JP2003208850A - 平板型表示装置およびその製造方法 - Google Patents

平板型表示装置およびその製造方法

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JP2003208850A
JP2003208850A JP2002005761A JP2002005761A JP2003208850A JP 2003208850 A JP2003208850 A JP 2003208850A JP 2002005761 A JP2002005761 A JP 2002005761A JP 2002005761 A JP2002005761 A JP 2002005761A JP 2003208850 A JP2003208850 A JP 2003208850A
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conductor
wiring
film
thick film
substrate
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Susumu Sakamoto
進 阪本
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Noritake Co Ltd
Noritake Electronics Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Noritake Electronics Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電極形成時の熱処理に起因する歪み等を抑制で
きる平板型表示装置およびその製造方法を提供する。 【解決手段】背面板内面14の外周部に多数の端子58
を設ける一方、シート部材20が背面板18に固着され
ることにより、維持電極46および書込電極48が設け
られると共に、端子58を介した外部回路への接続が可
能となる。そのため、維持電極46および書込電極48
を設けるための熱処理が前面板および背面板18に施さ
れない。しかも、配線部50,52は、コア誘電体層3
2からはみ出すように設けられた導出用配線部60或い
はその配線部52の端部が端子58に固着されることに
よってその端子58に接続されることから、相互に別々
に製造されたシート部材20上の配線部50,52と端
子58とを容易に接続することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平板型表示装置お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明な第1基板(前面板)と、その前面板
から所定距離隔てて平行に配置された第2基板(背面板)
と、それら前面板および背面板間においてそれらに平行
な平面内に設けられた複数本の導体配線と、それら複数
本の導体配線によって区画形成された複数の発光区画と
を備え、前記複数本の導体配線のうち所望のものに電圧
を印加することにより前記複数の発光区画で選択的に発
生させた光を前記前面板を通して射出させて、所望の文
字、記号、或いは図形等の画像を表示する形式の平板型
表示装置が知られている。例えば、前面板および背面板
間の空間に放電ガスが封入され且つ前記導体配線間でガ
ス放電を発生させ、プラズマの生成に伴うネオン・オレ
ンジ等の発光を直接利用し、或いはプラズマによって生
じた紫外線で放電空間内に備えられた蛍光体を励起して
発光させるプラズマ・ディスプレイ・パネル(Plasma Di
splay Panel:PDP)等のガス放電表示装置がその一例
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、平板型表示
装置では、発光区画の選択、例えば選択的なガス放電の
ために前面板および背面板の少なくとも一方に電極を構
成するための導体配線が設けられる。例えば、3電極面
放電構造のAC型PDPでは、前面板内面に維持電極が
設けられると共に背面板側に書込電極が設けられること
から、可及的に光を透過させる必要がある前面板は、維
持電極がITO(酸化インジウム錫)膜等から成る透明電極
およびその導電性を補うための厚膜導体から成るバス電
極で構成される。また、維持電極およびバス電極は、交
流放電をさせるために誘電体層で覆われる。これら厚膜
から成る誘電体層やバス電極を形成する際には、それら
の焼成のために基板に加熱処理が施されるため、前面板
に歪みが生じると共に厚膜導体にも亀裂や変形等が生じ
る問題があった。
【0004】すなわち、厚膜形成プロセスにおける加熱
処理では、基板内の温度分布に基づく熱膨張量のばらつ
きや、誘電体および厚膜導体との熱膨張係数の相違等に
起因して基板等に歪み等が生じ得るのである。このよう
な歪み等が生じると、前面板および背面板の平坦性や電
極等のパターン精度等の確保が困難になる。このような
不都合は、上記のような面放電構造のPDPに限られ
ず、厚膜が基板上に形成される平板型表示装置における
共通の問題である。
【0005】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、電極形成時の熱処理に起
因する歪み等を抑制できる平板型表示装置およびその製
造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】斯かる目的を達成
するため、第1発明の平板型表示装置の要旨とするとこ
ろは、透明な第1基板と、その第1基板から所定距離隔
てて平行に配置された第2基板と、それら第1基板およ
び第2基板間においてそれらに平行な平面内に設けられ
た複数本の導体配線と、それら複数本の導体配線によっ
て区画形成された複数の発光区画とを備え、前記複数本
の導体配線のうち所望のものに電圧を印加することによ
り前記複数の発光区画で選択的に発生させた光を前記第
1基板を通して射出させて表示する形式の平板型表示装
置であって、(a)所定厚さ寸法の厚膜誘電体から成るコ
ア誘電体と、前記複数本の導体配線を構成するためにそ
のコア誘電体の表面に積層された複数本の配線用厚膜導
体と、各々の端部がそのコア誘電体の外側にはみ出した
状態でそのコア誘電体の表面に積層され且つそれら複数
本の配線用厚膜導体に接続された複数本の導出用厚膜導
体とを備えて、前記第2基板上に固着されたシート部材
と、(b)前記第2基板の一面に設けられ且つ前記複数本
の導出用厚膜導体の端部がそれぞれ導通状態で固着され
た複数個の端子とを、含むことにある。
【0007】
【第1発明の効果】このようにすれば、コア誘電体の表
面に設けられた配線用厚膜導体によって複数本の導体配
線が構成され、且つ第2基板の一面に設けられた複数個
の端子にそれら複数本の導体配線がそのコア誘電体の表
面に設けられた導出用厚膜導体を介して接続される。そ
のため、シート部材を第2基板上に固着するだけで導体
配線が設けられることから、その導体配線を内面に形成
するための熱処理が第1基板および第2基板に施されな
い。しかも、導体配線は、コア誘電体から端部がはみ出
した導出用厚膜導体が第2基板上の端子に導通状態で固
着されることでその端子に実質的に接続されることか
ら、第2基板とは別個に製造されたシート部材上の配線
用厚膜導体を容易にその第2基板上の端子に接続して導
体配線として機能させ得る。上記により、厚膜誘電体や
厚膜導体の形成に伴う熱処理に起因する歪み等の抑制さ
れた平板型表示装置が得られる。
【0008】
【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記コア誘
電体をその厚み方向に貫通し且つ前記配線用厚膜導体と
前記導出用厚膜導体とを接続する貫通導体を含むもので
ある。このようにすれば、平板型表示装置の構造上の制
限や多数の導体配線の引き回し等の制限に起因して、コ
ア誘電体の導出用厚膜導体が備えられた面とは反対面に
配線用厚膜導体が備えられる場合にも、貫通導体を介し
てそれらが相互に接続されるため、導体配線を第2基板
上の端子に容易に接続することができる。例えば、2電
極対向放電構造PDPや3電極構造のAC型PDPにお
いて維持電極及び書込電極を共にシート部材内に設ける
場合には、コア誘電体の第1基板側の面にも配線用厚膜
導体を設ける必要がある。一方、第2基板上の端子に接
続される導出用厚膜導体は、接続が容易となるようにそ
の第2基板側に設けることが望ましい。このような場合
には、上記の貫通導体でコア誘電体の上下面に備えられ
た配線用厚膜導体および導出用厚膜導体を接続する利点
がある。なお、コア誘電体の第2基板側の下面に備えら
れた配線用厚膜導体は、そのままその端部をコア誘電体
からはみ出すように形成すればその端部を端子に直接固
着することができる。このような場合には、実質的に配
線用厚膜導体のうちその端部近傍の部分が導出用厚膜導
体を構成することになる。
【0009】また、好適には、前記シート部材は、前記
配線用厚膜導体と前記導出用厚膜導体とが、前記コア誘
電体の外側にはみ出したその配線用厚膜導体の端部にお
いて相互に接続された接続部を含むものである。すなわ
ち、前記のように導出用厚膜導体および配線用厚膜導体
の形成面が相互に反対側となる場合におけるそれらの相
互の接続は、配線用接続導体の端部が露出しても差し支
えの無い場合、或いは、配線用接続導体を覆う被覆誘電
体がシート部材に備えられていない場合等には、貫通導
体に代えてこのような接続部を設けることで行うことも
できる。
【0010】また、好適には、前記複数本の配線用厚膜
導体のうち所定のものを相互に接続するために前記コア
誘電体の表面に積層して設けられた接続用厚膜導体を含
むものである。このようにすれば、シート部材に備えら
れている配線用厚膜導体すなわち導体配線相互の接続を
第2基板上或いは基板外部の配線で行う必要がないた
め、平板型表示装置の構造が一層簡単になる利点があ
る。また、シート部材に備えられている配線用厚膜導体
が誘電体で被覆されている場合には、第1基板及び第2
基板間に形成された気密空間内に配線用厚膜導体を露出
させることなくその気密空間内で配線の接続処理をでき
る利点がある。例えば、複数本の書込電極と複数本の維
持走査電極との間で発光区画を選択するための放電を発
生させ且つ複数本の維持電極と複数本の維持走査電極と
の間で表示のための放電を発生させる形式の3電極構造
のPDPでは、上記維持電極が例えば表示装置の全面で
共通の電極に形成されるが、上記の接続用厚膜導体をそ
の維持電極相互を接続するように形成することが有効で
ある。
【0011】また、好適には、前記複数個の端子が前記
第2基板の前記第1基板側内面とは反対側の裏面に備え
られた場合において、前記導出用厚膜導体の端部は、第
2基板内面からその裏面に引き回されてその先端部がそ
の端子に固着される。すなわち、本発明は、端子が第2
基板の内面に設けられる場合にも、裏面に設けられる場
合にも適用される。
【0012】また、好適には、前記平板型表示装置は、
