JP4084084B2 - 薄膜磁性体記憶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜磁性体記憶装置に関し、より特定的には、磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)を有するメモリセルを備えたランダムアクセスメモリに関する。
【0002】
【従来の技術】
低消費電力で不揮発的なデータの記憶が可能な記憶装置として、MRAM(Magnetic Random Memory)デバイスが注目されている。MRAMデバイスは、半導体集積回路に形成された複数の薄膜磁性体を用いて不揮発的なデータ記憶を行ない、薄膜磁性体の各々に対してランダムアクセスが可能な記憶装置である。
【0003】
特に、近年では磁気トンネル接合を利用した薄膜磁性体をメモリセルとして用いることによって、MRAMデバイスの性能が飛躍的に進歩することが発表されている。磁気トンネル接合を有するメモリセルを備えたMRAMデバイスについては、“A 10ns Read and Write Non-Volatile Memory Array Using a Magnetic Tunnel Junction and FET Switch in each Cell", ISSCC Digest of Technical Papers, TA7.2, Feb. 2000.および“Nonvolatile RAM based on Magnetic Tunnel Junction Elements", ISSCC Digest of Technical Papers, TA7.3, Feb. 2000.等の技術文献に開示されている。
【0004】
図22は、トンネル接合部を有するメモリセル(以下、単にMTJメモリセルとも称する)の構成を示す概略図である。
【0005】
図22を参照して、MTJメモリセルは、磁気的に書込まれた記憶データのデータレベルに応じて電気抵抗が変化するトンネル磁気抵抗素子TMRと、アクセストランジスタATRとを含む。アクセストランジスタATRは、ビット線BLおよび接地電圧線GLとの間に、トンネル磁気抵抗素子TMRと直列に接続される。代表的には、アクセストランジスタATRとして、電界効果トランジスタが適用される。
【0006】
MTJメモリセルに対しては、データ書込時およびデータ読出時においてデータ書込電流およびデータ読出電流をそれぞれ流すためのビット線BLと、データ書込時にデータ書込電流を流すためのライトディジット線WDLと、データ読出を指示するためのワード線WLと、データ読出時にトンネル磁気抵抗素子TMRを接地電圧GNDにプルダウンするための接地電圧線GLとが配置される。
【0007】
データ読出時においては、アクセストランジスタATRのターンオンに応答して、トンネル磁気抵抗素子TMRは、接地電圧線GL(接地電圧GND)およびビット線BLの間に電気的に結合される。
図23は、MTJメモリセルに対するデータ書込動作を説明する概念図である。
【0008】
図23を参照して、トンネル磁気抵抗素子TMRは、固定された磁化方向を有する磁性体層(以下、単に固定磁化層とも称する)FLと、データ書込電流によって生じるデータ書込磁界に応じた方向に磁化される磁性体層(以下、単に自由磁化層とも称する)VLとを有する。固定磁化層FLおよび自由磁化層VLの間には、絶縁体膜で形成されるトンネルバリアTBが設けられる。自由磁化層VLは、書込まれる記憶データのレベルに応じて、固定磁化層FLと同一方向または反対方向に磁化される。
【0009】
トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗は、固定磁化層FLおよび自由磁化層VLの間の磁化方向の相対関係によって変化する。具体的には、固定磁化層FLおよび自由磁化層VLの間で磁化方向が揃っている場合には、両者の磁化方向が反対である場合に比べて、電気抵抗は小さくなる。
【0010】
データ書込時においては、ワード線WLが非活性化されて、アクセストランジスタATRはターンオフされる。この状態で、自由磁化層VLを磁化するためのデータ書込電流は、ビット線BLおよびライトディジット線WDLのそれぞれにおいて、書込データのレベルに応じた方向に流される。すなわち、自由磁化層VLの磁化方向は、ビット線BLおよびライトディジット線WDLをそれぞれ流れるデータ書込電流の向きによって決定される。
【0011】
図24は、データ書込電流と自由磁化層VLの磁化との関係を示す概念図である。
【0012】
図24を参照して、横軸H(EA)は、トンネル磁気抵抗素子TMR内の自由磁化層VLにおいて磁化容易軸(EA:Easy Axis)方向に印加される磁界を示す。一方、縦軸H(HA)は、自由磁化層VLにおいて磁化困難軸(HA:Hard Axis)方向に作用する磁界を示す。磁界H(EA)およびH(HA)は、ビット線BLおよびライトディジット線WDLをそれぞれ流れる電流によって生じる2つの磁界の一方ずつにそれぞれ対応する。
【0013】
MTJメモリセルにおいては、固定磁化層FLの固定された磁化方向は、自由磁化層VLの磁化容易軸に沿っており、自由磁化層VLは、記憶データのレベル(“1”および“0”)に応じて、磁化容易軸方向に沿って、固定磁化層FLと平行あるいは反平行(反対)方向に磁化される。MTJメモリセルは、自由磁化層VLの2通りの磁化方向と対応させて、1ビットのデータ(“1”および“0”)を記憶することができる。
【0014】
自由磁化層VLの磁化方向は、印加される磁界H(EA)およびH(HA)の和が、図中に示されるアステロイド特性線の外側の領域に達する場合においてのみ新たに書換えることができる。すなわち、印加されたデータ書込磁界がアステロイド特性線の内側の領域に相当する強度である場合には、自由磁化層VLの磁化方向は変化しない。
【0015】
アステロイド特性線に示されるように、自由磁化層VLに対して磁化困難軸方向の磁界を印加することによって、磁化容易軸に沿った磁化方向を変化させるのに必要な磁化しきい値を下げることができる。
【0016】
MTJメモリセルの記憶データ、すなわちトンネル磁気抵抗素子TMRの磁化方向を書換えるためには、ライトディジット線WDLとビット線BLとの両方に所定レベル以上のデータ書込電流を流す必要がある。これにより、トンネル磁気抵抗素子TMR中の自由磁化層VLは、磁化容易軸(EA)に沿ったデータ書込磁界の向きに応じて、固定磁化層FLと平行もしくは、反対(反平行)方向に磁化される。トンネル磁気抵抗素子TMRに一旦書込まれた磁化方向、すなわちMTJメモリセルの記憶データは、新たなデータ書込が実行されるまでの間不揮発的に保持される。
【0017】
図25は、MTJメモリセルからのデータ読出を説明する概念図である。
図25を参照して、データ読出時においては、アクセストランジスタATRは、ワード線WLの活性化に応答してターンオンする。これにより、トンネル磁気抵抗素子TMRは、接地電圧GNDでプルダウンされた状態でビット線BLと電気的に結合される。
【0018】
この状態で、ビット線BLを所定電圧でプルアップすれば、ビット線BLおよびトンネル磁気抵抗素子TMRを含む電流経路を、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗に応じた、すなわちMTJメモリセルの記憶データのレベルに応じたメモリセル電流Icellが通過する。たとえば、このメモリセル電流Icellを所定の基準電流と比較することにより、MTJメモリセルから記憶データを読出すことができる。
【0019】
このようにトンネル磁気抵抗素子TMRは、印加されるデータ書込磁界によって書換可能な磁化方向に応じてその電気抵抗が変化するので、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗RmaxおよびRminと、記憶データのレベル(“1”および“0”)とをそれぞれ対応付けることによって、不揮発的なデータ記憶を実行することができる。
【0020】
なお、データ読出時においても、トンネル磁気抵抗素子TMRにデータ読出電流が流れるが、データ読出電流Isは、一般的に上述したデータ書込電流には1〜2桁程度小さくなるように設定される。したがって、データ読出時におけるデータ読出電流Isの影響によって、MTJメモリセルの記憶データが誤って書換えられる可能性は小さい。
【0021】
図26は、半導体基板上に作製されたMTJメモリセルの構造図である。
図26を参照して、半導体主基板SUB上に形成されたアクセストランジスタATRは、n型領域であるソース/ドレイン領域310および320と、ゲート領域330とを有する。ソース/ドレイン領域310は、コンタクトホール341に形成される金属膜を介して、接地電圧線GLと電気的に結合される。
【0022】
ライトディジット線WDLは、接地電圧線GLの上層に設けられた金属配線層に形成される。トンネル磁気抵抗素子TMRは、ライトディジット線WDLの上層側に配置される。トンネル磁気抵抗素子TMRは、ストラップSLおよびコンタクトホール340に形成された金属膜を介して、アクセストランジスタATRのソース/ドレイン領域320と電気的に結合される。ストラップSLは、トンネル磁気抵抗素子TMRをアクセストランジスタATRと電気的に結合するために設けられ、導電性の物質で形成される。
【0023】
ビット線BLは、トンネル磁気抵抗素子TMRと電気的に結合されて、トンネル磁気抵抗素子TMRの上層側に設けられる。既に説明したように、データ書込時においては、ビット線BLおよびライトディジット線WDLの両方にデータ書込電流を流す必要がある。一方、データ読出時においては、ワード線WLをたとえば高電圧状態に活性化することによって、アクセストランジスタATRがターンオンする。これにより、アクセストランジスタATRを介して接地電圧GNDにプルダウンされたトンネル磁気抵抗素子が、ビット線BLと電気的に結合される。
【0024】
データ書込電流およびデータ読出電流が流されるビット線BLおよびデータ書込電流が流されるライトディジット線WDLは、金属配線層を用いて形成される。一方、ワード線WLは、アクセストランジスタATRのゲート電圧を制御するために設けられるので、電流を積極的に流す必要はない。したがって、集積度を高める観点から、ワード線WLは、独立した金属配線層を新たに設けることなく、ゲート330と同一の配線層に、ポリシリコン層やポリサイド層などを用いて形成されるのが一般的である。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図26に示されるように、MTJメモリセルに対するデータ読出を実行するために、トンネル磁気抵抗素子TMRとアクセストランジスタATRとを電気的に結合するためのストラップSLおよびコンタクトホール340を、ライトディジット線WDLを回避して設ける必要がある。これにより、複数のMTJメモリセルを集積配置したMRAMデバイスを形成する場合において、レイアウト制約によって高集積化が妨げられて、アレイ面積が増大してしまう。
【0026】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、磁気抵抗素子が集積配置されるメモリアレイの面積化を図ることが可能な薄膜磁性体記憶装置を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明に従う薄膜磁性体記憶装置は、平面的に行列状に配置された複数の磁気抵抗素子を含み、L個(ただし、Lは2以上の整数である)の磁気抵抗素子行毎に複数の行ブロックに分割されメモリアレイとそれぞれ複数の磁気抵抗素子列に対応して列方向に沿って複数の行ブロックに共通に配置され複数の第1信号線と、それぞれ複数の磁気抵抗素子列に対応して列方向に沿って行ブロック毎に配置され複数の第2信号線とを備る。各磁気抵抗素子列のうちの各行ブロックに含まれるL個の磁気抵抗素子は、対応する第1信号線と第2信号線の間に並列に接続される。薄膜磁性体記憶装置は、さらに、それぞれ複数の行ブロックに対応して設けられ、各々がデータ読出し時の行選択結果に応じて選択的に活性化される複数のワード線と、それぞれ複数の第2信号線に対応して設けられ、各々が、対応の第2信号線と固定電位の間に接続され、ゲートが対応のワード線に接続される複数のアクセストランジスタとを備える。複数のアクセストランジスタは、複数のワード線の各ワード線に接続されるアクセストランジスタ毎に群を成して対応の行ブロックの磁気抵抗素子行に並列に配置され、かつ、複数の行ブロックのうちの隣接する第1および第2の行ブロックに対応するアクセストランジスタ群は、第1および第2の行ブロックの間の領域に互いに隣接して配置される。
