JP3946558B2 - 荷電制御剤およびそれを含む静電荷像現像用正帯電性トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属類含有シッフ塩基誘導体を含む電子写真用の帯電制御剤、この帯電制御剤を含む静電荷像現像用正帯電性トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンター等に利用されている電子写真システムは、摩擦帯電させたトナーで静電潜像を現像し、記録紙上に転写して定着させて、画像や文字を複写したり印刷したりするものである。
【0003】
トナーの帯電量が少なかったり不均一であったりすると、潜像の現像が不鮮明となってしまう。また帯電の立上がり速度が遅いと、複写や印刷の速度を速めることができない。そこで、トナーの帯電量を適切に制御したり安定化したり帯電の立上がり速度を速めたりするために、予めトナーへ、正電荷付与性または負電荷付与性の荷電制御剤が添加される。トナーにこれらの帯電特性を発現させる荷電制御剤として、特開昭59−78362号公報、特開昭63−206767号公報にシッフ塩基の金属錯体、特開昭61−147261号公報、特開昭61−149967号公報にビスサリチルアルデヒドエチレンジイミンやビスサリチルアルデヒドトリメチレンジイミンの金属錯体化合物、特開昭61−159661号公報、特開昭61−172152号公報にサリチルアルジミンやアルキルサリチルアルジミンの金属錯体、特開昭61−122664号公報、特開昭61−176945号公報にサリチルアルドキシムやアルキルサリチルアルドキシムの金属錯体、特開平5−45932号公報、特開平5−273788号公報にアミノ基含有シッフ塩基が開示されている。
【0004】
プリンタや複写機の解像度向上等の高性能化に伴い、従来のトナーよりも帯電特性やその安定性の一層優れたトナーが求められるようになり、そのため一層優れた帯電特性を発現させる荷電制御剤が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を解決するためなされたもので、トナーに十分な摩擦帯電性を発現させる電子写真用の荷電制御剤、この荷電制御剤を含み、帯電特性やその経時安定性や耐環境性に優れ、帯電立上がり速度が速く、現像されたトナー像の品質が優れている静電荷像現像用正帯電性トナーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明の荷電制御剤は、下記化学式(I)
【0007】
【化4】
【0008】
(式(I)中、-R1〜-R8は、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ニトロ基または、隣接基同士により、置換基を有していてもよい飽和または不飽和で縮合した炭素数3〜7の環を形成している基; -A-は、炭素数4〜8のアルキレン基、下記式(II)
【0009】
【化5】
【0010】
(式(II)中、-R10〜-R31は前記-R1〜-R8に同じ)で表される環状基から選ばれる基)で示されるシッフ塩基と、それに配位している金属および半金属のいずれかの金属類とを含有する金属類含有シッフ塩基誘導体が、含まれたものである。
【0011】
金属類含有シッフ塩基誘導体が、下記化学式(III)
【0012】
【化6】
【0013】
(式(III)中、R1〜R8、および-A-は前記化学式(I)に同じ; pは1〜4; qは1〜4; Mは金属原子、ホウ素原子、ケイ素原子のいずれかの金属類原子;-(O-R9)rは、-R9が炭素数1〜18のアルキル基、 rが0〜3; sは2−〜2+; tは0〜2; (Bu)は、1〜3価のカチオン、または1〜3価のアニオン)で示されるものであってもよい。
【0014】
前記式(I)のシッフ塩基と、金属類付与剤とを反応させると、前記式(III)の金属類含有シッフ塩基誘導体が得られる。
【0015】
荷電制御剤は、前記式(III)中、p=q=1で示される金属類含有シッフ塩基誘導体を含んでいることが好ましい。
【0016】
荷電制御剤は、十分にトナーを正電荷に帯電させることができる。また、荷電制御剤は、金属類含有シッフ塩基誘導体が優れた摩擦帯電性を示し、速い帯電立上がり速度を有し、さらに樹脂との高い親和性および優れた分散性を有しているので、静電荷像現像用正帯電性トナーに添加して用いられる。
【0017】
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、前記の荷電制御剤を含むものである。
【0018】
静電荷像現像用正帯電性トナーは、荷電制御剤0.1〜10重量部と、トナー用樹脂100重量部とを含んでいてもよい。着色剤を含んでいてもよい。
【0019】
静電荷像現像用正帯電性トナーは、トナー用樹脂100重量部に、荷電制御剤0.1〜10重量部好ましくは0.5〜5重量部と、着色剤とが、練り込まれ内添されたものであることが好ましい。
【0020】
静電荷像現像用正帯電性トナーは、トナー用樹脂100重量部と着色剤とを含む母粒子の表面に、荷電制御剤0.1〜10重量部好ましくは0.5〜5重量部を含む子粒子を付着したものであってもよい。母粒子が荷電制御剤を含んでいてもよい。子粒子が、トナー用樹脂を含んでいてもよい。
【0021】
この静電荷像現像用正帯電性トナーは、帯電の立上がり速度が速く、温度や湿度が変化しても長時間優れた帯電安定性を示す。
【0022】
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーの荷電制御方法は、前記のトナーを摩擦することにより、正に帯電させるというものである。
【0023】
この方法により帯電制御しつつ帯電させたトナーで、現像されたトナー像は、明瞭であり品質が優れている。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0025】
本発明のシッフ塩基は、以下のようにして合成される。例えば、下記化学反応式(IV)に示すように、
【0026】
【化7】
【0027】
