JP4125838B2 - 液晶配向膜、液晶性分子を配向させる方法、光学補償シートおよびstn型液晶表示装置 - Google Patents

液晶配向膜、液晶性分子を配向させる方法、光学補償シートおよびstn型液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶を配向させるため支持体上に設けられている液晶配向膜に関する。また、本発明は、50乃至90度の範囲の平均傾斜角で液晶性分子を配向させる方法にも関する。さらに、本発明は、透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シートにも関する。さらにまた、本発明は、STN型液晶表示装置にも関する。
【0002】
【従来の技術】
STN型液晶表示装置は、STN型液晶セル、二枚の偏光板およびSTN型液晶セルと偏光板との間に設けられる一枚または二枚の光学補償シート(位相差板)からなる。
液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。STN型液晶セルでは、棒状液晶性分子を配向させるための配向膜が、二枚の基板に設けられる。さらに、カイラル剤を用いて、棒状液晶性分子を180乃至360度にねじれ配向させる。
光学補償シートがないSTN型液晶表示装置では、棒状液晶分子の複屈折性のため、表示画像がブルーまたはイエローに着色する。表示画像の着色は、モノクロ表示でもカラー表示でも不都合である。光学補償シートは、このような着色を解消して、明るい鮮明な画像を得るために用いられる。光学補償シートにはまた、液晶セルの視野角を拡大する機能を付与する場合もある。光学補償シートとしては、延伸複屈折フイルムが従来から使用されている。延伸複屈折フイルムを用いたSTN型液晶表示装置用の光学補償シートについては、特開平7−104284号、同7−13021号の各公報に記載がある。
【0003】
延伸複屈折フイルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。ディスコティック液晶性分子は、一般に大きな複屈折率を有する。そして、ディスコティック液晶性分子には、多様な配向形態がある。ディスコティック液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することが可能になる。ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートについては、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。ただし、これらの光学補償シートは、主な用途としてTN型液晶表示装置を想定して設計されている。
【0004】
ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートを、STN型液晶表示装置に利用することが考えられる。STN型液晶表示装置では、90゜よりも大きく超ねじれ配向させた棒状液晶性分子を複屈折モードで用いる。STN型液晶表示装置には、能動素子(薄膜トランジスターやダイオード)がない単純マトリックス電極構造でも、時分割駆動によって大容量の鮮明な表示が可能であるとの特徴がある。
ディスコティック液晶性分子を用いてSTN型液晶セルを光学補償するためには、ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直に配向(ホモジニアス配向)させる必要がある。ディスコティック液晶性分子は、さらに、ねじれ配向させることが好ましい。特開平9−26572号公報には、ディスコティック液晶性分子をねじれ配向させた光学補償シートが開示されている。さらに同公報の図面には、ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直に配向させた状態が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平9−26572号公報に開示されている技術では、ディスコティック液晶性分子を、配向膜界面から空気界面まで均一に配向(モノドメイン配向)させることは難しい。ディスコティック液晶性分子が均一に配向していないと、ディスクリネーションによる光散乱が生じ、表示画像のコントラスト比が低下する。
液晶セルに使用する棒状液晶性分子を実質的に垂直に配向(ホメオトロピック配向)させる技術の方の研究が進められている。例えば、棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる垂直配向(Vertical Alignment)液晶モードの液晶セルでは、棒状液晶性分子を実質的に垂直に配向させる配向膜が必要である。棒状液晶性分子については、様々な配向膜が提案されている。
しかし、棒状液晶性分子の配向膜を使用するだけでは、ディスコティック液晶性分子を配向膜界面から空気界面まで均一に配向させることは難しかった。
【0006】
本発明の目的は、液晶性分子(特にディスコティック液晶性分子)を実質的に垂直に配向させる機能を有する液晶配向膜を提供することである。
また、本発明の目的は、液晶性分子を垂直かつ均一な方向に安定に配向させる方法を提供することでもある。
さらに、本発明の目的は、特にSTN型液晶表示装置に適した光学補償シートを提供することでもある。
さらにまたまた、本発明の目的は、本発明の目的は、表示画像の着色が解消され、高コントラストの鮮明な画像が得られるSTN型液晶表示装置を提供することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(6)の液晶配向膜、下記(7)の液晶性分子を配向させる方法、下記(8)〜(10)光学補償シートおよび下記(11)のSTN型液晶表示装置により達成された。
(1)液晶を配向させるため支持体上に設けられている液晶配向膜であって、液晶配向膜が変性ポリビニルアルコールを含み、そして、変性ポリビニルアルコールが側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレン(−C≡C−)により結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含むことを特徴とする液晶配向膜。
(2)変性ポリビニルアルコールが、側鎖にベンゼン環を二個または三個有し、少なくとも二個のベンゼン環がエチニレン(−C≡C−)により結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含む(1)に記載の液晶配向膜。
(3)主鎖と最も主鎖側の芳香族環との間が、−O−、−O−CO−、−O−CO−NH−、−O−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−O−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−からなる群より選ばれる左側が主鎖に結合し右側が最も主鎖側の芳香族環に結合する連結基により連結されている(1)に記載の液晶配向膜。
(4)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレン(−C≡C−)により結合している繰り返し単位が、下記式(I)で表される(1)に記載の液晶配向膜。
【0008】
【化2】
Figure 0004125838
【0009】
式中、L1 は、単結合、−CO−、−CO−NH−、−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−からなる群より選ばれる連結基であり;L2 、L3 およびL4 は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−SO2 −NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−NH−SO2 −、−アルキレン基−、−アルケニレン基−、−アルキニレン基−、−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−からなる群より選ばれる連結基であって、L2 、L3 およびL4 の少なくとも一つはエチニレン(−C≡C−)であり;Ar1 、Ar2 、Ar3 およびAr4 は、それぞれ独立に、芳香族環であり;そして、mおよびnは、0または1である。
(5)変性ポリビニルアルコールが、ポリビニルアルコールの水酸基よりも強い親水性を示す基を有する(1)に記載の液晶配向膜。
(6)変性ポリビニルアルコールが、架橋している(1)に記載の液晶配向膜。
【0010】
(7)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含む変性ポリビニルアルコールを含む液晶配向膜を用いて、50乃至90度の範囲の平均傾斜角で液晶性分子を配向させる方法。
(8)透明支持体、変性ポリビニルアルコールを含む配向膜およびディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シートであって、変性ポリビニルアルコールが側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレン(−C≡C−)により結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含み、ディスコティック液晶性分子が50乃至90度の範囲の平均傾斜角で配向していることを特徴とする光学補償シート。
(9)変性ポリビニルアルコールとディスコティック液晶性分子とが、配向膜と光学的異方性層との界面を介して化学的に結合している(8)に記載の光学補償シート。
(10)ディスコティック液晶性分子がねじれ配向しており、ねじれ角が90乃至360度の範囲である(8)に記載の光学補償シート。
【0011】
(11)STN型液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板およびSTN型液晶セルと一方または両方の偏光板との間に配置された一枚または二枚の光学補償シートからなるSTN型液晶表示装置であって、光学補償シートが透明支持体、変性ポリビニルアルコールを含む配向膜およびディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を偏光板側からこの順に有し、変性ポリビニルアルコールが側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレン(−C≡C−)により結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含み、ディスコティック液晶性分子が50乃至90度の範囲の平均傾斜角で配向し、さらにねじれ配向しており、ねじれ角が90乃至360度の範囲であることを特徴とするSTN型液晶表示装置。
本明細書において、ディスコティック液晶性分子の平均傾斜角は、ディスコティック液晶性分子の円盤面と支持体の面(あるいは配向膜の面)との平均角度を意味する。そして、ディスコティック液晶性分子が50乃至90度の範囲の平均傾斜角で配向している状態を、ディスコティック液晶性分子が実質的に垂直に配向していると称する。
【0012】
【発明の効果】
本発明者は研究の結果、二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレン(−C≡C−)により結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含む変性ポリビニルアルコールを液晶配向膜に用いて、液晶性分子を実質的に垂直に配向させることに成功した。
上記の変性ポリビニルアルコールを含む液晶配向膜は、従来の配向膜よりも垂直配向膜としての機能が優れており、液晶性分子を実質的に垂直かつ均一な方向に安定に配向させることができる。
従来の垂直配向膜は、垂直配向膜を有する2枚の基板の間に液晶性分子を注入することで、液晶性分子を垂直に配向させていた。しかし、垂直配向膜を有する基板が1枚の場合は、基板と反対側の界面(空気界面)近傍の液晶性分子の傾斜角が小さくなり、液晶性分子の垂直配向が不充分であった。本発明の液晶配向膜を用いると、基板が1枚でも液晶性分子の垂直配向が達成できる。また、2枚の基板を用いる場合には、従来よりも良好な垂直配向を達成できる。
ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直かつ均一な方向に安定に配向させる手段が得られたことで、STN型液晶表示装置に適した光学補償シートを製造することが可能になった。ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直に配向させた(好ましくは、さらにねじれ配向させた)光学補償シートを用いることで、STN型液晶表示装置の表示画像の着色が解消され、高コントラストの鮮明な画像を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、STN型液晶表示装置の電圧無印加(off)の画素部分における液晶セル内の棒状液晶性分子の配向状態と光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の配向状態とを模式的に示す断面図である。
図1に示すように、液晶セルは、上基板(11)の下側の配向膜(12)と下基板(15)の上側の配向膜(14)との間に、棒状液晶性分子(13a〜e)を封入して形成した液晶層を有する。配向膜(12、14)と液晶層に添加したカイラル剤との機能により、棒状液晶性分子(13a〜e)は、図1に示すように、ねじれ配向している。
