JP2003242879A - 膜形成方法およびプラズマディスプレイ用のパネルの製造方法 - Google Patents

膜形成方法およびプラズマディスプレイ用のパネルの製造方法

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JP2003242879A
JP2003242879A JP2002040025A JP2002040025A JP2003242879A JP 2003242879 A JP2003242879 A JP 2003242879A JP 2002040025 A JP2002040025 A JP 2002040025A JP 2002040025 A JP2002040025 A JP 2002040025A JP 2003242879 A JP2003242879 A JP 2003242879A
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嘉宏 中村
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義男 倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板にペーストを塗布し、その後、乾燥する
ことにより基板上に膜を形成するに際して、膜内に存在
する気泡の発生を抑制する(例えば、数および/または
体積を減らす)方法を提供する。 【解決手段】 基板(1)にペーストを塗布して、その
後、塗布したペーストを乾燥することによって、基板上
に膜(7)を形成する膜形成方法であって、乾燥を加圧
下で実施することを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜の形成方法、例
えばプラズマディスプレイパネルの製造に際して、例え
ば基板等の上にペースト状材料を塗布して乾燥すること
により膜を形成する方法に関する。具体的には、誘電体
材料を含むペーストを用いて誘電体の厚膜(即ち、誘電
体層)を形成するに際して、塗布したペースト中の気泡
・空隙の存在を抑制し、その結果、形成した膜の絶縁耐
圧性を向上させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、OA分野、AV分野において、大
型フラットディスプレイのカラー化の要望が高まってい
る。このような要望に答える大型カラーフラットディス
プレイとして、カラープラズマディスプレイパネル(以
下、「PDP」とも呼ぶ)がある。
【0003】カラーPDPは、前面板ガラス基板(フロ
ントパネル)と、背面板ガラス基板(バックパネル)
と、それらの間に多数のセルを形成するように配置され
た隔壁とを有している。それぞれの基板の対向する面に
は、各セルに対応する電極が互いに直交する方向に配列
形成されている。尚、隔壁は、AC型とDC型の放電形
式の如何に係わらず設けられている。この隔壁によって
両ガラス基板の間隔を規定することにより、適切な放電
ギャップを確保できるとともに、隣接するセルへのクロ
ストークを防止できる。
【0004】通常、AC型のカラーPDPの隔壁はスト
ライプ状に形成され、DC型のカラーPDPの隔壁はマ
トリクス状に形成されている。各セル内には、R
(赤)、G(緑)およびB(青)の3色のいずれかの蛍
光体層が形成されているとともに、不活性ガスが封入さ
れている。このようなカラーPDPでは、画像信号に応
じて電極間に電圧を印加することで所望のセル内でガス
放電させて蛍光体層を発光させることによりカラー画像
を表示するようにしている。
【0005】この種のカラーPDPは、次のようにして
製造される:まず、ガラス基板上に電極、隔壁等となる
各種の凸部等を形成して前面板パネルと背面板パネルと
を製造し、凸部が対向するように両パネルを対向させた
後、両パネルの周囲をシールしてその内部に不活性ガス
を封入する。そして、最後に制御回路を電極に接続し、
また、シャーシを組み立ててカラーPDPを完成する。
【0006】前面板パネルを製造する際には、まずガラ
ス基板上に透明電極を形成する。続いてバスライン電極
をスクリーン印刷法により形成し、バスライン電極の間
にブラックストライプをスクリーン印刷法により形成
し、凸部をガラス基板上に設ける。このような凸部を設
けたガラス基板の上に、スクリーン印刷法またはダイコ
ート法により誘電体層を形成し、その後、保護膜を蒸着
して、背面板パネルと組み合わせる前面板パネルを得
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、カラ
ーPDPのパネルの製造過程では、ガラス基板上に電
極、ブラックストライプ等の各種凸部を形成した後、ス