【0028】
好ましくは、第1および第2の行ブロックに対応するアクセストランジスタ群は第1および第2の行ブロックの境界線に対して対称的に配置される。
【0029】
また好ましくは、複数の第2信号線は、第1および第2の行ブロック間の境界で斜め形状に分離される。
【0030】
あるいは好ましくは、1回のデータ読出動作内に少なくとも1回設けられる所定期間において、アクセス対象に選択された選択磁気抵抗素子に対応する第2信号線は、第1の電圧と結合され、薄膜磁性体記憶装置は、各所定期間において、選択磁気抵抗素子に対応する第1信号線と電気的に結合されるデータ線と、各所定期間において、データ線を第2の電圧と結合する読出電流供給回路と、選択磁気抵抗素子の記憶データに応じた読出データを生成するためのデータ読出回路とを備え、データ読出回路は、選択磁気抵抗素子がデータ読出動作前と同様の磁化方向を有する第1の状態で設けられた所定期間におけるデータ線の電圧を第1の内部ノードに保持するための第1の電圧保持部と、所定磁界が印加されて選択磁気抵抗素子の磁化方向が第1の状態から変化する第2の状態で設けられた所定期間におけるデータ線の電圧と、第1の内部ノードとの電圧との差に応じて読出データを生成する電圧比較部とを有する。
【0031】
さらに好ましくは、薄膜磁性体記憶装置は、複数の磁気抵抗素子のうちの1つに対して、記憶データを書込むためのデータ書込磁界を印加する書込制御回路をさらに備え、選択磁気抵抗素子は、1回のデータ読出動作において、第1の状態の後に、書込制御回路によって所定レベルの記憶データを書込まれて第2の状態へ変化し、書込制御回路は、1回のデータ読出動作内において、生成された読出データと同一のレベルの記憶データを選択磁気抵抗素子に再書込する。
【0032】
また、さらに好ましくは、選択磁気抵抗素子は、第2の状態の後に、書込制御回路によって、所定レベルとは異なるレベルの記憶データを書込まれて第3の状態へ変化し、データ読出回路は、第2の状態での所定期間におけるデータ線の電圧を第2の内部ノードに保持するための第2の電圧保持部をさらに有し、電圧比較部は、第1および第2の内部ノードの電圧、ならびに、第3の状態での所定期間におけるデータ線の電圧に応じて、読出データを生成する。
【0033】
特にこのような構成においては、書込制御回路は、再書込の実行前における選択磁気抵抗素子の記憶データと、生成された読出データのレベルとが同一である場合には、再書込を中止する。
【0034】
また、さらに好ましくは、各トンネル磁気抵抗素子は、記憶データに応じて、磁化容易軸方向に沿った方向に磁化され、薄膜磁性体記憶装置は、選択磁気抵抗素子に対して、磁化困難軸方向に沿った所定のバイアス磁界を印加するためのバイアス磁界印加部をさらに備える。
【0035】
特にこのような構成においては、バイアス磁界印加部は、複数の磁気抵抗素子行にそれぞれ対応して配置される複数のライトディジット線と、行選択結果に応じて、選択行に対応するライトディジット線を活性化するための行ドライバとを含み、データ書込動作において、行ドライバによって活性化されたライトディジット線には、磁化困難軸方向に沿った所定の磁界を発生させるための電流が流され、行ドライバ部は、データ読出時の第2の状態において、選択行に対応するライトディジット線を、データ書込動作時と同様に活性化する。
【0036】
あるいは、さらに好ましくは、電圧比較部は、選択磁気抵抗素子と電気的に結合されたデータ線の電圧と第1の内部ノードとの電圧差を増幅するためのセンスアンプと、第1の状態において、センスアンプの出力ノードと第1の内部ノードとを接続するとともに、第2の状態において、センスアンプの出力ノードと第1の内部ノードとを切離すスイッチ回路と、第2の状態において、出力ノードの電圧に応じて読出データを生成する読出データ生成回路とを有する。
【0037】
また、さらに好ましくは、複数の磁気抵抗素子の全ては、有効ビットとしてデータ記憶を実行する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中における同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
【0039】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に従うMRAMデバイス1の全体構成を示す概略ブロック図である。
【0040】
図1を参照して、実施の形態に従うMRAMデバイス1は、外部からの制御信号CMDおよびアドレス信号ADDに応答してランダムアクセスを行ない、入力データDINの書込および出力データDOUTの読出を実行する。
【0041】
MRAMデバイス1は、制御信号CMDに応答してMRAMデバイス1の全体動作を制御するコントロール回路5と、行列状に配置されたMTJメモリセルMCを含むメモリアレイ10とを備える。
【0042】
後の説明で明らかになるように、本発明の実施の形態においては、複数のトンネル磁気抵抗素子TMRによってアクセストランジスタATRを共有する構成とするので、メモリアレイ10においては、複数のトンネル磁気抵抗素子TMRの各々が、MTJメモリセルMCとして機能する。したがって、メモリアレイ10に行列状に配置された複数のトンネル磁気抵抗素子TMRの行および列を、メモリセル行およびメモリセル列ともそれぞれ称する。
【0043】
トンネル磁気抵抗素子TMRの構成およびデータ記憶原理は、図23〜図25で説明したのと同様であるので詳細な説明は繰り返さない。各トンネル磁気抵抗素子TMRは、Hレベル(“1”)およびLレベル(“0”)の一方を記憶データとして記憶し、記憶データのレベルに応じて電気抵抗が変化する。
【0044】
図1においては、代表的に示される1個のMTJメモリセルMC(トンネル磁気抵抗素子TMR)と、これに対応するワード線WL、ライトディジット線WDLおよびビット線BLの配置が示される。ワード線WLおよびライトディジット線WDLは、行方向に沿って配置される。ビット線BLは、列方向に沿って配置される。
【0045】
データ書込時には、選択メモリセルに対応するメモリセル行(以下、選択行とも称する)のライトディジット線WDLと、選択メモリセルに対応するメモリセル列(以下、選択列とも称する)のビット線BLとに対して、行方向および列方向のデータ書込電流がそれぞれ流される。また、データ読出時においては、選択メモリセルに対応するワード線WLが活性化されて、データ読出電流が選択メモリセルおよびビット線BLを通過する。
【0046】
メモリアレイ10における、MTJメモリセルおよび上述した信号線群の配置については後ほど詳細に説明する。なお、以下においては、信号、信号線およびデータ等の2値的な高電圧状態(電源電圧Vcc)および低電圧状態(固定電圧Vss/接地電圧GND)を、それぞれ「Hレベル」および「Lレベル」とも称する。
【0047】
MRAMデバイス1は、さらに、アドレス信号によって示されるロウアドレスRAをデコードして、メモリアレイ10における行選択を実行するための行選択回路20と、アドレス信号ADDによって示されるコラムアドレスCAをデコードして、メモリアレイ10における列選択を実行するための列選択回路25と、読出/書込制御回路30および35とを備える。
【0048】
読出/書込制御回路30および35は、データ書込時においてビット線BLにデータ書込電流を流すための回路、データ読出時においてビット線BLにデータ読出電流を流すための回路、およびデータ読出時に出力データDOUTを生成するための回路等を総称したものである。また、各ライトディジット線WDLは、メモリアレイ10を挟んで行選択回路20と反対側の領域において、接地電圧GNDと結合される。
【0049】
図2は、実施の形態1に従うメモリアレイの構成例を詳細に示す回路図である。
【0050】
図2を参照して、メモリアレイ10に行列状に配置された複数のMTJメモリセルMC(トンネル磁気抵抗素子TMR)は、行方向に沿って複数の行ブロックRB(1)〜RB(M)に分割される(M:2以上の整数)。行ブロックRB(1)〜RB(M)の各々は、L個(L:2以上の整数)のメモリセル行を有する。図2には、一例として、L=4の場合の構成が示されている。なお、以下においては、行ブロックRB(1)〜RB(M)を総称して、単に行ブロックRBとも称する。
【0051】
各メモリセル列において、行ブロックRB(1)〜RB(M)にそれぞれ対応して、列方向に沿った信号線として配置されるストラップSLが設けられる。さらに、各ストラップSLに対応して、アクセストランジスタATRが配置される。すなわち、各メモリセル列において、アクセストランジスタATRおよびストラップSLは、行グループにそれぞれ対応してM個ずつ配置される。
【0052】
各メモリセル列において、同一の行ブロックに属する4個(L個)のトンネル磁気抵抗素子TMRは、同一のストラップSLと結合される。すなわち、各ストラップSLおよびアクセストランジスタATRは、同一メモリセル列において、同一行ブロックに対応するL個のトンネル磁気抵抗素子TMRによって共有される。
【0053】
さらに、行ブロックRB(1)〜RB(M)にそれぞれ対応して、複数のワード線WL(1)〜WL(M)が配置される。同一の行ブロックに対応する複数のアクセストランジスタATRの各ゲートは、対応するワード線と結合される。たとえば、図2に示される、行ブロックRB(1)に対応するアクセストランジスタATRの各ゲートは、共通のワード線WL(1)と結合される。各アクセストランジスタATRは、対応するストラップSLと固定電圧Vss(たとえば、接地電圧GND)との間に電気的に結合される。なお、以下においては、ワード線WL(1)〜WL(M)を総称する場合には、単にワード線WLと称することとする。
【0054】
また、ビット線BLは、メモリセル列にそれぞれ対応して、列方向に沿って配置され、ライトディジット線WDLは、メモリセル行にそれぞれ対応して、行方向に沿って配置される。
【0055】
行選択回路20は、データ読出において、ワード線WL(1)〜WL(M)のうちの選択メモリセルに対応する1本を、行選択結果に応じて選択的に活性化する。ワード線WLの活性化によって、選択メモリセルと結合されたストラップ(以下、「選択ストラップ」とも称する)が固定電圧Vssと結合される。この結果、選択メモリセルを含む、当該選択ストラップと結合されたL個のトンネル磁気抵抗素子TMR(以下、「選択メモリセル群」とも称する)が、対応するビット線BLと固定電圧Vssとの間に接続される。
【0056】
したがって、データ読出時には、選択列のビット線BLには、選択メモリセル群全体の電気抵抗に応じたデータ読出電流Isが流れる。詳細は後程説明するが、本発明の実施の形態に従うMRAMデバイスにおけるデータ読出は、当該選択メモリセル群に含まれる1個の選択メモリセルの通過電流(電気抵抗)を検知するために、当該選択メモリセル群を通過するデータ読出電流Isに基づいて、リファレンスセルを設けないいわゆる「セルフリファレンス読出」によって実行される。
【0057】
行選択回路20は、データ書込時において、行選択結果に応じて選択されたライトディジット線WDLを活性化するために電源電圧Vccと結合する。これにより、活性化されたライトディジット線WDLは、その両端を電源電圧Vccおよび固定電圧Vssとそれぞれ接続される。したがって、活性化されたライトディジット線WDLに対して、行方向のデータ書込電流Ipを流すことができる。行方向のデータ書込電流Ipは、書込データのレベルに関らず一定方向である。
【0058】
一方、行選択回路20は、非選択のライトディジット線WDLについては、固定電圧Vssに維持する。これにより、非選択のライトディジット線WDLに行方向のデータ書込電流Ipが流れることはない。詳細は後程説明するが、データ書込時において、選択列のビット線BLには、書込データに応じた方向に、データ書込電流+Iwまたは−Iwが流される。
【0059】
この結果、対応するライトディジット線WDLおよびビット線BLの両方にデータ書込電流が流されたトンネル磁気抵抗素子TMRに対して、磁気的なデータ書込が実行される。
【0060】
次に、メモリアレイのレイアウトについて説明する。
