記と同様な置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい、ベンジル基やα,α’−ジメチルベンジル基で例示されるアラルキル基;エトキシ基、イソプロポキシ基で例示される炭素数1〜18のアルコキシル基であり、特に好ましいのはメチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基である。)
で示されるβ−ナフトール誘導体である。
前記化学式[III]で示されるアニリン誘導体をジアゾ化する。得られた化合物と、カップリング成分である前記化学式[IV]で示されるβ−ナフトール誘導体とを、水溶液、有機溶剤、または水−有機溶剤混合溶液中でジアゾ化カップリング反応させると、前記化学式[I]で示されるモノアゾ化合物が得られる。
得られたモノアゾ化合物は、β−のナフトールの3〜8位のいずれかに−NHCO−O−R6と、−R5とを有することが特徴である。このようなモノアゾ化合物の具体例を、表1に示す。
表1中の式[I]と、特許請求の範囲に記載の式[I]とは、結合基の記載形式が一部相違しているが、同じ化学構造を示している。
これらのモノアゾ化合物から、以下のようにして、前記化学式[II]で示されるモノアゾ金属類含有化合物が合成される。
モノアゾ化合物と、金属類付与剤とを、水、有機溶媒、または水−有機溶媒混合液中で反応させる。すると、金属類が、モノアゾ化合物に配位する。これが例えば水に分散されると析出する。それを濾別し、水洗後、乾燥すると、荷電制御剤に用いられるモノアゾ金属類含有化合物が得られる。なお、有機溶媒中で反応させると生成物が析出する。これを濾別するだけで前記化学式[II]で示されるモノアゾ金属類含有化合物が得られる。
モノアゾ金属類含有化合物の合成に用いる有機溶媒は、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系、エーテル系、グリコール系有機溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスホキシドのような非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
金属類付与剤は、金属付与剤、または半金属付与剤である。
金属付与剤は、例えば、硫酸アルミニウム、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、塩基性酢酸アルミニウムのようなアルミニウム化合物;蟻酸クロム、酢酸クロム、硫酸クロム、塩化クロム、硝酸クロムのようなクロム化合物;塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、トリエトキシ鉄のような鉄化合物;塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト等のコバルト化合物;塩化チタン、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンのようなチタン化合物;塩化亜鉛、硫酸亜鉛のような亜鉛化合物が挙げられる。
半金属付与剤は、トリメトキシボランやトリプロポキシボランのようなホウ素化合物であるホウ素付与剤、テトライソプロポキシシランやテトラフェノキシシランのようなケイ素化合物であるケイ素付与剤が挙げられる。
金属類付与剤は、金属アルコキシド;チタネート系、アルミニウム系カップリング剤のような金属カップリング剤;ホウ素アルコキシド;ケイ素アルコキシド;シランカップリング剤であってもよい。これら金属アルコキシド等を用いると、得られたモノアゾ金属類含有化合物は、アルコキシドのアルコキシ基と、金属の配位子との交換が完全に行われていることがある。
金属類付与剤は、モノアゾ化合物1当量に対して、金属類の1/3〜2原子当量用いられると好ましく、1/2〜2/3原子当量用いられると一層好ましい。
モノアゾ金属類含有化合物は、金属類の種類および価数、合成させる際のpH条件、およびそれを析出させて濾別する際のpH条件によって、モノアゾ化合物s個の分子に、金属類Mのq個の原子が結合した、前記式[II]の種々の構造をとる。
モノアゾ金属類含有化合物は、対イオンを有していなくてもよく、対イオン(B)v+または(B)v−を有していてもよい。
対イオンの有無やその種類は、モノアゾ金属類含有化合物を合成させる際の共存するイオン種やpH条件、またはモノアゾ金属類含有化合物を析出させて濾別する際のpH条件によって、変化する。例えば、モノアゾ金属類含有化合物を析出させ濾別する際、塩酸中、酸性下で行えば対イオン(B)v+はH+となり、水酸化ナトリウム溶液中、強アルカリ性下で行えば対イオン(B)v+はNa+となり、希水酸化ナトリウム溶液中で中性に近い弱アルカリ性下で行えば対イオン(B)v+はH+とNa+とが混在する。