サリチルアルデヒド誘導体とジアミン誘導体とを縮合反応させると、前記化学式(I)で表されるシッフ塩基が得られる。
【0028】
この化学反応式(IV)中、-R1〜-R8は、水素原子;ヒドロキシ基;ヒドロキシアルキル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;ホルミル基;ハロゲン原子例えば、Cl、Br、I、F;アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基のような炭素数1〜18のアルキル基;アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基のような炭素数1〜18のアルコキシ基;アシル基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基;アルケニル基、例えばアリル基(−CH2CH=CH2)、−C(CH3)=CH2;ニトロ基;シアノ基;Cl、Br、I、Fで例示されるハロゲン原子や炭素数1〜18のアルキル基のような置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよいアリール基、例えばフェニル基、トルイル基、ナフチル基;置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよいアリサイクリック基、例えばシクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基のような炭素数3〜7のシクロアルキル基;置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよいアラルキル基、例えばベンジル基、α,α'-ジメチルベンジル基が挙げられる。
【0029】
また、-R1〜-R8は、隣接基同士により、置換基を有していてもよい飽和または不飽和で縮合した炭素数3〜7の環を形成している基であってもよい。このような縮合した環は、例えばシクロプロペン環、シクロプロパン環、シクロブタジエン環、シクロブタン環、シクロペンタジエン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタトリエン環、ベンゼン環が挙げられ、縮合した環が有していてもよい置換基は、例えばアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基、アリサイクリック基、アルケニル基のような炭素数3〜7の基が挙げられる。
【0030】
-A-は、側鎖に置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい炭素数4〜8のアルキレン基;側鎖に置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよいアルケニレン基;前記式(II)で示される環状基が挙げられる。中でも前記式(II)のいずれかの環状基であると一層好ましい。
【0031】
このシッフ塩基は、トナーに十分な摩擦帯電性を発現させる荷電制御剤として用いられる金属類含有シッフ塩基誘導体を製造するための中間体である。このシッフ塩基から、以下のようにして、金属類含有シッフ塩基誘導体が合成される。
【0032】
前記化学式(I)で示されるシッフ塩基と、金属類付与剤とを、水および/または有機溶媒中、好ましくは有機溶媒中で反応すると、前記化学式(III)で示される金属類含有シッフ塩基誘導体が得られる。
【0033】
金属類含有シッフ塩基誘導体は、金属塩または金属錯塩である金属含有シッフ塩基誘導体;ホウ素塩またはホウ素錯塩であるホウ素含有シッフ塩基誘導体、ケイ素塩またはケイ素錯塩であるケイ素含有シッフ塩基誘導体のような半金属含有シッフ塩基誘導体が挙げられる。
【0034】
化学式(III)中、金属類Mは、例えば、Na、Ag、Cu、Be、Mg、Ca、Zn、Mn、Co、Ni、Al、Cr、Bi、Sb、Th、Ce、Ti、Sn、V、W、Sr、Ba、Ga、およびZrで例示される金属、B、Siで例示される半金属が挙げられる。これらの金属類の中でも、2価の金属である鉄(II)、銅(II)、コバルト(II)、亜鉛(II)、ニッケル(II)、マンガン(II)、マグネシウム(II)、カルシウム(II)、ストロンチウム(II)、バリウム(II)、およびガリウム(II);3価の金属である鉄(III)、アルミニウム(III)、マンガン(III)、チタン(III)、ジルコニウム(III)、およびクロム(III);4価の金属であるマンガン(IV)、チタン(IV)、およびジルコニウム(IV);半金属であるホウ素原子、ケイ素原子であることが好ましい。鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、亜鉛(II)、アルミニウム(III)、チタン(III)、チタン(IV)、ジルコニウム(IV)、マグネシウム(II)、ホウ素原子、ケイ素原子であるとなお一層好ましい。
【0035】
シッフ塩基にこのような金属類を反応させる金属類付与剤は、金属付与剤として例えば、硫酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウムのようなアルミニウム化合物;蟻酸クロム、酢酸クロム、硫酸クロム、塩化クロム、硝酸クロムのようなクロム化合物;塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄のような鉄化合物;塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルトのようなコバルト化合物;塩化チタンのようなチタン化合物;塩化亜鉛、硫酸亜鉛のような亜鉛化合物が挙げられる。
【0036】
また、金属類付与剤は、半金属付与剤として、例えばトリメトキシホウ素で例示されるホウ素化合物のようなホウ素付与剤、テトライソプロポキシケイ素で例示されるケイ素化合物のようなケイ素付与剤が挙げられる。
【0037】