図3は、実施の形態1に従うメモリアレイにおけるMTJメモリセルのレイアウト例を示す図である。図3の中央部には、2つの行ブロック隣接部分における4列分のメモリセルの平面図が示されている。
【0061】
この平面図を参照すると、メモリセル行にそれぞれ対応するライトディジット線WDLが行方向に沿って配置され、メモリセル列にそれぞれ対応するビット線BLが列方向に沿って配置されている。
【0062】
図3中に斜線で示される、ビット線BLとライトディジット線WDLとの交点の各々に対応して、MTJメモリセルとして機能するトンネル磁気抵抗素子TMRが配置される。各メモリセル列において、4個(L個)のトンネル磁気抵抗素子TMRによって共有されるように、ストラップSLが配置される。
【0063】
図3にはさらに、サブアレイSAの平面図上におけるP−Q断面図およびR−S断面図が示される。
【0064】
P−Q断面図を参照して、アクセストランジスタATRのソース/ドレイン領域310は、図示しないコンタクトホールを介して固定電圧Vss(接地電圧GND)と電気的に結合されている。ソース/ドレイン領域320は、コンタクトホール340を介して、対応するストラップSLと電気的に結合される。アクセストランジスタATRのゲート領域330には、行方向に延在してワード線WLが配置される。また、ワード線WLとストラップSLとの中間層には、ライトディジット線WDLが行方向に延在して配置されている。
【0065】
また、図3中のR−S断面図には、ライトディジット線WDLに対応した断面図が示される。なお、当該R−S断面図においては、ライトディジット線WDLの上層側のみが図示されている。
【0066】
ライトディジット線WDLは、トンネル磁気抵抗素子TMRにデータを書込むためのデータ書込電流を流すので、トンネル磁気抵抗素子TMRの直下領域に配置される。したがって、ライトディジット線WDLの上層には、ストラップSLおよびビット線BLと電気的に結合されたトンネル磁気抵抗素子TMRが配置される。なお、上述したように、同一行グループ内において、列方向に隣接する複数のトンネル磁気抵抗素子TMRは、共通のストラップSLと結合される。
【0067】
このように、ストラップSLを複数のトンネル磁気抵抗素子で共有する構成とすることにより、アクセストランジスタATRの配置個数を削減して、メモリアレイの小面積化を図ることができる。
【0068】
図4は、アクセストランジスタATRの共有によるメモリアレイの小面積効果を説明する図である。
【0069】
図4を参照して、最小の配線幅で示される最小設計単位をFで示すと、1個のトンネル磁気抵抗素子TMRの面積は、通常4〜8F2程度となる。図4においては、1個のトンネル磁気抵抗素子TMRの面積が4F2であるものとする。
【0070】
また、アクセストランジスタATRの配置に伴うメモリセル面積の増加をαF2とすると、図22に示した、各メモリセルごとにアクセストランジスタATRを配置する、すなわち、同一ストラップに接続されるメモリセル数が1である構成では、MTJメモリセル1個当たりの有効メモリセルサイズは、(4+α)F2で示される。
【0071】
これに対して、本発明の実施の形態に従うメモリアレイ構成においては、同一ストラップに接続されるメモリセル数をMとすると、MTJメモリセル1個当たりの有効メモリセルサイズを、(4+α/M)F2に抑制することができる。この結果、アクセストランジスタATRによる面積の増大が抑制され、MTJメモリセルが集積配置されるメモリアレイを小面積化することができる。
【0072】
さらに、図3に示した様に、各トンネル磁気抵抗素子TMRに対応して、アクセストランジスタATRとトンネル磁気抵抗素子TMRとの間を電気的に結合するためのコンタクトホール340を配置する必要がなくなる。この結果、各トンネル磁気抵抗素子TMRごとにアクセストランジスタATRを設ける構成と比較して、トンネル磁気抵抗素子TMRの行方向配置ピッチおよび列方向配置ピッチは縮小されるので、この点からも、メモリアレイの小面積化を図ることができる。
【0073】
次に、実施の形態1に従うメモリアレイに対するデータ書込およびデータ読出動作について詳細に説明する。
【0074】
図5は、実施の形態1に従うメモリアレイに対してデータ読出動作およびデータ書込動作を実行するための回路群の構成を示す回路図である。
【0075】
図5を参照して、トンネル磁気抵抗素子TMRは、既に説明したように、磁化方向に応じた電気抵抗を有する。すなわち、データ読出前においては、各MTJメモリセルにおいて、トンネル磁気抵抗素子TMRは、Hレベル(“1”)およびLレベル(“0”)のいずれかのデータを記憶するために、所定の方向に沿って磁化されて、その電気抵抗はRmaxおよびRminのいずれかに設定される。各トンネル磁気抵抗素子TMRは、対応するビット線BLおよびストラップSLの間に接続される。
【0076】
各ストラップSLは、対応するアクセストランジスタATRを介して、電圧線GLと結合される。電圧線GLは、固定電圧Vss(接地電圧GND)を伝達する。これにより、対応するワード線WLがHレベルに活性化される選択行ブロックにおいて、各トンネル磁気抵抗素子TMRは、固定電圧Vssおよび対応するビット線BLの間に電気的に結合される。
【0077】
次に、メモリアレイ10における行選択を実行するための行選択回路20の回路構成について説明する。
【0078】
行選択回路20は、各メモリセル行に対応して設けられるトランジスタスイッチ80,90と、各行グループに対応して設けられるトランジスタスイッチ85,95とを有する。たとえば、トランジスタスイッチ80,85,90,95の各々は、NチャネルMOSトランジスタで構成される。トランジスタスイッチ80,90は、対応するメモリセル行のデコード結果を示すデコード信号Rdに基づいて、対応するライトディジット線WDLの活性化を制御する。トランジスタスイッチ85,95は、対応する行グループのデコード結果を示すデコード信号Rd#に基づいて、対応するワード線WLの活性化を制御する。
【0079】
デコード信号RdおよびRd#は、図示しないデコード回路によって得られ、対応するメモリセル行および行グループが選択メモリセルを含む場合に、Hレベル(電源電圧Vcc)にそれぞれ設定される。すなわち、選択メモリセルに対応するデコード信号RdおよびRd#はHレベル(電源電圧Vcc)に設定され、それ以外のデコード信号RdおよびRd#は、Lレベル(固定電圧Vss/接地電圧GND)に設定される。デコード信号RdおよびRd#は、ノードNdおよびNd#にそれぞれ伝達される。少なくとも、1回のデータ読出動作および1回のデータ書込動作内において、各ノードNdおよびNd#のレベルは保持される。
【0080】
トランジスタスイッチ80は、ノードNdおよびライトディジット線WDLの一端側の間に設けられ、トランジスタスイッチ90は、ライトディジット線WDLの他端側および固定電圧Vssの間に設けられる。トランジスタスイッチ80のゲートには、制御信号WEが与えられ、トランジスタスイッチ90は、そのゲートに電源電圧Vccが与えられるので、常にオン状態を維持する。
【0081】
したがって、制御信号WEの活性化(Hレベル)に応答して、対応するデコード信号RdがHレベルに設定されたライトディジット線WDLには、トランジスタスイッチ80から90へ向かう所定方向のデータ書込電流Ipが流れる。一方、対応するデコード信号RdがLレベルに設定されたライトディジット線WDLは、その両端が固定電圧Vss(接地電圧GND)に設定されるので、制御信号WEの活性化期間においても、データ書込電流は流れない。
【0082】
トランジスタスイッチ85は、ノードNd#およびワード線WLの一端側の間に設けられ、トランジスタスイッチ95は、ワード線WLの他端側および固定電圧Vss(接地電圧GND)の間に設けられる。トランジスタスイッチ85のゲートには、制御信号REが与えられ、トランジスタスイッチ95のゲートには、制御信号REの反転信号/REが与えられる。
【0083】
したがって、制御信号REの活性化(Hレベル)に応答して各トランジスタスイッチ95がターンオフすることにより、各ワード線WLは固定電圧Vss(接地電圧GND)と切離される。さらに、トランジスタスイッチ85は、制御信号REに応答してターンオンして、ノードNdの電圧、すなわち対応する行ブロックのデコード信号Rd#に応じて、対応するワード線WLを活性化(Hレベル)する。
【0084】
これに応答して、選択行ブロックに対応するアクセストランジスタATRがターンオンすることにより、ビット線BLおよび固定電圧Vssの間に、ストラップSLを介してL個のトンネル磁気抵抗素子TMR(選択メモリセル群)が並列に接続される。一方、対応するデコード信号Rd#がLレベルに設定された行ブロックにおいては、対応するワード線WLは非活性化(Lレベル)されるので、アクセストランジスタATRは、オフされたままである。このようにして、メモリアレイ10における行選択動作が実行される。
【0085】
同様の構成は、各ワード線WLおよび各ライトディジット線WDLに対応して同様に設けられる。なお、図5に示されるように、トランジスタスイッチ80,85,90,95を、各メモリセル行および各行ブロックごとに、千鳥状に交互配置すれば、行選択回路20を小面積で効率的に構成できる。
【0086】
読出/書込制御回路30は、ライトドライバ制御回路150と、スイッチ回路160とを含む。ライトドライバ制御回路150は、コントロール回路5からの動作指示に応答して、ノードN4に伝達された書込データWDおよび列選択回路25からの列選択結果に応じて、メモリセル列ごとに書込制御信号WDTa,WDTbを設定する。後ほど詳細に説明するように、ライトドライバ制御回路150は、データ書込動作時の他に、データ読出動作内においても、所定のタイミングで選択メモリセルに対するデータ書込を実行する。
【0087】
スイッチ回路160は、ノードNrおよびNwの一方を、選択的にノードN4と接続する。通常のデータ書込動作時においては、スイッチ回路160は、入力バッファ175から入力データDINが伝達されるノードNwをノードN4と接続する。
【0088】
読出/書込制御回路30は、さらに、メモリセル列ごとに配置されたライトドライバWDVbを含む。同様に、読出/書込制御回路35は、メモリセル列ごとに設けられたライトドライバWDVaを含む。各メモリセル列において、ライトドライバWDVaは、対応する書込制御信号WDTaに応じて、対応するビット線BLの一端側を、電源電圧Vccおよび固定電圧Vss(接地電圧GND)のいずれかで駆動する。同様に、ライトドライバWDVbは、対応する書込制御信号WDTbに応じて、対応するビット線BLの他端側を、電源電圧Vccおよび固定電圧Vss(接地電圧GND)のいずれかで駆動する。
【0089】
データ書込時において、選択列に対応する書込制御信号WDTaおよびWDTbは、書込データWDのレベルに応じて、HレベルおよびLレベルの一方ずつに設定される。たとえば、Hレベル(“1”)のデータを書込む場合には、ライトドライバWDVaからWDVbへ向かう方向にデータ書込電流+Iwを流すために、書込制御信号WDTaがHレベルに設定され、WDTbがLレベルに設定される。反対に、Lレベル(“0”)のデータを書込む場合には、ライトドライバWDVbからWDVaへ向かう方向にデータ書込電流−Iwを流すために、書込制御信号WDTbがHレベルに設定され、WDTaはLレベルに設定される。以下においては、異なる方向のデータ書込電流+Iwおよび−Iwを総称して、データ書込電流±Iwとも表記する。
【0090】
非選択列においては、書込制御信号WDTaおよびWDTbの各々は、Lレベルに設定される。また、データ書込動作時以外においても、書込制御信号WDTaおよびWDTbは、Lレベルに設定される。
【0091】
対応するライトディジット線WDLおよびビット線BLの両方にデータ書込電流Ipおよび±Iwがそれぞれ流されるトンネル磁気抵抗素子TMRにおいて、データ書込電流±Iwの方向に応じた書込データが磁気的に書込まれる。
【0092】
同様の構成は、各メモリセル列のビット線BLに対応して同様に設けられる。なお、図5の構成において、ライトドライバWDVaおよびWDVbの駆動電圧を、固定電圧Vss(接地電圧GND)および電源電圧Vcc以外の電圧とすることも可能である。
【0093】
次に、メモリアレイ10からのデータ読出動作について説明する。