なお、図1では省略したが、液晶セルの上基板(11)と下基板(15)は、それぞれ、電極層を有する。電極層は、棒状液晶性分子(13a〜e)に電圧を印加する機能を有する。
STN型液晶セルの印加電圧が0であると(電圧無印加時)、図1に示すように、棒状液晶性分子(13a〜e)は、配向膜(12、14)の面とほぼ平行(水平方向に)に配向している。そして、棒状液晶性分子(13a〜e)は、厚み方向に沿ってねじれながら、水平面内で螺旋を巻く(図1では、13aから13eまで反時計回りにほぼ240゜)ような方向に配向している。
なお、STN型液晶セルの電圧印加(on)時には、液晶セル内の中央部分の棒状液晶性分子(13b〜13d)は、電圧無印加(off)時と比較して、より垂直に配向(電場方向と平行に再配列)する。配向膜(12、14)近傍の棒状液晶性分子(13a、13e)の配向状態は、電圧を印加しても実質的に変化しない。
【0014】
液晶セルの下側に、光学補償シートが配置されている。図1に示す光学補償シートは、透明支持体(23)上に、配向膜(22)および光学的異方性層をこの順で有する。光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分子(21a〜e)を配向させ、その配向状態で分子を固定して得られた層である。
本発明では、図1に示すように、ディスコティック液晶性分子(21a〜e)の円盤面を、垂直配向膜(22)の面に対して実質的に垂直に配向させる。そして、図1に示すように、ディスコティック液晶性分子(21a〜e)は、厚み方向に沿ってねじれながら、水平面内で螺旋を巻く(図1では、21aから21eまで時計回りにほぼ240゜)ような方向に配向させることが好ましい。
図1では、棒状液晶性分子とディスコティック液晶性分子とが、13aと21e、13bと21d、13cと21c、13dと21b、そして13eと21aのそれぞれが対応する関係になっている。すなわち、棒状液晶性分子13aをディスコティック液晶性分子21eが光学的に補償し、以下同様に、棒状液晶性分子13eをに対して、ディスコティック液晶性分子21aが光学的に補償する。それぞれの対応関係については、図2で説明する。
【0015】
図2は、液晶セルの棒状液晶性分子と、それを光学補償する関係にある光学補償シートのディスコティック液晶性分子について、それぞれの屈折率楕円体を示す模式図である。
液晶セルの棒状液晶性分子の屈折率楕円体(13)は、配向膜に平行な面内の屈折率(13x、13y)と液晶セルの厚み方向の屈折率(13z)により形成される。STN型液晶セルでは、配向膜に平行な面内の一方向の屈折率(13x)が大きな値となり、それに垂直な方向の面内の屈折率(13y)と液晶セルの厚み方向の屈折率(13z)は、小さな値となる。そのため、屈折率楕円体(13)は、図2に示すようなラグビーボールを横に寝かせた形状になる。このように球状ではない屈折率楕円体を有する液晶セルでは、複屈折性に角度依存性が生じる。この角度依存性を、光学補償シートを用いて解消する。
【0016】
この棒状液晶性分子を光学補償する関係にある光学補償シートのディスコティック液晶性分子の屈折率楕円体(21)も、配向膜に平行な面内の屈折率(21x、21y)と光学的異方性層の厚み方向の屈折率(21z)により形成される。本発明では、ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直に配向させることで、配向膜に平行な面内の一方向の屈折率(21x)が小さな値となり、それに垂直な方向の面内の屈折率(21y)と光学的異方性層の厚み方向の屈折率(21z)は、大きな値となる。そのため、屈折率楕円体(21)は、図2に示すような円盤を立てた形状になる。
以上の関係から、液晶セル(1)に生じたレターデーションを、光学補償シート(2)により相殺することができる。すなわち、棒状液晶性分子の屈折率(13x、13y、13z)、ディスコティック液晶性分子の屈折率(21x、21y、21z)、ディレクターの方向が同じである棒状液晶性分子層の厚み(13t)およびディスコティック液晶性分子層の厚み(21t)を、以下の式を満足するように液晶表示装置を設計すれば、液晶セルの角度依存性を解消できる。
│(13x−13y)×13t│=│(21x−21y)×21t│
│(13x−13z)×13t│=│(21x−21z)×21t│
【0017】
図3は、STN型液晶表示装置の層構成を示す模式図である。
図3の(a)に示す液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、下偏光板(3a)、下光学補償シート(2a)、STN型液晶セル(1)、そして上偏光板(3b)の順に配置されている。
図3の(b)に示す液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、下偏光板(3a)、下光学補償シート(2a)、上光学補償シート(2b)、STN型液晶セル(1)、そして上偏光板(3b)の順に配置されている。
図3の(c)に示す液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、下偏光板(3a)、STN型液晶セル(1)、上光学補償シート(2b)、そして上偏光板(3b)の順に配置されている。
図3の(d)に示す液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、下偏光板(3a)、STN型液晶セル(1)、下光学補償シート(2a)、上光学補償シート(2b)、そして上偏光板(3b)の順に配置されている。
図3の(e)に示す液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、下偏光板(3a)、下光学補償シート(2a)、STN型液晶セル(1)、上光学補償シート(2b)、そして上偏光板(3b)の順に配置されている。
【0018】
図3には、矢印として、下偏光板(3a)の透過軸(TAa)、下光学補償シート(2a)の配向膜近傍のディスコティック液晶性分子の円盤面の法線(ディレクター)方向(DDa)、下光学補償シート(2a)の液晶セル近傍のディスコティック液晶性分子の円盤面の法線(ディレクター)方向(DDb)、液晶セル(1)の下配向膜のラビング方向(RDa)、液晶セル(1)の上配向膜のラビング方向(RDb)、上光学補償シート(2a)の液晶セル近傍のディスコティック液晶性分子の円盤面の法線(ディレクター)方向(DDc)、上光学補償シート(2a)の配向膜近傍のディスコティック液晶性分子の円盤面の法線(ディレクター)方向(DDd)、および上偏光板(3b)の透過軸(TAb)を示した。それぞれの正確な角度については、図4および図5において説明する。
【0019】
図4は、STN型液晶表示装置の各要素について、好ましい光学的方向を示す平面図である。図4は、正面コントラストを重視した配置である。
図4の(a)は、図3の(a)に示すように、下偏光板とSTN型液晶セルとの間に光学補償シートを一枚有する場合である。
図4の(b)は、図3の(b)に示すように、下偏光板とSTN型液晶セルとの間に光学補償シートを二枚有する場合である。
図4の(c)は、図3の(c)に示すように、STN型液晶セルと上偏光板との間に光学補償シートを一枚有する場合である。
図4の(d)は、図3の(d)に示すように、STN型液晶セルと上偏光板との間に光学補償シートを二枚有する場合である。
図4の(e)は、図3の(e)に示すように、下偏光板とSTN型液晶セルとの間に光学補償シートを一枚およびSTN型液晶セルと上偏光板との間に光学補償シートを一枚の合計二枚有する場合である。
Xは基準(0゜)となる方向であり、それぞれの矢印の意味は、図3で説明した通りである。なお、下偏光板の透過軸(TAa)と上偏光板の透過軸(TAb)とを入れ替えた配置にしてもよい。
【0020】
図5は、STN型液晶表示装置の各要素について、別の好ましい光学的方向を示す平面図である。図5は、色味を重視した配置である。
図5の(a)は、図3の(a)に示すように、下偏光板とSTN型液晶セルとの間に光学補償シートを一枚有する場合である。
図5の(b)は、図3の(b)に示すように、下偏光板とSTN型液晶セルとの間に光学補償シートを二枚有する場合である。
図5の(c)は、図3の(c)に示すように、STN型液晶セルと上偏光板との間に光学補償シートを一枚有する場合である。
図5の(d)は、図3の(d)に示すように、STN型液晶セルと上偏光板との間に光学補償シートを二枚有する場合である。
図5の(e)は、図3の(e)に示すように、下偏光板とSTN型液晶セルとの間に光学補償シートを一枚およびSTN型液晶セルと上偏光板との間に光学補償シートを一枚の合計二枚有する場合である。
Xは基準(0゜)となる方向であり、それぞれの矢印の意味は、図3で説明した通りである。なお、下偏光板の透過軸(TAa)と上偏光板の透過軸(TAb)とを入れ替えた配置にしてもよい。
【0021】
[支持体]
支持体の種類は、配向させた液晶性分子の用途に応じて決定する。
液晶性分子を液晶セルに用いる場合、透明電極層(例、ITO)が設けられたガラス基板が支持体として普通に用いられる。透明電極層の上に上記の液晶配向膜を形成した支持体を二枚準備し、液晶配向膜が対面するように配置し、その間隙に(後述する)棒状液晶性分子を封入して、液晶セルを形成する。間隙は、スペーサーにより形成する。
液晶性分子を光学補償シートに用いる場合、ポリマーフイルムからなる透明支持体が普通に用いられる。透明支持体としては、光学的異方性が小さいポリマーフイルムを用いることが好ましい。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。光学的異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが最も好ましい。面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
式中、nxおよびnyは、透明支持体の面内屈折率であり、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率であり、そしてdは透明支持体の厚さである。
【0022】
ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは光学的異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0023】
[配向膜]
本発明は、(1)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレン(−C≡C−)により結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含む変性ポリビニルアルコールを配向膜に用いる。
(1)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位
芳香族環の例には、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、トリフェニレン環およびピレン環が含まれる。ベンゼン環が特に好ましい。
【0024】
芳香族環は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、カルボキシル、シアノ、ニトロ、カルバモイル、スルファモイル、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキル置換カルバモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アミド基、スルホンアミド基およびアルキルスルホニル基が含まれる。
上記アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。
上記シクロアルキル基は、シクロヘキシルであることが好ましい。
上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。
上記アルキルチオ基は、分岐を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。
上記アシル基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。
上記アシルオキシ基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。
【0025】
上記アルキル置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。アルキル置換カルバモイル基のアルキル部分は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。
上記アルキル置換スルファモイル基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。アルキル置換スルファモイル基のアルキル部分は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。
上記アミド基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。
上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。アルキルスルホニル基のアルキル部分は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。
