JP4086325B2 - 標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子の同定方法 - Google Patents

標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子の同定方法 Download PDF

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Description

本発明は、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する方法に関する。本発明の方法は、特に、ssrA−RNAのtag−コード配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下でポリソームの形成が可能な条件下でのインビトロ翻訳工程によって特徴づけられる。本発明はさらに、本発明を実行するのに有用なキットに関する。
進化的な方法は、現在合理的な設計の能力および精度を越える、タンパク質工学の改善をもたらし得る。進化は、“世代”の成功、即ち遺伝的多様性のサイクルと、その後の望ましい表現型へのダーウィン選択と定義づけることができる。古典的な実験では、核酸はインビトロにおける物理的性質について解明されてきた(Saffhill, R., Schneider-Bernloehr, H., Orgel, L. E. & Spiegelman, S.(1970)J. Mol. Biol. 51, 531-539)が、この場合において表現型を与える物質は、遺伝物質と同一であった。オリゴヌクレオチドリガンド、通常、一本鎖RNAは、SELEX(Gold, L., Polisky, B., Uhlenbeck, O. & Yarus, M.(1995)Annu. Rev. Biochem. 64, 763-797; Irvine, D., Tuerk, C. & Gold, L.(1991)J. Mol. Biol. 222, 739-761)によって多くの標的が同定されており、そこでは合成DNAライブラリーが転写され、結合についてRNAが選択され、逆転写して数回のラウンドに渡って増幅される。明らかに、非常に広い応用範囲を有する、表現型の運搬体としてのタンパク質に関する初期の実験は、直接的にまたはファージまたはウイルスのいずれかによって、遺伝子とタンパク質との間のカップリングを起こさせるために生細胞に頼っていた(Phizicky, E. M. & Fields, S.(1995)Microbiol. Rev. 59, 94-123。このタイプの実験では、コードされたタンパク質の多様性の情報運搬体としてのDNAライブラリーは、細菌または真核細胞に形質転換またはトランスフェクトしなければならないので、得ることのできる多様性はDNA取り込みの効率によって著しく制限される(Dower, W. J. & Cwirla, S. E.(1992)in Guide to Electroporation and Electrofusion, eds. Chang, D. C., Chassy, B. M., Saunders, J. A. & Sowers, A. E.(Academic Press, San Diego), pp. 291-301)。さらに、それぞれの世代において、DNAライブラリーは、最初に複製可能な遺伝的パッケージにライゲーションしなければならず、それにより多様性がさらに減少する。さらに、多くの有望な変異体が宿主の環境に逆らって選択されなければならないであろう。面倒な、インビトロでの多様化とインビボでのスクリーニングの反復的な切り替えを必要とするので、ごく少数の研究(Yang, W. P., Green, K., Pinz-Sweeney, S., Briones, A. T., Burton, D. R. & Barbas 3rd., C. F.(1995)J. Mol. Biol. 254, 392-403)のみが、ファージディスプレイのような方法を用いて1世代以上にわたりタンパク質最適化を伝えた。
この方法を回避または改善することを目標にして、数多くの研究所が、翻訳中にmRNAと対応する(ポリ)ペプチドとが、すぐ間近くにあることと物理学的な関係とに基づいて新規のシステムを設計してきた。したがって、一連の研究によって、特異的なmRNAがポリソームの免疫沈降によって豊富化され得るということが示された(Schechter, I.(1973)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 70, 2256-2260; Payvar, F. & Schimke, R. T.(1979)Eur. J. Biochem. 101, 271-282; Kraus, J. P. & Rosenberg, L. E.(1982)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 79, 4015-4019)。最近、Mattheakisと共同研究者らは、インビトロで遺伝子型と表現型を関連付けるために、ポリソームを使用したライブラリー由来の短いペプチドのアフィニティー選択を報告した(Mattheakis, L. C., Bhatt, R. R. & Dower, W. J.(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91, 9022-9026; WO95/11922)。
このシステムは、好ましくインビトロ転写システムと組み合わせたインビトロ翻訳システムを利用する。翻訳システムは、(ポリ)ペプチドのための適当なスクリーニング工程後のポリソーム複合体におけるmRNAと(ポリ)ペプチドの同時の単離を可能にする。好ましくは、Mattheakisシステムにおける(ポリ)ペプチドは、2つの成分からなっている。1つは、スクリーニングされるペプチドであり、もう1つはmRNAに結合する繋ぎ留め(tether)断片である。ポリソーム複合体におけるmRNAと(ポリ)ペプチドの同時単離は、E. coliについてそのような配列の存在が依然として不明であるとしても、翻訳ストーリング(stalling)配列の助けにより可能にできるかもしれない。この配列は、翻訳速度を減速させることによりポリソーム複合体の全体の安定性を増大させ、それにより(ポリ)ペプチドと対応するmRNAの同時スクリーニングと単離に適当な条件を可能にし得る。
同様の研究が、前にGoldおよび同僚(WO93/03172)およびKwasakiおよび共同研究者(WO91/05058)によって報告された。上記のシステムは、前記核酸によってコードされるタンパク質の同定により核酸を特徴付ける手段を確立したけれども、生成しようとする(ポリ)ペプチドのリボソームディスプレイの効率に関して実際的な制限が存在する。したがって本発明の前に立ちはだかる技術的課題は、(i)安定なRNA分子のコレクションの合成と(ii)このRNA分子の翻訳の効率を増加させ、それによりスクリーニングにおけるポリソームの使用の効率の増加を達成することであった。この技術的課題の解決は、クレームにおいて特徴付けられる態様を提供することによって達成される。
したがって、本発明は、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する方法であって、以下の工程:
(a)正確なリーディングフレームにおける終止コドンを欠くmRNAの集団を、インビトロ翻訳システムにおいて翻訳する工程であって、該翻訳システムは、ポリソームの形成が可能な条件下で、ssrA−RNAのtag−配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むか、またはssrA−RNAを含まない工程;
(b)形成したポリソームを前記標的分子と、前記mRNA分子によりコードされ該ポリソームによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと前記標的分子との相互作用が可能な条件下で、接触させる工程;
(c)前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイするポリソームを、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームから分離する工程;および
(d)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する工程
を含む方法に関する。
本発明において使用される用語「(ポリ)ペプチド」は、ペプチドとポリペプチドの両方を意味する。該(ポリ)ペプチドは、天然のまたは組換え的に加工されたアミノ酸配列のいずれかを含むであろう。後者の代用物にはさらに、融合タンパク質も含まれる。
本発明によれば、用語「ポリソーム」は、翻訳の間に、少なくとも1つの好ましくはいくつかのリボソームとmRNAによって形成される複合体を意味する。
mRNA分子の集団は、様々な起源のものであってよい。例えば、cDNAライブラリー由来のものであろう。別の態様では、細胞または組織から直接得られるものであろう。突然変異を起こさせた(ポリ)ペプチドに本発明を使用して改善された変異体を見つけることも特に有利である。別法として、合成タンパク質またはペプチドライブラリーまたは抗体ライブラリーを使用することができる。
「ssrA−RNAのtagコード配列」なる語は、アミノ酸配列AANDENYALAAをコードする核酸配列を意味する。この配列は、Keilerら,Science 221(1996), 1990-1993に記載されている。
本発明の方法において用いられる翻訳システムに含まれるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ポリソームの形成を可能にする条件下で、ssrA−RNAのtagコード配列にハイブリダイズし、その翻訳をブロックするに適当な長さのものである。