また、金属類付与剤として金属アルコキシド、半金属アルコキシドを用いると、モノアゾ金属類含有化合物の中心金属類Mは一部がモノアゾ化合物と結合し一部がアルコキシ基と結合するため、このアルコキシ基の結合数と対イオン(B)v+または(B)v−の種類とに応じて、その価数と対イオンの係数とが一義的に定まる。
モノアゾ金属類含有化合物の同定は、例えば高速原子衝撃型イオン化法質量分析(FAB−MS)のような質量分析により行った。
モノアゾ金属類含有化合物は、モノアゾ化合物のβ−ナフトール環に−NHCO−O−R6基を有していると、耐熱性に優れるので、加熱によっても分解したり昇華したりしない。
モノアゾ金属類含有化合物の具体例を、表2に示す。
表2中の式[II]と、特許請求の範囲に記載の式[II]とは、結合基の記載形式が一部相違しているが、同じ化学構造を示している。
さらに、下記化学式のモノアゾ化合物(表1中の化合物番号I−1)
を用いて合成される別なモノアゾ金属類含有化合物の具体的な構造式を以下に示す。
下記化学式(II−27)はこのモノアゾ化合物と、金属類であるFe(III)との比が2:1であるモノアゾ鉄化合物を示している。
下記化学式(II−28)はこのモノアゾ化合物と、金属類であるFe(III)との比が3:2であるモノアゾ鉄化合物を示している。
下記化学式(II−29)はこのモノアゾ化合物と、金属類であるAl(III)との比が2:1であるモノアゾアルミニウム化合物を示している。
下記化学式(II−30)はこのモノアゾ化合物と、金属類であるCa(II)との比が1:1であるモノアゾカルシウム化合物を示している。
下記化学式(II−31)はこのモノアゾ化合物と、金属類であるTi(IV)との比が2:1であるモノアゾチタン化合物を示している。
下記化学式(II−32)はこのモノアゾ化合物と、金属類であるZn(II)との比が2:1であるモノアゾ亜鉛化合物を示している。
下記化学式(II−33)はこのモノアゾ化合物と、金属類であるB(III)との比が2:1であるモノアゾホウ素化合物を示している。
下記化学式(II−34)はこのモノアゾ化合物と、アルコキシル基も結合している金属類であるAl(III)との比が1:1であるモノアゾアルミニウム化合物を示している。
下記化学式(II−35)はこのモノアゾ化合物と、アルコキシル基も結合している金属類であるTi(IV)との比が1:1であるモノアゾチタニウム化合物を示している。
下記化学式(II−36)はこのモノアゾ化合物と、アルコキシル基が結合した金属類であるSi(IV)との比が1:1であるモノアゾケイ素化合物を示している。
荷電制御剤は、このモノアゾ金属含有化合物を含むものである。荷電制御剤は、単一のモノアゾ金属類含有化合物を含んでいてもよく、異なる構造のモノアゾ金属類含有化合物を複数含んでいてもよい。荷電制御剤はさらに、別な荷電制御剤、例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、直鎖または分岐鎖のアルキル基を有していてもよいサリチル酸金属化合物を含んでいてもよい。サリチル酸金属化合物は、より具体的にはこの金属がFe、Al、Zn,Crなどであるサリチル酸金属錯塩やサリチル酸金属塩である。
モノアゾ金属類含有化合物を含むこの荷電制御剤を用い、以下のようにして静電荷像現像用トナーを調製した。
荷電制御剤、トナー用樹脂、着色剤、および必要に応じトナーの品質を向上させるために適宜使用される添加剤を、ボールミルのような混合機により充分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機により溶融混練した。これを冷却固化させた後、粉砕および分級すると、平均粒径5〜20μmの静電荷像現像用トナーが得られた。
また、トナー用樹脂溶液中に、この荷電制御剤、着色剤、および必要に応じ添加剤を分散した後、噴霧乾燥することにより静電荷像現像用トナーを調製してもよい。重合すると結着樹脂であるトナー用樹脂になる単量体に、荷電制御剤、着色剤、および必要に応じ添加剤を混合して乳化懸濁液とし、その後重合させて静電荷像現像用トナーを調製してもよい。
黒色トナー用の着色剤として、pHが酸性から塩基性までのカーボンブラック例えば、MA100、MA11、MA8、MA7、#40、#44(いずれも三菱化学社製の商品名);ラーベン1250(コロンビアンカーボン社製の商品名);モナーク880、モーガルL、モーガル660R(いずれもキャボット社製の商品名);カラーブラックFW2、スペシャルブラック250、プリンテックス90(いずれもデグッサ社製の商品名)が挙げられる。カーボンブラックと、染料や顔料を併用してもよい。