読出/書込制御回路30は、さらに、選択メモリセルの電気抵抗に応じた電圧を伝達するためのデータ線DIOと、データ線DIOおよび各ビット線BLの間に設けられた読出選択ゲートRSGとを含む。読出選択ゲートRSGのゲートには、対応するメモリセル列の選択状態を示すリードコラム選択線RCSLが結合される。各リードコラム選択線RCSLは、対応するメモリセル列が選択された場合にHレベルに活性化される。同様の構成は、各メモリセル列に対応して設けられる。すなわち、データ線DIOはメモリアレイ10上のビット線BLによって共有される。
【0094】
このような構成とすることにより、選択メモリセル群は、データ読出時において、選択列のビット線BLおよび対応する読出選択ゲートRSGを介してデータ線DIOと電気的に結合される。
【0095】
読出/書込制御回路30は、さらに、データ読出回路100と、データ読出電流供給回路105とをさらに含む。
【0096】
データ読出電流供給回路105は、電源電圧Vccおよびデータ線DIOの間に電気的に結合された電流供給トランジスタ107を有する。電流供給トランジスタ107は、制御信号/RE(データ読出時にLレベルに活性化)を受けるPチャネルMOSトランジスタで構成される。電流供給トランジスタ107は、データ読出時において、データ線DIOを電源電圧Vccと結合することによって、データ読出電流Isを生じさせる。
【0097】
データ読出電流Isは、データ線DIO〜選択列の読出選択ゲートRSG〜選択列のビット線BL〜選択メモリセル群(トンネル磁気抵抗素子TMR)〜アクセストランジスタATR〜電圧線GL(固定電圧Vss)の経路を通過する。これに応じて、データ線DIOには、選択メモリセルを含む選択メモリセル群の電気抵抗に応じた電圧が生じる。
【0098】
データ読出回路100は、さらに、スイッチ回路110と、電圧保持キャパシタ111〜113と、センスアンプ120,125,130と、ラッチ回路140とを含む。
【0099】
スイッチ回路110は、1回のデータ読出動作において、ノードN1〜N3のうちの順番に選択される1個ずつを、データ線DIOと接続する。電圧保持キャパシタ111〜113は、ノードN1〜N3のそれぞれの電圧を保持するために設けられる。
【0100】
センスアンプ120は、ノードN1およびN2の電圧差を増幅して出力する。センスアンプ125は、ノードN1およびN3の電圧差を増幅して出力する。センスアンプ130は、センスアンプ120および125のそれぞれの出力間の電圧差を増幅して出力する。ラッチ回路140は、所定タイミングにおけるセンスアンプ130の出力電圧をラッチして、選択メモリセルの記憶データに応じたレベルを有する読出データRDをノードNrへ出力する。
【0101】
ノードNrへ出力された読出データRDは、出力バッファ170を介して、データ出力端子4aからの出力データDOUTとして出力される。一方、データ入力端子4bへの入力データDINは、入力バッファ175を介して、ノードNwに伝達される。
【0102】
既に説明したように、通常のデータ書込動作時においては、スイッチ回路160は、ノードNwをノードN4と接続する。一方、データ読出動作時においては、スイッチ回路160は、コントロール回路5からの指示に応じて、読出データRDを選択メモリセルに再び書込むために、ノードNrとノードN4の間を電気的に結合する。
【0103】
次に、このように構成された読出/書込制御回路による実施の形態1に従うデータ読出動作について詳細に説明していく。
【0104】
図6は、実施の形態1に従うメモリアレイに対する1回のデータ読出動作を説明するフローチャートである。
【0105】
図6を参照して、実施の形態1に従う構成においては、1回のデータ読出動作が開始されると(ステップS100)、まず初期データ読出動作として、選択メモリセルの磁化方向がデータ読出動作前と同様である状態、すなわち、選択メモリセルが本来読出されるべき記憶データを保持した状態においてデータ読出を実行する。初期データ読出動作時におけるデータ線DIOの電圧(以下、単に「データ線電圧」とも称する)は、ノードN1に伝達され保持される(ステップS110)。
【0106】
次に、所定書込動作1として、選択メモリセルへ所定レベル(たとえば“1”)のデータが書込まれる。すなわち、選択メモリセルは、所定レベルのデータを書込むためのデータ書込磁界の印加を受ける(ステップS120)。さらに、選択メモリセルへ当該所定レベル(“1”)のデータが書込まれた状態での、選択メモリセル群を対象とするデータ読出が所定読出動作1として実行される。このときのデータ線電圧は、ノードN2へ保持される(ステップS130)。
【0107】
その後、さらに、所定書込動作2として、選択メモリセルに対して、所定書込動作1とは異なるレベル(たとえば“0”)のデータが書込まれる。すなわち、選択メモリセルは、このようなレベルのデータを書込むためのデータ書込磁界の印加を受ける(ステップS140)。さらに、選択メモリセルへ当該“0”データが書込まれた状態での、選択メモリセル群を対象とするデータ読出が所定読出動作2として実行される。このときのデータ線電圧は、ノードN3へ保持される(ステップS150)。
【0108】
所定読出動作1および所定読出動作2の各々において、先行する所定書込動作1または所定書込動作2における強制的な書込データレベルが選択メモリセルの記憶データと一致しているときは、データ線電圧は初期データ読出時と同レベルとなる。一方、先行する所定書込動作1または所定書込動作2で選択メモリセルの記憶データと異なるレベルのデータを強制的に書込んだときには、後続の所定読出動作1または所定読出動作1において、データ線電圧は初期データ読出時と比較して、上昇あるいは下降する。
【0109】
初期データ読出動作から所定読出動作2までが終了した時点で、ノードN1〜N3には、初期データ読出動作、所定読出動作1および所定読出動作2のそれぞれにおけるデータ線電圧が保持される。この状態で、ノードN1〜N3の電圧比較に基づいて、選択メモリセルからの記憶データを示す読出データRDを確定する(ステップS160)。データ線電圧は、選択メモリセルのみならず選択メモリセル群全体の電気抵抗に応じたレベルを示すが、上記の3つの読出動作間でのデータ線電圧の比較を行なうことによって、選択メモリセルの記憶データを抽出して検知することができる。
【0110】
さらに、読出データRDの確定後において、選択メモリセルに対して、読出データRDの再書込が実行される(ステップS170)。これにより、読出動作シーケンス内で所定のデータ書込を受けた選択メモリセルについて、その記憶データを再現して、データ読出前の状態を再現することができる。
【0111】
図7は、初期データ読出動作時における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【0112】
図7を参照して、1回のデータ読出動作内において、選択行に対応するデコード信号Rdおよび選択行ブロックに対応するデコード信号Rd#は、Hレベルに維持されている。初期データ読出動作時には、制御信号REがHレベル、制御信号WEがLレベルに設定される。さらに、図中に斜線で示されたMTJメモリセルがアクセス対象となる選択メモリセルである場合には、対応するワード線WLおよびリードコラム選択線RCSLがHレベルに活性化される。これに応じて、対応する読出選択ゲートRSGおよび選択メモリセルのアクセストランジスタATRがターンオンして、対応するビット線BLおよびストラップSLの間に並列に接続された選択メモリセル群に相当する複数のトンネル磁気抵抗素子TMRをデータ読出電流Isが通過する。
【0113】
これにより、データ線DIOには、選択メモリセルが本来の記憶データを保持した状態における、選択メモリセル群の記憶データに応じた電圧が発生する。スイッチ回路110は、初期データ読出動作時には、データ線DIOをノードN1と接続する。ノードN1の電圧は、電圧保持キャパシタ111によって保持される。
【0114】
図8は、所定書込動作1における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【0115】
図8を参照して、所定書込動作1においては、制御信号REがLレベル、制御信号WEがHレベルに設定される。さらに、各リードコラム選択線RCSLがLレベルに非活性化されて、各メモリセル列において読出選択ゲートRSGがオフされる。これにより、各ビット線BLは、データ線DIOと切離される。さらに、スイッチ回路110は、データ線DIOを、ノードN1〜N3のいずれとも接続しない。ライトドライバ制御回路150に対しては、コントロール回路5から“1”データを書込むための動作指示が発せられる。
【0116】
したがって、選択行のライトディジット線WDLが活性化されて、データ書込電流Ipを流される。また、選択列のビット線においては、所定データ(“1”)を書込むためのデータ書込電流+Iwが、ライトドライバWDVaからWDVbに向かう方向に選択列のビット線上を流される。
【0117】
すなわち、ライトドライバ制御回路150は、コントロール回路5からの書込指示に応答して、選択列の書込制御信号WDTaをHレベルに、WDTbをLレベルに設定する。なお、他のメモリセル列に対応する書込制御信号WDTaおよびWDTbはいずれもLレベルに設定される。これにより、選択メモリセルに対しては、所定レベルのデータ(“1”)が強制的に書込まれる。これに対して、選択メモリセル群の他のメモリセルの記憶データは、変化しない。
【0118】
図9は、所定読出動作1における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【0119】
図9を参照して、所定読出動作1においては、制御信号REがHレベル、制御信号WEがLレベルに設定される。さらに、選択メモリセルからのデータ読出を再び実行するために、対応するワード線WLおよびリードコラム選択線RCSLがHレベルへ活性化される。さらに、スイッチ回路110は、データ線DIOをノードN2と接続する。ノードN2の電圧は、電圧保持キャパシタ112によって保持される。
【0120】
したがって、図6中のステップS130に対応する所定読出動作1では、選択メモリセルが “1”データを記憶する状態でのデータ線電圧が、ノードN2に伝達され保持される。
【0121】
図10は、所定書込動作2における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【0122】
図10を参照して、所定書込動作2においては、所定書込動作1のときと同様に、制御信号REがLレベル、制御信号WEがHレベルに設定されるとともに、各ビット線BLはデータ線DIOと切離される。さらに、スイッチ回路110は、データ線DIOを、ノードN1〜N3のいずれとも接続しない。ライトドライバ制御回路150に対しては、コントロール回路5から“0”データを書込むための動作指示が発せられる。
【0123】
したがって、対応するライトディジット線WDLが活性化されてデータ書込電流Ipが流される。また、選択列のビット線においては、このようなデータ(“0”)を書込むためのデータ書込電流−Iwが、ライトドライバWDVbからWDVaに向かう方向に選択列のビット線上を流される。
【0124】
すなわち、ライトドライバ制御回路150は、コントロール回路5からの書込指示に応答して、選択列の書込制御信号WDTaをLレベルに、WDTbをHレベルに設定する。なお、他のメモリセル列に対応する書込制御信号WDTaおよびWDTbはいずれもLレベルに設定される。これにより、選択メモリセルに対しては、所定書込動作1とは異なるレベルのデータ(“0”)が強制的に書込まれる。一方で、選択メモリセル群に属する他のメモリセルの記憶データは、所定書込動作1と同様に、変化しない。
【0125】
図11は、所定読出動作2における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【0126】
図11を参照して、所定読出動作2においても、制御信号REがHレベル、制御信号WEがLレベルに設定される。さらに、選択メモリセルからのデータ読出を再び実行するために、対応するワード線WLおよびリードコラム選択線RCSLがHレベルへ活性化される。さらに、スイッチ回路110は、データ線DIOをノードN3と接続する。ノードN3の電圧は、電圧保持キャパシタ113によって保持される。
【0127】
