JP4082082B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイ装置は、視認性に優れた薄型の表示デバイスとして注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【0003】
このプラズマディスプレイ装置には、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、AC型で面放電型のプラズマディスプレイ装置が主流を占めるようになってきている。このプラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルは、間に放電空間が形成されるように一対の基板を対向配置し放電空間にネオンおよびキセノン等の放電ガスを封入して構成されており、一方の基板上には誘電体層で覆われた走査電極および維持電極が形成され、もう一方の基板上には走査電極および維持電極と交差する方向に配列されたデータ電極や、隔壁、蛍光体層が形成されている。
【0004】
このような電極や隔壁は例えばストライプ形状のような所定の形状を有しており、高精細な画像表示のニーズの高まりに対応して高精細なパターン形状を形成できるように次のような方法により電極や隔壁を形成している。すなわち、スピンコータ、ロールコータ、スクリーン印刷、ダイコート等の方法により電極材料や隔壁材料を含むスラリーやペーストを基板上に塗布して乾燥させ、次にフォトリソ法やサンドブラスト法等の方法により不要な部分を除去して所定のパターン形状に成形した後、焼成することによって基板上に電極や隔壁を形成している。
【0005】
このように、スラリーやペーストを塗布して乾燥させた後に所定のパターン形状にするための加工を施すという工法が多く用いられるようになっており、スラリーやペーストを乾燥させる乾燥工程と焼成する焼成工程は区分されているのが一般的である。そのため、誘電体層のように乾燥工程と焼成工程との間で所定のパターン形状にするための加工を必要としない場合であっても、乾燥工程と焼成工程とを区分し、乾燥工程では乾燥炉を使用し、焼成工程では焼成炉を使用している。すなわち、基板上に誘電体層を形成する場合、基板上に誘電体ペーストを塗布した後、その基板を乾燥炉に投入して誘電体ペーストを乾燥させ、次に乾燥炉から取り出した基板を焼成炉に投入して誘電体ペーストを焼成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように乾燥炉および焼成炉を用いて誘電体層を形成した場合、誘電体層に亀裂や直径1μm〜20μm程度のピンホールのような欠陥が発生することがあった。誘電体層にこのような欠陥が存在すれば、プラズマディスプレイパネルを動作させたときその欠陥部分において絶縁耐圧が不足して過電流が発生し、プラズマディスプレイパネルとその駆動回路が破壊されるという課題があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、誘電体層に欠陥が発生することを抑制し、安定して動作するプラズマディスプレイパネルを得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、誘電体層を形成する工程について鋭意検討を重ねた結果、誘電体層に欠陥が発生する原因についての知見を得て、本発明に至ったものである。次に、本発明者らが考察した欠陥の発生過程について説明する。
【0009】
誘電体層を形成するために基板上に塗布する誘電体ペーストは、ガラス等の誘電体材料、バインダおよび溶剤を含んだものであり、基板上に塗布した誘電体ペーストを昇温して乾燥させると溶剤が揮発し、誘電体材料の粒子間はバインダによって結着される。続いて温度を上げればバインダが除去され、さらに高温にすることで誘電体材料が焼結して誘電体層が得られる。しかしながら、誘電体ペーストを昇温して乾燥させた後、温度がある程度以上低下すると、誘電体材料の収縮量とバインダの収縮量との間に差があるためにバインダによる誘電体材料の粒子間の結着力が低下するかあるいは結着がはずれることで大きな歪みが発生し、その状態で温度を上げて焼成を行うとその歪みによって誘電体層に欠陥が生じるものと考えられる。
【0010】
従来の製造方法では、基板上に誘電体ペーストを塗布した後、その基板を乾燥炉に投入して誘電体ペーストを乾燥させ、次に乾燥炉から取り出した基板を焼成炉に投入して誘電体ペーストを焼成しており、基板を乾燥炉から取り出すときには基板の温度は常温程度にまで下がっている。このため、前述したように乾燥した誘電体ペースト中に歪みが発生し、この歪みによって誘電体層に欠陥が生じるものと考えられる。このことから、乾燥から焼成に至る間の基板の温度低下を制御することにより、誘電体層に欠陥が発生することを抑制することができるという知見が得られ、このような知見に基づき本発明に至ったものである。