カラートナー用の着色剤として、キノフタロンイエロー、ハンザイエロー、イソインドリノンイエロー、ペリノンオレンジ、ペリレンマルーン、ローダミン6Gレーキ、キナクリドン、アンスアンスロンレッド、ローズベンガル、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ジケトピロロピロールのような有機顔料;チタンホワイト、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、べんがらのような無機顔料が挙げられる。これらの着色剤を、単独で配合してもよく、複数種混合して配合してもよい。これらの顔料と、染料やその他の市販の顔料とを併用してもよい。
添加剤として、例えば、オフセット防止剤、流動性改良剤、クリーニング助剤、トナーの現像形態に応じ導電性物質、磁性体微粒子を内添または外添してもよい。オフセット防止剤は、例えば、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレンのようなポリオレフィン型ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、モンタン型ワックスのような天然ワックスが挙げられ、中でも平均分子量が500〜15000までのワックスであると一層好ましい。流動性改良剤は、例えばシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンのような金属酸化物、フッ化マグネシウムが挙げられる。クリーニング助剤は、例えばステアリン酸の金属石鹸;フッ素系合成樹脂、シリコン系合成樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系合成樹脂のような合成樹脂の微粒子が挙げられる。導電性物質は、例えば導電性カーボンブラック、グラファイトが挙げられる。磁性体微粒子は、鉄、コバルト、ニッケルのような強磁性金属、合金、フェライトのようなこれらの酸化物で例示される強磁性体の微粒子が挙げられる。
この静電荷像現像用トナーを用いた2成分現像剤は、このトナーとキャリヤとを混合して調製したもので、2成分磁気ブラシ現像法等により現像する際に使用される。このキャリヤとして、例えば、粒径50〜200μm程度の鉄粉、ニッケル粉、フェライト粉、ガラスビーズ、およびこれらの表面をアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、またはフッ化エチレン系樹脂でコーティングしたものが挙げられる。
この静電荷像現像用トナーを用いた1成分現像剤は、このトナーの調製の際に、例えば鉄粉、ニッケル粉、フェライト粉のような強磁性材料の微粉体を適量添加分散させたもので、接触現像法、ジャンピング現像法等により現像する際に使用される。
以下に、モノアゾ化合物の合成、それを用いたモノアゾ金属類含有化合物の合成、このモノアゾ金属類含有化合物を荷電制御剤として含んでいる静電荷像現像用トナーの調製、およびこのトナーを用いた記録紙への画像の形成について実施例1〜5に示す。また、本発明を適用外の例について比較例1〜5に示す。
(実施例1)
▲1▼モノアゾ化合物(化合物番号(I−1))の合成および昇華性確認試験
4−クロル−2−アミノフェノール49.5gを、35.6%の濃塩酸119.8g、および2−プロパノール340mlに加え攪拌した後、0〜5℃に氷冷し、36.3%の亜硝酸ナトリウム水溶液66.85gを同温度に保ちながら、90分間かけて添加後、90分間攪拌し、ジアゾ化反応を行った。反応液中に析出したNaClをろ過によって除去し、ジアゾ化合物が含まれている濾液を得た。0〜5℃でこの濾液を、2−プロパノール340mlと、48.86%の水酸化ナトリウム水溶液84.6gと、1−メトキシカルボアミド−7−ナフトール74.8gとの混合液に徐々に滴下し、90分間攪拌しカップリング反応を行った。次いでこの反応液に濃塩酸を加え酸性にした後、ろ過、水洗浄、乾燥を行い、化合物番号(I−1)(表1参照)のモノアゾ化合物95.8gを得た。
次いで、このモノアゾ化合物の昇華確認試験を行った。25mlの坩堝にこのモノアゾ化合物100mgと、酸価19mgKOH/gの樹脂2gとを入れて攪拌混合し、次いで坩堝の上を濾紙で蓋をした。坩堝の底を190℃で1時間加熱した後、濾紙の下面を観察したところ、モノアゾ化合物由来の赤色昇華物の付着が認められず、このモノアゾ化合物には昇華性がないことを確認した。