したがって、図6中のステップS150に対応する所定読出動作2では、選択メモリセルが “0”データを記憶する状態でのデータ線電圧が、ノードN2に伝達され保持される。
【0128】
これにより、所定読出動作2の終了時において、電圧保持キャパシタ111に〜113によって、ノードN1〜N3には、初期データ読出動作、所定読出動作1および所定読出動作2のそれぞれにおけるデータ線電圧が保持される。
【0129】
したがって、センスアンプ120および125のいずれか一方において、2つの入力電圧が同レベルになるため、その出力がほとんど増幅されない。一方、他方のセンスアンプにおいては、その出力電圧は大きく振幅する。具体的には、選択メモリセルの記憶データが“1”である場合には、センスアンプ120の出力がほとんど増幅されない一方で、センスアンプ125の出力はフル振幅まで増幅される。反対に、選択メモリセルの記憶データが“0”であった場合には、センスアンプ125の出力がほとんど増幅されない一方で、センスアンプ120の出力はフル振幅まで増幅される。
【0130】
2段目のセンスアンプ130は、1段目のセンスアンプ120および125からの出力電圧の比較に応じて、選択メモリセルの記憶データに応じた電圧を生成する。センスアンプ130の出力は、図6中のステップS160に示した読出データ確定動作に対応するタイミングで、ラッチ回路140に保持される。ラッチ回路140は、保持電圧に応じた読出データRDをノードNrに生成する。
【0131】
図12は、データ再書込動作における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【0132】
図12を参照して、データ再書込動作時においては、強制的なデータ書込を実行された選択メモリセルに対して、読出データRDが再書込される。すなわち、スイッチ回路160は、ノードNrとN4との間を接続する。また、ライトドライバ制御回路150に対しては、コントロール回路5から再書込動作を実施するための動作指示が発せられる。
【0133】
したがって、ライトドライバ制御回路150は、選択列のビット線BLにおいて、読出データRDのレベルに応じた方向のデータ書込電流+Iwまたは−Iwを生じさせるように、対応する書込制御信号WDTaおよびWDTbのレベルを設定する。同様に、制御信号WEもオンされて、選択行のライトディジット線WDLにデータ書込電流Ipが流される。
【0134】
これにより、データ読出動作前における選択メモリセルの記憶データに対応する読出データRDが選択メモリセルに再書込されるので、選択メモリセルの状態は、データ読出動作前の状態に復帰する。
【0135】
図13は、実施の形態1に従うメモリアレイに対するデータ読出動作を説明する動作波形図である。
【0136】
図13を参照して、図6に示した1回のデータ読出動作を構成する各動作は、たとえばクロック信号CLKに同期して実行させることができる。
【0137】
すなわち、クロック信号CLKの活性化エッジである時刻t0において、チップセレクト信号CSおよびリードコマンドRCが取込まれると、初期データ読出動作が実行される。初期データ読出動作においては、選択行のワード線WLが活性化されるとともに、選択列のビット線BLにはデータ読出電流Isが供給される。データ読出電流Isによってデータ線DIOに生じた電圧、すなわち、選択メモリセルが本来の記憶データ保持する状態でのデータ線電圧は、ノードN1に伝達され保持される。
【0138】
次のクロック活性化エッジに対応する時刻t1から、所定書込動作1が実行される。これに対応して、選択行のライトディジット線WDLにデータ書込電流Ipが流され、選択列のビット線BLにはデータ書込電流+Iwが流されて、選択メモリセルに対して、所定レベルのデータ(“1”)が強制的に書込まれる。
【0139】
さらに、次のクロック活性化エッジである時刻t2からは所定読出動作1が実行される。すなわち、選択行のワード線WLが活性化された状態で、選択列のビット線BLに対してデータ読出電流Isが供給される。データ読出電流Isによってデータ線DIOに生じた電圧、すなわち、選択メモリセルが“1”データを保持する状態でのデータ線電圧は、ノードN2に伝達され保持される。
【0140】
次のクロック活性化エッジである時刻t3からは所定書込動作2が実行される。これにより、選択行のライトディジット線WDLにデータ書込電流Ipが流され、選択列のビット線BLにはデータ書込電流−Iwが流されて、選択メモリセルに対して、所定書込動作1とは異なるレベルのデータ(“0”)が強制的に書込まれる。
【0141】
さらに、次のクロック活性化エッジである時刻t4からは所定読出動作2が実行される。すなわち、選択行のワード線WLが活性化された状態で、選択列のビット線BLに対してデータ読出電流Isが供給される。選択メモリセルが“0”データを保持する状態でのデータ線電圧は、ノードN3に伝達され、保持される。
【0142】
所定読出動作2の実行によって、ノードN1〜N3において、選択メモリセルが記憶データ、データ“1”およびデータ“0”を保持する状態にそれぞれ対応するデータ線電圧電圧が保持される。したがって、ノードN1〜N3の電圧に基づいて読出データRDを生成することができる。
【0143】
さらに、次のクロック活性化エッジに相当する時刻t5より、読出データRDに応じた出力データDOUTがデータ出力端子4aから出力される。これと並列して、選択メモリセルに対するデータ再書込動作が実行される。すなわち、選択行のライトディジット線WDLにデータ書込電流Ipが流され、選択列のビット線BLには、読出データRDのレベルに応じて、データ書込電流+Iwまたは−Iwが流される。これにより、選択メモリセルに対して、読出データRDと同一レベルのデータが書込まれて、選択メモリセルは、データ読出動作前と同様の状態に復帰する。
【0144】
なお、図5に示された、1ビットのデータ読出およびデータ書込を実行するための構成を1つのブロックとして、MRAMデバイスを複数のブロックから構成することもできる。図13には、このような構成におけるデータ読出動作が合わせて示される。
【0145】
複数のブロックを有するMRAMデバイスにおいては、各ブロックに対して、図6に示したフローで構成されるデータ読出動作が並列に実行される。すなわち、図5と同様の構成を有する他のブロックにおいても、同様のデータ読出動作が実行されて、時刻t4において、各ブロックにおいて選択メモリセルからの読出データRDが生成される。
【0146】
このような構成においては、たとえば、次のクロック活性化エッジに相当する時刻t5から、複数ブロックのそれぞれからの読出データRDを、バースト的に出力データDOUTとして出力することができる。図13においては、時刻t5においては、1つのブロックからの読出データRDに対応して、出力データDOUTとして“0”が出力され、次のクロック活性化エッジである時刻t6からは、他の1つのブロックにおける読出データRDに対応して、出力データDOUTとして “1”が出力される動作例が示される。
【0147】
なお、図13においては、クロック信号CLKの活性化エッジにそれぞれ応答して、1回のデータ読出動作を構成する各動作を実行する構成を示したが、本願発明の適用はこのような動作に限定されるものではない。すなわち、クロック信号CLKに応答して、内部でさらにタイミング制御信号を生成して、このタイミング制御信号に応答して、クロック信号CLKの1クロックサイクル内で、図6に示した1回のデータ読出動作を実行する構成としてもよい。このような、1回のデータ読出動作に要するクロックサイクル数(クロック信号CLK)については、1回のデータ読出動作の所要時間と、動作クロックであるクロック信号CLKの周波数との関係に応じて、適宜定めることができる。
【0148】
このように、実施の形態1に従う構成のメモリアレイにおいては、アクセストランジスタATRを共有するために、複数のトンネル磁気抵抗素子TMR(選択メモリセル群)を並列にデータ読出電流が流れるが、選択メモリセルへの所定データ書込の前後でデータ読出をそれぞれ実行して、両者におけるデータ線電圧を比較することによって、当該選択メモリセルに含まれる1個の選択メモリセルの記憶データを抽出して検知することができる。
【0149】
さらに、選択メモリセルに対するデータ読出動作において、リファレンスセルを用いることなく、選択メモリセル群に対するアクセスのみでデータ読出を実行できる。すなわち、同一のメモリセル、同一のビット線、同一のデータ線および同一のセンスアンプ等が含まれる同一のデータ読出経路によって実行される電圧比較に基づいて、セルフリファレンス方式でデータ読出が実行される。
【0150】
この結果、データ読出経路を構成する各回路における製造ばらつきに起因するオフセット等の影響を回避して、データ読出動作を高精度化できる。すなわち、選択メモリセルからのデータ読出を、リファレンスセル等の他のメモリセルや、これに付随するデータ読出回路系との比較に基づいて実行するよりも、製造ばらつき等の影響を排除して、高精度のデータ読出を実行することが可能となる。また、リファレンスセルが不要であるので、各MTJメモリセルにデータ記憶を実行させて、全てのMTJメモリセルを有効ビットとして用いることができる。
【0151】
[実施の形態1の変形例]
図14は、実施の形態1の変形例に従う1回のデータ読出動作を説明するフローチャートである。
【0152】
図14を参照して、実施の形態1の変形例に従うデータ読出動作においては、図6に示したフローチャートと比較して、読出データを確定するステップS160と、データ再書込動作を実行するステップS170との間に、データ再書込動作の要否を判定するステップS165がさらに備えられる点で異なる。
【0153】
ステップS165においては、ステップS160で確定された読出データRDが、所定書込動作2で書込まれたデータ(“0”)と同一であるかどうかが判定される。両者のレベルが同一である場合には、データ再書込動作の実行前において、選択メモリセルの記憶データが、後続のステップS170で再書込しようとするデータ(読出データRD)と既に同じレベルであるため、データ再書込動作を実行する必要がない。
【0154】
このように、データ再書込動作の実行前における選択メモリセルの記憶データが、確定された読出データRDと同一のレベルである場合には、データ再書込動作(ステップS170)をスキップして、1回のデータ読出動作を終了する(ステップS180)。両者が不一致である場合には、実施の形態1と同様に、データ再書込動作を実行する(ステップS170)。この結果、不要な再書込動作を省略して、データ読出動作時の消費電流を削減することが可能となる。
【0155】
なお、実施の形態1およびその変形例においては、所定書込動作1および所定書込動作2において、“1”および“0”をそれぞれ強制的に書込む動作例について説明したが、これらの動作におけるデータレベルの設定は反対であってもよい。すなわち、所定書込動作1において“0”データを書込み、所定書込動作2において“1”データを書込む構成とすることも可能である。
【0156】
また、実施の形態1およびその変形例においては、2種類のデータレベル“1”および“0”のそれぞれに対応した2回ずつの所定書込動作および所定読出動作を、1回のデータ読出動作内で実行する構成について説明したが、いずれか一方のデータレベルのみに対応した、1回ずつの所定書込動作および所定読出動作を1回のデータ読出動作内で実行する構成とすることもできる。
【0157】
このような構成とした場合には、初期データ読出動作でのデータ線電圧と、所定書込動作後における所定読出動作でのデータ線電圧との間に、所定レベル以上の電圧差が生じているかどうかに基づいて、読出データRDを生成する構成とすればよい。たとえば、図5に示したデータ読出回路100において、ノードN3に対応する電圧保持キャパシタ113およびセンスアンプ125の配置を省略するとともに、センスアンプ130への入力の一方を中間的な基準電圧とすれば、このようなデータ読出を実行することができる。これにより、データ読出回路100の部品点数を削減して、小面積化および低コスト化を図ることができる。
【0158】
[実施の形態2]
実施の形態2においては、実施の形態1で示したメモリアレイ構成に対して、より簡略化された構成のデータ読出回路を用いて、セルフリファレンス方式のデータ読出を実行する構成について説明する。
【0159】