【0011】
本発明は、間に放電空間が形成されるように一対の基板を対向配置することにより構成されたプラズマディスプレイパネルの製造方法において、基板上に誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む材料を塗布して誘電体材料層を形成し、この誘電体材料層を形成した基板を、乾燥温度に昇温して前記誘電体材料層を乾燥させた後、前記誘電体材料が焼結する焼結温度に昇温して前記誘電体材料層を焼成することにより基板上に誘電体層を形成する際、基板の温度が前記乾燥温度に達してから前記焼結温度に達するまでの間に、前記基板の温度が前記乾燥温度の60%未満の温度にならないように構成したものである。この方法によれば、誘電体層に欠陥が生じることを抑制することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0013】
まず、プラズマディスプレイ装置におけるプラズマディスプレイパネルについて図1を用いて説明する。図1に示すように、ガラス基板等の透明な前面側の基板1上には、走査電極2と維持電極3とで対をなすストライプ状の表示電極が複数形成され、そして基板1上の隣り合う表示電極間には遮光層4が形成されている。この走査電極2および維持電極3はそれぞれ、透明電極5およびこの透明電極5上に形成された銀等からなるバス電極6により構成されている。また、前面側の基板1には、走査電極2、維持電極3および遮光層4を覆うように誘電体層7が形成され、その誘電体層7上には保護層8が形成されている。
【0014】
また、前面側の基板1に対向配置される背面側の基板9上には、走査電極2および維持電極3と直交する方向に複数のストライプ状のデータ電極10が形成され、そのデータ電極10を覆うように下地誘電体層11が形成されている。このデータ電極10間の下地誘電体層11上には、データ電極10と平行にストライプ状の複数の隔壁12が配置され、この隔壁12の側面および下地誘電体層11の表面に蛍光体層13が設けられている。
【0015】
前面側の基板1と背面側の基板9とは、走査電極2および維持電極3とデータ電極10とが直交するように、基板間に微小な放電空間を設けて対向配置されるとともに周囲が封止され、そして放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、走査電極2および維持電極3とデータ電極10との交差部には放電セルが形成され、その各放電セルには、赤色、緑色および青色となるように蛍光体層13が一色ずつ順次配置されている。
【0016】
このような電極構成のプラズマディスプレイパネルにおいては、走査電極2、維持電極3およびデータ電極10のそれぞれに、初期化期間、アドレス期間、維持期間および消去期間に分かれて駆動電圧を印加することにより画像表示を行っており、初期化期間、アドレス期間、維持期間および消去期間により1サブフィールドを構成している。初期化期間では放電セル内の壁電荷の初期化を行い、アドレス期間では走査電極2に走査パルスを順次印加するとともに所望のデータ電極10にアドレスパルスを印加することにより、走査電極2とデータ電極10との間でアドレス放電を生じさせ放電セルを選択する。また、維持期間では走査電極2と維持電極3に維持パルスを交互に印加することにより、選択した放電セルにおいて走査電極2と維持電極3との間で維持放電を生じさせ、消去期間ではその維持放電を停止させる。維持期間において走査電極2と維持電極3に印加する維持パルス数を変えることによってそのサブフィールドの発光輝度が変化し、維持パルス数の異なる複数のサブフィールドによって1フィールドを構成するとともに発光させるサブフィールドをアドレス期間において選択することにより階調表示を行っている。
【0017】
図2に上記で説明したプラズマディスプレイパネルを組み込んだプラズマディスプレイ装置の全体構成の一例を示している。図2において、パネル14を収容するケースは、金属製のフロントケース部15とバックケース部16とから構成され、フロントケース部15の前面にはガラス等からなる透光部17が設けられている。また、この透光部17には電磁波シールドのために、例えば銀蒸着が施されている。さらに、バックケース部16には、パネル14等で発生した熱を外部に放出するための複数の通気孔16aが設けられている。
【0018】