クリーン印刷法またはダイコート法によって、その上に
誘電体層を形成している。具体的には、この誘電体層
は、例えば鉛系の低融点ガラスを含むペーストを基板に
塗布し、これを加熱して乾燥し、その後焼成することに
よって形成している。このように誘電体層を形成する場
合、焼成後に得られる誘電体層中には気泡が存在する。
【0008】これは、誘電体層を形成するに際して、基
板の表面は、ガラス、ITOまたはSnO等の透明電
極、更には、バスライン電極、ブラックストライプ等表
面性状の異なった種々の材料が露出している。その結
果、ペーストを塗布して誘電体層を形成する場合、特に
露出表面の濡れ性(例えばペーストと表面との付着性)
が大きく異なる部分が隣接する領域では、ペーストが空
気を抱き込み易く、その結果、塗布したペースト内に空
気が含まれたままの状態(または気泡もしくは空隙)と
なり、これが焼成後の誘電体層には気泡の形で残存する
ためであると推定される。
【0009】尚、上述のようにペースト内に残る気泡
は、焼成過程で複数が合一して誘電体層の膜厚に匹敵す
る大きさに成長する場合がある。その場合には、パネル
として組み立てて高電圧を印加すると、その気泡部分で
スパークが発生して誘電体層が絶縁破壊を起こし、回路
の破壊に至ることがある。
【0010】そこで、本発明は、基板にペーストを塗布
し、その後、乾燥することにより基板上に膜を形成する
に際して、膜内に存在する気泡の発生を抑制する(例え
ば、数および/または体積を減らす)方法を提供し、そ
れによって、例えば、上述のプラズマディスプレイパネ
ルの製造に際して、誘電体層に残存する気泡(または空
隙)を減らす、好ましくは高電圧の印加によりスパーク
が発生するのを抑制できる程度に、実質的に抑制しよう
とするものである。従って、本発明は、そのような方法
に基づいて、新たなプラズマディスプレイ用のパネルの
製造方法およびこの方法で製造されたパネルを用いるプ
ラズマディスプレイをも提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の課題は、基板にペ
ーストを塗布して、その後、塗布したペーストを乾燥す
ることによって、基板上に膜を形成する膜形成方法であ
って、乾燥を加圧下で実施することを特徴とする方法に
より解決されることが見出された。本発明の方法におい
て、「加圧下で」なる表現は、塗布する場合の基板の周
囲圧力より高い圧力の下で乾燥することを意味する。一
般的には、ペーストの塗布は大気圧したで実施する。乾
燥に際しては、必要に応じて加温してもよい。
【0012】尚、乾燥の後に、必要に応じて得られた膜
を焼成する。この焼成は、膜の用途に応じて、所定の雰
囲気下(例えば空気中、窒素のような不活性気体中等)
で所定温度にて膜を所定時間維持することによって実施
し、焼成膜を得ることができる。この焼成は、乾燥時と
同じまたはそれ以上の圧力下で実施することが好ましい
が、それより低い圧力下で実施してもよく、例えばペー
ストの塗布時の圧力下(例えば大気圧下)で実施しても
よい。特に、後述するプラズマディスプレイ用のパネル
を製造する場合では、塗布したペーストを乾燥した後、
焼成を実施して焼成膜を得る。この場合、焼成は、空気
中で約500〜600℃の温度(例えば600℃)で1
0〜15分維持することによって実施する。
【0013】本発明において、基板はその上にペースト
を塗布する対象であり、いずれの形態であってもよく、
例えばプレートまたは板状であってよい。ペーストは、
塗布された状態で乾燥して所望の機能を果たす膜(例え
ば誘電体層)を形成できる材料を含むものであればよ
く、従って、上述のような乾燥によって除去できる成分
(即ち、揮発性成分)を含む。膜の厚さ(乾燥後)は特
に限定されるものではないが、厚さが比較的薄いもので
あり、例えば10〜40μm程度のもの、好ましくは2
0〜30μm程度のものであってよい。また、乾燥した
膜を焼成する場合は、焼成膜の厚さは、上述の厚さより
更に薄くなり得る。例えば、プラズマディスプレイの製
造に際してフロントパネルまたはバックパネルのような
パネルを製造する工程にて形成される、いわゆる「厚
膜」と呼ばれる膜も本発明の方法によって形成される膜
または焼成膜に含まれる。
【0014】本発明の膜形成方法は、1つの好ましい態
様では、上述のようなプラズマディスプレイに使用す
る、フロントパネルまたはバックパネルとしてパネルの
製造方法に適用することができる。この態様では、基板
は、ガラス基板であり、ペーストは、膜として形成した
後に焼成され、誘電体層としての焼成膜を形成するため
のペーストである。
【0015】換言すれば、本発明は、1つの態様では、