金属類付与剤は、金属アルコキシドやホウ素アルコキシドのようなアルコキシドであってもよい。これらアルコキシドを用いると、得られた金属類含有シッフ塩基誘導体は、中心金属類Mが、化学式[I]で示されるシッフ塩基の他に、金属アルコキシド由来のアルコキシ基に結合している場合もある。
【0038】
(Bu)は、1〜3価のカチオンとして、例えばH+;Na+、K+のようなアルカリ金属カチオン;脂肪族第1級アンモニウムイオン、脂肪族第2級アンモニウムイオン、脂肪族第3級アンモニウムイオン、第4級有機アンモニウムイオンのような有機アミン由来のカチオンが挙げられる。(Bu)は、1〜3価のアニオンとして、ハロゲン化物イオン;スルホン酸アニオンやカルボン酸アニオンのような有機酸アニオン;脂肪酸系アニオン;有機系アニオン;OH−、SO4 2−、NO3 −のような無機アニオンが挙げられる。
【0039】
このような金属類含有シッフ塩基誘導体の具体例として、下記化学式に示す誘導体例1〜21のものが挙げられる。
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
これらの金属類含有シッフ塩基誘導体は、熱分析や質量分析により構造が同定された。
【0044】
荷電制御剤は、金属類含有シッフ塩基誘導体を含むものである。荷電制御剤は、単一の金属類含有シッフ塩基誘導体を含んでいてもよく、異なる構造の金属類含有シッフ塩基誘導体を複数含んでいてもよい。
【0045】
金属類含有シッフ塩基誘導体は、幾何異性体や光学異性体が存在するものがある。荷電制御剤は、これら異性体を有していない単一の金属類含有シッフ塩基誘導体を含むものであってもよく、幾何異性体や光学異性体の複数の金属類含有シッフ塩基誘導体を含むものであってもよい。
【0046】
荷電制御剤は、従来の荷電制御剤例えば、下記化学式(V)
【0047】
【化11】
【0048】
(式(V)中、-R40〜-R43は、同一または異なり、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアラルキル基;D-は、水酸基やアミノ基やアルキル基を置換基として有していてもよい芳香環残基;v、wは1〜2)で示される第4級アンモニウム塩、
または下記化学式(VI)
【0049】
【化12】
【0050】
(式(VI)中、-R44〜-R47は、前記式(V)の-R40〜-R43に同じ、;x、y、zは、x=6y+2zの関係を有する数)で示されるモリブデン塩を更に含んでいてもよい。
【0051】
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、この荷電制御剤、トナー用樹脂、着色剤、および、トナーの品質を向上させるために必要に応じて適宜使用される磁性材料や流動性改質剤やオフセット防止剤を含むものである。
【0052】
トナー用樹脂は、市販の結着樹脂例えば、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ビニルメチルエーテル樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂のような熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂を、単独で用いてもよく、複数種ブレンドして用いてもよい。
【0053】
このトナー用樹脂を、減法混色によるフルカラー用トナー、またはオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用トナーに混合して用いるためには、トナー用樹脂が、透明性を有すること、トナー像に色調障害を生じない程度のほぼ無色であること、荷電制御剤との相溶性が良好であること、適当な熱または圧力下で流動性を有すること、微粒化が可能であることが要求される。そのようなトナー用樹脂として、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0054】
また、本発明の荷電制御剤を静電粉体塗料に含有させて、塗料中の樹脂粉体の電荷を制御したり増強したりする場合、塗料中の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような熱可塑性樹脂;フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂のような熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂を、単独で用いてもよく、複数種ブレンドして用いてもよい。
【0055】
着色剤として、例えば、染料、顔料を、単独で用いてもよく、複数種配合して用いてもよい。カラー用トナーのための着色剤として、例えば、キノフタロンイエロー、ハンザイエロー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、ペリノンオレジン、ペリノンレッド、ペリレンマルーン、ローダミン6Gレーキ、キナクリドンレッド、ローズベンガル、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ジケトピロロピロール系顔料のような有機顔料;カーボンブラック、チタンホワイト、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、べんがら、アルミニウム粉、ブロンズのような、無機顔料や金属粉;アゾ系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、トリフェニルメタン系染料、フタロシアニン系染料、インドフェノール系染料、インドアニリン系染料のような、油溶性染料や分散染料;ロジン、ロジン変性フェノール、ロジン変性マレイン酸のような樹脂により変性されたトリアリールメタン系染料;高級脂肪酸や樹脂などで加工された、染料や顔料が挙げられる。カラー用トナーには、これら着色剤を、単独で配合していてもよく、複数種配合していてもよい。フルカラー用の三原色トナーの調整に好適に使用できるのは、分光特性が良好な染料や顔料である。
【0056】
