JP4870870B2 - Rna−タンパク質融合体を用いたタンパク質の選別 - Google Patents

Rna−タンパク質融合体を用いたタンパク質の選別 Download PDF

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Description

【0001】
発明の背景
本出願は同時係属中出願である、ゾスタック(Szostak)らにより1997年11月6日に出願され現在は放棄された米国特許出願第60/064,491号、および1997年1月21日に出願され現在は放棄された米国特許出願第60/035,963号である仮出願からもたらされる恩典を主張する、ゾスタック(Szostak)らにより1998年1月14日に出願された米国特許出願第09/007,005号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、蛋白質を選抜する方法に関する。
【0003】
本発明は、助成金F32GM17776-01とF32GM17776-02による政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明について一定の権利を有する。
【0004】
RNA分子およびDNA分子を、その機能に基づいて単離するための方法が現在存在する。例えば、エリントンとスゾスタック(Ellington and Szostak)(Nature 346:818 (1990); およびNature 355:850 (1992))、およびツアークとゴールド(Tuerk and Gold)(Science 249:505 (1990); およびJ. Mol. Biol. 222:739 (1991))の実験によって、選抜と増幅を何回も繰り返すことで、雑多な分子のプールから所期の性質をもつ非常に稀少な(1013個の中に1個よりも少ない)核酸分子を単離することができることが示された。これらの方法は、(i)非常に大きな候補プールをスクリーニングすることができ(>1015)、(ii)宿主の生存力とインビボの条件とは無関係で、また、(iii)インビボでの遺伝学的なスクリーンがなくても選抜を行うことができるという点で、従来の遺伝学的選抜よりも優れている。インビボ選抜の威力は、新規のRNAおよびDNAの配列で、特異的な蛋白質結合機能をもつもの(例えば、Tuerk and Gold, Science 249:505 (1990); Irvine et al., J. Mol. Biol. 222:739 (1991); Oliphant et al., Mol. Cell. Biol. 9:2944 (1989); Blackwell et al., Science 250:1104 (1990); Pollock and Treisman, Nuc. Acids Res. 18:6197 (1990); Thiesen and Bach, Nuc. Acids Res. 18:3203 (1990); Bartel et al., Cell 57:529 (1991); Storino and Yoshida, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:5699 (1991); およびBock et al., Nature 355:564 (1992))、低分子結合機能をもつもの(Ellington and Szostak, Nature 346:818 (1990); Ellington and Szostak, Nature 355:850 (1992))、および触媒機能をもつもの(Green et al., Nature 347:406 (1990); Robertson and Joyce, Nature 344:467 (1990); Beaudry and Joyce, Science 257:635 (1992); Bartel and Szostak, Science 261:1411 (1993); Lorsch and Szostak, Nature 371:31-36 (1994); Cuenoud and Szostak, Nature 375:611-614 (1995); Chapman and Szostak, Chemistry and Biology 2:325-333 (1995); およびLohse and Szostak, Nature 381:442-444 (1996))を定義するときに示されてきた。蛋白質の選抜と増幅についても同様のやり方が示されている。
【0005】
発明の概要
本発明の目的は、インビトロ選抜とインビトロ展開の原理を蛋白質に応用できる様にすることである。本発明は、部分的に、または完全に無作為なアミノ酸配列の大きなプールから所期の特質をもった蛋白質を単離することを容易にする。さらに、本発明は、mRNAのコード配列を蛋白質分子に共有的に結合させることによって、蛋白質の配列情報を回収し増幅するという問題を解決する。
一般的に、本発明の方法は、自身のmRNAの3'末端に共有的に結合された蛋白質、すなわち、RNA-蛋白質融合体を作出する、インビトロまたはインサイチューの転写/翻訳プロトコールからなる。これは、その3'末端にペプチド受容体を付着させたmRNA分子を合成し、インビトロまたはインサイチューで翻訳することによって行われる。一つの好ましいペプチド受容体は、伸長しているペプチド鎖のC末に付加されると翻訳を終了させるヌクレオシド類似化合物のピューロマイシンである。好ましいデザインの一つにおいて、メッセージの末端とペプチド受容体との間に、オープンリーディングフレームの末端でリボソームが停止するように設計されたDNA配列を含ませ、これによって、ペプチド受容体(例えば、ピューロマイシン)が、ペプチジルtRNA結合が加水分解される前に、生成中のペプチド鎖を受容するための時間を延ばす。
【0006】
この蛋白質の配列情報は、逆転写と増幅(例えば、PCR増幅、および3SRもしくはTSAなどのRNAによる増幅技術など、その他の増幅技術)によって回収することができるので、望ましいならば、この結果できたRNA-蛋白質融合体で、選抜と増幅を繰り返し行うことができる。そして、増幅された核酸を転写、修飾させ、インビトロまたはインサイチューで翻訳させて、次回の選抜のためのmRNA-蛋白質融合体を作出することができる。何回も選抜と増幅を行うことができるために、例えば、101 個からなるプールの中の1個の所期の分子というように、非常に稀少な分子を増やして単離することが可能になる。これによって、次に、実質的に何らかの標的を特異的に認識するか、または所期の化学反応を触媒する新規または改良された蛋白質の単離が可能になる。
【0007】
したがって、第一の局面において、本発明は、所期の蛋白質を選抜するための方法で、(a)それぞれが、候補蛋白質のコード配列に機能的に結合された翻訳開始配列と開始コドンとを含み、またそれぞれが、候補蛋白質のコード配列の3'末端でペプチド受容体に機能的に結合されている、候補となるRNA分子の集団を提供する段階、(b)候補となるRNA-蛋白質融合体の集団を産生するために、候補となる蛋白質のコード配列を、インビトロまたはインサイチューで翻訳する段階、および(c)所期のRNA-蛋白質融合体を選抜し、それによって所期の蛋白質を選抜する段階を含む方法を特徴とする。
【0008】
関連する局面において、本発明は、所期の蛋白質をコードするDNA分子を選抜するための方法で、(a)それぞれが、候補蛋白質のコード配列に機能的に結合された翻訳開始配列と開始コドンとを含み、またそれぞれが、候補蛋白質のコード配列の3'末端でペプチド受容体に機能的に結合されている、候補となるRNA分子の集団を提供する段階、(b)候補となるRNA-蛋白質融合体の集団を産生するために、候補となる蛋白質のコード配列を、インビトロまたはインサイチューで翻訳する段階、(c)所期のRNA-蛋白質融合体を選抜する段階、および(d)融合体のRNA部分から、所期の蛋白質をコードするDNA分子を作製する段階を含む方法を特徴とする。
【0009】
別の関連する局面において、本発明は、参照となる蛋白質に較べて変容した機能をもつ蛋白質を選択する方法で、(a)候補となるDNA鋳型が、それぞれ、参照となる蛋白質のコード配列とは異なる候補蛋白質のコード配列をもち、RNA分子は、それぞれ、候補蛋白質のコード配列に機能的に結合された翻訳開始配列と開始コドンとを含み、3'末端でペプチド受容体に機能的に結合されている、DNA鋳型集団から候補となるRNA分子の集団を産生する段階、(b)候補となるRNA-蛋白質融合体の集団を産生するために、候補となる蛋白質のコード配列を、インビトロまたはインサイチューで翻訳する段階、および(c)変容した機能をもつRNA-蛋白質融合体を選抜し、それによって変容した機能をもつ蛋白質を選抜する段階を含む方法を特徴とする。
【0010】
さらに別の関連する局面において、本発明は、参照となる蛋白質に較べて変容した機能をもつ蛋白質をコードするDNA分子を選択する方法で、(a)候補となるDNA鋳型が、それぞれ、参照となる蛋白質のコード配列とは異なる、候補蛋白質のコード配列をもち、RNA分子は、それぞれ、候補蛋白質のコード配列に機能的に結合された翻訳開始配列と開始コドンとを含み、3'末端でペプチド受容体に機能的に結合されている、候補となるDNA鋳型集団から候補となるRNA分子の集団を産生する段階、(b)RNA-蛋白質融合体の集団を産生するために、候補となる蛋白質のコード配列を、インビトロまたはインサイチューで翻訳する段階、(c)変容した機能をもつRNA-蛋白質融合体を選抜する段階、および(d)融合体のRNA部分から、変容した機能をもつ蛋白質をコードするDNA分子を作出する段階を含む方法を特徴とする。
【0011】
さらに別の関連する局面において、本発明は、所期のRNAを選抜するための方法で、(a)それぞれが、候補蛋白質のコード配列に機能的に結合された翻訳開始配列と開始コドンとを含み、またそれぞれが、候補蛋白質のコード配列の3'末端でペプチド受容体に機能的に結合されている、候補となるRNA分子の集団を提供する段階、(b)候補となるRNA-蛋白質融合体の集団を産生するために、候補となる蛋白質のコード配列を、インビトロまたはインサイチューで翻訳する段階、および(c)所期のRNA-蛋白質融合体を選抜し、それによって所期のRNAを選抜する段階を含む方法を特徴とする。
【0012】
上記の方法の好ましい態様において、ペプチド受容体はピューロマイシンであり;各候補RNA分子は、停止配列をさらに含むか、またはRNAの3'末端に共有結合されたDNA配列もしくはDNA類似配列をさらに含み;候補RNA分子集団は、少なくとも109個、好ましくは少なくとも1010個、より好ましくは少なくとも101 個、101 個、または101 個、また最も好ましくは少なくとも1014個の異なったRNA分子を含み;インビトロの翻訳反応を、真核細胞またはその一部から調製されたライセート(すなわち、例えば、網状赤血球またはコムギ胚芽のライセート)の中で行い;インビトロの翻訳反応を、原核細胞(例えば、大腸菌(E. coli))またはその一部から調製された抽出物の中で行い;選抜段階が、所期の蛋白質を、固定した結合パートナーに結合させることを含み;選抜段階は、所期の蛋白質の機能的活性を測定することを含み;DNA分子を増幅し;本方法は、上記の選抜方法の段階を繰り返すことをさらに含み;本方法は、DNA分子からRNA分子を転写させ、段階(a)から(d)を繰り返すことをさらに含み;インビトロ翻訳段階の後に、本方法は、50〜100 mM Mg2+存在下で行われるインキュベーション段階をさらに含み;RNA-蛋白質融合体は、ペプチド受容体の近傍にある、可塑性を高めるような核酸または核酸類似体の配列をさらに含む。
【0013】
別の関連する局面において、本発明は、本発明の方法のいずれかによって選抜されたRNA-蛋白質融合体;アミド結合によって、このリボ核酸によってコードされているアミノ酸配列に共有結合されたリボ核酸;および、候補蛋白質のコード配列に機能的に結合された翻訳開始配列と開始コドンとを含み、候補蛋白質のコード配列の3'末端でペプチド受容体(例えば、ピューロマイシン)に機能的に結合されているリボ核酸を特徴とする。
【0014】
第二の局面において、本発明は、配列プールを増幅して、所期の蛋白質または所期のRNAを選抜するための方法を特徴とする。この方法は、(a)それぞれが、候補蛋白質のコード配列に機能的に結合された翻訳開始配列と開始コドンとを含み、またそれぞれが、候補蛋白質のコード配列の3'末端でペプチド受容体に機能的に結合されている、候補となるRNA分子の集団を提供する段階、(b)候補となるRNA-蛋白質融合体の集団を産生するために、候補となる蛋白質のコード配列を、インビトロまたはインサイチューで翻訳する段階、(c)結合している結合パートナー-RNA-蛋白質融合体複合体が集団の非結合構成分子から実質的に分離される条件の下で、RNA-蛋白質融合体の集団を、RNA-蛋白質融合体のRNA部分または蛋白質部分のどちらかに特異的な結合パートナーと接触させる段階、(d)結合したRNA-蛋白質融合体を複合体から解離させる段階、および(e)結合している結合パートナー-RNA-蛋白質融合体複合体が集団の非結合構成分子から実質的に分離される条件の下で、段階(d)のRNA-蛋白質融合体集団を、所期のRNA-蛋白質融合体の蛋白質部分に特異的な結合パートナーと接触させ、それによって、所期の蛋白質および所期のRNAを選抜する段階を含む。
【0015】
好ましい態様において、本方法は、段階(a)から(e)を繰り返すことをさらに含む。さらに、これらの反復段階において、所期のRNA-蛋白質融合体を選択的に増加させるために、何らかの順序で、同一の、または異なった結合パートナーを用いることができる。別の好ましい態様において、段階(d)は、所期の融合体の蛋白質部分に特異的な結合パートナー(例えば、モノクローナル抗体)を使用することを含む。この段階は、好ましくは、所期の蛋白質をコードするDNAを作出するために、融合体のRNA部分を逆転写した後に行う。望ましいならば、このDNAは、単離および/またはPCR増幅することができる。この増幅技術を用いて、所期の蛋白質を選抜することができ、または、参照用蛋白質と較べて変容した機能をもつ蛋白質を選抜することもできる。
【0016】
増幅方法の別の好ましい態様において、ペプチド受容体はピューロマイシンであり;各候補RNA分子は、停止配列をさらに含むか、またはRNAの3'末端に共有結合されたDNA配列もしくはDNA類似配列をさらに含み;候補RNA分子集団は、少なくとも109個、好ましくは少なくとも1010個、より好ましくは少なくとも101 個、101 個、または101 個、また最も好ましくは少なくとも1014個の異なったRNA分子を含み;インビトロの翻訳反応を、真核細胞またはその一部から調製されたライセート(すなわち、例えば、網状赤血球またはコムギ胚芽のライセート)の中で行い;インビトロの翻訳反応を、原核細胞(例えば、大腸菌(E. coli))またはその一部から調製された抽出物の中で行い;DNA分子を増幅し;少なくとも一つの結合パートナーを固体支持体に固定し;インビトロ翻訳段階の後に、本方法は、50〜100 mM Mg2+存在下で行われるインキュベーション段階をさらに含み;また、RNA-蛋白質融合体が、ペプチド受容体の近傍にある、可塑性を高めるような核酸または核酸類似体の配列をさらに含む。
【0017】
関連する局面において、本発明は高濃度塩(K+、NH4 +、もしくはNa+のような一価陽イオン、Mg2+のような二価陽イオン、またはそれらの組合せを含んだ、高濃度塩を含むが、これらに限定されない)存在下で翻訳後インキュベートする段階を含む、ライブラリー(例えば、タンパク質、DNAまたはRNA-融合体ライブラリー)の作製に関する方法または所望の分子(例えば、タンパク質、DNA、もしくはRNA分子、または特定の機能もしくは改変された機能を持つ分子)を選別するための方法を特徴とする。このインキュベーションをほぼ室温または約-20℃で行うことができ、塩濃度は、一価陽イオンについては約125mM〜1.5Mの間(より好ましくは、約300mM〜600mMの間)および二価陽イオンについては約25mM〜200mMの間であることが好ましい。
【0018】
もう一つの局面において、本発明は、本明細書で説明されている選抜方法のいずれかを行うためのキットを特徴とする。
【0019】
最後の第三の局面において、本発明は、RNA-蛋白質融合体にハイブリダイズする一本鎖核酸を固定した配列を含むマイクロチップを特徴とする。好ましくは、RNA-蛋白質融合体の蛋白質成分は、そのRNAによってコードされている。
【0020】
本明細書で用いられる「集団」とは、一つよりも多い分子(例えば、複数のRNA分子、DNA分子、またはRNA-蛋白質融合体分子)を意味する。本発明の方法により、必要に応じて、多数の候補分子から出発する選抜が容易となるため、本発明に係る「集団」は、好ましくは109分子よりも多く、より好ましくは1011、1012、または1013分子よりも多く、また最も好ましくは1013分子よりも多いことを意味する。
【0021】
「選抜する」とは、集団の中のその他の分子から、ある分子を実質的に区分けすることを意味する。本明細書で用いられる場合、「選抜」段階により、所期の分子が、選抜段階の後に集団中の所期の分子でないものに較べて、少なくとも2倍、好ましくは30倍、より好ましくは100倍、そして最も好ましくは1000倍に増幅される。本明細書において示されているように、選抜段階は、所定の方法において、何回でも反復することができ、また、異なったタイプの選抜段階を組み合わせることもできる。
【0022】
「蛋白質」とは、一つ以上のペプチド結合によって結合された、天然の、または修飾された2個以上の任意のアミノ酸を意味する。「蛋白質」および「ペプチド」は、本明細書では、互換できるように使用されている。
【0023】
「RNA」とは、共有結合された2つ以上の、天然または修飾されたリボ核酸の配列を意味する。この用語に含まれる、修飾されたRNAの一つの例は、ホスホロチオエートRNAである。
【0024】
「翻訳開始配列」とは、機能的なリボソーム進入部位を提供できる任意の配列を意味する。バクテリアのシステムにおいては、この領域は、シャイン-ダルガルノ(Shine-Dalgarno)配列ともいわれる。
【0025】
「開始コドン」とは、蛋白質をコードする配列の開始のシグナルである3塩基を意味する。一般的に、これらの塩基はAUG(またはATG)であるが、この態様において使用されうる別の塩基トリプレットで代用することもできる。
【0026】
ペプチド受容体に「共有結合された」とは、ペプチド受容体が、共有結合によって直接、または、別の共有結合された配列(例えば、停止配列に相当するDNA)によって間接的に、「蛋白質のコード配列」に結合していることを意味する。
【0027】
「ペプチド受容体」とは、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ機能の触媒活性によって、伸長している蛋白質鎖のC末に付加されうる任意の分子を意味する。典型的には、このような分子は、(i)ヌクレオチドまたはヌクレオチド様部分(例えば、アデノシンまたはアデノシン類似体(N-6アミノ部位のジメチル化は許容される))、(ii)アミノ酸またはアミノ酸様部分(例えば、20個の任意のD-もしくはL-アミノ酸、またはそれの任意の類似体(例えば、O-メチルチロシン、または、Ellmanら、Meth. Enzymol. 202:301, 1991で説明されている類似体のいずれか))、および(ii)これら二つの間の結合(例えば、3'位置、またはあまり好ましくはないが、2'位置でのエステル、アミド、またはケトン結合);好ましくはこの結合は、天然のリボヌクレオチドの立体構造でできる環のしわを有意に乱すことのないものである。また、ペプチド受容体は、求核基をもつことができる。この求核基に制限はないが、アミノ酸基、ヒドロキシル基、またはスルフヒドリル基などである。さらに、ペプチド受容体は、ヌクレオチド擬似体、アミノ酸擬似体、または、ヌクレオチド-アミノ酸結合構造物の擬似体からなっていてもよい。
【0028】
蛋白質コード配列の「3'末端」に位置するペプチド受容体とは、ペプチド受容体分子が、蛋白質コード配列の終止コドンの後に位置していることを意味する。この用語には、蛋白質コード配列のまさに3'末端に位置するペプチド受容体分子と、介在するコード配列、もしくは非コード配列(例えば、停止部位に相当する配列)によって終止コドンから離されているペプチド受容体分子が含まれるが、これに制限されない。また、この用語には、コード配列または非コード配列が、ペプチド受容体分子の後ろに続いている(すなわち、3'末端側にある)構築物も含まれる。さらに、この用語には、制限なしに、蛋白質のコード配列に(直接的、または介在する核酸配列によって間接的に)共有結合されたペプチド受容体、また、例えば、蛋白質コード配列の3'末端またはその近くに結合する別の核酸配列で、それ自体がペプチド受容体分子に結合している別の核酸配列を用いたハイブリダイゼーションのような、何らかの非共有的な方法によって蛋白質コード配列に結合されているペプチド受容体が含まれる。
【0029】
「変容した機能」とは、ある分子の機能における、質的または量的な任意の変化を意味する。
【0030】
「停止配列」とは、リボソームの翻訳の速さを遅くするか停止させる核酸配列を意味する。
【0031】
本明細書で用いられる「結合パートナー」とは、所期のRNA-蛋白質融合体の一部に、特異的で、共有結合的、または非共有結合的な親和性をもつ任意の分子を意味する。結合パートナーには制限はないが、その例には、抗原/抗体対、蛋白質/インヒビター対、レセプター/リガンド対(例えば、ホルモンレセプター/ペプチドホルモン対などの細胞表面レセプター/リガンド対)、酵素/基質対(例えば、キナーゼ/基質対)、レクチン/炭水化物対、オリゴマー、もしくはヘテロオリゴマーの蛋白質集合体、DNA結合蛋白質/DNA結合部位対、RNA/蛋白質対、および核酸の二本鎖、ヘテロ二本鎖、もしくは連結させた鎖のいずれか、および、RNA-蛋白質融合体のいずれかの部分と一つ以上の共有結合もしくは非共有結合(例えば、ジスルフィド結合)を形成することができる任意の分子が含まれる。結合パートナーには、非制限的に、図2に示されている「選抜モチーフ」のいずれかが含まれる。
【0032】
「固体支持体」とは、制限ではないが、任意のカラム(または、カラム材料)、ビーズ、試験官、微量滴定用プレート、固形粒子(例えば、アガロースまたはセファロース)、マイクロチップ(例えば、シリコン、シリコンガラス、または金製チップ)、または、直接的もしくは間接的(例えば、別の抗体やプロテインAなどの、別の結合パートナー中間体)に親和的な複合体が結合できるか、もしくは親和的な複合体が(例えば、レセプターまたはチャンネルを通して)包埋されえる膜(例えば、リポソームまたは液胞の膜)を意味する。
【0033】
「高濃度塩」とは、少なくとも200mM、および好ましくは、少なくとも500mMもしくは1Mまでの濃度の一価陽イオン、ならびに/または少なくとも25mM、好ましくは少なくとも50mM、および最も好ましくは、少なくとも100mM濃度の二価もしくはより多価の陽イオンを持つことを意味する。
【0034】
本明細書で請求されている発明は、数多くの有意な利点を提供する。まず、これは、蛋白質を選抜、増幅するためのこの種の案の初めての例である。この技術は、所期の単離された蛋白質に対応する塩基配列を回収する必要がある(なぜなら、核酸のみが複製可能だから)ために生じた困難を克服している。特に、部分的に、または完全に無作為化されたプールからの蛋白質の単離を可能にした多くの先行技術は、インビボの段階によって単離を行った。本方法には、モノクローナル抗体技術(Milstein, Sci. Amer. 243:66 (1980); およびSchultzら、J. Chem. Engng. News 68:26 (1990))、ファージディスプレイ(Smith, Science 228:1315 (1985); Parmley and Smith, Gene 73:305 (1988); およびMcCaffertyら、Nature 348:552 (1990))、ペプチド-lacリプレッサー融合体(Cullら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865 (1992))、および古典的な遺伝学的選抜法が含まれる。本技術とは異なり、これらの各方法は、蛋白質と核酸とのトポロジー的な結合に依存し、そのために、蛋白質の情報が保たれて、読み取り可能な核酸の形で回収できる。
【0035】
