JP3965974B2 - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)を用いたディスプレイは、視認性に優れた表示パネル(薄型表示デバイス)として注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【0003】
このPDPには、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、AC型で面放電型のPDPが主流を占めるようになってきている。
【0004】
図6にPDPにおけるパネル構造の一例を示している。図6に示すように、ガラス基板などの透明な前面側の基板(前面板)1上には、走査電極2と維持電極3とで対をなすストライプ状の表示電極4が複数対形成され、そして基板1上の隣り合う表示電極4間には遮光層5が配置形成されている。この走査電極2および維持電極3は、それぞれ透明電極2a、3aおよびこの透明電極2a、3aに電気的に接続された銀等のバス電極2b、3bとから構成されている。また、前記前面側の基板1には、前記複数対の電極群を覆うように誘電体層6が形成され、その誘電体層6上には保護膜7が形成されている。
【0005】
また、前記前面側の基板1に対向配置される背面側の基板(背面板)8上には、走査電極2及び維持電極3の表示電極4と直交する方向に、絶縁体層9で覆われた複数のストライプ状のデータ電極10が形成されている。このデータ電極10間の絶縁体層9上には、データ電極10と平行にストライプ状の複数の隔壁11が配置され、この隔壁11間の側面11aおよび絶縁体層9の表面に蛍光体層12が設けられている。
【0006】
これらの基板1と基板8とは、走査電極2および維持電極3とデータ電極10とが直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、放電空間は、隔壁11によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極4とデータ電極10との交点が位置する複数の放電セル13が設けられ、その各放電セル13には、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層12が一色ずつ順次配置されている。
【0007】
このパネル本体の電極配列は、図7に示すように、M行×N列の放電セルからなるマトリックス構成であり、行方向にはM行の走査電極SCN1〜SCNMおよび維持電極SUS1〜SUSMが配列され、列方向にはN列のデータ電極D1〜DNが配列されている。
【0008】
従来、このようなプラズマディスプレイパネルにおいて、前面板に設ける誘電体層の形成方法としては、例えば、図8(a)〜(c)に示すように、低融点ガラスペーストを用いた印刷積層法や一括塗布法により、基板全面に低融点ガラスペースト膜を形成した後に焼成を行う方法や、低融点ガラス粉末を含有するグリーンシートを用い、基板上に転写した後に、焼成を行う方法等がある。
【0009】
図8(a)〜(c)は印刷積層法により誘電体層を形成する方法を示す図であり、この方法は、図8(a)に示すように、表示電極4を形成した基板1上にスクリーン印刷版14を介して低融点ガラスペースト15を塗布する工程を複数回繰返し行うことにより、図8(b)に示すように、低融点ガラスペースト15による積層膜16を形成し、その後図8(c)に示すように焼成することにより誘電体層6を形成するものである。なお、図8(a)中、17はスクリーン印刷に用いる印刷用スキージである。
【0010】
またこれらの方法は、構造欠陥や誘電体層中の気泡の発生による絶縁破壊を抑止することで歩留まりを向上させるために、前記誘電体層を2回に分けて形成する場合もある。すなわち、第1層目の誘電体層を焼成した後、第2層目の誘電体層を焼成する方法である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来の技術において、例えば誘電体層1層の構成では、発光効率等の性能向上を図るために誘電体層を薄膜化すると、誘電体層中に存在する気泡やコンタミネーション等の欠陥により、誘電体層の絶縁破壊が生じやすくなり、結果として歩留まりの低下を招く。
【0012】
また、前記不具合を抑制する一手法として、1層目の欠陥を補うために誘電体層を2層構成とする方法もあるが、誘電体層形成時に焼成を2度行うため、高温熱履歴を2回経ることにより、透明電極、バス電極さらには誘電体層中のコンタミネーション等から発生する気泡がさらに成長することで、欠陥が増大するので、誘電体層を薄膜化すると、歩留まりの低下を招く危険性が高い。前記気泡の成長を抑えるために、誘電体層2層構成で1層目と2層目の低融点ガラスの軟化点が異なる材料を用い、第1層目と第2層目の焼成温度を変える方法も知られている。
【0013】
しかし、これらいずれの方法においても、焼成工程を2回経るので、焼成炉のランニングコストの増大や、工数が2倍かかるため生産量の制約が生じるという問題点がある。
【0014】