また、有彩色のモノカラー用トナーのための着色剤として、同色系の顔料と染料、例えばローダミン系の顔料と染料、キノフタロン系の顔料と染料、フタロシアニン系の顔料と染料を適宜配合して用いることができる。
【0057】
磁性材料として例えば、鉄、コバルト、フェライトで例示される強磁性材料製微粉体が挙げられる。流動性改質剤として例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンが挙げられる。オフセット防止剤として例えば、ワックス、低分子量のオレフィンワックスが挙げられる。
【0058】
静電荷像現像用正帯電性トナーは、以下のようにして製造される。荷電制御剤、トナー用樹脂、着色剤、および必要に応じ磁性材料や流動性改質剤やオフセット防止剤を、ボールミルのような混合機により十分混合した後、その混合物を加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その混練物を冷却固化させた後、その固化物を粉砕および分級することにより、粉砕法トナー粒子である平均粒径5〜20μmのトナーが得られる。
【0059】
また、静電荷像現像用正帯電性トナーは、次のようにしても製造できる。トナー用樹脂の溶液中に、荷電制御剤、着色剤、および必要に応じ磁性材料等を分散させた後、噴霧乾燥することにより得る方法によりトナーが得られる。
【0060】
また、静電荷像現像用正帯電性トナーは、次のようにしても製造できる。トナー用樹脂を構成する重合性単量体に、荷電制御剤、着色剤、および必要に応じ磁性材料等を混合して乳化懸濁液とした後、重合させ、所謂重合トナーを得る懸濁重合法により、重合法トナー粒子であるトナーが得られる。
【0061】
この懸濁重合法は例えば、単量体、荷電制御剤、着色剤、および必要に応じ磁性材料や流動性改質剤やオフセット防止剤と重合開始剤や架橋剤や離型剤のような添加剤とを均一に溶解または分散させて、単量体組成物とした後、この単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層中、例えば水相中に、適当な分散機を用いて分散させながら重合反応を行わせることにより、所望の粒径を有するトナーの粒子を得るというものである。
【0062】
このような重合性単量体として、例えばスチレン、メチルスチレンのようなスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチルのような(メタ)アクリル酸エステル類;アクリルロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなビニル系単量体が挙げられる。
【0063】
分散安定剤として、界面活性剤例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;有機分散剤例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース;無機分散剤例えば、リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムやリン酸アルミニウムのようなリン酸多価金属塩微粉体、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムのような炭酸塩微粉体、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムが挙げられる。
【0064】
重合開始剤として例えば、2,2’−アゾイソブチロニトリルやアゾビスブチロニトリルのようなアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0065】
また、静電荷像現像用正帯電性トナーは、次のようにしても製造できる。荷電制御剤を含む前記の粉砕法トナー粒子または重合法トナー粒子を母粒子とし、この母粒子の表面に、荷電制御剤の粒子のみからなる子粒子、または荷電制御剤分散性の樹脂に10〜90重量%の荷電制御剤が分散した粒子からなる子粒子を、付着させることにより、トナーが得られる。
【0066】
子粒子を母粒子表面に付着させる方法として例えば、外添方法、またはハイブリダイゼーションシステムにより子粒子を母粒子に打ち込む方法が挙げられる。
【0067】
荷電制御剤分散性の樹脂として、例えばスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−マレイン樹脂、スチレン−ビニルメチルエーテル樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、パラフィンワックス、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂を、単独で用いてもよく、複数種ブレンドして用いてもよい。
【0068】
荷電制御剤を含んだ粉砕法トナー粒子または重合法トナー粒子を母粒子とする例について示したが、荷電制御剤を含まない粉砕法トナー粒子または重合法トナー粒子を母粒子としてもよい。
【0069】
この静電荷像現像用正帯電性トナーを用いた2成分現像剤は、このトナーとキャリアとを混合し調製したもので、2成分磁気ブラシ現像法等により現像する際に使用される。このキャリヤとして、例えば、粒径50〜200μm程度の鉄粉、ニッケル粉、マグネタイト粉、フェライト粉、ガラスビーズ、およびこれらの表面をアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、またはフッ化エチレン系樹脂でコーティングしたものが挙げられる。
【0070】
この静電荷像現像用トナーを用いた1成分現像剤は、このトナーの調製の際に、例えば鉄粉、ニッケル粉、フェライト粉のような強磁性材料の微粉体を適量添加分散させたもので、接触現像法、ジャンピング現像法等により現像する際に使用される。
【0071】
以下に、本発明を適用するシッフ塩基として、誘導体例1、2、5、6、14および21のシッフ塩基を合成した例を、合成例1〜6に示す。
【0072】
(合成例1:誘導体例1の合成)
