JP2001521395A - 標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子の同定方法 - Google Patents

標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子の同定方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する方法に関する。本発明の方法は、特に、ssrA−RNAのtag−コード配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下、ポリソームを形成することが可能な条件下でのインビトロ翻訳工程によって特徴づけられる。本発明はさらに、本発明を実行するのに有用なキットに関する。

Description

【発明の詳細な説明】 標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子の同定方法 本発明は、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を 同定する方法に関する。本発明の方法は、特に、ssrA−RNAのtag−コード配 列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下でポリソームの形成が可 能な条件下でのインビトロ翻訳工程によって特徴づけられる。本発明はさらに、 本発明を実行するのに有用なキットに関する。 進化的な方法は、現在合理的な設計の能力および精度を越える、タンパク質工 学の改善をもたらし得る。進化は、“世代”の成功、即ち遺伝的多様性のサイク ルと、その後の望ましい表現型へのダーウィン選択と定義づけることができる。 古典的な実験では、核酸はインビトロにおける物理的性質について解明されてき た(Saffhill,R.,Schneider-Bernloehr,H.,Orgel,L.E.& Spiegelman,S. (1970)J.Mol.Biol.51,531-539)が、この場合において表現型を与える物質 は、遺伝物質と同一であった。オリゴヌクレオチドリガンド、通常、一本鎖RN Aは、SELEX(Gold,L.,Polisky,B.,Uhlenbeck,O.& Yarus,M.(1995 )Annu.Rev.Biochem.64,763-797;Irvine,D.,Tuerk,C.&Gold,L.(1991 )J.Mol.Biol.222,739-761)によって多くの標的が同定されており、そこで は合成DNAライブラリーが転写され、結合についてRNAが選択され、逆転写 して数回のラウンドに渡って増幅される。明らかに、非常に広い応用範囲を有す る、表現型の運搬体としてのタンパク質に関する初期の実験は、直接的にまたは ファージまたはウイルスのいずれかによって、遺伝子とタンパク質との間のカッ プリングを起こさせるために生細胞に頼っていた(Phizicky,E.M.& Fields,S .(1995)Microbiol.Rev.59,94-123。このタイプの実験では、コードされた タンパク質の多様性の情報運搬体としてのDNAライブラリーは、細菌または真 核細胞に形質転換またはトランスフェクトしなければならないので、得ることの できる多様性はDNA取り込みの効率によって著しく制限される(Dower,W.J. & Cwirla,S.E.(1992)in Guide to Electroporation and Electrofusion,e ds.Chang,D.C.,Chassy,B.M.,Saunders,J.A.& Sowers,A.E.(Academ ic Press,San Diego),pp.291-301)。さらに、それぞれの世代において、DN Aライブラリーは、最初に複製可能な遺伝的パッケージにライゲーションしなけ ればならず、それにより多様性がさらに減少する。さらに、多くの有望な変異体 が宿主の環境に逆らって選択されなければならないであろう。面倒な、インビト ロでの多様化とインビボでのスクリーニングの反復的な切り替えを必要とするの で、ごく少数の研究(Yang,W.P.,Green,K.,Pinz-Sweeney,S.,Briones,A .T.,Burton,D.R.& Barbas3rd.,C.F.(1995)J.Mol.Biol.254,392-4 03)のみが、ファージディスプレイのような方法を用いて1世代以上にわたりタ ンパク質最適化を伝えた。 この方法を回避または改善することを目標にして、数多くの研究所が、翻訳中 にmRNAと対応する(ポリ)ペプチドとが、すぐ間近くにあることと物理学的 な関係とに基づいて新規のシステムを設計してきた。したがって、一連の研究に よって、特異的なmRNAがポリソームの免疫沈降によって豊富化され得るとい うことが示された(Schechter,I.(1973)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.70 ,2256-2260;Payvar,F.& Schimke,R.T.(1979)Eur.J.Biochem.101,27 1-282;Kraus,J.P.& Rosenberg,L.E.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S .A.79,4015-4019)。最近、Mattheakisと共同研究者らは、インビトロで遺伝子 型と表現型を関連付けるために、ポリソームを使用したライブラリー由来の短い ペプチドのアフィニティー選択を報告した(Mattheakis,L.C.,Bhatt,R.R.& Dower,W.J.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91,9022-9026;WO95/11 922)。 このシステムは、好ましくインビトロ転写システムと組み合わせたインビトロ 翻訳システムを利用する。翻訳システムは、(ポリ)ペプチドのための適当なス クリーニングエ程後のポリソーム複合体におけるmRNAと(ポリ)ペプチドの 同時の単離を可能にする。好ましくは、Mattheakisシステムにおける(ポリ)ペ プチドは、2つの成分からなっている。1つは、スクリーニングされるペプチド であり、もう1つはmRNAに結合する繋ぎ留め(tether)断片である。ポリソ ーム複合体におけるmRNAと(ポリ)ペプチドの同時単離は、E.coliについ てそのような配列の存在が依然として不明であるとしても、翻訳ストーリング( stalling)配列の助けにより可能にできるかもしれない。この配列は、翻訳速度 を減速させることによりポリソーム複合体の全体の安定性を増大させ、それによ り(ポリ)ペプチドと対応するmRNAの同時スクリーニングと単離に適当な条 件を可能にし得る。 同様の研究が、前にGoldおよび同僚(WO93/03172)およびKwasakiおよび共同 研究者(WO91/05058)によって報告された。上記のシステムは、前記核酸によっ てコードされるタンパク質の同定により核酸を特徴付ける手段を確立したけれど も、生成しようとする(ポリ)ペプチドのリボソームディスプレイの効率に関し て実際的な制限が存在する。したがって本発明の前に立ちはだかる技術的課題は 、(i)安定なRNA分子のコレクションの合成と(ii)このRNA分子の翻訳 の効率を増加させ、それによりスクリーニングにおけるポリソームの使用の効率 の増加を達成することであった。この技術的課題の解決は、クレームにおいて特 徴付けられる態様を提供することによって達成される。 したがって、本発明は、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードす る核酸分子を同定する方法であって、以下の工程: (a)正確なリーディングフレームにおける終止コドンを欠くmRNAの集団を 、インビトロ翻訳システムにおいて翻訳する工程であって、該翻訳システムは、 ポリソームの形成が可能な条件下で、ssrA−RNAのtag−配列に相補的なアンチセ ンスオリゴヌクレオチドを含むか、またはssrA−RNAを含まない工程; (b)形成したポリソームを前記標的分子と、前記mRNA分子によりコードさ れ該ポリソームによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと前記標的分子と の相互作用が可能な条件下で、接触させる工程; (c)前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイするポリソ ームを、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームから 分離する工程;および (d)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポ リ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する工程 を含む方法に関する。 本発明において使用される用語「(ポリ)ペプチド」は、ペプチドとポリペプ チドの両方を意味する。該(ポリ)ペプチドは、天然のまたは組換え的に加工さ れたアミノ酸配列のいずれかを含むであろう。後者の代用物にはさらに、融合タ ンパク質も含まれる。 本発明によれば、用語「ポリソーム」は、翻訳の間に、少なくとも1つの好ま しくはいくつかのリボソームとmRNAによって形成される複合体を意味する。 mRNA分子の集団は、様々な起源のものであってよい。例えば、cDNAラ イブラリー由来のものであろう。別の態様では、細胞または組織から直接得られ るものであろう。突然変異を起こさせた(ポリ)ペプチドに本発明を使用して改 善された変異体を見つけることも特に有利である。別法として、合成タンパク質 またはペプチドライブラリーまたは抗体ライブラリーを使用することができる。 「ssrA−RNAのtagコード配列」なる語は、アミノ酸配列AANDENYALA Aをコードする核酸配列を意味する。この配列は、Keilerら,Science 221(1996 ),1990-1993に記載されている。 本発明の方法において用いられる翻訳システムに含まれるアンチセンスオリゴ ヌクレオチドは、ポリソームの形成を可能にする条件下で、ssrA−RNAのtagコー ド配列にハイブリダイズし、その翻訳をブロックするに適当な長さのものである 。 ssrA−RNAを含まない翻訳システムは、機能的なssrA遺伝子を欠いているE.co li株、例えば、X90ssrA1::cat(Keiler et al.,Science 221(1996),1990-1 993)、N2211またはNM101(Tuら,J.Biol.Chem.270(1985),9322-93 26)、W3110ΔssrA(Komineら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91(1994),9 223-9227)、K7823またはK6676(RetallackおよびFriedman,Cel 83 (1995)227-235)などから得られるものである。 