ssrA−RNAを含まない翻訳システムは、機能的なssrA遺伝子を欠いているE. coli株、例えば、X90ssrA1::cat(Keiler et al., Science 221(1996), 1990-1993)、N2211またはNM101(Tuら,J. Biol. Chem. 270(1985),9322-9326)、W3110ΔssrA(Komineら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91(1994),9223-9227)、K7823またはK6676(RetallackおよびFriedman, Cel 83(1995)227-235)などから得られるものである。
翻訳されたmRNA分子によってコードされ該ポリソームによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと対応する標的分子との相互作用を可能にする条件は、過度の負担なしに当業者が確立し得る。例えば、そのような条件は、WO95/11922,WO93/03172およびWO91/05058の教示から、または添付した実施例から得られる。当分野でよく知られているように、該条件は、前記相互作用を検出するために用いるスクリーニング方法にも依存する。
標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイしているポリソームの、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームからの分離は、既知の方法にしたがって行う。同様に、用いる分離技術は、使用するスクリーニングシステムによく依存し得る。前記のポリソームの分離のための便利な方法は、例えば、標的分子がカラム材料と結合するアフィニティークロマトグラフィーに基づいている。
選択した(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子の同定は、いずれかの適当な手段によって達成でき、ベクターへクローニングした後に、核酸分子を配列決定することにより、例えばmRNAまたはDNA分子を配列決定することにより、最も便利に達成される。mRNAの同定のために、EDTAでの処置または酸溶出後、キットを用いた標準的なRNA精製(実施例3参照)により、または可溶性の標的分子を用いる競合的溶出後、キットを用いる標準的RNA精製により、mRNAをリボソームから脱離させることができる。
好ましくはおよびもっとも有利には、同定工程(d)の前に、工程(a)および(c)を2またはそれ以上の回数行う。この方法は、間違った陽性のポリソームおよび核酸を相伴って最小限にすることにより所望の核酸のあいまいな同定を少なくする。所望の核酸を同定するためのこの態様は、特異的に相互作用する(ポリ)ペプチド−標的分子対を単離するために数ラウンドの選択が必要である場合は特に好ましい。
本発明にしたがって、意外にも、ssrA−RNAのtagコード配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むことにより、ポリソームディスプレイの効率において数倍の増加がもたらされることが見い出された。上記の先行技術文献は、そのような至適条件を確立するために様々な経路や手段を既に試してきていたので、この結果はますます予想し得ないものである。
したがって、本発明は、(ポリ)ペプチドを有するリガンドのような標的分子好ましくは完全な、天然のタンパク質分子、の表現型選択のためのシステムを提供する。
本発明の好ましい態様では、mRNA分子は3’末端にステムループを含む。
本発明のこの態様では、エキソヌクレアーゼによるmRNAの分解は、有意の程度まで排除される。
最も好ましくは、スペーサーを(ポリ)ペプチドのリーディングフレームに融合して、リボソームの推定(ポリ)ペプチドチャネルに、新生の折り畳まれた(ポリ)ペプチドを繋ぎ留める。該スペーサーは、57〜116個のアミノ酸を優先的にコードする。
リボソームの(ポリ)ペプチドチャネルへ新生の(ポリ)ペプチドを繋ぎ留めることは、ポリソームの解離を有意に遅くするだろうから、(ポリ)ペプチドと対応するmRNAの同時選択(co-selection)を可能にするためのさらに有利な手段である。
さらに最も好ましい態様では、mRNA分子の3’末端の前記ステムループ領域がこのスペーサーをコードする。その結果、スペーサー(タンパク質の段階で必要な)とステムループ(RNAの段階で必要な)の両方を同じDNAによりコードすることができるならば、3’領域の全体の長さを最小限に保つことができる。
本発明のさらに好ましい態様は、前記mRNA分子がその5’末端でステムループ構造を含む上記の方法に関する。
3’末端のステムループ構造と同様に、mRNAの5’末端のステムループは、mRNAに対する有効なエキソヌクレアーゼ攻撃を回避する目的で働く。mRNAが5’と3’末端のステムループ両方を含むことが特に好ましい。この態様では、mRNA分子は、天然のmRNAと構造的に似ているであろう。
本発明の方法のさらに好ましい態様では、前記インビトロ翻訳システムに、リボヌクレアーゼの阻害剤を加える。
好ましくは、前記リボヌクレアーゼ阻害剤は、トランジション状態アナログであり、最も好ましくはバナジルリボヌクレアーゼ複合体である。
本発明にしたがえば、特にバナジルリボヌクレアーゼ複合体は、リボソームディスプレイの効率をさらに増加させるために有利に使用できることが分かった。この複合体は同時にタンパク質合成を部分的に阻害するので、この結果は特に驚くべきものである。
本発明のさらなる好ましい態様は、
(a)ポリソームの形成後のマグネシウム塩、好ましくは酢酸マグネシウムの添加;および/または
(b)mRNAと対応する(ポリ)ペプチドとの間の架橋を形成させる手段;および/または
(c)翻訳の後および/またはスクリーニング過程の間の低い温度
によって工程(a)および(c)においてポリソームが安定化される方法に関する。
上記の手段は、ポリソームの安定性をさらに増大させることが分かっている。したがって、反応緩衝液中の50mMの酢酸マグネシウム濃度は、解離に対してリボソーム複合体を有意に安定化する。上記の文脈において「低い温度」なる語は、有効なスクリーニングが起きるのを可能にする温度を意味すると意図する。好ましくは、この低い温度は、0〜5℃の範囲内である。
好ましくは、翻訳は、原核生物の翻訳システムにおいて行う。特に好ましくは、S−30E. coli翻訳システムのようなE. coliをベースとする翻訳システムである。
別法として、翻訳システムは、真核生物の翻訳システムにおいて実行してもよい。
本発明の方法のさらに好ましい態様では、工程(d)は、
(da)前記mRNAを逆転写し;
(db)場合により、得られたcDNAを増幅し;
(dc)場合により、場合により増幅したcDNAをクローニングし;そして
(dd)前記cDNAの配列を決定する
ことを含む。
mRNA分子の集団が大きすぎて1回のラウンドでは所望の分子種を同定できない場合、目的の核酸を同定するためのこの態様は好ましい。さらに、mRNA分子の集団がクローニングにより“不朽化(immortalized)”されるので、同定された分子の反復的で詳細な試験が可能である。
逆転写は、MaxamとGirbertniによって開発された、並びにSangerと同僚によって開発された最も便利なDNA配列決定技術(例えば、Sambrockら,“Molecular Cloning, A Laboratory Manual”,第2版,1989, CSH Press, Cold Spring Harborを参照)を用いる配列決定を可能にする。後で適当なベクターへのクローニングをするかまたはしない、好ましくはPCRによるcDNAの増幅は、所望の核酸分子の同定をさらに有意に容易にする。様々な場合において、核酸分子の増幅は、研究者が後でこの核酸分子を同定することを可能にするための必須条件であろう。
本発明の方法のさらなる好ましい態様では、工程(a)の前に、β−メルカプトエタノールおよび/またはDTTのような還元剤の存在下で、DNAをmRNAに転写する。
β−メルカプトエタノールおよび/またはDTTのような還元剤を反応緩衝液に含有させるとDNA−ポリメラーゼの安定性が増加することは知られている。したがって、緩衝液中の還元剤は、mRNAの収率の増加に寄与し、それによってリボソームディスプレイ総体としての改善がもたらされる。
転写後、且つ工程(a)の前に、この還元剤を除去することが特に好ましい。本発明のこの方法は、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドが、ジスルフィド結合の形成により天然のコンフォメーションをとっている分子種を含んでいるかもしれない場合に最も好ましい。そのような(ポリ)ペプチドの例は、免疫グロブリンスーパーファミリーの一員である。この好ましい態様を導入することにより、本発明は、組み合わせた転写/翻訳システムの使用を示唆する、上で引用した先行技術を直接否定する。
さらに、本発明は、
(a)正しいリーディングフレームにおける終止コドンを欠くDNA分子の集団を、還元剤の存在下で対応するmRNA分子の集団に転写する工程;
(b)前記mRNA分子の集団から前記還元剤を除去する工程;
(c)ポリソームの形成が可能な条件下で、インビトロ翻訳システムにおいて前記mRNA分子の集団を翻訳すること;
(d)形成したポリソームを、前記mRNA分子によってコードされ該ポリソームによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと該標的分子との相互作用が可能な条件下で接触させる工程;
(e)前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイしているポリソームを、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームから分離する工程;および
