JP4084483B2 - 光学補償シートおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シート、およびそれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶セル、偏光板および液晶セルと偏光板との間に設けられる光学補償シート(位相差板)からなる。
液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。封入した棒状液晶性分子を配向させるため、二枚の基板には配向膜が設けられる。
光学補償シート(位相差板)は、液晶セルに表示される画像の着色を除去するために用いられる。光学補償シートに、液晶セルの視野角を拡大する機能を付与する場合もある。光学補償シートとしては、延伸複屈折フイルムが従来から使用されている。
【0003】
延伸複屈折フイルムに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層を有する光学補償シートを使用することも提案されている。光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。ディスコティック液晶性分子は、一般に大きな複屈折率を有する。また、ディスコティック液晶性分子には、多様な配向形態がある。従って、ディスコティック液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートについては、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、西独特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平2−176625号公報に、棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる垂直配向(Vertical Alignment)液晶モードの液晶セルを用いた液晶表示装置が開示されている。垂直配向(VA)液晶モードは、従来の液晶モードと比較して、視野角が広く、応答が高速であるとの利点がある。垂直配向(VA)液晶モードの液晶表示装置は、既に試作品が出展されている(日経マイクロデバイスNo.136、p.147、1996)。
米国特許4583825号、同5410422号の各明細書には、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置が開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。OCB液晶モードの液晶表示装置は、液晶セルに表示される画像の応答が速いとの利点がある。
【0005】
VA液晶モードやOCB液晶モードには、従来の液晶モードと比較すると、視野角が広く、応答が速いとの特徴がある。しかし、従来から使用されているCRTと比較すると、さらに改良が必要である。
VA液晶モードやOCB液晶モードの液晶表示装置をさらに改良するため、従来の液晶モードと同様に光学補償シートを用いることが考えられる。しかし、従来の液晶表示装置に使用されている公知の光学補償シートは、VAあるいはOCB液晶モードの液晶表示装置では、光学補償機能が不充分であった。
VAあるいはOCB液晶モードでは、棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向している。実質的に垂直に配向している棒状液晶性分子の光学的異方性を、光学的に補償するためには、光軸が傾斜していない負の大きな光学異方性を有する光学補償シートが必要である。延伸複屈折フイルム、例えば二軸延伸したポリカーボネートを用いて、上記の光学的な性質を有するフイルムを製造することは可能ではあるが、フイルムの寸度安定性や生産コストの観点で問題があった。
【0006】
前述したように、延伸複屈折フイルムに代えて、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層と透明支持体とを有する光学補償シートを使用することが提案されている。しかし、これまで提案されたディスコティック液晶性分子を用いる光学補償シートには、光軸が傾斜していない負の大きな光学異方性を有するシートは含まれていない。
本発明者は、ディスコティック液晶性分子を用いて、光軸が傾斜していない負の大きな光学異方性を有する光学補償シートを製造しようと試みた。しかし、従来の技術に記載されている方法では、光学的異方性層の光軸を実質的に傾斜させない(5°未満とする)ことが非常に困難であった。
本発明の目的は、光軸が傾斜していない負の大きな光学異方性を有する光学補償シートを提供することである。
また、本発明の目的は、VA液晶モードまたはOCB液晶モードの液晶表示装置に適した光学補償シートを提供することでもある。
さらに、本発明の目的は、視野角がさらに改善されたVA液晶モードまたはOCB液晶モードの液晶表示装置を提供することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(9)の光学補償シートおよび下記(10)〜(12)の液晶表示装置により達成された。
(1)透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シートであって、光学的異方性層が、さらに1,3,5−トリアジン環を有する化合物を、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至20重量%の量で含み、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が固定されていることを特徴とする光学補償シート。
(2)ディスコティック液晶性分子が重合により固定されている(1)に記載の光学補償シート。
(3)光学的異方性層が、さらにセルロースの低級脂肪酸エステルを、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至1重量%の量で含む(1)に記載の光学補償シート。
(4)光学的異方性層が、さらに含フッ素界面活性剤を、ディスコティック液晶性分子の量の2乃至30重量%の量で含む(1)に記載の光学補償シート。
(5)光学補償シートが、さらにディスコティック液晶性分子から形成された第2光学的異方性層を有し、第2光学的異方性層内でディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、該傾斜角がディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化している(1)に記載の光学補償シート。
(6)1,3,5−トリアジン環を有する化合物がメラミン化合物である(1)に記載の光学補償シート。
(7)1,3,5−トリアジン環を有する化合物がメラミンポリマーである(6)に記載の光学補償シート。
(8)透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シートであって、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が重合により固定され、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とディスコティック液晶性分子とが重合している状態で光学的異方性層に含まれていることを特徴とする光学補償シート。
【0008】
(9)光学補償シートが、さらにディスコティック液晶性分子から形成された第2光学的異方性層を有し、第2光学的異方性層内でディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、該傾斜角がディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化している(8)に記載の光学補償シート。
(10)VA型液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板およびVA型液晶セルと一方または両方の偏光板との間に配置された一枚または二枚の光学補償シートからなるVA型液晶表示装置であって、光学補償シートが透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有し、光学的異方性層が、さらに1,3,5−トリアジン環を有する化合物を、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至20重量%の量で含み、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が固定されていることを特徴とするVA型液晶表示装置。
(11)OCB型液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板およびOCB型液晶セルと一方または両方の偏光板との間に配置された一枚または二枚の光学補償シートからなるOCB型液晶表示装置であって、光学補償シートが透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有し、光学的異方性層が、さらに1,3,5−トリアジン環を有する化合物を、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至20重量%の量で含み、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が固定されていることを特徴とするOCB型液晶表示装置。
(12)光学補償シートが、さらにディスコティック液晶性分子から形成された第2光学的異方性層を有し、第2光学的異方性層内でディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、該傾斜角がディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化している(11)に記載のOCB型液晶表示装置。
【0009】
【発明の効果】
本発明者の研究により、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態でディスコティック液晶性分子を固定すれば、光軸が傾斜していない負の大きな光学異方性を有する光学補償シートが得られることが判明した。平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子を配向(ホメオトロピック配向)させることは、従来の技術では困難であった。しかし、本発明者がさらに研究を進めた結果、セルロースの低級脂肪酸エステル、含フッ素界面活性剤または1,3,5−トリアジン環を有する化合物を、ディスコティック液晶性分子に対して一定の範囲の量で使用することにより、ディスコティック液晶性分子を平均傾斜角が5°未満の状態で配向させることに成功した。
以上のような、光軸が傾斜していない負の大きな光学異方性を有する光学補償シートは、VA液晶モードまたはOCB液晶モードのように、棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向している液晶表示モードにおいて特に有効に用いられる。VA液晶モードまたはOCB液晶モードの液晶表示装置には、視野角が広く、画像に着色が少ないとの特徴があるが、本発明の光学補償シートを用いることで、これらの特徴がさらに改良される。
【0010】
【発明の実施の形態】
最初に、添付の図面を引用しながら、液晶表示装置を説明する。
図1は、電圧無印加時(off)および電圧印加時(on)のVA液晶セル内の棒状液晶性分子の配向状態および光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の配向状態を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、液晶セルは、上基板(11)と下基板(13)の間に棒状液晶性分子(12a〜d)からなる液晶(12)を封入した構造を有する。
なお、図1では省略したが、液晶セルの上基板(11)と下基板(13)は、それぞれ、配向膜と電極層を有する。配向膜は棒状液晶性分子(12a〜d)を配向させ、電極層に棒状液晶性分子(12a〜d)に電圧を印加する機能を有する。
VA液晶セルの印加電圧が0の時(電圧無印加時)、図1のoffに示すように、棒状液晶性分子(12a〜d)は実質的に垂直に配向している。ただし、棒状液晶性分子は、一定の方向(図1のoffでは右回り方向)にわずかに傾斜(プレチルト)されている。これは、電圧印加時(図1のon)に、棒状液晶性分子を全て一定の方向(プレチルト方向)に傾けるためである。
【0011】
液晶セル(11〜13)の下側に、光学補償シート(14〜16)が配置されている。図1に示す光学補償シートは、透明支持体(16)上に、配向膜(15)および光学的異方性層(14)を順に有する。光学的異方性層(14)は、ディスコティック液晶性分子(14a)を配向させ、その配向状態で分子を固定して得られた層である。
本発明では、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角(θ)を、5°未満とする。平均傾斜角(θ)は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましく、2°未満であることがさらに好ましく、1°未満であることが最も好ましい。平均傾斜角(θ)は、0°(全く傾斜なし)であってもよい。
図1のonに示すように、電圧を印加すると、液晶セル中央部の棒状液晶性分子(12b、12c)は、実質的に水平に配向する。一方、基板(11、13)近傍の棒状液晶性分子(12a、12d)は、プレチルト方向に傾斜配向する。
【0012】
図2は、電圧無印加時(off)および電圧印加時(on)のOCB液晶セル内の棒状液晶性分子の配向状態および光学的異方性層と第二光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の配向状態を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、液晶セルは、上基板(21)と下基板(23)の間に棒状液晶性分子(22a〜d)からなる液晶(22)を封入した構造を有する。
なお、図2では省略したが、液晶セルの上基板(21)と下基板(23)は、それぞれ、配向膜と電極層を有する。配向膜は棒状液晶性分子(22a〜d)を配向させ、電極層は棒状液晶性分子(22a〜d)に電圧を印加する機能を有する。
OCB液晶セルの印加電圧が0の時(電圧無印加時)、図1のoffに示すように、液晶セルの上基板(21)側の棒状液晶性分子(22a、22b)と下基板側の棒状液晶性分子(22c、22d)とは、実質的に逆の向きに(上下対称に)に配向する。基板(21、23)近傍の棒状液晶性分子(22a、22d)は比較的強く(水平方向に)配向し、液晶セル中央部の棒状液晶性分子(22b、22c)は、比較的弱く(水平方向に)配向する。
【0013】
液晶セル(21〜23)の下側に、光学補償シート(24〜27)が配置されている。図2に示す光学補償シートは、透明支持体(27)上に、配向膜(26)、第2光学的異方性層(25)および光学的異方性層(24)を順に有する。第2光学的異方性層(25)および光学的異方性層(24)は、ディスコティック液晶性分子(25a〜25cおよび24a)を配向させ、その配向状態で分子を固定して得られた層である。