プラズマディスプレイに用いられる、誘電体層を表面に
有するパネルを製造する方法であって、誘電体層形成用
ペーストをガラス基板上に塗布する工程、および、その
後、塗布したペーストを加圧下で乾燥させて膜を形成す
る工程を含む方法を提供する。乾燥により得られた膜
は、その後、必要に応じて焼成してよく、通常焼成す
る。この焼成によって得られる焼成膜が誘電体層として
機能する。
【0016】上述の態様では、ペーストは、プラズマデ
ィスプレイ用のパネルの製造に際して誘電体層を形成す
るために一般的に使用されているものであってよく、例
えば有機高分子材料(例えばアクリル系ポリマー等)お
よび低融点鉛ガラス、ならびにペースト状にするための
揮発性溶媒(例えばテレピネオール等)を含んで成って
よい。基板上に塗布されたペーストの厚さは、塗布する
方法にも依存するが、一般的に少なくとも10μmであ
り、基板表面の広範囲にわたって均一に塗布されるのが
好ましく、これを乾燥して、その後、必要に応じて焼成
することによって、いわゆる厚膜と呼ばれる膜を形成す
る。
【0017】本発明の方法では、加圧下における乾燥時
において、基板に塗布したペースト内に含まれている気
泡が加圧の影響によって圧縮された状態が維持されるの
で、気泡がより小さくなる。含まれていた気泡が小さい
場合には、気泡の存在を実質的に無視でき、その意味で
気泡は実質的に無くなるとも言える。このように、乾燥
は、気泡がより小さい状態で進行し、乾燥し、必要に応
じて焼成することにより形成された誘電体層は一定の強
度を有するので、また、誘電体層に含まれる気泡は細か
いものとなるので、絶縁破壊を起こすような大きな気泡
の数が減少する。その結果、高品質な膜を形成すること
ができる。
【0018】通常、ペーストは10〜60Pa・sの粘
度、例えば40Pa・s程度の粘度を有し、高粘度であ
るため、ペースト中に気泡・空隙を含みやすい。特に、
ダイコート法で塗布する場合に気泡を含み易い。そこ
で、通常大気圧下で実施されるペースト塗布工程後の乾
燥工程では、例えば3〜8kg/cm(300〜80
0kPa)の圧力(ゲージ圧)下でペーストを乾燥す
る。また、乾燥に際して、基板を通常100℃〜150
℃、好ましくは110℃〜130℃、例えば約120℃
の温度に加熱してよい。
【0019】尚、形成すべき膜の厚さが大きい場合に
は、本発明の方法に基づく膜の形成(即ち、ペーストの
塗布および乾燥、ならびに必要に応じて実施する焼成)
を繰り返して膜を重ねることによって膜厚を大きくして
もよい。例えば、1つの態様では、塗布および乾燥によ
り膜(即ち、乾燥膜)を形成し、これを繰り返して膜を
積層してよく、この積層した膜をその後焼成してよい。
別の態様では、塗布、乾燥および焼成により焼成膜を形
成し、これを繰り返して焼成膜を積層してよい。
【0020】基板上にペーストを塗布する方法は、いず
れの適当な方法であってもく、例えばダイコート工法、
スクリーン印刷法等を使用できる。ダイコート工法で
は、例えば低融点鉛ガラスを含むペーストをスリット状
のノズルから直接ガラス基板上に吐出し、所望の厚さで
ペーストにより塗膜を形成する。スクリーン印刷法で
は、ペーストをスクリーン版の上でスキージで広げるこ
とによって所望の厚さでペーストの塗膜を形成する。
尚、スクリーン印刷法を適用する場合、一回の印刷で塗
布される厚さは比較的小さいので、印刷による塗布を複
数回繰り返した後に乾燥を実施してもよい。勿論、一回
の印刷およびその後の乾燥を繰り返すことも可能であ
る。
【0021】本発明の方法に用いる基板は、いずれの適
当な基板であってもよく、例えば、ガラス基板等であっ
てよい。例えば、基板は、プラズマディスプレイパネル
に用いるガラス基板であってよい。基板は、必要に応じ
て、種々の部材および/または要素を、ペーストを塗布
する表面の一部又は全部に有してよい。例えば、プラズ
マディスプレイパネルに用いるガラス基板は、その表面
に電極(例えばITO膜、SnO等の透明電極とバス
電極によるスキャン電極やサステイン電極等の表示電
極、データ電極等)、ブラックストライプ等を有してよ
く、このような電極等の層に加えて、あるいはその代わ
りに、他の層を有してよい。
【0022】具体的な態様では、基板上に形成すべき膜
を、複数の層、たとえば2つの層に分けてこれらを積層
することによって、形成してよい。例えば、同じまたは
異なるペーストを用いて基板上に複数の層を形成する場
合、1層目をスリット状ノズルからペーストを吐出して
直接ガラス基板上に塗布し、その後、乾燥し、必要に応
じて焼成して第1層目を形成する工程、および第1層目
の乾燥または焼成の後に、スクリーン印刷法によってペ
ーストを第1層目の上に塗布し、その後、乾燥し、必要