(f)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポリ)ペプチドをコードしている核酸分子を同定する工程
をさらに含む、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定するための方法に関する。
好ましい態様では、工程(a)において使用する還元剤は、β−メルカプトエタノールおよび/またはDTTである。
本発明の方法のさらに好ましい態様では、(ポリ)ペプチドは、免疫グロブリンスーパーファミリー、好ましくは免疫グロブリンファミリーのドメインを含む。たとえば、前記(ポリ)ペプチドには、完全なT細胞レセプターまたは抗体鎖または抗体のドメインなどの抗体鎖の一部、例えばVHまたはVL領域が含まれる。
(ポリ)ペプチドは、1本鎖の抗体またはそのような1本鎖の抗体を含む融合タンパク質であることが特に好ましい。融合タンパク質代替物においては、前記抗体鎖の融合のパートナーは、好ましくは、対応するmRNAに生成しようとしている(ポリ)ペプチドを繋ぐために用いられるtagである。
さらに、本発明は、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化または還元されたグルタチオン、E. coliタンパク質DsbA、およびDnaK、DnaJ、GrpE、GroEL、またはGroESなどの分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質が翻訳システムに添加されている方法に好ましく関する。
上記の化合物は、単独でまたは組み合わせて、生成しようとしている(ポリ)ペプチドの、安定性、溶解性および/または天然の折り畳み許容度を増強し得る。
タンパク質ジスルフィドイソメラーゼは、細菌起源でも真核生物起源でもよい。システムに含まれる化合物/酵素は、当業者が、スクリーニングするタンパク質のタイプにしたがって選択する。たとえば、抗体ドメインを含むライブラリーをスクリーニングするならば、本発明の教示にしたがって、真核生物のタンパク質ジスルフィドイソメラーゼを含有させる。本発明によって示されるように(添付の実施例参照)、ポリソームディスプレイシステムは、前記酵素を翻訳反応システムに組み込むことによって有意に改善される。
本発明の方法のさらに好ましい態様では、ポリソームを前記標的分子と接触させる工程中に形成した、ポリソームどうしの、および/またはポリソームと標的分子との間の、および/または場合によりポリソームと標的分子が固定化されているマトリックスとの間の非特異的な相互作用を、ブロッキング化合物の添加によって阻害または減少させる。
最も好ましい態様では、このブロッキング化合物は、ヘパリンなどのポリアニオン性の化合物である。ヘパリンをRNアーゼ阻害剤として含有させることは示唆されてきたが(WO 91/05058)、意外にも、本発明によれば、非特異的な結合もさらに減少させることが見い出された。ヘパリンは、ポリアニオン性化合物として、非特異的な結合部位に対するポリソーム複合体の一部として、ポリアニオン性のmRNAと競合すること考えられ、ポリソームディスプレイにおける、ヘパリンなどのポリアニオン性の化合物の添加は、非特異的な結合を減少させるために一般的に適用可能な方法になっている。
別の最も好ましい態様では、前記ブロッキング化合物は滅菌したミルクである。無脂肪ミルクの添加は、ポリソームディスプレイに関して既に示唆されている(WO95/11922)。しかしながら、本発明に従えば、ミルクをアフィニティー選択中に使用するときには、RNAを単離することができないことが分かった。意外にも、滅菌したミルクを使用したとき、RNAの単離は再び可能になり、非特異的な結合の量が実質的に減少した。
さらに、本発明は、
(a)ssrA−RNAのtag−コード配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(b)場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸をクローニングするのに適当なベクター;
(c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくはトランジション状態アナログ、および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体;
(d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化または還元されたグルタチオン、E. coli DsbA、および分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および
(e)場合により、5’もしくは3’ステムループ、スペーサーまたは終止コドンを含まないターミネーターをコードするオリゴヌクレオチド
を含むキットに関する。
好ましい態様では、本発明のキットはさらに、
(f)S−30翻訳抽出物
(g)PCR構成成分
(h)逆転写酵素
(i)RNA配列決定キット
(j)DNA配列決定キット
を単独でまたは組み合わせて含んでいてもよい。
最後に、本発明は
(a)ssrA−RNAを含まないインビトロ無細胞翻訳抽出物;
(b)場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸をクローニングするのに適当なベクター;
(c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくはトランジション状態アナログ、および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体;
(d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化または還元されたグルタチオン、E. coli DsbA、および分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および
(e)場合により、5’または3’ステムループ、スペーサーまたは終止コドンを有しないターミネーターをコードするオリゴヌクレオチド
を含むキットに関する。
好ましい態様では、本発明のキットはさらに、
(f)PCR構成成分;
(g)逆転写酵素;
(h)RNA配列決定キット;
(i)DNA配列決定キット
を単独でまたは組み合わせてを含んでもよい。
本発明のキットは、本発明の方法を実行するために便利に使用することができる。
図面は、以下のことを示す:
図1 リガンド(抗原)結合について天然タンパク質(scFv)ライブラリーをスクリーニングするためのインビトロリボソームディスプレイの原理。1、DNAscFvライブラリーを最初にPCRによって増幅し、T7プロモーター、リボソーム結合部位およびステムループを導入し、RNAに転写する。2、精製したのち、mRNAを、リボソーム複合体の安定性を増強し、リボソームにおけるscFv抗体の折り畳みを改善する種々の因子の存在下に、E. coli S−30システムにおいてインビトロで翻訳する。氷で冷却することにより翻訳を停止し、マグネシウム濃度を増加させることによりリボソーム複合体を安定化させる。3、固定化された抗原への天然scFvの結合により、所望のリボソーム複合体を翻訳混合物からアフィニティー選択する。非特異的なリボソーム複合体を、徹底的な洗浄により除去する。4、次いで、結合したリボソーム複合体をEDTAにより解離させる(4b)か、または複合体全体を抗原で特異的に溶出する(4a)。5、RNAを複合体から単離する。6、単離されたmRNAをcDNAへ逆転写し、cDNAをPCRによって増幅する。次いで、このDNAを次の豊富化のサイクルに使用し、一部をクローニングと配列決定によりおよび/またはELISAもしくはRIAにより分析する。
図2(A)リボソームディスプレイに使用するscFv構築物の模式図。T7はT7プロモーターを、SDはリボソーム結合部位を、FはN末端メチオニンを有する長さ3アミノ酸のFLAG
Figure 0004086325
を、VLおよびVHは、scFvフラグメントの可変領域を、Lはリンカーを、spacerは折り畳まれたscFvをリボソームへ連結させるタンパク質構築物の一部を、5’slおよび3’slは、mRNAの5’末端および3’末端のステムループを示す。矢印は、転写の開始を示す。PCR増幅の手順を示す。
(B)ポリソーム複合体に結合したscFvhag mRNAの量は、その末端の二次構造と、折り畳まれたscFvをリボソームへ連結するスペーサーの長さによって影響を受ける。scFvhag mRNAの種々の構築物(構築物c1〜c9)を、1サイクルのリボソームディスプレイに使用した。それらのうちのいずれが終止コドンを含んでいなかった。それぞれの種類を個々に試験した。翻訳混合物100μLからリボソーム複合体をアフィニティー選択した後、mRNAを単離し、ノーザンハイブリダイゼーションによって解析した。5’ステムループの存在は(+)または(−)で、3’ステムループの存在は、不在ならば(−)、lppターミネーターに由来する場合は(l)またはT3Teターミネーターに由来する場合は(t)として示す。スペーサーの長さは、scFvに続き、scFvをリボソームへ連結している、翻訳されたステムループを含んでいるアミノ酸の数を示す。kbで示したRNAの長さは、RNA分子量マーカーIII(ベーリンガーマンハイム)から求める。棒グラフは、蛍光画像解析から得られた定量されたmRNAの量を示す。