図15は、実施の形態2に従うデータ読出動作の原理を説明するための概念図である。図15には、MTJメモリセルに対して供給されるデータ書込電流および、MTJメモリセルの電気抵抗の関係(ヒステリシス特性)が示される。
【0160】
図15を参照して、横軸には、ビット線を流れるビット線電流I(BL)が示され、縦軸にはMTJメモリセルの電気抵抗Rcellが示される。ビット線電流I(BL)によって生じる磁界は、MTJメモリセルの自由磁化層VLにおいて、磁化容易軸方向(EA)に沿った方向を有する。一方、ライトディジット線WDLを流れるディジット線電流I(WDL)によって生じる磁界は、自由磁化層VLにおいて、磁化困難軸方向(HA)に沿った方向を有する。
【0161】
したがって、ビット線電流I(BL)が、自由磁化層VLの磁化方向を反転させるためのしきい値を超えると、自由磁化層VLの磁化方向が反転されて、メモリセル抵抗Rcellが変化する。図15においては、プラス方向のビット線電流I(BL)がしきい値を超えて流された場合にはメモリセル抵抗Rcellが最大値Rmaxとなり、マイナス方向のビット線電流I(BL)がしきい値を超えて流された場合には、メモリセル抵抗Rcellが最小値Rminとなる。このようなビット線電流I(BL)のしきい値は、ライトディジット線WDLを流れる電流I(WDL)によって異なる。
【0162】
まず、ライトディジット線WDLを流れるディジット線電流I(WDL)=0である場合におけるメモリセル抵抗Rcellのヒステリシス特性が、図12中に点線で示される。この場合における、ビット線電流I(BL)のプラス方向およびマイナス方向のしきい値を、それぞれIt0および−It0とする。
【0163】
これに対して、ライトディジット線WDLに電流が流される場合には、ビット線電流I(BL)のしきい値が低下する。図15には、ディジット線電流I(WDL)=Ipである場合のメモリセル抵抗Rcellのヒステリシス特性が実線で示される。ディジット線電流I(WDL)によって生じる磁化困難軸方向の磁界の影響によって、ビット線電流I(BL)のプラス方向およびマイナス方向のしきい値は、それぞれIt1(It1<It0)および−It1(−It1>−It0)に変化する。このヒステリシス特性は、データ書込動作時におけるメモリセル抵抗Rcellの挙動を示している。したがって、データ書込動作時におけるビット線電流I(BL)、すなわちデータ書込電流+Iwおよび−Iwは、It1<+Iw<It0および−It0<−Iw<−It1の範囲に設定されている。
【0164】
一方、データ読出動作時におけるビット線電流I(BL)、すなわちデータ読出電流Isは、選択メモリセルや寄生容量等をRC負荷として接続されたデータ線DIOの充電電流として流れるので、データ書込時におけるビット線電流I(BL)、すなわちデータ書込電流±Iwと比較すると、2〜3桁小さいレベルとなるのが一般的である。したがって、図15中では、データ読出電流Is≒0とみなすことができる。
【0165】
データ読出前の状態においては、図15中における(a)または(c)の状態、すなわち選択メモリセルが電気抵抗RminまたはRmaxのいずれかを有するように、トンネル磁気抵抗素子TMR中の自由磁化層の磁化方向が設定されている。
【0166】
図16は、図15に示した各状態におけるトンネル磁気抵抗素子の磁化方向を説明する概念図である。
【0167】
図16(a)は、図15(a)における状態の磁化方向を示している。この状態においては、自由磁化層VLの磁化方向と、固定磁化層FLの磁化方向とは平行であるので、メモリセル抵抗Rcellは、最小値Rminに設定される。
【0168】
図16(c)は、図15(c)における状態の磁化方向を示している。この状態においては、自由磁化層VLの磁化方向と、固定磁化層FLの磁化方向とは反平行(逆方向)であるので、メモリセル抵抗Rcellは、最大値Rmaxに設定される。
【0169】
この状態から、ライトディジット線WDLに対して所定電流(たとえばデータ書込電流Ip)を流すと、自由磁化層VLの磁化方向は、反転される状態には至らないものの、ある程度回転されて、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗Rcellが変化する。
【0170】
たとえば、図16(b)に示されるように、図16(a)の磁化状態から、ディジット線電流I(WDL)による磁化困難軸(HA)方向の所定バイアス磁界がさらに印加された場合には、自由磁化層VLの磁化方向は、いくらか回転して、固定磁化層FLの磁化方向と所定の角度を成すようになる。これにより、図16(b)に対応する磁化状態では、メモリセル抵抗Rcellは、最小値RminからRm0に上昇する。
【0171】
同様に、図16(c)の磁化状態から、同様の所定バイアス磁界がさらに印加された場合には、自由磁化層VLの磁化方向はいくらか回転して、固定磁化層FLの磁化方向と所定の角度を成すようになる。これにより、図16(d)に対応する磁化状態では、メモリセル抵抗Rcellは、最大値RmaxからRm1に下降する。
【0172】
このように、磁化困難軸(HA)方向のバイアス磁界を印加することによって、最大値Rmaxに対応するデータを記憶するMTJメモリセルのメモリセル抵抗Rcellが低下する一方で、最小値Rminに対応するデータを記憶するMTJメモリセルのメモリセル抵抗Rcellは上昇する。
【0173】
このように、ある記憶データが書込まれたMTJメモリセルに対して、磁化困難軸方向のバイアス磁界を印加すれば、記憶データに応じた極性の電気抵抗の変化をメモリセル抵抗Rcellに生じさせることができる。すなわち、バイアス磁界の印加に応答して生じるメモリセル抵抗Rcellの変化は、記憶データレベルに応じて、異なる極性を有する。実施の形態2においては、このようなMTJメモリセルの磁化特性を利用したデータ読出を実行する。
【0174】
図17は、実施の形態2に従う読出/書込制御回路の構成を示す回路図である。
【0175】
図17を参照して、実施の形態2に従う構成においては、図2に示した実施の形態1に従う構成と比較して、読出/書込制御回路30が、データ読出回路100に代えてデータ読出回路200を含む点と、スイッチ回路160の配置が省略される点とが異なる。メモリアレイ10を始めとするその他の部分の構成は、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0176】
データ読出回路200は、データ線DIOとノードN1およびN2との間に設けられるスイッチ回路210と、ノードN1およびN2にそれぞれ対応して設けられる電圧保持キャパシタ211および212と、センスアンプ220および230と、ラッチ回路240とを有する。
【0177】
スイッチ回路210は、1回のデータ読出動作において、ノードN1およびN2のうちの順番に選択される1個ずつを、データ線DIOと接続する。電圧保持キャパシタ211および212は、ノードN1およびN2のそれぞれの電圧を保持するために設けられる。
【0178】
センスアンプ220は、ノードN1およびN2の電圧差を増幅する。2段目のセンスアンプ230は、センスアンプ220の出力をさらに増幅してラッチ回路240に伝達する。ラッチ回路240は、所定タイミングにおけるセンスアンプ230の出力をフル振幅まで増幅するとともにラッチして、選択メモリセルの記憶データに応じたレベルを有する読出データRDをノードNrへ出力する。
【0179】
実施の形態2に従う1回のデータ読出動作は、実施の形態1における初期データ読出動作に相当する第1の読出動作と、選択列のライトディジット線WDLにバイアス電流を流した状態で実行される第2の読出動作とから構成される。特に、データ書込時にライトディジット線WDLを流されるデータ書込電流Ipを当該バイアス電流としても用いることができる。この場合には、データ読出時にバイアス電流を供給するための回路を新たに配置する必要がないので、回路構成を簡略化できる。
【0180】
第1の読出動作においては、選択メモリセルに対応するライトディジット線WDLに電流が流されていない状態(I(WDL)=0)、すなわち、選択メモリセルの磁化方向がデータ読出動作前と同様である状態において、共通のストラップに結合された選択メモリセル群を対象とするデータ読出が実行される。スイッチ回路210は、データ線DIOとノードN1とを接続する。これにより、第1の読出動作におけるデータ線電圧は、電圧保持キャパシタ211によって、ノードN1に保持される。
【0181】
次に、第2の読出動作においては、選択行に対応するライトディジット線WDLにバイアス電流を流した状態(I(WDL)=Ip)で、すなわち、選択メモリセルに対して磁化困難軸方向に沿った所定のバイアス磁界が作用した状態で、選択メモリセル群を対象とするデータ読出が実行される。
【0182】
第2のデータ読出時において、スイッチ回路210は、データ線DIOをノードN2と接続する。したがって、第2のデータ読出時におけるデータ線電圧は、ノードN2に伝達され、電圧保持キャパシタ212によって保持される。
【0183】
既に説明したように、このようなバイアス磁界を作用させることによって、選択メモリセルのメモリセル抵抗Rcellは、第1の読出動作時、すなわちデータ読出動作前から、記憶データレベルに応じた極性で変化する。これにより、第2の読出動作時におけるデータ線DIOの電圧は、選択メモリセルの記憶データに応じて、第1の読出動作時よりも上昇あるいは下降する。
【0184】
具体的には、選択メモリセルに電気抵抗Rmaxに対応する記憶データ(たとえば“1”)が記憶されている場合には、第1の読出動作時よりも第2の読出動作時の方が、データ線電圧は高くなる。これは、ディジット線電流I(WDL)によるバイアス磁界の作用によって選択メモリセルのメモリセル抵抗Rcellが小さくなるのに応じて、選択メモリセル群の通過電流が増加するためである。これに対して、選択メモリセルに電気抵抗Rminに対応する記憶データ(たとえば“0”)が記憶されている場合には、第1の読出動作時よりも第2の読出動作時の方が、データ線電圧は低くなる。これは、ディジット線電流I(WDL)によるバイアス磁界の作用によって選択メモリセルのメモリセル抵抗Rcellが大きくなるのに応じて、選択メモリセル群の通過電流が減少するためである。
【0185】
センスアンプ220は、ノードN1およびN2にそれぞれ保持された電圧、すなわち第1および第2の読出動作のそれぞれにおけるデータ線電圧を比較する。第2の読出動作の実行後に、センスアンプ220の出力をさらに増幅するセンスアンプ230の出力をラッチ回路240によって増幅およびラッチして読出データRDを生成することにより、読出データRDは、選択メモリセルの記憶データに応じたレベルを有することになる。
【0186】
このように、実施の形態2に従う構成においては、実施の形態1に従う構成のように所定レベルの記憶データを強制的に書込む所定書込動作およびこれに伴う所定読出動作を必要としない。
【0187】
また、ライトディジット線WDLを流れるバイアス電流(データ書込電流Ip)によって選択メモリセルに印加される磁界によっては、トンネル磁気抵抗素子TMRの磁化方向は反転されない。したがって、バイアス磁界を消滅させた時点において、選択メモリセルの磁化方向は、データ読出動作前と同一の状態に復帰するので、1回のデータ読出動作において、実施の形態1のようなデータ再書込動作も不要である。
【0188】
この結果、ライトドライバ制御回路150は、コントロール回路5の指示に応じて、データ書込動作の書込シーケンスにのみ従って動作する。また、読出データRDをライトドライバ制御回路150に伝達するためのスイッチ回路160の配置は不要となり、ライトドライバ制御回路150は、データ入力端子4bへの入力データDINに基づいて、書込制御信号WDTaおよびWDTbを生成すればよい。
【0189】
図18は、実施の形態2に従うデータ読出動作を説明する動作波形図である。
図18を参照して、実施の形態2に従う1回のデータ読出動作は、たとえばクロック信号CLKに同期して実行させることができる。
【0190】
すなわち、クロック信号CLKの活性化エッジである時刻t0において、チップセレクト信号CSおよびリードコマンドRCが取込まれると、初期データ読出動作に相当する第1の読出動作が実行される。第1の読出動作においては、選択行ブロックのワード線WLが活性化されるとともに、選択列のビット線BLにはデータ読出電流Isが供給される。データ読出電流Isによってデータ線DIOに生じた電圧、すなわち、選択メモリセルの磁化方向がデータ読出動作前と同様である状態で、選択メモリセル群をデータ読出電流Isが通過したときのデータ線電圧は、ノードN1に伝達され、保持される。
