JP4079751B2 - 親水性ポリオレフィン不織布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性ポリオレフィン不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン不織布は、その素材特性から、例えば肌に接触した部分に湿潤感がなく肌触りが快適であるため、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料やウエットティッシュとして使用されたり、また、耐薬品性に優れることからフィルター、ワイパー、電池用セパレーター等の工業用資材など、様々な親水性の要求される用途に使用されている。ポリオレフィン不織布は疎水性であるため、親水性を必要とする用途に用いるためには、親水化処理を施すことにより親水性を付与している。
【0003】
従来、親水性を付与するための技術としては、(1)親水性高分子樹脂のブレンド、(2)親水化剤の塗布、(3)コロナ放電処理、プラズマ放電処理等による表面改質等がある。
【0004】
(1)の親水性高分子樹脂のブレンドによる方法としては、例えば特許文献1に、親水性共重合体とポリオレフィンとのブレンドポリマーを鞘成分とした、耐久親水性複合繊維が記載されている。しかし、該複合繊維よりなる不織布は、ある程度の耐久親水性が得られるものの、初期吸水性が不十分であった。また、親水性を向上させるために親水性共重合体のブレンド量を上げると繊維化が困難になるなどの問題があった。
【0005】
(2)の親水化剤の塗布による方法としては、例えば特許文献2に、特定のポリエーテル化合物と特定のポリエーテル変性シリコーンから成る親水性処理剤が記載されている。しかし、該処理剤で処理されたポリオレフィン系不織布は、瞬間透水性はあるものの耐久透水性の面で劣るものであった。
【0006】
(3)のコロナ放電処理、プラズマ放電処理等による表面改質方法は、充分な親水性能を得るためには、処理強度を高くする必要があり、それに伴う物性や風合いの低下が生じる。しかも設備が大型化するため、かかる手段自体が非経済的であるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−106116号公報
【特許文献2】
特開平10−53955号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、初期吸水性に優れ、耐久親水性に優れると共に、濡れ戻りの少ない良好な肌触りを有する親水性ポリオレフィン不織布を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討の結果、ポリオレフィン不織布にコロナ放電処理あるいは常圧プラズマ放電処理による表面改質を行い、その後に親水化剤を繊維に固定化することにより、優れた吸水性と耐久親水性が達成されることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0011】
1.ポリオレフィン繊維に親水化剤が実質的に固定化された親水性ポリオレフィン不織布であって、該不織布の濡れ張力が60mN/m以上であり、初期スポット吸収速度が0.25秒以下、3回目耐久透水指数が80%以上であることを特徴とする親水性ポリオレフィン不織布。
【0012】
2.45度傾斜流長が150mm以下であることを特徴とする上記1記載の親水性ポリオレフィン不織布。
【0013】
3.4回目耐久透水指数が50%以上であることを特徴とする上記1又は2記載の親水性ポリオレフィン不織布。
【0014】
4.濡れ戻り指数が2.0g以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン不織布。
【0015】
5.親水化剤を付与する前のポリオレフィン不織布にコロナ放電処理もしくは常圧プラズマ放電処理を行い、該不織布の濡れ張力を35〜55mN/mにした後、親水化剤を付与してなる上記1〜4のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン不織布。
【0016】
6.不織布がスパンボンド法により製造された長繊維不織布である上記1〜5のいずれかに記載の親水性ポリオレフィン不織布。
【0017】
本発明について、以下詳細に説明する。
【0018】
本発明に用いられるポリオレフィン不織布は、スパンボンド法により製造された長繊維不織布、メルトブロー法、短繊維を用いたカード法、湿式抄紙法などで製造された不織布を用いることができる。なかでも、強度が高いという観点から、スパンボンド法により製造された長繊維不織布が好ましい。