(C)リボソーム複合体に結合したmRNAの量に対する添加物の効果。scFvhag構築物c7のmRNAを、1サイクルのリボソームディスプレイに使用した。図2Bレーンc7および図2Cレーン6の試料は同一である。示した場合では、3.5mMアンチssrAオリゴヌクレオチドON10(5’-TTAAGCTGCTAAAGCGTAGTTTTCGTCGTTTGCGACTA-3’)、35mg/mLタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)または1mg/mLバナジルリボヌクレアーゼ複合体(VRC)を翻訳に関与させた。翻訳は、Mg(Ac)2を示した最終濃度(mM)で添加し、氷で冷却することにより停止した。100μLの翻訳混合物からリボソーム複合体をアフィニティー選択した後、mRNAを単離しノーザンハイブリダイゼーションにより解析した。棒グラフは、蛍光画像解析から定量されたmRNAの量を示す。
図3 アンチssrAアンチセンスオリゴヌクレオチドON10(図2C)は、最も長いタンパク質の分子量を減少させた(矢印)。インビトロ翻訳は、35S−メチオニンおよびscFvhag c7mRNAを使用して行った。反応は、3.5mMオリゴヌクレオチドON10の非存在下(−)または存在下(+)で行った。翻訳産物のSDS−PAGEを示す。
図4(A) リボソームディスプレイによるscFvAL2を含む混合物からのscFvhagリボソーム複合体の豊富化。scFvhag c5のmRNAをscFvAL2のmRNAで108に希釈し、混合物をリボソームディスプレイに使用した。scFvhagリボソーム複合体のアフィニティー選択の後、mRNAを単離し、オリゴヌクレオチドON5を用いてcDNAに逆転写し、cDNAをオリゴヌクレオチドON3およびON7を使用するPCRによって増幅し、アガロース電気泳動によって解析した。レーン1〜5はそれぞれ、第1〜第5ラウンドのリボソームディスプレイ後に増幅されたPCR産物であった。Mは、分子量マーカーとして使用した1kbのDNAラダー(Gibco BRL)である。
scFvhagおよびscFvAL2に対応するPCR産物を標識する。
(B)固定化された抗原の機能としてのリボソームディスプレイによる、scFvhag c5またはscFvAL2リボソーム複合体いずれかの豊富化。scFvhagおよびscFvAL2のmRNAを1:1の割合で混合し、1サイクルのリボソームディスプレイに使用した。アフィイティー選択の後、mRNAを単離し、逆転写し、PCRによって増幅し、図4Aのようにアガロースゲル電気泳動により解析した。同じ1:1混合物を、対照として固定化したトランスフェリン(tr)、アンピシリン−トランスフェリンコンジュゲート(amp)、またはhag−ペプチド−トランスフェリン コンジュゲート(hag)においてアフィニティー選択した。scFvhagおよびscFvAL2に対応するPCR産物を標識する。
図5(A)第3ラウンドのポリソームディスプレイ後のRNAプールの解析:RNAプールのインビトロ翻訳および2%ミルクの存在下での標識したポリソーム複合体のRIAアッセイ:(a)BSAに対する結合;(b)BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(c)1μM GCN4(7P14P)による阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(d)1μM hagペプチドによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(e)1μMフルオレセインによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合。
(B)第3ラウンドのポリソームディスプレイ後のRNAプールの解析:RNAプールのインビトロ翻訳および2%ミルクの存在下での標識したポリソーム複合体のRIAアッセイ:(a)BSAに対する結合;(b)BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(c)1μM GCN4(7P14P)による阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(d)1μM hagペプチドによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(e)1μMフルオレセインによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合。
(C)RIAによる第3ラウンドのポリソームディスプレイ後のRNAプールの解析:ミルクの存在下(A)、または不在下(B)で行った3ラウンドのアフィニティー選択後のRNAプール:
RNAプールのインビトロ翻訳および2%ミルクの存在下での標識されたポリソーム複合体の結合アッセイ:(a)BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(b)1μM GCN4(7P14P)による阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合。
実施例は、本発明を説明する。
添付した実施例において、抗原に結合するためのその正しく構築された三次元構造に必要な、抗体のscFvフラグメントは、リボソームディスプレイによって108倍に豊富化でき、その配列がこの過程の間に“進化”することが示される。
実施例1:scFv抗体フラグメントの構築
scFvhag構築物c7を、(Gly4Ser)3リンカーを含むscFv 17/9をディスプレイしているfdファージ
Figure 0004086325
から,2工程で増幅した。第1の工程で、リボソーム結合部位(RBS)を導入するオリゴヌクレオチドON1(5’-TTTCCCGAATTGTGAGCGGATAACAATAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAA GGAGATATATCCATGGACT ACAAAGA-3’)、およびON2(5’-TTTAAGCAGCTCGATAGCAGCAC-3’)を使用する。第2の工程では、T7プロモーターおよび5’ループを導入するON3(5’-ATATATGTCGACGAAATTAATACGACTCACTATAG GGAGACCACAACGGTTTC CCGAATTGTG-3’)と、終止コドンを除去した修飾されたlppターミネーターループを導入するON4(5’-AGACCCGTTTAGAGGCCCC AAGGGGTTATGGAATTCACCTTTAAGCAGCT C-3’)を使用した。scFvにC末端で融合したスペーサーを、繊維状ファージM13mp19
Figure 0004086325
の遺伝子IIIのアミノ酸211〜299から得、翻訳されたlppターミネーターがさらに別の24アミノ酸を追加する。
他の構築物は、以下のプライマーペアを用いてPCRによりc7から調製した。c1,ON5(5’-TCAGTAGCGACAGAATCAAG-3’)およびON6(5’-GAAATTAA TACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAGAAGGAGGTATATCCATGGACTACAAA GA-3’)、T7プロモーターおよび5’ステムループを含まないRBSを導入する。スペーサーは遺伝子IIIのアミノ酸211〜294から得る;c2,ON4およびON6、c7と同じスペーサー;c3,ON6およびON7(5’-GGCCCACCCGTGAA GGTGAGCCTCAGTAGCGACAG-3’)、スペーサーは、遺伝子IIIのアミノ酸211〜294から得、翻訳されたT3Teターミネーターの7個のアミノ酸が続く;c4,ON3およびON5、c1と同じスペーサー;c5,ON3およびON7、c3と同じスペーサー;c6,ON2およびON3、スペーサーは、遺伝子IIIのアミノ酸211−299から得、lppターミネーターの最初の4アミノ酸が続く;c8,ON3およびON8(5’-TTTAAGCAGCTCATCAAA ATCACC-3’)、スペーサーは、遺伝子IIIのアミノ酸211−264から得、lppターミネーターの最初の4アミノ酸が続く;c9,ON3およびON4、スペーサーは遺伝子IIIのアミノ酸211−264から得、lppターミネーターの24アミノ酸が続く、c8を鋳型として用いる。scFvAL2構築物(VL−(Gly4Ser)4−VH)を2工程のPCRによってプラスミドpAK202
Figure 0004086325
から増幅した。最初にオリゴヌクレオチドON1とON7を使用し、第2の工程でON3とON7を使用する。スペーサーは、繊維状ファージM13mp19の遺伝子IIIのアミノ酸240〜294
Figure 0004086325
から得、翻訳されたT3Teターミネーターはさらに7アミノ酸を追加する。
実施例2:RT−PCRおよびインビトロ転写
Superscript逆転写酵素(Gibco BRL)を用い、製造元の推奨にしたがって逆転写を行った。PCRは、5%DMSOの存在下でTaqポリメラーゼ(Gibco BRL)を用いて行った(94℃で4分間、次いで94℃で30秒間の3サイクル、37℃で30秒間、72℃で2分間、次いで37℃の代わりに60℃にする同様の10サイクル、37℃の代わりに60℃にして1サイクルにつき72℃で15秒間の延長を行う同様の20サイクル、72℃にて10分間で終了)。PCR産物をアガロースゲル電気泳動により解析し、ゲルから精製し、量と質が十分でなければ再増幅するか、またはさらに精製することなく転写に直接使用した。インビトロ転写を記載のとおりに行った(Pokrovskaya, I. D. & Gurevich, V. V.(1994)Anal. Biochem. 220, 420-423)。
実施例3:モデルシステムおよびアフィニティー選択の収量の定量