前記第1基板及び第2基板間に形成された気密空間内に
複数対の放電電極と複数の放電空間を区画形成するため
の隔壁とを備え、所望の放電電極間で選択的にガス放電
を発生させることにより発光させる形式のPDPであっ
て、前記シート部材は、格子状のコア誘電体を備え且つ
前記配線用厚膜導体でその放電電極を構成するために前
記隔壁上に設けられたものである。このようにすれば、
放電電極を前面板内面に設ける必要がないため、前面版
内面に設けるために放電電極に透光性を必要とする場合
に比較して構造が簡単になり、延いては製造工程が簡単
になる利点がある。上記複数対の放電電極は、例えば2
電極のAC型或いはDC型のPDPでは、上記格子の互
いに交叉する2方向にそれぞれ沿って伸び且つコア誘電
体の表面および裏面の一方および他方に設けられた配線
用厚膜導体により構成される。また、3電極構造のAC
型PDPでは、上記格子の一方向に沿って伸びる複数本
の互いに平行な配線用厚膜導体により構成される。ま
た、この構造では、放電電極(維持電極)をシート部材の
第1基板側の表面に備え、且つそれと直交する方向に沿
って伸びる複数本の書込電極をシート部材の第2基板側
の裏面に備えることもできる。なお、上記説明から明ら
かなように、シート部材は第2基板上に直接固着されて
もよいが、その第2基板上に設けられた隔壁を介して間
接的に固着されてもよい。
【0013】因みに、上記のように放電電極に透光性を
必要とする場合は、例えば、3電極構造の面放電型PD
Pでは、ITO(酸化インジウム錫)膜等から成る透明電極
が放電電極として設けられると共に、その導電性を補う
ための厚膜導体等から成るバス電極が重ねて設けられ
る。そのため、前面板の製造工程では、ガラス基板上に
(a)ITO膜と基板との密着性を確保するためのSiO2膜、
(b)ITO膜、(c)バス電極、(d)ブラック・ストライプ、
(e)誘電体層、(f)MgO膜等が順次形成されていた。上記
のITO膜は、例えばスパッタ等で設けられた後、レジス
ト塗布・露光・現像・エッチング処理・レジスト剥離を
行うフォト法でパターン形成される。また、バス電極
は、Cr-Cu-Cr等の薄膜で構成される場合にはITO膜の場
合と同様な方法で、厚膜銀等の厚膜導体で構成される場
合には厚膜スクリーン印刷法等の厚膜プロセスで形成さ
れる。また、誘電体層およびMgO膜は、高い透光性を有
するように高い品質が要求される。このように、放電電
極に透光性が要求されると、前面板の内面に形成される
導体膜や誘電体膜等の製造工程が複雑になるのである。
【0014】また、前記のように平板型表示装置がPD
Pである場合において、前記各電極が前記シート部材に
備えられる場合には、一層好適には、一方向に沿って伸
びるようにその第2基板上に設けられた互いに平行な複
数本の凹溝と前記第1基板内面との間に形成される複数
本の長手状の空間によって、前記複数の放電空間が構成
される。このようにすれば、第2基板の内面に備えられ
た複数本の凹溝相互間の突条によって複数本の相互に平
行な長手状の隔壁が構成される。そのため、第2基板上
に隔壁を形成する工程が無用になり、且つ隔壁の頂部に
相当する凹溝間の突条頂部の高さ寸法の一様性および平
坦性が飛躍的に高められるので、PDPの信頼性が高め
られ且つ製造工程も簡単になる利点がある。なお、上記
のように構成する場合には、放電空間の高さ寸法が凹溝
の深さ寸法およびシート部材の厚さ寸法で決定されるこ
とから、これらの値を適宜定めることにより、好適な大
きさの放電空間を備えたPDPを得ることができる。蛍
光体を励起発光させる形式のPDPにおいては、凹溝の
深さをその内面に設けられる蛍光体層の厚さ寸法も考慮
して定めればよい。
【0015】また、好適には、上記の凹溝或いは放電空
間を形成するために第2基板上に設けられるリブ状壁
は、シート部材の格子の一方向に沿って伸びる部分が、
第2基板の相対的に凸に成った部分上に位置させられる
位置関係に設けられる。このようにすれば、放電空間内
のうちシート部材を挟んで観視側とは反対側の部分で生
じた光、例えばその反対側の部分に備えられている蛍光
体層の発光がシート部材によって遮られることが抑制さ
れるので、PDPの輝度が一層高められる利点がある。
【0016】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための第2発明の製造方法の要旨とするところ
は、透明な第1基板と、その第1基板から所定距離隔て
て平行に配置された第2基板と、それら第1基板および
第2基板間においてそれらに平行な平面内に設けられた
複数本の導体配線と、それら複数本の導体配線によって
区画形成された複数の発光区画とを備え、前記複数本の
導体配線のうち所望のものに電圧を印加することにより
前記複数の発光区画で選択的に発生させた光を前記第1
基板を通して射出させて表示する形式の平板型表示装置
を、前記第1基板および前記第2基板を重ね合わせて気
密に封着することにより製造する方法であって、(a)前
記第2基板の所定位置に複数個の端子を設ける端子形成
工程と、(b)所定厚さ寸法の厚膜誘電体から成るコア誘
電体と、前記複数本の導体配線を構成するためにそのコ
ア誘電体の表面に積層された複数本の配線用厚膜導体
と、各々の端部がそのコア誘電体の外側にはみ出した状
態でそのコア誘電体の表面に積層され且つそれら複数本
の配線用厚膜導体に接続された複数本の導出用厚膜導体
とを備えたシート部材を前記第2基板上に固着する固着
工程と、(c)前記複数本の導出用厚膜導体の端部をそれ
ぞれ前記複数個の端子に導通状態で固着する接続工程と
を、含むことにある。
【0017】
【第2発明の効果】このようにすれば、第1基板および
第2基板を重ね合わせて固着することにより平板型表示
装置を製造するに際して、第2基板の所定位置に複数個
の端子を設ける一方、配線用厚膜導体および導出用厚膜
導体がコア誘電体に積層されて成るシート部材を第2基
板に固着し、且つその導出用厚膜導体の端部を端子に導
通状態で固着することで、導体配線が放電空間内に備え
られると共に外部回路への接続が可能となる。そのた
め、シート部材を第2基板上に固着するだけで導体配線
が設けられることから、第1基板および第2基板上に導
体配線を設けるための熱処理がそれらに施されない。し
かも、導体配線は、コア誘電体から端部がはみ出した導
出用厚膜導体が第2基板上の端子に導通状態で固着され
ることでその端子に実質的に接続されることから、第2
基板とは別個に製造されたシート部材上の配線用厚膜導
体を容易にその第2基板上の端子に接続して導体配線と
して機能させ得る。上記により、厚膜誘電体や厚膜導体
の形成に伴う熱処理に起因する歪み等の抑制された平板
型表示装置を製造することができる。
【0018】
【第2発明の他の態様】ここで、好適には、前記の平板
型表示装置の製造方法は、(d)所定の第1温度よりも高
い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子
層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持
体準備工程と、(e)前記第1温度で焼結させられる厚膜
誘電体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペ
ースト膜を前記コア誘電体に対応したパターンで前記膜
形成面上に形成する誘電体ペースト膜形成工程と、(f)
前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子
が樹脂で結合されて成る配線用導体ペースト膜を前記配
線用厚膜導体に対応したパターンで前記膜形成面上に形
成する配線用導体ペースト膜形成工程と、(g)前記第1
温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で
結合されて成る導出用導体ペースト膜を前記誘電体ペー
スト膜から前記端部がはみ出し且つ前記配線用導体ペー
スト膜と接続される前記導出用厚膜導体に対応したパタ
ーンで前記膜形成面上に形成する導出用導体ペースト膜
形成工程と、(h)前記支持体を前記第1温度で加熱処理
することにより、前記高融点粒子層を焼結させることな
く前記誘電体ペースト膜、前記配線用導体ペースト膜、
および前記導出用導体ペースト膜を焼結させて、前記コ
ア誘電体、前記配線用厚膜導体、および前記導出用厚膜
導体を生成する焼成工程とを、含む工程により前記シー
ト部材を製造するものである。
【0019】このようにすれば、厚膜誘電体材料および
厚膜導体材料の焼結温度(第1温度)よりも高い融点を有
する高融点粒子層で構成された膜形成面に厚膜誘電体材
料および厚膜導体材料のペースト膜がそれぞれ所定パタ
ーンで形成された後、それら厚膜誘電体材料および厚膜
導体材料の焼結させられる第1温度で加熱処理が施され
ることにより、厚膜誘電体(コア誘電体)の表面に厚膜導
体(配線用厚膜導体および導出用厚膜導体)が形成された
シート部材が生成される。そのため、その加熱処理温度
では焼結させられない高融点粒子層は樹脂が焼失させら
れることにより高融点粒子のみが並ぶ層となることか
ら、生成された厚膜は支持体に固着されないため、その
膜形成面から容易に剥離することができる。このとき、
厚膜誘電体材料および厚膜導体材料のペースト膜は、材
料や用途に応じた適宜の方法を用いることにより、簡便
な設備を用いて所望のパターンで膜形成面に形成するこ
とが可能である。しかも、加熱処理により焼結させられ
るまでは膜形成面に塗布されることにより一時的に固着
された状態で取り扱われることから、取扱いが容易であ
る。したがって、維持電極を設けるためのシート部材を
容易に製造し且つ平板型表示装置の製造に用いることが
できる。
【0020】なお、上記の配線用導体ペースト膜形成工
程、導出用導体ペースト膜形成工程、および誘電体ペー
スト膜形成工程の順序は、シート部材の構成に応じて、
適宜定められる。すなわち、コア誘電体の上下何れの面
に配線用厚膜導体および導出用厚膜導体が備えられるか
に応じて、何れの導体も一方の面に備えられる場合に
は、誘電体ペースト膜形成工程に先立って或いはそれに
続いて配線用導体ペースト膜形成工程および導出用導体
ペースト膜形成工程が実施され、コア誘電体の両面に上
記厚膜導体の何れかが備えられる場合には、一方の面に
設けられる厚膜導体を形成するための導体ペーストが塗
布された後、誘電体ペースト膜形成工程が実施され、更
にその後、他方の面に設けられる厚膜導体を形成するた
めの導体ペーストが塗布されることとなる。また、上記
のように高融点粒子のみが並ぶ層の上で焼結させられる
厚膜は、通常の厚膜形成とは異なり、その収縮時に何ら
形成面に拘束されない。そのため、形成面との間の収縮
抵抗に起因する反りや変形等が抑制され、延いてはそれ
ら反りや変形に伴う亀裂等の発生も抑制される。したが
って、導体配線の歪み等が一層抑制される利点がある。
【0021】また、好適には、前記誘電体ペースト膜形
成工程は、前記誘電体ペースト膜を所定位置に貫通穴を
有するパターンで形成するものであり、前記貫通穴内に