さらに、本発明は、まだ、リボソームおよびmRNAと複合体を形成している生成中の蛋白質鎖の何らかの特性に対して選抜が行われるという、行き詰まった翻訳技術(Tuerk and Gold, Science 249: 505 (1990); Irvineら、J.Mol.Biol.222: 739 (1991); Kormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79: 1844-1848 (1982); Mattheakisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91: 9022-9026 (1994); Mattheakisら、Meth.Enzymol.267:195 (1996); およびHanes and Pluckthun, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4937 (1997))に対する利点を提供する。行き詰まった翻訳技術とは異なり、本方法は、非常に壊れやすく、そのために、技術的に用いることのできる選抜のタイプ関する制限がある複合体である、mRNA:リボソーム:生成鎖の3成分の複合体の完全性を維持することに依存しない。
【0036】
本方法は、また、ブレナートとラーナー(Brenner and Lerner)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5381-5383 (1992))によって提案された、DNA-ペプチド融合体を作り、選抜を一回行って遺伝情報を理論的に回収するという、枝分かれ合成法に対する利点を提供する。枝分かれ合成法とは異なり、本方法では、(枝分かれ合成法においては、一般的に、化学合成する毎に行われる)融合体のDNA部分からのペプチド再生を行う必要がない。したがって、本方法は、候補分子の集団を用いて、選抜を何度も繰り返すことが可能である。さらに、非常に短い配列を選抜するため一般的に限定される枝分かれ合成技術とは異なり、本方法は、かなりの長さの蛋白質分子を選抜するのに用いることができる。
【0037】
さらに別の利点として、この選抜、および方向性をもった展開技術は、非常に大きく複雑な、候補配列のライブラリーを利用することができる。これとは対照的に、インビボの段階に依存する現存の蛋白質選抜法は、典型的には、ある程度複雑さが限定されている、比較的小さなライブラリーに限定される。機能的な蛋白質の配列を選抜するとき、例えば、長さが10アミノ酸しかないペプチドに対して、1013通りの配列が存在することを考えれば、この利点は特に重要である。古典的な遺伝学的方法、lacリプレッサー融合法、およびファージディスプレイ法では、最大の複雑さでも、一般的に、1013個という桁数よりは小さくなる。大きなライブラリーサイズは、どのような出発配列についても、配列空間をより深く調べることができるという点で、方向性をもった展開に応用するにも有利である。
【0038】
また、本技術は、選抜段階が、状況に依存しないという点で、先行する方法とは異なる。多くの別の選抜スキームでは、例えば、発現された蛋白質が存在する情況が、作製されるライブラリーの性質に大きな影響を与えることがある。例えば、特定のシステムでは、発現蛋白質が適正に発現されないか、または、(例えば、ファージ粒子の表面上に)正しく提示されないかもしれない。または、蛋白質の発現は、実際には、選抜サイクルの一つ以上の重要な段階、例えば、ファージの生存力もしくは感染力、またはlacリプレッサーの結合によって妨害されることがある。これらの問題は、機能的な分子の消失をもたらすことがあり、用いることのできる選抜方法の性質を制約することになる。
【0039】
最後に、本方法は、調べることのできる蛋白質のレパートリーを調節することができるため、有益である。一定の技術(例えば、抗体選抜)においては、最初のプールの性質を調節することがほとんどできないか全くできない。さらに別の技術(例えば、lac融合およびファージディスプレイ)では、候補プールを、融合蛋白質という状態で発現させなければならない。これに対し、RNA-蛋白質融合体構築物は、スクリーニングに用いることのできる候補プールの性質に対する調節を具えている。さらに、候補プールの大きさは、インビトロ翻訳反応を行う規模によって制約されるだけで、RNAまたはDNAのプールと同じ大きさにすることができる(〜1015個)。そして、候補プールの組み立ては、完全に実験のデザインしだいである。すなわち、無作為領域は、単独にスクリーニングしてもよいし、または、所期の融合蛋白質に関連させてスクリーニングしてもよい。また、RNA-蛋白質融合体の候補プールにおいて、すべてではないにしても、ほとんどの配列を発現させることができる。
【0040】
本発明のこの他の特徴と長所は、次の詳細な説明および請求の範囲から明らかになると思われる。
【0041】
詳細な説明
まず、図面について、簡単に説明する。
【0042】
蛋白質が、それら自身のメッセンジャーRNAに共有的に連結している融合体を用いた、所期の機能をもつ蛋白質を選抜するための一般的な方法を本明細書において説明する。これらのRNA-蛋白質融合体は、3'末端に付着したペプチド受容体を含むmRNAプールをインビトロ、またはインサイチューで翻訳して合成される(図1B)。一つの好ましい態様において、メッセージのオープンリーディングフレームをリードスルーした後、設計された停止部位に到達すると、リボソームが停止し、リボソームのAサイトに受容体部分が入り、Pサイトにいるペプチジル-tRNAから生成中のペプチド鎖を受け取って、RNA-蛋白質融合体を生成させる(図1C)。蛋白質とRNAとの間の共有結合(mRNAの3'末端と、それのコードする蛋白質のC末との間のアミド結合の形になる)によって、蛋白質中の遺伝学的情報を回収し、RNAの逆転写による選抜の後に(例えば、PCRによって)増幅することが可能になる。融合体が生成されれば、mRNA-蛋白質融合体の特性に基づいた選抜もしくは増幅を行うか、または、一本鎖RNAが選抜に及ぼす何らかの影響を防ぐために蛋白質に付着している間に、mRNA鋳型を用いて逆転写を行うことができる。mRNA-蛋白質構築物を用いるときには、選抜した融合体を調べて、どちらの部分(蛋白質、RNA、またはその両方)が、所期の機能を具備しているのかを判定することができる。
【0043】
好ましい態様の一つにおいて、(チロシルアデノシンに類似している)ピューロマイシンが、伸長しているペプチドがそのmRNAに付着するための受容体として機能する。ピューロマイシンは、ペプチド伸長を終結させることにより作用する抗生物質である。これは、アミノシルtRNAの擬似体として、Aサイトに結合し、伸長中のペプチド鎖を受容し、リボソームを離脱させる(Kd=10-4 M)(Traut and Monro, J. Mol. Biol. 10:63 (1964); Smithら、J. Mol. Biol. 13:617 (1965))ことによって、蛋白質合成の普遍的なインヒビターとして作用する。ピューロマイシンの最も魅力的な特徴の一つは、伸長中のペプチド鎖と安定したアミド結合を形成するために、不安定なエステル結合を形成する可能性のある受容体と較べて、より安定した融合体が可能になるという事実である。特に、ペプチジル-ピューロマイシン分子は、ペプチドとピューロマイシンのO-メチルチロシン部位との間に安定したアミド結合を含む。そして、O-メチルチロシンは、安定したアミド結合によってピューロマイシンの修飾されたアデノシン部分の3'-アミノ基連結している。
【0044】
この他に、受容体として選択可能なものには、mRNAの3'末端のtRNA様構造、およびピューロマイシンと同じように作用する他の化合物が含まれる。このような化合物には、制限ではないが、アデノシン、またはアミノ酸ヌクレオチド、フェニルアラニル-アデノシン(A-Phe)、チロシルアデノシン(A-Tyr)、およびアラニル-アデノシン(A-Ala)などのアデニン様化合物、ならびに、フェニルアラニル3'デオキシ3'アミノアデノシン、アラニル3'デオキシ3'アミノアデノシン、およびチロシル3'デオキシ3'アミノアデノシンなどのアミド結合構造物などがあり、これらの化合物のいずれにおいても、天然のL-アミノ酸またはそれらの類似体を利用することができる。さらに、tRNA様3'構造物-ピューロマイシンを結合させた結合体も、本発明において用いることができる。
【0045】
図2に示されているのは、本発明にしたがった好ましい選抜スキームである。この選抜に含まれる段階は、一般的に、以下のようにして行われる。
【0046】
段階 1 DNA 鋳型の調製
本発明のRNA-蛋白質融合体を作出することを目的とする段階として、融合体のRNA部分を合成する。これは、直接的なRNAの化学合成により行い、または、より一般的には、適当な二本鎖のDNA鋳型を転写して行うことができる。
【0047】
このようなDNA鋳型は、常法(組換えDNA技術、化学合成、またはその両方を含む技術など)によって作製することができる。原則として、既知の、無作為の、無作為化した、または変異誘発した配列を含む鋳型を一つ以上産生させる方法が、この目的のために用いられる。特定の方法の一つでは、オリゴヌクレオチド(例えば、無作為の塩基を含むもの)を合成して、転写の前に(例えば、PCRで)増幅する。後で既知の蛋白質コード配列の中央に挿入される無作為なカセットを作製するために化学合成を用いることもできる(例えば、アウスウベル(Ausubel)ら、分子生物学の最新プロトコール(Current Protocol in Molecular Biology)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社およびグリーンパブリッシングカンパニー(John Wiley & Sons and Greene Publishing Company)、1994年の8.2章を参照のこと)。後者の方法によって、目的とする蛋白質の特定の部位近くに高密度の突然変異が誘発される。
【0048】
DNA鋳型の配列を完全に無作為化する代わりに部分的に無作為化され、そうして合成されたプールは、一般的に、「ドープド(dopede)」プールと呼ばれる。この技術の例で、RNA配列について行われたものが、例えば、エクランド(Ekland)ら(Nucl. Acids Research, 23:3231 (1995))によって説明されている。部分的な無作為化は、それぞれの塩基付加反応混合液が1つの塩基を過剰に含み、他の塩基それぞれの量が少なくなるようにして合成反応にバイアスをかけることによって、化学的に行うことができる。また、塩基の濃度を慎重に調節することによって、この方法で、望ましい突然変異頻度を実現することができる。また、部分的に無作為化したプールは、エラープローン(error prone)PCR技術を用いて、例えば、ボードリーとジョイス(Beaudry and Joyce)(Science 257:635 (1992))、およびバーテルとスゾスタック(Bartel and Szostak)(Science 261:1411 (1993))で説明されているようにして作製することができる。
既知の配列から出発し、変異を起こしたDNAプールを作製してDNA構築物を作製する数多くの方法を利用することもできる。このような技術の例は、アウスウベル(Ausubel)ら(前記、第8章)、およびサムブルック(Sambrook)ら、(「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning. A Laboratory Manual)」、第15章、Cold Spring Harbor Press、第2版、(1989))、カドウェル(Cadwell)ら(PCR Methods and Applications 2:28(1992))、ツァンド(Tsand)ら(Meth. Enzymol. 267:410(1996))、レイダール-オルセン(Reidhaar-Olsen)ら(Meth. Enzymol. 208:564(1991))、およびエクランド(Ekland)ならびにバーテル(Bartel)(Nucl. Acids. Res. 23:3231(1995))により説明されている。ランダム配列を、ステマー(Stemmer)(Nature 370:389 (1994))において概説されている「シャッフリング」技術によって作製することができるる。最後に、開始ライブラリーを作製するために、一連の2つ又はそれ以上の相同的な遺伝子を、インビトロにおいて組み換えることができる(Crameriら、Nature 391:288〜291(1998))。
【0049】
選抜されたコドンに依存する様々な方法で、ランダムな配列からオープンリーディングフレームを構築してもよい。オープンリーディングフレーム中の停止コドンを排除することが好ましい。全体としてランダム配列ライブラリーが用いられうるが(NNNをコードする)、全てにおいて許容範囲外に高いが、最少のライブラリーでありうる比率の一部停止コドン(3/64=コドンあたり4.7%)を含む。またこのようなライブラリーは、時々翻訳低下をもたらすことのできる、めったに使用されないコドンも含む。哺乳類翻訳システムにおいて、NNG/Cコドンはわずかに停止頻度を減じさせる(1/32=コドンあたり3.1%)一方、全20アミノ酸について最適なコドンへのアクセスを与える。7例(AEGKRTV)において、最適コドンがAまたはTで終わるような細菌翻訳システムにおいて適用される場合にNNG/Cコドンは最適ではない。停止コドン頻度を極めて低くする、3つの異なるヌクレオチド混合物、N1N2N3コドンを使用した球状タンパク質と類似のアミノ酸組成をもついくつかの溶液が存在する(LaBeanおよびKauffman、Protein Science 第2巻:1249〜1254(1993年))(および本明細書における参照)。最後に、ほぼ無限の多様性をもつ半合理的な設計戦略を、アミノ酸型に従ってパターンライブラリーに適用してもよい。例えば、NTNまたはNANコドンそれぞれを用いて、疎水性(h)または極性(p)アミノ酸を選抜することができる(BeasleyおよびHecht、J. Biol. Chem. 第272巻:2031〜2034(1997年))。α-ヘリックス(phpphhpp…)またはβ-シート(phphph…)形成が優先するようにこれらをパターン化することができる。
【0050】
合成配列から構築されたオープンリーディングフレームもまた、合成DNAの挿入または欠失によって生じる停止コドンを含みうる。翻訳読み枠(translation reading frame)の変更のため、これらの欠陥は否定的な結果を含みうる。合成オリゴヌクレオチドから構築された多数のプールおよび合成遺伝子の検査は、挿入および欠失は部位あたり0.6%以下、またはコドンあたり1.8%の頻度で起こることを示す。これらの発生の正確な頻度は可変的であり、合成DNAの供給源および長さに依存すると考えられる。特に、長い配列ほど挿入頻度および欠失頻度が高いことが示されている(Haasら、Current Biology 第6巻:315〜324(1996年))。オープンリーディングフレーム内のフレームシフトを減少させるための簡便な解決策は、均一に精製されうる合成DNAの比較的短いセグメント(80ヌクレオチドまたはそれ未満)を用いて行うことである。次にいくつかの短い配列の制限酵素消化およびライゲーションにより、より長いオープンリーディングフレームを作製することができる。
【0051】
本発明の選抜スキームを最適化するために、鋳型の5'末端と3'末端の配列と構造を変更することもできる。好ましくは、これは、無作為なドメインを鋳型の適当な末端の近くに挿入することを含み、その後選抜を行うという、二つの別々の選抜によって行うことができる。これらの選抜法は、(i)作製される融合体の量を最大にする(そして、それによってライブラリーの複合性を最大にする)か、または(ii)最適化された翻訳配列を提供するために利用することができる。さらに、本方法は、一般的に、コード領域と非コード領域の両方において翻訳用鋳型を最適化するために、変異原PCRと組み合わせて適用することができる。
【0052】
段階 2 RNA の生成
上記したように、オリゴヌクレオチド合成の標準的な技術を用いて、RNA-蛋白質融合体のRNA部分を化学的に合成することができる。または、および特に、長いRNA配列が用いられるときは、RNA部位は、DNA鋳型のインビトロ転写によって作製される。好ましい方法の一つにおいては、T7ポリメラーゼを用いて、酵素的に、RNA鎖を生成させる。転写は一般的にPCR反応と同じ容量において行われる(100μl反応由来のPCR DNAが、100μlの転写に用いられる)。望ましいならば、転写反応における大量のモル数の過剰なM7GpppGをGTPに用いて、5'キャップをもつこのRNAを作製することができる(GrayおよびHentze、EMBO J. 13:3882〜3891(1994))。このように用いられる他の適当なRNAポリメラーゼには、制限ではないが、SP6、T3、および大腸菌のRNAポリメラーゼなどがある(例えば、アウスウベル(Ausubel)ら(前記、第3章)で説明されている)。さらに、合成RNAは、全体的または部分的に修飾されたRNAであってもよい。一つの特定の例において、修飾されたリボヌクレオチドと標準的な技術を用いて、ホスホロチオエートRNAを作出することができる(例えば、T7転写によって)。このように修飾されたRNAは、ヌクレアーゼ安定的であるという長所がある。その後、以前に記載されたように、尿素PAGEを用いて全長RNA試料を転写反応物から精製し、続いてNAP-25(Phaemacia)で脱塩する(RobertsおよびSzostak、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:12297〜12302(1997))。
【0053】
段階 3 .鋳型ヘのピューロマイシンのライゲーション
次に、ピューロマイシン(または、別の適当なペプチド受容体)を、鋳型配列に共有結合させる。この段階は、T4RNAリガーゼを用いて、ピューロマイシンをRNA配列に直接付着させて行うことができるが、好ましくは、T4 DNAリガーゼ、または二つの塩基配列をつなぎ合わせることができる別の酵素を用いて、ピューロマイシンをDNAの「スプリント(splint)」を通して付着させることができる(図1B参照)(また、例えば、アウスウベル(Ausubel)ら、前記、第3章14節と15節も参照のこと)。tRNA合成を用いて、ピューロマイシン様化合物をRNAに付着させることができる。例えば、フェニルアラニルtRNA合成酵素は、フェニルアラニンを、3'アミノ基をもつフェニルアラニルtRNA分子に結合させて、ピューロマイシン様の3'末端をもつRNA分子を生成させる(Fraser and Rich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 70:2671 (1973))。用いることのできる別のペプチド受容体には、制限ではないが、アミノ酸ヌクレオチド、フェニルアラニル-アデノシン(A-Phe)、チロシルアデノシン(A-Tyr)、およびアラニル-アデノシン(A-Ala)などのアデニン様化合物、ならびに、フェニルアラニル3'デオキシ3'アミノアデノシン、アラニル3'デオキシ3'アミノアデノシン、およびチロシル3'デオキシ3'アミノアデノシンなどのアミド結合構造物など、アデニンまたはアデニン様化合物に結合したアミノ酸をもつ化合物が含まれる。また、これらの化合物のいずれかにおいて、天然のL-アミノ酸、またはそれらの類似化合物を利用することができる。数多くのペプチド受容体が、例えば、クラエフスキーとクカノバ(Krayevsky and Kukahnova)、Progress in Nucleic Acids Research and Molecular Biology 23:1 (1979)で説明されている。
【0054】
段階 4 RNA- 蛋白質融合体の生成と回収
RNA-蛋白質融合体を生成させるために、どのようなインビトロ、またはインサイチューの翻訳システムを利用してもよい。下に示すように、真核生物のシステムが好ましく、2つの特に好ましいシステムには、コムギ胚芽と網状赤血球のシステムがある。しかし、原則として、RNA-蛋白質融合体を形成でき、融合体のRNA部分を有意に分解しない翻訳システムであれば、本発明において有用である。さらに、これらのシステムのいずれかにおいて、RNA分解を低下させるために、翻訳反応混合液の中に、分解を遮断するアンチセンスオリゴヌクレオチドを入れることができる。このようなオリゴヌクレオチドは、分解が開始する、分子のRNA部位の中の配列に特異的にハイブリダイズして、それを覆う(例えば、Hanes and Plucthun, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4937 (1997))。
上記したように、真核細胞の翻訳システムを本発明で使用することができる。これらには、制限はないが、酵母、腹水、腫瘍細胞のライセート(Leibowitzら、Meth. Enzymol. 194:536 (1991))、およびアフリカツメガエル(xenopus)の卵母細胞が含まれる。バクテリアシステムで有用なインビトロ翻訳システムには、制限はないが、ズベイ(Zubay)(Ann. Rev. Genet. 7:267 (1973));チェンとズベイ(Chen and Zubay )(Meth. Enzymol. 101:44 (1983));およびエルマン(Ellman)(Meth. Enzymol. 202:301 (1991))で説明されているものが含まれる。
【0055】
さらに、翻訳反応を、インサイチューで行うことができる。特異的な例の一つにおいて、標準的な技術を用いて、アフリカツメガエル(xenopus)の卵母細胞にmRNAを注射することによって翻訳を行わせることができる。
【0056】
生成されたところで、蛋白質またはRNAの標準的な精製技術を用いて、翻訳反応混合液からRNA-蛋白質融合体を回収する。典型的には、蛋白質の精製技術を利用する。下記に示すように、例えば、dT25アガロースまたはチオプロピルセファロースなど、適当なクロマトグラフィー試薬を用いることによって、融合体の精製を容易に行うことができるようになる。しかし、精製は、また、あるいはまたは、融合体のRNA部位に基づいた精製を含むことができる。このような精製技術は、例えば、アウスウベル(Ausubel)ら(前記、第4章)において説明されている。
【0057】
段階 5 .所期の RNA- 蛋白質融合体の選抜
候補融合体の集団から、所期の融合体を選択的に区別または単離するために利用可能な方法によって、所期のRNA-蛋白質融合体の選抜を行うことができる。分離技術の例に制限ではないが、例えば、カラム、ビーズ、膜、またはその他の固形支持体上に直接的または間接的に固定された結合パートナーへの選択的な結合、および融合体の蛋白質部位に特異的な抗体を用いた免疫沈降などがある。これらの技術のうち最初のものは、結合が可能な、いずれかのタイプの分子からなる、固定された選択モチーフを利用する。選択モチーフ分子の可能性のあるもののリストが、図2に示されている。選抜はまた、候補分子と反応するアフィニティー標識(例えば、基質-ビオチン)に付着した基質分子を用いることによって行うこともできるし、または、融合分子との別のタイプの相互作用に基づいて行うこともできる。さらに、蛋白質は、RNA酵素の単離について、バーテルとスゾスタック(Bartel and Szostak)(前記)によって説明されている方法と同じようにして、それらの触媒活性に基づいて選抜することができるが、この特殊な技術によれば、所期の分子は、標的分子をそれら自身に結合させることのできる能力に基づいて選抜され、次に、その標的が存在することによって、機能的な分子を単離することができる。これと同じ方法を用いた新規の、または改良された触媒蛋白質を単離するための選抜法、または、別の機能的な選抜法が、本発明によって可能になる。
【0058】
さらに、本明細書において説明されているように、所期のRNA-蛋白質融合体(または、そのDNAコピー)の選抜は、候補分子のプールの中で、この融合体を増幅することによって容易にすることができる。このような選択的な増幅を行うために、サンプル中の非結合構成分子から結合パートナー-融合体複合体が実質的に分離される条件の下で、候補であるRNA-蛋白質融合体の集団を、この融合体のRNA部位または蛋白質部位のどちらかに特異的な結合パートナー(例えば、結合パートナーの一つが上記されている)と接触させる。この段階は反復することができ、この技術は、好ましくは、RNA部位に特異的な結合パートナーを用いて融合体を選択するという一つの段階と、蛋白質部位に特異的な結合パートナーを用いて融合体を選択するというもう一つの段階という、少なくとも2つの連続的な増幅段階を含む。さらに、融合体の同じ部位(例えば、蛋白質部位)を標的とした増幅段階を繰り返すときは、好ましくは、異なった結合パートナーを利用する。本明細書で説明されている特定の実施例においては、所期の融合体について、まず、融合体のRNA部位に特異的な結合パートナーを用いて、次に、2段階の連続段階において、どちらも融合体の蛋白質部位に特異的な、2つの異なる結合パートナーを用いて分子集団を増幅する。再び、制限ではないが、カラムアフィニティークロマトグラフィー、遠心分離、または免疫沈降などの標準的な分離技術によって、サンプル成分からこれらの複合体を分離することができる。