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド92.1g(0.393mol)をエタノール200mlに溶解し、これへ、1,2−ジアミノシクロヘキサン23.2g(0.203mol)がエタノール600mlに溶解している溶液を加え混合後、水浴80℃中で2時間撹拌した。その後、反応液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引濾過により濾別し、少量のエタノールで洗浄後、更に水100mlで洗浄した。これを80℃で24時間乾燥させると、白色結晶のシッフ塩基が得られた[収量:95.3g 収率:88.7%]。
【0073】
このシッフ塩基について、M−8000形 LC/3DQMSシステム(株式会社日立製作所の商品名)を用いて液体クロマトグラフ−質量分析(LC/MS)により測定した。その結果を図1に示す。図1のとおり、実測値m/zが548であり、理論値546.8に、H+が付加した理論値547.8にほぼ一致しているので、所望のシッフ塩基であると同定された。
【0074】
このシッフ塩基95.3gをメタノール3000mlに加え、その後、加熱して還流した。これへ、酢酸コバルト4水和物49.3g(0.198mol)がメタノール250mlに溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流した後、放冷した。析出した黒紫色結晶を吸引濾過で濾別し、少量のメタノールで洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥させると、黒紫色結晶として金属類含有シッフ塩基誘導体である誘導体例1が得られた[収量:66.0g 収率:62.8%]。
【0075】
この誘導体例1について、JMS−AX505HA(JEOL社製の商品名)を用いて電界脱離型イオン化法質量分析(FD/MS)により測定した。その結果を図2に示す。図2のとおり、m/zが604.2であり、計算値の603.74とほぼ一致しているので、所望の金属類含有シッフ塩基誘導体であると同定された。
【0076】
(合成例2:誘導体例2の合成)
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド92.1g(0.393mol)をエタノール200mlに溶解し、これへ、o−フェニレンジアミン22.0g(0.203mol)がエタノール600mlに溶解している溶液を加え混合後、水浴80℃中で2時間撹拌した。その後、反応液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引濾過により濾別し、少量のエタノールで洗浄後、更に水100mlで洗浄した。これを80℃で24時間乾燥させると、黄橙色結晶のシッフ塩基が得られた[収量:88.7g 収率:83.5%]。このシッフ塩基88.7gをメタノール3000mlに加え、その後、加熱して還流した。これへ、酢酸亜鉛2水和物41.0g(0.187mol)がメタノール250mlに溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流した後、放冷した。析出した濃黄色結晶を吸引濾過で濾別し、少量のメタノールで洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥させると、濃黄色結晶として金属類含有シッフ塩基誘導体である誘導体例2が得られた[収量:87.0g 収率:87.9%]。
【0077】
(合成例3:誘導体例6の合成)
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド92.1g(0.393mol)をエタノール200mlに溶解し、これへ、1,2−ジアミノシクロヘキサン23.2g(0.203mol)がエタノール600mlに溶解している溶液を加え混合後、水浴80℃中で2時間撹拌した。その後、反応液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引濾過により濾別し、少量のエタノールで洗浄後、更に水100mlで洗浄した。これを80℃で24時間乾燥させと、白色結晶のシッフ塩基が得られた[収量:95.3g 収率:88.7%]。このシッフ塩基95.3gをメタノール3000mlに加え、その後、加熱して還流した。これへ、酢酸アルミニウム40.4g(0.198mol)がメタノール250mlに溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流した後、放冷した。析出した白色結晶を吸引濾過で濾別し、少量のメタノールで洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥させると、白色結晶として金属類含有シッフ塩基誘導体である誘導体例6が得られた[収量:65.9g 収率:60.0%]。
【0078】
(合成例4:誘導体例5の合成)
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド92.1g(0.393mol)をエタノール200mlに溶解し、これへ、1,6−ヘキサンジアミン23.6g(0.203mol)がエタノール600mlに溶解している溶液を加え混合後、水浴80℃中で2時間撹拌した。その後、反応液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引濾過により濾別し、少量のエタノールで洗浄後、更に水100mlで洗浄した。これを80℃で24時間乾燥させると、黄橙色結晶のシッフ塩が得られた[収量:94.4g 収率:87.5%]。このシッフ塩基94.4gをメタノール3000mlに加え、その後、加熱して還流した。これへ、酢酸亜鉛2水和物43.0g(0.196mol)がメタノール250mlに溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流した後、放冷した。析出した濃黄色結晶を吸引濾過で濾別し、少量のメタノールで洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥させると、濃黄色結晶として金属類含有シッフ塩基誘導体である誘導体例5が得られた[収量:79.6g 収率:75.6%]。