第2光学的異方性層(25)では、ディスコティック液晶性分子(25a〜25c)の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子を配向させ、傾斜角をディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化させる。図2に示す光学補償シートでは、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離の増加に伴って、傾斜角(θa〜θc)も増加している。
光学的異方性層(24)におけるディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角(θ)については、図1について説明した通りである。
図2のonに示すように、電圧を印加すると、棒状液晶性分子(22a〜22d)の(水平方向の)配向は、電圧印加前(off)よりも弱くなる。しかし、液晶セルの上基板(21)側の棒状液晶性分子(22a、22b)と下基板側の棒状液晶性分子(22c、22d)とは、実質的に逆の向きに(上下対称に)に配向することは、電圧印加前(off)と同様である。基板(21、23)近傍の棒状液晶性分子(22a、22d)はやや強く(水平方向に)配向し、液晶セル中央部の棒状液晶性分子(22b、22c)は、かなり弱く(水平方向に)配向する。
【0014】
以上のように、VA液晶セル(図1)およびOCB液晶セル(図2)では、棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向している。実質的に垂直に配向している棒状液晶性分子の光学的異方性は、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角(θ)を小さな値(5°未満)とすることで、光学的に補償することができる。
なお、本明細書において、「実質的に垂直」、「実質的に水平」あるいは実質的に逆」とは、厳密な垂直、水平あるいは逆の方向の角度よりも±20°未満の範囲内であることを意味する。この範囲は、±15°未満であることが好ましく、±10°未満であることがさらに好ましく、±5°未満であることが最も好ましい。
また、本明細書において、「液晶性分子の配向」とは、一部の液晶性分子が上記の範囲外であっても、液晶性分子の配向の平均の角度が上記の範囲内にあることを意味する。実際にも(詳細は後述)、液晶セル内の棒状液晶性分子が、全て同じ方向に配向するわけではない。
【0015】
[光学的異方性層]
光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態のディスコティック液晶性分子を固定することによって形成する。ディスコティック液晶性分子は、ポリマーバインダーを用いて固定することもできるが、重合反応により固定することが好ましい。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0016】
(I) D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Pは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
式(I)の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LP(またはPL)は、二価の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。
【0027】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
【0028】
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−CO−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
【0029】
式(I)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。
式(I)において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明では、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子を配向させるため、ディスコティック液晶性分子と相分離できる化合物を一定の範囲の量で使用することが好ましい。ディスコティック液晶性分子と相分離できる化合物には、セルロースの低級脂肪酸エステル、含フッ素界面活性剤および1,3,5−トリアジン環を有する化合物が含まれる。
【0037】
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける「低級脂肪酸」とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2乃至5であることが好ましく、2乃至4であることがさらに好ましい。脂肪酸には置換基(例、ヒドロキシ)が結合していてもよい。二種類以上の脂肪酸がセルロースとエステルを形成していてもよい。セルロースの低級脂肪酸エステルの例には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースヒドロキシプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートが含まれる。セルロースアセテートブチレートが特に好ましい。セルロースアセテートブチレートのブチリル化度は、30%以上であることが好ましく、30乃至80%であることがさらに好ましい。セルロースアセテートブチレートのアセチル化度は、30%以下であることが好ましく、1乃至30%であることがさらに好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルは、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至1重量%の量で使用する。使用量は、ディスコティック液晶性分子の量の0.1乃至1重量%であることが好ましく、0.3乃至0.9重量%であることがさらに好ましい。
【0038】
含フッ素界面活性剤は、フッ素原子を含む疎水性基、ノニオン性、アニオン性、カチオン性あるいは両性の親水性基および任意に設けられる連結基からなる。一つの疎水性基と一つの親水性基からなる含フッ素界面活性剤は、下記式(II)で表わされる。
【0039】
(II) Rf−L3 −Hy
式中、Rfは、フッ素原子で置換された一価の炭化水素残基であり;L3 は、単結合または二価の連結基であり;そして、Hyは親水性基である。
式(II)のRfは、疎水性基として機能する。炭化水素残基は、アルキル基またはアリール基であることが好ましい。アルキル基の炭素原子数は3乃至30であることが好ましく、アリール基の炭素原子数は6乃至30であることが好ましい。
炭化水素残基に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子で置換されている。フッ素原子で、炭化水素残基に含まれる水素原子の50%以上を置換することが好ましく、60%以上を置換することがより好ましく、70%以上を置換することがさらに好ましく、80%以上を置換することが最も好ましい。
残りの水素原子は、さらに他のハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)で置換されていてもよい。
Rfの例を以下に示す。
【0040】
Rf1:n−C8 F17−
Rf2:n−C6 F13−
Rf3:Cl−(CF2 −CFCl)3 −CF2 −
Rf4:H−(CF2 )8 −
Rf5:H−(CF2 )10−
Rf6:n−C9 F19−
Rf7:ペンタフルオロフェニル
Rf8:n−C7 F15−
Rf9:Cl−(CF2 −CFCl)2 −CF2 −
Rf10:H−(CF2 )4 −
Rf11:H−(CF2 )6 −
Rf12:Cl−(CF2 )6 −
Rf13:C3 F7 −
【0041】
式(II)において、二価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1乃至5のアルキル基または水素原子)、−O−、−SO2 −およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
式(II)のL3 の例を以下に示す。左側が疎水性基(Rf)に結合し、右側が親水性基(Hy)に結合する。ALはアルキレン基、ARはアリーレン基、Hcは二価のヘテロ環残基を意味する。なお、アルキレン基、アリーレン基および二価のヘテロ環残基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
【0042】
L0:単結合
L31:−SO2 −NR−
L32:−AL−O−
L33:−CO−NR−
L34:−AR−O−
L35:−SO2 −NR−AL−CO−O−
L36:−CO−O−
L37:−SO2 −NR−AL−O−
L38:−SO2 −NR−AL−
L39:−CO−NR−AL−
L40:−AL1 −O−AL2 −
L41:−Hc−AL−
L42:−SO2 −NR−AL1 −O−AL2 −
L43:−AR−
L44:−O−AR−SO2 −NR−AL−
L45:−O−AR−SO2 −NR−
L46:−O−AR−O−
【0043】
式(II)のHyは、ノニオン性親水性基、アニオン性親水性基、カチオン性親水性基あるいはそれらの組み合わせ(両性親水性基)のいずれかである。ノニオン性親水性基が特に好ましい。
式(II)のHyの例を以下に示す。
【0044】
Hy1:−(CH2 CH2 O)n −H(nは5乃至30の整数)
Hy2:−(CH2 CH2 O)n −R1
(nは5乃至30の整数、R1 は炭素原子数が1乃至6のアルキル基)
Hy3:−(CH2 CHOHCH2 )n −H(nは5乃至30の整数)
Hy4:−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy5:−SO3 M(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy6:−(CH2 CH2 O)n −CH2 CH2 CH2 −SO3 M
(nは5乃至30の整数、Mは水素原子またはアルカリ金属原子)
Hy7:−OPO(OH)2
Hy8:−N+ (CH3 )3 ・X- (Xはハロゲン原子)
Hy9:−COONH4
【0045】
ノニオン性親水性基(Hy1、Hy2、Hy3)が好ましく、ポリエチレンオキサイドからなる親水性基(Hy1)が最も好ましい。
式(II)で表わされる含フッ素界面活性剤の具体例を、以上のRf、L3 およびHyの例を引用して示す。
【0046】
FS−1:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=6)
FS−2:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=11)
FS−3:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=16)
FS−4:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=21)
FS−5:Rf1−L31(R=C2 H5 )−Hy1(n=6)
FS−6:Rf1−L31(R=C2 H5 )−Hy1(n=11)
FS−7:Rf1−L31(R=C2 H5 )−Hy1(n=16)
FS−8:Rf1−L31(R=C2 H7 )−Hy1(n=21)
FS−9:Rf2−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=6)
FS−10:Rf2−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=11)
FS−11:Rf2−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=16)
FS−12:Rf2−L31(R=C3 H7 )−Hy1(n=21)
FS−13:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=5)
FS−14:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=10)
FS−15:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−16:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−17:Rf4−L33(R=C3 H7 )−Hy1(n=7)
FS−18:Rf4−L33(R=C3 H7 )−Hy1(n=13)
FS−19:Rf4−L33(R=C3 H7 )−Hy1(n=19)
FS−20:Rf4−L33(R=C3 H7 )−Hy1(n=25)
【0047】
FS−21:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=11)
FS−22:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−23:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−24:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=30)
FS−25:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=11)
FS−26:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=17)
FS−27:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=23)
FS−28:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=29)
FS−29:Rf1−L35(R=C3 H7 、AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−30:Rf1−L35(R=C3 H7 、AL=CH2 )−Hy1(n=30)
FS−31:Rf1−L35(R=C3 H7 、AL=CH2 )−Hy1(n=40)
FS−32:Rf1−L36−Hy1(n=5)
FS−33:Rf1−L36−Hy1(n=10)
FS−34:Rf1−L36−Hy1(n=15)
FS−35:Rf1−L36−Hy1(n=20)
FS−36:Rf7−L36−Hy1(n=8)
FS−37:Rf7−L36−Hy1(n=13)
FS−38:Rf7−L36−Hy1(n=18)
FS−39:Rf7−L36−Hy1(n=25)
【0048】
FS−40:Rf1−L0−Hy1(n=6)
FS−41:Rf1−L0−Hy1(n=11)
FS−42:Rf1−L0−Hy1(n=16)
FS−43:Rf1−L0−Hy1(n=21)
FS−44:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy2(n=7、R1 =C2 H5 )
FS−45:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy2(n=13、R1 =C2 H5 )
FS−46:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy2(n=20、R1 =C2 H5 )