【0026】
側鎖に含まれる芳香族環の数は、2、3または4であり、2または3であることが好ましく、2であることが最も好ましい。
主鎖と最も主鎖側の芳香族環との間は、直結せずに、連結基を介して連結することが好ましい。連結基の例には、−O−、−O−CO−、−O−CO−NH−、−O−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−O−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−が含まれる(左側が主鎖に結合し、右側が最も主鎖側の芳香族環に結合する)。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
少なくとも二つの芳香族環は、エチニレン(−C≡C−)により結合する。少なくとも二つのベンゼン環が、エチニレン(−C≡C−)により結合していることが特に好ましい。
【0027】
側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位は、下記式(I)で表されることが好ましい。
【0028】
【化3】
Figure 0004125838
【0029】
式(I)において、L1 は、単結合、−CO−、−CO−NH−、−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−からなる群より選ばれる連結基である。−CO−、−CO−NH−および−アルキレン基−が好ましく、−CO−NH−が特に好ましい。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
【0030】
式(I)において、L2 、L3 およびL4 は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−SO2 −NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−NH−SO2 −、−アルキレン基−、−アルケニレン基−、−アルキニレン基−、−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−からなる群より選ばれる連結基である。ただし、L2 、L3 およびL4 の少なくとも一つは、エチニレン(−C≡C−)である。
上記アルキレン基は、L1 で説明したアルキレン基と同様である。
上記アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
上記アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至15であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至4であることがさらに好ましく、2(エチニレン)であることが最も好ましい。
【0031】
式(I)において、Ar1 、Ar2 、Ar3 およびAr4 は、それぞれ独立に、芳香族環である。ベンゼン環であることが好ましい。Ar1 、Ar2 およびAr3 は、p−フェニレンであることが特に好ましい。芳香族環は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、前述した通りである。
式(I)において、mおよびnは、0または1である。mは0または1でnは0(芳香族環の数が2または3)であることが好ましく、mおよびnは、それぞれ0(芳香族環の数が2)であることが最も好ましい。
以下に、側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位の例を示す。
【0032】
【化4】
Figure 0004125838
【0033】
【化5】
Figure 0004125838
【0034】
【化6】
Figure 0004125838
【0035】
【化7】
Figure 0004125838
【0036】
【化8】
Figure 0004125838
【0037】
【化9】
Figure 0004125838
【0038】
【化10】
Figure 0004125838
【0039】
【化11】
Figure 0004125838
【0040】
【化12】
Figure 0004125838
【0041】
【化13】
Figure 0004125838
【0042】
【化14】
Figure 0004125838
【0043】
【化15】
Figure 0004125838
【0044】
【化16】
Figure 0004125838
【0045】
【化17】
Figure 0004125838
【0046】
【化18】
Figure 0004125838
【0047】
【化19】
Figure 0004125838
【0048】
【化20】
Figure 0004125838
【0049】
【化21】
Figure 0004125838
【0050】
【化22】
Figure 0004125838
【0051】
【化23】
Figure 0004125838
【0052】
【化24】
Figure 0004125838
【0053】
【化25】
Figure 0004125838
【0054】
【化26】
Figure 0004125838
【0055】
【化27】
Figure 0004125838
【0056】
【化28】
Figure 0004125838
【0057】
【化29】
Figure 0004125838
【0058】
【化30】
Figure 0004125838
【0059】
【化31】
Figure 0004125838
【0060】
【化32】
Figure 0004125838
【0061】
【化33】
Figure 0004125838
【0062】
【化34】
Figure 0004125838
【0063】
【化35】
Figure 0004125838
【0064】
【化36】
Figure 0004125838
【0065】
【化37】
Figure 0004125838
【0066】
【化38】
Figure 0004125838
【0067】
【化39】
Figure 0004125838
【0068】
【化40】
Figure 0004125838
【0069】
【化41】
Figure 0004125838
【0070】
【化42】
Figure 0004125838
【0071】
【化43】
Figure 0004125838
【0072】
【化44】
Figure 0004125838
【0073】
【化45】
Figure 0004125838
【0074】
【化46】
Figure 0004125838
【0075】
【化47】
Figure 0004125838
【0076】
【化48】
Figure 0004125838
【0077】
【化49】
Figure 0004125838
【0078】
【化50】
Figure 0004125838
【0079】
【化51】
Figure 0004125838
【0080】
【化52】
Figure 0004125838
【0081】
変性ポリビニルアルコールは、側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%の範囲で含むことが好ましく、3乃至50モル%の範囲で含むことがさらに好ましい。
好ましい変性ポリビニルアルコールを、下記式(PV)で表す。
(PV)
−(VAl)x−(I)a−(VAc)y−
式中、VAlは、ビニルアルコールから誘導される繰り返し単位であり;Iは、側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位であり;VAcは、酢酸ビニルから誘導される繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ましくは30乃至95モル%)であり;aは、2乃至80モル%(好ましくは3乃至50モル%)であり;そして、yは0乃至30モル%(好ましくは1乃至20モル%)である。
【0082】
変性ポリビニルアルコールの末端に、繰り返し単位とは異なる基が結合していてもよい。末端基の例には、アルキルチオ基が含まれる。
以下に、芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している変性ポリビニルアルコールの例を示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0083】
PV1:−(VAl)80−(I−1)8 −(VAc)12
PV2:−(VAl)53−(I−1)35−(VAc)12
PV3:−(VAl)70−(I−1)10−(VAc)20
PV4:−(VAl)74−(I−2)20−(VAc)6
PV5:−(VAl)65−(I−2)27−(VAc)12
PV6:−(VAl)70−(I−2)10−(VAc)20
PV7:−(VAl)78−(I−3)10−(VAc)12−S−n−C1225
PV8:−(VAl)85−(I−3)13−(VAc)2 −S−n−C1225
PV9:−(VAl)67−(I−3)21−(VAc)12−S−n−C1225
【0084】
PV10:−(VAl)50−(I−4)38−(VAc)12
PV11:−(VAl)53−(I−4)45−(VAc)2
PV12:−(VAl)31−(I−4)61−(VAc)8
PV13:−(VAl)80−(I−5)8 −(VAc)12
PV14:−(VAl)76−(I−5)12−(VAc)12
PV15:−(VAl)81−(I−5)15−(VAc)4
PV16:−(VAl)55−(I−6)44−(VAc)1
PV17:−(VAl)42−(I−6)56−(VAc)2
PV18:−(VAl)27−(I−6)61−(VAc)12
【0085】
PV19:−(VAl)68−(I−7)20−(VAc)12
PV20:−(VAl)65−(I−7)15−(VAc)20
PV21:−(VAl)64−(I−7)28−(VAc)8
PV22:−(VAl)78−(I−8)21−(VAc)1 −S−n−C1225
PV23:−(VAl)66−(I−8)30−(VAc)4 −S−n−C1225
PV24:−(VAl)53−(I−8)35−(VAc)12−S−n−C1225
PV25:−(VAl)63−(I−9)25−(VAc)12
PV26:−(VAl)80−(I−9)18−(VAc)2
PV27:−(VAl)46−(I−9)34−(VAc)20
【0086】
PV28:−(VAl)88−(I−10)10−(VAc)2
PV29:−(VAl)67−(I−10)21−(VAc)12
PV30:−(VAl)62−(I−10)30−(VAc)8
PV31:−(VAl)81−(I−11)18−(VAc)1
PV32:−(VAl)73−(I−11)25−(VAc)2
PV33:−(VAl)58−(I−11)30−(VAc)12
PV34:−(VAl)74−(I−12)25−(VAc)1
PV35:−(VAl)68−(I−12)30−(VAc)2
PV36:−(VAl)52−(I−12)40−(VAc)8
【0087】
PV37:−(VAl)63−(I−17)35−(VAc)2
PV38:−(VAl)55−(I−17)41−(VAc)4
PV39:−(VAl)63−(I−17)25−(VAc)12
PV40:−(VAl)63−(I−19)25−(VAc)12
PV41:−(VAl)40−(I−19)40−(VAc)20
PV42:−(VAl)48−(I−19)48−(VAc)4
PV43:−(VAl)74−(I−26)25−(VAc)1
PV44:−(VAl)58−(I−26)30−(VAc)12
PV45:−(VAl)48−(I−26)40−(VAc)12
【0088】
PV46:−(VAl)76−(I−32)12−(VAc)12
PV47:−(VAl)70−(I−32)18−(VAc)12
PV48:−(VAl)64−(I−32)24−(VAc)12
PV49:−(VAl)73−(I−36)22−(VAc)5
PV50:−(VAl)58−(I−36)30−(VAc)12
PV51:−(VAl)60−(I−36)35−(VAc)5
PV52:−(VAl)78−(I−48)10−(VAc)12
PV53:−(VAl)70−(I−48)18−(VAc)12
PV54:−(VAl)57−(I−48)31−(VAc)12
【0089】
重合性基を変性ポリビニルアルコールに導入してもよい。重合性基を有する変性ポリビニルアルコールと重合性基を有する液晶性分子とを併用すると、変性ポリビニルアルコールと液晶性分子とを、液晶層と液晶配向膜との界面を介して化学的に結合させることができる。これにより、液晶配向膜を用いた液晶素子の耐久性を改善することができる。
重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位として変性ポリビニルアルコールに導入するか、あるいは、前記(1)の側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位に重合性基を導入する。(2)側鎖に重合性基を有する繰り返し単位、そして(3)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と重合性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位の順に説明する。
【0090】
(2)側鎖に重合性基を有する繰り返し単位