に応じて焼成して第2層目を形成する工程を含む膜形成
方法を実施してよい。尚、第2層目の形成は、ペースト
の塗布および乾燥を繰り返した後に焼成することにより
実施してよく、これは、特に塗布厚さが大きくない場合
(例えばスクリーン印刷法を用いる場合)に好ましい。
【0023】別の態様では、上述と逆の態様、即ち、第
1層目をスクリーン印刷法で、第2層目をダイコート法
で形成してもよい。更に別の態様では、第1層目および
第2層目を同じ方法で形成してもよい。勿論、2つより
多い層を形成することによってより厚い膜を形成するこ
とも可能であり、いずれの適当なペーストの塗布方法を
組み合わせてもよい。
【0024】上述の説明から明らかなように、本発明の
膜の形成方法は、プラズマディスプレイ用のパネルに適
用でき、具体的には、プラズマディスプレイ用の前面板
パネルおよび背面板パネルの製造過程において、誘電体
層の形成に適用できる。従って、本発明の膜の形成方法
を特徴とするプラズマディスプレイ用のパネルの製造方
法をも本発明は提供し、この方法により製造されるパネ
ルはプラズマディスプレイの製造に使用できる。従っ
て、本発明は、そのような方法により製造されたパネル
を有するプラズマディスプレイをも提供する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の方法を、プラズマディス
プレイ用の前面板パネルの製造の場合を例として、図1
〜図3を参照して更に詳細に説明する。
【0026】最初に、図1(A)に示すように、基材と
しての前面板ガラス基板1の表面のほぼ全体にわたっ
て、ペーストとしての例えば粘度10〜45Pa・sの
黒銀ペーストをスクリーン印刷法によって均一に塗布
し、その後、約90℃にて大気雰囲気下で、10分程度
加熱して乾燥して第1の膜2を形成する。このように形
成された膜2は、厚さが例えば5μm程度である。
【0027】次に、図1(B)に示すように、ペースト
としての例えば粘度10〜45Pa・sの白銀ペースト
をスクリーン印刷法によって、第1の膜2の表面全体に
均一に塗布し、先と同様に約90℃、10分程度乾燥し
て第2の膜3を形成する。このように形成された膜(2
+3)は、厚さが例えば12μmである。
【0028】その後、図1(C)に示すように、形成す
べき電極の形状及び位置に対応した開口部を設けたマス
ク5を前面板基板1の上方に位置決めして配置し、電極
を形成する部分を露光する。そして、図1(D)に示す
ように、現像処理を行い、約600℃、10〜15分程
度焼成し、膜厚4μmの電極の第1層目(2+3)が形
成される。
【0029】続いて、上述の電極の第1層目と同様にし
て、電極の第2層目を第1層目の上に形成する。図2
(A)に示すように、上述と同様に、白銀ペーストを塗
布、乾燥、露光、現像および焼成して、膜厚6μm、線
幅90μmの電極4を形成する。ここで、上記説明で
は、スキャン電極、サステイン電極の表示電極としての
透明電極については省略し、その透明電極に接続するバ
ス電極部分についてのみ説明している。尚、透明電極を
形成しないで、上記金属電極のみで表示電極を構成する
ことも可能である。
【0030】そして、図2(B)に示すように、電極
(2+3+4)の間にブラックストライプ6を形成す
る。ブラックストライプ6の形成は、まず、粘度10〜
45Pa・sの感光性黒色誘電体ペーストをスクリーン
印刷法によって基板1の全面に塗布し、約105℃、1
0分程度の乾燥処理を行う。露光、現像処理を行い、約
600℃、3時間程度焼成し、膜厚4μmのブラックス
トライプ6が形成される。図2(C)は電極(2+3+
4)とブラックストライプ6がストライプ状に形成され
たガラス基板1の平面図である。
【0031】続いて、電極(2+3+4)とブラックス
トライプ6の上に誘電体層7を形成する。誘電体層は通
常2層にわけてこれらを重ねて形成する。具体的には、
スクリーン印刷法またはダイコート法で塗布して乾燥し
て焼成し、厚さ21μmの誘電体層の膜を第1層として
形成し、第2層も同様に形成して、全体の厚さを約42
μmとする。この誘電体ペーストは、例えば低融点鉛ガ
ラス、樹脂成分、溶剤等を含むペーストであり、これを
ダイコート法では粘度50Pa・sに、また、スクリー
ン印刷法では粘度25Pa・sに溶剤(例えばジエチレ
ングリコールモノブチルエーテルアセテート等)で希釈
して使用する。
【0032】上述の誘電体層は、第1層および第2層の
双方をダイコート法で形成してもよい。例えば、図3
(B)に示すように、ダイヘッド11を用いて第1層目
を形成するために誘電体ペーストを90μmの厚さに塗
布する。ダイコート法は、ペーストが比較的高粘度であ
り、塗布膜に気泡、空隙8を含み易い。この気泡、空隙