前記配線用導体ペーストと前記導出用導体ペーストとを
接続するための貫通導体ペーストを塗布する工程を含む
ものである。このようにすれば、導出用厚膜導体および
配線用厚膜導体がコア誘電体の相互に異なる面に設けら
れる場合にも、貫通導体ペーストから生成される貫通導
体によってそれらが好適に接続される。
【0022】また、好適には、前記配線用導体ペースト
膜形成工程は、前記導出用導体ペースト膜の端部が前記
誘電体ペースト膜からはみ出す位置において前記配線用
導体ペースト膜をその端部がその誘電体ペースト膜から
はみ出すように形成することによりそれら端部を相互に
接続するものである。このようにすれば、はみ出して塗
布された導体ペーストによって配線用導体ペースト膜と
導出用導体ペースト膜とが好適に接続される。基板上に
塗布された厚膜ペーストはそのパターン端がなだらかな
傾斜面となるので、誘電体ペースト膜の上側にそのパタ
ーン端からはみ出して配線用導体ペースト膜を形成する
ために塗布された導体ペーストは、その傾斜面に倣って
下方すなわち導出用導体ペースト膜に向かうこととな
る。したがって、誘電体ペースト膜からはみ出したパタ
ーンで導体ペーストを塗布することで、容易に導出用導
体ペースト膜に配線用導体ペースト膜を接続することが
できる。
【0023】また、好適には、前記のシート部材の製造
工程は、前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の
構成粒子が樹脂で結合されて成る接続用導体ペースト膜
を前記配線用導体ペースト膜が相互に接続されるパター
ンで前記膜形成面上に形成する接続用導体ペースト膜形
成工程を含むものである。このようにすれば、複数本の
配線用厚膜導体のうち相互に接続すべきものがシート部
材内で相互に接続されることから、第2基板に固着され
た後に導体配線を相互に接続する煩わしさや、接続導体
が露出することに起因する信頼性の低下が好適に抑制さ
れる。
【0024】また、好適には、前記支持体準備工程は、
所定の基板の表面に前記高融点粒子層を形成するもので
ある。このようにすれば、ペースト膜が基板上に形成さ
れることから、加熱処理後にも支持体の形状が維持され
るため、高融点粒子層のみで支持体が構成されている場
合(例えば、セラミック生シートで支持体が構成されて
いる場合)に比較して第2基板上に導体配線を設けるた
めのシート部材の取扱いが容易になる利点がある。しか
も、このような支持体が用いられる場合には、ペースト
膜との間に高融点粒子層が介在させられる基板は加熱処
理の際にそのペースト膜を何ら拘束せず、且つそのペー
スト膜の表面粗度は高融点粒子層の表面粗度のみが反映
されることから、基板の平坦度、表面粗度、膨張係数等
のシート部材の品質に及ぼす影響が小さくなるため、基
板に高い品質は要求されない。
【0025】また、好適には、前記基板は、前記焼成温
度で変形しないものである。このようにすれば、厚膜誘
電体および厚膜導体を生成するための加熱処理が施され
る際にも膜形成面の形状が初期の形状に保たれるため、
高融点粒子層を表面に形成することにより、支持体とし
て繰り返し使用可能となる利点がある。基板は、上記の
条件を満たす適宜のものが選ばれるが、例えば、一般ガ
ラス、耐熱ガラス、セラミック板、金属板等を用いるこ
とができる。
【0026】また、好適には、前記製造方法は、前記厚
膜導体が積層された前記コア誘電体の外周に厚膜誘電体
ペーストを塗布して加熱処理を施すことによりコア誘電
体および厚膜導体を覆う被覆誘電体層を設ける被覆工程
を含むものである。このようにすれば、厚膜導体を覆う
被覆誘電体層を容易に設けることができる。一層好適に
は、上記厚膜誘電体ペーストの塗布は、ディッピング処
理によって行われる。なお、このようなディッピング処
理で被覆誘電体を設ける場合には、導出用厚膜導体のコ
ア誘電体層からはみ出した端部は、ディッピング処理に
先立って、ディッピングされる厚膜誘電体ペーストとの
濡れ性の悪い(すなわち接触角の大きい)材料から成る膜
で覆われる。これにより、その端部が被覆誘電体で覆わ
れ延いては端子との接続が困難となる不都合が回避され
る。
【0027】また、好適には、前記ペースト膜を形成す
る工程は、厚膜スクリーン印刷法を用いて前記導体ペー
スト膜および前記誘電体ペースト膜をそれぞれ形成する
ものである。ペースト膜の形成方法としては、例えば、
印刷、サンド・ブラスト、リフトオフ、感光性ペースト
を用いたフォト・プロセス等の種々の方法からコスト、
必要精度、他の工程との兼ね合い等に応じて選択した適
宜の方法を用いることができるが、上記のように印刷法
による場合には、膜形成面のうち無用な部分には膜構成
材料が塗布されないことから、材料の無駄がない利点が
ある。すなわち、セラミック生シートのプレス加工、或
いはセラミック・シートのレーザ加工や金属材料の化学
エッチング等によるもの等に比較して加工時に除去され
る材料の無駄が極めて少なくなる。
【0028】また、好適には、前記高融点粒子は、セラ
ミックス或いはガラス・フリット等の無機材料から成る
ものである。高融点粒子としては、高融点粒子層を構成
する樹脂が焼失した後も何ら軟化等するものでなけれ
ば、適宜の無機材料を用いることができる。なお、具体
的な材質は、シート部材を構成する厚膜材料の種類やそ
の焼成温度等に応じて適宜選択される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
【0030】図1は、本発明の平板型表示装置の一例で
あるAC型カラーPDP(以下、単にPDPという)10
の構成を一部を切り欠いて示す斜視図である。図におい
て、PDP10は、それぞれの全体として略平坦な一面
12,14が対向するように所定間隔を隔てて互いに平
行に配置された前面板16および背面板18を備えてい
る。それら前面板16および背面板18は、格子状のシ
ート部材20を介してその周縁部において気密に封着さ
れており、これによりPDP10の内部に気密空間が形
成されている。これら前面板16および背面板18は、
何れも900×500(mm)程度の大きさと1.1〜3(mm)程度の均
一な厚さ寸法とを備えると共に透光性を有し且つ軟化点
が700(℃)程度の相互に同様なソーダライム・ガラス等
から成るものである。本実施例においては、上記の前面
板16が第1基板に、背面板18が第2基板にそれぞれ
相当する。
【0031】上記の前面板16の内面12には、一方向
に沿って伸び且つ互いに平行な複数本の長手状の凹溝2
2が200〜500(μm)程度の一定の中心間隔で備えられて
おり、相互間の凸部(突条)によって、前面板16および
背面板18間の気密空間が複数本の放電空間24に区分
されている。この凹溝22は、内面12の研磨加工等に
よって設けられたものであり、100(μm)程度以下の深さ
寸法と、150〜400(μm)程度の開口部幅寸法とを備えた
ものである。このため、凹溝22間の凸部の幅寸法は、
その最上部位置において例えば50〜100(μm)程度になっ
ている。前記のシート部材20は、その一方向に沿って
伸びる部分がこの凹溝22間の凸部上に重なる位置関係
にある。
【0032】また、上記の凹溝22内には、凹溝22毎
すなわち放電空間24毎に塗り分けられた蛍光体層26
が例えば10〜20(μm)程度の範囲で色毎に定められた厚
みで設けられている。蛍光体層26は、例えば紫外線励
起により発光させられるR(赤),G(緑),B(青)等の発
光色に対応する3色の蛍光体の何れかから成るものであ
り、隣接する放電空間24相互に異なる発光色となるよ
うに設けられている。
【0033】一方、前記の背面板18の内面14には、
一方向に沿って伸び且つ互いに平行な複数本の長手状の
凹溝28が200〜500(μm)程度の一定の中心間隔で、前
記凹溝22に対向する位置に備えられている。この凹溝
28の深さ寸法および開口部幅寸法は凹溝22と略同様
である。この凹溝28内にも、凹溝28毎に蛍光体層3
0が例えば10〜20(μm)程度の範囲内の厚さ寸法で設け
られている。この蛍光体層30は、放電空間24毎に単
一の発光色が得られるように、前面板16上の対向する
凹溝22に設けられた蛍光体層26と同じ発光色のもの
が設けられている。すなわち、本実施例においては、前
面板14および背面板16は、略同様に構成されてい
る。
【0034】図2は、凹溝22の長手方向に沿ったその
中心を通る断面において、PDP10の断面構造を説明
する図である。前記のシート部材20は、その骨格を構
成する格子状(前記図1参照)のコア誘電体層32と、そ
の一面34(図における上面)から一方の側面(すなわち
格子の内壁面)に亘る範囲に積層して固着された維持配
線層36と、その反対側に位置する他面(図における下
面)38から一方の側面(すなわち格子の内壁面)に亘る
範囲に積層して固着された書込配線層40と、それらを
覆って設けられた被覆誘電体層42と、その被覆誘電体
層42を更に覆って設けられてシート部材20の表層部
を構成する保護膜44とから構成されている。
【0035】上記のコア誘電体層32は、50〜150(μm)
程度、例えば100(μm)程度の厚さ寸法を備えたものであ
って、格子を構成する縦横に沿ってそれぞれ伸びる部分
の幅寸法は、例えば凹溝22間の凸部上面の幅寸法と同
程度かアライメント・マージンを考慮してそれよりも若
干広く、例えば80〜200(μm)程度である。また、このコ
ア誘電体層32は、例えばPbO-B2O3-SiO2-Al2O3-ZnO-Ti
O2系或いはこれらを組み合わせた系等の低軟化点ガラス
およびアルミナ等のセラミック・フィラー等の厚膜誘電
体材料で構成されている。
【0036】また、上記の維持配線層36および書込配
線層40は、例えば銀(Ag)、ニッケル(Ni)、アルミニウ
ム(Al)、銅(Cu)、カーボン(C)等を導電成分として含む
厚膜導体であり、例えば5〜10(μm)程度の厚さ寸法で設
けられている。前者の維持配線層36のうちコア誘電体
層32の側面を覆う部分46は、放電空間24内でガス
放電を発生させるための維持電極として機能させられる
ものである。図に示されるように、維持電極46は、シ
ート部材20を構成する格子の内壁面において互いに平
行且つ対向する位置に配置されている。すなわち、PD
P10は、その放電空間24内において互いに対向する
維持電極間で放電させられる対向放電構造に構成されて
いる。
【0037】また、後者の書込配線層40のうち上記の
維持電極(対向部)46、46間に位置する部分(図にお
いて中央に示す部分)48は、放電空間24内で上記の
維持電極46,46のうちの一方、例えば図における左
方に位置するものとの間で、発光区画(セル)を選択する
ための書込放電を発生させるためのものである。
【0038】また、前記の被覆誘電体層42は、例えば
10〜30(μm)程度の範囲内、例えば20(μm)程度の厚さ寸
法を備え、例えばPbO-B2O3-SiO2-Al2O3-ZnO-TiO2系或い
はこれらを組み合わせた系等の低軟化点ガラス等から成
る厚膜である。この被覆誘電体層42は、表面に電荷を
蓄えることにより維持電極46、46間で交流放電をさ