FS−47:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy2(n=28、R1 =C2 H5 )
FS−48:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=5)
FS−49:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=10)
FS−50:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−51:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−52:Rf1−L37(R=C3 H7 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=5)
FS−53:Rf1−L37(R=C3 H7 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=7)
FS−54:Rf1−L37(R=C3 H7 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=9)
FS−55:Rf1−L37(R=C3 H7 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=12)
FS−56:Rf9−L0−Hy4(M=H)
FS−57:Rf3−L0−Hy4(M=H)
FS−58:Rf1−L38(R=C3 H7 、AL=CH2 )−Hy4(M=K)
FS−59:Rf4−L39(R=C3 H7 、AL=CH2 )−Hy4(M=Na)
【0049】
FS−60:Rf1−L0−Hy5(M=K)
FS−61:Rf10−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−62:Rf11−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−63:Rf5−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−64:Rf1−L38(R=C3H7、AL=CH2CH2CH2 )−Hy5(M=Na)
FS−65:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy6(n=5、M=Na)
FS−66:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy6(n=10、M=Na)
FS−67:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy6(n=15、M=Na)
FS−68:Rf1−L31(R=C3 H7 )−Hy6(n=20、M=Na)
FS−69:Rf1−L38(R=C2 H5 、AL=CH2 CH2 )−Hy7
FS−70:Rf1−L38(R=H、AL=CH2CH2CH2 )−Hy8(X=I)
FS−71:Rf11−L41(下記Hc、AL=CH2CH2CH2 )−Hy6(Mは解離)
【0050】
【化16】
【0051】
FS−72:Rf1−L42(R=C3H7、AL1=CH2CH2、AL2=CH2CH2CH2)−Hy6(M=Na)
FS−73:Rf12−L0−Hy5(M=Na)
FS−74:Rf13−L43(AR=o-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−75:Rf13−L43(AR=m-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−76:Rf13−L43(AR=p-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−77:Rf6−L44(R=C2H5、AL=CH2CH2)−Hy5(M=H)
FS−78:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=9)
FS−79:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=14)
FS−80:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=19)
FS−81:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=28)
FS−82:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=5)
FS−83:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=10)
FS−84:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=15)
FS−85:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=20)
【0052】
フッ素原子を含む疎水性基または親水性基を二以上有する含フッ素界面活性剤を用いてもよい。二以上の疎水性基または親水性基を有する含フッ素界面活性剤の例を以下に示す。
【0053】
【化17】
【0054】
FS−86:n1+n2=12、FS−87:n1+n2=18、FS−88:n1+n2=24
【0055】
【化18】
【0056】
FS−89:n1+n2=20、FS−90:n1+n2=30、FS−91:n1+n2=40
【0057】
【化19】
【0058】
FS−92:n=5、FS−93:n=10、FS−94:n=15、FS−95:n=20
【0059】
【化20】
【0060】
二種類以上の含フッ素界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤については、様々な文献(例、堀口弘著「新界面活性剤」三共出版(1975)、M.J. Schick, Nonionic Surfactants, Marcell Dekker Inc., New York, (1967)、特開平7−13293号公報)に記載がある。
含フッ素界面活性剤は、ディスコティック液晶性分子の量の2乃至30重量%の量で使用する。使用量は、ディスコティック液晶性分子の量の3乃至25重量%であることが好ましく、5乃至10重量%であることがさらに好ましい。
【0061】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0062】
【化21】
【0063】
式中、X1 、X2 およびX3 は、それぞれ独立に、単結合、−NR−(Rは炭素原子数が1乃至30のアルキル基または水素原子)、−O−または−S−であり;そして、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
式(III)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。メラミン化合物では、式(III)において、X1 、X2 またはX3 が−NR−であるか、あるいは、X1 、X2 またはX3 が単結合であり、かつR31、R32およびR33が窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である。メラミン化合物については、式(IV)を引用して、さらに詳細に説明する。
−NR−のRは、水素原子であることが特に好ましい。
R31、R32およびR33は、アリール基であることが特に好ましい。
【0064】
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、2乃至30であることがより好ましく、4乃至30であることがさらに好ましく、6乃至30であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましく、3乃至30であることがより好ましく、4乃至30であることがさらに好ましく、6乃至30であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
【0065】
上記アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。
アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。
上記アルキル基は、前述したアルキル基と同様の定義を有する。アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同様である。
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同様の定義を有する。アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基およびアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同様である。
上記アリール基の例には、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルおよび4−ドデシルオキシフェニルが含まれる。アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基およびアシル基の部分の例は、上記アリール基の例と同様である。
【0066】
X1 、X2 またはX3 が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、N、SまたはOであることが好ましく、Nであることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
X1 、X2 またはX3 が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】
【化25】
【0071】
R31、R32およびR33の少なくとも一つは、炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。
また、R31、R32およびR33の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、少なくとも二つの重合性基を有することが好ましい。また、重合性基は、R31、R32またはR33の末端に位置することが好ましい。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物に重合性基を導入することで、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とディスコティック液晶性分子とが重合している状態で光学的異方性層に含ませることができる。
重合性基を置換基として有するR31、R32またはR33を、下記式(Rp)で示す。
【0072】
(Rp) −L5 (−P)n
式中、L5 は、(n+1)価の連結基であり;Pは、重合性基であり;そして、nは1乃至5の整数である。
式(RpI)において、(n+1)価の連結基(L5 )は、アルキレン基、アルケニレン基、n+1価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1乃至30のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−および−SO2 −からなる群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。芳香族基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。
式(Rp)のL5 の例を以下に示す。左側が式(III)のX1 、X2 またはX3 に結合(X1 、X2 またはX3 が単結合の場合は、1,3,5−トリアジン環に直結)し、右側が(L53〜L59ではn個の)重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、Hcは二価のヘテロ環残基、ARは芳香族基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基、ヘテロ環残基および芳香族基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子)を有していてもよい。
【0073】
L51:−AL−O−CO−
L52:−AL−O−
L53:−AR(−O−AL−O−CO−)n
L54:−AR(−O−AL−O−)n
L55:−AR(−O−CO−AL−O−CO−)n
L56:−AR(−CO−O−AL−O−CO−)n
L57:−AR(−O−CO−AR−O−AL−O−CO−)n
L58:−AR(−NR−SO2 −AL−O−CO−)n
L59:−AR(−SO2 −NR−AL−O−CO−)n
【0074】
式(Rp)における重合性基(P)の例は、ディスコティック液晶性分子の重合性基の例(P1〜P18)と同様である。重合性基は、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とディスコティック液晶性分子とを重合させるために使用する。よって、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の重合性基とディスコティック液晶性分子の重合性基とは、類似の官能基であることが好ましい。従って、ディスコティック液晶性分子の重合性基と同様に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。
nが複数(2乃至5)である場合、連結基(L5 )はn+1価の芳香族基を含み芳香族基において分岐することが好ましい。nは、1乃至3の整数であることが好ましい。
【0075】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の(メラミン化合物を除く)具体例を以下に示す。
【0076】
【化26】
【0077】
TR−1:R31、R32、R33:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−2:R31、R32、R33:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−3:R31、R32:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2 ;R33:-(CH2)12-CH3
TR−4:R31、R32:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R33:-(CH2)12-CH3
TR−5:R31:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R32、R33:-(CH2)12-CH3
TR−6:R31:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R32、R33:-(CH2)12-CH3
TR−7:R31、R32:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R33:-(CH2)12-CH3
TR−8:R31:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R32、R33:-(CH2)12-CH3