8の存在を抑制または除去するため、誘電体ペーストを
塗布したガラス基板1を図3(C)に示すように、加圧
乾燥炉12の中に入れる。そして、3〜8kg/cm
(ゲージ圧)の圧力下、約120℃、30分程度で乾燥
させペースト中の気泡、空隙を減少させ、好ましくは実
質的に除去する。
【0033】乾燥後、膜厚は約35μmとなり、その
後、約600℃で3時間焼成すると、第1層目の誘電体
層の膜厚は約20μmとなる。上述の塗布、乾燥および
焼成をもう一度繰り返し、第2層目の誘電体層を形成
し、図3(D)に示すように、気泡、空隙のない高密度
な厚さ40μm(第1層および第2層の和)の誘電体層
7が完成する。その上に、保護膜を形成して、前面板パ
ネルが完成する。
【0034】別の態様では、誘電体層をスクリーン印刷
法で形成する。例えば、図3(A)に示すように、スク
リーン版10上でスキージ9を用いてペースト13を、
印刷後の厚さが15〜20μmとなるように塗布し、図
3(C)に示すように、3〜8kg/cmの圧力下、
約120℃、30分で乾燥させて約7μmの膜を形成す
る。これを5回繰り返して5層の膜を積層し、その後、
焼成して20μmの厚さの第1層目の誘電体層を形成す
る。これらの工程をもう一度繰り返して第2層目の誘電
体層を形成し、図3(D)に示すように、気泡、空隙の
ない高密度な40μmの誘電体層が完成する。その上
に、保護膜を形成して、前面板パネルが完成する。
【0035】更に別の態様では、第1層目の誘電体層を
ダイコート法で、第2層目の誘電体層をスクリーン印刷
法で形成する。あるいは、ダイコート法とスクリーン印
刷法とを入れ替えてもよい。形成された誘電体層の上
に、保護膜を形成して、前面板パネルが完成する。
【0036】このようにして製造した前面板パネルを別
の工程で製造した背面板パネルと貼り合わせ、両者の間
の空気を不活性ガスに置換して表示部分が完成する。最
後に電子回路およびシャーシを組み立ててカラーPDP
を完成する。
【0037】実施例 具体的な実施例として、誘電体層形成用ペースト(低融
点鉛ガラス、樹脂成分(アクリル系ポリマー)および溶
剤(テレピネオール)含有)を用いて基板上の誘電体層
を形成した。尚、誘電体層は、2層に分けて形成した。
それぞれの層は、ダイコート法によるペーストの塗布お
よび乾燥を行い、またはスクリーン印刷法によるペース
トの塗布および乾燥を5回繰り返して積層を行い、その
後、焼成することによって形成した。乾燥は、いずれも
5kg/cmの圧力下、約120℃にて20分で実施
した。焼成は、大気雰囲気下、590℃にて15分焼成
することにより実施した。比較のため、大気圧下で乾燥
した以外は、実施例と同様にして誘電体層を形成した。
尚、ペーストの粘度(23℃)は、ダイコート法の場合
は50Pa.sであり、スクリーン印刷法の場合は、2
5Pa.sであった。
【0038】下記の表1は、形成した誘電体層の基板に
平行な断面(5cm×5cm)中での直径が10μm以
上の気泡の数をSEMにて観察した結果を示す。この結
果から明らかなように、本実施例においては、誘電体層
中に存在する気泡の数が減少することが確認できる。
【0039】
【表1】
【0040】実施例1および比較例1 第1層および第2層:ダイコート法 実施例2および比較例2 第1層および第2層:スクリーン印刷法 実施例3および比較例3 第1層:ダイコート法、第2層:スクリーン印刷法 実施例4および比較例4 第1層:スクリーン印刷法、第2層:ダイコート法
【0041】
【発明の効果】ダイコート法またはスクリーン印刷法に
よるペースト塗膜の乾燥による膜の形成、例えば誘電体
層の形成は、大気圧下で塗布および乾燥(ならびに必要
に応じて行う焼成)が実施され、気泡、空隙を含みやす
いという大きな課題が従来あった。本発明に係る膜の形
成方法では、気泡・空隙が減少した、好ましくは実質的
に存在しない誘電体層のような膜を形成することができ
る。従って、プラズマディスプレイパネルパネルの製造
方法において本発明の方法を適用することで、誘電体層
の絶縁破壊等による品質問題が起こりにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、プラズマディスプレイパネル用のフ
ロントパネルの製造過程を模式的に示し、ガラス基板上
に第1層目の電極を形成するまでの様子を模式的に示
す。
【図2】 図2は、プラズマディスプレイパネル用のフ
ロントパネルの製造過程を模式的に示し、ガラス基板上
に第2層目の電極およびブラックストライプを形成する
までの様子を模式的に示す。
【図3】 図3は、本発明の方法によって、誘電体層を
形成する様子を模式的に示す。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…黒銀ペースト(またはそれにより