▲2▼モノアゾ金属類含有化合物(化合物番号(II−1))の合成および昇華性確認試験
このモノアゾ化合物40gに、メタノール342mlと、48.86%の水酸化ナトリウム水溶液21.2gとを加え、68℃で2時間加熱還流した後、金属類付与剤として38.9%の塩化第二鉄水溶液21.59gを徐々に加え、68℃で2時間加熱還流し反応を行った。反応後、室温まで冷却し析出した生成物を濾別し、水洗、乾燥すると、下記式で示される化合物番号(II−1)(表2参照)のモノアゾ金属類含有化合物が39.9g得られた。
このモノアゾ金属類含有化合物の構造をFAB−MS測定により確認した。測定には、JMS−AX505HA(日本電子社製の商品名)を使用した。測定条件は、
キセノンガス使用
分解能:500、50−2500M/Z
1次加速電圧:6.0kV
2次加速電圧:2.5kV
イオンマルチプライヤ:2.2kV
である。このモノアゾ金属類含有化合物を、マトリックスであるm−ニトロベンジルアルコールに溶解して、FABターゲットに約20mg塗布し、キセノンビームを用いて測定したところ、図1に示すFAB−MSスペクトルを得た。測定値は794.1であり、対イオンを除いて算出した理論値796.4とほぼ一致した。
対イオンは、原子吸光分析により、Naであることが確認された。さらに、平均粒径を測定すると、4μmであった。
この結果から、このモノアゾ金属類含有化合物は、モノアゾ化合物と、金属類であるFe(III)との比が2:1である前記式であるモノアゾ鉄化合物(化合物番号(II−1))であると推定された。
次にこのモノアゾ金属類含有化合物の昇華確認試験を行った。25mlの坩堝にこのモノアゾ金属類含有化合物100mgと、酸価19mgKOH/gの樹脂2gとを入れて攪拌混合し、次いで坩堝の上を濾紙で蓋をした。坩堝の底を190℃で1時間加熱した後、濾紙の下面を観察したところ、モノアゾ金属類含有化合物由来の昇華物の付着が認められず、このモノアゾ金属類含有化合物は昇華性がないことを確認した。
▲3▼静電荷像現像用トナーの調製
荷電制御剤としてこのモノアゾ金属類含有化合物(化合物番号(II−1))1重量部と、トナー用樹脂としてポリエステル樹脂であるHP−301(日本合成化学社製の商品名)100重量部および低重合ポリプロピレンであるビスコール550P(三洋化成社製の商品名)2重量部と、着色剤としてカーボンブラックであるMA−100(三菱化学社製の商品名)6重量部とを、高速ミルで均一に予備混合してプレミックスを調製した。このプレミックスを、加熱ロールで溶融混練した後、冷却し、超遠心粉砕機で粗粉砕した。得られた粗砕物を分級機付のエアージェットミルを用いて微粉砕することにより、平均粒径約10μmの静電荷像現像用トナーを得た。
▲4▼記録紙への画像の形成
得られたトナー5重量部に対して鉄粉キャリヤ TEFV200/300(パウダーテック社製の商品名)100重量部を混合して、現像剤を調製した。
この現像剤をプラスチック瓶中で52.5g計量し、回転数100rpmのボールミルにより攪拌して現像剤を帯電させ、20℃で相対湿度60%の条件で経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が良好であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へ画像を繰り返し形成したところ、画像は、カブリがなく、細線再現性が良好であり、画像濃淡の変動のない良質なものであった。また、オフセット現象も全く観察されなかった。
(実施例2)
▲1▼モノアゾ化合物(化合物番号(I−3))の合成および昇華性確認試験
実施例1の4−クロル−2−アミノフェノールに代えて4−tert−ブチル−2−アミノフェノールを用いたことと、1−メトキシカルボアミド−7−ナフトールに代えて1−エトキシカルボアミド−7−ナフトールを用いたこと以外は実施例1の▲1▼と同様にして、化合物番号(I−3)(表1参照)のモノアゾ化合物98.6gを得た。
次いで、このモノアゾ化合物について、実施例1の▲1▼と同様にして昇華確認試験を行った。濾紙の下面を観察したところ、モノアゾ化合物由来の赤色昇華物の付着が認められず、このモノアゾ化合物には昇華性がないことを確認した。
▲2▼モノアゾ金属類含有化合物(化合物番号(II−2))の合成および昇華性確認試験
このモノアゾ化合物(I−3)を用いたことと、金属付与剤として38.9%塩化第二鉄水溶液に代えて38%硫酸アルミニウム水溶液を用いたこと以外は実施例1の▲2▼と同様に反応した。反応後、反応混合液に20%塩化アンモニウム水溶液13.7gを加え、更に80℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し析出した生成物を濾別し、水洗、乾燥すると、下記式で示される化合物番号(II−2)(表2参照)のモノアゾ金属類含有化合物が37.2g得られた。