本発明はこのような課題を解決するもので、誘電体層を軟化点の異なる2種の低融点ガラスを用いた2層構成にしながら、製造コストが安価で歩留まりが良く、かつ高信頼性のプラズマディスプレイパネルを提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に配置された複数の電極と、この電極を覆うように基板に形成した誘電体層と、前記背面側の基板に形成されかつ放電により発光する蛍光体層とを有し、前記誘電体層が、前記電極上に形成した低融点ガラスからなる第1の誘電体層と、この第1の誘電体層上に形成されかつ前記第1の誘電体層を構成する低融点ガラスの軟化点よりも軟化点が低い低融点ガラスからなる第2の誘電体層とを備え、かつ、前記第1の誘電体層の軟化点よりも高い第1の温度において前記第1の誘電体層の粘度が前記第2の誘電体層の粘度よりも低く、前記第1の誘電体層の軟化点よりも低く前記第2の誘電体層の軟化点よりも高い第2の温度において前記第2の誘電体層の粘度が前記第1の誘電体層の粘度よりも低くなる粘度温度曲線となる誘電体層を備えたものである。
【0016】
この構成によれば、誘電体層中の気泡やコンタミネーション等の欠陥に起因した絶縁破壊不良を誘電体の焼成工程が1度の場合のプロセスでも防止でき、結果的に製造歩留まりが向上し、より安価でしかも高信頼性のプラズマディスプレイパネルが得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に配置された複数の電極と、この電極を覆うように基板に形成した誘電体層と、前記背面側の基板に形成されかつ放電により発光する蛍光体層とを有し、前記誘電体層が、前記電極上に形成した低融点ガラスからなる第1の誘電体層と、この第1の誘電体層上に形成されかつ前記第1の誘電体層を構成する低融点ガラスの軟化点よりも軟化点が低い低融点ガラスからなる第2の誘電体層とを備え、かつ、前記第1の誘電体層の軟化点よりも高い第1の温度において前記第1の誘電体層の粘度が前記第2の誘電体層の粘度よりも低く、前記第1の誘電体層の軟化点よりも低く前記第2の誘電体層の軟化点よりも高い第2の温度において前記第2の誘電体層の粘度が前記第1の誘電体層の粘度よりも低くなる粘度温度曲線となる誘電体層を備えたものである。
【0018】
また、本発明では、第1の誘電体層を構成する低融点ガラスの方が第2の誘電体層を構成する低融点ガラスよりも密度が小さい構成としている。
【0019】
さらに本発明の請求項3に記載の発明は、基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に配置された複数の電極と、この電極を覆うように基板に形成した誘電体層と、前記背面側の基板に形成されかつ放電により発光する蛍光体層とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、第1の低融点誘電体ガラスペーストを電極を有する基板上に塗布し乾燥させることにより第1の誘電体ガラスペースト膜を得る工程と、前記第1の誘電体ガラスペースト膜上に第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも軟化点が低いガラスを含有する第2の低融点誘電体ガラスペーストを塗布し乾燥させることにより第2の誘電体ガラスペースト膜を得る工程と、これらの膜を前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも高くかつ前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度が前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持するとともに、降温時に前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも低くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも高くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度が前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持することにより焼成膜を得る工程とを備えることを特徴とする製造方法である。
【0020】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に配置された複数の電極と、この電極を覆うように基板に形成した誘電体層と、前記背面側の基板に形成されかつ放電により発光する蛍光体層とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、第1の低融点誘電体ガラスグリーンシートを電極を有する基板上に転写する工程と、この基板上に転写されたグリーンシート上に前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも軟化点が低いガラスを含有する第2の低融点誘電体ガラスグリーンシートを転写する工程と、これらの積層されたグリーンシートを、前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも高くかつ前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度が前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持するとともに、降温時に前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも低くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも高くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度が前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持することにより焼成膜を得る工程とを備えることを特徴とする製造方法である。