TR−9:R31、R32、R33:-(CH2)9-O-EpEt
TR−10:R31、R32、R33:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
TR−11:R31、R32:-(CH2)9-O-EpEt;R33:-(CH2)12-CH3
TR−12:R31、R32、R33:-(CH2)9-O-CH=CH2
TR−13:R31、R32:-(CH2)9-O-CH=CH2;R33:-(CH2)12-CH3
(註)EpEt:エポキシエチル
【0078】
【化27】
【0079】
TR−14:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−15:X1、X2、X3:-O-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−16:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−17:X1、X2、X3:-O-;
R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−18:X1、X2、X3:-O-;R31、R33、R34、R36、R37、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−19:X1、X2、X3:-O-;
R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−20:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−21:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−22:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−23:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−24:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;
R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−25:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;
R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−26:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R32、R33:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;
R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
【0080】
TR−27:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−28:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32、R34、R35:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−29:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−30:X1、X2:-NH-;X3:-S-;
R31、R32、R34、R35:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−31:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R31、R33、R34、R36:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−32:X1、X2:-NH-;X3:-S-;
R31、R32、R33、R34、R35、R36:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−33:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−34:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−35:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−36:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−37:X1:-O-;X2、X3:-S-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;
R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−38:X1:-O-;X2、X3:-S-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;
R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−39:X1:-O-;X2、X3:-S-;R31、R32、R33:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;
R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
【0081】
TR−40:X1、X2、X3:-S-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−41:X1、X2、X3:-S-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−42:X1、X2、X3:-S-;R32、R35、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−43:X1、X2、X3:-S-;
R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−44:X1、X2、X3:-S-;R31、R33、R34、R36、R37、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−45:X1、X2、X3:-S-;
R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−46:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−47:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−48:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−49:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−50:X1:-O-;X2:-NH-;X3:-S-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;
R35:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−51:X1:-O-;X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;
R35:-O-(CH2)11-CH3;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−52:X1:-O-;X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32、R33:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;
R35:-O-(CH2)11-CH3;R38:-O-(CH2)12-CH3
【0082】
TR−53:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−54:X1、X2、X3:-O-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−55:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
TR−56:X1、X2、X3:-O-;
R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
TR−57:X1、X2、X3:-O-;R31、R33、R34、R36、R37、R39:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−58:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CH=CH2
TR−59:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−60:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-EpEt;
R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−61:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-EpEt;
R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−62:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-EpEt;
R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−63:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;
R35、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−64:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-EpEt;
R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−65:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
EpEt:エポキシエチル
【0083】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、下記式(IV)で表されるメラミン化合物であることが好ましい。
【0084】
【化28】
【0085】
式中、R41、R43およびR45は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至30のアルキル基または水素原子であり、R42、R44およびR46は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であるか、あるいは、R41とR42、R43とR44またはR45とR46が結合して、複素環を形成する。
R41、R43およびR45は、炭素原子数が1乃至20のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1乃至10のアルキル基または水素原子であることがより好ましく、炭素原子数が1乃至6のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
R42、R44およびR46は、アリール基であることが特に好ましい。
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基および複素環基の定義および置換基は、前記式(III)で説明した各基の定義および置換基と同様である。
R41とR42、R43とR44またはR45とR46が結合して形成する複素環は、前記式(III)で説明した窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基と同様である。
【0086】
R42、R44およびR46の少なくとも一つは、炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。
また、R42、R44およびR46の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。メラミン化合物は、少なくとも二つの重合性基を有することが好ましい。また、重合性基は、R42、R44およびR46の末端に位置することが好ましい。
メラミン化合物に重合性基を導入することで、メラミン化合物とディスコティック液晶性分子とが重合している状態で光学的異方性層に含ませることができる。
重合性基を置換基として有するR42、R44およびR46は、前述した式(Rp)で示される基と同様である。
【0087】
メラミン化合物の具体例を以下に示す。
【0088】
【化29】
【0089】
MM−1:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)9-CH3
MM−2:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)11-CH3
MM−3:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−4:R44、R54、R64:-O-(CH2)9-CH3
MM−5:R44、R54、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−6:R43、R53、R63:-O-CH3;R44、R54、R64:-O-(CH2)17-CH3
MM−7:R44、R54、R64:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−8:R44、R54、R64:-SO2-NH-(CH2)17-CH3
MM−9:R43、R53、R63:-O-CO-(CH2)15-CH3
MM−10:R42、R52、R62:-O-(CH2)17-CH3
MM−11:R42、R52、R62:-O-CH3;R43、R53、R63:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−12:R42、R52、R62:-Cl;R43、R53、R63:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−13:R42、R52、R62:-O-(CH2)11-CH3;R45、R55、R65:-SO2-NH-iso-C3H7
【0090】
MM−14:R42、R52、R62:-Cl;R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−15:R42、R46、R52、R56、R62、R66:-Cl;R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)19-CH3
MM−16:R43、R54:-O-(CH2)9-CH3;R44、R53、R63、R64:-O-(CH2)11-CH3