次いで、このモノアゾ金属類含有化合物について、実施例1の▲2▼と同様にして昇華確認試験を行った。濾紙の下面を観察したところ、モノアゾ金属類含有化合物由来の昇華物の付着が認められず、このモノアゾ金属類含有化合物は昇華性がないことを確認した。
▲3▼静電荷像現像用トナーの調製
荷電制御剤としてこのモノアゾ金属類含有化合物(II−2)の1重量部と、トナー用樹脂としてスチレン−アクリル共重合樹脂であるCPR600B(三井化学社製の商品名)100重量部および低重合ポリプロピレンであるビスコール550P(三洋化成社製の商品名)5重量部と、着色剤としてカーボンブラックであるMA−100(三菱化学社製の商品名)7重量部とを用いたこと以外は、実施例1の▲3▼と同様にして静電荷像現像用トナーを得た。
▲4▼記録紙への画像の形成
得られたトナーを用いて、実施例1の▲4▼と同様にして、現像剤を調製し、経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が良好であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へ画像を繰り返し形成したところ、画像は、カブリがなく、細線再現性が良好であり、画像濃淡の変動のない良質なものであった。また、オフセット現象も全く観察されなかった。
(実施例3)
▲1▼モノアゾ化合物の合成
実施例1の4−クロル−2−アミノフェノールに代えて4−フルオロ−2−アミノフェノールを用いたこと以外は、実施例1の▲1▼と同様にして、モノアゾ化合物を得た。
▲2▼モノアゾ金属類含有化合物の合成
このモノアゾ化合物を用いたこと以外は実施例1の▲2▼と同様にして、モノアゾ金属類含有化合物として下記式で示されるモノアゾ鉄化合物(II−37)が36.9g得られた。
▲3▼静電荷像現像用トナーの調製
荷電制御剤としてこのモノアゾ金属類含有化合物(II−37)の1重量部を用いたこと以外は、実施例1の▲3▼と同様にして静電荷像現像用トナーを得た。
▲4▼記録紙への画像の形成
得られたトナーを用いて、実施例1の▲4▼と同様にして、現像剤を調製し、経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が良好であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へ画像を繰り返し形成したところ、画像は、カブリがなく、細線再現性が良好であり、画像濃淡の変動のない良質なものであった。また、オフセット現象も全く観察されなかった。
(実施例4)
▲1▼モノアゾ化合物(化合物番号(I−11))の合成
実施例1の1−メトキシカルボアミド−7−ナフトールに代えて3−メトキシカルボアミド−2−ナフトールを用いたこと以外は実施例1の▲1▼と同様にして、化合物番号(I−11)(表1参照)のモノアゾ化合物を得た。
▲2▼モノアゾ金属類含有化合物(化合物番号(II−14))の合成
このモノアゾ化合物(I−11)を用いたこと以外は実施例1の▲2▼と同様にすると、下記式で示される化合物番号(II−14)(表2参照)のモノアゾ金属類含有化合物が35.7g得られた。
▲3▼静電荷像現像用トナーの調製
荷電制御剤としてこのモノアゾ金属類含有化合物(化合物番号(II−14))1重量部を用いたこと以外は、実施例1の▲3▼と同様にして静電荷像現像用トナーを得た。
▲4▼記録紙への画像の形成
得られたトナーを用いて、実施例1の▲4▼と同様にして、現像剤を調製し、経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が良好であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へ画像を繰り返し形成したところ、画像は、カブリがなく、細線再現性が良好であり、画像濃淡の変動のない良質なものであった。また、オフセット現象も全く観察されなかった。
(実施例5)
▲1▼モノアゾ化合物の合成
実施例2の4−tert−ブチル−2−アミノフェノールに代えて4−スルホンアミド−2−アミノフェノールを用いたこと以外は実施例2の▲1▼と同様にして、モノアゾ化合物を得た。
▲2▼モノアゾ金属類含有化合物の合成
このモノアゾ化合物を用いたこと以外は実施例2の▲2▼と同様にして、下記式で示されるモノアゾ金属類含有化合物としてモノアゾアルミニウム化合物(II−38)が29.8g得られた。
▲3▼静電荷像現像用トナーの調製