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図1〜図5を用いて説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による製造方法において使用する低融点ガラス粉末の粘度温度曲線を示している。Aに示す粘度温度曲線を有する低融点ガラス粉末を含有するペーストの軟化点は580℃であり、Bに示す粘度温度曲線を有する低融点ガラス粉末を含有するペーストの軟化点は555℃である。また図に示すように、580℃より高く600℃より低いある温度においてAとBの粘度曲線が交差し、これら2種の低融点ガラス粉末を含有するペーストの粘度の大小関係は逆転する。すなわち、Aを示すペーストの軟化点よりも高いある温度においては、Aを示すペーストの粘度がBを示すペーストの粘度よりも低くなり、一方でAを示すペーストの軟化点よりも低く、Bを示すペーストの軟化点よりも高い温度においては、Bを示すペーストの粘度がAを示すペーストの粘度よりも低くなる。
【0023】
まず、図1中のAに示す粘度温度曲線を有し、かつ微量の金属酸化物を副成分として含有するホウケイ酸鉛系の低融点ガラス粉末を含有するペーストを用意し、このペーストを予め準備された前面板としての電極を有するガラス基板上にスクリーン印刷法により印刷し、この塗布膜を連続式乾燥炉中で乾燥した。この印刷と乾燥を所望の厚みになるまで繰り返し行うことで、第1の誘電体ガラスペースト膜を得た。
【0024】
次に、この第1の誘電体ガラスペースト膜上に、図1中のBに示した粘度温度曲線を有し、かつ微量の金属酸化物を副成分として含有するホウケイ酸ビスマス系の上記第1の誘電体ガラスペースト膜の低融点ガラス粉末の軟化点より低い軟化点の低融点ガラス粉末を含有するペーストを、同じくスクリーン印刷法により印刷した後、連続式乾燥炉中で乾燥した。そしてこの印刷と乾燥を所望の厚みになるまで繰り返し行うことで第2の誘電体ガラスペースト膜を得た。ちなみに、第1の誘電体ガラスペースト膜のガラス粉末の密度は4.8g/cm3で、第2の誘電体ガラスペースト膜のガラス粉末の密度は4.1g/cm3である。
【0025】
このようにして得られた誘電体ガラスペースト膜を図2に示すような温度履歴を経るように設定した連続式焼成炉中で、大気雰囲気下で焼成を行った。この時の焼結過程は、まず600℃に保持した条件下で、粘度の低い1層目の第1の誘電体ガラスペースト膜を先に焼結し、次に570℃に保持した条件下で、より粘度の低い2層目の第2の誘電体ガラスペースト膜のみを焼結する。570℃は、1層目の第1の誘電体ガラスペースト膜のガラス粉末の軟化点よりも低いので、1層目の焼結済みの誘電体層中で気泡が成長することはなく、すなわち誘電体層全体に亘って気泡が成長することはない。また、1層目と2層目のガラスに密度差を与えることで、これらの2層のガラス成分が焼成中に相互に入れ換わらないようにしている。なお、このときの誘電体層の全膜厚は平均値で28.7μmであった。
【0026】
すなわち、本実施の形態1によるプラズマディスプレイパネルの製造方法においては、第1の低融点誘電体ガラスペーストを電極を有する基板上に塗布し乾燥させることにより第1の誘電体ガラスペースト膜を得る工程と、前記第1の低融点誘電体ガラスペースト膜上に第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも軟化点が低くかつ粘度温度曲線の傾きが小さいガラスを含有する第2の低融点誘電体ガラスペーストを塗布し乾燥させることにより第2の誘電体ガラスペースト膜を得る工程と、これらの膜を前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも高くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度より前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度の方が低くなる温度、例えば600℃で保持するとともに、降温時に前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも低くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも高い温度、例えば570℃で保持することにより焼成膜を得る工程により、誘電体層を形成するものである。
【0027】
次に、この焼成膜上にMgOの誘電体の保護膜を真空プロセスを用いて形成し、図3に示すような構造を持ったプラズマディスプレイパネル用の前面板を得た。
【0028】
なお、図3において、21は前面側のガラス基板、22は表示電極、23は第1の誘電体ガラスペーストにより構成される第1の誘電体層、24は第2の誘電体ガラスペーストにより構成される第2の誘電体層、25はMgOからなる保護膜である。さらに、この前面板と予め用意された背面板とを対向させて周辺部をガラスフリットで封着し、最後に内部に希ガスを封入することでプラズマディスプレイパネルを得た。