MM−17:R44:-O-(CH2)11-CH3;R54:-O-(CH2)15-CH3;R64:-O-(CH2)17-CH3
MM−18:R42、R45、R52、R55、R62、R65:-O-CH3;R44、R54、R64:-NH-CO-(CH2)14-CH3
MM−19:R42、R45、R52、R55、R62、R65:-O-(CH2)3-CH3;
R44、R54、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−20:R42、R52、R62:-NH-SO2-(CH2)15-CH3;R44、R45、R54、R55、R64、R65:-Cl
MM−21:R42、R43、R52、R53、R62、R63:-F;R44、R54、R64:-CO-NH-(CH2)15-CH3;
R45、R46、R55、R56、R65、R66:-Cl
MM−22:R42、R52、R62:-Cl;R44、R54、R64:-CH3;
R45、R55、R65:-NH-CO-(CH2)12-CH3
MM−23:R42、R52、R62:-OH;R44、R54、R64:-CH3;R45、R55、R65:-O-(CH2)15-CH3
MM−24:R42、R45、R52、R55、R62、R65:-O-CH3;R44、R54、R64:-(CH2)11-CH3
MM−25:R42、R52、R62:-NH-SO2-CH3;R45、R55、R65:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−26:R42、R52、R62:-S-(CH2)11-CH3;R45、R55、R65:-SO2-NH2
【0091】
MM−27:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
MM−28:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)8-O-CO-CH=CH2
MM−29:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-CO-(CH2)7-O-CO-CH=CH2
MM−30:R44、R54、R64:-CO-O-(CH2)12-O-CO-C(CH3)=CH2
MM−31:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-CO-p-Ph-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−32:R42、R44、R52、R54、R62、R64:-NH-SO2-(CH2)8-O-CO-CH=CH2;
R45、R55、R65:-Cl
MM−33:R42、R52、R62:-NH-SO2-CH3;R45、R55、R65:-CO-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
【0092】
MM−34:R44、R54、R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−35:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−36:R44、R54、R64:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−37:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−38:R43、R45、R53、R55、R63、R65:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−39:R43、R44、R45、R53、R54、R55、R63、R64、R65:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−40:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−41:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R64:-O-(CH2)12-CH3
MM−42:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R63、R64:-O-(CH2)12-CH3
MM−43:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R63、R64:-O-CO-(CH2)11-CH3
MM−44:R43、R45:-O-(CH2)12-CH3;R54、R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−45:R43、R44:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R54、R64:-O-(CH2)11-CH3
MM−46:R43、R44、R45:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R54、R64:-O-(CH2)11-CH3
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
p-Ph:p−フェニレン
【0093】
【化30】
【0094】
MM−47:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)15-CH3;R48、R58、R68:-O-(CH2)11-CH3
MM−48:R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)17-CH3
MM−49:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−50:R45、R55、R65:-O-(CH2)17-CH3;R47、R57、R67:-SO2-NH-CH3
MM−51:R43、R53、R63:-O-(CH2)15-CH3
MM−52:R41、R51、R61:-O-(CH2)17-CH3
MM−53:R46、R56、R66:-SO2-NH-Ph;R48、R58、R68:-O-(CH2)11-CH3
MM−54:R45、R55、R65:-O-(CH2)21-CH3;R47、R57、R67:-SO2-NH-Ph
MM−55:R41、R51、R61:-p-Ph-(CH2)11-CH3
MM−56:R46、R48、R56、R58、R66、R68:-SO2-NH-(CH2)7-CH3
MM−57:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)10-O-CO-CH=CH2;
R48、R58、R68:-O-(CH2)12-CH3
MM−58:R45、R55、R65:-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2;R47、R57、R67:-SO2-NH-Ph
MM−59:R43、R53、R63:-O-(CH2)16-O-CO-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
Ph:フェニル
p-Ph:p−フェニレン
【0095】
【化31】
【0096】
MM−60:R45、R55、R65:-NH-CO-(CH2)14-CH3
MM−61:R42、R52、R62:-O-(CH2)17-CH3
MM−62:R44、R54、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−63:R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−64:R43、R53、R63:-CO-NH-(CH2)17-CH3;R44、R54、R64:-OH
MM−65:R45、R55、R65:-O-(CH2)15-CH3;R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)11-CH3
MM−66:R47、R57、R67:-O-(CH2)21-CH3
MM−67:R44、R54、R64:-O-p-Ph-(CH2)11-CH3
MM−68:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−69:R43、R53、R63:-CO-NH-(CH2)17-CH3;
R44、R54、R64:-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
MM−70:R45、R55、R65:-O-(CH2)8-O-CO-CH=CH2;
R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)11-CH3
MM−71:R43、R46、R53、R56、R63、R66:-SO2-NH-(CH2)8-0-CO-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
p-Ph:p−フェニレン
【0097】
【化32】
【0098】
MM−72:R41、R43、R45:-CH3
MM−73:R41、R43、R45:-C2H5
MM−74:R41、R43:-C2H5;R45:-CH3
MM−75:R41、R43、R45:-(CH2)3-CH3
【0099】
【化33】
【0100】
MM−76:R42、R44、R46:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−77:R42、R44、R46:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−78:R42、R44:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2 ;R46:-(CH2)12-CH3
MM−79:R42、R44:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R46:-(CH2)12-CH3
MM−80:R42:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R44、R46:-(CH2)12-CH3
MM−81:R42:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R44、R46:-(CH2)12-CH3
MM−82:R42、R44:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R46:-(CH2)12-CH3
MM−83:R42:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R44、R46:-(CH2)12-CH3
MM−84:R42、R44、R46:-(CH2)9-O-EpEt
MM−85:R42、R44、R46:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
MM−86:R42、R44:-(CH2)9-O-EpEt;R46:-(CH2)12-CH3
MM−87:R42、R44、R46:-(CH2)9-O-CH=CH2
MM−88:R42、R44:-(CH2)9-O-CH=CH2;R46:-(CH2)12-CH3
(註)EpEt:エポキシエチル
【0101】
【化34】
【0102】
MM−89:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-(CH2)9-CH3
MM−90:R41、R43、R45:-CH3;R42、R44、R46:-(CH2)17-CH3
MM−91:R41、R42、R43、R44:-(CH2)7-CH3;R45、R46:-(CH2)5-CH3
MM−92:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-CyHx
MM−93:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-(CH2)2-O-C2H5
MM−94:R41、R43、R45:-CH 3;R42、R44、R46:-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
MM−95:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-(CH2)8-O-CO-CH=CH2
(註)CyHx:シクロヘキシル
【0103】
【化35】
【0104】
メラミン化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記式(V)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
【0105】
【化36】
【0106】
式中、R71、R72、R73、R74、R75およびR76は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基および複素環基の定義および置換基は、前記式(III)で説明した各基の定義および置換基と同様である。
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例、メラミンホルムアルデヒド樹脂)の合成方法と同様である。市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
メラミンポリマーの分子量は、2千以上40万以下であることが好ましい。
【0107】
R71、R72、R73、R74、R75およびR76の少なくとも一つは、炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。
また、R71、R72、R73、R74、R75およびR76の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。また、重合性基は、R71、R72、R73、R74、R75およびR76の末端に位置することが好ましい。
メラミンポリマーに重合性基を導入することで、メラミンポリマーとディスコティック液晶性分子とが重合している状態で光学的異方性層に含ませることができる。
重合性基を置換基として有するR71、R72、R73、R74、R75およびR76は、前述した式(Rp)で示される基と同様である。
重合性基は、カルボニル化合物(R71、R72)とメラミン化合物(R73、R74、R75、R76)の一方に導入すればよい。メラミン化合物が重合性基を有する場合は、カルボニル化合物はホルムアルデヒドのような簡単な化学構造の化合物が好ましく用いられる。カルボニル化合物が重合性基を有する場合は、メラミン化合物は、(無置換)メラミンのような簡単な化学構造の化合物が好ましく用いられる。
【0108】
重合性基を有するカルボニル化合物の例を以下に示す。
【0109】
【化37】
【0110】