【0019】
不織布を構成するポリオレフィン繊維は、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、および、エチレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体などの樹脂から成る繊維が挙げられる。
【0020】
ポリプロピレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでも良いし、またメタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであっても良い。他のα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のものが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらは単独でも2種類以上を組み合わせて用いても良い。エチレンランダム共重合ポリプロピレンでも良い。また、ポリオレフィン樹脂を表面層とする芯鞘繊維などでも良く、通常の円形断面繊維のみでなく、異形断面繊維、捲縮繊維などの特殊な形態の繊維でもよい。
【0021】
本発明において、不織布を構成するポリオレフィン繊維の繊度は、0.5〜4dtexが好ましく、より好ましくは0.7〜3dtexである。繊維の繊度が上記の範囲であると、不織布の曲げ剛性が適度で、風合いやカバーリング性が良好であり、また、糸の製糸性が良好で、安定した生産が出来る。
【0022】
本発明において、不織布の目付は10〜80g/m2が好ましく、より好ましくは15〜50g/m2、特に好ましくは15〜30g/m2である。目付が上記の範囲であると、強度が十分で、不織布の目が適度であり、吸収性シートとして使用される場合も、吸収層内部のパルプ繊維や高分子吸収体などの脱落が少なく、また、剛性が適度であり風合いが良好であると共に、コスト上からも経済的である。
【0023】
本発明の親水性ポリオレフィン不織布は、尿や体液などをよどみなく吸収するために、下記のような特性を有する。
【0024】
濡れ張力が60mN/m以上、好ましくは65mN/m以上であり、更に好ましくは72mN/m以上である。
【0025】
初期スポット吸収速度が0.25秒以下、好ましくは0.20秒以下、より好ましくは0.15秒以下である。
【0026】
3回目耐久透水指数が80%以上、好ましくは4回目耐久透水指数が50%以上である。
【0027】
45度傾斜流長は、好ましくは150mm以下、より好ましくは120mm以下、さらに好ましくは100mm以下である。
【0028】
また、液透過性に優れていても、衛生材料の表面材に使用される場合などは、不織布が湿潤状態にあると、肌への快適性が失われてかぶれ等を起こしやすいため、濡れ戻り指数は、好ましくは2.0g以下、より好ましくは1.5g以下、さらに好ましくは1.0g以下である。
【0029】
本発明の親水性ポリオレフィン不織布は、不織布を、コロナ放電処理あるいは常圧プラズマ放電処理(以下、放電処理と略記する。)により表面改質した後に、親水化剤を付与することによって得られる。放電処理前は25〜33mN/mであったポリオレフィン不織布の濡れ張力を、この放電処理により、好ましくは35〜55mN/m、より好ましくは37〜50mN/mにする。
【0030】
放電処理後の不織布の濡れ張力が上記の範囲であると、次のような効果がある。即ち、その後に付与する親水化剤と繊維との親和性が良好であるため、親水化剤の脱落が起こりにくく、優れた耐久透水性が得られ、また、人体より排出される尿や体液などの濡れ戻り量が少ないうえ、強度や風合いに優れた不織布が得られる。さらに、異臭の発生がなく、親水化剤との親和性が良好で、表面改質のためのエネルギーコストが低いという利点がある。なお、異臭の発生は繊維中の各種添加剤が強度の放電処理により分解することによるものと推定され、そのような分解物の影響により親水化剤との親和性が阻害されるものと考えられる。
【0031】