【0079】
(合成例5:誘導体例14の合成)
5−プロペニルサリチルアルデヒド63.7g(0.393mol)をエタノール200mlに溶解し、これへ、2,2’−ビフェニリレンジアミン37.4g(0.203mol)がエタノール600mlに溶解している溶液を加え混合後、水浴80℃中で2時間撹拌した。その後、反応液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引濾過により濾別し、少量のエタノールで洗浄後、更に水100mlで洗浄した。これを80℃で24時間乾燥させと、黄色結晶のシッフ塩基が得られた[収量:80.3g 収率:86.5%]。このシッフ塩基80.3gを、予め脱水したテトラヒドロフラン3000mlに加え、その後、加熱して還流した。これへ、四塩化チタン36.8g(0.194mol)を予め脱水したトルエン250mlに溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流した後、放冷した。析出した濃橙色結晶を吸引濾過で濾別し、少量のトルエンで洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥させると、濃橙色結晶として金属類含有シッフ塩基誘導体である誘導体例14が得られた[収量:91.3g 収率:91.1%]。
【0080】
(合成例6:誘導体例21の合成)
サリチルアルデヒド48.0g(0.393mol)をエタノール200mlに溶解し、これへ、o−フェニレンジアミン22.0g(0.203mol)がエタノール600mlに溶解している溶液を加え混合後、水浴80℃中で2時間撹拌した。その後、反応液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引濾過により濾別し、少量のエタノールで洗浄後、更に水100mlで洗浄した。これを80℃で24時間乾燥させると、黄橙色結晶のシッフ塩基が得られた[収量:51.5g 収率:83.0%]。このシッフ塩基51.5gを予め脱水したトルエン1000mlに加え、その後、加熱して還流した。これへ、チタンテトライソプロポキシド46.3g(0.163mol)を予め脱水したトルエン250mlに溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流した後、放冷した。この反応液をエバポレーターを用いて濃縮乾固し、その後、80℃で24時間減圧乾燥させる事により、濃赤色結晶として金属類含有シッフ塩基誘導体である誘導体例21が得られた[収量:76.9g 収率:98.2%]。
【0081】
なお、合成例1〜6以外であって前記化学式(III)で示される金属類含有シッフ塩基誘導体は、前記合成例1〜6と同様な合成方法で、サリチルアルデヒド誘導体とジアミン誘導体を縮合反応させ、前記化学式(I)で示されるシッフ塩基とし、これを金属化、ホウ素化、又はケイ素化させると、得ることができる。
【0082】
以下に、得られたシッフ塩基を用いた金属類含有シッフ塩基類縁体の合成、この金属類含有シッフ塩基類縁体を荷電制御剤として含んでいる静電荷像現像用トナーの調製、およびこのトナーを用いた記録紙への画像の形成について実施例1〜7に示す。また、本発明を適用外の例について比較例1〜3に示す。
【0083】
(実施例1)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)・・・100重量部
低重合ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)・・・3重量部
油溶性マゼンタ色染料(オイルピンク#312:オリヱント化学工業社製の商品名)・・・5重量部
誘導体例6の金属類含有シッフ塩基誘導体である荷電制御剤・・・1重量部
【0084】
これらを配合し高速ミキサーで均一にプレミキシングした。次いで、エクストルーダーで溶融混練し、冷却後振動ミルで粗粉砕した。得られた粗砕物を分級機付きのエアージェットミルを用いて微粉砕して、粒径10〜20μmのマゼンタトナーを得た。
【0085】
得られたトナー5重量部に対して、鉄粉キャリアであるTEFV200/300(パウダーテック:日本鉄粉社製の商品名)95重量部を混合して現像剤を調整した。
【0086】
この現像剤をポリ瓶中に50g計量し、回転数100rpmのボールミルにより攪拌して現像剤を帯電させ、気温20℃、相対湿度60%の標準条件下で経時帯電量を測定した。攪拌時間と摩擦帯電量との相関を図3に示す。
【0087】
さらに、気温5℃で相対湿度30%の低温低湿の条件下、および気温35℃で相対湿度90%の高温高湿の各条件下で同様にして初期ブローオフ帯電量を測定し、帯電量環境安定性について調べた。その測定結果を表1に示す。
【0088】
なお、帯電量の測定は、ブローオフ帯電量測定機(TB−200:東芝ケミカル社製の商品名)により行った。
【0089】
有機光導電体(OPC)ドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、カブリがなく、細線再現性が良好で、しかも分光特性に優れ、重ね合わせによる混色に適した透明性のある、鮮明なマゼンタ色の画像が得られた。
【0090】
(実施例2)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)・・・100重量部
ハンザ系イエロー(C.I.ピグメントイエロー97)・・・5重量部
低重合ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)・・・3重量部
誘導体例9の金属類含有シッフ塩基誘導体である荷電制御剤・・・1重量部
【0091】
これらの配合物を実施例1と同様に処理して、平均粒径13μmのイエロートナー、および現像剤を調製し、実施例1と同様に測定した経時帯電量、および帯電量環境安定性についての結果をそれぞれ図3および表1に示す。