【0059】
なお、増幅(または選抜)混合液からのRNA-蛋白質融合体の溶出は、多くの方法で行うことができる。例えば、本明細書において説明されているように、所期のRNA-蛋白質融合体を単離するために、変性または非特異的な化学的溶出段階を利用することができる。このような段階は、複合体の成分の間の、および/または複合体の成分と固形支持体との間の非共有結合を切断することによって、比較的非特異的な方法で、複合体の成分を、互いから、または結合している固形支持体から解離するのを容易にする。本明細書において説明されているように、変性、または非特異的な化学的溶出試薬の一例は、4% HOAc/H2Oである。この他の変性または非特異的な化学的溶出試薬の例には、グアニジン、尿素、高塩、界面活性剤、または非共有結合的な付加物が一般的に除去できるような他の方法が含まれる。または、融合体分子の特異的な解離をもたらすような試薬を活用する、特異的な化学的溶出法を利用することもできる。一つの特異的な例において、所期の融合蛋白質のリンカーアームが、一つ以上のジスルフィド結合を含んでいたならば、結合している融合アプタマーを、例えば、DTTを添加することによって溶出することができ、その結果、ジスルフィド結合が低下して結合標的が解離する。
【0060】
または、親和複合体を特異的に崩壊させることによって溶出を行うことができるが、このような技術は、複合体のメンバーを過剰に加えることによって、複合体の成分を選択的に解離させる。例えば、ATP結合選抜法においては、過剰量のATPをインキュベーション混合液に加えて溶出を行う。最後に、酵素的溶出を行うこともできる。この方法によって、結合している分子自体、または外から加えたプロテアーゼ(または、他の適当な加水分解酵素)が、標的または酵素のいずれかを切断して解離させる。特異的な実施例の一つにおいて、プロテアーゼの標的部位は、複合体の成分のいずれかに含まれていて、プロテアーゼを付加することによって、結合している分子を溶出するかもしれない。または、触媒的な選抜において、固形支持体から自身を解離する(例えば、切断する)ことができる分子を分離するための選抜段階として溶出を利用することができる。
【0061】
段階 6 .逆転写酵素を用いた RNA 配列の DNA コピーの作出
望ましいならば、選抜されたRNA融合配列のDNAコピーは、標準的な技術のいずれか(例えば、スーパースクリプト(Superscript)逆転写酵素)を用いて、RNA配列を逆転写して簡単に手に入れることができる。この段階は、選抜または増幅段階の前に行うことができる(例えば、図16で検討されている)が、この段階の後に行うこともできる。または、逆転写処理は、インビトロまたはインサイチューの翻訳混合液から融合体を単離する前に行うことができる。
【0062】
次に、部分的な、または全長の二本鎖配列としてDNA鋳型を増幅する。好ましくは、この段階で、適当なオリゴヌクレオチドとPCR増幅を用いて、全長のDNA鋳型が生成される。
【0063】
これらの段階、ならびにこれらの段階を行うための試薬および技術は、特異的な実施例を用いて、これから詳しく説明される。これらの実施例は、本発明を例示する目的で提供されている。したがって、これらを制限的なものと考えてはならない。
【0064】
RNA- 蛋白質融合体のための鋳型の作製
図1Aと2に示されているように、本発明の選抜法は、好ましくは、設計された要素をいくつか含む二本鎖DNA鋳型を利用する。これらの要素のうち第一のものは、mRNA合成のための所期のRNAポリメラーゼとともに用いられるプロモーターである。図1Aと本明細書で説明されているように、T7プロモーターが好ましいが、直鎖上の二本鎖DNAからの合成を促すことのできるプロモーターを用いることもできる。
【0065】
図1に示されている鋳型の第二の要素は、5'非翻訳領域(または5'UTR)と名づけられていて、翻訳開始部位の上流にあるRNAに相当する。図1Aに示されているのは、タバコモザイクウイルスの5'非翻訳領域の欠失変異体で、好ましい5'UTR(「TE」と名づけられている)であるが、特に、TMVの翻訳開始位置のすぐ5'側にある塩基に相当する。なお、このUTRの配列は、以下の通りである。すなわち、rGrGrGrArCrArArUrUrArCrUrArUrUrUrArCrArArUrUrArCrA(最初の3つのGヌクレオチドは、転写を増加させるために挿入されている)(配列番号:5)。この他の適当な5'UTRを使用することもできる(例えば、Kozak, Microbiol. Rev. 47:1 (9183)、及びJoblingら、Nature 325:622(1987)を参照のこと)。
【0066】
図1Aに示されている第三の要素は、翻訳開始部位である。一般的に、これは、AUG開始コドンである。しかし、天然のコード配列において、AUG以外のコドンが使用される例があるため、これらのコドンも本発明の選抜法において用いることができる。
【0067】
このコドンの周囲の正確な配列の前後関係が、翻訳効率に影響する(Kozak、microbiological Reviews 第47巻:1〜45(1983年);およびKozak、J. Biol. Chem. 第266巻:19867〜19870(1991年))。第1プリン(-3)としてA、および第2(+4)としてGを優先するほとんどの配列に対して、5'RNNAUGR 配列は良好な前後関係を提供する(Kozak、microbiological Reviews 第47巻:1〜45(1983年);およびKozak, J. Mol. Biol. 第196巻:947〜950(1987年))。
【0068】
図1Aに示されている第四の要素は、蛋白質の配列をコードするオープンリーディングフレーム(ORFと呼ばれる)である。このオープンリーディングフレームは、天然の、無作為の、無作為化された、変異誘発された、または全部合成された蛋白質の配列である。ORF及び隣接する3'定常領域の最も重要な特徴は、どちらも停止コドンを含まないことである。停止コドンの存在はタンパク質合成の中途での終結を可能にし、融合形成を阻害する。
【0069】
図1Aに示されている第五の要素は、3'定常領域である。この配列は、プールされた配列のPCR増幅と、ピューロマイシンを含むオリゴヌクレオチドのmRNAへのライゲーションを容易にする。望ましいならば、この領域は、リボソームを停止させ、それによって受容体部分(例えば、ピューロマイシン)がペプチジル-tRNAから生成中のペプチド鎖を受け取るための時間を増加させることのできる配列である停止配列を含むこともある。この停止部位については、後にもっと詳しく考察する。
【0070】
本方法を開発するために、まず、1〜2個のコドンを含む、非常に単純化されたmRNA鋳型を用いて、RNA-蛋白質融合体を作製した。2つの理由で、この方法を選んだ。まず、このサイズの鋳型は、化学合成によって簡単に作製することができる。そしてもう一つは、小さなオープンリーディングフレームは、結合効率、末端の不均一性、鋳型依存性、および翻訳の正確性などを含む反応の重要な特徴を簡単に測定することを可能にした。
【0071】
構築物の設計
試験用のRNA-蛋白質融合体を作製するために、基本的な構築物を用いた。この分子は、リボソーム蛋白質L1のSD配列を3塩基欠失させたもので、16S rRNA(すなわち、rGrGrA rGrGrA rCrGrArA)(配列番号:6)(Stomoら、Nucleic Acids Research 10:2971-2996 (1982); Shine and Dalgarno, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 71: 1342-1346 (1974);およびSteitz and Jakes, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72:4734-4738 (1975))の5塩基に相補的な、翻訳開始のためのシャイン-ダルガルノ(SD)配列、(ii)AUG開始コドン、(iii)停止配列として働くDNAリンカー(すなわち、5'-(dA)27)、(iv)dCdC-3'、および(v)3'ピューロマイシン(P)を含むmRNAからできていた。ポリdA配列を選んだのは、それが、AサイトでtRNAを鋳型とすることが少なく(Morganら、J. Mol. Biol. 26:477-497 (1967); Ricker and Kaji, Nucleic Acids Research 19:6573-6578 (1991))、また、十分に停止配列として作用するように設計されていたからである。オリゴdAリンカーの長さは、翻訳部位とペプチド転移中心との間の距離が約60〜70オングストローム続いていることから決定した。dCdCPはtRNAのCCA末端を模倣するので、ピューロマイシンがリボソームのAサイトに結合するのが促進されるよう設計した。
【0072】
最小鋳型 43-P の化学合成
構築物43-P(図3に示されている)を合成するために、まず、標準的なホスホロアミダイトオリゴヌクレオチド合成化学法と親和的な方法で、ピューロマイシンを固形支持体に付着させた。このオリゴの合成プロトコールは、図3に概略が図解されており、より詳しくは後述される。ピューロマイシンを、調節された多孔ガラス(CPG)に付着するために、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)のDNA合成機モデル380用のユーザー会報49号(1988)で説明されているところにしたがって、トリフルオロアセチル基でアミノ基を保護した。次に、標準的なDMT-Cl法(ゲート(Gait)、オリゴヌクレオチド合成、実際的方法(Oligonucletide Synthesis, A Practical Approach)、実用的応用シリーズ(The Practical Approach Series)(IRLプレス、オクスフォード(IRL Press, Oxford)、1984))を用いて、5'OHの保護を行い、また、3'OHを用いてデオキシヌクレオチドの付着を行ったのと全く同じ方法で、2'OHによるアミノヘキシルCPGへの付着を行った(図3と、ゲート(Gait)、前記参照)。こうして、5'DMT-CPG結合して保護されたピューロマイシンが、ホスホロアミダイトモノマーによる鎖伸長に適したものとなった。オリゴ合成は、3'→5'の方向に進み、(i)3'ピューロマイシン、(ii)pdCpdC、(iii)リンカーとしての約27ユニットのdA、(iv)AUG、および(v)シャイン-ダルガルノ配列の順序で進んだ。43-P構築物の配列を下に示す。
【0073】
CPG ピューロマイシンの合成
保護されたCPGピューロマイシンの合成は、以前概説されている(ゲート(Gait)、オリゴヌクレオチド合成、実際的方法(Oligonucletide Synthesis, A Practical Approach)、実用的応用シリーズ(The Practical Approach Series)(IRLプレス、オクスフォード(IRL Press, Oxford)、1984))ように、デオキシヌクレオチドに用いた一般的な経路にしたがった。主な出発点には、適当なN末阻害基の選択、ピューロマイシン2'OHにおける固形支持体への付着、および固形支持体への結合反応が含まれる。後者の場合には、この物質が、固形支持体よりもかなり高価であったため、活性化されたヌクレオチドの濃度が非常に低いところで反応を行なった。この結果、希釈した反応条件を考慮すれば、非常に満足のゆく収量(〜20μmol/g支持体)が得られた。
【0074】
N- トリフルオロアセチルピューロマイシンの合成
267 mg(0.490 mmol)のピューロマイシン塩酸を、まず水に溶解し、pH 11の炭酸緩衝液を加えてから、クロロホルムの中(3×)で抽出して、遊離塩基の形に変えた。有機層を蒸発させて乾燥させ、重量を計量した(242 mg, 0.513 mmol)。次に、遊離の塩基を11 mlの無水ピリジンと11 mlの無水アセトニトリルに溶解してから、139μl(2.0 mmol)のトリエチルアミノ(TFA、Fluka)と139μl(1.0 mmol)の無水トリフルオロ酢酸(TFAA、Fluka)を加えて撹拌した。そして、薄層クロマトグラフィー(tlc)(93:7、クロロホルム/MeOH)によって測定して、出発物質が完全になくなるまで、この混濁液にTFAAの等量液を20μlずつ加えた(総量280μl)。この反応を1時間行なわせた。この時点で、薄層クロマトグラフィーで二本のバンドが見えたが、どちらも、出発物質よりは高い移動度をもっていた。NH4OHと水で反応を進めたところ、単一のバンドだけになった。シリカクロマトグラフィー(93:7、クロロホルム/MeOH)によって、293 mg(0.515 mmol)の産物、N-TFA-Purが得られた。この反応産物を、図4に概略的に示す。
【0075】
N- トリフルオロアセチル 5'-DMT ピューロマイシンの合成
上記の反応からの産物を等量液にして、水を除去するために、無水ピリジンととともに2回蒸発させた。複数のチューブを用意して、いくつかの反応条件を調べた。少量の反応では、27.4 mg(48.2μモル)のN-TFA-Purを、0.05当量のDMAPと1.4当量のTEAを含む、480μlのピリジンの中に溶解した。この混合液に、20.6 mgのジメトキシルトリチルクロライド(60μmol)を加えて、撹拌しながら反応を完全になるよう進行させた。等量の水(約500μl)を溶液に加えて、この反応を停止させた。この反応は成功したように見えたので、大規模にして実験を行なった。特に、262 mg(0.467 mmol)のN-TFA-Purを、2.4mlのピリジンの中に溶解した後、1.4当量のTEA、0.05当量のDMAP、および1.2当量のジメトキシルトリチルクロライドを加えた。約2時間後、さらに50 mg(0.3当量)のジメトキシトリチル*Cl(DMT*Cl)を加えて、反応をさらに20分間進ませた。3 mlの水を加えて反応を停止させ、CH3CNとともに3回蒸発させた。この反応物を、100 mlシリカ(乾燥)、直径2 mmのカラム上で、95:5のクロロホルム/MeOHによって精製した。精製が不完全だったため、別の同じカラム上で97.5:2.5のクロロホルム/MeOHによって行なった。全収量は、325 mgまたは0.373 mmol(または72%の収率)であった。この反応産物を図4に図解する。
【0076】
N- トリフルオロアセチル、 5'-DMT 2' スクシニルピューロマイシンの合成
少量の反応スケールでは、32 mg (37μmol)の上記合成産物を、1.2当量のDMAPと結合させ、350μlのピリジンに溶解した。この溶液に、44μlの無水CH3CNに入った1.2当量の無水コハク酸を加えて一晩撹拌した。薄層クロマトグラフィーによって、出発物質が少し残っているのが分かった。大規模な反応においては、292 mg (336μmol)の前記産物を、3 mlのピリジンの中で、1.2当量のDMAPと結合させた。これに、無水CH3CNに入った403μlの1 M無水コハク酸(Fluka)を加え、混合液を一晩撹拌した。薄層クロマトグラフィーによって、再び、出発物質が少し残っているのが分かった。この2つの反応液を合わせて、さらに0.2当量のDMAPとコハク酸を加えた。この産物をトルエンとともに1回蒸発させ、高い真空状態で、黄色い泡になるまで乾燥させた。CH2Cl2を加えて(20 ml)、15 mlの10%氷冷クエン酸で2回抽出し、さらに2回、純水で抽出した。この産物を乾燥させて、2 mlのCH2Cl2に再溶解し、さらに、50 mlのヘキサンを加えて撹拌しながら沈殿させた。そして、この産物をボルテックスで撹拌してから、医療用の遠心分離器で600 rpmで10分間遠心分離した。溶出物のほとんどを除去してから、デシケータの中で、最初は低い真空状態で、次に高い真空状態にして、残りの産物を乾燥させた。この反応物の収量は約260μmolで、1段階についての収率は約70%であった。
【0077】
N- トリフルオロアセチル 5'-DMT 2' スクシニル、 CPG ピューロマイシンの合成
次に、前記段階からの産物を、1 mlのジオキサン(Fluka)で溶解してから、0.2 mlのジオキサン/0.2 mlのピリジンに溶解した。この溶液に、40 mgのp-ニトロフェノール(Fluka)と、140 mgのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、Sigma)を加えてから、反応を2時間進行させた。この反応で産生された不溶性のシクロヘキシルウレアを遠心分離して除去し、この産物溶液を、22 mlの無水DMFに懸濁された5 gのアミノヘキシル調節多孔ガラス(CPG)に加えて、一晩撹拌した。そして、DMF、メタノール、およびエーテルで樹脂を洗浄してから乾燥させた。この結果できた樹脂は、1 g当り22.6μmolのトリチルを含んでいると測定されたが、これは、このタイプの支持体について十分に許容できる範囲に含まれる。そして、支持体に蓋をして、15 mlのピリジン、1 mlの無水酢酸、および60 mgのDMAPとともに30分間インキュベートした。このカラム材料は、ブロッキングする前はこのカラム材料が濃青色反応を生じたという結果とは対照的に、ニンヒドリン試験で陰性(発色なし)の結果を生じた。この反応産物を、図4に示す。または、ピューロマイシン-CPGを購入することができる(Trilink)。
【0078】
mRNA- ピューロマイシン結合体の合成
上記で検討したように、ピューロマイシンを繋げたオリゴを用いて、2つの方法のどちらかで、翻訳用の鋳型として働くmRNA-ピューロマイシン結合体を作製することができる。非常に短いオープンリーディングフレームのために、ピューロマイシンオリゴは、典型的には、RNAまたはDNAのモノマーとともに化学的に伸長して、全部が合成された鋳型を作出する。より長いオープンリーディングフレームが望ましいときには、一般的には、ムーアとシャープ(Moore and Sharp)(Science, 256:992 (1992))によって説明されているようにして、DNAスプリントとT4 DNAリガーゼを用いて、RNAまたはDNAオリゴをmRNAの3'末端に連結させる。
【0079】
インビトロでの翻訳および RNA- 蛋白質融合物の試験
以下のように細菌細胞および真核細胞のインビトロ翻訳系を共に使用して、上記のように作成した鋳型をインビトロで翻訳した。
【0080】
最小鋳型のインビトロ翻訳
(i)エルマン(Ellman)ら(Methods Enzymol. 202:301(1991))が記載するように調製した大腸菌(E. coli)MRE600由来のS30系(Zubay, Ann. Rev. Genet. 7:267(1973);Collins, Gene 6:29(1979);Chen and Zubay, Methods Enzymol, 101:44(1983);Pratt, in Transcription and Translation: A Practical Approach, B. D. Hammes, S. J. Higgins, Eds.(IRL Press, Oxford, 1984)pp.179-209; and Ellman et al., Methods Enzymol. 202:301(1991));(ii)クドリッキ(Kudlicki)ら(Anal. Chem. 206:389(1992))が記載するように調製した同菌株由来のリボソーム分画;および(iii)レスリー(Lesley)ら(J. Biol. Chem. 266:2632(1991))が記載するように調製した大腸菌(E. coli)BL21由来のS30系を含むいくつかの異なるインビトロ翻訳系に43-Pおよび関連するRNA-ピューロマイシン結合体を添加した。どの場合も、使用したプレミックスはレスリー(Lesley)ら(J. Biol. Chem. 266:2632(1991))が使用したものであり、インキュベーション期間は30分とした。
【0081】
融合物の性質の試験
大腸菌(E. coli)のS30翻訳抽出物を使用して43-P鋳型をまず試験した。図5は(反応「A」)は、43-Pがリボソームに結合し、fMetの鋳型であると同時にアクセプターとして作用する、望ましい分子内(シス)反応を示す。鋳型への35S-メチオニンの取り込みおよびその位置をまず試験し、結果を図6Aおよび図6Bに示す。インビトロ翻訳反応混合物をフェノール/クロロホルムで抽出し、産物をSDS-PAGEにより分析すると、35S標識バンドが43-P鋳型と同じ移動度で出現した。このように合成した材料の量はMg2+濃度に依存した(図6A)。至適Mg2+濃度は9〜18mMであると思われ、本発明の系での翻訳の最適値と類似していた(Zubay, Ann. Rev. Genet. 7:267(1973);Collins, Gene 6:29(1979);Chen and Zubay, Methods Enzymol, 101:44(1983);Pratt, in Transcription and Translation: A Practical Approach, B. D. Hammes, S. J. Higgins, Eds.(IRL Press, Oxford, 1984)pp.179-20;Ellman et al., Methods Enzymol. 202:301(1991);Kudlicki et al., Anal. Chem. 206:389(1992);and Lesley et al., J. Biol. Chem. 266:2632(1991))。さらに、取り込まれた標識はNH4OHによる処理に安定であった(図6B)。これは、標識が分子の3'側の半部に位置し(塩基安定DNA部分)、ピューロマイシンとfMetとの間のアミド結合に期待されるように、塩基安定結合によって結合されてていることを示している。
【0082】
リボソームおよび鋳型依存性
上記に観察されたリボソーム上で生じた反応を明らかにするために、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ機能の特異的阻害剤の影響を試験し(図6C)、メチオニンをコードする配列を変更する影響を調査した(図6D)。図6Cは、反応がペプチジルトランスフェラーゼ阻害剤であるバージニアマイシン、ゴーゲロチンおよびクロラムフェニコール(virginiamycin, gougerotin, and chloramphenicol)によって強力に阻害されたことをはっきりと示している(Monro and Vazquez, J. Mol. Biol. 28:161-165(1967);and Vazquez and Monro, Biochemica et Biophysical Acta 142:155-173(1967))。図6Dは、鋳型の1つの塩基をAからCに変更することにより、9mMのMg2+では35Sメチオニンの取り込みを阻止し、18mMではかなり低下させることを示す(高濃度のMg2+はメッセージを誤読するという事実と一致する)。これらの実験は、反応が鋳型依存的にリボソーム上で生じることを示した。
【0083】
リンカー長
リンカー長に対する反応の依存性についても試験した(図6E)。リンカーが解読部位(鋳型のAUGが占める)からアクセプター部位(ピューロマイシン部位が占める)までの距離にわたるように元の鋳型を設計した。距離はtRNAのアンチコドンループからアクセプターステムまでの距離、すなわち約60〜70Åとほぼ同じであった。試験した最初のリンカーは、塩基あたり最小3.4Åであることに基づいて(≧102Å)、30ヌクレオチド長であった。30〜21ヌクレオチドの範囲では(n=27 - 18; 長さ≧102 - 71 Å)、反応効率にわずかな変化が観察されただけであった。従って、リンカー長は変更されてもよい。21〜30ヌクレオチドのリンカーが好ましい長さとなるが、80ヌクレオチドより短いリンカー、好ましくは45ヌクレオチドより短いリンカーも本発明に使用することができる。
【0084】
分子内反応と分子間反応
最後に、本発明者らは、反応が望ましく分子内に生じたか(図5、反応「A」)または分子間で生じたか(図5、反応「B」)を試験した。3'側のピューロマイシンを持つが、リボソーム結合配列を持たないオリゴヌクレオチド(すなわち、鋳型25-P、13-Pおよび30-P)を43-P鋳型を含む翻訳反応に添加することによってこれを試験した(図6F、6Gおよび6H)。反応が分子間機序によって生じると、比較的短いオリゴも標識されるだろう。図6F〜Hに示すように、比較的短い3つのオリゴは35Sメチオニンの取り込みがほとんどなかった。これは、反応が主に分子内的に生じたことを示している。25-P(配列番号:10)、13-P(配列番号:9)および30-P(配列番号:8)の配列を以下に示す。
【0085】
網状赤血球溶解産物