形成した電極)、3…白銀ペースト(またはそれにより
形成した電極)、4…第2の電極(バスライン電極また
はサステイン電極)、5…マスク、6…ブラックストラ
イプ、7…誘電体ペースト(またはそれにより形成した
誘電体層)、8…気泡、9…スキージ、10…スクリー
ン版、11…ダイコータ、12…加圧乾燥炉、13…誘
電体ペースト。
フロントページの続き Fターム(参考) 5C027 AA06 5C040 GD02 GD09 JA02 JA21 JA28 MA20

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板にペーストを塗布して、その後、塗
    布したペーストを乾燥することによって、基板上に膜を
    形成する膜形成方法であって、乾燥を加圧下で実施する
    ことを特徴とする膜形成方法。
  2. 【請求項2】 乾燥は、塗布したペーストを加熱するこ
    とにより実施する請求項1に記載の膜形成方法。
  3. 【請求項3】 ペーストを塗布する時の圧力より高い圧
    力下で乾燥することによって、加圧下で乾燥する請求項
    1または2に記載の膜形成方法。
  4. 【請求項4】 基板は、プラズマディスプレイ用ガラス
    基板であり、ペーストは、誘電体層形成用ペーストであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の方法を用いるプラズ
    マディスプレイ用のパネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 ペーストは、有機高分子材料および低融
    点ガラス組成物を含む請求項4に記載のパネルの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 乾燥後に、形成された膜の焼成を実施す
    ることにより誘電体層としての焼成膜を形成する請求項
    4または5に記載のパネルの製造方法。
  7. 【請求項7】 ペーストの塗布、乾燥および焼成をこの
    順序で複数回繰り返して積層した焼成膜を誘電体層とし
    て形成する請求項6に記載のパネルの製造方法。
  8. 【請求項8】 ペーストの塗布および乾燥をこの順序で
    複数回繰り返して膜を積層し、その後、積層した膜を焼
    成して誘電体層としての焼成膜を形成する請求項6に記
    載のパネルの製造方法。
  9. 【請求項9】 ペーストの塗布に際して、ダイコート法
    を用いる請求項4〜8のいずれかに記載のパネルの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 ペーストの塗布に際して、スクリーン
    印刷法を用いる請求項4〜8のいずれかに記載のパネル
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 ペーストの塗布を大気圧下で実施し、
    3〜8kg/cm下で乾燥する請求項4〜10のいず
    れかに記載のパネルの製造方法。
  12. 【請求項12】 誘電体層を、2層に分けてこれらを積
    層することにより形成し、第1層目は、基板上にダイコ
    ート法を用いて請求項7に記載の方法により形成し、第
    2層目は、第1層目の上にスクリーン印刷法を用いて請
    求項8に記載の方法により形成することを特徴とするパ
    ネルの製造方法。
  13. 【請求項13】 誘電体層を、2層に分けてこれらを積
    層することにより形成し、第1層目は、基板上にスクリ
    ーン印刷法を用いて請求項8に記載の方法により形成
    し、第2層目は、第1層目の上にダイコート法を用いて
    請求項7に記載の方法により形成することを特徴とする
    パネルの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項4〜13のいずれかに記載のパ
    ネルの製造方法により製造されたパネルを有するプラズ
    マディスプレイ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9869780B2 (en) 2014-10-10 2018-01-16 Samsung Electronics Co., Ltd. Organic-inorganic composite films and methods of manufacturing the same

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