重合性基は、後述する液晶性分子の重合性基(Q)と重合反応させて、液晶性分子と変性ポリビニルアルコールとを、液晶層と液晶配向膜との界面を介して化学的に結合させる。従って、重合性基の種類は、後述する液晶性分子の重合性基(Q)の種類に応じて決定する。液晶性分子の重合性基(Q)は、後述するように、不飽和重合性基(後述する例示のQ1〜Q7)、エポキシ基(Q7)またはアジリジニル基(Q8)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。変性ポリビニルアルコールの重合性基も同様に、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが最も好ましい。
【0091】
主鎖と重合性基は、直結せずに、連結基を介して連結することが好ましい。連結基の例には、−O−、−O−CO−、−O−CO−NH−、−O−CO−NH−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−O−CO−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−、−O−CO−アルキレン基−O−CO−、−O−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−CO−、−O−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−、−O−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−および−O−アルキレン基−O−CO−が含まれる(左側が主鎖に結合し、右側が重合性基に結合する)。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
上記アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレンであることが好ましく、フェニレンであることがさらに好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。アリーレン基の置換基の例は、(1)の芳香族環の置換基の例と同様である。
側鎖は、二以上の重合性基を有していてもよい。
側鎖に重合性基を有する繰り返し単位は、下記式(II)で表されることが好ましい。
【0092】
【化53】
Figure 0004125838
【0093】
式(II)において、L11は、単結合、−CO−、−CO−NH−、−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−CO−NH−アルキレン基−O−CO−、−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−、−CO−アルキレン基−O−CO−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−CO−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−CO−からなる群より選ばれる連結基である。−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−O−CO−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−CO−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−CO−が好ましく、−CO−NH−アルキレン基−O−CO−が特に好ましい。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
上記アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレンであることが好ましく、フェニレンであることがさらに好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。アリーレン基の置換基の例は、(1)の芳香族環の置換基の例と同様である。
式(II)において、Qは、重合性基である。重合性基は、前述したように、液晶性分子の重合性基(Q)と同様の基であることが好ましい。
以下に、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位の例を示す。
【0094】
【化54】
Figure 0004125838
【0095】
【化55】
Figure 0004125838
【0096】
【化56】
Figure 0004125838
【0097】
【化57】
Figure 0004125838
【0098】
【化58】
Figure 0004125838
【0099】
【化59】
Figure 0004125838
【0100】
【化60】
Figure 0004125838
【0101】
【化61】
Figure 0004125838
【0102】
【化62】
Figure 0004125838
【0103】
【化63】
Figure 0004125838
【0104】
【化64】
Figure 0004125838
【0105】
(3)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と重合性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位
前記(1)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個を有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位に、上記(2)で説明した重合性基を導入する。重合性基は、芳香族環の置換基であることが好ましく、最も末端側の芳香族環の置換基であることがさらに好ましい。
芳香族環と重合性基は、直結せずに、連結基を介して連結することが好ましい。連結基の例には、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−SO2 −NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−NH−SO2 −、−アルキレン基−、−アルケニレン基−、−アルキニレン基−、−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−が含まれる(左側が芳香族環に結合し、右側が重合性基に結合する)。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
芳香族環は、二以上の重合性基を置換基として有していてもよい。
側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と重合性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位は、下記式(III)で表されることが好ましい。
【0106】
【化65】
Figure 0004125838
【0107】
式(III)において、L21は、単結合、−CO−、−CO−NH−、−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−からなる群より選ばれる連結基である。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
式(III)において、L22、L23、L24およびL25は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−SO2 −NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−NH−SO2 −、−アルキレン基−、−アルケニレン基−、−アルキニレン基−、−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−からなる群より選ばれる連結基である。ただし、L22、L23およびL24の少なくとも一つはエチニレンである。
上記アルキレン基は、L21で説明したアルキレン基と同様である。
上記アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
上記アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至15であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至4であることがさらに好ましく、2(エチニレン)であることが最も好ましい。
【0108】
式(III)において、Ar21、Ar22、Ar23およびAr24は、それぞれ独立に、芳香族環である。ベンゼン環であることが好ましい。Ar21、Ar22およびAr23は、p−フェニレンであることが特に好ましい。芳香族環は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、(1)の芳香族環の置換基の例と同様である。
式(III)において、mおよびnは、0または1である。mは0または1でnは0(芳香族環の数が2または3)であることが好ましく、mおよびnは、それぞれ0(芳香族環の数が2)であることが最も好ましい。
式(III)において、pは、1、2または3である。pは、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0109】
(2)側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を変性ポリビニルアルコールに導入する場合、変性ポリビニルアルコールは側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を0.1乃至10モル%含むことが好ましく、3乃至50モル%の範囲で含むことがさらに好ましい。
(3)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と重合性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を用いる場合、変性ポリビニルアルコールは側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と重合性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含むことが好ましく、3乃至50モル%の範囲で含むことがさらに好ましい。
【0110】
(1)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位と(2)側鎖に重合性基を有する繰り返し単位とを含む変性ポリビニルアルコールを下記式(PVII)で表す。
(PVII)
−(VAl)x−(I)a−(II)b−(VAc)y−
式中、VAlは、ビニルアルコールから誘導される繰り返し単位であり;Iは、側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位であり;IIは、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位であり;VAcは、酢酸ビニルから誘導される繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ましくは30乃至95モル%)であり;aは、2乃至80モル%(好ましくは3乃至50モル%)であり;bは、0.1乃至10モル%(好ましくは0.2乃至5モル%)であり;そして、yは0乃至30モル%(好ましくは1乃至20モル%)である。
【0111】
(3)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と重合性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を含む変性ポリビニルアルコールを下記式(PVIII)で表す。
(PVIII)
−(VAl)x−(III)c−(VAc)y−
式中、VAlは、ビニルアルコールから誘導される繰り返し単位であり;III は、側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と重合性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ましくは30乃至95モル%)であり;cは、2乃至80モル%(好ましくは3乃至50モル%)でありそして、yは0乃至30モル%(好ましくは1乃至20モル%)である。
【0112】
以上の繰り返し単位を組み合わせた変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。すなわち、(1)と(3)の繰り返し単位を有する変性ポリビニルアルコール、(2)と(3)の繰り返し単位を有する変性ポリビニルアルコール、あるいは(1)、(2)および(3)の繰り返し単位を有する変性ポリビニルアルコールを用いることもできる。
重合性基を有する変性ポリビニルアルコールの末端に、繰り返し単位とは異なる基が結合していてもよい。末端基の例には、アルキルチオ基が含まれる。
以下に、重合性基を有する変性ポリビニルアルコールの例を示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0113】
PV101:−(VAl)61−(I−1)25−(II−1)2 −(VAc)12
PV102:−(VAl)56−(I−1)30−(II−1)2 −(VAc)12