パネル14は、アルミニウム製のシャーシ部材18の前面に絶縁性の熱伝導シート19を介して接着することにより保持され、そしてシャーシ部材18の後面側には、パネル14を発光駆動させるための複数の回路ブロック20が取り付けられている。熱伝導シート19は、パネル14で発生した熱をシャーシ部材18に効率よく伝え、放熱を行うためのものである。また、回路ブロック20はパネル14の発光駆動とその制御を行うための電気回路を備えており、パネル14の縁部に引き出された電極引出部に、シャーシ部材18の四辺の縁部を越えて延びる複数のフレキシブル配線基板(図示せず)によって電気的に接続されている。また、シャーシ部材18の後面には、複数の放熱用フィン18aと回路ブロック20を取り付けるための複数のボス部18bとシャーシ部材18をバックケース部16に固定するためのボス部18cとが、ダイカストや鋳造等による一体成型により突設されている。
【0019】
次に、本実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法について図3〜図6を用いて説明する。
【0020】
まず図3(a)に示すように、前面側の基板1上に、透明電極5とバス電極6とから構成される走査電極2および維持電極3と、遮光層4とを形成する。透明電極5はインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)等からなり、真空蒸着法、エッチング法やリフトオフ法を用いて形成される。また、遮光層4や銀等からなるバス電極6は、スクリーン印刷法やフォトリソ法を用いて形成される。
【0021】
次に、図3(b)に示すように、走査電極2、維持電極3および遮光層4を覆うように基板1上に誘電体ペーストを塗布してペースト層(誘電体材料層)21を形成する。誘電体ペーストを基板1上に塗布するにはダイコート法等を用いればよく、誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することにより、塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面のペースト層21が得られる。なお、誘電体ペーストは、ガラス等の誘電体材料、バインダおよび溶剤を含んだ材料である。
【0022】
その後、ペースト層21を形成した基板1を乾燥炉に投入してペースト層21を乾燥させた後、焼成炉に投入してペースト層21を焼成することにより、図3(c)に示すように走査電極2、維持電極3および遮光層4を覆うように基板1上に誘電体層7を形成する。
【0023】
次に、酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層8を真空蒸着法等により誘電体層7上に形成することにより、図3(d)に示すように前面側の基板1上に所定の構成部材が形成される。
【0024】
このようにして所定の構成部材を形成した前面側の基板1と、データ電極10、下地誘電体層11、隔壁12および蛍光体層13を形成した背面側の基板9とを対向配置して基板1、9の周縁部を封着し、基板間にネオン、キセノン等を含む放電ガスを封入することによりプラズマディスプレイパネルが得られる。
【0025】
次に、基板1上に形成したペースト層21を乾燥、焼成する際に使用する熱処理装置について図4を用いて説明する。
【0026】
図4に示すように熱処理装置は、乾燥炉22、移載装置23、焼成炉24および取り出し装置25が順次配置されて構成されており、焼成炉24は上段と下段とからなる2段構造である。乾燥炉22、移載装置23、焼成炉24および取り出し装置25には基板1を搬送するための搬送ローラ26が設けられ、移載装置23および取り出し装置25では搬送ローラ26が昇降するように構成されている。また、移載装置23および取り出し装置25には基板移載手段27が設けられている。
【0027】
まず、ペースト層21を形成した基板1を乾燥炉22に投入し搬送ローラ26によって基板1を搬送することによりペースト層21を乾燥させる。次に、乾燥炉22の出口22aに達した基板1を、基板移載手段27によって移載装置23の搬送ローラ26上に置かれた支持基板28上に載置し、焼成炉24へ送る。基板1が載置された支持基板28は焼成炉24の上段を入口24a側から出口24b側へ搬送され、その間に基板1上のペースト層21が焼成され基板1上に誘電体層7が形成される。そして、焼成炉24の出口24bに達した基板1は、取り出し装置25において基板移載手段27によって支持基板28から取り離されて次の工程に送られる。また支持基板28は、取り出し装置25において下降した後、焼成炉24の下段を出口24b側から入口24a側へ搬送され、移載装置23において上昇し、乾燥炉22から出てきた別の基板1が載置されて再び焼成炉24へ送られる。このようにして、基板1上に形成したペースト層21を乾燥する乾燥工程と焼成する焼成工程が行われる。なお、焼成炉24内で基板1を搬送する際に用いる支持基板28は、膨張係数や軟化点等において基板1に比べて極めて熱の影響の小さい素材で形成されており、焼成中の基板1の変形を抑制するために使用するものである。
【0028】