モデルシステムとして、我々は、軽鎖の可変領域(VL)がフレキシブルなリンカーを介して重鎖の可変領域(VH)に連結している、抗体の1本鎖Fv(scFv)フラグメントを使用した(Huston, J. S., Levinson, D., Mudgett-Hunter, M., Tai, M. S., Novotny, J., Margolies, M. N., Ridge, R. J., Bruccoleri, R. E., Haber, E., Crea, R. & Oppermann, H.(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85, 5879-5883)。折り畳まれたタンパク質をリボソームに繋ぎ留めるが、折り畳みには干渉しないようにするため、我々はスペーサーをscFvフラグメントのC末端に融合した。抗体ドメインがジスルフィド結合を形成し、RNAポリメラーゼには最大限の安定性のためにβ−メルカプトエタノールが必要であるので、別の反応において転写を行う効果について調べた。さらに、翻訳中の酸化的タンパク質折り畳みの条件
Figure 0004086325
を最適化した(以下参照)。
ポリペプチドの遊離は、E. coliにおいて3つのポリペプチド遊離因子(Grentzmann, G., Brechemier-Baey, D., Heurgue-Hamard, V. & Buckingham, R. H.(1995)J. Biol. Chem. 270, 10595-10600; Tuite, M. F. & Stansfield, I.(1994)Mol. Biol. Rep. 19, 171-181; Tate, W. P. & Brown, C. M.(1992)Biochemistry 31, 2443-2450)と、mRNAを遊離する1つのリボソーム再生因子(Janosi, L., Shimizu, I. & Kaji, A.(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91, 4249-4253)を必要とする活性な過程である。遊離因子結合の結果は、一般に、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心による、リボースと最後のアミノ酸との間のペプチジルtRNAの加水分解である(Tate, W. P. & Brown, C. M.(1992)Biochemistry 31, 2443-2450)。我々のシステムは終止コドンを欠いており、したがってポリペプチドの画分がtRNAを加水分解せず、リボソームに結合したまま残り、アフィニティー選択に適用可能である。
E. coli S−30システムにおけるインビトロ翻訳は、ChenおよびZubay(Chen, H. Z. & Zubay, G.(1983)Methods Enzymol. 101, 674-690)に従い、いくつかの改良を加えて行った。翻訳は、以下の成分を含む110μLの反応物中、37℃で10分間行った:50mM Tris−Ac(pH7.5)、30mM NH4Ac、12.3mM Mg(Ac)2、0.35mMの各アミノ酸、2mM ATP、0.5mM GTP、1mMcAMP、0.5mg/mL E. coli tRNA、20μg/mLギ酸、100mM KAc、30mMアセチルリン酸(Ryabova, L. A., Vinokurov, L. M., Shekhotsova, E. A., Alakhov, Y. B. & Spirin, A. S.(1995)Anal. Biochem. 226, 184-186)、1.5%PEG8000、33μg/mLリファンピシン、1mg/mLバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)、23μLのE. coli MRE600抽出物(Chen, H. Z. & Zubay, G.(1983)Methods Enzymol. 101, 674-690)および90μg/mLのmRNA。
氷で冷却することにより翻訳を停止し、50μM酢酸マグネシウムにより、さらにリボソーム複合体を解離に対して安定化する(Holschuh, K. & Gassen, H. G.(1982)J. Biol. Chem. 257, 1987-1992)。さらにリボソームストーリング(stalling)も誘発すると考えられる50μM濃度のクロラムフェニコール(Mattheakis, L. C., Bhatt, R. R. & Dower, W. J.(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91, 9022-9026; Moazed, D. & Noller, H. F.(1987)Nature 327, 389-394)は、選択特性を改善しなかった(データは示さず)。合成されたタンパク質、リボソームおよびmRNAからなる複合体全体を、次いでアフィニティーマトリックスに結合し、洗浄し、競合リガンドで溶出するか、またはリボソームをEDTAにより解離させた(図1)。具体的には、試料を氷冷洗浄緩衝液(50mM Tris−Ac(pH7.5)、150mM NaCl、50mM Mg(Ac)2および0.1%Tween−20)で4倍希釈し、4℃にて10,000×gで5分間遠心し、不溶性の成分を除いた。hag−トランスフェリンコンジュゲートでコーティングしたマイクロタイタープレートを氷冷洗浄緩衝液で予め洗浄し、遠心した翻訳混合物から得た上清を入れ(マイクロタイターウェルあたり200μL)、プレートを冷却した室内で1時間穏やかに振盪した。氷冷した洗浄緩衝液で5回洗浄したのち、残ったリボソーム複合体を、氷冷した溶出緩衝液(ウェルあたり100μL;Tris−Ac(pH7.5)、150mM NaCl、10mM EDTA、50μg/mLのE. coli tRNA)により、冷却した室内で10分間解離させ、遊離したmRNAをエタノール沈殿によりまたはRneasyキット(Qiagen)を用いる単離により回収した。
我々は、いずれかの段階において予備的にポリソームを単離する必要があるとは見い出さなかった。リボソームディスプレイの効率は、組み合わせたインビトロ転写−翻訳を用いたとき100分の1になることが分かった(データは示さず)。我々は、最初にインビトロ転写、翻訳および折り畳みのために遺伝子構造に処理を施し、次に翻訳反応そのものを最適化することによる、2段階のリボソームディスプレイを開発した。各試験は、10μgの投入mRNAで開始した。これは、約1.5×1013個の分子に相当する。投入mRNAを単ラウンドのアフィニティー選択:インビトロの翻訳、固定化された標的リガンド上でのリボソーム複合体の捕捉およびmRNAの遊離、に付した。次いで、遊離したmRNAをノーザン解析により定量した。
ノーザン解析は、RNA電気泳動およびナイロン膜(Schleicher & Schuell)への移動をTurboblotter(Schleicher & Schuell)を用い、記載されているように行った(Goda, S. K. & Minton, N. P.(1995)Nucleic Acids Res. 23, 3357-3358)。ハイブリダイゼーションは、60℃にて12時間行った(Church, G. M. & Gilbert, W.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 1991-1995)。ハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチドON9(5’-ACATGGTAACTTTTTCACCAGCGGTAACGG-3’)により行い、これをscFv mRNAのVL領域へアニーリングした。このオリゴヌクレオチドは、DIGオリゴヌクレオチドテイリングキット(ベーリンガーマンハイム)を用いて、ジゴキシゲニン-11-dUTP/dATPによる3’テイリングにより標識した。洗浄条件は以下のとおりである:2×SSC、0.5%SDS(室温で5分間);2×SSC、0.5%SDS(60℃30分間を2回);0.1×SSC(室温で10分)。ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブを、DIG DNAラベリングおよび検出キットを用いて、化学ルミネセンス基質CSPD(ベーリンガーマンハイム)を用いてX線フィルムに感光するか、または蛍光基質アトフォス(ベーリンガーマンハイム)により蛍光造影機(Molecular Dynamics)を用いて検出した。
実施例4:mRNA構造の収率に対する影響
リボソームディスプレイシステムの設計において、我々は最初にscFv遺伝子のフランキング領域を加工した(図2)。遺伝子は非常に効率よくPCR産物から転写され、そのmRNAはヌクレアーゼに対して安定である。5’末端のために、我々は、T7プロモーターと、ステムループ構造をmRNAのすぐ始めでコードする天然のT7遺伝子10上流領域を用いた(Studier, F. W., Rosenberg, A. H., Dunn, J. J. & Dubendorff, J. W.(1990)Methods Enzymol. 185, 60-89)。3末端で、我々は、新生の、リボソームの推定ポリペプチドチャネルへ折り畳まれたポリペプチドを繋ぎ留め、折り畳みに干渉しない十分な距離を与えるために、scFvのリーディングフレームに57〜116アミノ酸のスペーサー領域を融合した。RNAレベルでこのスペーサーは、3’ステムループ、即ちE. coliリポタンパク質のターミネーター(Studier, F. W., Rosenberg, A. H., Dunn, J. J. & Dubendorff, J. W.(1990)Methods Enzymol. 185, 60-89)(lpp term)またはファージT3の初期ターミネーター(Reynolds, R., Bermudez-Cruz, R. M. & Chamberlin, M. J.(1992)J. Mol. Biol. 224, 31-51)(T3Te)のいずれかを、エンドヌクレアーゼに対するmRNAの安定性を増加させるためにコードする。1ラウンドの翻訳と選択の後のフランキング領域の直接の比較(図2B)では、我々は、5’ループ(T7-g10由来)、3’ループ(lppターミネーター由来)および最も長い116アミノ酸のスペーサーを有する構築物で最良の結果を得た。1ラウンドのリボソームディスプレイの後のmRNAの収率は、投入mRNAの0.001%未満から0.015%へ改善された(15倍)。