PV103:−(VAl)53−(I−1)30−(II−4)5 −(VAc)12
PV104:−(VAl)55−(I−1)30−(II−4)3 −(VAc)12
PV105:−(VAl)61−(I−26)25−(II−1)2 −(VAc)12
PV106:−(VAl)55−(I−26)30−(II−1)3 −(VAc)12
PV107:−(VAl)56−(I−26)30−(II−4)2 −(VAc)12
PV108:−(VAl)51−(I−26)35−(II−4)2 −(VAc)12
PV109:−(VAl)61−(I−48)25−(II−1)2 −(VAc)12
PV110:−(VAl)56−(I−48)30−(II−1)2 −(VAc)12
【0114】
親水性基を変性ポリビニルアルコールに導入してもよい。親水性基を変性ポリビニルアルコールに導入することで、水性溶媒を用いて配向膜を形成することができる。ポリビニルアルコールは多少変性しても、かなり強い親水性を示す水酸基を多数含むポリマーであるため、親水性が不充分になる(水不溶性になる)ことは全く予想外であった。
親水性基は、側鎖に親水性基を有する繰り返し単位として変性ポリビニルアルコールに導入するか、あるいは、前記(1)の側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位に親水性基を導入する。(4)側鎖に親水性基を有する繰り返し単位、そして(5)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と親水性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位の順に説明する。
【0115】
(4)側鎖に親水性基を有する繰り返し単位
親水性基は、ポリビニルアルコールの水酸基よりも強い親水性を示す必要がある。ポリビニルアルコールの水酸基よりも強い親水性を示す基を有する繰り返し単位とは、その繰り返し単位に代えてビニルアルコールから誘導される繰り返し単位を用いた変性ポリビニルアルコールよりも、その繰り返し単位を用いた変性ポリビニルアルコールの方が水に対する溶解度が高くなる繰り返し単位を意味する。
そのような親水性基として、アニオン性基、カチオン性基またはノニオン性基を用いることができる。アニオン性基の例には、カルボン酸基およびスルホン酸基が含まれる。アルコラートやフェノラートもアニオン性基として機能できる。カチオン性基の例には、アンモニウム基が含まれる。アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、ヒドラジノ基、ヒドラジド基、カルバモイル基やスルファモイル基もカチオン性基として機能できる。アニオン性基やカチオン性基は、塩の状態であることが好ましい。アニオン性基の対イオンとしては、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンが好ましい。カチオン性基の対イオンとしては、ハロゲンイオンが好ましい。ノニオン性基(水酸基よりも強い親水性を示すノニオン性基)の例には、ポリエチレングリコールからなる基が含まれる。
以下に親水性基の例を示す。
【0116】
【化66】
Figure 0004125838
【0117】
【化67】
Figure 0004125838
【0118】
【化68】
Figure 0004125838
【0119】
【化69】
Figure 0004125838
【0120】
【化70】
Figure 0004125838
【0121】
主鎖と親水性基は、直結せずに、連結基を介して連結することが好ましい。連結基の例には、−O−、−O−CO−、−O−CO−NH−、−O−CO−NH−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−O−CO−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−、−O−CO−NH−アリーレン基−、−O−CO−アルキレン基−、−O−CO−アルケニレン基−、−O−CO−アリーレン基−、−O−CO−アルキレン基−O−CO−、−O−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−CO−、−O−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−、−O−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−、−O−アルキレン基−および−O−アルキレン基−O−CO−が含まれる(左側が主鎖に結合し、右側が親水性基に結合する)。
【0122】
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
上記アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましく、2乃至20であることがより好ましく、2乃至15であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。
上記アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレンであることが好ましく、フェニレンであることがさらに好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。アリーレン基の置換基の例は、(1)の芳香族環の置換基の例と同様である。
側鎖は、二以上の親水性基を有していてもよい。二種類以上の親水性基を併用(すなわち両性基を使用)することもできる。
側鎖に親水性基を有する繰り返し単位は、下記式(IV)で表されることが好ましい。
【0123】
【化71】
Figure 0004125838
【0124】
式(IV)において、L31は、単結合、−CO−、−CO−NH−、−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−CO−NH−アルキレン基−O−CO−、−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−、−CO−NH−アリーレン基−、−CO−アルキレン基−、−CO−アルケニレン基−、−CO−アリーレン基−、−CO−アルキレン基−O−CO−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−CO−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−O−、−CO−アリーレン基−O−アルキレン基−、−アルキレン基−および−アルキレン基−O−CO−からなる群より選ばれる連結基である。
【0125】
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
上記アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましく、2乃至20であることがより好ましく、2乃至15であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。
上記アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレンであることが好ましく、フェニレンであることがさらに好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。アリーレン基の置換基の例は、(1)の芳香族環の置換基の例と同様である。
式(IV)において、Hyは、ポリビニルアルコールの水酸基よりも強い親水性を示す基である。親水性基の例(Hy)は、前述した通りである。
以下に、側鎖に親水性基を有する繰り返し単位の例を示す。
【0126】
【化72】
Figure 0004125838
【0127】
【化73】
Figure 0004125838
【0128】
【化74】
Figure 0004125838
【0129】
【化75】
Figure 0004125838
【0130】
【化76】
Figure 0004125838
【0131】
【化77】
Figure 0004125838
【0132】
【化78】
Figure 0004125838
【0133】
【化79】
Figure 0004125838
【0134】
【化80】
Figure 0004125838
【0135】
【化81】
Figure 0004125838
【0136】
【化82】
Figure 0004125838
【0137】
【化83】
Figure 0004125838
【0138】
【化84】
Figure 0004125838
【0139】
【化85】
Figure 0004125838
【0140】
【化86】
Figure 0004125838
【0141】
【化87】
Figure 0004125838
【0142】
【化88】
Figure 0004125838
【0143】
【化89】
Figure 0004125838
【0144】
【化90】
Figure 0004125838
【0145】
【化91】
Figure 0004125838
【0146】
【化92】
Figure 0004125838
【0147】
(5)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と親水性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位
前記(1)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位に、親水性基を導入する。親水性基は、(4)で説明したポリビニルアルコールの水酸基よりも強い親水性を示す基(Hy)であることが好ましい。親水性基は、芳香族環の置換基であることが好ましく、最も主鎖側の芳香族環の置換基であることがさらに好ましい。
芳香族環と親水性基は、連結基を介して連結してもよい。連結基の例には、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−SO2 −NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−NH−SO2 −、−アルキレン基−、−アルケニレン基−、−アルキニレン基−、−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−が含まれる(左側が芳香族環に結合し、右側が親水性基に結合する)。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
芳香族環は、二以上の親水性基を置換基として有していてもよい。
側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と親水性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位は、下記式(V)で表されることが好ましい。
【0148】
【化93】
Figure 0004125838
【0149】
式(V)において、L41は、単結合、−CO−、−CO−NH−、−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−からなる群より選ばれる連結基である。
上記アルキレン基は、分岐または環状構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。
式(V)において、L42、L43、L44およびL45は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−SO2 −NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−NH−SO2 −、−アルキレン基−、−アルケニレン基−、−アルキニレン基−、−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−からなる群より選ばれる連結基である。ただし、L42、L43およびL44の少なくとも一つは、エチニレンである。
上記アルキレン基は、L41で説明したアルキレン基と同様である。
上記アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至15であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
上記アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至15であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至4であることがさらに好ましく、2(エチニレン)であることが最も好ましい。
【0150】
式(V)において、Ar41、Ar42、Ar43およびAr44は、それぞれ独立に、芳香族環である。ベンゼン環であることが好ましい。Ar41、Ar42およびAr43は、p−フェニレン(Ar41については、L41とL42、L43またはL44との関係がパラ位)であることが特に好ましい。芳香族環は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、(1)の芳香族環の置換基の例と同様である。
式(V)において、Hyは、親水性基である。親水性基(Hy)の定義および例は、(2)の側鎖に親水性基を有する繰り返し単位と同様である。