図5は、乾燥工程から焼成工程にかけて基板1が搬送されるときの基板1の温度変化を表す温度勾配図であり、領域Aおよび領域Cはそれぞれ乾燥炉22内および焼成炉24内における基板1の温度変化を表しており、領域Bは基板1が乾燥炉22を出てから焼成炉24に投入されるまでの間の基板1の温度変化を表している。
【0029】
図5の領域Aに対応するように、乾燥炉22内の温度分布は、その入口側から出口側にかけて、常温から乾燥温度(130℃程度)まで上昇する昇温領域と乾燥温度を維持する定温領域とからなる。乾燥炉22内の定温領域において基板1が乾燥温度に維持されることにより、基板1上のペースト層21から溶剤が揮発しペースト層21が乾燥する。
【0030】
乾燥炉22の出口22aから出てきた基板1は、図5の領域Bに示すように一旦温度が低下するが、乾燥炉22の出口22aから焼成炉24の入口24aに基板1を高速に移動できるように移載装置23を構成することで、基板1の温度低下を少なくすることができる。また、移載装置23において乾燥炉22から出てきた基板1を支持基板28上に載置するが、この支持基板28を予め所定の温度に予熱しておくことにより、領域Bにおける基板1の温度低下を少なくすることができる。なお、支持基板28は焼成炉24の下段を搬送する間に遠赤外線ヒーター等により予熱するようにすればよい。支持基板28を予熱しておく温度は、基板1を乾燥炉22より取り出してから支持基板28上に載置するまでの間の基板1の温度低下を考慮して、支持基板28上に載置されるときの基板1の温度程度になるように適宜設定すればよい。
【0031】
次に図5の領域Cに対応するように、焼成炉24内の温度分布は、その入口24a側から出口24b側にかけて、所定の温度から脱バインダ温度(350℃程度)まで上昇する昇温領域と脱バインダ温度を維持する定温領域と脱バインダ温度から焼結温度(600℃程度)まで上昇する昇温領域と焼結温度を維持する定温領域と焼結温度から常温まで下降する降温領域とから構成される。焼成炉24内において脱バインダ温度を維持する定温領域では、基板1が脱バインダ温度に維持されることにより基板1上に形成されたペースト層21中のバインダが除去される。また、誘電体ペースト中の誘電体材料が焼結する焼結温度を維持する定温領域では、基板1が焼結温度に維持されることによりペースト層21中の誘電体材料が焼結する。
【0032】
焼成炉24の入口24aでの温度は、領域Bでの基板1の温度低下を考慮して焼成炉24に投入されるときの基板1の温度程度になるように設定すればよい。また、乾燥温度、脱バインダ温度および焼結温度をそれぞれ維持する3つの定温領域においては、それらの温度をそれぞれ3分以上維持するように設定することで効果的に乾燥および焼成を行うことができる。なお、それら3つの定温領域ではそれぞれ所定の温度を維持するようにしているが、その所定の温度付近で温度が毎分5℃以下の低勾配で変化するように構成してもよい。
【0033】
次に、図5の領域Bにおいて生じる基板1の温度低下が、焼成して得られた誘電体層7に与える影響について調べた。移載装置23における支持基板28の温度や基板1を移載する速度を調整することにより、焼成炉24に投入する際の基板1の温度Tiを変えて誘電体層7の表面を観察した。図6は焼成炉24に投入する際の基板1の温度Tiが乾燥温度Tkの50%である場合(Ti=0.5×Tk)のときの誘電体層7表面を表す模式図であり、図6に示すように誘電体層7にはクラック29が形成されているのが確認された。誘電体層7に形成されたクラック29が大きく深いものであれば、パネルとして動作させたときにクラック29において絶縁破壊が発生し画像表示ができなくなるが、クラック29が小さく浅いものであれば絶縁破壊を起こすことなくパネルを動作させることができる。表1は、焼成炉24に投入する際の基板1の温度Tiが乾燥温度Tkの80%、70%、60%、50%、40%になった場合に焼成して得られた誘電体層7の状態を示しており、「○」はクラック29が発生しなかったことを表しており、「△」はクラック29が発生していたが極めて小さく浅いものでパネルの動作に影響がないことを表しており、「×」はパネル動作ができないようなクラック29が発生したことを表している。
【0034】
【表1】
【0035】
表1からわかるように、焼成炉24に投入する際の基板1の温度Tiが乾燥温度Tkの60%以上であれば、パネルの動作に影響を及ぼすようなクラックが存在しない誘電体層7を得ることができる。したがって、基板1の温度が乾燥温度に達してから焼結温度に達するまでの間に、基板1の温度が乾燥温度の60%未満の温度にならないように構成することにより、パネルの動作に影響を及ぼすようなクラックが存在しない誘電体層7を得ることができ、安定して動作するプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
【0036】