実施例5:翻訳条件の収率に対する効果
次いで、我々は、翻訳中に存在する種々の化合物の効果を調べた。ヌクレアーゼは、トランジション状態アナログ(Berger, S. L.(1987)Methods Enzymol. 152, 227-234)として作用するバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)によって効果的に阻害されることが分かった。タンパク質合成が部分的に阻害されるにもかかわらず(データは示さず)、翻訳中に存在するとき(図2C)1mg/mLのVRCは、1ラウンドのアフィニティー選択後にリボソーム複合体からの単離されたmRNAの収率を最大にし、VRCが存在しないとき、リボソームディスプレイの効率の数倍の減少につながった(図2C)。対照的に、Rnasin(Mattheakis, L. C., Bhatt, R. R. & Dower, W. J.(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91, 9022-9026)は、システムの効率には効果がなかった。遊離した生成物の長時間のインキュベーション(300分までの)によって電気泳動パターンが変わらなかったので(データは示さず)、これらの条件下で合成したscFvの有意のタンパク質加水分解に関する証拠は認められなかった。
分子シャペロンおよびジスルフィド形成触媒の存在下での可溶性scFvフラグメントのインビトロ翻訳における系統的な研究から
Figure 0004086325
我々は、ジスルフィド形成と再構成が、翻訳と折り畳みの間で起こることが可能ならばおよび可能な場合にのみ、結合活性が得られることを見い出した。タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)の非常に有益な効果が、タンパク質が遊離しないリボソームディスプレイシステムに関して立証された。PDIは、scFvフラグメントのリボソームディスプレイの性能を3倍に改善したことが認められ(図2C)、リボソーム結合タンパク質におけるジスルフィド結合の形成と異性化を触媒している。
最近、ペプチド標識(tagging)システムがE. coli,において発見され、それによって終止コドンを欠くmRNAから翻訳されるタンパク質が、ssrA−RNAによりコードされるC末端標識の付加により修飾され、リボソームから遊離し、分解についてマーキングされる(Keiler, K. C., Waller, P. R. & Sauer, R. T.(1996)Science 271,990-993)。本発明において、この分解がssrA-RNAのtagコード配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害し得ることが示された。さらに、意外にも、このような可能性のある阻害が、リボソームディスプレイ対して効果があるということが観察された。確かに、リボソームディスプレイに関して4倍も高い効率が、anti-ssrAオリゴヌクレオチドの存在下で認められ(図2C)、最も長いタンパク質産物の分子量が減少しているが、これは恐らく分解標識の結合の阻止によるものであろう(図3)。PDIとanti-ssrAオリゴヌクレオチドの混合は、リボソームディスプレイシステムの効率の12倍の増加をもたらした(図2C)。
適当なmRNA二次構造と翻訳中に存在する種々の化合物の組み合わせによって、我々は1ラウンドのアフィニティー選択後のmRNAの収率を、投入mRNAの0.001%から0.2%へ200倍に増加させることができた。この数字は、リボソームとの共有結合、タンパク質折り畳み、リガンド結合、リボソーム捕捉およびRNA遊離および増幅の総体としての効率を示すものである。
実施例6:複数ラウンドの選択による標的mRNAの特異的豊富化
最適化したシステムの試験において、我々は、どのようにすれば2種類のタンパク質の混合物を機能に関して豊富化できるかについて調べた。図2Aにしたがって同じようにして構築した、両方とも5’および3’T3Teループを有し、一方は抗ヘマグルチニンscFv 17/9(Schulze-Gahmen, U., Rini, J. M. & Wilson, I. A.(1993)J. Mol. Biol. 234, 1098-1118)(scFv hag)をコードし、もう一方は抗-β-ラクタム抗体 AL2
Figure 0004086325
をコードする2つのscFv抗体mRNAを、1:108の割合で混合した。それらのPCR産物は、主にスペーサーの長さにおける違いのために、長さがわずかに異なっており容易に区別することができる(図4A)。図1にしたがって5サイクル行った後、固定化されたhag-ペプチド上で選択を行い、90%のリボソーム複合体がscFv hagを含んでいた。したがって、我々は、これらの条件下での1サイクルあたりの豊富化が約100倍の規模であると結論付けことができる。
アフィニティー選択によって実際に起こった豊富化を立証するために、我々は、両方のmRNAの1:1混合物を別の表面上で試験し、投入比率と変わらないことを認めた(図4B)。さらに、どちらの抗原がそこに固定化されるかによって、同じ1:1mRNA混合物からいずれか一方の抗体を豊富化することができた(図4B)。
実施例7:アフィニティー選択後のscFv抗体フラグメントの解析
第5ラウンドの選択の後で、PCR産物をベクターにライゲーションし、E. coliに形質転換し、単一のクローンを解析した。実験プロトコルは、以下のとおりである:第5ラウンドのリボソームディスプレイの後、PCR産物をベクターpTFT74へクローニングした
Figure 0004086325
システムにおけるインビトロ組み合わせ転写-翻訳を、以下の修飾を加えて上記と同様の条件下で50μg/mlのプラスミドDNAを用いて行った。組み合わせ転写-翻訳を37℃で30分間行い、反応混合物には、2000 U/mlのT7 RNAポリメラーゼ並びに0.5mM UTPおよびTTPを加えた。混合物は50μCi/mlの35S-メチオニンおよび0.35mMのメチオニン以外の各アミノ酸抽出物を含有した。翻訳後、反応混合物をPBSで4倍に希釈し、マイクロタイターウェルにおいて固定化したhagペプチドに結合させた。穏やかに撹拌しながら60分間インキュベーションした後、マイクロタイターウェルをPBSTで5回洗浄し、結合した放射性タンパク質を0.1Mトリエチルアミンで溶出した。溶出したタンパク質をシンチレーションカウンターで定量した。配列決定した20個のクローンのうち、18個がscFv hag配列を有し、2個がscFvAL2配列を有しており、108倍の豊富化が成功したことを示した。18個のscFv hagクローンのうち、13個が野生型の43〜102%のELISAシグナルを与え、可溶性hagペプチドにより阻害可能であり、2個は結合が14および18%に減少し、そして3個が有意に結合が減少した(10%未満)。恐らくPCR増幅の最終ラウンド中に入った誤りの結果であろう(表1)。したがって、PCRの誤りによる遺伝的多様性が起こっていることが関係しているとしても、結合および固定化された抗原からの溶出によって排除される、抗原結合を維持する選択圧が明らかに働いている。
配列解析は、クローンは3〜7の塩基の変化を含み、90%がトランジションで10%がトランスバージョンであることを示しており、知られているTaqポリメラーゼの誤り特性(Keohavong, P. & Thilly, W. G.(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86, 9253-9257)とよく一致している。各クローンを合計165サイクルのPCRに付し、途中、結合に関して5回の表現型選択を行い、これらの条件下での誤りの割合は、選択後に生き残った突然変異体のみを数えた場合、3.3×10-5であると計算できた。
タンパク質のレベルでは、選択されたクローンは0〜4個の交換されたアミノ酸を有し、それはVL、VHおよびリンカーに分布していた。すべての突然変異体はお互いに独立しており(表1)、広い範囲での、機能に関して矛盾しない中立な突然変異、そして、場合によると、システムがそれについて選択される、機能についての改善を示した。選択された分子の正確な特性にはさらなる解析が必要であるが、我々は、リンカーの開始点での、必要なターン形成を促進し得るプロリンの選択(Tang, Y., Jiang, N., Parakh, C. & Hilvert, D.(1996)J. Biol. Chem. 271, 15682-15686)、および溶解性を増大させることが知られている酸性残基の選択
Figure 0004086325
を認識している。
実施例8:ポリソームディスプレイライブラリーの構築
我々は、(Gly4Ser)4リンカーにより連結されている2つのドメインを有するVL-VH配向のscFvsのライブラリーを構築した。スペーサー、即ちscFvをリボソームに繋ぎ留め、リボソームにおいてscFvの折り畳みを可能にするタンパク質を導入するために、我々は最初にライブラリーを、繊維状ファージM13mp19の遺伝子IIIのC末端部分に融合したscFvsをタンパク質のレベルで生じさせるベクターpAK200
Figure 0004086325
にライゲーションした。第2の工程で、我々は、RNアーゼに対してmRNAを安定化するステムループおよび他の重要な特徴をPCRによって導入した。最終のライブラリー構築物はT7プロモーター,5’-ステムループおよびscFvコード配列の上流のシャイン-ダルガノ配列および繊維状ファージM13mp19の遺伝子IIIの129塩基からなるスペーサー(アミノ酸250-293)、続いてファージT3の21塩基の翻訳された初期ターミネーター(T3Te)を含んでおり、同時にscFvの下流の3’-ステムループを導入した。
ライブラリーのクローニングは文献に記載された方法にしたがった