図6Hは、上記に使用した大腸菌(E. coli)以外にも、インビトロ翻訳のためのウサギ網状赤血球溶解産物(以下を参照のこと)を使用して、35S-メチオニンが43-P鋳型に取り込まれることができることを示す。この反応は、望ましくも、主に分子内機序で生じた。
【0086】
c-myc エピトープタグを有する融合物の合成と試験
蛋白質部分にc-mycモノクローナル抗体9E10のエピトープタグを有する例示的な融合物も作製した(Evan et al., Mol. Cell Biol. 5:3610(1985))。
【0087】
鋳型の設計
3種類の最初のエピトープタグ鋳型(すなわち、LP77、LP154およびプール番号1)を設計し、図7A-Cに示す。最初の2つの鋳型はc-mycエピトープタグ配列EQKLISEEDL(配列番号:2)を有し、3つめの鋳型はランダム選択プールの合成に使用する設計であった。LP77は12アミノ酸配列をコードし、コドンは細菌翻訳に最適化していた。LP154およびその誘導体は33アミノ酸mRNA配列を有し、コドンは真核細胞の翻訳に最適化していた。コードされたアミノ酸配列MAEEQKLISEEDLLRKRREQKLKHKLEQLRNSCA(配列番号:7)は、9E10抗体を単離するために使用した元のペプチドに相当した。プール番号1は、NNG/Cの27コドン(ランダムペプチドを作製する)と、その下流に、mycペプチドの最後の7アミノ酸に相当する配列(mycエピトープ配列の一部ではない)を有した。これらの配列を以下に示す。
【0088】
網状赤血球インビトロ翻訳系と小麦胚芽インビトロ翻訳系
43-P、LL77およびLP154鋳型をウサギ網状赤血球翻訳系および小麦胚芽抽出物(プロメガ(Promega)社、ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)社)翻訳系の双方で試験した(図8)。翻訳は30℃で60分間実施した。4℃においてdT25アガロースを使用して鋳型を単離した。15mM NaOH、1mM EDTAを使用して鋳型をアガロースから溶出し、NaOAc/HOAc緩衝液で中和し、速やかにエタノールで沈殿させ(2.5〜3容量)、洗浄し(100%エタノール)、スピードバック(speedvac)濃縮器で乾燥した。図8は、35Sメチオニンが小麦胚芽系および網状赤血球系の双方において3種類の全ての鋳型に取り込まれたことを示す。網状赤血球系の融合反応では鋳型の分解はあまり観察されず、従って、この系はRNA-蛋白質融合物の作製に好ましい。また、一般に、真核細胞系が細菌細胞系より好ましい。真核細胞はヌクレアーゼの量がより少ない傾向にあるので、mRNAの寿命は細菌細胞より真核細胞の方が概して10〜100倍長い。1つの特定の大腸菌(E. coli)翻訳系を使用した実験において、c-mycエピトープをコードする鋳型を使用した融合物の作製は観察されなかった;鋳型の種々の位置での標識は、これが鋳型のRNAおよびDNA部分の分解による可能性があることを示した。
【0089】
これらの融合物のペプチド部分を調査するために、試料をRNaseで処理して、コード配列を除去した。この処理により、43-P産物は32P標識30-Pオリゴとほぼ同じ移動度で移動した。これは30-Pに添加した非常に小さいペプチド(おそらくメチオニンのみ)に一致した。LP77は、コード配列を除去することにより、30-Pオリゴより移動度の小さい産物を生成した。これは12アミノ酸ペプチドがピューロマイシンに添加されたという考えと一致する。最後に、LP154は、コード配列を除去することにより、移動度がさらに小さい産物を生成した。これは30-Pオリゴに結合した33アミノ酸配列に一致する。RNase処理LP154網状赤血球レーンにはローディングエラーによるオリゴは観察されなかった。図9では、この産物の移動度が小麦胚芽抽出物中に作製された産物と同じであることを示した。要約すると、これらの結果はRNAase耐性産物が30-Pオリゴの末端に添加されたこと、産物のサイズはコード配列の長さに比例すること、および産物は大きさがほぼ同じであることを示した。また、両方の系は類似した融合産物を産生したが、網状赤血球系は鋳型の安定性が高いことによりより優れていると思われた。
【0090】
RNase A およびプロテイナーゼ K 感受性
図9では、RNase AおよびプロテイナーゼKに対する感受性をLP154融合物を使用して試験した。レーン2〜4に示すように、35Sメチオニンの取り込みはLP154鋳型では明らかである。この産物をRNase Aで処理すると、融合物の移動度は低下するが、32P標識30-Pオリゴヌクレオチドよりはかなり大きかった。これは、3側末端に33アミノ酸ペプチドを添加したことに一致する。この材料をプロテイナーゼKでも処理すると、35Sシグナルは完全に消失した。これもまた、標識が30-P断片の3'側末端のペプチドに存在するという考えに一致した。同様の結果が、43-PとLP77の融合物を使用した同等の実験で得られている。
【0091】
35S Metによる鋳型の標識が翻訳の結果であること、さらに詳細にはリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ活性によって生じたことを確認するために、標識反応に対する種々の阻害剤の影響を調べた。真核細胞のペプチジルトランスフェラーゼの特異的な阻害剤である、アニソマイシン、ゴーゲロチンおよびスパルソマイシン(anisomycin, gougerotin, and sparsomycin)(Vazquez, Inhibitors of Protein Biosynthesis(Springer-Verlag, New York),pp. 312(1979))、並びに転移阻害剤である、シクロヘキシミドおよびエメチン(cycloheximide and emetine)(Vazquez, Inhibitors of Protein Biosynthesis(Springer-Verlag, New York),pp. 312(1979))は全て、長いmyc鋳型および網状赤血球溶解産物翻訳抽出物を使用したとき、RNA-ペプチド融合物形成を〜95%低下した。
【0092】
免疫沈降実験
mRNA-ペプチド融合物を免疫沈降させる効率を例示するために設計した実験では、インビトロ翻訳によって作製された遊離のc-mycペプチドを免疫沈降させる試みを実施した。図10は、SDS-PAGEペプチドゲルでアッセイしたこれらの実験の結果を示す。レーン1およびレーン2は、RNA124(LP154のRNA部分)またはβ-グロビンmRNAのどちらかを含む翻訳反応の標識材料を示す。レーン3〜8は、いくつかの異なる緩衝液条件下において(以下に記載)、c-mycモノクローナル抗体9E10を使用した、これらの反応試料の免疫沈降を示す。レーン3〜5は、RNA124由来のペプチドが効果的に免疫沈降され、最も良い例は、総TCA沈降可能計数の〜83%が単離されたレーン4であった。レーン6〜8は、β-グロビン蛋白質をほとんど示さない。これは精製が>100倍であることを示している。これらの結果は、RNA124(およびLP154)によってコードされるペプチドはこの免疫沈降プロトコールによって定量的に単離され得ることを示した。
【0093】
融合物の免疫沈降反応
次に、本発明者らは、LP154翻訳反応およびc-mycモノクローナル抗体9E10を使用して、キメラRNA-ペプチド産物を免疫沈降させる能力について試験した(図11)。網状赤血球反応の翻訳産物は免疫沈降によって単離し(本明細書に記載するように)、室温で30分間1μgのRNaseで処理してコード配列を除去した。これによって5'側のOHを作製し、T4ポリヌクレオチドキナーゼで32P標識し、変性PAGEでアッセイした。図11は、LP154融合物のRNase処理によって作製された、c-mycエピトープと30-Pとの融合物に見られるものと同様の移動度を有する産物(上記を参照のこと)が単離されたことを示すが、鋳型のRNA部分(RNA124)だけを翻訳した場合には、対応する産物は作製されなかった。図12では、単離された融合蛋白質の量を測定し、未修飾30-Pの量に対してプロットした(この図には示していない)。リンカー-mycペプチド融合物に対する未修飾リンカーの比の値は、取り込まれたメッセージの0.2〜0.7%は融合産物に変換されたことを示す。より大きいリボソーム/鋳型比が存在する場合には、より大きい割合の取り込まれたRNAが融合蛋白質に変換された。試験した、取り込まれたmRNA濃度の範囲にわたって、翻訳抽出物1mlあたり約0.8〜1.0×1012の融合分子が作製された。
【0094】
また、本発明者らの結果は、RNA種に結合したペプチドはそのmRNAによってコードされたことを示した。すなわち、新生ペプチドはいくつかの他のmRNAのピューロマイシンに転移しなかった。20 : 1 もの高い比で翻訳抽出物中でリンカー(30-P)を長いmyc鋳型と共に同時インキュベーションした場合には、交差転移を示すものは観察されず、遊離のリンカーの存在は、作製された長いmyc融合物の量を有意には低下させなかった。同様に、短い鋳型と長い鋳型である、43-PとLP154の同時翻訳は、短い鋳型と長いmycペプチドとの融合に期待されるように、鋳型が単独で翻訳された場合に観察される融合産物のみを作製し、中間の移動度の産物は観察されなかった。これらの結果は共に、融合物の形成が新生ペプチドと同じリボソームに結合したmRNAとの間で主に生じたことを示した。
【0095】
連続的単離
インビトロ翻訳されたLP154鋳型産物の性質をさらに確認するものとして、本発明者らは2つの異なる種類のクロマトグラフィー媒体でのこの産物の挙動を調査した。チオプロピル(TP)セファロースにより、遊離のシステインを有する産物を単離することができる(例えば、C末端に隣接したシステイン残基を有するLP154産物)(図13)。同様に、dT25アガロースにより、ポリdA配列を有する鋳型を単離することができる(例えば、30-P)(図13)。図14は、TPセファロース次いでdT25アガロースでの連続的な単離によりdT25アガロース単独で単離されるものと同じ産物を作製したことを示す。インビトロ翻訳産物がポリAトラクト(tract)と遊離チオールの両方を有したということは、翻訳産物が望ましいRNA-ペプチド融合物であることを強く示した。
【0096】
上記の結果はmRNA-ペプチド融合物を合成し、それらをインビトロ翻訳抽出物から無傷で回収することをできることと一致する。このように合成された融合物のペプチド部分は、免疫沈降および適当なクロマトグラフ技法を使用した単離によって明らかにされるように、目的の配列を有すると思われる。上記の結果によると、反応は分子内的で、鋳型依存的に生じる。最後に、1%未満の鋳型修飾率の場合でも、本発明の系は約1013分子の候補複合物に基づいた選択を容易にする。
【0097】
c-myc エピトープ回収選択
追加のc-mycエピトープを選択するために、ランダム領域を有する翻訳鋳型の大きいライブラリー(例えば、1015分子)を作製した(図7Cおよび以下を参照のこと)。このライブラリーを使用して、〜1012〜1013の融合物(本明細書に記載されているように)を作製し、抗c-myc抗体で処理し(例えば、免疫沈降によって、またはカラムもしくは他の固相支持体に固定した抗体を使用して)、インビトロ選択を繰り返し実施してc-mycコード鋳型を濃縮する。
【0098】
融合物形成モデル
特定の理論に結びつけることなく、本発明者らは、翻訳が正常に開始し、読み取り枠の末端まで伸長が進行する、融合物形成機序のモデルを提案する。リボソームが鋳型のDNA部分に達すると、翻訳は遅れる。この時点で、複合体は2つの運命に分けられる:新生ペプチドの解離または新生ペプチドの鋳型の3'側末端のピューロマイシンへの転移。転移反応の効率は、遅延した翻訳複合体の安定性とペプチジルトランスフェラーゼ中心のAサイトへの3'-ピューロマイシン残基の導入に影響を与える数多くの要因によって制御されやすい。転移反応後では、mRNA-ペプチド融合物は、既知の放出因子がRNAとペプチドドメインの安定なアミド結合を加水分解することができないので、リボソームとの結合体を維持しているようであった。
【0099】
典型的な伸長モデル(Watson, Bull. Soc. Chim. Biol. 46:1399(1964))および中間状態モデル(Moazed and Noller, Nature 342: 142(1989))は共に、ピューロマイシンがペプチジルトランスフェラーゼ中心に導入されるためにAサイトになにも占めていないことを必要とする。開いているAサイトに導入されるピューロマイシンにとっては、リンカーはリボソームの外側がループになっているか、またはAサイトを通る解読部位からペプチジルトランスフェラーゼ中心まで直接通過するかしなければならない。試験した最も短いリンカー(21nts)はリボソームの外側を通過するのにも長すぎるので、本明細書に記載するデータはこれらの代替物をはっきりと区別していない。リボソーム構造のいくつかのモデルでは(Frank et al., Nature 376: 441(1995))、mRNAは解読部位の一方の側に延在する溝を通過するが、この場合には、ピューロマイシンにAサイトを通過させてペプチジルトランスフェラーゼ中心に到達させるためには、溝からリンカーを抜き取ることが必要であると思われる。
【0100】
新生ペプチドのピューロマイシンへの転移は、リンカーに結合するペプチドの均質性および長さによって明らかにされるように、伸長過程と比較してゆっくりであると思われる。ピューロマイシンが伸長中にアミノアシルtRNAと効果的に競合した場合には、融合産物中に存在するリンカー-ペプチド融合物はサイズが異なることが予測されると思われる。さらに、Met-鋳型融合物と未修飾リンカーとのゲル移動度が類似していることによって示されるように、リボソームはリンカー領域に読み込まれないと思われた。dA3nは、リンカーの移動度を確かに低下させる(lysinc)nをコードしなければならない。mRNAの速度の遅い抜き取りは転移速度に比較して融合物形成速度が遅いことを説明している。予備試験による結果は、形成された融合産物の量が、おそらく新生ペプチドがピューロマイシンまで移行するのに利用する時間が長いために、低温での伸長された翻訳後インキュベーションにより顕著に増加することを示唆している。
【0101】
詳細な材料および方法
インビトロ翻訳およびmycエピトープタグを有する融合物を含むRNA-蛋白質融合物の試験に関する詳細な材料と方法を以下に記載する。
【0102】
配列
上記のRNA-蛋白質融合物を作製するために数多くのオリゴヌクレオチドを使用した。これらのオリゴヌクレオチドは以下の配列を持つ。
Figure 0004870870
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Figure 0004870870
オリゴヌクレオチドは全て5'側から3'側方向に掲載してある。リボヌクレオチド塩基は、ヌクレオチドの名称の前に小文字「r」で示してある:Pはピューロマイシンである:rNは等量のrA、rG、rCおよびrUを示す:rSは等量のrGとrCを示す;全ての他の塩基の名称はDNAオリゴヌクレオチドを示す。
【0103】
化学物質
ピューロマイシンHCl、長鎖アルキルアミン制御式細孔ガラス、ゴーゲロチン、クロラムフェニコール、バージニアマイシン、DMAP、塩化ジメチルトリチルおよび無水酢酸はシグマケミカル(Sigma Chemical)社(ミズーリ州セントルイス)から入手した。ピリジン、ジメチルホルムアミド、トルエン、無水コハク酸およびパラ-ニトロフェノールはフルカケミカル(Fluka Chemical)(ニューヨーク州ロンコンコマ)から入手した。β-グロビンmRNAはノバゲン(Novagen)社(ウィスコンシン州マディソン)から入手した。TMV RNAはベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)社(インディアナ州インディアナポリス)から入手した。
【0104】
酵素
プロテインキナーゼKはプロメガ(Promega)社(ウィスコンシン州マディソン)から入手した。DNaseを含まないRNAaseはサムブルック(Sambrook)ら(前記)により製造するか、またはベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)社から購入した。T7ポリメラーゼは報告されているグロッドベルグ(Grodberg)およびダン(Dunn)のプロトコール(J. Bacteriol. 170:1245(1988))にザワヅキー(Zawadzki)およびグロス(Gross)(Nucl. Acids Res. 19:1948(1991))の改良を加えたものによって製造した。T4 DNAリガーゼはニューイングランドバイオラブズ(New England Biolabs)(マサチューセッツ州ベバーリー)から入手した。
【0105】
放射能標識導入の定量
放射活性ゲルバンドでは、各バンドに存在する放射標識(35Sまたは32P)の量をベータゲン(Betagen)603ブロットアナライザー(ベータゲン(Betagen)、マサチューセッツ州ワルサム)で、またはホスホールイメージャープレート(phosphorimager plates)(モレキュラーダイナミクス(Molecular Dynamics)、カリフォルニア州サニーベール)を使用して定量測定した。液体試料および個体試料は、存在する放射能標識(35Sまたは32P)の量をシンチレーション計数(ベックマン(Beckman)、メリーランド州コロンビア)によって測定した。
【0106】
ゲル画像
ゲル画像はオートラジオグラフィー(コダック(Kodak)XARフィルムを使用)によって、または)ホスホールイメージャープレート(phosphorimager plates)(モレキュラーダイナミクス(Molecular Dynamics))を使用して得た。
【0107】
CPG ピューロマイシンの合成
CPG-ピューロマイシンの合成の詳細なプロトコールは上記に概略してある。
【0108】
酵素反応
一般に、大腸菌(E. coli)抽出物を使用したキナーゼのための核酸の調製、転写、PCRおよび翻訳反応は同じであった。各調製プロトコールは等容量の1:1フェノール/クロロホルムを使用した抽出から開始し、次に遠心分離、水相の単離であった。酢酸ナトリウム(pH 5.2)およびスペルミジンを、それぞれ最終濃度300mMおよび1mMまで添加し、3容量の100%エタノールを添加して、-70℃において20分間インキュベーションすることによって試料を沈殿させた。試料を>12,000gで遠心分離し、上清を除去し、ペレットを過剰量の95%エタノールで0℃において洗浄した。得られたペレットを次いで真空下で乾燥し、再懸濁させた。
【0109】
オリゴヌクレオチド
全ての合成DNAおよびRNAは、製造業者が提供するように(Milligen, Bedford, MA)、各々のための標準的な化学物質を使用して、ミリポア エクスペダイト(Millipore Expedite)合成装置で合成した。3'ピューロマイシンを有するオリゴヌクレオチドは、30〜50mgの固相支持体を充填したCPGピューロマイシンカラムを使用して合成した(〜20μmoleピューロマイシン/グラム)。3'ビオチンを有するオリゴヌクレオチドはグレンリサーチ(Glen Research)(バージニア州スターリング)製の1μmoleバイオテグ(bioteg)CPGカラムを使用して合成した。5'ビオチンを有するオリゴヌクレオチドは5'塩基としてバイオテグホスホラミダイト(bioteg phosphoramidite)(グレンリサーチ(Glen Research))を添加することによって合成した。RNA分子の3'側末端に結合されるオリゴヌクレオチドは5'側末端の化学的リン酸化(グレンリサーチ(Glen Research)製の化学的リン酸化試薬を使用)した後に脱保護するか、または脱保護後にATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼ(ニューイングランドバイオラブズ(New England Biolabs))を使用して酵素的にリン酸化した。DNAだけ(および3'ピューロマイシンまたは3'ビオチン)を含む試料は、25%NH4OHを添加し、次に55℃で12時間インキュベーションすることによって脱保護した。RNAモノマー(例えば、43-P)を含む試料は、NH4OH溶液にエタノール(25%(v/v))を添加し、55℃で12時間インキュベーションすることによって脱保護した。2'OHは、1M TBAFのTHF溶液(シグマ(Sigma)社)を使用して室温で48時間脱保護した。TBAFはNAP-25セファデックスカラム(ファルマシア(Pharmacia)、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用して除去した。
【0110】
望ましくは、3'ヒドロキシル基の存在に関して試験するために、ピューロマイシンオリゴヌクレオチドを、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて5'末端において放射標識し、末端デオキシヌクレオチド転移酵素による伸長のためのプライマーとして用いてもよい。ピューロマイシンの第一アミンの存在を、NHS-LC-ビオチン(Pierce)のようなアミン誘導試薬との反応によって調べてもよい。30-Pのようなオリゴヌクレオチドは、反応の際に変性PAGEにより検出可能な移動度シフトを示し、試薬との定量的反応を示す。ピューロマイシンが欠損したオリゴヌクレオチドはNHS-LC-ビオチンと反応せず、移動度の変化を示さない。
【0111】
脱保護後のDNAおよびRNA試料は、次いで変性PAGEを使用して精製し、次にソーキングまたは、エルトラップ(Elutrap)(シュレイチャー アンド シャクル(Schleicher and Schuell)、ニュハンプシャー州ケーン)を使用してゲルから電気溶出(electro-eluting)し、上記のようにNAP-25セファデックスカラムまたはエタノール沈殿することによって脱塩した。
【0112】
myc DNA 構築
c-mycエピトープタグを有する2つのDNA鋳型を構築した。最初の鋳型は、オリゴヌクレオチド64.27(5'-GTT CAG GTC TTC TTG AGA GAT CAG TTT CTG TTC CAT TTC GTC CTC CTC CCT ATA GTG AGT CGT ATT A-3')(配列番号:18)および18.109(5'-TAA TAC GAC TCA CTA TAG-3')(配列番号:19)の組み合わせから製造した。この鋳型を使用した転写は、ペプチドMEQKLISEEDLN(配列番号:20)をコードしたRNA47.1を作製した。RNA47.1と30-Pとの連結は図7Aに示すLP77を作製した。
【0113】
第2の鋳型は、RWR99.6の名称を持ち、配列5'AGC GCA AGA GTT ACG CAG CTG TTC CAG TTT GTG TTT CAG CTG TTC ACG ACG TTT ACG CAG CAG GTC TTC TTC AGA GAT CAG TTT CTG TTC AGC CAT-3'(配列番号:21)を有する、長さ99塩基の1つのオリゴヌクレオチドとしてまず作製した。この配列を有する2本鎖転写鋳型は、報告されているプロトコール(Ausubel et al., 前記、15章)により、オリゴRWR 21.103(5'-AGC GCA AGA GTT ACG CAG CTG-3')(配列番号:22)とRWR 63.26(5'TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA CAA TTA CTA TTT ACA ATT ACA ATG GCT GAA GAA CAG AAA CTG-3')(配列番号:23)を用いたPCRによって構築した。この鋳型を使用した転写は、ペプチドをコードする、RNA124と呼ばれるRNAを作製した。
MAEEQKLISEEDLLRKRREQLKHKLEQLRNSCA(配列番号:24)、このペプチドは、担体蛋白質(オンコジーン サイエンス テクニカル ブルチン(Oncogene Science Technical Bullutin))と結合したとき、モノクローナル抗体9E10を産生するために使用される配列を有した。RNA124は長さが124ヌクレオチドで、RNA124と30-Pとの連結は図7Bに示すLP154を作製した。RNA124の配列を以下に示す(配列番号:32):
5'-rGrGrG rArCrA rArUrU rArCrU rArUrU rUrArC rArArU rUrArC rArArUrG rGrCrU rGrArA rGrArA rCrArG rArArA rCrUrG rArUrC rUrCrU rGrArA rGrArA rGrArC rCrUrG rCrUrG rCrGrU rArArA rCrGrU rCrGrU rGrArA rCrArG rCrUrG rArArA rCrArC rArArA rCrUrG rGrArA rCrArG rCrUrG rCrGrU rArArC rUrCrU rUrGrC rGrCrU-3'。