【0029】
本発明により製造されたパネルの耐圧試験結果と、従来の工法によるパネルの耐圧試験結果を比較して表1に示す。試験条件は、電極間にAC350Vを1分間印加して行った。測定母数は各50枚とした。ここで言う従来品とは、誘電体層に前記第1の誘電体ガラスペーストのガラス粉末を含有するペーストをスクリーン印刷法により所望の厚みになるまで印刷積層し、図4に示す温度履歴を経るように設定した連続式焼成炉中で大気雰囲気下で焼成したものである。この時の誘電体層の全膜厚は平均値で31.2μmであった。
【0030】
【表1】
【0031】
この表1から明らかなように、従来品においては絶縁破壊したパネルが見られるが、本発明品においては絶縁破壊したパネルは見られなかった。
【0032】
なお、本実施の形態1において使用した2種のガラス粉末は上述したような組成であるが、粘度温度曲線が図1に示すような関係であれば、特に組成が限定されるものではない。密度についても、第2の誘電体層に用いるガラス粉末の方が、第1の誘電体層に用いるガラス粉末よりも小さい方が良いが、両者の関係について必ずしも限定されるものではない。
【0033】
また、本実施の形態1においては、誘電体の形成方法としてスクリーン印刷法を用いて説明したが、リバースロールコータに代表される厚膜一括塗布法を用いて形成しても全く同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0034】
さらに、本実施の形態1においては、誘電体層を2種のガラス粉末を用いて2層構造としたが、図5に示すように3種のガラス粉末を、基板側からA−B−Cの順に用いた3層、さらにはそれ以上でも同様の効果が得られる。
【0035】
(実施の形態2)
まず、実施の形態1で用いた第1の誘電体ガラスペーストのガラス粉末を含有し、PETフィルム上に予め所望の膜厚に形成したグリーンシートを用意し、このグリーンシートを予め準備された前面板としての電極を有するガラス基板上にラミネーターを用いて加熱圧着法により転写して、第1の誘電体層となる乾燥膜を得た。次に、この乾燥膜上に、同じく第2の誘電体ガラスペーストのガラス粉末を含有し、PETフィルム上に予め所望の膜厚に形成したグリーンシートを、前記と同様、加熱圧着法により転写して第2の誘電体層となる乾燥膜を得た。
【0036】
このようにして得られた誘電体乾燥膜を、実施の形態1で説明したのと同様に焼成を行った。なお、この時の誘電体層の全膜厚は平均値で29.9μmであった。
【0037】
すなわち、本実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法においては、第1の低融点誘電体ガラスグリーンシートを電極を有する基板上に転写する工程と、この基板上に転写されたグリーンシート上に前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも軟化点が低くかつ粘度温度曲線の傾きが小さいガラスを含有する第2の低融点誘電体ガラスグリーンシートを転写する工程と、これらの積層されたグリーンシートを、前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも高くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度より前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度の方が低くなる温度で保持するとともに、降温時に前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも低くかつ前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも高い温度で保持して焼成膜を得る工程とにより誘電体層を形成するものである。
【0038】
この焼成膜上にMgOの誘電体の保護膜を真空プロセスを用いて形成し、図3に示すような構造を持ったプラズマディスプレイパネル用の前面板を得た。さらに、この前面板と予め用意された背面板とを対向させて周辺部をガラスフリットで封着し、最後に内部に希ガスを封入することでプラズマディスプレイパネルを得た。
【0039】
本発明により製造されたパネルの耐圧試験結果と、従来の工法によるパネルの耐圧試験結果を比較して表2に示す。試験条件は、電極間にAC350Vを1分間印加して行った。測定母数は各50枚とした。ここで言う従来品とは、実施の形態1で用いたものである。
【0040】
【表2】
【0041】
この表2から明らかなように、従来品においては絶縁破壊したパネルが見られるが、本発明品においては絶縁破壊したパネルは見られなかった。
【0042】
なお、本実施の形態2において使用したガラス粉末は、実施の形態1で説明した通り、限定されるものではない。
【0043】
また、グリーンシートは1層ずつ転写するものに限定されなく、2層分を同時にダブルコーティングしたグリーンシートを一括で転写して形成しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0044】