せるために設けられたものであるが、同時に、厚膜材料
で構成される維持電極46および書込電極48を露出さ
せないことによってこれらからのアウト・ガスによる放
電空間24内の雰囲気変化を抑制する役割も有する。
【0039】また、前記の保護膜44は、例えば0.5(μ
m)程度の厚さ寸法を備え、MgO等を主成分とする薄膜或
いは厚膜である。保護膜44は、放電ガス・イオンによ
る被覆誘電体層42のスパッタリングを防止するもので
あるが、二次電子放出係数の高い誘電体で構成されてい
ることから、実質的に放電電極として機能する。
【0040】図3は、シート部材20の一部を切り欠い
て維持配線層36および書込配線層40の構成を詳しく
説明する図である。図において、維持配線層36は、シ
ート部材20を構成する格子の一方向に沿って伸びる複
数本の配線部50を備えており、書込配線層40は、そ
の一方向に垂直な他方向に沿って伸びる複数本の相互に
絶縁させられた配線部52を備えている。すなわち、配
線部50,52は、互いに垂直を成す向きに沿って設け
られている。これら配線部50,52は、何れも50〜80
(μm)程度の一定の幅寸法を備えたものである。また、
配線部50,52は、何れも格子状のコア誘電体層32
の各構成部分の幅方向における中央部に位置する。
【0041】また、維持配線層36の配線部50には、
その長手方向における複数箇所にその側方すなわち配線
部52と略平行な向きに突き出す突出部54が備えられ
ている。前記の維持電極46は、この突出部54の先端
部から連続し且つそれと垂直を成すように設けられてい
る。この突出部54および維持電極46の幅寸法は、例
えば100(μm)程度であり、維持電極46の高さ寸法はシ
ート部材20の厚さ寸法に略等しい50〜150(μm)程度、
例えば100(μm)程度である。すなわち、維持電極46は
コア誘電体層32の側面の一部を覆って設けられてい
る。
【0042】一方、書込配線層40の配線部52には、
その長手方向における複数箇所にその側方に向かって突
き出す突起部すなわち書込電極48が備えられている。
この突起部すなわち書込電極48の幅寸法は、例えば50
〜150(μm)程度、例えば100(μm)程度であり、配線部5
2からの突き出し長さは、例えば30〜100(μm)程度、例
えば50(μm)程度である。
【0043】図4に維持配線層36の配線部50および
書込配線層40の配線部52と、維持電極46および書
込電極48との接続関係を模式的に示した。図において
左右方向に沿って伸びる複数本の配線部50は、格子状
のコア誘電体層32のその左右方向に沿って伸びる部分
の全てに一本ずつが設けられている。維持電極46は、
図における左右方向に連なったものが共通の配線部50
に接続されている。また、配線部50は、他の全ての配
線部50と独立させられたものと、共通の配線に接続さ
れたものとが図の上下方向において交互に位置するよう
に設けられている。
【0044】一方、図において上下方向に沿って伸びる
複数本の配線部52は、格子状のコア誘電体層32のそ
の左右方向に沿って伸びる部分の全てに一本ずつが設け
られている。また、図に示されるように、書込電極48
の突き出し方向は全て同じ方向すなわち図における左方
向であって、格子のうち維持電極46、46の対が存在
する空間内に設けられている。
【0045】なお、図に示されるように、シート部材2
0の格子構成部分の相互間隔は一様ではない。すなわ
ち、書込配線層40の配線部52に沿って伸びる部分
は、例えば200(μm)程度の一定の相互間隔Gwで設けら
れているが、維持配線層36の配線部50に沿って伸び
る部分は、例えば100(μm)程度の相対的に小さい相互間
隔Gs1および600(μm)程度の相対的に大きい相互間隔G
s2が交互に現れる。維持電極46,46は、相対的に小
さい相互間隔Gs1の部分で対向させられている。図4に
おける左端中央に例示するように、本実施例では、この
維持電極46,46間で表示のための維持放電をさせる
ので、放電ギャップは相互間隔Gs1に略等しい100(μm)
程度である。また、図4を前記の図1と対比すれば明ら
かなように、シート部材20は、配線部52に沿って伸
びる格子の構成部分が凹溝22間の凸部上に位置させら
れている。なお、前記の図2は、上記の図4におけるA
−A視断面に対応する図である。
【0046】図5は、上記の図4に示されるような接続
関係とされたシート部材20と、背面板18上に設けら
れた端子58との接続状態を説明する図である。コア誘
電体層32の一面(上面)34に設けられている維持配線
層36の配線部50は、シート部材20の外周縁近傍に
その端部が位置させられており、前記の被覆誘電体層4
2によってその全体が覆われている。また、コア誘電体
層32の他面(下面)38には、上記の配線部50の端部
の近傍の位置からそのコア誘電体層32の端部よりもは
み出した導出用配線部60が備えられている。この導出
用配線部60は、書込配線層40と同様な厚膜導体材料
から成り且つその配線部52と同様な幅寸法および厚さ
寸法を備えたものである。維持配線層36の配線部50
とこの導出用配線部60とは、コア誘電体層32をその
一面34から他面38に貫通する貫通穴62内に備えら
れた貫通導体64によって導通状態で接続されている。
なお、導出用配線部60は、例えば維持配線層50に設
けられた多数本の配線部50の各々に接続された多数本
が同様に備えられており、それぞれ、貫通導体64を介
して配線部50に接続されることでそれらをコア誘電体
層32外に導いている。
【0047】上記の導出用配線部60の露出した端部
は、背面板内面14の前記端子58に接続されている。
このため、配線部50は、貫通導体64および導出用配
線部60を介して背面板18上の端子58に接続される
こととなる。この端子58は、例えば背面板内面14の
うち気密空間外となる位置に設けられ、或いは、気密空
間内となる位置に設けられており、これに図示しない外
部接続用配線が接続されることにより、シート部材20
の配線部50が外部回路に接続される。
【0048】一方、図において左上から右下に向かって
伸びる書込配線層40の配線部52は、その端部が、シ
ート部材20の外周縁すなわちコア誘電体層32の端部
よりも外側にはみ出す位置まで延長して設けられてい
る。前記の端子58は配線部58の先端部近傍にも備え
られており、この配線部52のはみ出した端部はそこに
接続されている。したがって、配線部52の長手方向に
沿った方向においては導出用配線部60が設けられてお
らず、配線部52のうちコア誘電体層32からはみ出し
た端部近傍の部分が導出用厚膜導体に相当する。なお、
複数本の配線部52の各々も、端子58に接続された外
部接続用配線を介して外部回路に接続される。
【0049】なお、背面板内面14にそこから突出する
隔壁等は設けられていないため、シート部材20は、全
体が略平坦に保たれたままその内面14上に位置させら
れている。そのため、その下面38側に備えられている
導出用配線部60および配線部52と端子58とは略同
一平面上に位置しており、相互に導通が確保された状態
で確実に接続されている。また、前記の凹溝22は、例
えば端子58よりも内周側の範囲に設けられており、そ
の端子58は、その凹溝22による凹凸の生じていない
平坦な部分に形成されている。
【0050】以上のように構成されたPDP10を駆動
するに際しては、対向させられる維持電極46のうち個
々に独立させられているものが接続されている複数本の
配線部50に所定の交流パルスを印加して順次走査する
と共に、その走査のタイミングに同期して書込電極48
のうちのデータに対応する所望のもの(すなわち発光さ
せる区画として選択されたものに対応する書込電極)に
配線部52を介してに所定の交流パルスを印加すると、
前記の図4の左端中央のセルについて示すように、それ
らの間で書込放電が発生させられ、維持電極46上の保
護膜44上に電荷が蓄積される。このようにして全ての
維持電極46を走査した後、全ての維持電極46,46
間に配線部50を介して所定の交流パルスを印加する
と、電荷が蓄積された発光区画では印加電圧にその蓄積
電荷による電位が重畳されて放電開始電圧を越えるた
め、維持電極46,46間で放電が発生させられ、且つ
保護膜44上に改めて発生させられた壁電荷等により予
め定められた所定時間だけ維持される。これにより、ガ
ス放電で発生した紫外線で選択された区画内の蛍光体層
26、30が励起発光させられ、その光が前面板16或
いは背面板を通して射出されることにより、一画像が表
示される。そして、走査側電極(維持電極46)の1周期
毎に、交流パルスを印加されるデータ側電極(書込電極
48)が変化させられることにより、所望の画像が連続
的に表示されることとなる。なお、上記の説明から明ら
かなように、維持電極46のうち、個々に独立させられ
ている一方は、書込電極48との間で走査電極として機
能させられるが、他方の維持電極46との間では維持電
極(表示放電電極)として機能させられる。また、図示は
省略するが、前面板16および背面板18の一方のみか
ら画像を観察する場合には、他方の裏面にアルミニウム
等で反射膜が設けられる。
【0051】このとき、放電は図4に示されるように10
0(μm)程度の僅かな距離Gs1だけ相互に離隔させられた
電極46,46間で発生させられるが、放電空間24は
図における上下方向に連続しているため、その放電によ
り発生させられた紫外線は、図4に一点鎖線で模式的に
示すように、その放電空間24の長手方向に沿って放電
電極46,46の外側に広がる。そのため、放電空間2
4内に設けられている蛍光体層26,30のうち、その
一点鎖線で囲まれた範囲内に位置するものが、図の左端
中央に示す電極46,46間の放電で発生した紫外線で
励起発光させられることとなる。
【0052】したがって、PDP10における発光単位
(セル)の区切りは、凹溝22に垂直な方向すなわち図に
おける左右方向ではその凹溝22間の凸部によって区切
られ、凹溝22の長手方向すなわち図における上下方向
では実質的にはこの紫外線の及ぶ範囲によって画定され
る。この結果、発光単位の中心間隔は、図の左右方向に
おいてはPc=0.3(mm)程度のカラー・セル・ピッチ
に、図の上下方向においてはPd=0.9(mm)程度のドッ
ト・ピッチになっている。なお、本実施例のようなRG
B3色から成るカラー表示用のPDP10においては、
図の左右方向において相互に隣接する3つの発光区画で
一画素が構成されている。そのため、画素ピッチは、左
右方向および上下方向の何れにおいても0.9(mm)程度で
ある。
【0053】ここで、本実施例においては、格子状のシ
ート部材20に維持配線層36および書込配線層40が
設けられると共に、その維持配線層36のうちの格子の
内壁面の互いに対向する位置に固着された部分によって
維持電極46、46が構成されると共に、その書込配線
層40のうちその維持電極46が設けられている格子内
の放電空間に凸設された部分により書込電極48が構成
される。そのため、放電面が互いに平行に設けられた対