Figure 0004086325
簡潔には、mRNAは、KLHに結合したGCN4(7P14P)ペプチド(RMKQLEPKVEELLPKNYHLENEVARLKKLVGER)またはアビジンに結合したビオチニル化GCN4(7P14P)のいずれかで免疫した6匹のマウスの脾臓細胞から抽出し、ランダムヘキサマープライマーを用いてcDNAに転写した。VLおよびVH PCR増幅、次いでアッセンブリーPCRの後、SfiI反応緩衝液中でPCR産物を直接3倍に希釈し、消化して、アガロースゲル電気泳動を用いて分離した。SfiI消化したDNAをアミコンスピンカラムでアガロースゲルから抽出し、イソプロパノール沈殿により濃縮し、滅菌水に溶解した。
精製したPCR産物(各150ng)を、16℃で一晩、pAK200ベクターのSfiI部位にライゲーションした(モル比 挿入物:ベクター=1:2)。
ライブラリーのpAK200ベクターへのライゲーションは非常に効率的であった:アガロースゲル電気泳動および制限解析によれば、我々は100%のライブラリーscFv DNAがベクターの少なくとも一端にライゲーションし、50%以上がプラスミドのスペーサー部分に連結したことを見い出した。
ポリソームディスプレイライゲーション混合物に必要な特徴を導入するために、第1の工程でリボソーム結合部位(RBS)を導入するオリゴヌクレオチドSDA(5’-AGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATATCCATGGACTACAAAGA-3’)、および翻訳されたT3Teターミネーターを導入するON7(実施例1参照)を用い、第2の工程でT7プロモーターと5’-ループを導入するオリゴヌクレオチドT7B(5’-ATACGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGG-3’)およびオリゴヌクレオチドON7を用いるPCRによって、2段階で増幅した。PCR産物は、さらに精製することなくインビトロ転写に使用し、RNAは、LiCl沈殿(Pokrovskaya, I. D. & Gurevich, V. V.(1994)Anal. Biochem. 220, 420-423)によって精製した。両方のミニライブラリーから得たRNAを同じ割合でプールしポリソームディスプレイに使用した。
実施例9:scFv抗体フラグメントのライブラリーのインビトロ翻訳
E. coli S−30システムにおけるインビトロ翻訳を、若干の修飾を加えて実施例6に記載されたように行った。簡潔には、インビトロ翻訳を、以下の成分を含む220μlの反応物中で37℃にて8分間行った:50mM Tris-Ac, pH7.5, 30mM NH4Ac, 12.3mM Mg(Ac)2、0.35mMの各アミノ酸,2mM ATP, 0.5mM GTP, 1mM cAMP, 0.5mg/ml E. coli tRNA, 20μg/mlギ酸,100mM KAc,30mMアセチルリン酸、1.5% PEG 8000、33μg/mlリファンピシン、1mg/mlバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC), 3.5mM anti-ssrAオリゴヌクレオチド、0.3μM PDI,51.4μlのE. coli MRE600抽出物および90μg/mlのmRNA。
実施例10:scFvライブラリーのスクリーニング
ポリソーム複合体のアフィニティー選択およびRNA単離
最初の方法では、アフィニティー選択を、選択中にヘパリンを使用する改良を加えて実施例6に記載のように行った。我々は、ヘパリンによってポリソーム複合体の非特異的結合が、非特異的な表面(ミルクまたはBSA)と同じ位に特異的な表面(GCN4(7P14P)-BSA)に対して減少することを観察した。
Mg(Ac)2を最終濃度50mMまで加えることにより翻訳(実施例9参照)を停止し、翻訳混合物を氷で冷却した。試料を氷冷洗浄緩衝液(50mM Tris-Ac pH7.5, 150mM NaCl, 50mM Mg(Ac)2, 2.5mg/mlヘパリンおよび0.1% Tween-20)で4倍に希釈し、4℃にて10.000 x gで5分間遠心して可溶性の成分を除いた。GCN4(7P14P)-BSAコンジュゲートでコーティングしたマイクロタイタープレートを氷冷洗浄緩衝液で予め洗浄し、遠心した翻訳混合物から得た上清を注ぎ(200μl/マイクロタイターウェル)プレートを冷却した室内で穏やかに1時間振盪した。ヘパリンを含まない氷冷洗浄緩衝液で5回洗浄したのち、残ったポリソーム複合体を氷冷溶出緩衝液(100μl perウェル; 50mM Tris-Ac, pH7.5, 150mM NaCl, 10mM EDTA, 50μg/ml of E. coli tRNA)により、冷却した室内で10分間解離させ、遊離したmRNAをRNeasyキット(Qiagen)を用いる単離により回収し、RT-PCRに使用した。PCR産物のインビトロ転写の後、RNAをLiCl沈殿(Pokrovskaya, I. D. & Gurevich, V. V.(1994)Anal. Biochem. 220, 420-423)により精製し、RIA解析(以下参照)かまたは次のラウンドのポリソームディスプレイのいずれかに使用した。アフィニティー選択をさらに改善するために、選択中の競合タンパク質の使用について評価した。GCN4(7P14P)-ペプチドへのポリソーム複合体のアフィニティー選択中のミルクの使用は、恐らくミルクのRNアーゼ活性のために、ポリソームディスプレイサイクル後はRNAが単離されなかった。純粋なタンパク質(例えばBSA,カゼインまたはトランスフェリン)は、非特異的な結合を減少しなかった。驚くべきことに、我々は、ミルクは、滅菌されているならば、ポリソーム複合体のアフィニティー選択中に使用できるということを観察した。したがって、RNAの安定性に対する影響はなく、表面に対する非特異的な結合を実質的に減少した。第2の方法では、2%の滅菌ミルクをアフィニティー選択中に緩衝液中に含有させる修飾を加え、上記の条件を使用した。
ラジオイムノアッセイ(RIA)
各ラウンドのポリソームディスプレイの後、回収されたプール全体のRNAを、上記のライブラリーについて記載されたのと同様の条件を用い、以下の修飾を施してS−30E. coliシステムにおいてインビトロで翻訳した:翻訳は37℃で30分間行い、反応混合物は50μCi/mlの35S-メチオニンおよび0.35mMのメチオニン以外の各アミノ酸を含み、anti-ssrAオリゴヌクレオチドならびにPDIは含まない。翻訳後、反応混合物をPBST/ミルクで4倍に希釈して最終濃度2%ミルクにし、マイクロタイターウェルにおいて固定化したGCN4(7P14P)ペプチドに結合させた。穏やかに振盪して30分間インキュベーションした後、マイクロタイターウェルをPBSTで5回洗浄し、結合した放射性タンパク質を0.1Mトリエチルアミンで溶出した。溶出したタンパク質をシンチレーションカウンターで定量した。阻害RIAは、固定化した抗原に結合させる前に少なくとも1時間、室温で、PBST/2%ミルクに希釈した翻訳混合物を異なる濃度のGCN4(7P14P)ペプチドとプレインキュベーションすることによって行った。
単一クローンのELISA
第3ラウンドのポリソームディスプレイの後、PCR産物をベクターpTFT74
Figure 0004086325
中にクローニングした。単一クローンのプラスミドを単離し、インビトロで翻訳し(3)、RNAをLiCl沈殿(3)により精製し、以下の修飾を施し、上記のライブラリーについて記載した条件と同様の条件下でのS−30E. coliシステムにおけるインビトロ翻訳に使用した:翻訳は37℃で30分間行い、anti-ssrAオリゴヌクレオチド、VRC並びにPDIは含まなかった。翻訳後、反応混合物をPBST/ミルクで最終濃度2%ミルクにし、異なる濃度のGCN4(7P14P)ペプチド含む混合物とともに、1時間室温でプレインキュベーションした。マイクロタイターウェルにおける固定化したGCN4(7P14P)ペプチドに対する結合は、穏やかに振盪しながら30分間行った。結合したscFvタンパク質をモノクローナル抗myc-tag抗体9E10およびポリクローナル抗マウス/ペルオキシダーゼコンジュゲート(Pierce)を用いて検出した。
結果
ミルクの添加なしの第3ラウンドのポリソームディスプレイの後、我々は、RIA(2%ミルクを使用する)によりGCN4(7P14P)ペプチドに対する結合について結合体のプールを解析し、プールは結合し、1μMペプチドによってほぼ完全に阻害され得ることを見い出した。hagペプチド並びにフルオレセインによる阻害は観察されなかった(図5A)。しかし、ELISA(2%ミルクを用いる)によるプールの単一のクローンの解析によって、24個のクローンのうち3個のみがGCN4(7P14P)ペプチドと結合し、そのペプチドにより阻害されることが分かった(陽性クローン)。他の21個のクローンは標的ペプチドに結合せず、恐らく表面に非特異的に結合した。さらなる2ラウンドのポリソームディスプレイは、プールのRIAシグナルを増大させなかった。これは結合体のさらなる豊富化がなかったことを示している。我々は、ポリソーム複合体のアフィニティー選択中にミルクを使用せず、ファージディスプレイ実験からミルクがファージの表面への非特異的結合を減少させることを知っているので、我々は、ミルクの非存在下でプールのRIAと単一のクローンのELISAを繰り返した。ミルク非存在下でのプールのRIAにより、プールは非特異的な結合体を同様に含んでいることが分かった(図5B)。単一のクローンの解析は、3個の陽性クローンが、ELISAの間、2%ミルクの存在によって影響されなかった。一方、非特異的な結合体はミルクの非存在下で表面に結合したが、2%ミルクの存在下では全く結合しなかったことを示した。