翻訳されたmRNA分子によってコードされ該ポリソームによってディスプレ イされる(ポリ)ペプチドと対応する標的分子との相互作用を可能にする条件は 、過度の負担なしに当業者が確立し得る。例えば、そのような条件は、WO95 /11922,WO93/03172およびWO91/05058の教示から、 ま たは添付した実施例から得られる。当分野でよく知られているように、該条件は 、前記相互作用を検出するために用いるスクリーニング方法にも依存する。 標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイしているポリソーム の、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームからの分 離は、既知の方法にしたがって行う。同様に、用いる分離技術は、使用するスク リーニングシステムによく依存し得る。前記のポリソームの分離のための便利な 方法は、例えば、標的分子がカラム材料と結合するアフィニティークロマトグラ フィーに基づいている。 選択した(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子の同定は、いずれかの適当な 手段によって達成でき、ベクターへクローニングした後に、核酸分子を配列決定 することにより、例えばmRNAまたはDNA分子を配列決定することにより、 最も便利に達成される。mRNAの同定のために、EDTAでの処置または酸溶 出後、キットを用いた標準的なRNA精製(実施例3参照)により、または可溶 性の標的分子を用いる競合的溶出後、キットを用いる標準的RNA精製により、 mRNAをリボソームから脱離させることができる。 好ましくはおよびもっとも有利には、同定工程(d)の前に、工程(a)およ び(c)を2またはそれ以上の回数行う。この方法は、間違った陽性のポリソー ムおよび核酸を相伴って最小限にすることにより所望の核酸のあいまいな同定を 少なくする。所望の核酸を同定するためのこの態様は、特異的に相互作用する( ポリ)ペプチド−標的分子対を単離するために数ラウンドの選択が必要である場 合は特に好ましい。 本発明にしたがって、意外にも、ssrA−RNAのtagコード配列に相補的なアンチ センスオリゴヌクレオチドを含むことにより、ポリソームディスプレイの効率に おいて数倍の増加がもたらされることが見い出された。上記の先行技術文献は、 そのような至適条件を確立するために様々な経路や手段を既に試してきていたの で、この結果はますます予想し得ないものである。 したがって、本発明は、(ポリ)ペプチドを有するリガンドのような標的分子 好ましくは完全な、天然のタンパク質分子、の表現型選択のためのシステムを提 供する。 本発明の好ましい態様では、mRNA分子は3'末端にステムループを含む。 本発明のこの態様では、エキソヌクレアーゼによるmRNAの分解は、有意の 程度まで排除される。 最も好ましくは、スペーサーを(ポリ)ペプチドのリーディングフレームに融 合して、リボソームの推定(ポリ)ペプチドチャネルに、新生の折り畳まれた( ポリ)ペプチドを繋ぎ留める。該スペーサーは、57〜116個のアミノ酸を優 先的にコードする。 リボソームの(ポリ)ペプチドチャネルヘ新生の(ポリ)ペプチドを繋ぎ留め ることは、ポリソームの解離を有意に遅くするだろうから、(ポリ)ペプチドと 対応するmRNAの同時選択(co-selection)を可能にするためのさらに有利な 手段である。 さらに最も好ましい態様では、mRNA分子の3'末端の前記ステムループ領 域がこのスペーサーをコードする。その結果、スペーサー(タンパク質の段階で 必要な)とステムループ(RNAの段階で必要な)の両方を同じDNAによりコ ードすることができるならば、3'領域の全体の長さを最小限に保つことができ る。 本発明のさらに好ましい態様は、前記mRNA分子がその5'末端でステムル ープ構造を含む上記の方法に関する。 3'末端のステムループ構造と同様に、mRNAの5'末端のステムループは、 mRNAに対する有効なエキソヌクレアーゼ攻撃を回避する目的で働く。mRN Aが5'と3'末端のステムループ両方を含むことが特に好ましい。この態様では 、mRNA分子は、天然のmRNAと構造的に似ているであろう。 本発明の方法のさらに好ましい態様では、前記インビトロ翻訳システムに、リ ボヌクレアーゼの阻害剤を加える。 好ましくは、前記リボヌクレアーゼ阻害剤は、トランジション状態アナログで あり、最も好ましくはバナジルリボヌクレアーゼ複合体である。 本発明にしたがえば、特にバナジルリボヌクレアーゼ複合体は、リボソームデ ィスプレイの効率をさらに増加させるために有利に使用できることが分かった。 この複合体は同時にタンパク質合成を部分的に阻害するので、この結果は特に驚 くべきものである。 本発明のさらなる好ましい態様は、 (a)ポリソームの形成後のマグネシウム塩、好ましくは酢酸マグネシウムの添 加;および/または (b)mRNAと対応する(ポリ)ペプチドとの間の架橋を形成させる手段;お よび/または (c)翻訳の後および/またはスクリーニング過程の間の低い温度 によって工程(a)および(c)においてポリソームが安定化される方法に関す る。 上記の手段は、ポリソームの安定性をさらに増大させることが分かっている。 したがって、反応緩衝液中の50mMの酢酸マグネシウム濃度は、解離に対して リボソーム複合体を有意に安定化する。上記の文脈において「低い温度」なる語 は、有効なスクリーニングが起きるのを可能にする温度を意味すると意図する。 好ましくは、この低い温度は、0〜5℃の範囲内である。 好ましくは、翻訳は、原核生物の翻訳システムにおいて行う。特に好ましくは 、S−30E.coli翻訳システムのようなE.coliをベースとする翻訳システムで ある。 別法として、翻訳システムは、真核生物の翻訳システムにおいて実行してもよ い。 本発明の方法のさらに好ましい態様では、工程(d)は、 (da)前記mRNAを逆転写し; (db)場合により、得られたcDNAを増幅し; (dc)場合により、場合により増幅したcDNAをクローニングし;そして (dd)前記cDNAの配列を決定する ことを含む。 mRNA分子の集団が大きすぎて1回のラウンドでは所望の分子種を同定でき ない場合、目的の核酸を同定するためのこの態様は好ましい。さらに、mRNA 分子の集団がクローニングにより“不朽化(immortalized)”されるので、同定 された分子の反復的で詳細な試験が可能である。 逆転写は、MaxamとGirbertniによって開発された、並びにSangerと同僚によっ て開発された最も便利なDNA配列決定技術(例えば、Sambrockら,“Molecula r Cloning,A Laboratory Manual”,第2版,1989,CSH Press,Cold Spring H arborを参照)を用いる配列決定を可能にする。後で適当なベクターへのクロー ニングをするかまたはしない、好ましくはPCRによるcDNAの増幅は、所望 の核酸分子の同定をさらに有意に容易にする。様々な場合において、核酸分子の 増幅は、研究者が後でこの核酸分子を同定することを可能にするための必須条件 であろう。 本発明の方法のさらなる好ましい態様では、工程(a)の前に、β−メルカプ トエタノールおよび/またはDTTのような還元剤の存在下で、DNAをmRN Aに転写する。 β−メルカプトエタノールおよび/またはDTTのような還元剤を反応緩衝液に 含有させるとDNA−ポリメラーゼの安定性が増加することは知られている。し たがって、緩衝液中の還元剤は、mRNAの収率の増加に寄与し、それによって リボソームディスプレイ総体としての改善がもたらされる。 転写後、且つ工程(a)の前に、この還元剤を除去することが特に好ましい。 本発明のこの方法は、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドが、ジスルフィド 結合の形成により天然のコンフォメーションをとっている分子種を含んでいるか もしれない場合に最も好ましい。そのような(ポリ)ペプチドの例は、免疫グロ ブリンスーパーファミリーの一員である。この好ましい態様を導入することによ り、本発明は、組み合わせた転写/翻訳システムの使用を示唆する、上で引用し た先行技術を直接否定する。 さらに、本発明は、 (a)正しいリーディングフレームにおける終止コドンを欠くDNA分子の集団 を、還元剤の存在下で対応するmRNA分子の集団に転写する工程; (b)前記mRNA分子の集団から前記還元剤を除去する工程; (c)ポリソームの形成が可能な条件下で、インビトロ翻訳システムにおいて前 記mRNA分子の集団を翻訳すること; (d)形成したポリソームを、前記mRNA分子によってコードされ該ポリソー ムによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと該標的分子との相互作用が可 能な条件下で接触させる工程; (e)前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイしているポ リソームを、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソーム から分離する工程;および (f)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポ リ)ペプチドをコードしている核酸分子を同定する工程 をさらに含む、標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子 を同定するための方法に関する。 好ましい態様では、工程(a)において使用する還元剤は、β−メルカプトエ タノールおよび/またはDTTである。 本発明の方法のさらに好ましい態様では、(ポリ)ペプチドは、免疫グロブリ ンスーパーファミリー、好ましくは免疫グロブリンファミリーのドメインを含む 。たとえば、前記(ポリ)ペプチドには、完全なT細胞レセプターまたは抗体鎖 または抗体のドメインなどの抗体鎖の一部、例えばVHまたはVL領域が含まれる 。 (ポリ)ペプチドは、1本鎖の抗体またはそのような1本鎖の抗体を含む融合 タンパク質であることが特に好ましい。融合タンパク質代替物においては、前記 抗体鎖の融合のパートナーは、好ましくは、対応するmRNAに生成しようとし ている(ポリ)ペプチドを繋ぐために用いられるtagである。 さらに、本発明は、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化または還元さ れたグルタチオン、E.coliタンパク質DsbA、およびDnaK、DnaJ、 GrpE、GroEL、またはGroESなどの分子シャペロンからなる群から 選択される少なくとも1つのタンパク質が翻訳システムに添加されている方法に 好ましく関する。 