向放電構造であることから、発光区画相互の放電電圧
(開始電圧や維持電圧)のばらつきが小さくなって、動作
マージンが広くなる利点がある。
【0054】しかも、放電電極46、46の放電面が前
面板16および背面板18の何れからも離隔したこれら
の中間の高さ位置に位置し且つ放電方向がそれらの内面
12,14に沿った方向となることから、前面板内面1
2および背面板内面14上における放電ガス・イオンの
影響が少ないので、前述したようにそれらの何れにも広
い範囲に蛍光体層26,30が設けられる。そのため、
蛍光体層を放電電極が固着された基板とは反対側の基板
上にのみ設けることが可能であった面放電構造の場合に
比較して輝度を飛躍的に高め得る利点もある。
【0055】また、シート部材20に維持電極46およ
び書込電極48の両者が設けられた結果として、書込電
極48の位置および大きさの制限が無くなるので、これ
を適切な位置および大きさで備えることが可能となり、
放電効率や応答速度、輝度等が飛躍的に高められる。
【0056】ところで、上記のようなPDP10は、例
えば図6に示される工程図に従って別々に処理(或いは
製造)されたシート部材20,前面板16,および背面
板18を組み立てることで製造される。
【0057】背面板18の処理工程においては、先ず、
平坦な背面板18が用意されてその内面14に凹溝28
が研削加工等によって形成され、或いは、予め凹溝28
が形成された背面板18を用意される。次いで、端子形
成工程66において、例えば厚膜スクリーン印刷法等の
適宜の方法を用いて前記の端子58を内面14に形成す
る。また、蛍光体層形成工程68において、RGB3色
に対応する3種の蛍光体スラリ或いは蛍光体ペーストを
凹溝28内であって色毎に定められた所定位置に流し込
みや厚膜スクリーン印刷法等によって塗布し、例えば45
0(℃)程度の温度で焼成処理を施すことにより、前記の
蛍光体層30を設ける。
【0058】一方、前面板16の処理工程においても、
同様に、凹溝22が形成されたガラス基板を用意し、蛍
光体層形成工程70において、RGB3色に対応する3
種の蛍光体スラリ或いは蛍光体ペーストを凹溝22内で
あって色毎に定められた所定位置に、流し込みや凹溝2
2上から落とし込み印刷等の手法で塗布し、例えば450
(℃)程度の温度で焼成処理を施すことにより、前記の蛍
光体層26を設ける。
【0059】そして、接続工程72においては、別途シ
ート部材作製工程74において作製された前記のシート
部材20を背面板18上に固着し、且つ書込配線層40
の配線部52の端部および導出用配線部60の端部を前
記の端子58に接続する。或いは、シート部材20を背
面板18上に配置し、配線部52等の端部を端子58に
接続することにより、接続と同時にシート部材20を実
質的に背面板18上に固定する。上記の接続は、例え
ば、良く知られた導電性接着剤等の高い導電性を有する
材料で行われる。
【0060】封着工程76においては、シート部材20
が固着された背面板18上に前記の前面板16を重ね合
わせて加熱処理を施す。これにより、前面板16および
背面板18の内面12,14に予め塗布されたシールガ
ラス等の封着剤でこれらを気密に封着する。そして、排
気・ガス封入工程78において、形成された気密容器内
から排気し且つ所定の放電ガスを封入することにより、
前記のPDP10が得られる。
【0061】上記の製造工程において、シート部材作製
工程74は、よく知られた厚膜印刷技術を応用した例え
ば図7に示される工程に従って実施される。以下、シー
ト部材20の製造方法を、製造工程の要部段階における
状態を表した図8(a)〜(e)および図9(f)〜(h)等を参照
して説明する。
【0062】先ず、基板用意工程80では、厚膜印刷を
施す基板82(図8参照)を用意し、その表面84等に適
宜の清浄化処理を施す。この基板82は、後述する加熱
処理の際に殆ど変形や変質の生じないものであって、例
えば、熱膨張係数が87×10-7(/℃)程度で、740(℃)程度
の軟化点および510(℃)程度の歪み点を備えたソーダラ
イム・ガラス等から成るガラス基板が好適に用いられ
る。なお、基板82の厚さ寸法は例えば2.8(mm)程度で
あり、その表面84の大きさは前記のシート部材20よ
りも十分に大きくされている。
【0063】次いで、剥離層形成工程86では、高融点
粒子が樹脂で結合させられた剥離層88を、基板82の
表面84に例えば5〜50(μm)程度の厚さ寸法で設ける。
上記の高融点粒子は、例えば平均粒径が0.5〜3(μm)程
度の高軟化点ガラスフリットおよび平均粒径が0.01〜5
(μm)程度のアルミナやジルコニア等のセラミック・フ
ィラーを混合したものである。上記の高軟化点ガラス
は、例えば550(℃)程度以上の軟化点を備えたものであ
り、混合物である高融点粒子の軟化点は、例えば550
(℃)程度以上になっている。また、樹脂は、例えば350
(℃)程度で焼失させられるエチルセルロース系樹脂等で
ある。この剥離層88は、例えば、上記の高融点粒子お
よび樹脂がブチルカルビトールアセテート(BCA)等の
有機溶剤中に分散させられた無機材料ペースト90を、
例えば図8(a)に示すようにスクリーン印刷法を用いて
基板82の略全面に塗布し、室温において乾燥させるこ
とで設けられるが、コータやフィルム・ラミネートの貼
り付け等で設けることもできる。図8(b)は、このよう
にして剥離層88を形成した段階を示している。なお、
図8(a)において、92はスクリーン、94はスキージ
である。本実施例においては、上記の剥離層88を備え
た基板82が支持体に、その剥離層88の表面が膜形成
面にそれぞれ相当し、上記の基板用意工程80および剥
離層形成工程86が支持体準備工程に対応する。
【0064】続く厚膜ペースト層形成工程96では、前
記の書込配線層40,維持配線層36,導出用配線部6
0、および維持電極46を形成するための厚膜導体ペー
スト98と、前記のコア誘電体層32を形成するための
厚膜誘電体ペースト100(図8(a)参照)を、無機材料
ペースト90と同様にスクリーン印刷法等を利用して剥
離層88上に所定のパターンで順次に塗布・乾燥する。
これにより、書込配線層40および導出用配線部60を
形成するための導体印刷層102、コア誘電体層32を
形成するための誘電体印刷層104、維持配線層36を
形成するための導体印刷層106、維持電極46および
貫通導体64を形成するための導体印刷層108が順に
形成される。上記の厚膜導体ペースト98は、例えば、
銀粉末等の導体材料粉末、ガラスフリット、および樹脂
が有機溶剤中に分散させられたものである。また、厚膜
誘電体ペースト100は、例えば、アルミナやジルコニ
ア等の誘電体材料粉末、ガラスフリット、および樹脂が
有機溶剤中に分散させられたものである。なお、上記の
ガラスフリットは、例えばPbO-B2O3-SiO2-Al2O3-TiO2
の低軟化点ガラス等が用いられ、樹脂および溶剤は例え
ば無機材料ペースト90と同様なものが用いられる。
【0065】このとき、導体印刷層102,106およ
び誘電体印刷層104を形成する際には、スクリーン9
2は、前記の図1および図3等に示されるコア誘電体層
32および配線層36、40の形状にそれぞれ対応する
開口パターンを備えたものが用いられ、焼成収縮後にそ
れぞれ前記の膜厚が得られるように設定された所定の厚
さ寸法で厚膜導体ペースト98および厚膜誘電体ペース
ト100が塗布される。一方、導体印刷層108を形成
する際には、例えばコア誘電体層32により形成された
格子の内壁面よりも僅かに内側にはみ出した形状の開口
と、前記の貫通穴62に対応する位置に位置する開口と
を備えたスクリーン92を用いることにより、厚膜導体
ペースト98がコア誘電体層32の上面からその格子や
貫通穴62の内壁面に沿って流れ落ちるように塗布され
る。また、このときには厚膜導体ペースト98として、
例えば導体成分である銀粒子等の微細な流動性の高いも
のが用いられる。図8(c)〜(f)は、導体印刷層102、
誘電体印刷層104、導体印刷層106、導体印刷層1
08がそれぞれ形成された段階を示している。なお、導
体印刷層102,106,108は、5〜10(μm)程度の
厚さ寸法であるため、一回の印刷で形成されるが、誘電
体印刷層104は30(μm)程度の厚さ寸法であることか
ら、適当な厚さ寸法が得られるまで3回程度の印刷およ
び乾燥を繰り返して積層形成される。
【0066】図10(a)〜(c)は、上記の図8には示され
ていない貫通導体60の近傍すなわち配線部50と導出
用配線部60との接続部分の形成方法を説明する図であ
る。図10(a)は、図8(d)と同じ段階すなわち導体印刷
層102の上に誘電体印刷層104が設けられた段階を
示している。図に示される導体印刷層102は、書込配
線層40と同一層(同一高さ)に設けられるものであっ
て、導出用配線部60を形成するためのものである。誘
電体印刷層104は、その先端部であってこの導体印刷
層102の端部近傍の位置に厚み方向に貫通する貫通穴
58を有する形状で塗布されている。
【0067】図10(b)は、その誘電体印刷層104の
上面に配線部50を形成するための導体印刷層106が
塗布形成された図8(e)と同じ段階を示したものであ
る。導体印刷層106は、その端部で上記の貫通穴58
が覆われないように、例えば誘電体印刷層104の端部
を露出させるそれよりも短い長さ寸法で設けられてい
る。
【0068】図10(c)は、上記の導体印刷層106上
から導体ペースト98を塗布して導体印刷層108を設
けた図8(f)と同じ段階を示している。この導体印刷層
108を形成するための導体ペースト98は、貫通穴5
8を覆い且つ導体印刷層106の端部に重なる形状で塗
布される。塗布された導体ペースト98は、前述したよ
うに比較的高い流動性を備えているため、塗布された位
置にその一部を残留させつつ図に矢印で示すように貫通
穴58内に流れ込んで広がり、導体印刷層102の表面
に到達する。これにより、導体印刷層102および10
6間に亘り且つ両端部がそれらに重なるように導体印刷
層108が形成されることとなる。
【0069】上記のようにして厚膜印刷層102〜10
8を形成し、乾燥して溶剤を除去した後、焼成工程11
0においては、基板82を所定の焼成装置の炉室112
内に入れ、厚膜導体ペースト98および厚膜誘電体ペー
スト100の種類に応じた例えば550(℃)程度の焼成温
度で加熱処理を施す。図9(g)は加熱処理中の状態を示
している。
【0070】上記の加熱処理過程において、厚膜印刷層
102〜108は、その焼結温度が例えば550(℃)程度
であるため、その樹脂成分が焼失させられると共に誘電
体材料、導体材料、およびガラスフリットが焼結させら
れ、コア誘電体層32および厚膜導体層(維持配線層3
6、書込配線層40、および導出用配線部60)すなわ
ちシート部材20の基本的部分が生成される。図9(h)
は、この状態を示している。このとき、前記の剥離層8
8は、前述したようにその無機成分粒子が550(℃)以上
の軟化点を備えたものであるため、樹脂成分は焼失させ