次のクロック活性化エッジに対応する時刻t1から、第2の読出動作が実行される。すなわち、選択行のライトディジット線WDLに対して、データ書込電流Ipと同等のバイアス電流が流された状態で、選択行のワード線WLが活性化されるとともに、選択列のビット線BLに対してデータ読出電流Isが供給される。この結果、選択メモリセルに所定のバイアス磁化が印加された状態で、選択メモリセル群をデータ読出電流Isが通過したときのデータ線電圧は、ノードN2に伝達され保持される。したがって、第2の読出動作以後において、ノードN1およびN2の電圧比較に基づいて読出データRDを生成することができる。
【0191】
さらに、次のクロック活性化エッジに相当する時刻t2より、読出データRDに応じた出力データDOUTがデータ出力端子4aから出力される。
【0192】
なお、実施の形態2に従う構成においても、図13で説明したのと同様に、図17に示された、1ビットのデータ読出およびデータ書込を実行するための構成を1つのブロックとして、MRAMデバイスを複数のブロックから構成することもできる。この場合においても、各ブロックに対して同様のデータ読出動作を並列に実行することにより、時刻t1から実行される第2の読出動作によって、各ブロックにおいて選択メモリセルからの読出データRDを生成することができる。したがって、次のクロック活性化エッジに相当する時刻t2から、複数ブロックのそれぞれからの読出データRDを、バースト的に出力データDOUTとして出力することができる。図18においては、時刻t2において、1つのブロックからの読出データRDに対応して、“0”が出力データDOUTとして出力され、次のクロック活性化エッジである時刻t3からは、他の1つのブロックにおける読出データRDに対応して、“1”が出力データDOUTとしてが出力される動作例が示される。
【0193】
なお、図18においても、クロック信号CLKの活性化エッジにそれぞれ応答して、1回のデータ読出動作を構成する各動作を実行する構成を示したが、本願発明の適用はこのような動作に限定されるものではない。すなわち、クロック信号CLKに応答して、内部でさらにタイミング制御信号を生成して、このタイミング制御信号に応答して、クロック信号CLKの1クロックサイクル内で、実施の形態2に従う1回のデータ読出動作を実行する構成としてもよい。既に説明したように、1回のデータ読出動作に要するクロックサイクル数(クロック信号CLK)については、1回のデータ読出動作の所要時間と、動作クロックの周波数との関係に応じて、適宜定めることができる。
【0194】
このように、実施の形態2に従う構成によれば、実施の形態1と同様のメモリアレイに対して、セルフリファレンス方式で高精度のデータ読出を実行できる。さらに、データ読出回路におけるセンスアンプの配置個数を減少し、かつ比較の対象となる電圧の数を減少させることができるので、データ読出回路の部品点数削減による小面積化および低コスト化とともに、電圧比較動作におけるオフセットの影響を軽減して、データ読出動作のさらなる高精度化を図ることができる。
【0195】
さらに、データ読出動作における選択メモリセルへのデータ再書込動作が不要となるので、実施の形態1に従うデータ読出動作よりも高速化が可能となる。
【0196】
[実施の形態2の変形例]
図19は、実施の形態2の変形例に従う読出/書込制御回路の構成を示す回路図である。
【0197】
図19を参照して、実施の形態2の変形例に従う構成においては、図17に示した実施の形態2に従う構成と比較して、読出/書込制御回路30は、データ読出回路200に代えてデータ読出回路400を備える点で異なる。その他の部分の構成および動作については、実施の形態2と同様であるので詳細な説明は繰返さない。
【0198】
データ読出回路400は、データ線DIOおよびノードNfの電圧差を増幅するセンスアンプ410と、センスアンプ410の出力をノードNfにフィードバックするための負帰還スイッチ420と、ノードNfの電圧を保持するための電圧保持キャパシタ425と、センスアンプ410の出力をさらに増幅するためのセンスアンプ430と、センスアンプ430の出力を所定のタイミングで増幅およびラッチして、ノードNrへ読出データRDを生成するラッチ回路440とを含む。
【0199】
実施の形態2の変形例に従うデータ読出動作においては、ディジット線電流I(WDL)=0であり、かつ、負帰還スイッチ420がオンされた状態において、選択メモリセルに対応するワード線WLおよびリードコラム選択線RCSLがHレベルに活性化される。これにより、選択メモリセルを含む選択メモリセル群に対して、実施の形態2における第1の読出動作と同様のデータ読出が実行される。
【0200】
第1の読出動作においては、センスアンプ410における負帰還によって、ノードNfの電圧は、データ線DIOの電圧へ、すなわち選択メモリセルの記憶データに応じた電圧へ近づいていく。ノードNfの電圧が、安定した状態に達すると、負帰還スイッチ420がオフされる。
【0201】
負帰還スイッチ420がオフされた後に、選択メモリセルに対応するワード線WLおよびリードコラム選択線RCSLの活性状態が維持された状態で、さらに、選択行のライトディジット線WDLに対してバイアス電流が徐々に流され始める。これに応じて、選択メモリセルに対して所定のバイアス磁界が印加された状態下で、選択メモリセル群に対して実施の形態2における第2の読出動作と同様のデータ読出を実行できる。
【0202】
この結果、選択メモリセルのメモリセル抵抗Rcellが、記憶データレベルに応じた極性で変化する。これに応じて、データ線DIOの電圧も、選択メモリセルの記憶データレベルに応じて、徐々に上昇あるいは下降していく。
【0203】
したがって、センスアンプ410の出力も、選択メモリセルの記憶データレベルに応じて異なる極性を有することになる。この結果、負帰還スイッチ420がオフされ、かつライトディジット線WDLにバイアス電流Ipが流された後の所定タイミングにおけるセンスアンプ410の出力に応じて、選択メモリセルの記憶データレベルに対応したレベルを有する読出データRDを生成できる。このように、実施の形態2の変形例に従うデータ読出動作においては、実施の形態2における第1および第2の読出動作が連続的に実行される。
【0204】
このような構成とすることにより、実施の形態2と同様に、高精度かつ高速のデータ読出を実行することができる。さらに、実施の形態2の変形例に従う構成においては、単一のセンスアンプ410の負帰還を用いて、選択メモリセルの記憶データに応じたデータ線電圧を得ることができるので、センスアンプでのオフセットを抑制して、データ読出をさらに高精度化することができる。
【0205】
[実施の形態3]
実施の形態3においては、MTJメモリセルをさらに効率的に配置したメモリアレイの構成について説明する。
【0206】
図20は、実施の形態3に従うメモリアレイの構成例を詳細に示す回路図である。
【0207】
図20には、各行ブロックRBが8個のメモリセル行を有する場合、すなわち、L=8の場合におけるメモリアレイ構成が示される。したがって、同一のストラップSLは、8個のトンネル磁気抵抗素子TMRと結合されている。さらに、実施の形態3に従う構成においては、隣接する2個ずつの行ブロックに対応するアクセストランジスタATRは、隣接して配置される。
【0208】
図20には、隣接する行ブロックRB(1)およびRB(2)に対応する部分の構成が代表的に示される。ビット線BL1に対応する第1番目のメモリセル列においては、行ブロックRB(1),RB(2)…に対応して、ストラップSL11,SL12…およびアクセストランジスタATR11,ATR12…がそれぞれ配置される。行ブロックRB(1)に対応するアクセストランジスタ群の各ゲートはワード線WL(1)と接続され、行ブロックRB(2)に対応するアクセストランジスタ群の各ゲートはワード線WL(2)と接続される。
【0209】
各メモリセル列において、アクセストランジスタATR11に代表される行ブロックRB(1)に対応するアクセストランジスタ群は、アクセストランジスタATR12に代表される行ブロックRB(2)に対応するアクセストランジスタとそれぞれ隣接して設けられる。図示しないが、たとえば、次の2個の行ブロックRB(3)およびRB(4)にそれぞれ対応するアクセストランジスタ群についても、これらの行ブロック間の領域に隣接して配置される。
【0210】
図21は、実施の形態3に従うメモリアレイにおけるMTJメモリセルのレイアウト例を示す図である。
【0211】
図21においては、2つの行ブロックの境界部分の構成が代表的に示される。同一のメモリセル列において、隣接する2個の行ブロックにそれぞれ対応するストラップSLaおよびSLbの断面図P−Qを参照して、ストラップSLaおよびSLbにそれぞれ対応するアクセストランジスタATRaおよびATRbは、これらの行ブロックの境界線に対して対称的に配置される。すなわち、アクセストランジスタATRaのソース/ドレイン領域310a,320aおよびゲート330aと、アクセストランジスタATRbのソース/ドレイン領域310b,320bおよびゲート330bとは、水平方向に対称配置されている。
これにより、アクセストランジスタATRの配置領域を、実施の形態1に従うメモリアレイ構成よりも削減して、さらに小面積化を図ることができる。さらに、隣接するストラップSLa,SLbを完全な矩形状とするのではなく、境界部を斜め形状にすることによって、これらの配置ピッチを縮小して、さらにメモリアレイを小面積化できる。このような、ストラップ形状の調整は、ストラップ形成時に用いられるマスク形状によって適宜設計することができる。
【0212】
実施の形態3に従うメモリアレイに対するデータ書込およびデータ読出は、実施の形態1,2およびそれらの変形例と同様に実行できるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0213】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0214】
【発明の効果】
請求項1および2の薄膜磁性体記憶装置は、磁気抵抗素子とアクセストランジスタ等の他の素子との間を電気的に結合するために設けられるレイアウト制約の厳しいコンタクトホールを第2信号線ごとに設ければよく、各磁気抵抗素子ごとに配置する必要がない。したがって、メモリアレイの小面積化を図ることができる。また、複数の磁気抵抗素子によって1個のアクセストランジスタを共有できるので、アクセストランジスタの配置個数を削減できる。また、アクセストランジスタを効率的に配置できるので、メモリアレイをさらに小面積化することができる。
【0216】
請求項3に記載の薄膜磁性体記憶装置は、第2信号線の配置ピッチを縮小できるので、メモリアレイをさらに小面積化することができる。
【0217】
請求項4および11に記載の薄膜磁性体記憶装置は、請求項1に従う薄膜磁性体記憶装置が奏する効果に加えて、同一の第2信号線と接続されるL個の磁気抵抗素子へのアクセスによって、L個の磁気抵抗素子のうちの1個の選択磁気抵抗素子の記憶データを抽出して読出すことができる。さらに、リファレンスセルを用いないセルフリファレンス方式によってデータ読出を実行するので、同一の磁気抵抗素子群およびデータ線等が含まれる同一のデータ読出経路によって得られた電圧間の比較に基づいてデータ読出を実行できる。したがって、データ読出経路を構成する各回路における製造ばらつきに起因するオフセット等の影響を回避して、データ読出動作を高精度化できる。
【0218】
請求項5および6に記載の薄膜磁性体記憶装置は、1回のデータ読出動作内に、選択磁気抵抗素子への所定レベルのデータ書込前および書込後のそれぞれにデータ読出を実行し、両者の比較によって、請求項4に記載の薄膜磁性体記憶装置が奏する効果を享受する。さらに、1回のデータ読出動作内において、読出データを選択磁気抵抗素子に再書込するので、選択磁気抵抗素子の状態を、データ読出動作前の状態に復帰させることができる。
【0219】