【0114】
ランダムプール構築
ランダムプールは、RWR130.1と命名される長さ130塩基の1つのオリゴヌクレオチドとして構築した。3'側末端から開始して、配列は3'CCCTGTTAATGATAAATGTTAATGTTAC(NNS)27GTC GAC GCA TTG AGA TAC CGA-5'(配列番号:25)であった。Nはランダム位置を示し、この配列は合成機の標準的なプロトコールにより作製した。SはdGとdC塩基の等量混合物を示す。PCRはオリゴヌクレオチド42.108(5'-TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA CAA TTA CTA TTT ACA ATT ACA)(配列番号:26)と21.103(5'-AGC GCA AGA GTT ACG CAG CTG)(配列番号:27)を用いて実施した。この鋳型の転写はプール130.1と命名されるRNAを作製した。プール130.1を30-Pに連結すると、図7Cに示すプール番号1(LP160とも呼ばれる)を作製する。
【0115】
(i)RWR130.1の出発濃度は30ナノモルであった、(ii)各プライマーを1.5μMの濃度で使用した、(iii)dNTP濃度が各塩基について400μMであった、および(iv)Taqポリメラーゼ(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)社)を100μlあたり5単位の濃度で使用したこと以外は、報告されているプロトコール(Ausubelら、前記)により7サイクルのPCRを実施した。2本鎖産物を非変性PAGEで精製し、電気溶出によって単離した。DNAの量は260nmのUV吸光度と臭化エチジウム蛍光発光の既知の標準品との比較によって測定した。
【0116】
RNA の酵素的合成
2本鎖PCR DNAおよび合成オリゴヌクレオチドの転写反応は、以前に記載したように(Milligan and Uhlenbeck, Meth. Enzymol. 180:51(1989))実施した。全長のRNAを、上記のように変性PAGE、電気溶出および脱塩により精製した。プールRNA濃度は、吸光係数1300 O.D./μmole; RNA 124、1250 O.D./μmole; RNA 47.1、480 O.D./μmoleを使用して推定した。2本鎖プールDNAからの転写は〜90ナノモルのプールDNAを作製した。
【0117】
RNA- ピューロマイシン複合物の酵素的合成
mycおよびプールメッセンジャーRNA配列の、オリゴヌクレオチドを有するピューロマイシンとの連結を、ムーア(Moore)およびシャープ(Sharp)(Science 250:992(1992))が記載する手順と類似した手順を使用して、19.35(5'-TTT TTT TTT TAG CGC AAG A)(配列番号:28)と呼ばれるDNAスプリント(splint)を使用して実施した。反応はmRNA、スプリントおよびピューロマイシンオリゴヌクレオチド(30-P、dA27dCdCP)がモル比0.8:0.9:1.0であり、プールmRNA1ピコモルあたりDNAリガーゼは1〜2.5単位であった。反応は室温において1時間実施した。プールRNA融合物の構築は、mRNA濃度は〜6.6μMであった。連結後、RNA-ピューロマイシン結合体を酵素反応について上記したように調製した。上記のように、沈殿を再懸濁し、全長の融合物を変性PAGEで精製し、電気溶出により単離した。プールRNA濃度は吸光計数1650 O.D./μmoleおよびmyc鋳型1600 O.D./μmoleを使用して推定した。この方法では、2.5ナノモルの結合体が作製された。
【0118】
dT 25 ストレプトアビジンアガロースの調製
3'ビオチンを含み(バイオテグホスホルアミダイト(biotag phosphoramidite)カラム(グレン リサーチ(Glen Research)で合成)NAP-25カラム(Phaemacia)で脱塩されたdT25を、1μM〜10μM又は1〜20μMの濃度で、ストレプトアビジンアガロースのスラリー(50容量%のアガロース、ピアース(Pierce)社、イリノイ州ロックフォード)と共にTE(10mM Tris Chloride pH8.2, 1mM EDTA)中で室温において1時間インキュベーションし、洗浄した。次いで、アガロースの結合能力を、溶液からのビオチン-dT25の消失によって、および/または既知量の相補的なオリゴヌクレオチドを含む樹脂を滴下することによって、光学的に推定した。
【0119】
大腸菌( E. coli )由来抽出物およびリボソームを使用した翻訳反応
一般に、購入したキット(例えば、直鎖鋳型のためには大腸菌(E. coli)S30抽出物、プロメガ(Promega)社、ウィスコンシン州マディソン)を使用して翻訳反応を実施した。しかし、大腸菌(E. coli)MRE600(ATCCから入手、メリーランド州ロックビル)も使用して、報告されているプロトコール(例えば、Ellman et al., Meth. Enzymol. 202:301(1991))によって調製したS30抽出物を作製し、またクドリッキ(Kudlicki)ら(Anal. Biochem. 206:389(1992))が記載するようにリボソーム分画を調製した。マーカーとして20〜40μCiの35Sメチオニンを用いて50μlの容量で標準的な反応を実施した。反応混合物は、30v/v%抽出物、9〜18mM MgCl2、メチオニンを除いた40v/v%プレミックス(プロメガ(Promega)社)および5μMの鋳型(例えば、43-P)からなった。同時インキュベーション実験では、オリゴ13-Pおよび25-Pを5μMの濃度で添加した。リボソームを使用した実験では、溶解物の代わりに反応につき3μlのリボソーム溶液を添加した。全ての反応は37℃において30分間インキュベーションした。酵素反応下で上記のように鋳型を精製した。
【0120】
小麦胚芽翻訳反応
製造業者の勧告に従い、メチオニンを含まない購入キット(プロメガ(Promega)社を使用して図8の翻訳反応を実施した。鋳型の濃度は43-Pでは4μMで、LP77およびLP154では0.8μMであった。反応は、30μCi35Sメチオニンを用いて総容量25μlで25℃において実施した。
【0121】
網状赤血球翻訳反応
購入キット(ノバゲン(Novagen)社、ウィスコンシン州マディソン)または報告されているプロトコール(Jackson and Hunt, Mrth. Enzymol. 96:50(1983))により調製した抽出物を使用して翻訳反応を実施した。網状赤血球が豊富な血液はペル-フリーズバイオロジカルズ(Pel-Freez Biologicals)(アラスカ州ロジャーズ)から入手した。両者の場合、反応条件はレッドノバリセート(Red Nova Lysate)(ノバゲン(Novagen)社)と共に使用することが勧められるものであった。反応は、100mM KCl、0.5mM MgOAc、2mM DTT、20mM HEPES pH 7.6、8mMリン酸クレアチン、各アミノ酸の25μM(35Sを使用した場合には、メチオニンを除く)および40v/v%の溶解物からなった。インキュベーションは30℃で1時間とした。鋳型の濃度は実験に依存したが、一般に、50nM〜1μMであり、43-Pは例外で4μMであった(図6H)。
【0122】
ランダムプールの作製は、10mlの翻訳反応を鋳型濃度〜0.1μM(1.25ナノモルの鋳型)において実施した。また、32P標識鋳型を反応物中でインキュベーションし、精製および選択手順の各段階に存在する材料の量を測定した。30℃において1時間の翻訳の後、反応物を氷上で30〜60分間冷却した。
【0123】
dT 25 ストレプトアビジンアガロース又はオリゴ dT セルロースを用いた融合物の単離
インキュベーション後、翻訳反応物を、dT25濃度が〜10μMである10倍モル量より過剰量のdT25-ビオチン-ストレプトアビジンアガロース又はオリゴdTセルロース(Pharmacia)を含有する単離緩衝液(1.0M NaCl、0.1M Tris Chloride pH 8.2、10mM EDTA、及び1mM DTT又は0.2% Triton X-100)で約150倍に希釈し(溶解物の容量に等しいかまたはそれ以上の容量のスラリー)、4℃において1時間攪拌しながらインキュベーションした。次いで、ろ過(ミリポア(Millipore)ウルトラフリーMCフィルター)または遠心分離のいずれかによってアガロースを混合物から除去し、冷却した単離緩衝液で2〜4回洗浄した。次いで、15mM NaOH、4℃の1mM EDTA又は室温の純水の50〜100μlアリコートで繰り返し洗浄することによって、dT25ストレプトアビジンアガロースから鋳型を遊離させた。溶出液を速やかに3M NaOAc pH5.2、10mMスペルミジンで中和し、エタノールで沈殿させるか又は次の精製段階に直接用いた。プール反応物では、回収した総放射能が、導入された鋳型の約50〜70%は回収されたことを示した。
【0124】
チオプロピルセファロースによる融合物の単離
システインを含有する融合物は、図13のように、チオプロピルセファロース6Bを使用して精製することができる(ファルマシア(Pharmacia))。本明細書に記載する実験では、単離は翻訳反応物から直接実施したり、または融合物を最初に単離した後に実施した(例えば、ストレプトアビジンアガロースを用いて)。例えば、直接精製する場合には、溶解物に対するセファロースの比は1:10(v/v)を使用した。プールでは、0.5mlのセファローススラリーを使用して、5mlの反応混合物から融合材料の全てを単離した。DNaseを含まないRNase(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)社)を含有する1倍量のTE8.2(10mM Tris-Cl、1mM EDTA、pH8.2)で試料をチオプロピルセファロースの50:50(v/v)スラリーに希釈し、4℃において回転させながら1〜2時間インキュベーションし、完全に反応させた。過剰の液体を除去し、20mM DTTを含有する単離緩衝液でセファロースを繰り返し洗浄し、遠心分離またはろ過により回収した。25〜30mMのジチオスレイトール(DTT)の10mM Tris Chloride pH 8.2、1mM EDTA溶液を使用して融合物をセファロースから溶出した。次いで、上記のように、高真空下での留去及びエタノール沈殿を組み合わせることによって、融合物を濃縮し、また望ましいならば、SDS-トリシン-PAGEによって分析した。プール反応物では、回収した総放射能が、鋳型の約1%が融合物に変換したことを示した。
【0125】
所与の用途のためには、dT25をこの溶出液に添加して、4℃において1時間回転させた。冷却した単離緩衝液でアガロースを3回すすぎ、ろ過によって単離し、結合材料を上記のように溶出させた。担体tRNAを添加し、融合産物をエタノール沈殿させた。DNaseを含まないRNase Aを含有するTE pH8.2に試料を再懸濁し、鋳型のRNA部分を除去した。
【0126】
免疫沈降反応
4μlの網状赤血球翻訳反応物、2μlの正常マウス血清および20μlのプロテインG+Aアガロース(カルビオケム(Calbiochem)社、カリフォルニア州ラホヤ)とPBS(58mM Na2HPO4、17mM NaH2PO4、68mM NaCl)、希釈緩衝液(10mM Tris Chloride pH 8.2、140mM NaCl、1v/v% Triton X-100)、またはPBSTDS(PBS+1% Triton X-100、0.5%デオキシコール酸塩、0.1%SDS)のいずれかの200μlとを混合することによって、翻訳反応物のペプチドの免疫沈降(図10)を実施した。次いで、試料を4℃において1時間回転させ、次に2500rpmで15分間遠心分離した。溶出液を除去し、10μlのc-mycモノクローナル抗体9E10(カルビオケム(Calbiochem)社、カリフォルニア州ラホヤ)および15μlのプロテインG+Aアガロースを添加し、4℃において2時間回転した。次いで、試料をPBS、希釈緩衝液またはPBSTDSのいずれかの1mlで2回洗浄した。40μlのゲルローディング緩衝液(カルビオケム(Calbiochem)社製品便覧)を混合物に添加し、シャガー(Schagger)およびファン ジャゴウ(von Jagow)(Anal. Biochem. 166:368(1987))が記載するように、20μlを変性PAGEにローディングした。
【0127】
8μlの網状赤血球翻訳反応物と300μlの希釈緩衝液(10mM Tris chloride pH 8.2、140mM NaCl、1v/v%Triton X-100)、15μlプロテインGセファロース(シグマ(Sigma)社)および10μl(1μg)のc-myc抗体9E10(カルビオケム(Calbiochem)社)を混合することによって融合物の免疫沈降(図11に示す)を実施し、次に4℃において数時間回転した。単離後、試料を洗浄し、DNaseを含まないRNase Aで処理し、ポリヌクレオチドキナーゼと32PガンマATPで標識し、変性尿素PAGEによって分離した(図11)。
【0128】
融合物プールの逆転写
鋳型、水およびプライマーを70℃においてわずか2分間インキュベーションした以外は、スーパースクリプト(Superscript)IIに関する製造業者の推奨事項に準拠して逆転写反応を実施した(ギブコ(Gibco)BRL、ニューヨーク州グランドアイランド)。伸長をモニターするために、50μCiのα32PdCTPをいくつかの反応物中でインキュベーションし、別の反応物中では、32PαATP(ニューイングランドヌクレアー(New England Nuclear)社、マサチューセッツ州ボストン)とT4ポリヌクレオチドキナーゼ(ニューイングランドバイオラブズ(New England Biolabs)、マサチューセッツ州ベバリー)を使用して調製した5'32P-標識プライマーを使用して逆転写をモニターした。
【0129】
プロテイン G および抗体セファロースの調製
50μlのプロテインGセファローススラリー(固形分50容量%)(Sigma)の2分量を希釈緩衝液(10mM Tris chloride pH 8.2、140mM NaCl、0.025% NaN3、1v/v% Triton X-100)で洗浄し、遠心分離によって単離した。最初の分は、選択マトリックスに先立つプレカラムとして使用するために保存した。2番目の分を希釈緩衝液に再懸濁した後、40μgのc-myc AB-1モノクローナル抗体(オンコジーンサイエンス(Oncogene Science))を添加し、反応物を4℃において一晩回転させながらインキュベーションした。次いで、1500〜2500rpmで15分間微小遠心管中で遠心分離することによって抗体セファロースを精製し、希釈緩衝液で1〜2回洗浄した。
【0130】
選択
融合物を単離し、相補鎖を合成後、逆転写反応物全てを選択過程において直接使用した。2つのプロトコールを本明細書において概略する。1回目は、上記のように調製した抗体セファロースに逆転写反応物を直接添加し、2時間インキュベーションした。次の回では、洗浄したプロテインGセファロースと共に反応物を〜2時間インキュベーションし、その後抗体カラムを通過させ、固定された抗体ではなくプロテインGと相互作用する結合物質の数を低下させた。
【0131】
マトリックスからプールを溶出するために、いくつかの方法を採用することができる。最初は、4%酢酸による選択マトリックスの洗浄である。この手順は、マトリックスからペプチドを遊離させる。または、よりストリンジェントな洗浄(例えば、尿素または他の変性物質を使用)を酢酸方法の代わりに、または酢酸方法に追加して使用することができる。
【0132】
選別した融合体の PCR
プールの構築に関して上記に記載されたように、標準的なプロトコールを用いたPCRにより、選別した分子を増幅する(例えば、Fitzwater及びPolisky, Meth. Enzymol. 第267巻:第275頁(1996年);ならびにConradら、Meth. Enzymol. 第267巻:第336頁(1996年))。増幅させたプールが選別を行ったものからもたらされたと確認するために、この段階でPCRの対照を行うことが望ましい。プライマーの精製度が最も重要である。プール配列または対照構築に混入物が生じうる場合に、入力鋳型非存在下で組合せが増幅されるはずである。混入物が検出される場合には新規のプライマーを合成するべきである。cDNAが汚染されていないことを確認するために、単離された融合体もまたRT段階の前にPCRに供されねばならない。最後に、選別前後のPCR反応に必要なサイクル数を比較するべきである。所与の配列の増幅に必要なサイクル数が多い(25回〜30回より多いPCR)と、プライマー対とのRT反応の失敗または問題が示されうる。
【0133】
β - グロビン融合体の合成および試験
β-グロビン融合構築物を合成するため、製造元のプロトコルに従って、グロビンmRNA 2.5 μgからプライマー18.155(5' GTG GTA TTT GTG AGC CAG)(配列番号:29)およびスーパースクリプト逆転写酵素(Gibco BRL社 )200ピコモルを用いた逆転写によってβ-グロビンcDNAを作製した。プライマー配列は、停止コドンのβ-グロビン5'の18ヌクレオチドと相補的であった。T7プロモーターを加えるために、逆転写反応液20 μlを採取して、プライマー18.155および40.54(5' TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA CAC TTG CTT TTG ACA CAA C)(配列番号:30)を用いたPCR6サイクルを行った。次に、得られた「syn-β-グロビン」mRNAを、ミリガン&アーレンベック(Milligan and Uhlenbeck)(Methods Enzymol.180:51(1989))に従ってT7ランオフ転写によって生成し、RNAゲルを精製して、電気溶出して本明細書に記述のように脱塩した。次に、ムーア&シャープ(Moore and Sharp)(Science 256:992(1992))の方法に従って、プライマー20.262(5' TTT TTT TTT T GTG GTA TTT G)(配列番号:31)をスプリントとして用いて、「LP-β-グロビン」をsyn-β-グロビン構築物から、同構築物を30-Pとライゲーションすることによって生成した。次にライゲーション反応産物をゲル精製して、電気溶出し、上記のように脱塩した。最終産物の濃度は260 nmでの吸光度から決定した。
【0134】
次に、これらのβ-グロビン鋳型を表1に記述のように総容量それぞれ25 μl でインビトロで翻訳した。25 mM原液からMg2+を加えた。反応は全て30℃で1時間行い、-20℃で一晩放置した。次に、溶解物6μlを用いてdT25沈殿可能なCPMを2回測定し、バックグラウンドを差し引いた値を平均した。
【0135】
【表1】
β-グロビン鋳型を用いた翻訳反応
Figure 0004870870
【0136】
ゲル分析用の試料を調製するため、各翻訳反応液6μlを単離用緩衝液(1 M NaCl、100 mMトリスCl pH 8.2、10 mM EDTA、0.1 mM DTT)1000 μl、RNアーゼA(DNアーゼ不含、Boehringer Mannheim社)1μl、および20 μM dT25ストレプトアビジンアガロース20 μlと混合した。試料を回転させながら4℃で1時間インキュベートした。過剰量の単離用緩衝液を除去して、試料をミリポア(Millipore)MCフィルターに加えて、残留単離用緩衝液を除去した。次に試料をH2O 50 μlで4回洗浄して15 mM NaOH、1 mM EDTA 50 μlで2回洗浄した。試料(300 μl)をTE pH 6.8(10 mMトリスCl、1 mM EDTA)100 μlで中和して1mg/ml RNアーゼA(上記)1μlを加え、試料を37℃でインキュベートした。次に、2×SDSローディング用緩衝液(125 mMトリスCl、pH 6.8、2%SDS、2%β-メルカプトエタノール20%グリセロール、0.001%ブロモフェノールブルー)10 μlを加え、試料を凍結乾燥させてH2O および1%β-メルカプトエタノール20 μlに再懸濁した。次に、シャガー&フォンヤゴウ(Schagger and von Jagow)(Analytical Biochemistry 166:368(1987))が記述したように、ペプチド分解ゲル上に試料をローディングしてオートラジオグラフィーによって可視化した。
【0137】
これらの実験の結果を図15Aおよび15Bに示す。図15Aに示すように、35S-メチオニンをsyn-β-グロビンおよびLP-β-グロビンの蛋白部分に取り込ませた。蛋白は不均一であったが、1つの強いバンドがβ-グロビンmRNAについて予想される移動度を示した。同様に、図15Bに示すように、dT25単離およびRNアーゼA消化の後、syn-β-グロビンのレーンには35S-標識材料は残っていなかった(図15B、レーン2〜4)。対照的に、LP-β-グロビンのレーンでは、均一な大きさの35S-標識産物を認めた。
【0138】
これらの結果から、上記のように、鋳型が3'ピューロマイシンを含む場合に限って、融合産物がオリゴヌクレオチドアフィニティクロマトグラフィーによって単離されることが示された。このことはシンチレーションカウントによって確認した(表1参照)。得られた材料は、β-グロビンの何らかの部分と融合した30-Pリンカーを含むと予想される。融合産物はゲル分析から判断する限り、大きさが全く均一であるように思われた。しかし、産物は天然のβ-グロビンと非常に類似の移動度を示したため(図15Aおよび15B、対照レーン)、融合産物の蛋白部分の正確な長さを測定することは困難であった。
【0139】
RNA 蛋白融合体形成のさらなる最適化
特定の要因がRNAペプチド融合体の形成効率をさらに増加させることが判明した。融合体形成、すなわちmRNAの3'末端でのそのtRNAからピューロマイシン部分への未完成のペプチド鎖の移動は、未完成のペプチドを生成する初回の比較的迅速なオープンリーディングフレームの翻訳の後に続く遅い反応である。融合体形成の程度は、Mg2+濃度を上昇させた条件(好ましくは、50〜100 mMの範囲)下での翻訳後インキュベーションによって、および/またはmRNAとピューロマイシン部分との間により柔軟なリンカーを用いることによって、実質的に増強される可能性がある。さらに、低温(好ましくは-20℃)での長期間のインキュベーション(12〜48時間)によっても、30℃でのインキュベーションの際に起こる場合よりmRNA分解が少ない融合体の収率増加が得られる。これらの要因を組み合わせることによって、下記に示すように、加えたmRNAの40%までがmRNAペプチド融合産物に変換される可能性がある。
【0140】
mRNA- ピューロマイシン結合体の合成
これらの最適化実験において、ピューロマイシン含有リンカーオリゴヌクレオチドを、おおよそ上記のように相補的DNAスプリントの存在下でバクテリオファージT4 DNAリガーゼを用いて、mRNAの3'末端にライゲーションした。T4 DNAリガーゼは、ライゲーション結合部近傍で正確な塩基対形成を嗜好し、T7、T3またはSP6 RNAポリメラーゼによるランオフ転写産物はしばしばその3'末端が不均一であるため(Nucleic Acids Research 15:8783(1987))、正しい3'-末端ヌクレオチドを含むRNAのみが効率よくライゲーションされた。標準的なDNAスプリントを用いた場合、ランオフ転写産物の約40%がピューロマイシンオリゴとライゲーションされた。RNA量が過剰であればライゲーション産物の量は増加したが、ピューロマイシンオリゴヌクレオチドが過剰である場合は増加しなかった。特定の理論にとらわれることなく、ライゲーションの制限要因はDNAスプリントの対応する領域と完全に相補的であるRNAの量であるように思われた。
【0141】
それらの転写物のライゲーションを3'末端で余分の非鋳型ヌクレオチドで終わらせるために(「N+1産物」と命名する)、標準的なDNAスプリントと、ライゲーション結合部でさらなるランダム塩基を含む新たなDNAスプリントとの混合物を用いた。ライゲーション効率は、そのような混合DNAスプリントの存在下では典型的なmyc RNA鋳型(すなわちRNA 124)の場合70%以上増加した。
【0142】
この改変DNAスプリントアプローチの他に、mRNA-ピューロマイシン結合体形成の効率は、以下の3つの要因を考慮に入れることによってもさらに最適化された。第一に、好ましくは、スプリントヌクレオチドとのアニーリングを妨害する何らかの有意で安定な二次構造を有する3'-末端を欠損するmRNAを構築または利用した。さらに、高濃度の塩は時にライゲーション反応の失敗を引き起こすため、好ましくは、NAP-25カラムを用いたオリゴヌクレオチドの完全な脱塩を、技法の1段階として含めた。最後に、ライゲーション反応は比較的迅速で、室温では40分以内におおむね完了したため、有意に長いインキュベート期間は一般に用いられず、しばしばRNAの不必要な分解が起こった。