CO−1:R72:-H;R82:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−2:R72:-H;R81、R82:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−3:R72:-H;R82:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−4:R72:-H;R81、R82:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−5:R72:-H;R81、R83:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−6:R72:-H;R81、R82、R83:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−7:R72:-CH3;R82:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−8:R72:-(CH2)11-CH3;R82:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−9:R72:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R82:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−10:R72:-(CH2)9-O-CO-EpEt;R82:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−11:R72:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R81、R83:-O-(CH2)12-CH3
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
EpEt:エポキシエチル
【0111】
【化38】
【0112】
CO−12:R81、R82、R83、R84:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2
CO−13:R82、R83:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
【0113】
【化39】
【0114】
CO−14:R71:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R72:-H
CO−15:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-H
CO−16:R71:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R72:-CH3
CO−17:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-CH3
CO−18:R71:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R72:-Ph
CO−19:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-Ph
CO−20:R71:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−21:R71:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-(CH2)12-CH3
CO−22:R71:-(CH2)9-O-EpEt;R72:-H
CO−23:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt;R72:-H
CO−24:R71、R72:-(CH2)9-O-EpEt
CO−25:R71、R72:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−26:R71、R72:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
(註)Ph:フェニル
EpEt:エポキシエチル
【0115】
メラミン化合物側に重合性基を有するメラミンポリマーの例を以下に示す。
【0116】
【化40】
【0117】
MP−1:R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−2:R71:-CH3;R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;
R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−3:R71、R72:-CH3;R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;
R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−4:R71:-Ph;R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;
R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−5:R73、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;
R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-O-CH3
MP−6:R73、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;
R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-OH
MP−7:R73、R76:-CH2-NH-CO-C2H5;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)16-CH3;
R75:-CH2-O-CH3
MP−8:R73、R76:-CH2-NH-CO-C2H5;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)16-CH3;
R75:-CH2-OH
MP−9:R73、R76:-CH2-O-CO-CH=CH2;
R74:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-O-CH3
MP−10:R73、R76:-CH2-O-CO-CH=CH2;
R74:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-OH
MP−11:R73、R76:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;
R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-O-CH3
MP−12:R73、R76:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;
R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-OH
MP−13:R73、R74、R75、R76:-CH2-O-(CH2)11-O-CO-CH=CH2
MP−14:R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-O-(CH2)16-CH3
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
Ph:フェニル
【0118】
二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物(メラミン化合物およびメラミンポリマーを含む)を併用してもよい。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至20重量%の量で使用する。使用量は、ディスコティック液晶性分子の量の0.1乃至15重量%であることが好ましく、0.5乃至10重量%であることがさらに好ましい。
【0119】
光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分子および必要に応じて上記のようなセルロースエステル、含フッ素界面活性剤または1,3,5−トリアジン化合物、あるいは下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、後述する透明支持体または配向膜の上に塗布することで形成する。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液は、公知の方法(例、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法)により実施できる。連続塗布により光学的異方性層を形成することが好ましい。カーテンコーティング法、ロールコーティング法およびスライドコーティング法が連続塗布に適している。
【0120】
配向させたディスコティック液晶性分子は、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至5重量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20乃至5000mJ/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学的異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、1乃至5μmであることが最も好ましい。
【0121】
[第2光学的異方性層]
第2光学的異方性層を設けてもよい。第2光学的異方性層も、(第1)光学的異方性層と同様に、ディスコティック液晶性分子から形成された層であることが好ましい。ただし、第2光学的異方性層では、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子が配向していることが好ましい。さらに、円盤面の傾斜角は、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化していることが好ましい。
このように円盤面の傾斜角が円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化しているように、ディスコティック液晶性分子を配向(ハイブリッド配向)させた光学補償シートについては、特開平7−287120号公報に記載がある。同公報では、面配向性透明支持体上にハイブリッド配向性ディスコティック液晶性分子から形成した光学的異方性層を設けた光学補償シートを、TN型液晶セルの視野角改善のために使用している。面配向性透明支持体の使用は、OCB型液晶セルやVA型液晶セル(特にOCB型液晶セル)においても有効である。面配向性透明支持体として用いるポリマーフイルムとしては、ポリカーボネートフイルムが代表的であるが、ポリカーボネートフイルムは寸度安定性に問題がある。また、ポリマーフイルムには、100μm程度の厚さが必要である。さらに、ポリマーフイルムでは、面配向性の精密な制御も難しい。
【0122】
前述した(第1)光学的異方性層とディスコティック液晶性分子をハイブリッド配向させた第2光学的異方性層とを併用すると、特開平7−287120号公報に記載されている光学補償シートと同様の効果を得ることができる。すなわち、円盤面の平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向させた(第1)光学的異方性層が、面配向性透明支持体と同様の光学的機能を示す。(第1)光学的異方性層は、面配向性透明支持体と比較して、非常に寸度安定性が優れている。また、光学的異方性層は、非常に薄い層(前述したように好ましくは、0.1乃至10μm)として形成できる。さらに、ディスコティック液晶性分子の塗布量の制御により、1000nm程度の面配向性を数nm単位で容易に制御できる。
第2光学的異方性層の詳細は、円盤面の平均傾斜角を5°未満の状態でディスコティック液晶性分子を配向させるための添加剤(セルロースの低級脂肪酸エステル、含フッ素界面活性剤および1,3,5−トリアジン環を有する化合物)を使用しないこと以外は、前述した(第1)光学的異方性層と同様である。
第2光学的異方性層と(第1)光学的異方性層との配置の順序について特に制限はない。ただし、第2光学的異方性層の方が(第1)光学的異方性層よりも配向膜(下記)の必要性が高いため、配向膜を一つだけ使用する場合は、配向膜側に第2光学的異方性層を設けることが好ましい。
【0123】
[配向膜]
配向膜は、光学的異方性層のディスコティック液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場あるいは磁場の付与により誘電体が配向する配向膜や、光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は光学的異方性層のディスコティック液晶性分子と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することで、ディスコティック液晶性分子を均一に配向させることができる。疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。
疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
【0124】
なお、配向膜を用いて、光学的異方性層のディスコティック液晶性分子を配向させてから、光学的異方性層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定されたディスコティック液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
また、(第1)光学的異方性層について微妙な数度の傾斜角が要求されない場合は、ラビング処理をする必要はなく、配向膜も不要である。ただし、ディスコティック液晶性分子と透明支持体との密着性を改善する目的で、界面でディスコティック液晶性分子と化学結合を形成する配向膜(特開平9−152509号公報記載)を用いてもよい。密着性改善の目的で配向膜を使用する場合は、ラビング処理を実施しなくてもよい。
【0125】
[透明支持体]
透明支持体としては、ポリマーフイルムまたはガラス板を用いる。ポリマーフイルムを用いることが好ましい。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。
ポリマーの例には、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースが含まれる。ポリカーボネート、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースが好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
【0126】
透明支持体の光学的性質は、形成したフイルムの延伸(好ましくは二軸延伸)や縦横の収縮率の制御により調整することできる。
透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学的異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。グロー放電処理またはコロナ放電処理を実施することが好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層は、親水性ポリマー(例、ゼラチン)の塗布により形成することが好ましい。