式(V)において、mおよびnは、0または1である。mは0または1でnは0(芳香族環の数が2または3)であることが好ましく、mおよびnは、それぞれ0(芳香族環の数が2)であることが最も好ましい。
式(V)において、pは、1、2または3である。pは、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0151】
(4)側鎖に親水性基を有する繰り返し単位を変性ポリビニルアルコールに導入する場合、変性ポリビニルアルコールは側鎖に親水性基を有する繰り返し単位を3乃至90モル%含むことが好ましく、4乃至70モル%の範囲で含むことがさらに好ましい。
(5)側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と親水性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を用いる場合、変性ポリビニルアルコールは側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と親水性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含むことが好ましく、3乃至50モル%の範囲で含むことがさらに好ましい。
【0152】
(4)側鎖に親水性基を有する繰り返し単位を含む変性ポリビニルアルコールを下記式(PVIV)で表す。
(PVIV)
−(VAl)x−(I)a−(IV)d−(VAc)y−
式中、VAlは、ビニルアルコールから誘導される繰り返し単位であり;Iは、側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位であり;IIは、側鎖に親水性基を有する繰り返し単位であり;VAcは、酢酸ビニルから誘導される繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ましくは30乃至95モル%)であり;aは、2乃至80モル%(好ましくは3乃至50モル%)であり;dは、3乃至90モル%(好ましくは4乃至70モル%)であり;そして、yは0乃至30モル%(好ましくは1乃至20モル%)である。
【0153】
側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と親水性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を含む変性ポリビニルアルコールを下記式(PVV)で表す。
(PVV)
−(VAl)x−(V)e−(VAc)y−
式中、VAlは、ビニルアルコールから誘導される繰り返し単位であり;Vは、側鎖に芳香族環を二個、三個または四個と親水性基とを有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ましくは30乃至95モル%)であり;eは、2乃至80モル%(好ましくは3乃至50モル%)でありそして、yは0乃至30モル%(好ましくは1乃至20モル%)である。
【0154】
以上の繰り返し単位をを組み合わせた変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。すなわち、(1)と(5)の繰り返し単位を有する変性ポリビニルアルコール、(4)と(5)の繰り返し単位を有する変性ポリビニルアルコール、あるいは(1)、(4)および(5)の繰り返し単位を有する変性ポリビニルアルコールを用いることもできる。
親水性基を有する変性ポリビニルアルコールの末端に、繰り返し単位とは異なる基が結合していてもよい。末端基の例には、アルキルチオ基が含まれる。
以下に、親水性基を有する変性ポリビニルアルコールの例を示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0155】
PV201:−(VAl)23−(I−1)25−(IV−5)40−(VAc)12
PV202:−(VAl)23−(I−1)25−(IV−11)40−(VAc)12
PV203:−(VAl)23−(I−1)25−(IV−13)40−(VAc)12
PV204:−(VAl)18−(I−1)30−(IV−19)40−(VAc)12
PV205:−(VAl)23−(I−26)30−(IV−5)35−(VAc)12
PV206:−(VAl)18−(I−26)30−(IV−11)40−(VAc)12
PV207:−(VAl)18−(I−26)30−(IV−13)40−(VAc)12
PV208:−(VAl)18−(I−26)30−(IV−19)40−(VAc)12
PV209:−(VAl)33−(I−48)25−(IV−5)30−(VAc)12
PV210:−(VAl)33−(I−48)30−(IV−11)35−(VAc)12
【0156】
変性ポリビニルアルコールの重合度は、200乃至5000であることが好ましく、300乃至3000であることが好ましい。変性ポリビニルアルコールの分子量は、9000乃至200000であることが好ましく、13000乃至130000であることがさらに好ましい。
二種類以上の変性ポリビニルアルコールを併用してもよい。
【0157】
変性ポリビニルアルコールを架橋させて使用することもできる。架橋反応は、配向膜の塗布液の塗布と同時または塗布後に実施することが好ましい。
架橋剤を用いて、変性ポリビニルアルコールの水酸基と架橋剤との反応により、変性ポリビニルアルコールを架橋させることができる。架橋剤の例には、アルデヒド、N−メチロール化合物(例、ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン)、ジオキサン(例、2,3−ジヒドロキシジオキサン)、カルベニウム、2−ナフタレートスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−クロロピリジニウム、1−モルホリノカルボニル−3−(スルホナトアミノメチル)、活性ビニル化合物(例、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタン、N,N’−メチレンビス−[β−(ビニスルホニル)プロピオンアミド)、活性ハロゲン化合物(例、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン)およびイソオキサゾール類が含まれる。アルデヒド(例、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、マロンアルデヒド、フタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、スクシンアルデヒド、イソフタルアルデヒド、ジアルデヒド澱粉)が好ましく、二官能以上のアルデヒドがさらに好ましく、二官能のアルデヒドが最も好ましい。
アルデヒドは、変性ポリビニルアルコールの水酸基とアセタール化反応して、変性ポリビニルアルコールを架橋する。二官能アルデヒドを用いて得られる架橋している繰り返し単位を、下記式(VI)に示す。
【0158】
【化94】
Figure 0004125838
【0159】
式中、L51は、二官能アルデヒドの二つのアルデヒドを連結していた連結基である。
変性ポリビニルアルコールの水酸基とアルデヒドとのアセタール化反応は、酸性の条件下で進行する。反応条件を酸性にするために、無機酸(例、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸)あるいは有機酸(例、ジクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロル酢酸)を、配向膜の塗布液に添加することが好ましい。
架橋剤の使用量は、配向膜の塗布量の0.1乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至15重量%であることがさらに好ましい。なお、未反応のまま配向膜中に残存する架橋剤の量は、配向膜の塗布量の1.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
配向膜の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましい。
配向膜の形成において、ラビング処理を実施することが好ましい。ラビング処理は、上記の変性ポリビニルアルコールを含む膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
【0160】
[液晶層]
液晶層は、液晶性分子から形成する。上記の液晶配向膜は、50乃至90度の範囲の平均傾斜角で液晶性分子を実質的に垂直に配向させる機能を有する。
液晶性分子としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が好ましい。前述したように、液棒状液晶性分子の傾斜角は棒状液晶性分子の長軸方向と基板平面との角度を意味し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角は、ディスコティック液晶性分子の円盤面と基板平面との角度を意味する。
液晶素子を、液晶セルとして用いる場合、棒状液晶性分子を用いることが特に好ましい。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
棒状液晶性分子を実質的に垂直に配向させた液晶セルとしては、VA(Vertically Aligned)モードの液晶セルが代表的である。VAモードの液晶セルを用いた液晶表示装置については、日経マイクロデバイスNo.136、147頁(1996)、特開平2−176625号公報および特許番号第2866372号公報に記載がある。
【0161】
液晶素子を、光学補償シートとして用いる場合、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子を好ましく用いることができる。ディスコティック液晶性分子を用いることが特に好ましい。
光学補償シートの光学的異方性層では、上記の配向膜を用いて、ディスコティック液晶性分子の円盤面を、配向膜に対して、実質的に垂直(50乃至90度の範囲の平均傾斜角)に配向させる。ディスコティック液晶性分子は、垂直(ホモジニアス)配向状態のまま光学的異方性層内で固定することが好ましい。ディスコティック液晶性分子は、重合反応により固定することがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
【0162】
D(−L−Q)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Qは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
上記式の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
【0163】
【化95】
Figure 0004125838
【0164】
【化96】
Figure 0004125838
【0165】
【化97】
Figure 0004125838
【0166】
【化98】
Figure 0004125838
【0167】
【化99】
Figure 0004125838
【0168】
【化100】
Figure 0004125838
【0169】
【化101】
Figure 0004125838
【0170】
【化102】
Figure 0004125838
【0171】
【化103】
Figure 0004125838
【0172】
上記式において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
【0173】
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
【0174】
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−CO−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
【0175】
AL(アルキレン基またはアルケニレン基)に、不斉炭素原子を導入すると、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。不斉炭素原子を含むAL*の例を以下に挙げる。左側が円盤状コア(D)側であり、右側が重合性基(Q)側である。*印を付けた炭素原子(C)が不斉炭素原子である。光学活性は、SとRのいずれでもよい。
【0176】
AL*1:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2
AL*2:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2
AL*3:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
AL*4:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2 CH2
AL*5:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2
AL*6:−CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
AL*7:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
AL*8:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2