上記の条件を用いて、mRNA-ピューロマイシン結合体を以下のように合成した。myc RNA配列(RNA 124)とピューロマイシン含有オリゴヌクレオチドとのライゲーションは、標準的なDNAスプリント(例えば、5'-TTTTTTTTTTAGCGCAAGA)(配列番号:32)またはライゲーション結合部にランダム塩基(N)を含むスプリント(例えば、5'-TTTTTTTTTTNAGCGCAAGA)(配列番号:33)のいずれかを用いて行った。反応はmRNA、DNAスプリント、およびピューロマイシンオリゴヌクレオチドをモル比1.0:1.5〜2.0:1.0で含んだ。代替的モル比1.0:1.2:1.4もまた用いられうる。これらの成分の混合物をまず、94℃で1分間加熱して、次に氷上で15分冷却した。ライゲーション反応は、50 mMトリス塩酸(pH 7.5)、10 mM MgCl2、10 mM DTT、1mM ATP、25 μg/ml BSA、15 μMピューロマイシンオリゴ、15 μM mRNA、22.5〜30 μM DNAスプリント、RNasin阻害剤(Promega社)1U/μl、およびT4 DNAリガーゼをピューロマイシンオリゴ1ピコモルあたり1.6単位を含む溶液中で室温で1時間行った。インキュベーションの後、EDTAを最終濃度30 mMとなるように加え、反応混合物をフェノール/クロロホルムで抽出した。PAGEを変性させて全長の結合物を精製し、電気溶出によって単離し、脱塩した。
【0143】
網状赤血球翻訳条件全般
mRNA-ピューロマイシン結合体の合成を改善することに加えて、翻訳反応を以下のようにさらに最適化した。反応は、異なる販売元(Novagen社、Madison、WI;Amersham社、Arlington Heights, IL;Boehringer Mannheim社、Indianapolis、IN;Ambion社、Austin、TX;およびPromega社、Madison、WI)のウサギ網状赤血球溶解物において実施した。典型的な反応混合物(最終容量25 μl)は、20 mM HEPES pH 7.6、2mM DTT、8mM燐酸クレアチン、100 mM KCl、0.75 mM Mg(OAc)2、1mM ATP、0.2 mM GTP、25 μM各アミノ酸(35S-Metを用いる場合には0.7 μMメチオニン)、RNasin1U/ml、および60%(v/v)溶解物を含んだ。鋳型の最終濃度は50 nM〜800 nMの範囲であった。各インキュベーションについて、溶解物を除く全ての成分を氷上で注意深く混合して、凍結した溶解物を使用直前に融解した。溶解物を加えた後、反応混合物を緩やかなピペッティングによって十分に混合して、30℃でインキュベートして翻訳を開始させた。Mg2+およびK+の至適濃度は異なるmRNAについてそれぞれ、0.25 mM〜2mMおよび75 mM〜200 mMの範囲内で、好ましくは予備実験において決定した。翻訳の不十分なmRNAに関しては特に、ヘミン、燐酸クレアチン、tRNA、およびアミノ酸の濃度もまた時に最適化した。融合反応に関しては、酢酸カリウムより塩化カリウムが一般に好ましかったが、KClとKOAcの混合物は時によりよい結果を生じた。
【0144】
30℃で30〜90分間翻訳した後、反応を氷上で40分冷却し、Mg2+又はK+を加えた。この段階で加えたMg2+の最終濃度もまた、異なるmRNA鋳型について最適化したが、一般に50 mM〜100 mMの範囲であった(混合鋳型のプールには50 mMを用いることが好ましい)。添加されたK+の量は一般に125mM〜1.5Mの範囲であった。Mg2+の反応に関しては、得られた混合物は好ましくは-20℃で16〜48時間インキュベートされたが、12時間ほどの短い間インキュベートされることもできた。K+又はMg2+/K+が添加された場合、混合物は室温で一時間インキュベートされた。
【0145】
標識した融合産物を可視化するために、反応混合物2μlをローディング用緩衝液4μlと混合して、混合物を75℃で3分間加熱した。得られた混合物を6%グリシンSDS-ポリアクリルアミドゲル(32P-標識鋳型用)または8%トリシンSDS-ポリアクリルアミドゲル(35S-Met標識鋳型用)にローディングした。このアプローチの代用として、融合産物はまた、おおむね本明細書に記述のように、dT25ストレプトアビジンアガロースまたはチオプロピルセファロース(またはその両者)を用いて単離してもよい。
【0146】
SDS-PAGEによって後に分析するため、RNA-リンカー-ピューロマイシン-ペプチド結合体のRNA結合部分を除去するために、適当量のEDTAを翻訳後インキュベーションの後に加え、反応混合物をミクロコン-10(またはミクロコン-30)カラムを用いて脱塩した。得られた混合液2μl(全体で約25 μl)を、RNアーゼH緩衝液(30 mMトリス塩酸、pH 7.8、30 mM(NH4)2SO4、8mM MgCl2、1.5 mMβ-メルカプトエタノール、および適当量の相補的DNAスプリント)18 μlと混合し、混合液を4℃で15分間インキュベートした。次にRNアーゼHを加え、37℃で20分消化させた。
【0147】
ピューロマイシンオリゴの質
ピューロマイシンオリゴヌクレオチドの質も、融合産物の効率的な生成にとって重要であった。5'-DMT、2'-スクシニルN-トリフルオロアセチルピューロマイシンとCPGとのカップリングは、標準的なヌクレオチドのカップリングほど効率的ではなかった。そのため、カップリング反応を注意深くモニターして、カップリングしたピューロマイシンの濃度をかなり低くしてCPGが形成されないようにし、3'-末端ピューロマイシンを欠損するオリゴヌクレオチドが続いて合成されないようにするため、CPG上の未反応のアミノ基を十分に消滅させた。また、これらは続く自動化オリゴヌクレオチド合成段階の際にバルブの目詰まり問題を引き起こしうるため、非常に細かいメッシュ粒子を含むCPGを用いないようにすることも重要である。
【0148】
さらに、合成されたピューロマイシンオリゴは、3'末端でピューロマイシンが存在することを確認するために、大規模で使用する前に試験することが好ましい。われわれの実験では、ピューロマイシンを3'末端で一級アミノ基を含むデオキシアデノシンに置換すれば、融合体は検出されなかった。3'ヒドロキシル基の有無を調べるために(すなわち、3'-末端ピューロマイシンを欠損するオリゴの望ましくない合成)、ピューロマイシンオリゴをまず放射標識し(例えば5'-燐酸化)、次にプライマーとして用いてターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによって伸長させた。3'-末端ピューロマイシン部分の存在下では、伸長産物を認めなかった。
【0149】
翻訳および翻訳後インキュベーションの時間経過
翻訳反応は比較的迅速で、30℃では概して25分以内に完了した。しかし、融合反応は遅かった。標準的なリンカー(dA27dCdCP)を30℃で用いた場合、融合体の合成はさらに45分で最高レベルに達した。翻訳後インキュベーションはより低い温度、例えば室温、0℃、または-20℃で実施することが可能であった。-20℃ではmRNA鋳型の分解はより少なかったが、最善の融合結果は-20℃で2日間インキュベートした後に得られた。
【0150】
Mg 2+ 濃度の効果
翻訳後インキュベーションの際にMg2+の濃度が高ければ、融合体形成は大きく刺激された。例えば、上記のようなmyc RNA鋳型では、50 mM Mg2+の存在下で標準的なリンカー(dA27dCdCP)を用いて-20℃で16時間インキュベートすると、融合体形成の3〜4倍刺激を認めた(図17、レーン3と4の比較)。効率的な融合体形成はまた、反応を室温で30〜45分実施した場合、50〜100 mM Mg2+濃度の存在下で翻訳後インキュベーションを用いた場合に認めた。
【0151】
同様に、250mM〜500mMのK+を添加することにより、K+非添加対照と比較して7倍以上融合体形成が増加した。最適K+濃度は一般的に300mM〜600mMの間である(プールについては500mM)。また翻訳後にNH4Clを添加することによっても融合体形成は増加した。陰イオンとしてのOAc- かCl-という選抜は、融合体形成に対して明確な効果をもたなかった。
【0152】
リンカーの長さおよび配列
融合反応のリンカーの長さへの依存性を調べた。21ヌクレオチド及び30ヌクレオチド(n=18〜27)の範囲では、融合反応の効率にほとんど変化を認めなかった(上記のように)。19ヌクレオチド及び30ヌクレオチドに関しても同様の結果が得られ、25ヌクレオチドのリンカーに関して最も融合体形成が多く観察された。より短いリンカー(例えば長さが13ヌクレオチド又は16ヌクレオチド)及びより長いリンカー(例えば長さが40ヌクレオチド以上長いリンカー)は、よりとても少ない融合体形成をもたらした。さらに、長さがより長い特定のリンカー(すなわち、45ヌクレオチドおよび54ヌクレオチド)も同様に幾分低い融合効率であったが、さらにより長いリンカーを用いても融合反応の効率が最適となる可能性がある。
【0153】
リンカー配列に関しては、3'末端近傍のデオキシヌクレオチド残基をリボヌクレオチド残基に置換しても、融合効率は有意に変化しなかった。しかし、リンカーの3'末端でのdCdCP(またはrCrCP)配列は融合体形成にとって重要であった。dCdCPをdUdUPに置換すると、融合体の形成効率は有意に減少した。
【0154】
リンカーの柔軟性
融合反応のリンカーの柔軟性に及ぼす依存性についても試験した。これらの実験において、3'末端近傍での相補的オリゴヌクレオチドによるアニーリングによってリンカーの強直性が増加すれば、融合効率は低くなることが明らかになった。同様に、より柔軟なリンカー(例えば、dA21C9C9C9dAdCdCP、ここでC9はHO(CH2CH2O)3PO2)を表す)を用いれば、融合効率は有意に改善した。標準的なリンカー(dA27dCdCP)と比較すると、より柔軟なリンカー(dA21C9C9C9dAdCdCP)を用いれば、RNA 124の融合効率は4倍以上改善した(図17、レーン1と9の比較)。さらに、Mg2+の高濃度が存在しなければ翻訳後融合があまり進まない標準的なリンカーによる鋳型とは対照的に(図17、レーン3および4)、柔軟なリンカーを用いた鋳型は、-20℃でのさらなる翻訳後インキュベーションにおいて収率のよい融合産物を生じるためにMg2+の上昇を必要としなかった(図17、レーン11および12の比較)。したがって、このリンカーは、Mg2+の高濃度を翻訳後に加えることが望ましくない場合に非常に有用であった。さらに、柔軟なリンカーはまた、Mg2+の濃度が上昇すれば最適な融合収率を生じた。
【0155】
融合効率の定量
融合効率は、融合産物に変換された翻訳されたペプチドの分画、または融合産物に変換された添加した鋳型の分画のいずれかとして表してもよい。融合産物に変換された翻訳されたペプチドの分画を決定するために、翻訳されたペプチドの35S-Met標識を利用した。これらの実験では、dA27dCdCPまたはdA27rCrCPリンカーを用いた場合、30℃での1時間翻訳インキュベーション後にそのmRNAに融合されたのは翻訳されたペプチドの約3.5%であった。この値は-20℃で一晩インキュベートすると12%に増加した。翻訳後インキュベーションを高濃度のMg2+の存在下で実施すると、翻訳されたペプチドの50%以上が鋳型に融合した。
【0156】
柔軟なリンカーを用いた鋳型については、30℃での1時間の翻訳後鋳型に融合されたのは、翻訳されたペプチドの約25%であった。この値は-20℃で一晩インキュベートすると50%以上に増加し、翻訳後インキュベーションを50 mM Mg2+の存在下で実施すれば75%以上となった。
【0157】
融合産物に変換された添加した鋳型の百分率を決定するため、32P-標識mRNAリンカー鋳型を用いて翻訳を実施した。柔軟なリンカーを用いて翻訳後インキュベーションをMg2+の非存在下で-20℃で実施した場合、添加したRNA鋳型の濃度がそれぞれ800、400、200、100および50 nMであった場合、添加した鋳型の約20%、40%、40%、35%、および20%がmRNA-ペプチド融合体に変換された(図18)。翻訳後インキュベーションを50 mM Mg2+の存在下で実施した場合にも同様の結果が得られた。最善の結果はNovagen社、Amersham社、またはAmbion社から得た溶解物を用いて得られた(図19)。
【0158】
SDS-PAGEによって測定したmRNAとmRNA-ペプチド融合体の間の移動度の差は、mRNA鋳型が長い場合非常に小さい可能性がある。そのような場合、(例えば、mRNAピューロマイシン接合の前に[32P]γATP及びT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて)リンカーの5'末端で鋳型を32Pで標識してもよい。次に、翻訳/インキュベーション後、相補的DNAスプリントの存在下で長いRNA部分をRNアーゼHで消化してもよく、融合効率はリンカーペプチド融合体に対する未修飾のリンカーの比の定量によって決定してもよい。3'-Pおよび5'-OHを生じるRNアーゼA消化と比較すると、このアプローチはリンカーの5'末端での32Pが除去されないという長所を有する。
【0159】
RNase H 処理のために、翻訳に続くインキュベーション後にEDTAを添加してリボソームを破砕し、マイクロコン(microcon)-10(またはマイクロコン-30)カラムを用いて反応混合物を脱塩した。結果として得られた混合液の2μl を18μl のRNase H 緩衝溶液(30mM Tris-HCl pH7.8、30mM (NH4)2SO4、8mM MgCl2、1.5mM β-メルカプトエタノール、および過剰の相補的DNAスプリント)と混合し、4℃で45分間インキュベートした。次に、RNase H を添加し、37℃で20分間消化を行った。
【0160】
翻訳後インキュベーションの際の分子内対分子間融合
上記実験の他に、われわれは、Mg2+の存在下で-20℃で起こった融合反応が本質的に分子内または分子間であるか否かを調べた。遊離リンカー(dA27dCdCP、またはdA21C9C9C9dAdCdCP、ここでC9はO(CH2CH2O)3PO2-)を表す)を、上記のように翻訳および翻訳後インキュベーション下において、DNAリンカーを含むが、3'末端でピューロマイシンは含まない鋳型と共にインキュベートした。これらの実験において、35S-Metの検出可能な量(すなわち正常レベルの2%未満)はリンカー-ペプチド産物に取り込まれず、このことは翻訳後融合が、未完成のペプチドと、同じリボソームに結合したmRNAの間で起こったことを示唆している。
【0161】
追加実験において、鋳型及び、電気泳動によって融合体産物ならびに交差産物(誤ったタンパク質と融合した鋳型)が分離されることのできたピューロマイシンオリゴヌクレオチドを用いて共インキュベーションを行った。実験した任意の鋳型およびリンカーの組合せについても、交差産物は検出されなかった。これらの実験で、2種類の異なるトランスメカニズムによって融合交差産物を形成することができた:(1)遊離鋳型もしくはリンカーと、ペプチド-mRNA-リボソーム複合体中のペプチドとの反応、または(2)ある複合体の鋳型と別の複合体におけるペプチドとの反応。後者の可能性を試験した特定の実施例を図24に示す。そこで、221アミノ酸長のタンパク質を合成するラムダタンパク質脱リン酸化酵素(λPPase)鋳型と33アミノ酸ペプチドを作製するmyc鋳型を共インキュベートした。両鋳型は、翻訳後インキュベーションの後にこれら自身による融合体形成を示す。両者を混ぜ合わせた場合、個々の融合産物のみが観察された。λPPaseタンパク質とmyc鋳型の融合体による交差産物は検出されなかった。myc 鋳型+単一コドン鋳型、20:1比率の標準リンカー+myc 鋳型、および可動リンカー+myc 鋳型といういくつかの異なる組合せを用いた同様の実験では、交差産物形成は示されなかった。これらの結果は、両方のトランス融合体形成の潜在的メカニズムに対して、強く反証した。
【0162】
融合体形成におけるリンカー長の効果はまた、シスメカニズムにおけるそれとも一致した。リンカー長を19ヌクレオチドから13ヌクレオチドに減少させることにより、鎖が解読部位からペプチジル転移酵素中心に到達できないことが予想されるような、融合産物量の急激な減少がもたらされた(図23)。しかしトランスメカニズムが優勢である場合(例えば、リボソーム結合鋳型がトランスメカニズムによって融合体を形成する場合)、この効果はリボソーム内でのピューロマイシンの閉塞にも起因しうる。一旦ピューロマイシンがリボソームから遊離するとトランス反応の減少は見られないはずであるので、長いリンカーによる融合体形成の減少はこの種の反応に対して再び反証している。
【0163】
最適化結果
上記のように、柔軟なリンカーを用いることによっておよび/または高濃度のMg2+の存在下での翻訳後インキュベーションを実施することによって、融合効率は添加したmRNAの約40%に増加した。これらの結果は、mRNA-ペプチド融合体の1014個もの分子がインビトロ翻訳反応混合物1mlあたり産生されうること、そしてインビトロ選択実験において使用するために非常に高度に複雑なmRNA-ペプチド融合体のプールを生じることを示した。
【0164】
RNA- 蛋白融合体の選択的濃縮
われわれは、コードされたペプチドに基づくランダム配列融合の複雑なプールから特定のRNA-ペプチド融合体を濃縮することによって、選択および発展実験においてRNA-ペプチド融合体を用いることが可能か否かを明らかにした。詳しく述べると、既知の配列の少量(この場合、長いmyc鋳型LP154)を何らかの量のランダム配列プール(すなわちLP160)と組み合わせた一連の混合物を調製した。これらの混合物を翻訳し、RNA-ペプチド融合産物を本明細書に記述のように、オリゴヌクレオチドおよびジスルフィドアフィニティクロマトグラフィーによって選択した。myc-鋳型融合は抗mycモノクローナル抗体によって選択的に免疫沈降した(図16A)。この選択段階において得られた濃縮を測定するために、免疫沈降の前後のcDNA/mRNA-ペプチド融合体混合物のアリコットを放射標識プライマーの存在下でPCRによって増幅した。増幅したDNAをmyc鋳型配列を切断するがプールを切断しない制限エンドヌクレアーゼによって消化した(図16Bおよび16C)。切断と非切断DNAの比の定量から、免疫沈降によってmyc配列がランダムライブラリと比較して20〜40倍濃縮されたことが示された。
【0165】
これらの実験は以下のように実施した。
【0166】
翻訳反応
翻訳反応はおおむね上記のように実施した。詳しく述べると、反応は製造元(Novagen社)の説明書に従って30℃で1時間実施し、-20℃で一晩凍結した。試料6本を2通り作製し、一方には35Sメチオニンを含み、もう一方は非放射標識メチオニンを最終濃度52 μMとなるように加えた。反応1〜6には、表2に記述した鋳型の量が含まれた。表2の全ての数値は、反応混合液25 μlあたりの鋳型のピコモルを表す。
【0167】
【表2】
注入された選抜に用いられた鋳型の割合
Figure 0004870870
【0168】
dT 25 ストレプトアビジンアガロースの調製
ストレプトアビジンアガロース(Piece社)をTE 8.2(10 mMトリスCl pH 8.2、1mM EDTA)で3回洗浄し、TE8.2に1:1(v/v)スラリーとして再懸濁した。次に、バイオテグCPG(Glen Research社)を用いて合成した3'ビオチン化T25を、望ましい最終濃度になるように加え(一般に10または20 μM)、攪拌しながらインキュベーションを1時間実施した。次に、dT25ストレプトアビジンアガロースをTE 8.2で3回洗浄して、使用するまで4℃で保存した。
【0169】
翻訳反応からの鋳型の精製
翻訳反応からの鋳型を精製するために、各反応液25 μlを採取して単離用緩衝液(1M NaCl、100 mMトリスCl pH 8.2、10 mM EDTA、0.1 mM DTT)7.5 mlおよび20 μM dT25ストレプトアビジンアガロース125 μlに加えた。この溶液を回転させながら4℃で1時間インキュベートした。チューブを遠心して溶出剤を除去した。単離用緩衝液1mlを加え、スラリーを再懸濁して、混合物を1.5 ml微量遠心管に移した。次に、氷冷単離用緩衝液1mlアリコットで試料を4回洗浄した。同一反応からの温試料および冷試料をミリポアMCフィルターユニット中で合わせて、100 μl H2O、0.1 mM DTT2容量、および15 mM NaOH、1mM EDTA(4℃)2容量で洗浄することによってdT25アガロースから溶出し、続いて中和した。
【0170】
この溶出液に、洗浄したチオプロピルセファロース(Pharmacia社)の50%スラリー40 μlを加えて、インキュベーションを回転させながら4℃で1時間実施した。次に試料をTE8.2 1ml容量で3回洗浄して溶出剤を除去した。1M DTT1μlを固体に加え(総量は約20〜30 μl)、試料を数時間インキュベートして、除去し、H2O 20 μl(総容量90 μl)で4回洗浄した。UV吸収によって判断すると、溶出剤には2.5 mMチオピリドンが含まれた。3M NaOAc pH 5.2、10 mM スペルミン、1μlグリコーゲン(10 mg/ml、Boehringer Mannheim社)および100%EtOH 170 μl を加えて、-70℃で30分インキュベートし、微量遠心器で13,000 rpmで30分遠心することによって、この試料50 μlをエタノール沈殿させた。
【0171】
逆転写反応
沈殿したエタノールとチオピリドン溶出剤試料の双方に、以下のように逆転写反応を実施した。エタノール沈殿試料については、再懸濁した鋳型30 μl、H2O 48 μl、およびプライマー21.103(配列番号:22)200ピコモルを70℃で5分間アニーリングして氷上で冷却した。この試料に第一の鎖緩衝液(250 mMトリスCl pH 8.3、375 mM KCl、および15 mM MgCl2;Gibco BRL社、Grand Island、NYから入手可能)16 μl、100 mM DTT 8μl、および10 mM NTP4μlを加えて42℃で平衡にし、スーパースクリプトII逆転写酵素(Gibco BRL社、Grand Island、NY)4μlを加えた。H2O(13 μl)をTPセファロース溶出剤(35 μl)に加え、上記のように反応を実施した。1時間インキュベートした後、番号をつけた試料を合わせた(総容量160 μl)。試料10 μlを各非選択試料のPCR用に保存しておき、試料150 μlを免疫沈降用とした。
【0172】
免疫沈降
免疫沈降を実施するため、逆転写反応液170 μlを希釈用緩衝液(10 mMトリスCl pH 8.2、140 mM NaCl、1% v/v トリトンX-100)1mlおよびプロテインG/A結合物(Calbiochem社、La Jolla、CA)20 μlに加え、回転させながら4℃で1時間インキュベーションを行い、予めきれいにした。溶出剤を除去してG/A結合物20 μlおよびモノクローナル抗体(2μg、12ピコモル)20 μlを加え、試料を回転させながら4℃で2時間インキュベートした。結合物は2500 rpmで5分間微量遠心によって沈降させ、溶出剤を除去して結合物を氷冷希釈用緩衝液の1mlアリコットを用いて3回洗浄した。試料を氷冷 10 mMトリスCl、pH 8.2、100 mM NaCl1mlで洗浄した。凍結した4% HOAc3容量を用いて結合した断片を除去し、試料を凍結乾燥させた。
【0173】
選択および非選択試料の PCR
PCR反応は、濃縮NH4OH 20 μlを非選択材料および選択材料全体10 μlに加え、試料中のRNAを破壊するために55℃、70℃および90℃で各5分インキュベートすることによって実施した。次に試料をスピードバックによって蒸発堅固させた。PCR混合物(Mg2+を含むPCR緩衝液中に1μMプライマー21.103および42.108、200 μM dNTP)(Boehringer Mannheim社)200 μlおよびTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim社)2μlを各試料に加えた。非選択試料の2番にPCR を16サイクルを実施し、その他の試料全てに19サイクルを実施した。
【0174】
次に試料を5' 32P-標識プライマー21.103の存在下で表3に従って増幅し、ウィザードダイレクトPCR精製キット(Promega社)を用いて個々に2回精製して、全てのプライマーおよびより短い断片を除去した。
【0175】
【表3】
選択PCR試料及び非選択PCR試料の増幅