上記の化合物は、単独でまたは組み合わせて、生成しようとしている(ポリ)ペ プチドの、安定性、溶解性および/または天然の折り畳み許容度を増強し得る。 タンパク質ジスルフィドイソメラーゼは、細菌起源でも真核生物起源でもよい 。システムに含まれる化合物/酵素は、当業者が、スクリーニングするタンパク 質のタイプにしたがって選択する。たとえば、抗体ドメインを含むライブラリー を スクリーニングするならば、本発明の教示にしたがって、真核生物のタンパク質 ジスルフィドイソメラーゼを含有させる。本発明によって示されるように(添付 の実施例参照)、ポリソームディスプレイシステムは、前記酵素を翻訳反応シス テムに組み込むことによって有意に改善される。 本発明の方法のさらに好ましい態様では、ポリソームを前記標的分子と接触さ せる工程中に形成した、ポリソームどうしの、および/またはポリソームと標的 分子との間の、および/または場合によりポリソームと標的分子が固定化されて いるマトリックスとの間の非特異的な相互作用を、ブロッキング化合物の添加に よって阻害または減少させる。 最も好ましい態様では、このブロッキング化合物は、ヘパリンなどのポリアニ オン性の化合物である。ヘパリンをRNアーゼ阻害剤として含有させることは示 唆されてきたが(WO 91/05058)、意外にも、本発明によれば、非特 異的な結合もさらに減少させることが見い出された。ヘパリンは、ポリアニオン 性化合物として、非特異的な結合部位に対するポリソーム複合体の一部として、 ポリアニオン性のmRNAと競合すること考えられ、ポリソームディスプレイに おける、ヘパリンなどのポリアニオン性の化合物の添加は、非特異的な結合を減 少させるために一般的に適用可能な方法になっている。 別の最も好ましい態様では、前記ブロッキング化合物は滅菌したミルクである 。無脂肪ミルクの添加は、ポリソームディスプレイに関して既に示唆されている (WO95/11922)。しかしながら、本発明に従えば、ミルクをアフィニ ティー選択中に使用するときには、RNAを単離することができないことが分か った。意外にも、滅菌したミルクを使用したとき、RNAの単離は再び可能にな り、非特異的な結合の量が実質的に減少した。 さらに、本発明は、 (a)ssrA−RNAのtag−コード配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド ; (b)場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸を クローニングするのに適当なベクター; (c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくはトランジション状態ア ナログ、および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体; (d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化または還元され たグルタチオン、E.coliDsbA、および分子シャペロンからなる群から選択され る少なくとも1つの化合物;および (e)場合により、5'もしくは3'ステムループ、スペーサーまたは終止コドン を含まないターミネーターをコードするオリゴヌクレオチド を含むキットに関する。 好ましい態様では、本発明のキットはさらに、 (f)S−30翻訳抽出物 (g)PCR構成成分 (h)逆転写酵素 (i)RNA配列決定キット (j)DNA配列決定キット を単独でまたは組み合わせて含んでいてもよい。 最後に、本発明は (a)ssrA−RNAを含まないインビトロ無細胞翻訳抽出物; (b)場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸を クローニングするのに適当なベクター; (c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくはトランジション状態ア ナログ、および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体; (d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化または還元され たグルタチオン、E.coliDsbA、および分子シャペロンからなる群から選択され る少なくとも1つの化合物;および (e)場合により、5'または3'ステムループ、スペーサーまたは終止コドンを 有しないターミネーターをコードするオリゴヌクレオチド を含むキットに関する。 好ましい態様では、本発明のキットはさらに、 (f)PCR構成成分; (g)逆転写酵素; (h)RNA配列決定キット; (i)DNA配列決定キット を単独でまたは組み合わせてを含んでもよい。 本発明のキットは、本発明の方法を実行するために便利に使用することができ る。 図面は、以下のことを示す: 図1 リガンド(抗原)結合について天然タンパク質(scFv)ライブラリ ーをスクリーニングするためのインビトロリボソームディスプレイの原理。1、 DNAscFvライブラリーを最初にPCRによって増幅し、T7プロモーター 、リボソーム結合部位およびステムループを導入し、RNAに転写する。2、精 製したのち、mRNAを、リボソーム複合体の安定性を増強し、リボソームにお けるscFv抗体の折り畳みを改善する種々の因子の存在下に、E.coli S−3 0システムにおいてインビトロで翻訳する。氷で冷却することにより翻訳を停止 し、マグネシウム濃度を増加させることによりリボソーム複合体を安定化させる 。3、固定化された抗原への天然scFvの結合により、所望のリボソーム複合 体を翻訳混合物からアフィニティー選択する。非特異的なリボソーム複合体を、 徹底的な洗浄により除去する。4、次いで、結合したリボソーム複合体をEDT Aにより解離させる(4b)か、または複合体全体を抗原で特異的に溶出する( 4a)。5、RNAを複合体から単離する。6、単離されたmRNAをcDNA へ逆転写し、cDNAをPCRによって増幅する。次いで、このDNAを次の豊 富化のサイクルに使用し、一部をクローニングと配列決定によりおよび/または ELISAもしくはRIAにより分析する。 図2(A)リボソームディスプレイに使用するscFv構築物の模式図。T7は T7プロモーターを、SDはリボソーム結合部位を、FはN末端メチオニンを有hniques 17,754-761)を、VLおよびVHは、scFvフラグメントの可変領域 を、Lはリンカーを、spacerは折り畳まれたscFvをリボソームへ連結 させるタンパク質構築物の一部を、5'slおよび3'slは、mRNAの5'末端お よび3'末端のステムループを示す。矢印は、転写の開始を示す。PCR増幅の 手順を示す。 (B)ポリソーム複合体に結合したscFvhagmRNAの量は、その末端 の二次構造と、折り畳まれたscFvをリボソームへ連結するスペーサーの長さ によって影響を受ける。scFvhag mRNAの種々の構築物(構築物c1 〜c9)を、1サイクルのリボソームディスプレイに使用した。それらのうちの いずれが終止コドンを含んでいなかった。それぞれの種類を個々に試験した。翻 訳混合物100μLからリボソーム複合体をアフィニティー選択した後、mRN Aを単離し、ノーザンハイブリダイゼーションによって解析した。5'ステムル ープの存在は(+)または(−)で、3'ステムループの存在は、不在ならば( −)、1ppターミネーターに由来する場合は(1)またはT3Teターミネー ターに由来する場合は(t)として示す。スペーサーの長さは、scFvに続き 、scFvをリボソームへ連結している、翻訳されたステムループを含んでいる アミノ酸の数を示す。kbで示したRNAの長さは、RNA分子量マーカーII I(ベーリンガーマンハイム)から求める。棒グラフは、蛍光画像解析から得ら れた定量されたmRNAの量を示す。 (C)リボソーム複合体に結合したmRNAの量に対する添加物の効果。sc Fvhag構築物c7のmRNAを、1サイクルのリボソームディスプレイに使 用した。図2Bレーンc7および図2Cレーン6の試料は同一である。示した場 合では、3.5mMアンチssrAオリゴヌクレオチドON10(5'-TTAAGCTGCTA AAGCGTAGTTTTCGTCGTTTGCGACTA-3')、35mg/mLタンパク質ジスルフィドイ ソメラーゼ(PDI)または1mg/mLバナジルリボヌクレアーゼ複合体(V RC)を翻訳に関与させた。翻訳は、Mg(Ac)2を示した最終濃度(mM)で添加 し、氷で冷却することにより停止した。100μLの翻訳混合物からリボソーム 複合体をアフィニティー選択した後、mRNAを単離しノーザンハイブリダイゼ ーションにより解析した。棒グラフは、蛍光画像解析から定量されたmRNAの 量を示す。 図3 アンチssrAアンチセンスオリゴヌクレオチドON10(図2C)は 、最も長いタンパク質の分子量を減少させた(矢印)。インビトロ翻訳は、35S −メチオニンおよびscFvhag c7mRNAを使用して行った。反応は、 3.5mMオリゴヌクレオチドON10の非存在下(−)または存在下(+)で 行った。翻訳産物のSDS−PAGEを示す。 図4(A) リボソームディスプレイによるscFvAL2を含む混合物から のscFvhagリボソーム複合体の豊富化。scFvhag c5のmRNA をscFvAL2のmRNAで108に希釈し、混合物をリボソームディスプレ イに使用した。scFvhagリボソーム複合体のアフィニティー選択の後、m RNAを単離し、オリゴヌクレオチドON5を用いてcDNAに逆転写し、cD NAをオリゴヌクレオチドON3およびON7を使用するPCRによって増幅し 、アガロース電気泳動によって解析した。レーン1〜5はそれぞれ、第1〜第5 ラウンドのリボソームディスプレイ後に増幅されたPCR産物であった。Mは、 分子量マーカーとして使用した1kbのDNAラダー(Gibco BRL)で ある。 scFvhagおよびscFvAL2に対応するPCR産物を標識する。 (B)固定化された抗原の機能としてのリボソームディスプレイによる、sc Fvhag c5またはscFvAL2リボソーム複合体いずれかの豊富化。s cFvhagおよびscFvAL2のmRNAを1:1の割合で混合し、1サイ クルのリボソームディスプレイに使用した。アフィイティー選択の後、mRNA を単離し、逆転写し、PCRによって増幅し、図4Aのようにアガロースゲル電 気泳動により解析した。同じ1:1混合物を、対照として固定化したトランスフ エリン(tr)、アンピシリン−トランスフェリンコンジュゲート(amp)、 またはhag−ペプチド−トランスフェリンコンジュゲート(hag)において アフィニティー選択した。scFvhagおよびscFvAL2に対応するPC R産物を標識する。 