られるが高融点粒子(ガラス粉末およびセラミック・フ
ィラー)は焼結させられない。そのため、加熱処理の進
行に伴って樹脂成分が焼失させられると、剥離層88は
高融点粒子114(図11参照)のみから成る粒子層11
6となる。
【0071】図11は、図9(h)の右端の一部を拡大し
て、上記の加熱処理における焼結の進行状態を模式的に
示した図である。剥離層88の樹脂成分が焼失させられ
て生成された粒子層116は、単に高融点粒子114が
積み重なっただけの層であり、その高融点粒子114は
互いに拘束されていない。そのため、図に一点鎖線で示
される焼成前の端部位置から厚膜印刷層102〜108
が収縮するときには、その高融点粒子114がコロの如
き作用をする。これにより、厚膜印刷層102〜108
の下面側でも基板82との間にその収縮を妨げる力が作
用しないので、上面側と同様に収縮させられることか
ら、収縮量の相違に起因する密度差や反り等は何ら生じ
ていない。
【0072】なお、本実施例においては、厚膜印刷層1
02〜108の焼結が開始するときには、上述したよう
に粒子層116の作用によって基板82はその焼成収縮
を何ら妨げない。したがって、基板82の熱膨張は生成
される厚膜の品質に実質的に影響しない。なお、基板8
2を繰り返し使用する場合や熱処理温度が高くなる場合
には、歪み点の一層高い耐熱性ガラス(例えば、熱膨張
係数が32×10-7(/℃)程度で軟化点が820(℃)程度の硼珪
酸ガラスや、熱膨張係数が5×10-7(/℃)程度で軟化点が
1580(℃)程度の石英ガラス等)を用いることができる。
この場合にも、誘電体材料粉末等の結合力が小さい温度
範囲では基板82の熱膨張量が極めて小さくなるので、
その熱膨張が生成される厚膜の品質に影響することはな
い。
【0073】図7に戻って、剥離工程118では、生成
された厚膜すなわちコア誘電体層32および配線層3
6,40等の積層体を基板82から剥離する。それらの
間に介在させられている粒子層116は高融点粒子11
4が単に積み重なっただけであるので、上記剥離処理は
何らの薬品や装置を用いることなく容易に行い得る。こ
のとき、積層体の裏面には高融点粒子114が一層程度
の厚みで付着し得るが、この付着粒子は、必要に応じて
粘着テープやエアブロー等を用いて除去する。なお、厚
膜が剥離された基板82は、前述したように前記の焼成
温度では変形および変質し難いものであるため、同様な
用途に繰り返し用いられる。
【0074】次いで、誘電体ペースト塗布工程120に
おいては、剥離した積層体をディッピング槽122中に
蓄えられた誘電体ペースト124中にディッピングする
ことにより、全外周面に誘電体ペースト124が塗布さ
れる。図9(i)はこの段階を示している。この誘電体ペ
ースト124は、例えば、PbO-B2O3-SiO2-Al2O3-ZnO-Ti
O2系或いはこれらを組み合わせた系等のガラス粉末およ
びPVA等の樹脂が水等の溶剤中に分散させられたもの
であり、前記の厚膜誘電体ペースト100に比較して低
粘度に調製されている。なお、上記のガラス粉末は鉛を
含まない軟化点が630(℃)程度以上のものも使用可能で
ある。これは、前記の厚膜誘電体ペースト100に含ま
れるものの軟化点と同程度かそれよりも高いものであ
る。また、低粘度に調製されたペーストを用いるのは、
塗布の際に気泡が巻き込まれ延いては焼成後に欠陥の残
ることを防止するためであり、積層体は、例えば水平な
向きで金網126等に載せられた状態で誘電体ペースト
124中に静かに沈められ、且つ取り出される。
【0075】続く焼成工程128では、ディッピング槽
122から取り出され且つ十分に乾燥させられた積層体
が焼成炉内に投入され、前記誘電体ペースト124に含
まれるガラス粉末の種類に応じて定められる例えば650
(℃)程度の所定温度で加熱処理(焼成処理)を施される。
この焼成温度は、例えば、ガラス粉末が十分に軟化して
緻密な誘電体層(被覆誘電体層42)が得られるように、
ガラス粉末の軟化点に対して十分に高い温度に設定され
る。このため、このようにして形成された被覆誘電体層
42は、ガラス粉末相互の粒界に起因する空隙等が殆ど
無く、高い耐電圧を有するものとなる。本実施例におい
ては、これら誘電体ペースト塗布工程120および焼成
工程128から被覆工程が構成されている。
【0076】このとき、上記の焼成工程128が比較的
高温に設定される場合には、内側に位置するコア誘電体
層32および維持配線層36から残留していた有機成分
が焼失させられること等によりガスが発生する。このガ
スは、被覆誘電体層42内に気泡を生成するものである
が、ガスの移動方向は図12に矢印で示されるように上
方となる。そのため、被覆誘電体層42内に生成する気
泡は、専ら図における上部に形成され、維持配線層36
のうち放電面として機能させられる部分すなわちコア誘
電体層32の側面を覆う部分には発生しない。したがっ
て、焼成工程128における処理温度が高温であって
も、それに起因して維持電極46上の被覆誘電体層42
内に気泡が生じることがないので、その焼成温度を高く
して緻密化させ、耐電圧等の特性を高めることが可能と
なる。
【0077】そして、保護膜形成工程124において、
上記の被覆誘電体層42の表面に例えばディッピング処
理および焼成処理により、或いはスパッタ等の薄膜プロ
セスにより、前記の保護膜44が所望の厚さ寸法で略全
面に設けられることにより、前記のシート部材20が得
られる。なお、保護膜44は、前述したように薄い膜で
あるので、ディッピング等の厚膜プロセスでは一様な膜
を形成することが比較的困難である。しかしながら、本
実施例においてはX電極46およびY電極48間で対向
放電させることから電極表面間距離が一様であるため、
保護膜44の表面形状の如何に拘わらず放電集中は生じ
難い。したがって、面放電構造を採る場合ほどの一様性
は保護膜44に要求されないのである。
【0078】ここで、本実施例においては、前面板16
および背面板18を重ね合わせて固着することによりP
DP10を製造するに際して、背面板内面14の外周部
に多数の端子58を設ける一方、以上のようにして製造
された維持配線層36、書込配線層40、および導出用
配線部60を備えたシート部材20が背面板18に固着
されることにより、維持電極46および書込電極48が
放電空間24内に設けられると共に、上記端子58を介
した外部回路への接続が可能となる。そのため、背面板
18上にシート部材20を固着するだけで維持電極46
および書込電極48が設けられることから、前面板16
および背面板18上にそれらを設けるための熱処理がそ
れら前面板16および背面板18に施されない。しか
も、維持配線層36および書込配線層40は、コア誘電
体層32からはみ出すように設けられた導出用配線部6
0或いは配線部52の端部が端子58に固着されること
によってその端子58に実質的に或いは直接に接続され
ることから、相互に別々に製造されたシート部材20上
の配線層36,40と端子58とを容易に接続すること
ができる。したがって、厚膜導体の形成等に伴う熱処理
に起因する前面板16、背面板18、および電極46,
48等の歪みが好適に抑制されたPDP10を製造する
ことができる。
【0079】また、本実施例においては、厚膜導体ペー
スト98および厚膜誘電体ペースト100の焼結温度よ
りも高い融点を有する剥離層88で構成された膜形成面
に誘電体印刷層104および導体印刷層102,106
等が所定パターンで形成された後、それらの焼結させら
れる温度で加熱処理が施されることにより、コア誘電体
層32の両面に維持配線層36、書込配線層40、およ
び導出用配線部60を構成する厚膜導体層が形成された
シート部材20が生成される。そのため、その加熱処理
温度では焼結させられない剥離層88は樹脂が焼失させ
られることにより高融点粒子114のみが並ぶ粒子層1
16となることから、生成された厚膜は基板82に固着
されないため、その表面84から容易に剥離することが
できる。したがって、放電電極46,48を構成するた
めのシート部材20を容易に製造し且つPDP10の製
造に用いることができる。
【0080】また、本実施例においては、厚膜ペースト
98,100の塗布される支持体は、基板82の表面に
剥離層88が形成されることにより構成されるため、加
熱処理後にも支持体の形状が維持されるため、剥離層8
8のみで支持体が構成されている場合に比較してシート
部材20の生成後の取扱いが容易になる利点がある。な
お、厚膜印刷層102〜108と基板82との間には剥
離層88が介在させられていることから、加熱処理の際
にその厚膜印刷層102〜108を何ら拘束しないた
め、基板82の平坦度や表面粗度等は特に問題にならな
い。すなわち、基板表面84が反っている場合には、厚
膜印刷層102〜108はその表面84に倣って反りを
有して形成されるが、生成されるシート部材20は焼成
後にも十分な柔軟性があるため、平坦面に置いた場合に
その面に倣ってシート部材20も平坦になるのである。
【0081】また、本実施例においては、厚膜ペースト
層形成工程96において、誘電体印刷層104が貫通穴
58を有するパターンで形成され、且つその貫通穴58
内に導体印刷層102,106を相互に接続するための
厚膜導体ペースト(貫通導体ペースト)98が塗布される
ことから、維持配線層36のように導出用配線部60と
はコア誘電体層32の異なる面に形成される厚膜導体層
が好適に接続される利点がある。
【0082】また、本実施例においては、厚膜印刷層1
02〜108は、厚膜スクリーン印刷法を用いて形成さ
れることから、装置が簡単且つ材料の無駄が少ないた
め、低コストとなる利点がある。
【0083】また、本実施例によれば、厚膜スクリーン
印刷法を用いて膜形成がされることから所謂ウェット・
プロセスがないため、排水処理が容易になる利点もあ
る。因みに、ウェット・プロセスでは、溶液が膜内に浸
透して残存すると、前面板16および背面板18を接着
して真空容器を構成した後のアウトガスの原因になり得
る。これを避けるためには、構成材料の耐熱温度を高く
して気密封着後の排気温度を高め、或いは排気時間を長
くする等の工程負荷が重くなるような処置が必要とな
る。
【0084】図13は、前記のPDP10に用いられ得
る他のシート部材132における維持配線層36の配線
部50と導出用配線部60との接続構造を説明するため
の図である。この実施例においては、導出用導体60が
設けられているコア誘電体層32の先端部は、その先端
に向かうに従って厚さ寸法が小さくなるなだらかな傾斜
面134に形成されている。また、配線部50の先端部
は、その傾斜面134に沿って下方すなわち導出用配線
部60に接近する方向に伸び、且つコア誘電体層32か
らその先端がはみ出すように形成されており、このはみ
出し部分が導出用配線部60の露出部分に重なる。本実
施例においては、このように配線部50の先端部が導出
用配線部60に重ねられることによってそれらの間の導
通が確保されている。そのため、本実施例によれば、誘
電体印刷層104を貫通穴62を有する形状に形成し且
つその内部に設けられた貫通導体64を利用して導通さ