荷電制御剤としてこのモノアゾ金属類含有化合物(II−38)の1重量部を用いたこと以外は、実施例2の▲3▼と同様にして静電荷像現像用トナーを得た。
▲4▼記録紙への画像の形成
得られたトナーを用いて、実施例1の▲4▼と同様にして、現像剤を調製し、経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が良好であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へ画像を繰り返し形成したところ、画像は、カブリがなく、細線再現性が良好であり、画像濃淡の変動のない良質なものであった。また、オフセット現象も全く観察されなかった。
(比較例1)
荷電制御剤として下記式で示されるモノアゾ金属類含有化合物(V−1)
を用いたこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナーを得、現像剤を調製し、経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が不十分であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へのトナーの画像を繰り返し形成したところ、画像にカブリ等が認められた。したがってモノアゾ金属類含有化合物(V−1)は、荷電制御剤として適当でない。
(比較例2)
比較例1のモノアゾ金属類含有化合物(V−1)に代えて、下記式で示されるモノアゾ金属類含有化合物(V−2)
を用いたこと以外は、比較例1と同様にして静電荷像現像用トナーを得、現像剤を調製し、経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が不十分であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へのトナーの画像を繰り返し形成したところ、画像にカブリ等が認められた。したがってモノアゾ金属類含有化合物(V−2)は、荷電制御剤として適当でない。
(比較例3)
比較例1のモノアゾ金属類含有化合物(V−1)に代えて、下記式で示されるモノアゾ金属類含有化合物(V−3)
を用いたこと以外は、比較例1と同様にして静電荷像現像用トナーを得、現像剤を調製し、経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図2に示す。
この現像剤は、帯電安定性、および帯電持続性が不十分であった。この現像剤を用いて市販の複写機により、記録紙へのトナーの画像を繰り返し形成したところ、画像にカブリ等が認められた。したがってモノアゾ金属類含有化合物(V−3)は、荷電制御剤として適当でない。
(比較例4)
下記式で示されるモノアゾ化合物(V−4)を用いて、実施例1の▲1▼と同様にして昇華性確認試験を行った。濾紙の下面を観察したところ、濾紙が赤色に染まっており、モノアゾ化合物に由来する昇華物の付着が確認された。
(比較例5)
下記式で示されるモノアゾ鉄化合物(V−5)を用いて、実施例1の▲2▼と同様にして昇華性確認試験を行った。濾紙の下面を観察したところ、濾紙が赤色に染まっており、モノアゾ鉄化合物に由来する昇華物の付着が確認された。
産業上の利用可能性
以上、詳細に説明したように、モノアゾ化合物から合成された本発明のモノアゾ金属類含有化合物を含む荷電制御剤は、トナーを調製する際に添加されるもので、トナー用樹脂に対する親和性と分散性とが優れており、荷電制御剤として均一に分布する結果、帯電量分布がシャープで帯電量の均一性が高く、トナーを負電荷に帯電させることができる。荷電制御剤は、機械的摩擦や衝撃、電気的衝撃や光照射に強いうえ、帯電の立上がりが速く、長時間安定して帯電させることができ、耐環境性特に高温高湿状態での荷電制御特性の安定性が良好なものである。荷電制御剤は、有害な重金属を含まず環境を汚染せず、エームステストが陰性で安全性が高い。
本発明の静電荷像現像用トナーは、モノアゾ金属類含有化合物を含んでいるため、帯電性が優れている。また、広範な温度域での優れた定着性および非オフセット性を有している。さらに、高温高湿や温度湿度変化に対する帯電特性の安定性、帯電特性の経時的安定性、トナーを繰返し使用する場合の帯電特性の安定性が優れ、帯電の立ち上がりが速い。これを用いて記録紙に画像を形成した場合、画像は安定で高解像度のものが得られ綺麗である。このトナーを調製する際のトナー用樹脂との混練時、および記録紙へのトナーの定着時に、昇華物が発生せず、環境を汚染しない。