図5(A)第3ラウンドのポリソームディスプレイ後のRNAプールの解析: RNAプールのインビトロ翻訳および2%ミルクの存在下での標識したポリソー ム複合体のRIAアッセイ:(a)BSAに対する結合;(b)BSA−GCN 4(7P14P)に対する結合;(c)1μMGCN4(7P14P)による阻 害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(d)1μM ha gペプチドによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合; (e)1μMフルオレセインによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14P )に対する結合。 (B)第3ラウンドのポリソームディスプレイ後のRNAプールの解析:RN Aプールのインビトロ翻訳および2%ミルクの存在下での標識したポリソーム複 合体のRIAアッセイ:(a)BSAに対する結合;(b)BSA−GCN4( 7P14P)に対する結合;(c)1μM GCN4(7P14P)による阻害 下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;(d)1μM hag ペプチドによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14P)に対する結合;( e)1μMフルオレセインによる阻害下での、BSA−GCN4(7P14p) に対する結合。 (C)RIAによる第3ラウンドのポリソームディスプレイ後のRNAプール の解析:ミルクの存在下(A)、または不在下(B)で行った3ラウンドのアフ ィニティー選択後のRNAプール: RNAプールのインビトロ翻訳および2%ミルクの存在下での標識されたポリソ ーム複合体の結合アッセイ:(a)BSA−GCN4(7P14P)に対する結 合;(b)1μMGCN4(7P14P)による阻害下での、BSA−GCN4 (7P14P)に対する結合。 実施例は、本発明を説明する。 添付した実施例において、抗原に結合するためのその正しく構築された三次元 構造に必要な、抗体のscFvフラグメントは、リボソームディスプレイによっ て108倍に豊富化でき、その配列がこの過程の間に“進化”することが示され る。 実施例1:scFv抗体フラグメントの構築 scFvhag構築物c7を、(Gly4Ser)3リンカーを含むscFv 17/ 9をディスプレイしているfdファージ(Schulze-Gahmen,U.,Rini,J.M. & Wilson,I.A.(1993)J.Mol.Biol.234,1098-1118;Krebber,C.,Spad ら,2工程で増幅した。第1の工程で、リボソーム結合部位(RBS)を導入す るオリゴヌクレオチドON1(5'-TTTCCCGAATTGTGAGCGGATAACAATAGAAATAATTTTGTT TAACTTTAAGAA GGAGATATATCCATGGACT ACAAAGA-3')、およびON2(5'-TTTAAGCAG CTCGATAGCAGCAC-3')を使用する。第2の工程では、T7プロモーターおよび5' ループを導入するON3(5'-ATATATGTCGACGAAATTAATACGACTCACTATAG GGAGACCACA ACGGTTTC CCGAATTGTG-3')と、終止コドンを除去した修飾された1ppターミネ ーターループを導入するON4(5'-AGACCCGTTTAGAGGCCCC AAGGGGTTATGGAATTCACC TTTAAGCAGCT C-3')を使用した。scFvにC末端で融合したスペーサーを、繊 維状ファージM13mp19(Krebber,C.,Spada,S.,Desplancq,D.,& Pl 1〜299から得、翻訳された1ppターミネーターがさらに別の24アミノ酸 を追加する。 他の構築物は、以下のプライマーペアを用いてPCRによりc7から調製した 。c1,ON5(5'-TCAGTAGCGACAGAATCAAG-3')およびON6(5'-GAAATTAA TACGAC TCACTATAGGGTTAACTTTAGAAGGAGGTATATCCATGGACTACAAA GA-3')、T7プロモーター および5'ステムループを含まないRBSを導入する。スペーサーは遺伝子II Iのアミノ酸211〜294から得る;c2,ON4およびON6、c7と同じ スペーサー;c3,ON6およびON7(5'-GGCCCACCCGTGAA GGTGAGCCTCAGTAGCG ACAG-3')、スペーサーは、遺伝子IIIのアミノ酸211〜294から得、翻訳 されたT3Teターミネーターの7個のアミノ酸が続く;c4,ON3およびO N5、c1と同じスペーサー;c5,ON3およびON7、c3と同じスペーサ ー;c6,ON2およびON3、スペーサーは、遺伝子IIIのアミノ酸211 −299から得、1ppターミネーターの最初の4アミノ酸が続く;c8,ON 3およびON8(5'-TTTAAGCAGCTCATCAAA ATCACC-3')、スペーサーは、遺伝子I IIのアミノ酸211−264から得、1ppターミネーターの最初の4アミノ 酸が続く;c9,ON3およびON4、スペーサーは遺伝子IIIのアミノ酸2 11−264から得、1ppターミネーターの24アミノ酸が続く、c8を鋳型 として用いる。scFvAL2構築物(VL−(Gly4Ser)4−VH)を2工程の PCRによってプラスミドpAK202(Krebber,A.,Bornhauser,S.,Burm (1997)J.Immunol.Meth.201,35-55)から増幅した。最初にオリゴヌクレオ チドON1とON7を使用し、第2の工程でON3とON7を使用する。スペー サーは、繊維状ファージM13mp19の遺伝子IIIのアミノ酸240〜29 4(Krebber,A.,Bornhauser,S.,Burmester,J.,Honegger,A.,Willuda,J. , ら得、翻訳されたT3Teターミネーターはさらに7アミノ酸を追加する。 実施例2:RT−PCRおよびインビトロ転写 Superscript逆転写酵素(Gibco BRL)を用い、製造元の推奨にした がって逆転写を行った。PCRは、5%DMSOの存在下でTaqポリメラーゼ (Gibco BRL)を用いて行った(94℃で4分間、次いで94℃で30 秒間の3サイクル、37℃で30秒間、72℃で2分間、次いで37℃の代わり に60℃にする同様の10サイクル、37℃の代わりに60℃にして1サイクル につき72℃で15秒間の延長を行う同様の20サイクル、72℃にて10分間 で終了)。PCR産物をアガロースゲル電気泳動により解析し、ゲルから精製し 、量と質が十分でなければ再増幅するか、またはさらに精製することなく転写に 直接使用した。インビトロ転写を記載のとおりに行った(Pokrovskaya,I.D.& Gurevich,V.V.(1994)Anal.Biochem.220,420-423)。 実施例3:モデルシステムおよびアフィニティー選択の収量の定量 モデルシステムとして、我々は、軽鎖の可変領域(VL)がフレキシブルなリ ンカーを介して重鎖の可変領域(VH)に連結している、抗体の1本鎖Fv(s cFv)フラグメントを使用した(Huston,J.S.,Levinson,D.,Mudgett-Hunt er,M.,Tai,M.S.,Novotny,J.,Margolies,M.N.,Ridge,R.J.,Bruccol eri,R.E.,Haber,E.,Crea,R.& Oppermann,H.(1988)Proc.Natl.Acad. Sci.U.S.A.85,5879-5883)。折り畳まれたタンパク質をリボソームに繋ぎ留 めるが、折り畳みには干渉しないようにするため、我々はスペーサーをscFv フラグメントのC末端に融合した。抗体ドメインがジスルフィド結合を形成し、 RNAポリメラーゼには最大限の安定性のためにβ−メルカプトエタノールが必 要であるので、別の反応において転写を行う効果について調べた。さらに、翻訳 中の酸化的タンパク質折り畳みの条件(Ryabova,L.,Desplancq,D.,Spirin,A . (以下参照)。 ポリペプチドの遊離は、E.coliにおいて3つのポリペプチド遊離因子(Grentzma nn,G.,Brechemier-Baey,D.,Heurgue-Hamard,V.& Buckingham,R.H.(199 5)J.Biol.Chem.270,10595-10600;Tuite,M.F.& Stansfield,I.(1994)Mo l.Biol.Rep.19,171-181;Tate,W.P.&Brown,C.M.(1992)Biochemistry 3 1,2443-2450)と、mRNAを遊離する1つのリボソーム再生因子(Janosi,L., Shimizu,I.& Kaji,A.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91,4249-4253) を必要とする活性な過程である。遊離因子結合の結果は、一般に、リボソームの ペプチジルトランスフェラーゼ中心による、リボースと最後のアミノ酸との間の ペプチジルtRNAの加水分解である(Tate,W.P.& Brown,C.M.(1992)Bioc hemistry 31,2443-2450)。我々のシステムは終止コドンを欠いており、したが ってポリペプチドの画分がtRNAを加水分解せず、リボソームに結合したまま 残り、アフィニティー選択に適用可能である。 E.coli S−30システムにおけるインビトロ翻訳は、ChenおよびZubay(Chen ,H.Z.& Zubay,G.(1983)Methods Enzymol.101,674-690)に従い、いくつか の改良を加えて行った。翻訳は、以下の成分を含む110μLの反応物中、37 ℃で10分間行った:50mM Tris−Ac(pH7.5)、30mM NH4Ac、1 2.3mM Mg(Ac)2、0.35mMの各アミノ酸、2mM ATP、0.5mM GTP、1mMcAMP、0.5mg/mLE.coli tRNA、20μg/mLギ酸 、100mM KAc、30mMアセチルリン酸(Ryabova,L.A.,Vinokurov,L.M .,Shekhotsova,E.A.,Alakhov,Y.B.& Spirin,A.S.(1995)Anal.Bioche m.226,184-186)、1.5%PEG8000、33μg/mLリフアンピシン、1 mg/mLバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)、23μL のE.coli MRE600抽出物(Chen,H.Z.& Zubay,G.(1983)Methods Enzym ol.101,674-690)および90μg/mLのmRNA。 氷で冷却することにより翻訳を停止し、50μM酢酸マグネシウムにより、さら にリボソーム複合体を解離に対して安定化する(Holschuh,K.& Gassen,H.G. (1982)J.Biol.Chem.257,1987-1992)。