せる場合に比較して、貫通穴62の直径縮小や潰れ等に
起因する導通不良が生じ難い利点がある。
【0085】なお、厚膜ペーストは流動性を有し且つ前
述したようなスクリーン印刷法を利用して厚膜ペースト
を塗布する場合には塗布面において滲みが生じるため、
塗布形成される厚膜印刷層の周縁部は、一般にその流動
性等に応じた傾斜面となる。本実施例においては、この
ような自然に形成される傾斜面を利用して配線部50と
導出用配線部60との導通を図っているのである。通常
は、滲み等に起因して自然に形成される傾斜面134を
利用すればよいが、ペースト粘度が高い場合等、接続に
好適な傾斜面が形成され難い場合には、誘電体印刷層1
04を形成するために積層して印刷される厚膜誘電体ペ
ースト100の粘度を上層ほど低くなるようにペースト
粘度を調節してもよい。
【0086】図14は、端子58が背面板18の裏面1
36に設けられている場合の導出用配線部60との接続
構成を説明する図であり、(a)はシート部材20が備え
られている気密空間に面する内面14側を、(b)はその
反対の裏面136側をそれぞれ表している。この実施例
では、端子58が背面板18を挟んでシート部材20と
は反対側に備えられていることから、端子58に接続す
るために導出用配線部60が裏面136側に引き回され
ている。導出用配線部60は、厚膜銀等の厚膜導体から
成り且つその厚さ寸法も前述したように十分に薄いた
め、上記のように引き回すための十分な可撓性を備えて
いる。そのため、端子58が裏面136に備えられてい
る場合にも、背面板18の端面への印刷等の複雑且つ角
部で断線の生じ易い接続方法を採ることなく、確実に配
線部50,52と端子58とを接続することができる。
この結果、端子58を裏面136上に設けることに対す
る障碍が減じられるため、背面板18の裏面側に駆動回
路を設ける場合等における端子58と外部回路との接続
等が、その端子58を裏面136に設けることで容易に
なる利点がある。なお、図において138は、背面板1
8の側端面において導出用配線部60を保護するために
設けられた凹みである。
【0087】図15は、PDP10に用いられ得る更に
他のシート部材140の要部構成を説明する図である。
この図は、配線部50の端部近傍を表している。前記の
図4等において説明したように、維持配線層36の配線
部50は、維持・走査電極として機能する対向部46に
接続されたもの(50a)と、維持電極としてのみ機能す
る対向部46に接続されたもの(50b)とが交互に配置
されている。複数本の配線部50aの各々は、シート部
材140の外周縁近傍にその先端部が位置し、前述した
図5に示されるような貫通導体64を介した接続構造に
よって導出用配線部60にそれぞれ接続される。上記先
端位置は、例えば、コア誘電体層32の格子の構成部分
であって配線部50に垂直な方向に沿って伸びる部分の
うちシート部材140の最も外周側に位置するもの32
aよりも外周側になっている。貫通導体64および導出
用配線部60のシート部材140内周側端部も、その格
子構成部分32aより外周側に位置する。
【0088】一方、複数本の配線部50bの各々は、そ
の端部が例えば上記の格子構成部分32a上に位置して
いる。コア誘電体層32のその配線部50bとは反対側
の裏面38には、その格子構成部分32aにその長手方
向に沿って伸びる接続用配線142が備えられている。
接続用配線142は、書込配線層40と同様な厚膜導体
材料から成り且つ同様な厚さ寸法を備えたものであっ
て、複数本の配線部50bの各々の端部に重なる位置に
おいて、コア誘電体層32を貫通して設けられた貫通穴
62内の貫通導体64を介して相互に接続されている。
また、接続用配線142には、その長手方向の一部、例
えば配線部50aが接続されている導出用配線部60と
重ならない一箇所において、端部がコア誘電体層32か
らシート部材140の外周側にはみ出した導出用配線部
144が備えられている。このような接続構造とされた
結果、維持電極として機能する対向部46に接続された
配線部50bは、例えば全面で共通の導出用配線部14
4を介して外部回路に接続されている。
【0089】なお、維持・走査電極として機能する対向
部46に接続された配線部50aは、述した順次走査の
ために個々に独立している必要があるが、維持電極とし
て機能する対向部46に接続された配線部50bは、全
面で一括して駆動電圧を印加されるため、個々に独立し
ている必要はない。そのため、配線部50aはそれぞれ
独立した導出用配線部60に接続されなければならない
が、配線部50bは共通の導出用配線部144に接続す
れば良いのである。
【0090】本実施例においては、外部制御回路の共通
のポートに接続されることとなる配線部50bが、上記
のようにシート部材140内で接続用配線142を介し
て相互に接続されることから、背面板18上にシート部
材140を固着した後に配線部50bを相互に接続する
必要がない。そのため、製造工程が簡単になると共に、
接続のために露出した状態で備えられる導出用配線14
2の本数を減じ得ることから、PDP10の信頼性が向
上する。
【0091】以上、本発明を図面を参照して詳細に説明
したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0092】例えば、実施例においては、カラー表示用
のAC型PDP10およびその製造方法に本発明が適用
された場合について説明したが、本発明は、モノクロ表
示用のAC型PDPおよびその製造方法や、DC型PD
Pその他の平板型表示装置にも同様に適用される。
【0093】また、実施例においては、コア誘電体層3
2を挟んで導出用配線部60の反対側に備えられている
配線部50が貫通導体64や傾斜面134上にはみ出し
て形成された部分を介してその導出用配線部60に接続
されていたが、前記の図14に示されるように、コア誘
電体層32からはみ出している厚膜導体は十分な可撓性
を有しているので、配線部50をコア誘電体層32から
はみ出すように形成し且つそのはみ出し部分で端子58
に接続するように構成しても良い。
【0094】また、図15に示されるシート部材140
は、配線部50bの端部が最外周の格子構成部分32a
上に位置させられていたが、それよりも内周側或いは外
周側であっても差し支えない。内周側に端部が位置する
場合には、貫通導体64を介した接続のために、その端
部の直下に向かって伸びる接続部を接続用配線142に
設ければよい。一方、配線部50aは、接続用配線14
2と導出用配線部60との短絡を避けるために、上記格
子構成部分32aよりも外周側に端部が位置する必要が
ある。
【0095】また、実施例においては、貫通導体64や
配線部50の傾斜面134に沿って伸びる端部によって
その配線部50と導出用配線部60とが接続されていた
が、接続方法はこれらに限られず、平板型表示装置の構
造に応じた種々の方法を採りうる。例えば、コア誘電体
層32の側面を経由して接続することも出来る。
【0096】また、実施例においては、維持配線層36
および書込配線層40を構成する厚膜導体がコア誘電体
層32の上下両面に設けられていたが、コア誘電体層3
2の一方の面だけに電極に接続される配線として厚膜導
体が設けられる場合にも本発明は同様に適用される。そ
の場合、その配線が設けられる面と導出用配線部60が
設けられる面とは、同じ面であっても異なる面であって
も良い。
【0097】また、シート部材20、132、138の
厚さ寸法およびそれを構成するコア誘電体層32や配線
層36、40等の厚さ寸法等は、シート部材20等に取
扱い上で要求される機械的強度や、導体に求められる導
電性等に応じて定められるものであり、実施例に示した
数値に限られず平板型表示装置の大きさや構造等に応じ
て適宜定められる。
【0098】また、実施例においては、シート部材20
等に設けられた配線層36,40等が被覆誘電体層42
で完全に覆われていたが、これらは表示のための放電や
気密容器内の雰囲気等に影響を及ぼさない範囲で部分的
に露出させられていても差し支えない。
【0099】また、実施例においては、シート部材20
が厚膜スクリーン印刷法を利用してコア誘電体層32や
配線層36,40等を設けていたが、コータやフィルム
・ラミネート等を用いて膜形成面に「ベタ」に厚膜ペー
スト層を設け、フォト・プロセスを用いてパターニング
することもできる。
【0100】また、実施例においては、シート部材20
を製造するための支持体を、基板82の表面84に剥離
槽82を設けることで構成していたが、セラミック生シ
ート(未焼成のシート状セラミックス)を支持体として用
いることもできる。この場合には、焼成工程110にお
ける熱処理温度が、このセラミック生シートは焼結しな
いがそれに含まれている樹脂成分は十分に燃え抜けるよ
うな温度となるように生シートの構成を定めればよい。
【0101】また、実施例においては、シート部材20
の内壁面を覆う維持電極46、46間で放電させられる
対向放電構造に構成されていたが、この内壁面を覆う部
分が設けられていないような面放電構造に構成すること
もできる。
【0102】また、実施例においては、凹溝22がスト
ライプ状に設けられていたが、封着後の排気・ガス封入
に問題が無ければ格子状の溝で放電空間を区画形成して
もよい。また、実施例においては、前面板16および背
面板18の両方に凹溝22,28が形成されていたが、
一方だけに設けても差し支えない。その場合、シート部
材20と蛍光体との接触を避けるためには、凹溝を設け
ない側には蛍光体層を設けないことが好ましい。なお、
凹溝22に代えて背面板18上に隔壁を立設することで
放電空間を区画形成しても良い。その場合には、シート
部材20等がその頂部に乗ることになるので、内面14
上に設けられた端子58との接続部分を、隔壁が設けら
れている範囲よりも十分に外周側に設定すればよい。シ
ート部材20等は厚膜から成り且つ薄いものであって可
撓性に富むので、隔壁から外周側に十分に離隔した位置
ではシート部材20等が内面14に略密着し、端子58
との接続に何ら支障はない。
【0103】また、実施例においては、前面板16およ
び背面板18が何れも透明なガラス基板で構成されるこ
とにより何れからも発光を観察できるように構成されて
いたが、一方を不透明な材料で構成して他方を透過した
光のみを観察するように構成してもよい。
【0104】また、前面板16および背面板18には、
放電空間24を形成するために凹溝22,28が設けら
れていたが、これに代えて、凹溝22,28の相互間と
なる凸部の存在する位置に厚膜絶縁体等から成る隔壁を
設けてもよい。
【0105】また、放電空間24の相互の区切りと成る
部分、すなわち、実施例においては凹溝22間の凸部ま
たは前面板16の裏面、隔壁が設けられる場合にはその
頂部或いは基部には、黒色顔料を含むガラス・ペースト
(厚膜絶縁体)等によってブラック・ストライプ(ブラッ
ク・マスク)を設けてもよい。
【0106】また、実施例においては、シート部材20
を製造するに際して、剥離層88の上に直ちに書込配線