さらに、焼成炉24に投入する際の基板1の温度Tiが乾燥温度Tkの70%以上であれば、クラックの発生が抑制された誘電体層7を得ることができる。したがって、基板1の温度が乾燥温度に達してから焼結温度に達するまでの間に、基板1の温度が乾燥温度の70%未満の温度にならないように構成することにより、クラックの発生が抑制された誘電体層7を得ることができ、安定して動作するプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
【0037】
また、乾燥工程および焼成工程において基板1の温度低下が従来に比べて少ないため、乾燥工程および焼成工程において必要な熱エネルギーを従来に比べて5%程度削減することができる。
【0038】
なお、上記実施の形態では基板1上に誘電体層7を形成する場合、乾燥炉22と焼成炉24を用いた場合について説明したが、誘電体材料層の乾燥から焼成までを一貫して行う1つの炉を用いてもよい。この場合の炉内の温度分布は、入口側から出口側に向かって、常温から乾燥温度まで上昇する昇温領域、乾燥温度を維持する定温領域、乾燥温度から脱バインダ温度まで上昇する昇温領域、脱バインダ温度を維持する定温領域、脱バインダ温度から焼結温度まで上昇する昇温領域、焼結温度を維持する定温領域および焼結温度から常温まで下降する降温領域を設けるようにすればよい。乾燥温度、脱バインダ温度および焼結温度をそれぞれ維持する3つの定温領域においては、それらの温度をそれぞれ3分以上維持するように設定することで効果的に乾燥および焼成を行うことができる。また、これら3つの定温領域において所定の温度を維持するかわりに所定の温度付近で温度が毎分5℃以下の低勾配で変化するように構成してもよい。
【0039】
このように誘電体材料層の乾燥、焼成を1つの炉で行う場合には、乾燥温度に達してから焼結温度に達するまでの間に乾燥温度よりも低い温度にする必要はないが、前述したように乾燥温度の60%未満の温度にならないようにしておけばパネルの動作に影響を及ぼすようなクラックが存在しない誘電体層7を得ることができる。さらに乾燥温度の70%未満の温度にならないようにしておけばクラック発生が抑制された誘電体層7を得ることができる。したがって、安定して動作するプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
【0040】
また、上記実施の形態では前面側の基板1上に誘電体層7を形成する場合について説明したが、背面側の基板9上に下地誘電体層11を形成する場合にも上記実施の形態と同様な乾燥および焼成を行うことができ、クラック発生が抑制された下地誘電体層を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかるプラズマディスプレイパネルの製造方法によれば、パネルの動作に影響を及ぼすような欠陥が存在しない誘電体層を形成することができ、安定して動作するプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【符号の説明】
1、9 基板
7 誘電体層
21 ペースト層
22 乾燥炉
23 移載装置
24 焼成炉
25 取り出し装置
26 搬送ローラ
27 基板移載手段
28 支持基板
29 クラック
Claims (4)
- 間に放電空間が形成されるように一対の基板を対向配置することにより構成されたプラズマディスプレイパネルの製造方法において、基板上に誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む材料を塗布して誘電体材料層を形成し、この誘電体材料層を形成した基板を、乾燥温度に昇温して前記誘電体材料層を乾燥させた後、前記誘電体材料が焼結する焼結温度に昇温して前記誘電体材料層を焼成することにより基板上に誘電体層を形成する際、基板の温度が前記乾燥温度に達してから前記焼結温度に達するまでの間に、前記基板の温度が前記乾燥温度の60%未満の温度にならないように構成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 基板の温度が乾燥温度に達してから焼結温度に達するまでの間に、前記基板の温度が前記乾燥温度の70%未満の温度にならないように構成したことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 誘電体材料層の乾燥および焼成をそれぞれ乾燥炉および焼成炉により行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 誘電体材料層の乾燥および焼成を1つの炉により行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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