さらにリボソームストーリング(st alling)も誘発すると考えられる50μM濃度のクロラムフェニコール(Matthea kis,L.C.,Bhatt,R.R.& Dower,W.J.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S .A.91,9022-9026;Moazed,D.& Noller,H.F.(1987)Nature 327,389-394) は、選択特性を改善しなかった(データは示さず)。合成されたタンパク質、リ ボソームおよびmRNAからなる複合体全体を、次いでアフィニティーマトリッ クスに結合し、洗浄し、競合リガンドで溶出するか、またはリボソームをEDT Aにより解離させた(図1)。具体的には、試料を氷冷洗浄緩衝液(50mM Tri s−Ac(pH7.5)、150mM NaCl、50mM Mg(Ac)2および0.1%Twe en−20)で4倍希釈し、4℃にて10,000×gで5分間遠心し、不溶性 の成分を除いた。hag−トランスフェリンコンジュゲートでコーティングした マイクロタイタープレートを氷冷洗浄緩衝液で予め洗浄し、遠心した翻訳混合物 から得た上清を入れ(マイクロタイターウェルあたり200μL)、プレートを 冷却した室内で1時間穏やかに振盪した。氷冷した洗浄緩衝液で5回洗浄したの ち、残ったリボソーム複合体を、氷冷した溶出緩衝液(ウェルあたり100μL; Tris−Ac(pH7.5)、150mM NaCl、10mM EDTA、50μg/mLのE .coli tRNA)により、冷却した室内で10分間解離させ、遊離したmRNAを エタノール沈殿によりまたはRneasyキット(Qiagen)を用いる単離 により回収した。 我々は、いずれかの段階において予備的にポリソームを単離する必要があるとは 見い出さなかった。リボソームディスプレイの効率は、組み合わせたインビトロ 転写−翻訳を用いたとき100分の1になることが分かつた(データは示さず) 。我々は、最初にインビトロ転写、翻訳および折り畳みのために遺伝子構造に処 理を施し、次に翻訳反応そのものを最適化することによる、2段階のリボソーム ディスプレイを開発した。各試験は、10μgの投入mRNAで開始した。これ は、 約1.5×1013個の分子に相当する。投入mRNAを単ラウンドのアフィニテ ィー選択:インビトロの翻訳、固定化された標的リガンド上でのリボソーム複合 体の捕捉およびmRNAの遊離、に付した。次いで、遊離したmRNAをノーザ ン解析により定量した。 ノーザン解析は、RNA電気泳動およびナイロン膜(Schleicher & Schuell)へ の移動をTurboblotter(Schleicher & Schuell)を用い、記載されているように 行った(Goda,S.K.& Minton,N.P.(1995)Nucleic Acids Res.23,3357-335 8)。ハイブリダイゼーションは、60℃にて12時間行った(Church,G.M.& G ilbert,W.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81,1991-1995)。ハイブリ ダイゼーションは、オリゴヌクレオチドON9(5'-ACATGGTAACTTTTTCACCAGCGGTA ACGG-3')により行い、これをscFv mRNAのVL領域へアニーリングした。 このオリゴヌクレオチドは、DIGオリゴヌクレオチドテイリングキット(ベー リンガーマンハイム)を用いて、ジゴキシゲニン-11-dUTP/dATPによ る3'テイリングにより標識した。洗浄条件は以下のとおりである:2×SSC 、0.5%SDS(室温で5分間);2×SSC、0.5%SDS(60℃30分 間を2回);0.1×SSC(室温で10分)。ハイブリダイズしたオリゴヌク レオチドプローブを、DIG DNAラベリングおよび検出キットを用いて、化 学ルミネセンス基質CSPD(ベーリンガーマンハイム)を用いてX線フィルム に感光するか、または蛍光基質アトフォス(ベーリンガーマンハイム)により蛍 光造影機(Molecular Dynamics)を用いて検出した。 実施例4:mRNA構造の収率に対する影響 リボソームディスプレイシステムの設計において、我々は最初にscFv遺伝 子のフランキング領域を加工した(図2)。遺伝子は非常に効率よくPCR産物 から転写され、そのmRNAはヌクレアーゼに対して安定である。5'末端のた めに、我々は、T7プロモーターと、ステムループ構造をmRNAのすぐ始めで コードする天然のT7遺伝子10上流領域を用いた(Studier,F.W.,Rosenberg ,A.H.,Dunn,J.J.& Dubendorff,J.W.(1990)Methods Enzymol.185,60- 89)。3末端で、我々は、新生の、リボソームの推定ポリペプチドチャネルへ折 り畳まれたポリペプチドを繋ぎ留め、折り畳みに干渉しない十分な距離を与える ために、scFvのリーディングフレームに57〜116アミノ酸のスペーサー 領域を融合した。RNAレベルでこのスペーサーは、3'ステムループ、即ちE. coliリポタンパク質のターミネーター(Studier,F.W.,Rosenberg,A.H,Dunn ,J.J.& Dubendorff,J.W.(1990)Methods Enzymol.185,60-89)(1ppterm )またはファージT3の初期ターミネーター(Reynolds,R.,Bermudez-Cruz,R .M.& Chamberlin,M.J.(1992)J.Mol.Biol.224,31-51)(T3Te)のい ずれかを、エンドヌクレアーゼに対するmRNAの安定性を増加させるためにコ ードする。1ラウンドの翻訳と選択の後のフランキング領域の直接の比較(図2 B)では、我々は、5'ループ(T7−g10由来)、3'ループ(1ppターミ ネーター由来)および最も長い116アミノ酸のスペーサーを有する構築物で最 良の結果を得た。1ラウンドのリボソームディスプレイの後のmRNAの収率は 、投入mRNAの0.001%未満から0.015%へ改善された(15倍)。 実施例5:翻訳条件の収率に対する効果 次いで、我々は、翻訳中に存在する種々の化合物の効果を調べた。ヌクレアー ゼは、トランジション状態アナログ(Berger,S.L.(1987)Afethods Enzymol.1 52,227-234)として作用するバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)によっ て効果的に阻害されることが分かった。タンパク質合成が部分的に阻害されるに もかかわらず(データは示さず)、翻訳中に存在するとき(図2C)1mg/mLの VRCは、1ラウンドのアフィニティー選択後にリボソーム複合体からの単離さ れたmRNAの収率を最大にし、VRCが存在しないとき、リボソームディスプ レイの効率の数倍の減少につながった(図2C)。対照的に、Rnasin(Mat theakis,L.C.,Bhatt,R.R.& Dower,W.J.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci .U.S.A.91,9022-9026)は、システムの効率には効果がなかった。遊離した生 成物の長時間のインキュベーション(300分までの)によって電気泳動パター ンが変わらなかったので(データは示さず)、これらの条件下で合成したscF vの有意のタンパク質加水分解に関する証拠は認められなかった。 分子シャペロンおよびジスルフィド形成触媒の存在下での可溶性scFvフラグメン トのインビトロ翻訳における系統的な研究から(Ryabova,L.,Desplancq,D., 我々は、ジスルフィド形成と再構成が、翻訳と折り畳みの間で起こることが可能 ならばおよび可能な場合にのみ、結合活性が得られることを見い出した。タンパ ク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)の非常に有益な効果が、タンパク質が遊 離しないリボソームディスプレイシステムに関して立証された。PDIは、scFv フラグメントのリボソームディスプレイの性能を3倍に改善したことが認められ (図2C)、リボソーム結合タンパク質におけるジスルフィド結合の形成と異性化 を触媒している。 最近、ペプチド標識(tagging)システムがE.colj,において発見され、それに よって終止コドンを欠くmRNAから翻訳されるタンパク質が、ssrA-RNAにより コードされるC末端標識の付加により修飾され、リボソームから遊離し、分解に ついてマーキングされる(Keiler,K.C.,Waller,P.R.& Sauer,R.T.(199 6)Science 271,990-993)。本発明において、この分解がssrA−RNAのtagコード 配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害し得ることが示さ れた。さらに、意外にも、このような可能性のある阻害が、リボソームディスプ レイ対して効果があるということが観察された。確かに、リボソームディスプレ イに関して4倍も高い効率が、anti-ssrAオリゴヌクレオチドの存在下で認めら れ(図2C)、最も長いタンパク質産物の分子量が減少しているが、これは恐らく 分解標識の結合の阻止によるものであろう(図3)。PDIとanti-ssrAオリゴヌ クレオチドの混合は、リボソームディスプレイシステムの効率の12倍の増加を もたらした(図2C)。 適当なmRNA二次構造と翻訳中に存在する種々の化合物の組み合わせによって 、我々は1ラウンドのアフィニティー選択後のmRNAの収率を、投入mRNA の0.001%から0.2%へ200倍に増加させることができた。この数字は 、リボソームとの共有結合、タンパク質折り畳み、リガンド結合、リボソーム捕 捉およびRNA遊離および増幅の総体としての効率を示すものである。 実施例6:複数ラウンドの選択による標的mRNAの特異的豊富化 最適化したシステムの試験において、我々は、どのようにすれば2種類のタン パク質の混合物を機能に関して豊富化できるかについて調べた。図2Aにしたが って同じようにして構築した、両方とも5’および3’T3Teループを有し、 一方は抗ヘマグルチニンscFv 17/9(Schulze-Gahmen,U.,Rini,J.M.& Wi lson,I.A.(1993)J.Mol.Biol.234,1098-1118)(scFv hag)をコードし、も う一方は抗-β-ラクタム抗体AL2(Krebber,A.,Bornhauser,S.,Burmes 96)J.Immunol.Meth.,in press)(scFvAL2)をコードする2つのscFv抗体mR NAを、1:108の割合で混合した。それらのPCR産物は、主にスペーサー の長さにおける違いのために、長さがわずかに異なっており容易に区別すること ができる(図4A)。