AL*9:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2
AL*10:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2
AL*11:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
AL*12:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2
AL*13:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2
AL*14:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2
AL*15:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
【0177】
AL*16:−CH2 −C*HCH3
AL*17:−C*HCH3 −CH2
AL*18:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 CH2
AL*19:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2 CH2
AL*20:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
AL*21:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2
AL*22:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 CH2
AL*23:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 CH2
AL*24:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2 CH2
AL*25:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
AL*26:−C*HCH3 −(CH2 8
AL*27:−CH2 −C*HCH3 −(CH2 8
AL*28:−CH2 −C*HCH2CH3
AL*29:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2
AL*30:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2 CH2
【0178】
AL*31:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
AL*32:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH2 CH2
AL*33:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH2 CH2 CH2 CH2
AL*34:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH2 CH2
AL*35:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH2 CH2 CH2 CH2
AL*36:−CH2 −C*HF−CH2 CH2
AL*37:−CH2 −C*HF−CH2 CH2 CH2 CH2
AL*38:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2
AL*39:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2 CH2 CH2
AL*40:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2
AL*41:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
AL*42:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2
AL*43:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2 CH2 CH2
AL*44:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2
AL*45:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2 CH2 CH2
【0179】
前記式の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の例を以下に示す。
【0180】
【化104】
Figure 0004125838
【0181】
【化105】
Figure 0004125838
【0182】
【化106】
Figure 0004125838
【0183】
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q7)またはアジリジニル基(Q8)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。
前記式において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
二種類以上のディスコティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子を併用することができる。また、重合性基(Q)を有する分子と有していない分子を併用してもよい。不斉炭素原子を有し重合性基を有していない分子と、重合性基を有し不斉炭素原子を有していない分子を併用することが特に好ましい。
【0184】
非重合性ディスコティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティック液晶性分子の重合性基(Q)を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−R)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Rは水素原子またはアルキル基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
上記式の円盤状コア(D)の例は、LQ(またはQL)をLR(またはRL)に変更する以外は、前記の重合性ディスコティック液晶分子の例と同様である。
また、二価の連結基(L)の例も、前記の重合性ディスコティック液晶分子の例と同様である。
Rのアルキル基は、炭素原子数が1乃至40であることが好ましく、1乃至30であることがさらに好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも直鎖状アルキル基の方が好ましい。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至30の直鎖状アルキル基であることが特に好ましい。
【0185】
ディスコティック液晶性分子の二価の連結基(L)に不斉炭素原子を導入する代わりに、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化合物(カイラル剤)を光学的異方性層に添加しても、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。不斉炭素原子を含む化合物としては、様々な天然または合成化合物が使用できる。不斉炭素原子を含む化合物中には、ディスコティック液晶性分子と同じまたは類似の重合性基を導入してもよい。重合性基を導入すると、ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直(ホモジニアス)配向させた後に、固定するのと同時に、同じまたは類似の重合反応により不斉炭素原子を含む化合物も光学的異方性層内で固定することができる。
【0186】
ディスコティック液晶性分子を空気界面側においても、実質的に垂直(ホモジニアス)かつ均一に配向させるため、セルロースエステルを光学的異方性層に添加することが好ましい。
セルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける「低級脂肪酸」とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2乃至5であることが好ましく、2乃至4であることがさらに好ましい。脂肪酸には置換基(例、ヒドロキシ)が結合していてもよい。二種類以上の脂肪酸がセルロースとエステルを形成していてもよい。セルロースの低級脂肪酸エステルの例には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースヒドロキシプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートが含まれる。セルロースアセテートブチレートが特に好ましい。セルロースアセテートブチレートのブチリル化度は、30%以上であることが好ましく、30乃至80%であることがさらに好ましい。セルロースアセテートブチレートのアセチル化度は、30%以下であることが好ましく、1乃至30%であることがさらに好ましい。
セルロースエステルは、0.005乃至0.5g/m2 の範囲の量で使用することが好ましく、0.01乃至0.45g/m2 の範囲であることがより好ましく、0.02乃至0.4/m2 の範囲であることがさらに好ましく、0.03乃至0.35/m2 の範囲であることが最も好ましい。また、ディスコティック液晶性分子の量の0.1乃至5重量%の量で使用することも好ましい。
【0187】
光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分子、さらに必要に応じて不斉炭素原子を含む化合物、セルロースエステル、あるいは下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、垂直配向膜の上に塗布することで形成する。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0188】
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法)により実施できる。
実質的に垂直(ホモジニアス)配向させたディスコティック液晶性分子は、配向状態を維持して固定する。固定化は、ディスコティック液晶性分子に導入した重合性基(Q)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0189】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至5重量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学的異方性層の厚さは、0.1乃至50μmであることが好ましく、1乃至30μmであることがさらに好ましく、5乃至20μmであることが最も好ましい。なお、液晶表示装置に光学補償シートを二枚用いる場合は、一枚使用する場合に必要とされる光学的異方性層の厚さの半分の厚さでよい。
光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の平均傾斜角度は、50乃至90度である。傾斜角度は、なるべく均一であることが好ましい。ただし、傾斜角度が光学的異方性層の厚み方向に沿って連続して変化しているならば、若干の変動があっても問題ない。
【0190】
ディスコティック液晶性分子のねじれの角度(ツイスト角)は、STN型液晶セルのツイスト角(一般に180乃至360゜、好ましくは180゜を越えて270゜まで)に応じて、類似(なるべく±10゜以内)の角度となるように調整することが好ましい。液晶表示装置に光学補償シートを一枚用いる場合は、ディスコティック液晶性分子のねじれ角は、180乃至360度の範囲であることが好ましい。液晶表示装置に光学補償シートを二枚枚用いる場合は、ディスコティック液晶性分子のねじれ角は、90乃至180度の範囲であることが好ましい。光学補償シートをSTN型液晶表示装置に用いる場合、光学的異方性層の複屈折率の波長依存性(Δn(λ))は、STN型液晶セルの液晶の複屈折率の波長依存性に近い値であることが好ましい。
【0191】
[液晶表示装置]
前述したように、本発明は、STN型液晶セルを用いる液晶表示装置において特に有効である。
STN型液晶表示装置は、STN型液晶セル、液晶セルの両側に配置された一対の光学補償シートまたは液晶セルの片側に配置された光学補償シートおよびそれらの両側に配置された一対の偏光板からなる。
液晶セルの棒状液晶性分子の配向方向とディスコティック液晶性分子の配向方向との関係は、光学補償シートに最も近い液晶セルの棒状液晶性分子のディレクタ(棒状分子の長軸方向)と、液晶セルに最も近い光学補償シートのディスコティック液晶性分子のディレクタ(円盤状コア平面の法線方向)とが、液晶セルの法線方向から見て、実質的に同じ向き(±10゜未満)になるように配置することが好ましい。
光学補償シートの透明支持体を、偏光膜の液晶セル側の保護膜としても機能させることができる。その場合は、透明支持体の遅相軸(屈折率が最大となる方向)と偏光膜の透過軸とが実質的に垂直または実質的に平行(±10゜未満)になるように配置することが好ましい。
【0192】
【実施例】
[実施例1]