接着層の厚さは、0.1乃至2μmであることが好ましく、0.2乃至1μmであることがさらに好ましい。
【0127】
[液晶セル]
前述したように、本発明は、VA液晶モードまたはOCB液晶モードの液晶セルを用いる液晶表示装置において特に有効である。
VA液晶モードの液晶セルでは、図1に示すように、棒状液晶性化合物を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる。
OCB液晶モードの液晶セルでは、図2に示すように、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に配向させる。
【0128】
[液晶表示装置]
液晶表示装置は、液晶セル、液晶セルの両側に配置された一対の光学補償シートまたは液晶セルの片側に配置された光学補償シートおよびそれらの両側に配置された一対の偏光素子からなる。
液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子素子を用いたアクティブマトリクス液晶表示装置にも本発明は有効である。
【0129】
【実施例】
[実施例1]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)を0.5μmの厚さに塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
【0130】
【0131】
【化41】
【0132】
塗布層を106℃に加熱し、2Jの紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0133】
[比較例1]
ポリビニルブチラール(#3000−1、電気化学工業(株)製)を、セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1)に代えて、0.3重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0134】
[比較例2]
セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0135】
[比較例3]
セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1)の添加量を、3.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0136】
[実施例2]
アセチル化度17.5%、ブチリル化度32.5%のセルロースアセテートブチレート(CAB−321−0.1、イーストマンケミカル社製)を、CAB−531−1に代えて、0.3重量部用い、塗布層の加熱温度を、106℃から123℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0137】
[比較例4]
セルロースアセテートブチレート(CAB−321−0.1)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0138】
[実施例3]
アセチル化度2.0%、ブチリル化度52.0%のセルロースアセテートブチレート(CAB−551−0.2、イーストマンケミカル社製)を、CAB−531−1に代えて、0.3重量部用い、塗布層の加熱温度を、106℃から112℃に変更し、紫外線の露光量を2Jから1Jに変更した以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0139】
[比較例5]
セルロースアセテートブチレート(CAB−551−0.2)を添加しなかった以外は、実施例3と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0140】
[実施例4]
アセチル化度2.5%、ブチリル化度45.0%のセルロースアセテートブチレート(CAB−482−0.5、イーストマンケミカル社製)を、CAB−531−1に代えて、0.5重量部用い、塗布層の加熱温度を、106℃から145℃に変更し、紫外線の露光量を2Jから3Jに変更した以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0141】
[比較例6]
ポリビニルブチラール(#3000−1、電気化学工業(株)製)を、セルロースアセテートブチレート(CAB−482−0.5)に代えて、0.5重量部用いた以外は、実施例4と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0142】
[比較例7]
セルロースアセテートブチレート(CAB−482−0.5)を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0143】
[実施例5]
下記のディスコティック液晶性化合物(2)を、ディスコティック液晶性化合物(1)に代えて、100重量部用い、塗布層の加熱温度を、106℃から85℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0144】
【化42】
【0145】
[比較例8]
セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1)を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0146】
[実施例6]
下記のディスコティック液晶性化合物(3)を、ディスコティック液晶性化合物(1)に代えて、100重量部用い、塗布層の加熱温度を、106℃から124℃に変更し、紫外線の露光量を2Jから1Jに変更した以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作成した。
【0147】
【化43】
【0148】
[比較例9]
セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1)を添加しなかった以外は、実施例6と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0149】
[実施例7]
下記のディスコティック液晶性化合物(4)を、ディスコティック液晶性化合物(1)に代えて、100重量部用い、塗布層の加熱温度を、106℃から90℃に変更し、紫外線の露光量を2Jから5Jに変更した以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作成した。
【0150】
【化44】
【0151】
[比較例10]
セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1)を添加しなかった以外は、実施例7と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0152】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートの光学的異方性層の光学的性質を、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて632.8nmの波長で測定した。結果を第1表に示す。第1表における傾斜(°)は、レターデーションが最小となる方向(光軸)の傾斜角で、ディスコティック液晶性分子(DLC)の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角度に相当する。Δndは、厚み方向のレターデーション(nm)である。
【0153】
【表1】
【0154】
[実施例8]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。配向膜の厚さは、0.65μmであった。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.7μmであった。
【0155】
【0156】
【化45】
【0157】
塗布層を115℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0158】
[実施例9〜19および比較例11〜15]
含フッ素界面活性剤の種類と量を、第2表に示すように変更した以外は、実施例8と同様にして光学補償シートを作成した。
【0159】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートの光学的異方性層の光学的性質を、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて632.8nmの波長で測定した。結果を第2表に示す。第2表における傾斜(°)は、レターデーションが最小となる方向(光軸)の傾斜角で、ディスコティック液晶性分子(DLC)の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角度に相当する。Δndは、厚み方向のレターデーション(nm)である。
【0160】
【表2】
【0161】
【化46】
【0162】
【化47】
【0163】
【化48】
【0164】
【化49】
【0165】
【化50】
【0166】
【化51】
【0167】
【化52】
【0168】
【化53】
【0169】
[実施例20]
厚さ0.85mmのガラス板を透明支持体として用いた。
透明支持体上にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートで修飾した変性ポリビニルアルコール(特開平8−48197号公報のポリマー番号1)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。配向膜の厚さは、0.63μmであった。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液を、1000rpmのスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.9μmであった。
【0170】
【0171】
【化54】
【0172】
塗布層を180℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0173】
[実施例21〜31および比較例16〜18]
ディスコティック液晶性化合物の種類、含フッ素界面活性剤の種類と量および塗布層の加熱温度を、第3表に示すように変更した以外は、実施例20と同様にして光学補償シートを作成した。
【0174】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートの光学的異方性層の光学的性質を、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて632.8nmの波長で測定した。結果を第3表に示す。第3表における傾斜(°)は、レターデーションが最小となる方向(光軸)の傾斜角で、ディスコティック液晶性分子(DLC)の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角度に相当する。Δndは、厚み方向のレターデーション(nm)である。
【0175】
【表3】
【0176】
【化55】
【0177】
【化56】
【0178】
【化57】
【0179】
【化58】
【0180】
【化59】
【0181】
【化60】
【0182】
【化61】
【0183】
[実施例32]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)を0.5μmの厚さに塗布、乾燥して(ラビング処理を実施せずに)、配向膜を形成した。
配向膜の上に、実施例1で用いた組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
塗布層を106℃に加熱し、2Jの紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0184】
[実施例33]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体の上に、実施例1で用いた組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
塗布層を106℃に加熱し、2Jの紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0185】
[実施例34]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥して(ラビング処理を実施せずに)、配向膜を形成した。配向膜の厚さは、0.65μmであった。
配向膜の上に、実施例8で用いた組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.7μmであった。
塗布層を115℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0186】
[実施例35]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体の上に、実施例8で用いた組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.7μmであった。
塗布層を115℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0187】
[実施例36]
厚さ0.85mmのガラス板を透明支持体として用いた。
透明支持体上にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートで修飾した変性ポリビニルアルコール(特開平8−48197号公報のポリマー番号1)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥して(ラビング処理を実施せずに)、配向膜を形成した。配向膜の厚さは、0.63μmであった。
配向膜の上に、実施例20で用いた組成の塗布液を、1000rpmのスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.9μmであった。
塗布層を180℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0188】
[実施例37]
厚さ0.85mmのガラス板を透明支持体として用いた。
透明支持体の上に、実施例20で用いた組成の塗布液を、1000rpmのスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.9μmであった。
塗布層を180℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0189】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートの光学的異方性層の光学的性質を、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて632.8nmの波長で測定した。結果を第4表に示す。第4表における傾斜(°)は、レターデーションが最小となる方向(光軸)の傾斜角で、ディスコティック液晶性分子(DLC)の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角度に相当する。Δndは、厚み方向のレターデーション(nm)である。
【0190】
【表4】
【0191】