請求項7に記載の薄膜磁性体記憶装置は、再書込動作の実行前における選択磁気抵抗素子の記憶データが、確定された読出データと同一のレベルである場合には、再書込動作を中止する。この結果、請求項5または6に記載の薄膜磁性体記憶装置が奏する効果に加えて、不要な再書込動作を省略して、データ読出動作時の消費電流を削減することが可能となる。
【0220】
請求項8に記載の薄膜磁性体記憶装置は、選択磁気抵抗素子に対する所定レベルのデータ書込を伴うことなく、セルフリファレンス方式に基づく高精度のデータ読出を実行できる。したがって、請求項4に記載の薄膜磁性体記憶装置が奏する効果に加えて、データ読出動作における選択磁気抵抗素子への再書込動作が不要であるので、データ読出動作の高速化を図ることができる。
【0221】
請求項9に記載の薄膜磁性体記憶装置は、データ書込時に磁化困難軸方向に沿った所定の磁界を発生させるためライトディジット線を用いて、データ読出動作に必要なバイアス磁界を印加することができる。したがって、バイアス磁界を供給するための回路を新たに配置する必要がないので、請求項8に記載の薄膜磁性体記憶装置が奏する効果に加えて、回路構成を簡略化できる。
【0222】
請求項10に記載の薄膜磁性体記憶装置は、センスアンプの負帰還を用いて、選択磁気抵抗素子からの記憶データに応じたデータ線電圧を得ることができる。したがって、請求項4に記載の薄膜磁性体記憶装置が奏する効果に加えて、センスアンプで生じるオフセットを抑制して、データ読出をさらに高精度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に従うMRAMデバイスの全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】 実施の形態1に従うメモリアレイの構成例を詳細に示す回路図である。
【図3】 実施の形態1に従うメモリアレイにおけるMTJメモリセルのレイアウト例を示す図である。
【図4】 アクセストランジスタATRの共有によるメモリアレイの小面積効果を説明する図である。
【図5】 実施の形態1に従うメモリアレイに対してデータ読出動作およびデータ書込動作を実行するための回路群の構成を示す回路図である。
【図6】 実施の形態1に従うメモリアレイに対する1回のデータ読出動作を説明するフローチャートである。
【図7】 初期データ読出動作時における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【図8】 所定書込動作1における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【図9】 所定読出動作1における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【図10】 所定書込動作2における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【図11】 所定読出動作2における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【図12】 データ再書込動作における読出/書込制御回路の動作を説明する回路図である。
【図13】 実施の形態1に従うメモリアレイに対するデータ読出動作を説明する動作波形図である。
【図14】 実施の形態1の変形例に従う1回のデータ読出動作を説明するフローチャートである。
【図15】 実施の形態2に従うデータ読出動作の原理を説明するための概念図である。
【図16】 図15に示した各状態におけるトンネル磁気抵抗素子の磁化方向を説明する概念図である。
【図17】 実施の形態2に従う読出/書込制御回路の構成を示す回路図である。
【図18】 実施の形態2に従うデータ読出動作を説明する動作波形図である。
【図19】 実施の形態2の変形例に従う読出/書込制御回路の構成を示す回路図である。
【図20】 実施の形態3に従うメモリアレイの構成例を詳細に示す回路図である。
【図21】 実施の形態3に従うメモリアレイにおけるMTJメモリセルのレイアウト例を示す図である。
【図22】 MTJメモリセルの構成を示す概略図である。
【図23】 MTJメモリセルに対するデータ書込動作を説明する概念図である。
【図24】 データ書込電流と自由磁化層VLの磁化との関係を示す概念図である。
【図25】 MTJメモリセルからのデータ読出を説明する概念図である。
【図26】 半導体基板上に作製されたMTJメモリセルの構造図である。
【符号の説明】
1 MRAMデバイス、10 メモリアレイ、20 行選択回路、25 列選択回路、30,35 読出/書込制御回路、80,85,90,95 トランジスタスイッチ、100,200,400 データ読出回路、105 データ読出電流供給回路、110,160,210, スイッチ回路、111〜113,211,212,425 電圧保持キャパシタ、120,125,130,220,230,410,430 センスアンプ、140,240,440 ラッチ回路、150 ライトドライバ制御回路、310,320 ソース/ドレイン領域、330 ゲート領域、340,341 コンタクトホール、420 負帰還スイッチ、ADD アドレス信号、ATR,ATRa,ATRb アクセストランジスタ、BL,BL1,BL2 ビット線、DIO データ線、DOUT 出力データ、Ip データ書込電流(バイアス電流)、MC メモリセル、RB(1)〜RB(M) 行ブロック、Rd,Rd# デコード信号、SL,SL11,SL12,SLa,SLb ストラップ、TMR トンネル磁気抵抗素子、WDL ライトディジット線、WL,WL1,WL2 ワード線。

Claims (11)

  1. 平面的に行列状に配置された複数の磁気抵抗素子を含み、L個(ただし、Lは2以上の整数である)の磁気抵抗素子行毎に複数の行ブロックに分割されメモリアレイと
    それぞれ複数の磁気抵抗素子列に対応して列方向に沿って前記複数の行ブロックに共通に配置され複数の第1信号線と、
    それぞれ前記複数の磁気抵抗素子列に対応して列方向に沿って前記行ブロック毎に配置され複数の第2信号線とを備え、
    各磁気抵抗素子列のうちの各行ブロックに含まれるL個の磁気抵抗素子は、対応する第1信号線と第2信号線の間に並列に接続され、
    さらに、それぞれ前記複数の行ブロックに対応して設けられ、各々がデータ読出し時の行選択結果に応じて選択的に活性化される複数のワード線と、
    それぞれ前記複数の第2信号線に対応して設けられ、各々が、対応の第2信号線と固定電位の間に接続され、ゲートが対応のワード線に接続される複数のアクセストランジスタとを備え、
    前記複数のアクセストランジスタは、前記複数のワード線の各ワード線に接続されるアクセストランジスタ毎に群を成して対応の行ブロックの磁気抵抗素子行に並列に配置され、かつ、前記複数の行ブロックのうちの隣接する第1および第2の行ブロックに対応するアクセストランジスタ群は、前記第1および第2の行ブロックの間の領域に互いに隣接して配置される、薄膜磁性体記憶装置。
  2. 前記第1および第2の行ブロックに対応するアクセストランジスタ群は前記第1および第2の行ブロックの境界線に対して対称的に配置される、請求項1に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  3. 前記複数の第2信号線は、前記第1および第2の行ブロック間の境界で斜め形状に分離される、請求項に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  4. 回のデータ読出動作内に少なくとも1回設けられる所定期間において、アクセス対象に選択された選択磁気抵抗素子に対応する第2信号線は、第1の電圧と結合され、
    前記薄膜磁性体記憶装置は、
    各前記所定期間において、前記選択磁気抵抗素子に対応する第1信号線と電気的に結合されるデータ線と、
    各前記所定期間において、前記データ線を第2の電圧と結合する読出電流供給回路と、
    前記選択磁気抵抗素子の記憶データに応じた読出データを生成するためのデータ読出回路とを備え、
    前記データ読出回路は、
    前記選択磁気抵抗素子が前記データ読出動作前と同様の磁化方向を有する第1の状態で設けられた前記所定期間における前記データ線の電圧を第1の内部ノードに保持するための第1の電圧保持部と、
    所定磁界が印加されて前記選択磁気抵抗素子の磁化方向が前記第1の状態から変化する第2の状態で設けられた前記所定期間における前記データ線の電圧と、前記第1の内部ノードとの電圧との差に応じて前記読出データを生成する電圧比較部とを有する、請求項1に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  5. 前記薄膜磁性体記憶装置は、前記複数の磁気抵抗素子のうちの1つに対して、前記記憶データを書込むためのデータ書込磁界を印加する書込制御回路をさらに備え、
    前記選択磁気抵抗素子は、前記1回のデータ読出動作において、前記第1の状態の後に、前記書込制御回路によって所定レベルの記憶データを書込まれて前記第2の状態へ変化し、
    前記書込制御回路は、前記1回のデータ読出動作内において、生成された前記読出データと同一のレベルの前記記憶データを前記選択磁気抵抗素子に再書込する、請求項4に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  6. 前記選択磁気抵抗素子は、前記第2の状態の後に、前記書込制御回路によって、前記所定レベルとは異なるレベルの記憶データを書込まれて第3の状態へ変化し、
    前記データ読出回路は、前記第2の状態での前記所定期間における前記データ線の電圧を第2の内部ノードに保持するための第2の電圧保持部をさらに有し、
    前記電圧比較部は、前記第1および第2の内部ノードの電圧、ならびに、前記第3の状態での前記所定期間における前記データ線の電圧に応じて、前記読出データを生成する、請求項5に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  7. 前記書込制御回路は、前記再書込の実行前における前記選択磁気抵抗素子の記憶データと、前記生成された読出データのレベルとが同一である場合には、前記再書込を中止する、請求項5または請求項6に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  8. 各前記磁気抵抗素子は、前記記憶データに応じて、磁化容易軸方向に沿った方向に磁化され、
    前記薄膜磁性体記憶装置は、前記選択磁気抵抗素子に対して、磁化困難軸方向に沿った所定のバイアス磁界を印加するためのバイアス磁界印加部をさらに備え、
    前記選択磁気抵抗素子は、前記バイアス磁界の印加時において、前記第1の状態から前記第2の状態に変化する、請求項4に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  9. バイアス磁界印加部は、
    複数の磁気抵抗素子行にそれぞれ対応して配置される複数のライトディジット線と、
    行選択結果に応じて、選択行に対応するライトディジット線を活性化するための行ドライバとを含み、
    データ書込動作において、前記行ドライバによって活性化されたライトディジット線には、前記磁化困難軸方向に沿った所定の磁界を発生させるための電流が流され、
    前記行ドライバ部は、前記データ読出時の前記第2の状態において、前記選択行に対応するライトディジット線を、前記データ書込動作時と同様に活性化する、請求項8に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  10. 前記電圧比較部は、
    前記選択磁気抵抗素子と電気的に結合されたデータ線の電圧と第1の内部ノードとの電圧差を増幅するためのセンスアンプと、
    前記第1の状態において、前記センスアンプの出力ノードと前記第1の内部ノードとを接続するとともに、前記第2の状態において、前記センスアンプの出力ノードと前記第1の内部ノードとを切離すスイッチ回路と、
    前記第2の状態において、前記出力ノードの電圧に応じて前記読出データを生成する読出データ生成回路とを有する、請求項4に記載の薄膜磁性体記憶装置。
  11. 前記複数の磁気抵抗素子の全ては、有効ビットとしてデータ記憶を実行する、請求項4に記載の薄膜磁性体記憶装置。
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