このトナーは、電子写真システムにおいてトナー像を現像する際に用いられ、記録紙へ高解像度の画像を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明を適用するモノアゾ金属類含有化合物のFAB−MSスペクトルである。
図2は、本発明を適用する静電荷像現像用トナーを用いて調製した現像剤の攪拌時間と摩擦帯電量との相関関係を示す図である。
Claims (10)
- 下記化学式[I]
(式[I]中、R1−、R2−、R3−、およびR4−は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基で置換されていてもよいスルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、および−COO−R7(−R7は水素原子またはアルキル基)から選ばれる同一または異なる基、
−A−は、−O−または−COO−、
−R5は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、スルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、カルボキシル基、またはスルホン基、
−R6は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖で炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基)
で示されるモノアゾ化合物と、それに配位している金属および半金属のいずれかの金属類とを含有するモノアゾ金属類含有化合物が、含まれていることを特徴とする荷電制御剤。 - 前記式[II]中、MがFe、Zn、Sr、Ca、Mg、Cr、Al、Ni、Co、Mn、Ti、Zr、およびSnのいずれかの金属であるモノアゾ金属類含有化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の荷電制御剤。
- 前記式[II]中、q=1、かつs=2で示されるモノアゾ金属類含有化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の荷電制御剤。
- 前記モノアゾ金属類含有化合物に混入している前記モノアゾ化合物が、最大でも1%であることを特徴とする請求項1または2に記載の荷電制御剤。
- 前記モノアゾ金属類含有化合物の平均粒径が0.1〜7μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の荷電制御剤。
- 下記化学式[I]
(式[I]中、R1−、R2−、R3−、およびR4−は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基で置換されていてもよいスルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、および−COO−R7(−R7は水素原子またはアルキル基)から選ばれる同一または異なる基、
−A−は、−O−または−COO−、
−R5は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、スルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、カルボキシル基、またはスルホン基、
−R6は、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖または分岐鎖で炭素数2〜18のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基)
で示されるモノアゾ化合物と、それに配位している金属および半金属のいずれかの金属類とを含有するモノアゾ金属類含有化合物が含まれている荷電制御剤、トナー用樹脂、および着色剤を含んでいることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記トナー用樹脂は、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、または/およびポリエステル樹脂であって、その酸価が5〜50mgKOH/gであることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー用樹脂は、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、または/およびポリエステル樹脂であって、その酸価が5〜50mgKOH/gであることを特徴とする請求項9に記載の静電荷像現像用トナー。
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