【0092】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、カブリがなく、細線再現性、帯電安定性および持続性が良好で、しかも分光特性に優れ、重ね合わせによる混色に適した透明性のある、鮮明なイエローの画像が得られた。
【0093】
(実施例3)
ポリエステル樹脂(HP313:日本合成化学社製の商品名)・・・100重量部
低重合ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)・・・3重量部
カーボンブラック(MA−100:三菱化学社製の商品名)・・・6重量部
誘導体例1の金属類含有シッフ塩基誘導体である荷電制御剤・・・1重量部
【0094】
これらの配合物を実施例1と同様に処理して、平均粒径13μmの黒色トナー、および現像剤を調製し、実施例1と同様に測定した経時帯電量および帯電量環境安定性についての結果をそれぞれ、図3および表1に示す。
【0095】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、カブリがなく、細線再現性、帯電安定性および持続性が良好で、画像の濃度低下のない良質な画像が得られた。オフセット現象も全く観測されなかった。
【0096】
(実施例4)
スチレンモノマー・・・80重量部
n−ブチルメタクリレートモノマー ・・・20重量部
ハンザ系イエロー(C.I.ピグメントイエロー97)・・・5重量部
2,2’−アゾイソブチロニトリル・・・1.8重量部
誘導体例2の金属類含有シッフ塩基誘導体である荷電制御剤・・・1重量部
【0097】
これらの配合物を高速ミキサーで均一にプレミキシングして重合性単量体組成物を得た。
【0098】
一方、濃度0.1モル%の第三リン酸ナトリウム水溶液100mlを蒸留水600mlにより希釈した液に、撹拌しながら濃度1.0モル/lの塩化カルシウム水溶液18.7mlを徐々に加え、次いで濃度20%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.15gを加えて分散液を調製した。
【0099】
この分散液を前記重合性単量体組成物に加えて、TK式ホモミキサー(特殊機化工社製の商品名)により高速撹拌しながら温度65℃に昇温し、昇温後30分間撹拌した後、更に、80℃に昇温し、通常の撹拌機による回転数100rpmの撹拌に切り換え、温度80℃のまま6時間攪拌し、モノマーを重合させた。
【0100】
重合終了後、反応混合物を冷却して固形物を濾別し、その濾取物を濃度5重量%の塩酸水溶液中に浸漬し、分散剤に含まれているリン酸カルシウムを分解した後、その固形物を洗浄液が中性となるまで水洗し、脱水、乾燥させると、平均粒径13μmのイエロートナーが得られた。
【0101】
得られたトナー5重量部に対して、鉄粉キャリアであるTEFV200/300(パウダーテック:日本鉄粉社製の商品名)95重量部を混合して現像剤を調整した。実施例1と同様に測定した経時帯電量および帯電量環境安定性を、それぞれ図3および表1に示す。
【0102】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、カブリがなく、細線再現性が良好で、しかも分光特性に優れ、重ね合わせによる混色に適した透明性のある、鮮明なイエローの画像が得られた。
【0103】
(実施例5)
スチレンモノマー・・・80重量部
n−ブチルメタクリレートモノマー ・・・20重量部
カーボンブラック(MA−100:三菱化学社製の商品名)・・・5重量部
2,2’−アゾイソブチロニトリル・・・1.8重量部
誘導体例4の金属類含有シッフ塩基誘導体である荷電制御剤・・・1重量部
【0104】
これらの配合物を実施例4と同様に処理して、平均粒径13μmの黒色重合トナーおよび現像剤を調製し、実施例1と同様に測定した経時帯電量、および帯電量環境安定性についての結果をそれぞれ図3および表1に示す。
【0105】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、カブリがなく、細線再現性、帯電安定性および持続性が良好で、画像の濃度低下のない良質な画像が得られた。オフセット現象も全く観測されなかった。
【0106】
(実施例6)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)・・・100重量部
低重合ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名:)・・・3重量部
油溶性マゼンタ色染料(オイルピンク#312:オリヱント化学工業社製の商品名)・・・5重量部
【0107】
これらの配合物を高速ミキサーで均一にプレミキシングした。次いで、エクストルーダーで溶融混練し、冷却後振動ミルで粗粉砕した。得られた粗砕物を分級機付きのエアージェットミルを用いて微粉砕して、粒径10〜20μmのマゼンタトナーの母粒子を得た。
【0108】
この母粒子108重量部の母粒子表面に、誘導体例5の金属類含有シッフ塩基誘導体である荷電制御剤1重量部とする子粒子を外添し、トナーを得た。
【0109】
このトナー5重量部に、鉄粉キャリアであるTEFV200/300(パウダーテック:日本鉄粉社製の商品名)95重量部を混合して現像剤を調整した。
【0110】
この現像剤をポリ瓶中に計量し、回転数100rpmのボールミルで撹拌して、現像剤を帯電させ経時帯電量を測定した。実施例1と同様に測定した経時帯電量、および帯電量環境安定性についての結果をそれぞれ図3および表1に示す。
【0111】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、カブリがなく、細線再現性、帯電安定性および持続性が良好で、画像の濃度低下のない良質な画像が得られた。オフセット現象も全く観測されなかった。
【0112】
(実施例7)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)・・・100重量部