Figure 0004870870
【0176】
制限酵素消化
上記PCR反応のそれぞれから調製した32P-標識DNAを、表4に従って、制限酵素消化反応に等量(試料のcpmによって)加えた。各反応の総容量は25 μlであった。AlwnI (5単位、New England Biolabs社)0.5 μlを各反応に加えた。試料を37℃で1時間インキュベートし、65℃で20分インキュベートすることによって酵素を熱不活化させた。次に試料を変性ローディング用緩衝液10 μl(高純度ホルムアミド(USB)1ml、0.5 M EDTA 20 μl、および1M NaOH 20 μl)と共に混合して90℃で1分加熱し、冷却して、8M尿素を含む12%変性ポリアクリルアミドゲル上にローディングした。電気泳動の後、ゲルを10%(v/v)HOAc、10%(v/v)MeOH、H2Oで固定した。
【0177】
【表4】
制限酵素消化条件 w/ AlwnI
Figure 0004870870
【0178】
消化物の定量
試料中に存在するmyc対プールしたDNAの量は、燐画像化装置(Molecular Dynamics社)を用いて定量した。各バンド中に存在する材料の量は、ゲルのバンド周囲の同じ長方形の積分容量として測定した。各バンドに存在する総cpmはバックグラウンドを差し引いた容積として計算した。バックグラウンドの3つの値を用いた:(1)ゲル上でカウントが起こった領域外の同じ正方形の平均;(2)mycバンドが現れるはずの非選択プールレーンに存在するcpm(ゲル上のこの位置ではバンドは現れない);および(3)非選択レーン間の鋳型の10倍毎の増加に最も近い値を再現する正常化値。図16Bおよび16Cのレーン2、3および4は、標的対プール配列の濃縮を示す。レーン3での証明可能な濃縮(非選択/選択)により、この試料のノイズ比に対するシグナルの最適化により最大値(方法1〜3を用いてそれぞれ17、43、および27倍)が得られた。これらの結果を表5に要約する。
【0179】
【表5】
プールに対するMyc鋳型の濃縮
Figure 0004870870
【0180】
第二の一連の実験では、これらの同じPCR産物をウィザードダイレクトPCR精製キットを用いて一度精製し、消化物を上記の方法(2)によって定量した。これらの実験では同様の結果を得た;それぞれ10.7、38、および12 倍の濃縮が上記のレーン2、3および4と同等の試料について測定された。
【0181】
大きな RNA- ペプチド融合体ライブラリーからのインビトロ選別
大きなライブラリーからの所望の融合体分子の選別について示した別の実験において、2×1013のランダムRNA-ペプチド融合体のレパートリーを、上述の方法の変法を用いて作製した。合成式 5'-(NNS)27-3'(ここでNは等モルのA,G,C,およびTを、ならびにSはGまたはCを指す)に基づく27のランダムコドンを含むDNAライブラリーを作製した。各NNSコドンは、天然の20アミノ酸全てに対するコドンを含んだ32トリプレットの混合物である。T7プロモーターをコードする配列および翻訳のための開始部位同様に、逆転写およびPCRのために、ランダム領域に2つのプライマー結合部位を隣接させた。インビトロ転写反応により合成したRNAを、3'末端でピューロマイシンを含むオリゴヌクレオチドリンカーdA27dCdC-Pへの定方向鋳型ライゲーション(templete-directed ligation)により修飾した。
【0182】
RNA-タンパク質融合体を作製するために、精製、連結されたRNAをウサギ網状赤血球抽出液中でインビトロ翻訳した:123merDNA PP.01(5'-AGC TTT TGG TGC TTG TGC ATC (SNN)27 CTC CTC GCC CTT GCT CAC CAT-3'、N=A、G、C、T; S=C、G)(配列番号:34)を合成し、6%変性ポリアクリルアミドゲルにて精製した。全量5ml(50mM KCl、10mM Tris-HCl pH9.0、0.1% TritonX-100、2.5mM MgCl2、0.25mM dNTPs、500ユニット プロメガTaqポリメラーゼ)中、1μMのプライマーP1F(5'-AGC TTT TGG TGC TTG TGC ATC-3')(配列番号:35)およびPT7(5'-TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA CAA TTA CTA TTT ACA ATT ACA ATG GTG AGC AAG GGC GAG GAG-3')(配列番号:36)を用いて、3回のPCR(94℃、1分間;65℃、1分間;72℃、2分間)により1nmolの精製DNA(6×1014分子)を増幅した。沈降後、DNAを100μl のTE(10mM Tris-HCl pH7.6, 1mM EDTA pH8.0)に再溶解させた。アンビオン(Ambion)のメガショートスクリプトインビトロ転写キット(Megashortscript In vitro Transcription kit)を用いて、反応(1ml)中でDNA(60μl)をRNAに転写した。この反応溶液をフェノール/CHCl3で2回抽出し、過剰のNTPをNAP-25カラム(Pharmacia)による精製によって除去した。リンカー30-P(5'-dA27dCdCP)を含むピューロマイシンを本明細書に記載されたように合成し、定方向鋳型ライゲーションによってRNAライブラリーの3'末端に添加した。T4 DNAリガーゼ緩衝溶液(Promega)および1200ユニットのT4 DNAリガーゼ(Promega)を含む反応溶液(1.5ml)中で、RNA(25nmol)を等モル量のリンカーおよび断片(5'-TTT TTT TTT TNA GCT TTT GGT GCT TG 3')(配列番号:37)とインキュベートした。4時間室温でインキュベートした後、ライゲーションされたRNAを6%変性ポリアクリルアミドゲルによりライゲーションされていないRNAから分離し、ゲルから抽出して再溶解した(200μl ddH2O)。mRNA-ペプチド融合分子を作製するため、アンビオン(Ambion)のウサギ網状赤血球IVTキットを用いて、ライゲーションされたRNA(1.25nmol)を、全量7.5ml中3.7μCiの35S-メチオニン存在下で翻訳した。インキュベーション後(30℃で30分間)、反応溶液の最終濃度を530mM KClおよび150mM MgCl2に調製し、さらに1時間室温でインキュベートした。翻訳反応終了後、この530mM KClおよび150mM MgCl2の添加により、融合体形成が約10倍促進された。
【0183】
改善されたこの方法を用いて、1mlあたり約1013の精製融合分子が得られた。オリゴヌクレオチドアフィニティークロマトグラフィーによって粗雑な翻訳反応溶液からRNA-ペプチド融合体を精製し、選別段階の前に、RNase Hを含まない逆転写酵素を用いて以下のように連結分子のRNA部分を逆転写した。翻訳された融合産物をインキュベーション緩衝液(100mM Tris-HCl pH8.0、10mM EDTA pH8.0、1M NaClおよび0.25% TritonX-100;4℃で1時間)中でdT25セルロース(ファルマシア)とインキュベートした。セルロースをフィルターろ過により単離してインキュベーション緩衝液で洗浄し、その後ddH2Oを用いて融合産物を溶出した。5倍過剰量のスプリントをプライマーとして用いて、RNAを逆転写した(2ユニットのSuperscript II Reverse Transcriptase (Gibco BRL)を含む、25mM Tris-HCl pH8.3、75mM KCl、3mM MgCl2、10mM DTT、および0.5mM dNTPs)。
【0184】
このRNA-ペプチド融合体選別技術の仕事率を調べるために、選別手段として免疫沈降法を用い、c-mycモノクローナル抗体に結合するペプチドの選別にライブラリーを使用した。5回の繰り返し選別および増幅により、抗mycモノクローナル抗体9E10(Evan ら、Mol. Cell. Biol. 第5巻:第3610頁(1985年))に結合する融合分子の割合が増加した。最初の各3回の選別における溶出により、選別段階で適用されたライブラリーの1%未満が回収されたが、ライブラリーの約10%が抗体と結合し、4回目の選別で溶出した。結合分子の割合は、5回目の選別において34%に増加した。この結果は、これらの条件下で抗myc抗体に結合する野生型c-myc融合構築物の割合(35%)とよく一致する。6回目の選別においてこれ以上の濃縮は観察されず、6回目および7回目から得られた融合分子を、選別されたペプチドの特性決定および配列決定に用いた。
【0185】
これらの実験を行うために、2×1013モルの開始ライブラリーを、選別緩衝溶液(1×PBS、0.1% BSA、0.05% Tween)中で、12倍過剰量のc-myc結合抗体9E10(Chemicon)と4℃において1時間インキュベートした。プロテインA-セファロースを加え、ペプチド融合体-抗体複合体を沈降させた。さらに4℃で1時間インキュベートした後、フィルターろ過によってセファロースを単離し、フロースルー(FT)画分を回収した。非特異的結合物を除去するために5倍量の選別緩衝液でセファロースを洗浄し(W1-W5)、結合したペプチドを4倍量の15mM酢酸で溶出させた(E1-E4)。溶出した融合分子のcDNA部分をPCRによって増幅し、得られたDNAを用いて高濃度の融合産物を作製し、選別のさらなる回に使用した。このプールからプロテインA-セファロースに親和性を持つペプチドを除去するために、プロテインA-セファロースについての前選別を2回目の選別に導入した。酢酸による免疫沈降から溶出された35S標識化RNA-ペプチド融合体の割合を測定することにより、選別の進行をモニターした。これらの結果を図20に示す。
【0186】
選別されたペプチドプールが選別に用いた抗myc抗体に特異的に結合することが示された。6回の非融合ペプチドとの結合実験では、融合ペプチドと比較して抗体への同様の結合が示され、融合分子の核酸部分が結合に必要ではないことが示されている(データは表記しない)。
【0187】
6回目の選別から得られた融合産物を、次の3つの異なる免疫沈降条件によって評価した:(1)抗myc抗体なし、(2)mycエピトープと同じアイソタイプではあるがこれに結合しない抗インテグリンモノクローナル抗体ASC-3を用いる、および(3)抗myc抗体9E10を用いる。選別緩衝液(1×PBS, 0.1% BSA, 0.05% Tween)中で、6回目の選別から得られた35S標識化RNA-ペプチド融合産物(0.2pmol)を、抗mycモノクローナル抗体9E10(100pmol)、抗インテグリンβ4モノクローナル抗体ASC-3(100pmol; Chemicon)、または抗体無しのいずれかと4℃において1時間インキュベートすることにより実験を行った。ペプチド融合体-抗体複合体をプロテインA-セファロースで沈降させた。5倍量の選別緩衝液でセファロースを洗浄した後、15mMの酢酸を添加することにより結合した種を溶出させた。
【0188】
抗体を用いない対照実験では主要な結合は検出できず、選別されたペプチドは非特異的にプロテインA-アガロースに結合しないことが示された。加えて、抗インテグリンモノクローナル抗体への結合は観察されず、選別されたペプチドは抗myc抗体に特異的であることが示された。選別されたペプチド融合分子が抗myc抗体9E10の抗原結合部位と相互作用するかどうかを検証するために、合成mycペプチドを用いた競合実験を行った。6回目で得られた35S標識化融合分子を抗mycモノクローナル抗体とインキュベートして未標識のmycペプチド量が増加したとき、結合分子の割合が減少した。これらの結果を図21に示す。この図では、6回目の選別から得られた35S標識化RNA-ペプチド融合産物を、0nmol、0.2nmol、1nmol、2nmol、または10nmolの合成mycペプチド(Calbiochem)存在下で、100pmolの抗mycモノクローナル抗体9E10とインキュベートした。融合ペプチド-抗体複合体をプロテインA-セファロースを添加することにより沈降させた。評価は、抗体と結合し15mMの酢酸によって溶出されうる融合分子の3回の結合反応により決定された平均割合を表している。競合データから、大多数の単離された融合分子はmyc結合部位に特異的であることが示された。
【0189】
5回目および6回目の選別に由来する別々の116クローンそれぞれの配列解析から2回生じる1つの配列が同定され、野生型c-mycエピトープEQKLISEEDL(配列番号:2)を含んでいた。3番目の配列はほぼ他の2つと同じであったが、ヌクレオチドレベルで2箇所の点変異を示し、そのうちの1つにおいては、保存されたmycエピトープ領域内でイソロイシンからバリンへの変異が起こっていた。全ての配列は、c-mycと非常に類似した共通配列であるX(Q、E)XLISEXX(L、M)(配列番号:38)を含んでいた。中心領域の4アミノ酸LISEは、最も高度に保存されていた。図22はランダム27残基ライブラリーから単離された、12個の選別されたペプチドアミノ酸配列を示している。図の上段にc-mycエピトープのアミノ酸配列を示す。表示された配列の共通モチーフを含む領域のみが含まれている。共通配列と一致するペプチドの残基を反転させた。クローンR6-63は野生型mycエピトープを含んでいた。共通残基(当てはめられた部位で50%以上の頻度)を、図の下段に示す。
【0190】
保存されたモチーフが、定義された5'プライマー領域にコードされた一つのアミノ酸を含んでいたことを考慮し、本発明者らは2×1013分子の開始プールにおいて、既知の10アミノ酸エピトープであるc-mycエピトープがわずか約60回しか出現しないことを算出した。5回の選別で検出された野生型エピトープの濃縮は、各回あたり200より多い個別の実験で確認された濃縮因子に非常に一致した。
【0191】
図22に示される12個の選別された配列について行われた免疫沈降実験によって、抗mycモノクローナル抗体の抗原結合部位に対するライブラリー由来RNA-ペプチド融合体の特異的結合が確認された。RNA-ペプチド融合体として、12個の配列全てが抗myc抗体と結合し、プロテインAセファロースに対する結合を示さなかった。また、(12個の配列に由来する)35S標識化された融合産物および未標識合成mycペプチドを用いて抗myc抗体に対する競合結合を確認した。使用された条件において、未標識mycペプチド存在下で標識化野生型myc融合体の9%が結合し、解析された12個の配列における結合の割合は0.4%から12%の間で変動した。これらのデータは、これらの配列が野生型myc融合体の配列と同程度の親和性でmyc抗体に結合することを示した。
【0192】
ARM モチーフペプチドの精製および固定化 RNA との融合
標準的なホスホラミダイト化学を用いて、λ-ボックスBR(CilleyおよびWilliamson、RNA 第3巻:57〜67(1997年))、BIV-TAR(Puglisiら、Science 第270巻:1200〜1203(1995年))、およびHIV-RRE(Battisteら、Science 第273巻:1547〜1551(1997年)についてのRNA結合部位を、3'ビオチン部位を含めて合成した。本明細書に記載されたように、合成RNA試料を脱保護、脱塩、およびゲル精製した。次に最終RNA濃度5mMにおいて、1×TE 8.2中でRNA濃縮原液と50%(v/v)スラリーのイムノピュアストレプトアビジンアガロース(ImmunoPure streptoavidin agarose)(Pierce)を振とうさせながら混合し、3'ビオチン化RNA部位を固定化した。(1)1Nペプチド断片をコードする鋳型または(2)対照としてグロビンmRNA(Novagen)を含む、2つの翻訳反応を行った。等量(50%スラリー(v/v)で50μl )の各固定化RNAを洗浄し、500μlの結合緩衝液(100mM KCl、1mM MgCl2、10mM Hepes-KOH pH7.5、0.5mM EDTA、0.01% NP-40、1mM DTT、50ug/ml 酵母tRNA)に再懸濁した。Nペプチドまたはグロビンの鋳型のいずれかを含んだ15μl の翻訳反応溶液を、3つの固定化結合部位のうち1つを含むチューブに加え、室温で1時間インキュベートすることによって結合反応を行った。遠心操作によってビーズを沈澱させ、100μl の結合緩衝液で2回洗浄した。結合した分子を解離させるため、RNase A(DNase非含有、1μl、1mg/ml)(Boehringer)を添加して37℃で1時間インキュベートした。上清を除去して30μlのSDS添加液と混合し、SDS・トリシンPAGEによって解析した。Nペプチド融合体の単離に関しては、融合体形成を促進させるために翻訳反応後35mM MgCl2を添加して室温で1時間インキュベートするという例外を除いては、同じプロトコールを使用した。
【0193】
これら3つの実験により、インビトロで合成される場合およびそれ自身のmRNAとのRNA-ペプチド融合体として作製される場合の両方において、Nペプチドはその正常な結合特異性を保持していることが示された。この結果は非常に重要である。非融合配列と比較すると、ペプチドまたはタンパク質のC末端に長い核酸配列が付着することにより(つまり、融合体形成)ペプチドの機能が妨害される可能性がある。アルギニンリッチモチーフ(ARM)ペプチドは、その比較的強い非特異的な核酸結合特性により、融合システムの厳密な機能分析(test)を示す。Nペプチド-mRNA融合体(cDNA合成に先行して)が遊離ペプチドの機能を保持しているという事実は、自己複合体または非特異的複合体のいずれかを形成する可能性がある場合でも、特異性が保持されていることを示している。
【0194】
蛋白選択システムの利用
本発明の選択システムは蛋白技術を用いて治療的、診断的、または工業的問題を解決する如何なる領域にも商業的に応用される。この選択技術は望みの機能を有する新しい蛋白の単離と共に、既存の蛋白を改善または変化させるために有用である。これらの蛋白は天然に起こる配列であってもよく、天然に起こる配列の変化形であってもよく、または部分的もしくは完全に合成された配列であってもよい。更に、これらの方法は有用な核酸又は小分子量の標的を単離又は同定するのに用いられうる。
【0195】
新規結合試薬の単離
1つの特定の応用において、本明細書において記述のRNA蛋白融合技術は、特異的結合(例えば、リガンド結合)特性を有する蛋白の単離に有用である。非常に特異的な結合相互作用を示す蛋白は、非抗体認識試薬として用いてもよく、これによってRNA-蛋白融合技術は従来のモノクローナル抗体技術をしのぐことができるようになった。この方法によって単離した抗体タイプの試薬は、診断および治療応用を含む従来の抗体を利用する如何なる領域にも用いられる可能性がある。
【0196】
ヒト抗体の改善
本発明はまた、多くの疾患の治療のためにヒトまたはヒトに適合させた抗体を改善するために用いてもよい。この応用において、抗体ライブラリを作製し、インビトロでスクリーニングすれば、細胞融合またはファージディスプレイのような技術の必要性がなくなる。1つの重要な応用において、発明は1本鎖抗体ライブラリを改善するために有用である(ワードら(Ward)、Nature 341:544(1989);およびグーロら(Goulot)、J. Mol. Biol. 213:617(1990))。この応用に関しては、可変領域は、ヒト起源(レシピエントの考えられる有害な免疫反応を最少にする)から構築してもよく、または完全にランダムなカセットを含んでもよい(ライブラリの複雑性を最大限にするため)。改善した抗体分子をスクリーニングするため、標的分子に対する結合に関して候補分子のプールを調べる(例えば、図2に示すように固定した抗原)。次に選択が1つのラウンドから次へと進行するように、高レベルのストリンジェンシーを結合段階に適用する。ストリンジェンシーを増加させるため、洗浄段階の回数、過度の競合物質の濃縮、緩衝液条件、結合反応時間の長さ、および固定化マトリクスの選択のような条件を変化させる。
【0197】
1本鎖抗体は、治療のために直接または標準的な抗体の構築のために間接的に用いてもよい。そのような抗体は、抗自己免疫抗体の単離、免疫抑制、およびAIDSのようなウイルス疾患に対するワクチンの開発を含む、考えられる多くの応用がある。
【0198】
新しい触媒の単離
本発明はまた、新しい触媒蛋白を選択するために用いてもよい。インビトロ選択および展開は、これまで新規触媒RNAおよびDNAの単離に用いられているが、本発明では、新規蛋白酵素の単離に用いられる。このアプローチの1つの特定の例において、触媒は、触媒の遷移状態の化学類似体への結合を選択することによって間接的に単離してもよい。もう一つの特定の例において、直接の単離は、基質との共有結合形成について選択することによって(例えば、アフィニティタグに結合した基質を用いて)、または開裂(例えば、特異的結合を切断する能力について選択し、それによって固相支持体からのライブラリの触媒メンバーを生じることによって)によって実施してもよい。
【0199】
新しい触媒を単離するこのアプローチは、触媒的抗体技術に対して少なくとも2つの重要な長所を有する(シュルツら(Schultz)、J. Chem. Engng. News 68:26(1990))。まず、触媒抗体技術において、初回プールは一般に免疫グロブリンの範囲に限定され;対照的にRNA-蛋白融合体の開始ライブラリは、完全にランダムであってもよく、または既知の酵素構造または蛋白骨格の変種を含んでもよいがこれらに限定しない。さらに、触媒的抗体の単離は一般に遷移状態反応類似体との結合に関しての初回選択に依存し、その後活性抗体についての面倒なスクリーニングを行う;この場合も対照的に、RNAライブラリを用いて先に証明したように、RNA-蛋白融合ライブラリアプローチを用いた触媒の直接選択は可能である。蛋白酵素を単離するもう一つのアプローチにおいて、遷移状態類似体および直接選択アプローチを合わせてもよい。
【0200】
この方法によって得られた酵素は非常に貴重である。例えば、現在開発すべき化学プロセスを改善する新規かつ有効な工業的触媒に対する逼迫した必要性が存在する。本発明の主要な長所は、任意の条件において選択を行ってもよく、例えば、インビボ条件に限定されないという点である。したがって、発明は、既定の環境、例えば上昇した温度、圧力または溶媒濃度の環境において機能しながら、非常に特異的な形質転換を行うことができる(およびそれによって望ましくない副産物の形成を最小限にする)新規酵素または既存の酵素の改善変種の単離を容易にする。
【0201】
インビトロ相互作用トラップ
RNA-蛋白融合技術はまた、cDNAライブラリをスクリーニングし、蛋白蛋白相互作用に基づく新しい遺伝子をクローニングする際に有用である。この方法によって、cDNAライブラリは望ましい起源から作製する(例えば、アウスベルら(Ausubel)、前記、第5章)。候補cDNAのそれぞれに対して、ペプチド受容体(例えば、ピューロマイシンの尾部のように)をライゲーションする(例えば、LP77、LP154、およびLP160の産生について上記の技術を用いて)。次に、RNA-蛋白融合体を本明細書で記述のように作製し、これらの融合体(または融合体の改善版)が特定の分子と相互作用する能力を上記のように調べる。望ましいならば、停止コドンおよび3' UTR領域は、このプロセスにおいて(i)サプレッサーtRNAを加えて停止領域の読み過ごしを可能にする、(ii)免疫沈降による翻訳反応からの放出因子を除去する、(iii)(i)と(ii)の組合せ、または(iv)DNA配列からの停止コドンおよび3' UTRの除去、のいずれかによって避けられる可能性がある。
【0202】
相互作用段階がインビトロで起こるという事実から、非特異的競合剤、温度、およびイオン条件を用いて、反応のストリンジェンシーを注意深く調節することができるようになる。正常な小分子を加水分解できない類似体(例えば、ATP対ATPgS)に変化させることは、同じ分子の異なる配座異性体を識別する選択となる。このアプローチは、選択した結合パートナーのRNA配列は共有結合し、したがって、容易に単離される可能性があるため、多くの蛋白のクローニングおよび機能的同定の双方にとって有用である。さらに、この技術は、その配列が現在ヒトゲノムプロジェクトによって決定されつつある〜50〜100,000個のヒト遺伝子の機能および相互作用を特定するために有用である。
【0203】
マイクロチップ形式での RNA- 蛋白融合体の利用
「DNAチップ」は、固定したオリゴヌクレオチドまたはcDNAもしくはゲノムDNAの空間的に定義された配置を含み、迅速なシークエンシングおよび転写プロフィーリングのような応用を有する。RNA-蛋白融合体の混合物(例えば、細胞DNAまたはRNAプールから生じたもの)をそのようなDNAチップにアニーリングすることによって、1つの固定化配列に対応する各スポットがRNA-蛋白融合体のプールにおいてその対応する蛋白にアニーリングすることができる「蛋白ディスプレイチップ」を作製することが可能である。このアプローチによって、対応する蛋白は、その自身のmRNAとの結合のために、空間的に定義された様式で固定化され、一連のDNA配列を含むチップが対応する一連の蛋白を表示する。または、これらの蛋白のペプチド断片は、融合物のライブラリがcDNAまたはゲノムDNAのより小さい断片から生成する場合に表示される可能性がある。