[比較例19]
厚さ0.85mmのガラス板を透明支持体として用いた。
透明支持体上にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートで修飾した変性ポリビニルアルコール(特開平8−48197号公報のポリマー番号1)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。配向膜の厚さは、0.54μmであった。
配向膜の上に、下記の組成の塗布液を、1000rpmのスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.34μmであった。
【0192】
塗布層を135℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0193】
[実施例38]
比較例19で形成した光学的異方性層を第2光学的異方性層として、その上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
【0194】
【0195】
塗布層を106℃に加熱し、紫外線を塗布層に2J/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、第1光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0196】
(光学補償シートの評価)
液晶の異常光と常光の屈折率の差と液晶セルのギャップサイズの積が350nmであるOCB型液晶セルの上下に、比較例19または実施例38で作成した光学補償シートを二枚装着し、液晶セルに対して0V〜5Vの40Hz矩形波における透過率(T)の角度依存性を測定した。
液晶セル表面の法線方向からのコントラスト比(T1V/T5V)が10を示す位置までの角度を視野角と定義し、上下左右の視野角を求めた。結果を第5表に示す。
【0197】
【表5】
【0198】
[実施例39]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。配向膜の厚さは、0.65μmであった。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.7μmであった。
【0199】
【0200】
【化62】
【0201】
塗布層を120℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0202】
[実施例40〜59および比較例20、21]
メラミン化合物の種類と量を、第6表に示すように変更した以外は、実施例39と同様にして光学補償シートを作成した。
【0203】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートの光学的異方性層の光学的性質を、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて632.8nmの波長で測定した。結果を第6表に示す。第6表における傾斜(°)は、レターデーションが最小となる方向(光軸)の傾斜角で、ディスコティック液晶性分子(DLC)の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角度に相当する。Δndは、厚み方向のレターデーション(nm)である。
【0204】
【表6】
【0205】
【化63】
【0206】
【化64】
【0207】
【化65】
【0208】
【化66】
【0209】
【化67】
【0210】
【化68】
【0211】
【化69】
【0212】
【化70】
【0213】
【化71】
【0214】
【化72】
【0215】
【化73】
【0216】
【化74】
【0217】
【化75】
【0218】
【化76】
【0219】
【化77】
【0220】
【化78】
【0221】
[実施例60]
厚さ0.85mmのガラス板を透明支持体として用いた。
透明支持体上にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートで修飾した変性ポリビニルアルコール(特開平8−48197号公報のポリマー番号1)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。配向膜の厚さは、0.63μmであった。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液を、1000rpmのスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。形成した塗布層の厚さは、1.9μmであった。
【0222】
【0223】
塗布層を180℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
【0224】
[実施例61〜85および比較例22〜23]
ディスコティック液晶性化合物の種類、メラミン化合物の種類と量および塗布層の加熱温度を、第7表に示すように変更した以外は、実施例60と同様にして光学補償シートを作成した。
【0225】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートの光学的異方性層の光学的性質を、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて632.8nmの波長で測定した。結果を第7表に示す。第7表における傾斜(°)は、レターデーションが最小となる方向(光軸)の傾斜角で、ディスコティック液晶性分子(DLC)の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角度に相当する。Δndは、厚み方向のレターデーション(nm)である。
【0226】
【表7】
【0227】
【化79】
【0228】
【化80】
【0229】
【化81】
【0230】
【化82】
【0231】
【化83】
【0232】
【化84】
【0233】
【化85】
【0234】
【化86】
【0235】
【化87】
【0236】
[予備実験1]
ガラス板を透明支持体として用いた。
透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。
【0237】
【0238】
【化88】
【0239】
得られた試料を徐々に加熱し、液晶相の変化を偏光顕微鏡で観察した。その結果、116乃至180℃の範囲で液晶状態であることが認められた。
試料を速やかに室温に冷却し、配向状態のまま、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて光軸の傾斜角を調べたところ、2.9±0.4゜であった。
【0240】
[予備実験2]
メラミンポリマー(MP−5)の添加量を10重量部に変更した以外は、予備実験1と同様に試料を作成した評価した。
その結果、111乃至151℃の範囲で液晶状態であることが認められた。また、光軸の傾斜角は、2.9±0.7゜であった。
【0241】
[予備実験3]
メラミンポリマー(MP−5)を添加しなかった以外は、予備実験1と同様に試料を作成した評価した。
その結果、126乃至183℃の範囲で液晶状態であることが認められた。ただし、液晶状態ではシュリーレン模様が認められ、液晶性分子は均一に配向していなかた。
【0242】
[実施例86]
厚さ100μmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の水溶液をバーコーターで塗布、乾燥して、配向膜を形成した。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布し、室温で乾燥した。
【0243】
【0244】
塗布層を130℃に加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、高圧水銀灯を用いて紫外線を塗布層に600mJ/cm2 照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして、光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作成した。
光学異方性層は、室温においても重合前の液晶状態を有しており、再び130℃に加熱しても、液晶性を示すことはなかった。エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて、光軸の傾斜角を調べたところ、5゜未満であった。
【0245】
[実施例87]
メラミンポリマー(MP−5)に代えて、メラミンポリマー(MP−7)を同量用いた以外は、実施例86と同様にして、光学補償シートを作成した。
【0246】
【化89】
【0247】
光学異方性層は、室温においても重合前の液晶状態を有しており、再び130℃に加熱しても、液晶性を示すことはなかった。エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて、光軸の傾斜角を調べたところ、5゜未満であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】電圧無印加時(off)および電圧印加時(on)のVA液晶セル内の棒状液晶性分子の配向状態および光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の配向状態を模式的に示す断面図である。
【図2】電圧無印加時(off)および電圧印加時(on)のOCB液晶セル内の棒状液晶性分子の配向状態および光学的異方性層と第2光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の配向状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
11、21 液晶セルの上基板
12、22 液晶
12a〜12d、22a〜22d 棒状液晶性化合物
13、23 液晶セルの下基板
14、24 光学的異方性層
25 第2光学的異方性層
14a、24a、25a、25b、25c ディスコティック液晶性分子
15、26 配向膜
16、27 透明支持体
off 電圧無印加時
on 電圧印加時
θ、θa、θb、θc ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との傾斜角
Claims (12)
- 透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シートであって、光学的異方性層が、さらに1,3,5−トリアジン環を有する化合物を、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至20重量%の量で含み、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が固定されていることを特徴とする光学補償シート。
- ディスコティック液晶性分子が重合により固定されている請求項1に記載の光学補償シート。
- 光学的異方性層が、さらにセルロースの低級脂肪酸エステルを、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至1重量%の量で含む請求項1に記載の光学補償シート。
- 光学的異方性層が、さらに含フッ素界面活性剤を、ディスコティック液晶性分子の量の2乃至30重量%の量で含む請求項1に記載の光学補償シート。
- 光学補償シートが、さらにディスコティック液晶性分子から形成された第2光学的異方性層を有し、第2光学的異方性層内でディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、該傾斜角がディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化している請求項1に記載の光学補償シート。
- 1,3,5−トリアジン環を有する化合物がメラミン化合物である請求項1に記載の光学補償シート。
- 1,3,5−トリアジン環を有する化合物がメラミンポリマーである請求項6に記載の光学補償シート。
- 透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シートであって、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が重合により固定され、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とディスコティック液晶性分子とが重合している状態で光学的異方性層に含まれていることを特徴とする光学補償シート。
- 光学補償シートが、さらにディスコティック液晶性分子から形成された第2光学的異方性層を有し、第2光学的異方性層内でディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、該傾斜角がディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化している請求項8に記載の光学補償シート。
- VA型液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板およびVA型液晶セルと一方または両方の偏光板との間に配置された一枚または二枚の光学補償シートからなるVA型液晶表示装置であって、光学補償シートが透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有し、光学的異方性層が、さらに1,3,5−トリアジン環を有する化合物を、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至20重量%の量で含み、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が固定されていることを特徴とするVA型液晶表示装置。
- OCB型液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板およびOCB型液晶セルと一方または両方の偏光板との間に配置された一枚または二枚の光学補償シートからなるOCB型液晶表示装置であって、光学補償シートが透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有し、光学的異方性層が、さらに1,3,5−トリアジン環を有する化合物を、ディスコティック液晶性分子の量の0.01乃至20重量%の量で含み、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との平均傾斜角が5°未満の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、その配向状態でディスコティック液晶性分子が固定されていることを特徴とするOCB型液晶表示装置。
- 光学補償シートが、さらにディスコティック液晶性分子から形成された第2光学的異方性層を有し、第2光学的異方性層内でディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との傾斜角が5°以上の状態でディスコティック液晶性分子が配向しており、該傾斜角がディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体表面との間の距離に伴って変化している請求項11に記載のOCB型液晶表示装置。
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