(光学補償シートの作製)
厚さ100μmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。
透明支持体の上に、以下の組成の塗布液を、バーコーターを用いて塗布した。塗布層を、80℃の温風で10分間乾燥し、表面をラビング処理して、配向膜を形成した。
【0193】
Figure 0004125838
【0194】
【化107】
Figure 0004125838
【0195】
配向膜の上に、以下の組成の塗布液を#9のバーコーターを用いて塗布し、130℃で10分間加熱して、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
【0196】
Figure 0004125838
【0197】
【化108】
Figure 0004125838
【0198】
【化109】
Figure 0004125838
【0199】
塗布層を130℃に加熱した状態で、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2 の紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物の末端ビニル基を重合させ、配向状態を固定した。このようにして、ディスコティック液晶性化合物が垂直(ホモジニアス)で、ねじれて配向している光学的異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。
得られた光学補償シートのΔndを波長550nmにおいて測定したところ、440nmであった。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角は120゜であった。
さらに、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向(モノドメイン配向)していた。
【0200】
[実施例2]
(光学補償シートの作製)
変性ポリビニルアルコール(PV2)に代えて、変性ポリビニルアルコール(PV44)を同量用いた以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作製した。
【0201】
【化110】
Figure 0004125838
【0202】
得られた光学補償シートのΔndを波長550nmにおいて測定したところ、440nmであった。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角は120゜であった。
さらに、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向(モノドメイン配向)していた。
【0203】
[実施例3]
(光学補償シートの作製)
変性ポリビニルアルコール(PV2)に代えて、変性ポリビニルアルコール(PV106)を同量用いた以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作製した。
【0204】
【化111】
Figure 0004125838
【0205】
得られた光学補償シートのΔndを波長550nmにおいて測定したところ、440nmであった。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角は120゜であった。
さらに、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向(モノドメイン配向)していた。
【0206】
[実施例4]
(光学補償シートの作製)
ディスコティック液晶性化合物(1)に代えて、下記のディスコティック液晶性化合物(2)を同量用いた以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作製した。
【0207】
【化112】
Figure 0004125838
【0208】
得られた光学補償シートのΔndを波長550nmにおいて測定したところ、440nmであった。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角は120゜であった。
さらに、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向(モノドメイン配向)していた。
【0209】
[実施例5]
(光学補償シートの作製)
カイラル剤(1)に代えて、下記のカイラル剤(2)を1.5重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、光学補償シートを作製した。
【0210】
【化113】
Figure 0004125838
【0211】
得られた光学補償シートのΔndを波長550nmにおいて測定したところ、440nmであった。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角は120゜であった。
さらに、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向(モノドメイン配向)していた。
【0212】
[実施例6]
(光学補償シートの作製)
カイラル剤(1)に代えて、実施例5で用いたカイラル剤(2)を2.2重量部用いた以外は、実施例4と同様にして、光学補償シートを作製した。
得られた光学補償シートのΔndを波長550nmにおいて測定したところ、440nmであった。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角は120゜であった。
さらに、ディスコティック液晶性分子の配向状態を偏光顕微鏡で確認したところ、全ての分子が均一に配向(モノドメイン配向)していた。
【0213】
[実施例7]
(液晶表示装置の作製)
ツイスト角が240゜、Δndが880nmのSTN液晶セルの下側に、実施例6で作製した光学補償シートを2枚、光学的異方性層側を向かい合わせ、光学的異方性層のディスコティック液晶性分子のディレクター(ディスコティック液晶性分子の円盤面の法線方向)が一致するように貼り合わせた。この光学補償シートと液晶セルを貼り合わせる面において、ディスコティック液晶性分子と液晶セルの棒状液晶性分子のディレクターが一致するように、光学補償シートを液晶セルに取り付けた。さらに、一対の偏光板をクロスニコル配置で取り付け、STN型液晶表示装置を作製した。
作製したSTN型液晶表示装置と、光学補償シートを取り付けなかったSTN型液晶表示装置とを比較したところ、光学補償シートによる顕著な視野角改善効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】STN型液晶表示装置の電圧無印加(off)の画素部分における液晶セル内の棒状液晶性分子の配向状態と光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の配向状態とを模式的に示す断面図である。
【図2】液晶セルの棒状液晶性分子と、それを光学補償する関係にある光学補償シートのディスコティック液晶性分子について、それぞれの屈折率楕円体を示す模式図である。
【図3】STN型液晶表示装置の層構成を示す模式図である。
【図4】STN型液晶表示装置の各要素について、好ましい光学的方向を示す平面図である。
【図5】STN型液晶表示装置の各要素について、別の好ましい光学的方向を示す平面図である。
【符号の説明】
1 液晶セル
2、2a、2b 光学補償シート
3、3a、3b 偏光板
11 液晶セルの上基板
12、14 液晶セルの配向膜
13 棒状液晶性分子の屈折率楕円体
13a〜13e 棒状液晶性分子
13t 棒状液晶性分子層の厚み
13x、13y 棒状液晶性分子の配向膜に平行な面内の屈折率
13z 棒状液晶性分子の厚み方向の屈折率
15 液晶セルの下基板
21 ディスコティック液晶性分子の屈折率楕円体
21a〜21e ディスコティック液晶性分子
21t ディスコティック液晶性分子層の厚み
21x、21y ディスコティック液晶性分子の配向膜に平行な面内の屈折率
21z ディスコティック液晶性分子の厚み方向の屈折率
22 配向膜
23 透明支持体
BL バックライト
DDa、DDb、DDc、DDd ディスコティック液晶性分子の円盤面の法線方向
RDa、RDb 液晶セルの配向膜のラビング方向
TAa、TAb 偏光板の透過軸
X 基準となる方向

Claims (11)

  1. 液晶を配向させるため支持体上に設けられている液晶配向膜であって、液晶配向膜が変性ポリビニルアルコールを含み、そして、変性ポリビニルアルコールが側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含むことを特徴とする液晶配向膜。
  2. 変性ポリビニルアルコールが、側鎖にベンゼン環を二個または三個有し、少なくとも二個のベンゼン環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含む請求項1に記載の液晶配向膜。
  3. 主鎖と最も主鎖側の芳香族環との間が、−O−、−O−CO−、−O−CO−NH−、−O−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−、−O−CO−NH−アルキレン基−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−O−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−O−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−からなる群より選ばれる左側が主鎖に結合し右側が最も主鎖側の芳香族環に結合する連結基により連結されている請求項1に記載の液晶配向膜。
  4. 側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位が、下記式(I)で表される請求項1に記載の液晶配向膜。
    Figure 0004125838
    式中、L1 は、単結合、−CO−、−CO−NH−、−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−、−CO−NH−アルキレン基−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−O−、−CO−NH−アルキレン基−CO−NH−および−CO−NH−アルキレン基−SO2 −NH−からなる群より選ばれる連結基であり;L2 、L3 およびL4 は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−SO2 −NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−NH−SO2 −、−アルキレン基−、−アルケニレン基−、−アルキニレン基−、−O−アルキレン基−および−アルキレン基−O−からなる群より選ばれる連結基であって、L2 、L3 およびL4 の少なくとも一つはエチニレンであり;Ar1 、Ar2 、Ar3 およびAr4 は、それぞれ独立に、芳香族環であり;そして、mおよびnは、0または1である。
  5. 変性ポリビニルアルコールが、ポリビニルアルコールの水酸基よりも強い親水性を示す基を有する請求項1に記載の液晶配向膜。
  6. 変性ポリビニルアルコールが、架橋している請求項1に記載の液晶配向膜。
  7. 側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含む変性ポリビニルアルコールを含む液晶配向膜を用いて、50乃至90度の範囲の平均傾斜角で液晶性分子を配向させる方法。
  8. 透明支持体、変性ポリビニルアルコールを含む配向膜およびディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する光学補償シートであって、変性ポリビニルアルコールが側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含み、ディスコティック液晶性分子が50乃至90度の範囲の平均傾斜角で配向していることを特徴とする光学補償シート。
  9. 変性ポリビニルアルコールとディスコティック液晶性分子とが、配向膜と光学的異方性層との界面を介して化学的に結合している請求項8に記載の光学補償シート。
  10. ディスコティック液晶性分子がねじれ配向しており、ねじれ角が90乃至360度の範囲である請求項8に記載の光学補償シート。
  11. STN型液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板およびSTN型液晶セルと一方または両方の偏光板との間に配置された一枚または二枚の光学補償シートからなるSTN型液晶表示装置であって、光学補償シートが透明支持体、変性ポリビニルアルコールを含む配向膜およびディスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性層を偏光板側からこの順に有し、変性ポリビニルアルコールが側鎖に芳香族環を二個、三個または四個有し、少なくとも二個の芳香族環がエチニレンにより結合している繰り返し単位を2乃至80モル%含み、ディスコティック液晶性分子が50乃至90度の範囲の平均傾斜角で配向し、さらにねじれ配向しており、ねじれ角が90乃至360度の範囲であることを特徴とするSTN型液晶表示装置。
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