図1にしたがって5サイクル行った後、固定化されたhag-ペ プチド上で選択を行い、90%のリボソーム複合体がscFv hagを含んでいた。し たがって、我々は、これらの条件下での1サイクルあたりの豊富化が約100倍 の規模であると結論付けことができる。 アフィニティー選択によって実際に起こった豊富化を立証するために、我々は、 両方のmRNAの1:1混合物を別の表面上で試験し、投入比率と変わらないこ とを認めた(図4B)。さらに、どちらの抗原がそこに固定化されるかによって、 同じ1:1mRNA混合物からいずれか一方の抗体を豊富化することができた( 図4B)。 実施例7:アフィニティー選択後のscFv抗体フラグメントの解析 第5ラウンドの選択の後で、PCR産物をベクターにライゲーションし、E.c oliに形質転換し、単一のクローンを解析した。実験プロトコルは、以下のとお りである:第5ラウンドのリボソームディスプレイの後、PCR産物をベクター pTFT74へクローニングした(Ge,L.,Knappik,A.,Pack,P.,Freund;C. (Oxford University Press,New York)、S−30E.coliシステムにおけるイン ビトロ組み合わせ転写-翻訳を、以下の修飾を加えて上記と同様の条件下で50 μg/mlのプラスミドDNAを用いて行った。組み合わせ転写-翻訳を37℃で3 0分間行い、反応混合物には、2000U/mlのT7 RNAポリメラーゼ並びに0.5mM UTPおよびTTPを加えた。混合物は50μCi/mlの35S-メチオニンおよび0.35m Mのメチオニン以外の各アミノ酸抽出物を含有した。翻訳後、反応混合物をPBSで 4倍に希釈し、マイクロタイターウェルにおいて固定化したhagペプチドに結合 させた。穏やかに撹拌しながら60分間インキュベーションした後、マイクロタイ ターウェルをPBSTで5回洗浄し、結合した放射性タンパク質を0.1Mトリエチルア ミンで溶出した。溶出したタンパク質をシンチレーションカウンターで定量した 。配列決定した20個のクローンのうち、18個がscFv hag配列を有し、2個がsc FvAL2配列を有しており、108倍の豊富化が成功したことを示した。18個のs cFv hagクローンのうち、13個が野生型の43〜102%のELISAシグナ ルを与え、可溶性hagペプチドにより阻害可能であり、2個は結合が14および 18%に減少し、そして3個が有意に結合が減少した(10%未満)。恐らくP CR増幅の最終ラウンド中に入った誤りの結果であろう(表1)。したがって、P CRの誤りによる遺伝的多様性が起こっていることが関係しているとしても、結 合および固定化された抗原からの溶出によって排除される、抗原結合を維持する 選択圧が明らかに働いている。 配列解析は、クローンは3〜7の塩基の変化を含み、90%がトランジションで 10%がトランスバージョンであることを示しており、知られているTaqポリメ ラーゼの誤り特性(Keohavong,P.& Thilly,W.G.(1989)Proc.Natl.Acad. Sci.U.S.A.86,9253-9257)とよく一致している。各クローンを合計165サ イクルのPCRに付し、途中、結合に関して5回の表現型選択を行い、これらの 条件下での誤りの割合は、選択後に生き残った突然変異体のみを数えた場合、3 .3×10-5であると計算できた。 タンパク質のレベルでは、選択されたクローンは0〜4個の交換されたアミノ酸 を有し、それはVL、VHおよびリンカーに分布していた。すべての突然変異体は お互いに独立しており(表1)、広い範囲での、機能に関して矛盾しない中立な突 然変異、そして、場合によると、システムがそれについて選択される、機能につ いての改善を示した。選択された分子の正確な特性にはさらなる解析が必要で あるが、我々は、リンカーの開始点での、必要なターン形成を促進し得るプロリ ンの選択(Tang,Y.,Jiang,N.,Parakh,C.& Hilvert,D.(1996)J.Biol.Ch em.271,15682-15686)、および溶解性を増大させることが知られている酸性 tein Eng.8,81-89)を認識している。 実施例8:ポリソームディスプレイライブラリーの構築 我々は、(Gly4Ser)4リンカーにより連結されている2つのドメインを有するVL -VH配向のscFvsのライブラリーを構築した。スペーサー、即ちscFvをリボソーム に繋ぎ留め、リボソームにおいてscFvの折り畳みを可能にするタンパク質を導入 するために、我々は最初にライブラリーを、繊維状ファージM13mp19の遺伝子I IIのC末端部分に融合したscFvsをタンパク質のレベルで生じさせるベクターp AK200(Krebber,A.,Bornhauser,S.,Burmester,J.,Honegger,A., 201,35-55)にライゲーションした。第2の工程で、我々は、RNアーゼに対して mRNAを安定化するステムループおよび他の重要な特徴をPCRによって導入 した。最終のライブラリー構築物はT7プロモーター,5’-ステムループおよ びscFvコード配列の上流のシャインーダルガノ配列および繊維状ファージM13mp1 9の遺伝子IIIの129塩基からなるスペーサー(アミノ酸250-293)、続いてファ ージT3の21塩基の翻訳された初期ターミネーター(T3Te)を含んでおり、 同時にscFvの下流の3'-ステムループを導入した。 ライブラリーのクローニングは文献に記載された方法にしたがった(Krebber,A. ,Bornhauser,S.,Burmester,J.,Honegger,A.,Willuda,J.,Bosshard,H . NAは、KLHに結合したGCN4(7P14P)ペプチド(RMKQLEPKVEELLPKN YHLENEVARLKKLVGER)またはアビジンに結合したビオチニル化GCN4(7P1 4P)のいずれかで免疫した6匹のマウスの脾臓細胞から抽出し、ランダムヘキ サマープライマーを用いてcDNAに転写した。VLおよびVH PCR増幅、次い でアッセンブリーPCRの後、SfiI反応緩衝液中でPCR産物を直接3倍に希釈 し、消化して、アガロースゲル電気泳動を用いて分離した。SfiI消化したDNA をアミコンスピンカラムでアガロースゲルから抽出し、イソプロパノール沈殿に より濃縮し、滅菌水に溶解した。 精製したPCR産物(各150ng)を、16℃で一晩、pAK200ベクターのSfiI部位に ライゲーションした(モル比挿入物:ベクター=1:2)。 ライブラリーのpAK200ベクターへのライゲーションは非常に効率的であった:ア ガロースゲル電気泳動および制限解析によれば、我々は100%のライブラリーscFv DNAがベクターの少なくとも一端にライゲーションし、50%以上がプラスミドの スペーサー部分に連結したことを見い出した。 ポリソームディスプレイライゲーション混合物に必要な特徴を導入するために、 第1の工程でリボソーム結合部位(RBS)を導入するオリゴヌクレオチドSDA(5’- AGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATATCCATGGACTACAAA GA-3')、および翻訳されたT3Teターミネーターを導入するON7(実施例1 参照)を用い、第2の工程でT7プロモーターと5’-ループを導入するオリゴヌ クレオチドT7B(5’-ATACGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGG-3')お よびオリゴヌクレオチドON7を用いるPCRによって、2段階で増幅した。P CR産物は、さらに精製することなくインビトロ転写に使用し、RNAは、LiCl 沈殿(Pokrovskaya,I.D.& Gurevich,V.V.(1994)Anal.Biochem.220,420- 423)によって精製した。両方のミニライブラリーから得たRNAを同じ割合でプ ールしポリソームディスプレイに使用した。 実施例9:scFv抗体フラグメントのライブラリーのインビトロ翻訳 E.coli S−30システムにおけるインビトロ翻訳を、若干の修飾を加えて実施 例6に記載されたように行った。簡潔には、インビトロ翻訳を、以下の成分を含 む220μlの反応物中で37℃にて8分間行った:50mM Tris-Ac,pH7.5,30mM NH4Ac ,12.3mM Mg(Ac)2、0.35mMの各アミノ酸,2mM ATP,0.5mM GTP,1mMcAMP,0.5 mg/ml E.coli tRNA,20μg/mlギ酸,100mM KAc,30mMアセチルリン酸、1.5%PEG 8000、33μg/mlリファンピシン、1mg/mlバナジルリボ ヌクレオシド複合体(VRC),3.5mM anti-ssrAオリゴヌクレオチド、0.3μM PD I,51.4μlのE.coli MRE600抽出物および90μg/mlのmRNA。 実施例10:scFvライブラリーのスクリーニング ポリソーム複合体のアフィニティー選択およびRNA単離 最初の方法では、アフィニティー選択を、選択中にヘパリンを使用する改良を加 えて実施例6に記載のように行った。我々は、ヘパリンによってポリソーム複合 体の非特異的結合が、非特異的な表面(ミルクまたはBSA)と同じ位に特異的な表 面(GCN4(7P14P)-BSA)に対して減少することを観察した。 Mg(Ac)2を最終濃度50mMまで加えることにより翻訳(実施例9参照)を停止し 、翻訳混合物を氷で冷却した。試料を氷冷洗浄緩衝液(50mMTris-AcpH7.5,150mM NaCl,50mMMg(Ac)2,2.5mg/mlヘパリンおよび0.1% Tween-20)で4倍に希釈し、4 ℃にて10.000xgで5分間遠心して可溶性の成分を除いた。GCN4(7P14P )-BSAコンジュゲートでコーティングしたマイクロタイタープレートを氷冷洗浄 緩衝液で予め洗浄し、遠心した翻訳混合物から得た上清を注ぎ(200μl/マイク ロタイターウェル)プレートを冷却した室内で穏やかに1時間振盪した。ヘパリ ンを含まない氷冷洗浄緩衝液で5回洗浄したのち、残ったポリソーム複合体を氷 冷溶出緩衝液(100μl perウェル;50mM Tris-Ac,pH7.5,150mM NaCl,10mM EDTA ,50μg/ml of E.coli tRNA)により、冷却した室内で10分間解離させ、遊離し たmRNAをRNeasyキット(Qiagen)を用いる単離により回収し、RT-PCRに使用し た。PCR産物のインビトロ転写の後、RNAをLiCl沈殿(Pokrovskaya,I.D. & Gurevich,V.V.(1994)Anal.Biochem.220,420-423)により精製し、RIA 解析(以下参照)かまたは次のラウンドのポリソームディスプレイのいずれかに使 用した。アフィニティー選択をさらに改善するために、選択中の競合タンパク質 の使用について評価した。GCN4(7P14P)-ペプチドへのポリソーム複 合体のアフィニティー選択中のミルクの使用は、恐らくミルクのRNアーゼ活性の ために、ポリソームディスプレイサイクル後はRNAが単離されなかった。