層40を設けるための厚膜導体ペーストを印刷していた
が、焼成時の熱容量の相違等に起因して書込電極48が
上方に向かって湾曲するおそれのある場合には、上記の
厚膜導体ペーストに先立って、同一のパターンで誘電体
ペーストを塗布して、書込配線層40のベースと成る厚
膜誘電体層を設けてもよい。なお、シート部材132の
ように書込電極48がコア誘電体層136の内壁面上に
設けられる場合には、このような措置は無用である。
【0107】また、実施例においては、シート部材20
等が格子状に構成されていたが、シート部材の形状は平
板型表示装置の構造に応じて適宜定められるものであ
る。例えば、丸穴を有する形状やストライプ状の穴を有
する形状、厚み方向に貫通する穴を何ら備えないベタ形
状等種々の形状があり得る。
【0108】その他、一々例示はしないが、本発明は、
その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平板型表示装置の一例であるカラーP
DPを一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図2】凹溝の長手方向に沿った断面において、図1の
PDPの断面構造を説明する図である。
【図3】図1のPDPに備えられたシート部材の構成を
説明する図である。
【図4】図3のシート部材内における配線層の形成状態
を説明する図である。
【図5】図3のシート部材と背面板上の端子との接続構
造を説明する部分図である。
【図6】図1のPDPの製造方法を説明する工程図であ
る。
【図7】シート部材の製造方法を説明する工程図であ
る。
【図8】(a)〜(f)は、図7の製造工程の要部段階におけ
る基板および厚膜の状態を示す図である。
【図9】(g)〜(i)は、図7の製造工程の要部段階におけ
る基板および厚膜の状態を示すための図8(e)に続く図
である。
【図10】(a)〜(c)は、図7の厚膜ペースト層形成工程
における維持配線層の配線部と導出用配線部との接続部
分の形成方法を説明する図である。
【図11】図7の焼成工程における収縮挙動を説明する
ための図である。
【図12】被覆誘電体層の焼成工程におけるガスの抜け
る方向を説明する図である。
【図13】図1のPDPに用いられる他のシート部材の
要部を説明する図である。
【図14】(a)、(b)は、背面板上の端子と導出用配線部
との接続構成の他の例を説明する図である。
【図15】図1のPDPに用いられる更に他のシート部
材の要部を説明する図である。
【符号の説明】
10:PDP 16:前面板 18:背面板 20:シート部材 24:放電空間 32:コア誘電体層 50,52:配線部(配線用厚膜導体) 58:端子 60:導出用配線部 64:貫通導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 進 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地 ノリタケ電子工業株式会社夜須工場 内 Fターム(参考) 5C027 AA01 AA05 AA09 5C040 FA01 FA04 GB03 GB13 GB14 GC13 GC19 GF03 GF19 GK01 GK03 KA07 MA23

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な第1基板と、その第1基板から所
    定距離隔てて平行に配置された第2基板と、それら第1
    基板および第2基板間においてそれらに平行な平面内に
    設けられた複数本の導体配線と、それら複数本の導体配
    線によって区画形成された複数の発光区画とを備え、前
    記複数本の導体配線のうち所望のものに電圧を印加する
    ことにより前記複数の発光区画で選択的に発生させた光
    を前記第1基板を通して射出させて表示する形式の平板
    型表示装置であって、 所定厚さ寸法の厚膜誘電体から成るコア誘電体と、前記
    複数本の導体配線を構成するためにそのコア誘電体の表
    面に積層された複数本の配線用厚膜導体と、各々の端部
    がそのコア誘電体の外側にはみ出した状態でそのコア誘
    電体の表面に積層され且つそれら複数本の配線用厚膜導
    体に接続された複数本の導出用厚膜導体とを備えて、前
    記第2基板上に固着されたシート部材と、 前記第2基板の一面に設けられ且つ前記複数本の導出用
    厚膜導体の端部がそれぞれ導通状態で固着された複数個
    の端子とを、含むことを特徴とする平板型表示装置。
  2. 【請求項2】 前記コア誘電体をその厚み方向に貫通し
    且つ前記配線用厚膜導体と前記導出用厚膜導体とを接続
    する貫通導体を含むものである請求項1の平板型表示装
    置。
  3. 【請求項3】 前記配線用厚膜導体と前記導出用厚膜導
    体とが、前記コア誘電体の外側にはみ出したその配線用
    厚膜導体の端部において相互に接続された接続部を含む
    ものである請求項1の平板型表示装置。
  4. 【請求項4】 前記複数本の配線用厚膜導体のうち所定
    のものを相互に接続するために前記コア誘電体の表面に
    積層して設けられた接続用厚膜導体を含むものである請
    求項1の平板型表示装置。
  5. 【請求項5】 透明な第1基板と、その第1基板から所
    定距離隔てて平行に配置された第2基板と、それら第1
    基板および第2基板間においてそれらに平行な平面内に
    設けられた複数本の導体配線と、それら複数本の導体配
    線によって区画形成された複数の発光区画とを備え、前
    記複数本の導体配線のうち所望のものに電圧を印加する
    ことにより前記複数の発光区画で選択的に発生させた光
    を前記第1基板を通して射出させて表示する形式の平板
    型表示装置を、前記第1基板および前記第2基板を重ね
    合わせて気密に封着することにより製造する方法であっ
    て、 前記第2基板の所定位置に複数個の端子を設ける端子形
    成工程と、 所定厚さ寸法の厚膜誘電体から成るコア誘電体と、前記
    複数本の導体配線を構成するためにそのコア誘電体の表
    面に積層された複数本の配線用厚膜導体と、各々の端部
    がそのコア誘電体の外側にはみ出した状態でそのコア誘
    電体の表面に積層され且つそれら複数本の配線用厚膜導
    体に接続された複数本の導出用厚膜導体とを備えたシー
    ト部材を前記第2基板上に固着する固着工程と、 前記複数本の導出用厚膜導体の端部をそれぞれ前記複数
    個の端子に導通状態で固着する接続工程とを、含むこと
    を特徴とする平板型表示装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 所定の第1温度よりも高い融点を有する
    粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された
    膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、 前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒
    子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記コア
    誘電体に対応したパターンで前記膜形成面上に形成する
    誘電体ペースト膜形成工程と、 前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子
    が樹脂で結合されて成る配線用導体ペースト膜を前記配
    線用厚膜導体に対応したパターンで前記膜形成面上に形
    成する配線用導体ペースト膜形成工程と、 前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子
    が樹脂で結合されて成る導出用導体ペースト膜を前記誘
    電体ペースト膜から前記端部がはみ出し且つ前記配線用
    導体ペースト膜と接続される前記導出用厚膜導体に対応
    したパターンで前記膜形成面上に形成する導出用導体ペ
    ースト膜形成工程と、 前記支持体を前記第1温度で加熱処理することにより、
    前記高融点粒子層を焼結させることなく前記誘電体ペー
    スト膜、前記配線用導体ペースト膜、および前記導出用
    導体ペースト膜を焼結させて、前記コア誘電体、前記配
    線用厚膜導体、および前記導出用厚膜導体を生成する焼
    成工程とを、含む工程により前記シート部材を製造する
    ものである請求項5の平板型表示装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記誘電体ペースト膜形成工程は、前記
    誘電体ペースト膜を所定位置に貫通穴を有するパターン
    で形成するものであり、 前記貫通穴内に前記配線用導体ペーストと前記導出用導
    体ペーストとを接続するための貫通導体ペーストを塗布
    する工程を含むものである請求項6の平板型表示装置の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記配線用導体ペースト膜形成工程は、
    前記導出用導体ペースト膜の端部が前記誘電体ペースト
    膜からはみ出す位置において前記配線用導体ペースト膜
    をその端部がその誘電体ペースト膜からはみ出すように
    形成することによりそれら端部を相互に接続するもので
    ある請求項6の平板型表示装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第1温度で焼結させられる厚膜導体
    材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る接続用導体ペー
    スト膜を前記配線用導体ペースト膜が相互に接続される
    パターンで前記膜形成面上に形成する接続用導体ペース
    ト膜形成工程を含むものである請求項6の平板型表示装
    置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記支持体準備工程は、所定の基板の
    表面に前記高融点粒子層を形成するものである請求項6
    乃至請求項9の何れかの平板型表示装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記基板は、前記焼成温度で変形しな
    いものである請求項10の平板型表示装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 厚膜スクリーン印刷法を用いて前記導
    体ペースト膜および前記誘電体ペースト膜をそれぞれ形
    成するものである請求項6乃至請求項11の何れかの平
    板型表示装置の製造方法。
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