さらに、本実施の形態2においては、誘電体層を2種のガラス粉末を用いて2層構成としたが、実施の形態1で説明したのと同様、3種のガラス粉末を用いた3層の構成、またはそれ以上でも同様の効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、誘電体層の1層目に使用するガラス粉末よりも2層目に使用するガラス粉末の軟化点を低くし、かつ1層目に使用するガラス粉末の粘度温度曲線の傾きよりも2層目に使用するガラス粉末の粘度温度曲線の傾きを小さくし、さらに1回の焼成で誘電体層を形成することで、誘電体層中の気泡やコンタミネーション等の欠陥に起因する絶縁破壊不良を抑止することができる。その結果、信頼性の高いプラズマディスプレイパネルを低コストで歩留まり良く製造できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマディスプレイパネルで使用する2種の低融点ガラス粉末の粘度温度曲線図
【図2】本発明における誘電体層焼成の温度プロファイルを示す図
【図3】本発明におけるプラズマディスプレイパネル用前面板を示す断面図
【図4】従来工法における誘電体層焼成の温度プロファイルを示す図
【図5】本発明における低融点ガラス粉末が3種の場合の粘度温度曲線図
【図6】プラズマディスプレイパネルの構成を示す斜視図
【図7】同パネルの電極配線図
【図8】(a)〜(c)は同パネルの誘電体層の形成方法の一例を示す断面図
【符号の説明】
21 ガラス基板
22 表示電極
23 第1の誘電体層
24 第2の誘電体層
25 保護膜
Claims (2)
- 基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に配置された複数の電極と、この電極を覆うように基板に形成した誘電体層と、前記背面側の基板に形成されかつ放電により発光する蛍光体層とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
第1の低融点誘電体ガラスペーストを電極を有する基板上に塗布し乾燥させることにより第1の誘電体ガラスペースト膜を得る工程と、
前記第1の誘電体ガラスペースト膜上に第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも軟化点が低いガラスを含有する第2の低融点誘電体ガラスペーストを塗布し乾燥させることにより第2の誘電体ガラスペースト膜を得る工程と、
これらの膜を前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも高く、かつ前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度が前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持するとともに、
降温時に前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも低く、かつ前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの軟化点よりも高く、かつ前記第2の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度が前記第1の低融点誘電体ガラスペースト中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持することにより焼成膜を得る工程とを備えることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に配置された複数の電極と、この電極を覆うように基板に形成した誘電体層と、前記背面側の基板に形成されかつ放電により発光する蛍光体層とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
第1の低融点誘電体ガラスグリーンシートを電極を有する基板上に転写する工程と、この基板上に転写されたグリーンシート上に前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも軟化点が低いガラスを含有する第2の低融点誘電体ガラスグリーンシートを転写する工程と、
これらの積層されたグリーンシートを、前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも高く、かつ前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度が前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持するとともに、
降温時に前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも低く、かつ前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの軟化点よりも高く、かつ前記第2の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度が前記第1の低融点誘電体ガラスグリーンシート中に含有するガラスの粘度よりも低くなる温度で保持することにより焼成膜を得る工程とを備えることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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