純粋 なタンパク質(例えばBSA,カゼインまたはトランスフェリン)は、非特異的な結 合を減少しなかった。驚くべきこ とに、我々は、ミルクは、滅菌されているならば、ポリソーム複合体のアフィニ ティー選択中に使用できるということを観察した。したがって、RNAの安定性 に対する影響はなく、表面に対する非特異的な結合を実質的に減少した。第2の 方法では、2%の滅菌ミルクをアフィニティー選択中に緩衝液中に含有させる修 飾を加え、上記の条件を使用した。 ラジオイムノアッセイ(RIA) 各ラウンドのポリソームディスプレイの後、回収されたプール全体のRNAを、 上記のライブラリーについて記載されたのと同様の条件を用い、以下の修飾を施 してS−30E.coliシステムにおいてインビトロで翻訳した:翻訳は37℃で30 分間行い、反応混合物は50μCi/mlの35S-メチオニンおよび0.35mMのメチオニン 以外の各アミノ酸を含み、anti-ssrAオリゴヌクレオチドならびにPDIは含ま ない。翻訳後、反応混合物をPBST/ミルクで4倍に希釈して最終濃度2%ミルク にし、マイクロタイターウェルにおいて固定化したGCN4(7P14P)ペプ チドに結合させた。穏やかに振盪して30分間インキュベーションした後、マイ クロタイターウェルをPBSTで5回洗浄し、結合した放射性タンパク質を0.1Mトリ エチルアミンで溶出した。溶出したタンパク質をシンチレーションカウンターで 定量した。阻害RIAは、固定化した抗原に結合させる前に少なくとも1時間、 室温で、PBST/2%ミルクに希釈した翻訳混合物を異なる濃度のGCN4(7P 14P)ペプチドとプレインキュベーションすることによって行った。 単一クローンのELISA 第3ラウンドのポリソームディスプレイの後、PCR産物をベクターpTFT7 tibody Engineering,ed.Borrebaeck,C.A.K.(Oxford University Press,N ew York))中にクローニングした。単一クローンのプラスミドを単離し、インビ トロで翻訳し(3)、RNAをLiCl沈殿(3)により精製し、以下の修飾を施し、上記 のライブラリーについて記載した条件と同様の条件下でのS−30E.coliシス テムにおけるインビトロ翻訳に使用した:翻訳は37℃で30分間行い、anti -ssrAオリゴヌクレオチド、VRC並びにPDIは含まなかった。翻訳後、反応 混合物をPBST/ミルクで最終濃度2%ミルクにし、異なる濃度のGCN4(7P 14P)ペプチド含む混合物とともに、1時間室温でプレインキュベーションし た。マイクロタイターウェルにおける固定化したGCN4(7P14P)ペプチ ドに対する結合は、穏やかに振盪しながら30分間行った。結合したscFvタンパ ク質をモノクローナル抗myc-tag抗体9E10およびポリクローナル抗マウス/ ペルオキシダーゼコンジュゲート(Pierce)を用いて検出した。 結果 ミルクの添加なしの第3ラウンドのポリソームディスプレイの後、我々は、RI A(2%ミルクを使用する)によりGCN4(7P14P)ペプチドに対する結合 について結合体のプールを解析し、プールは結合し、1μMペプチドによってほ ぼ完全に阻害され得ることを見い出した。hagペプチド並びにフルオレセインに よる阻害は観察されなかった(図5A)。しかし、ELISA(2%ミルクを用い る)によるプールの単一のクローンの解析によって、24個のクローンのうち3個 のみがGCN4(7P14P)ペプチドと結合し、そのペプチドにより阻害され ることが分かった(陽性クローン)。他の21個のクローンは標的ペプチドに結合 せず、恐らく表面に非特異的に結合した。さらなる2ラウンドのポリソームディ スプレイは、プールのRIAシグナルを増大させなかった。これは結合体のさら なる豊富化がなかったことを示している。我々は、ポリソーム複合体のアフィニ ティー選択中にミルクを使用せず、ファージディスプレイ実験からミルクがファ ージの表面への非特異的結合を減少させることを知っているので、我々は、ミル クの非存在下でプールのRIAと単一のクローンのELISAを繰り返した。ミ ルク非存在下でのプールのRIAにより、プールは非特異的な結合体を同様に含 んでいることが分かった(図5B)。単一のクローンの解析は、3個の陽性クロー ンが、ELISAの間、2%ミルクの存在によって影響されなかった。一方、非 特異的な結合体はミルクの非存在下で表面に結合したが、2%ミルクの存在下で は全く結合しなかったことを示した。 2%ミルクを添加してアフィニティー選択を繰り返した。第3ラウンドの後、 我々は、GCN4(7P14P)ペプチドに対する結合について、RIAにより プールを再び解析した。この場合、プールは、ミルクなしで得たプールと比較し て約4倍タンパク質と結合し、1μMペプチドによってほぼ完全に阻害された(図 5C)。このプール由来の単一クローンのELISAによる解析によって約75%の クローンが陽性であることが分かった。 表1:インビトロでのリボソームディスプレイによって選択されたscFvhagフラグ メントにおける突然変異可変領域およびリンカーにおいても同様に、抗体17/9(Schulze-Gahmen,U. ,Rini,J.M.& Wilson,I.A.(1993)J.Mol.Biol.234,1098-1118)のscFv における突然変異は、Kabat,E.A.,Wu,T.T.,Perry,H.M.,Gottesmann,K .S.& Foeller,C.(1991)in Sequences of Proteins of Immunological Inter est,vol.I.(US Department of Health and Human Services,5thed.),pp. 151 and 464にしたがって番号を付けた。クローンは相対的RIAシグナルにし たがってソーティングする。野生型クローン2および6には星印を付けた。RI Aは同量の完全長タンパク質に対して標準化し、0.1mM hagペプチド(+hagと略す る)によって阻害し、結合特異性を確かめた。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年7月12日(1999.7.12) 【補正内容】 請求の範囲 1. 標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定 する方法であって、 (a)正確なリーディングフレームにおける終止コドンを欠くmRNAの集団を 、原核生物のインビトロ翻訳システムにおいて翻訳する工程であって、該翻訳シ ステムは、ポリソームの形成が可能な条件下で、ssrA−RNAのtag−配列に相補的 なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むか、またはssrA−RNAを含まない工程 ; (b)形成したポリソームを前記標的分子と、前記mRNA分子によりコードさ れ該ポリソームによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと前記標的分子と の相互作用が可能な条件下で、接触させる工程; (c)前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイするポリソ ームを、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームから 分離する工程;および (d)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポ リ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する工程 を含む方法。 2. 前記mRNA分子が3'末端にステムループを含む、請求項1記載の方法 。 3. 57〜116個のアミノ酸を優先的にコードするスペーサーを(ポリ) ペプチドのリーディングフレームに融合して、リボソームの推定(ポリ)ペプチド チャネルへ折り畳まれた新生の(ポリ)ペプチドを繋ぎ留める、請求項2記載の 方法。 4. 前記mRNA分子の3'末端の前記ステムループが、前記スペーサーをコ ードしている、請求項2記載の方法。 5. 前記RNA分子が、5'末端のステムループ構造を含む、請求項1〜4の いずれかに記載の方法。 6. 前記インビトロ翻訳システムが、リボヌクレアーゼの阻害剤を含有する 請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 7. 前記リボヌクレアーゼの阻害剤がトランジション段階のアナログである 、請求項6記載の方法。 8. 前記トランジション段階のアナログがバナジルリボヌクレアーゼ複合体 である、請求項7記載の方法。 9. (a)ポリソームの形成後のマグネシウム塩、好ましくは酢酸マグネシ ウムの添加;および/または (b)mRNAと対応する(ポリ)ペプチドとの間の架橋を形成させる手段;お よび/または (c)翻訳の後および/またはスクリーニング過程の間の低い温度 によってポリソームが工程(a)〜(c)において安定化されている、請求項1 〜7のいずれかに記載の方法。 10. 工程(d)が、 (da)前記mRNAを逆転写し; (db)場合により、得られたcDNAを増幅し; (dc)場合により、場合により増幅したcDNAをクローニングし;そして (dd)前記cDNAの配列を決定することを含む、 請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 11. 工程(a)の前に還元剤の存在下にDNAをmRNAに転写する、請 求項1〜10のいずれかに記載の方法。 12. 還元剤を工程(a)の前に除去する、請求項11記載の方法。 13. (ポリ)ペプチドが、免疫グロブリンスーパーファミリー、好ましくは 免疫グロブリンファミリーの領域を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方 法。 14. (ポリ)ペプチドが一本鎖の抗体である、請求項13記載の方法。 15. ジスルフィドイソメラーゼまたは還元されたグルタチオン、E.coliDs bA、および分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物が 翻訳システムに添加されている、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。 16. ポリソームどうしの、および/またはポリソームと標的分子との間の 、および/または場合によりポリソームと標的分子が固定化されるマトリックス と の間の、ポリソームと前記標的分子と接触させる工程の間に形成した非特異的な 相互作用をブロッキング化合物の添加によって阻害または減少させる、請求項1 〜15のいずれかに記載の方法。 17. 前記ブロッキング化合物がヘパリンまたは滅菌されたミルクである、 請求項16記載の方法。 