2%ミルクを添加してアフィニティー選択を繰り返した。第3ラウンドの後、我々は、GCN4(7P14P)ペプチドに対する結合について、RIAによりプールを再び解析した。この場合、プールは、ミルクなしで得たプールと比較して約4倍タンパク質と結合し、1μMペプチドによってほぼ完全に阻害された(図5C)。このプール由来の単一クローンのELISAによる解析によって約75%のクローンが陽性であることが分かった。
Figure 0004086325
可変領域およびリンカーにおいても同様に、抗体17/9(Schulze-Gahmen, U., Rini, J. M. & Wilson, I. A.(1993)J. Mol. Biol. 234, 1098-1118)のscFvにおける突然変異は、Kabat, E. A., Wu, T. T., Perry, H. M., Gottesmann, K. S. & Foeller, C.(1991)in Sequences of Proteins of Immunological Interest, vol. I.(US Department of Health and Human Services, 5th ed.), pp. 151 and 464にしたがって番号を付けた。クローンは相対的RIAシグナルにしたがってソーティングする。野生型クローン2および6には星印を付けた。RIAは同量の完全長タンパク質に対して標準化し、0.1mM hagペプチド(+hagと略する)によって阻害し、結合特異性を確かめた。

Claims (27)

  1. 標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する方法であって、
    (a)正確なリーディングフレームにおける終止コドンを欠くmRNAの集団を、原核生物のインビトロ翻訳システムにおいて翻訳する工程であって、該翻訳システムは、ポリソームの形成が可能な条件下で、ssrA−RNAのtag−配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むか、またはssrA−RNAを含まない工程;
    (b)形成したポリソームを前記標的分子と、前記mRNA分子によりコードされ該ポリソームによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと前記標的分子との相互作用が可能な条件下で、接触させる工程;
    (c)前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイするポリソームを、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームから分離する工程;および
    (d)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する工程
    を含む方法。
  2. 前記mRNA分子が3’末端にステムループを含む、請求項1記載の方法。
  3. 57〜116個のアミノ酸を優先的にコードするスペーサーを(ポリ)ペプチドのリーディングフレームに融合して、リボソームの推定(ポリ)ペプチドチャネルへ折り畳まれた新生の(ポリ)ペプチドを繋ぎ留める、請求項2記載の方法。
  4. 前記mRNA分子の3’末端の前記ステムループが、前記スペーサーをコードしている、請求項2または3記載の方法。
  5. 前記RNA分子が、5’末端のステムループ構造を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記インビトロ翻訳システムが、リボヌクレアーゼの阻害剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 前記リボヌクレアーゼの阻害剤がトランジション段階のアナログである、請求項6記載の方法。
  8. 前記トランジション段階のアナログがバナジルリボヌクレアーゼ複合体である、請求項7記載の方法。
  9. (a)ポリソームの形成後のマグネシウム塩_の添加;および/または
    (b)mRNAと対応する(ポリ)ペプチドとの間の架橋を形成させる手段;および/または
    (c)翻訳の後および/またはスクリーニング過程の間の低い温度
    によってポリソームが工程(a)〜(c)において安定化されている、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  10. 前記マグネシウム塩が酢酸マグネシウムである、請求項9記載の方法。
  11. 工程(d)が、
    (da)前記mRNAを逆転写し;
    (db)場合により、得られたcDNAを増幅し;
    (dc)場合により、場合により増幅したcDNAをクローニングし;そして
    (dd)前記cDNAの配列を決定することを含む、
    請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 工程(a)の前に還元剤の存在下にDNAをmRNAに転写する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 還元剤を工程(a)の前に除去する、請求項12記載の方法。
  14. (ポリ)ペプチドが、免疫グロブリンスーパーファミリー_の領域を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. (ポリ)ペプチドが、免疫グロブリンファミリーの領域を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  16. (ポリ)ペプチドが一本鎖の抗体である、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
  17. ジスルフィドイソメラーゼまたは還元されたグルタチオン、E. coli タンパク質DsbA、および分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物が翻訳システムに添加されている、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. ポリソームどうしの、および/またはポリソームと標的分子との間の、および/または場合によりポリソームと標的分子が固定化されるマトリックスとの間の、ポリソームと前記標的分子と接触させる工程の間に形成した非特異的な相互作用をブロッキング化合物の添加によって阻害または減少させる、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記ブロッキング化合物がヘパリンまたは滅菌されたミルクである、請求項18記載の方法。
  20. (a)ssrA−RNAのtag−コード配列相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド;および以下からなる群から選択される少なくとも1つ
    (b)_スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸をクローニングするための適当なベクター;
    (c)_リボヌクレアーゼ阻害剤_;
    (d)_タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化されたまたは還元されたグルタチオン、E. coliタンパク質DsbA、および分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および
    (e)_5’または3’ステムループ_、スペーサーおよび/または終止コドンを有しないターミネーターをコードするオリゴヌクレオチド
    を含む、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定するためのキット。
  21. 前記リボヌクレアーゼ阻害剤が、トランジション状態アナログである請求項20記載のキット。
  22. 前記リボヌクレアーゼ阻害剤が、バナジルリボヌクレオシド複合体である請求項20記載のキット。
  23. さらに、
    (f)S−30翻訳抽出物
    (g)PCR構成成分
    (h)逆転写酵素
    (i)RNA配列決定キット
    (j)DNA配列決定キット
    単独でまたは組み合わせて含む、請求項20〜22のいずれかに記載のキット。
  24. (a)ssrA−RNAを含まない原核生物インビトロ無細胞翻訳抽出物および以下からなる群から選択される少なくとも1つ
    (b)_スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸をクローニングするための適当なベクター;
    (c)_リボヌクレアーゼ阻害剤_;
    (d)_タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化されたまたは還元されたグルタチオン、E. coliタンパク質DsbA、および分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および
    (e)_5’または3’ステムループ_、スペーサーおよび/または終止コドンを有しないターミネーターをコードするオリゴヌクレオチド
    を含む、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定するためのキット。
  25. 前記リボヌクレアーゼ阻害剤が、トランジション状態アナログである請求項24記載のキット。
  26. 前記リボヌクレアーゼ阻害剤が、バナジルリボヌクレオシド複合体である請求項24記載のキット。
  27. さらに、
    (f)PCR構成成分
    (g)逆転写酵素
    (h)RNA配列決定キット
    (i)DNA配列決定キット
    単独でまたは組み合わせて含む、請求項24〜26のいずれかに記載のキット。
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