【0204】
そのような蛋白およびペプチドを順序立てて表示することは、多くの用途を有する。例えば、それらはこれまで未知の蛋白-蛋白相互作用の同定のための強力なツールとなる。1つの明確な形式において、プローブ蛋白を検出可能に標識して(例えば、蛍光色素によって)、標識蛋白を蛋白ディスプレイチップによってインキュベートする。このアプローチによって、プローブ蛋白と結合することができる蛋白の実体は、プローブの結合により標識されるに至ったチップ上のスポットの位置から決定される。もう一つの応用は修飾酵素の作用を通じて化学修飾された蛋白の迅速な定量である(例えば、蛋白キナーゼ、アシルトランスフェラーゼ、およびメチルトランスフェラーゼ)。蛋白ディスプレイチップを関係酵素および放射活性標識基質とインキュベートし、その後洗浄してオートラジオグラフィーを行うことによって、位置および、したがって酵素を修飾するための基質であるそれらの蛋白の実体が容易に決定される可能性がある。さらに、小さいペプチドの順序表示によってこのアプローチを用いることは、そのような修飾部位の位置を知ることがさらに可能となる。
【0205】
蛋白表示技術は、適当な固相支持体に固定化した核酸(RNAを含むが、好ましくはDNA)の配置を用いて実施してもよい。一例としての固相支持体はガラス(例えば、ガラス板)、シリコン、またはシリコンガラス(例えばマイクロチップ)、または金(例えば、金板)のような材料で構成してもよい。核酸をそのような固相表面上の正確な領域に接着させる方法、例えば、写真平板法は当技術分野で周知であり、発明において用いられる固相支持体(例えば、DNAチップ)の作製に用いてもよい。この目的のための一例としての方法は、シェナら(Schena)、Science 270:467〜470(1995);コザールら(Kozal)、Nature Medicine 2:753〜759(1996);チェンら(Cheng)、Nucleic Acids Research 24:380〜385(1996);リップシュッツら(Lipshutz)、Bio Techniques 19:442〜447(1995);ピースら(Pease)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5022〜5026(1994);フォドア(Fodor)、Nature 364:555〜556(1993);ピールンら(Pirrung)、米国特許第5,143,854号;およびフォドア(Fodor)ら、国際公開公報第92/10092号を含むが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 RNA-蛋白質融合体を作出するのに含まれる段階の概要を示したものである。図1Aは、融合体のRNA部分を作製するためのDNA構築物の見本を図示したものである。図1Bは、RNA/ピューロマイシン結合体の作出を図示したものである。そして、図1Cは、RNA-蛋白質融合体が作出されるのを図示している。
【図2】 本発明による一般的な選抜プロトコールの概要を示したものである。
【図3】 3'側にピューロマイシンをもつ最小翻訳鋳型の合成プロトコールの概要を示したものである。段階(A)は、ピューロマイシンの反応官能基(5'-OHとNH2)に保護基を付加するところを示している。すなわち、修飾されて、これらの基は、ホスホロアミダイトによるオリゴヌクレオチド合成で使用するのに適するように保護される。その3'OHにDNAを付加するための標準的なプロトコールを用いて、この保護されたピューロマイシンを、2'OH基によって、アミノヘキシル調節多孔ガラス(CPG)に付着させた(ゲート(Gait)、オリゴヌクレオチド合成、実際的方法(Oligonucletide Synthesis, A Practical Approach)、実用的応用シリーズ(The Practical Approach Series)(IRLプレス、オクスフォード(IRL Press, Oxford)、1984))。段階(B)では、43ヌクレオチドを含む最小翻訳鋳型(「43-P」と呼ぶ)を、標準的なRNAおよびDNA化学法(ミリポア社、マサチューセッツ州、ベドフォード(Millipore, Bedford, MA))を用いて合成し、NH4OHとTBAFを用いて脱保護し、さらにゲル精製した。この鋳型は、5'末端に13塩基のRNAを含み、それに、その5'0Hに3'ピューロマイシンが付着した、29塩基のDNAが続いていた。RNA配列は、(i)16S rRNAの5塩基に相補的なシャイン-ダルガルノ保存配列(Stomoら、Nucleic Acids Research 10:2971-2996 (1982); Shine and Dalgarno, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 71: 1342-1346 (1974);およびSteitz and Jakes, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72: 4734-4738 (1975))、(ii)5塩基のスペーサー、および(iii)1個のAUG開始コドンを含んでいた。「P」がピューロマイシンの場合には、DNA配列はdA27dCdCPであった。
【図4】 保護されたCPG-結合ピューロマイシンを調製するための好ましい方法の概要を示している。
【図5】 本発明の鋳型にメチオニンを取り込むことが可能な方式を示した概要図である。反応(A)で示されているように、鋳型はリボソームに結合し、70Sの開始複合体を形成させる。f-met tRNAがPサイトに結合し、鋳型と塩基対を形成する。鋳型の3'末端のピューロマイシンが、分子内で鋳型のAサイトに入り込み、ペプチジルトランスフェラーゼの中心を介してN-ホルミルメチオニンとアミド結合を形成し、それによって、tRNAを脱アシル化する。反応液をフェノール/クロロホルム抽出すると、メチオニンが共有的に付着した鋳型が得られる。反応(B)で示されているのは、鋳型とピューロマイシンを含むオリゴヌクレオチドとの望ましくない分子間反応である。前と同じように、最小鋳型は、Pサイトに結合したf-met tRNAを含む70Sリボソームの形成を刺激する。この後、もう一つの鋳型がトランスの形に入ってきて、共有的に付着したメチオニンができる。
【図6】 35Sメチオニン(35S met)の翻訳鋳型への取り込みを示した写真である。図6Aは、この反応がマグネシウム(Mg2+)依存的であることを示している。図6Bは、産物が塩基安定的であることを示している。すなわち、この図に示されている移動度の変化は、43-P(「Met鋳型」とも名づけられている)の5'RNA配列が消失して、30-Pと名づけられたDNA-ピューロマイシン部位が産生されたことに対応している。塩基処理の後も標識を保持していることは、35Sメチオニンと鋳型の3'ピューロマイシンとの間にペプチド結合が形成されたことと合致していた。図6Cは、ペプチジルトランスフェラーゼのインヒビター存在下で、産物形成が阻害されることを示している。図6Dは、35Sメチオニンの取り込みが、鋳型コード配列依存的であることを示している。図6Eは、35Sメチオニンの取り込みが、DNA鋳型の長さに依存することを示している。図6Fは、鋳型43-Pと25-Pを用いた、シス型対トランス型の産物形成を示している。図6Gは、鋳型43-Pと13-Pを用いた、シス型対トランス型の産物形成を示している。図6Hは、網状赤血球ライセートシステムにおいて鋳型43-Pと30-Pを用いた、シス型対トランス型の産物形成を示している。
【図7】 ペプチド融合形成と選抜を調べるための構築物の概要を図示したものである。図7Aは、LP77(「連結した産物」「77」ヌクレオチド長)(「短いmyc鋳型」とも名づけられている)を示している(配列番号:1)。この配列は、5'側の開始コドンと3'側のリンカーに隣接したc-mycモノクローナル抗体エピトープタグEQKLISEEDL(配列番号:2)を含む(Evansら、Mol. Cell Biol. 5:3610-3616 (1985))。5'側領域は、43-Pと同一の細菌シャイン-ダルガルノ配列を含んでいる。コード配列は、細菌の系で翻訳されるよう最適化した。特に、43-PとLP77の5'UTRは、16S rRNAの5塩基に相補的なシャイン-ダルガルノ保存配列(Steitz and Jakes, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:4734-4738 (1975))、およびリボソーム蛋白質の配列と同じスペース(Stormoら、Nucleic Acids Res. 10:2971-2996 (1982))をもっていた。図7Bは、LP154(154ヌクレオチド長の連結産物)(「長いmyc鋳型」とも名づけられている)を示している(配列番号:3)。この配列は、c-myc抗体を単離するのに用いたペプチドを生成するためのコードを含んでいる。5'末端には、一部欠失したTMVの上流配列(「TE」と命名した)を含んでいる。この5'UTRは、TMVの5'UTRに由来する、2個のACAAAUUAC直列反復配列(Gallieら、Nucl. Acids Res. 16:883 (1988))を含む22ヌクレオチドの配列を含んでいた。図7Cは、ペプチド選抜に用いられる例示的な配列である1号プール(配列番号:4)を示している。鋳型のPCR増幅に必要とされる3'側定常領域として利用する鋳型には、最初のmycペプチドから最終的には7つのアミノ酸が含まれていた。この配列は、抗体結合エピトープの部分ではないことが分かっている。
【図8】 鋳型43-P、LP77、およびLP154、ならびに網状赤血球(「Retic」)およびコムギ胚芽(「Wheat」)の翻訳システムを用いた、RNA-蛋白質融合体の合成を示す写真である。図の左側半分は、3つの鋳型それぞれにおける、35Sメチオニンの取り込みを示している。図の右側半分は、その結果できた産物を、RNAのコード領域を除去するために、3つの鋳型それぞれについてRNase Aで処理したものを示している:35Sメチオニン標識したDNA-蛋白質融合体が示されている。それぞれのDNA部分は、オリゴP-30と一致していた。このように、移動度の違いは、コード領域の長さに比例していて、それぞれの場合に異なった長さの蛋白質が存在することと合致していた。
【図9】 LP154から合成したRNA-蛋白質融合体の、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって解析したプロテアーゼ感受性を示す写真である。レーン1は、32Pで標識された30-Pを含んでいる。レーン2〜4、5〜7、および8〜10は、網状赤血球ライセート反応から回収された、それぞれ、無処理、RNase A処理、または、RNase AおよびプロテイナーゼK処理のいずれかの、35S標識された翻訳鋳型を含んでいる。
【図10】 インビトロで翻訳させた33アミノ酸のmyc-エピトープ蛋白質を用いた免疫沈降反応の結果を示す写真である。レーン1と2は、それぞれmyc-エピトープ蛋白質とβ-グロビンの鋳型の翻訳産物を示している。レーン3〜5は、c-mycモノクローナル抗体、ならびに、それぞれ、PBS、DB、およびPBSTDS洗浄用緩衝液を用いた、myc-エピトープペプチドの免疫沈降の結果を示している。レーン6〜8は、同じ免疫沈降反応であるが、β-グロビン翻訳産物を用いた結果を示している。
【図11】 インビトロで翻訳反応させたRNA-蛋白質融合体の免疫沈降反応の結果を示す写真である。反応において用いられた鋳型のピコモル数が示されている。レーン1〜4はRNA124(LP154融合体のRNA部分)を、レーン5〜7はRNA-蛋白質融合体LP154を示している。c-mycモノクローナル抗体とプロテインGセファロースを用いた免疫沈降後、サンプルをRNase AとT4ポリヌクレオチドキナーゼで処理してから、融合体を可視化するために、尿素ポリアクリルアミド変性ゲルで泳動した。レーン1〜4では、鋳型なしか、長いmyc鋳型(RNA124)のRNA部分だけを含むサンプルでは、融合は見られなかった。レーン5〜7では、融合体に相当するバンドが明らかに見られた。32P標識された30-Pの位置を示し、図の上部には、投入した鋳型の量を示す。
【図12】 インビトロで翻訳反応で得られた融合物質の定量結果を示すグラフである。図11のレーン5〜7における融合体のバンドと30-Pのバンド(dT25で平行方式で単離された;図示されていない)の強度をホスホールイメージャープレートで定量して、LP154の投入濃度の関数としてグラフにした。回収された被修飾30-P(左側のy軸)は、投入された鋳型(X軸)に直線的に比例したが、リンカーペプチド融合体(右側のy軸)は一定であった。この解析から、翻訳反応サンプル1 mlについて、〜1012個の融合体が形成されると計算された。
【図13】 チオプロピルセファロースとdT25アガロース、および、これらの基質が、本発明のRNA-蛋白質融合体と反応できることを図示したものである。
【図14】 本発明の融合体を連続して単離した結果を示す写真である。レーン1は、32P標識した30-Pである。レーン2と3は、翻訳反応液から単離して、RNase Aで処理したLP154を示している。レーン2では、チオプロピルセファロースの後dT25アガロースを用いて、LP154を連続的に単離した。レーン3は、dT25アガロースだけを用いて単離したものを示している。この結果から、この産物が、mycエピトープのコード配列の最後から2番目のシステインと思われる遊離のチオール基を含んでいることが示された。
【図15】 SDS-トリシン-PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)によって解析されたβ-グロビンを鋳型として用いたときの融合産物の形成を示す写真である。図15Aは、鋳型なし(レーン1)、合成-β-グロビン鋳型(レーン2〜4)、またはLP-β-グロビン鋳型(レーン5〜7)のいずれかを用いたときの、35Sの取り込みを示している。図15Bは(図15Aと同じにレーン標識されている)、オリゴヌクレオチドアフィニティークロマトグラフィーによって単離された35S標識物質を示している。30-Pテールがないと、何も単離されなかった(レーン2〜4)。
【図16】 インビトロ選抜による、myc dsDNAとプールdsDNAの増幅を示す表と写真である。図16Aは、選抜プロトコールの概要である。myc鋳型とプール鋳型の4つの混合液をインビトロで翻訳し、dT25アガロースで分離した後、TPセファロースで、修飾されなかった鋳型から鋳型融合物を精製した。次に、mRNA-ペプチド融合体を逆転写して、鋳型に存在する二次構造または三次構造を抑制した。各混合液の等量液を、親和性選抜を行う前(図16B)と後(図16C)に取り出し、標識プライマー存在下でPCRで増幅して、myc DNAのみを切断する制限酵素で制限酵素消化した。投入した鋳型混合液は、純粋なmyc(レーン1)、またはmyc:プールが1:20、1:200、もしくは1:2000であった(レーン2〜4)。mycの鋳型の選択的な翻訳と逆転写が起きたために、非選択的な物質が、投入割合から逸脱した。選抜の前後におけるプール:mycの比率の変化から、選抜段階の間におけるmyc鋳型の増幅を計算した。
【図17】 myc RNA鋳型の翻訳を示した写真である。次のリンカーを用いた:レーン1〜4、dA27dCdCP;レーン5〜8、dA27rCrCP;およびレーン9〜12、dA21C9C9C9dAdCdCP。各レーンにおいて、RNA鋳型の濃度は600 nMで、35S-Metを標識に用いた。反応条件は、以下の通りであった:レーン1、5および9、30℃で1時間;レーン2、6および10、30℃で2時間;レーン3、7および11、30℃で1時間、-20℃で16時間;およびレーン4、8および12、30℃で1時間、50mM Mg2+とともに-20℃で16時間。この図において、「A」は、遊離のペプチドを示し、「B」は、mRNA-ペプチド融合体を示す。
【図18】 32P標識されたmyc RNA鋳型の翻訳を示す写真である。用いたリンカーは、dA21C9C9C9dAdCdCPであった。翻訳は、30℃で90分間行い、インキュベーションは、Mg2+を添加せずに-20℃で2日間行った。mRNA鋳型の濃度は、400 nM(レーン3)、200 nM(レーン4)、100 nM(レーン5)、および100 nM(レーン6)であった。レーン1は、35S-Metで標識したmRNA-ペプチド融合体を示す。レーン2は、32P標識されたmRNAを示す。レーン6では、0.5 mMのキャップ類似体の存在下で反応を行った。
【図19】 アンビオン社(Ambion)(レーン1)、ノバジェン社(Novagen)(レーン2)、およびアマシャム社(Amersham)(レーン3)から購入したライセートを用いた、myc RNA鋳型の翻訳を示す写真である。用いたリンカーは、dA27dCdCPであった。鋳型の濃度は600 nMで、35S-Metを標識に用いた。翻訳は、30℃で1時間行い、インキュベーションは、50 mM Mg2+存在下、-20℃で一晩行った。
【図20】 6回のインビトロ選抜の間に抗mycモノクローナル抗体9E10と結合したRNA-ペプチド融合体の濃縮を示すグラフである。
【図21】 合成mycペプチドを用いた競合アッセイ法を示したグラフである。
【図22】 ランダム27mer残基ライブラリーから選抜された12個のペプチドアミノ酸配列を示した模式図である。
【図23】 融合体形成におけるリンカー長に対する効果を示した写真である。この図において、[N]=13ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、35ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、45ヌクレオチド長または50ヌクレオチド長(dA10-47dCdCP)のリンカーを含むMyc鋳型をSDS-PAGEにより融合体形成についてアッセイした。可動リンカーF(dA21[C9]3dAdCdCP)もまた示す。600nMの鋳型を用いて30℃で90分間翻訳を行い、続いて50mMのMg2+を添加し、-20℃で2日間インキュベートした。
【図24】 mycおよびλPPase mRNAの共翻訳を示した写真である。この図中で、可動リンカーF(dA21[C9]3dAdCdCP)を含む、200nMのλPPase RNA(RNA716)および/または50nMのmyc RNA(RNA152)を、[35S]-メチオニンを用いて翻訳した。Mg2+(75mM)を添加した後、-20℃でインキュベートした。交差産物(λPPaseタンパク質に対するmyc鋳型融合体)からはバンドは観察されなかった。
【配列表】
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Claims (24)

  1. タンパク質ライブラリーを作製する方法であって、以下の段階を含む方法:
    a)個々がタンパク質コード配列に操作可能に連結された翻訳開始配列および開始コドンを含み、個々が該タンパク質コード配列の3'末端でペプチド受容体に操作可能に連結された、一群のRNA分子を供給する段階;
    b)一群のRNA-タンパク質融合体を作製するために、該タンパク質コード配列をインビトロにおいて翻訳する段階;および
    c)高濃度塩条件下で該RNA-タンパク質融合体群をさらにインキュベートし、これによってタンパク質ライブラリーを作製する段階であって、高濃度塩条件が、300mM〜600mM間の濃度の一価の陽イオンと、25mM〜200mM間の濃度の二価の陽イオンとを含む、前記段階。
  2. DNAライブラリーを作製する方法であって、以下の段階を含む方法:
    a)個々がタンパク質コード配列に操作可能に連結された翻訳開始配列および開始コドンを含み、個々が該タンパク質コード配列の3'末端でペプチド受容体に操作可能に連結された、一群のRNA分子を供給する段階;
    b)一群のRNA-タンパク質融合体を作製するために、該タンパク質コード配列をインビトロにおいて翻訳する段階;
    c)高濃度塩条件下で該RNA-タンパク質融合体群をさらにインキュベートする段階;および
    d)該融合体の各RNA部位からDNA分子を作製し、これによってDNAライブラリーを作製する段階であって、高濃度塩条件が、300mM〜600mM間の濃度の一価の陽イオンと、25mM〜200mM間の濃度の二価の陽イオンとを含む、前記段階。
  3. 所望のタンパク質、または該タンパク質をコードする核酸を選別する方法であって、以下の段階を含む方法:
    a)個々がタンパク質コード配列に操作可能に連結された翻訳開始配列および開始コドンを含み、個々が候補タンパク質コード配列の3'末端でペプチド受容体に操作可能に連結された、一群の候補RNA分子を供給する段階;
    b)一群の候補RNA-タンパク質融合体を作製するために、該候補タンパク質コード配列をインビトロにおいて翻訳する段階;
    c)高濃度塩条件下で該候補RNA-タンパク質融合体群をさらにインキュベートし、これによってタンパク質ライブラリーを作製する段階であって、高濃度塩条件が、300mM〜600mM間の濃度の一価の陽イオンと、25mM〜200mM間の濃度の二価の陽イオンとを含む、前記段階;および
    d)所望のRNA-タンパク質融合体を選別し、これによって該所望のタンパク質および該タンパク質をコードする該核酸を選別する段階。
  4. 一価陽イオンがK+またはNH4 +である、請求項1〜のいずれか一項記載の方法。
  5. 一価陽イオンがNa+である、請求項1〜のいずれか一項記載の方法。
  6. インキュベーション段階が室温において行われる、請求項1〜記載の方法。
  7. 二価陽イオンがMg2+である、請求項1〜6記載のいずれか一項記載の方法。
  8. 各RNA分子が休止配列をさらに含む、またはRNA分子の3'末端に共有結合したDNAもしくはDNA類似体配列をさらに含む、請求項13のいずれか一項記載の方法。
  9. 休止配列またはDNAもしくはDNA類似体配列が、解読部位とリボソームのペプチジル転移中心の間の距離に及ぶのに十分な長さである、請求項記載の方法。
  10. 休止配列またはDNAもしくはDNA類似体配列が、60A0〜70A0の長さである、請求項記載の方法。
  11. 休止配列またはDNAもしくはDNA類似体配列が80ヌクレオチド未満の長さである、請求項記載の方法。
  12. 休止配列またはDNAもしくはDNA類似体配列が45ヌクレオチド未満の長さである、請求項記載の方法。
  13. 休止配列またはDNAもしくはDNA類似体配列が21ヌクレオチド〜30ヌクレオチドの長さである、請求項記載の方法。
  14. DNAスプリント(splint)を用いて、休止配列またはDNAもしくはDNA類似体配列がRNA分子に連結される、請求項記載の方法。
  15. 休止配列またはDNAもしくはDNA類似体配列が非ヌクレオチド部位を含む、請求項記載の方法。
  16. 非ヌクレオチド部位が、ひとつ又は複数のHO(CH2CH2O)3PO2(リン酸ポリエチレングリコール)部位である、請求項記載の方法。
  17. RNA-タンパク質融合体が、可動性を増加させるペプチド受容体の近傍に位置する核酸または核酸類似体配列をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
  18. RNA-タンパク質融合体群が、翻訳の後および前記作製段階の前に回収される、請求項2記載の方法。
  19. RNA-タンパク質融合体群が、RNAもしくは蛋白質クロマトグラフィー段階、またはその組み合わせにより回収される、請求項18記載の方法。
  20. RNAタンパク質融合体群が、dTアガロースもしくはチオプロピルセファロース、またはその組み合わせに結合させることにより回収される、請求項18記載の方法。
  21. 候補RNAタンパク質融合体群が、選別段階の前の翻訳反応物から回収される、請求項3記載の方法。
  22. 候補RNAタンパク質融合体群が、RNAもしくは蛋白質クロマトグラフィー段階、またはその組み合わせにより回収される、請求項21記載の方法。
  23. 候補RNAタンパク質融合体群が、dTアガロースもしくはチオプロピルセファロース、またはその組み合わせに結合させることにより回収される、請求項18記載の方法。
  24. 候補RNAタンパク質融合体群が、少なくとも1013個の異なるRNA分子を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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