低重合ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)・・・3重量部
油溶性マゼンタ色染料(オイルピンク#312:オリヱント化学工業社製の商品名)・・・5重量部
荷電制御剤(BONTRON P−51:オリヱント化学工業社製の商品名)・・・0.5重量部
誘導体例6の金属類含有シッフ塩基誘導体である荷電制御剤・・・0.5重量部
【0113】
これらの配合物を実施例1と同様に処理して、平均粒径13μmのマゼンタトナー、および現像剤を調製し、実施例1と同様に測定した経時帯電量および帯電量環境安定性についての結果をそれぞれ、図3および表1に示す。
【0114】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、カブリがなく、細線再現性、帯電安定性および持続性が良好で、画像の濃度低下のない良質な画像が得られた。オフセット現象も全く観測されなかった。
【0115】
(比較例1)
実施例1で用いた荷電制御剤を下記化学式の構造を有する比較誘導体例1に変え、実施例1と同様に測定した経時帯電量および帯電量環境安定性についての結果をそれぞれ、図3および表1に示す。
【0116】
【化13】
【0117】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、帯電量や帯電の安定性に問題があった。また、この現像剤を用いて繰り返し実写したところ、画像の飛び散り、乱れ、およびカブリが認められ、荷電制御剤として満足できるものではなかった。
【0118】
(比較例2)
実施例1で用いた荷電制御剤を下記化学式の構造を有する比較誘導体例2に変え、実施例1と同様に測定した経時帯電量および帯電量環境安定性についての結果をそれぞれ、図3および表1に示す。
【0119】
【化14】
【0120】
OPCドラムを有する市販の複写機により、この現像剤でトナーの画像を形成したところ、帯電量や帯電の安定性に問題があった。また、この現像剤を用いて繰り返し実写したところ、画像の飛び散り、乱れ、およびカブリが認められ、荷電制御剤として満足できるものではなかった。
【0121】
(比較例3)
実施例6で得た母粒子に、荷電制御剤の子粒子を外添することなく、母粒子をトナーとしたこと以外は、実施例6と同様にして、経時帯電量を測定した結果を図3に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
表1、及び図3から明らかなように、実施例1〜7のトナーは、帯電特性の経時安定性や温度湿度変化に対する安定性に優れ、帯電立上がり速度すなわち帯電量が飽和に達するまでの速度が速く、十分に正に帯電しており、現像されたトナー像は品質が優れている。一方、比較例1〜3のトナーは安定性が悪く、帯電立上がり速度が遅いうえ十分に帯電していない。
【0124】
本発明の荷電制御剤は、シッフ塩基を金属化または半金属化させた金属類含有シッフ塩基誘導体を含んでおり、この制御剤を含むトナーは、公知のシッフ塩基からなる荷電制御剤を含むトナーよりも、トナーの帯電量に関し、(a)帯電の立上がりが速く、(b)帯電量が飽和に達した後の安定性に優れ、(c)帯電量の飽和値が高いという、優れた効果を有している。例えば、比較誘導体例1の荷電制御剤を含むトナーよりも、この誘導体をCoで金属化した誘導体例1の荷電制御剤を含むトナーの方が、優れたこれらの効果を発揮している。
【0125】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明の金属類含有シッフ塩基誘導体は、シッフ塩基から簡易に合成できる。金属類含有シッフ塩基誘導体を含む荷電制御剤は、トナーを調製する際に添加される。この荷電制御剤は、耐熱性と、微粉砕性と、トナー用樹脂に対する親和性および分散性とが優れ、また温度や湿度の変化に対する荷電制御特性の安定性すなわち耐環境性が優れ、荷電制御特性の経時安定性すなわち保存安定性に優れている。さらに荷電制御剤は、十分にトナーを正電荷に帯電させることができる。シッフ塩基と金属類とを適切に選択して得た金属類含有シッフ塩基誘導体を含む荷電制御剤は、幅広く種々の有彩色のトナーや無彩色のトナーのために添加して使用される。
【0126】
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、金属類含有シッフ塩基誘導体を含んでいるため、正帯電性が優れている。また、広範な温度域での優れた定着性および非オフセット性を有している。さらに、高温高湿や温度湿度変化に対する帯電特性の安定性、帯電特性の経時的安定性、トナーを繰返し使用する場合の帯電特性の安定性が優れ、帯電の立ち上がりが速い。
【0127】
このトナーは、電子写真システムにおいてトナー像を現像する際に用いられ、記録紙へ高解像度の画像を綺麗に形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する金属類含有シッフ塩基誘導体が含有するシッフ塩基の一例のLC/MSの測定結果を示す図である。
【図2】本発明を適用する金属類含有シッフ塩基誘導体の一例のFD/MSの測定結果を示す図である。
【図3】本発明を適用するトナーの攪拌時間とその帯電量との相関を示す図である。
Claims (6)
- 前記式(III)中、p=q=1で示される金属類含有シッフ塩基誘導体を含むことを特徴とする請求項2に記載の荷電制御剤。
- 請求項1に記載の荷電制御剤を含むことを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 該荷電制御剤0.1〜10重量部と、トナー用樹脂100重量部とを含んでいることを特徴とする請求項4記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 請求項4に記載のトナーを摩擦することにより、正に帯電させることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナーの荷電制御方法。
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