18. (a)ssrA−RNAのtag−コード配列似相補的なアンチセンスオリゴヌ クレオチド; (b)場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸を クローニングするための適当なベクター; (c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくは翻訳段階のアナログ、 および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体; (d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化されたまたは還 元されたグルタチオン、E.coliタンパク質DsbA、および分子シャペロンか らなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および (e)場合により、5'または3'ステムループをコードするオリゴヌクレオチド 、スペーサーまたは終止コドンを有しないターミネーター を含むキット。 19. さらに、 (f)S−30翻訳抽出物 (g)PCR構成成分 (h)逆転写酵素 (i)RNA配列決定キット (j)DNA配列決定キット を含む、請求項18記載のキット。 20. (a)ssrA−RNAを含まない原核生物インビトロ無細胞翻訳抽出物(b )場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸をクロ ーニングするための適当なベクター; (c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくは翻訳段階のアナログ、 および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体; (d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化されたまたは還 元されたグルタチオン、E.coliタンパク質DsbA、および分子シャペロンか らなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および (e)場合により、5'または3'ステムループをコードするオリゴヌクレオチド 、スペーサーまたは終止コドンを有しないターミネーター を含むキット。 21. さらに、 (f)PCR構成成分 (g)逆転写酵素 (h)RNA配列決定キット (i)DNA配列決定キット を含む、請求項20記載のキット。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定 する方法であって、 (a)正確なリーディングフレームにおける終止コドンを欠くmRNAの集団を 、インビトロ翻訳システムにおいて翻訳する工程であって、該翻訳システムは、 ポリソームの形成が可能な条件下で、ssrA−RNAのtag−配列に相補的なアンチセ ンスオリゴヌクレオチドを含むか、またはssrA−RNAを含まない工程; (b)形成したポリソームを前記標的分子と、前記mRNA分子によりコードさ れ該ポリソームによってディスプレイされる(ポリ)ペプチドと前記標的分子と の相互作用が可能な条件下で、接触させる工程; (c)前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイするポリソ ームを、そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームから 分離する工程;および (d)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポ リ)ペプチドをコードする核酸分子を同定する工程 を含む方法。 2. 前記mRNA分子が3'末端にステムループを含む、請求項1記載の方法 。 3. 57〜116個のアミノ酸を優先的にコードするスペーサーを(ポリ) ペプチドのリーディングフレームに融合して、リボソームの推定(ポリ)ペプチド チャネルへ折り畳まれた新生の(ポリ)ペプチドを繋ぎ留める、請求項2記載の 方法。 4. 前記mRNA分子の3'末端の前記ステムループが、前記スペーサーをコ ードしている、請求項2記載の方法。 5. 前記RNA分子が、5'末端のステムループ構造を含む、請求項1〜4の いずれかに記載の方法。 6. 前記インビトロ翻訳システムが、リボヌクレアーゼの阻害剤を含有する 請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 7. 前記リボヌクレアーゼの阻害剤がトランジション段階のアナログである 、 請求項6記載の方法。 8. 前記トランジション段階のアナログがバナジルリボヌクレアーゼ複合体 である、請求項7記載の方法。 9. (a)ポリソームの形成後のマグネシウム塩、好ましくは酢酸マグネシ ウムの添加;および/または (b)mRNAと対応する(ポリ)ペプチドとの間の架橋を形成させる手段;お よび/または (c)翻訳の後および/またはスクリーニング過程の間の低い温度 によってポリソームが工程(a)〜(c)において安定化されている、請求項1 〜7のいずれかに記載の方法。 10. 翻訳システムが原核生物の翻訳システムである、請求項1〜9のいず れかに記載の方法。 11. 翻訳システムが真核生物の翻訳システムである、請求項1〜9のいず れかに記載の方法。 12. 工程(d)が、 (da)前記mRNAを逆転写し; (db)場合により、得られたcDNAを増幅し; (dc)場合により、場合により増幅したcDNAをクローニングし;そして (dd)前記cDNAの配列を決定することを含む、 請求項1〜10のいずれかに記載の方法。 13. 工程(a)の前に還元剤の存在下にDNAをmRNAに転写する、請 求項1〜12のいずれかに記載の方法。 14. 還元剤を工程(a)の前に除去する、請求項13記載の方法。 15. 以下の工程: (a)正しいリーディングフレームにおける終止コドンを欠くDNA分子の集団 を、還元剤の存在下でmRNAの集団に転写すること; (b)mRNA分子のこの集団から前記還元剤を除去すること; (c)ポリソームの形成を可能する条件下で、インビトロ翻訳システムにおいて mRNA分子の前記集団を翻訳すること; (d)前記mRNA分子によってコードされ前記ポリソームによってディスプレ イされる(ポリ)ペプチドと前記標的分子との相互作用を可能にする条件下で、 形成したポリソームを前記標的分子と接触させる工程; (e)そのような(ポリ)ペプチドをディスプレイしていないポリソームから、 前記標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをディスプレイしているポリソー ムを分離すること;および (f)前記標的分子と相互作用するポリソームにおいてディスプレイされた(ポ リ)ペプチドをコードしている核酸分子を同定すること を含む標的分子と相互作用する(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子を同定す るための方法。 16. 還元剤が、β−メルカプトエタノールおよび/またはDTTである、 請求項13〜15のいずれかに記載の方法。 17. (ポリ)ペプチドが、免疫グロブリンスーパーファミリー、好ましくは 免疫グロブリンファミリーの領域を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方 法。 18. (ポリ)ペプチドが一本鎖の抗体である、請求項17記載の方法。 19. ジスルフィドイソメラーゼまたは還元されたグルタチオン、E.coliDs bA、および分子シャペロンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物が 翻訳システムに添加されている、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。 20. ポリソームどうしの、および/またはポリソームと標的分子との間の 、および/または場合によりポリソームと標的分子が固定化されるマトリックス との間の、ポリソームと前記標的分子と接触させる工程の間に形成した非特異的 な相互作用をブロッキング化合物の添加によって阻害または減少させる、請求項 1〜19のいずれかに記載の方法。 21. 前記ブロッキング化合物がヘパリンまたは滅菌されたミルクである、 請求項20記載の方法。 22. (a)ssrA−RNAのtag−コード配列似相補的なアンチセンスオリゴヌ クレオチド; (b)場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸を クローニングするための適当なベクター; (c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくは翻訳段階のアナログ、 および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体; (d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化されたまたは還 元されたグルタチオン、E.coliタンパク質DsbA、および分子シャペロンか らなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および (e)場合により、5'または3'ステムループをコードするオリゴヌクレオチド 、スペーサーまたは終止コドンを有しないターミネーター を含むキット。 23. さらに、 (f)S−30翻訳抽出物 (g)PCR構成成分 (h)逆転写酵素 (i)RNA配列決定キット (j)DNA配列決定キット を含む、請求項22記載のキット。 24. (a)ssrA−RNAを含まないインビトロ無細胞翻訳抽出物 (b)場合により、スクリーニングされる(ポリ)ペプチドをコードする核酸を クローニングするための適当なベクター; (c)場合により、リボヌクレアーゼ阻害剤、好ましくは翻訳段階のアナログ、 および最も好ましくはバナジルリボヌクレオシド複合体; (d)場合により、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、酸化されたまたは還 元されたグルタチオン、E.coliタンパク質DsbA、および分子シャペロンか らなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および (e)場合により、5'または3'ステムループをコードするオリゴヌクレオチド 、スペーサーまたは終止コドンを有しないターミネーター を含むキット。 25. さらに、 (f)PCR構成成分 (g)逆転写酵素 (h)RNA配列決定キット (i)DNA配列決定キット を含む、請求項24記載のキット。
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