従って、ポリオレフィン不織布の表面繊維を、放電処理で表面改質することにより、親水化剤とポリオレフィン繊維との親和性を高め、実質的に親水化剤がポリオレフィン繊維に固定化されている状況を作ることができる。即ち、本発明においては、親水化剤がポリオレフィン繊維に実質的に固定化されるためには、放電処理により、濡れ張力が35〜55mN/mの範囲の表面状態にすることが有効である。更に、放電処理により、表面改質が繊維表面で均一に行われるため、親水化剤が実質的に繊維表面に均一に固定化され、そのため、少量の親水剤の付与で、充分な耐久親水性が得られることがわかった。なお本発明において、実質的に固定化されるとは、ポリオレフィン繊維に付与された親水剤が全て繊維に完全に固定化されている必要はなく、一部は固定化が不完全でもよいということである。
【0032】
放電処理を施す際の処理雰囲気は、空気中で良い。ただし、濡れ張力は経時変化を生じるため、バッチ処理などで親水化剤塗布までに時間を要する場合は、放電処理を窒素雰囲気化で実施すると、経時変化が防止され、濡れ張力の持続性が発現するため好ましい。
【0033】
放電処理を行う時の放電度は、好ましくは7W/cm2以下、より好ましくは5W/cm2以下である。放電度が7W/cm2以下であると、過放電となることがないため、電極よりヒゲ状の放電の発生、処理斑の発生および繊維にダメージを与えること等がない。
【0034】
ポリオレフィン不織布を放電処理することにより、濡れ張力を35〜55mN/mにした後、親水化剤を塗布する方法としては、通常、希釈した親水化剤を用いて、浸漬法、噴霧法、コーティング(キスコーター、グラビヤコーター)法等の既知の方法が採用でき、必要によりあらかじめ混合した親水化剤を、水等の溶媒で希釈して塗布するのが好ましい。
【0035】
親水化剤を水等の溶媒で希釈して塗布すると、乾燥工程を必要とする場合がある。その際の乾燥方法としては、対流伝熱、伝導伝熱、放射伝熱等を利用した既知の方法が採用でき、熱風や赤外線による乾燥あるいは熱接触による乾燥方法等を用いることができる。ただし、乾燥のために必要以上の熱量を与えることは、放電処理により生成した官能基が、熱的影響で繊維表面から消失するため好ましくない。
【0036】
使用する親水化剤は、人体への安全性、工程での安全性等を考慮して、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルフェノール等のエチレンオキサイドを付加した非イオン系活性剤、アルキルフォスフェート塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系活性剤等の単独あるいは混合物等が好ましく用いられる。
【0037】
親水化剤の付与量は、要求される性能によって異なるが、通常は、繊維に対して0.1〜1.0wt%の範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜0.6wt%であり、人体に直接触れることから、必要最小限に設定することが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
【0039】
なお、測定方法、評価方法等は以下に記載の通りである。
【0040】
(1)濡れ張力
綿棒に浸した濡れ指数標準液を不織布表面に滴下し、2秒経過後に、不織布表面上に拡がり液膜の残らない状態となる濡れ指数標準液の表面張力を、その不織布の濡れ張力とした。
【0041】
(2)初期スポット吸収速度
吸収体としてトイレットペーパー10枚を重ねた上に、測定器(800g,10cm角で中央に直径25mmの穴を設け、その中央に向け2本の電極を設けてタイマーに接続したもの)を置いた。
【0042】
10cm角の試験布を吸収体と測定器の間に置き、布の上方15mmのスポイトから生理食塩水を1滴(0.1cc/滴)滴下した。滴下から表面通過終了までの時間を電極でチェックし、初期スポット吸収速度(秒)とした。
【0043】
(3)吸収速度(秒/5cc)と濡れ戻り指数(g)
吸収体の特性を一定化しておくため、吸収体として、特定濾紙(EatonDikeman社製“939”:10cm角×3枚重ね)を測定器(約800g、10cm角で中央に直径25mmの穴を設け、その中央に向け2本の電極を設けてタイマーに接続したもの)の下部に置いた。
【0044】
この吸収体の上に試験布(10cm角)を置き、まず、この上部25mmから5ccの人工尿を滴下した。人工尿は、生理食塩水に非イオン活性剤を添加し、25℃において45±3mN/m(乳幼児の尿に相当)に調整し、滴下速度は3.3秒/25ccとした。これを5cc吸収速度(秒/5cc)とした。
【0045】
次いで、このまま人工尿を追加し、吸収体に含まれる液量が一定化するように、全液量を吸収体質量の4倍にした。このまま試験布の上から3600g/10cm角の荷重をかけ、吸収体中の液の分布を一定化する。次いで、試験布の上にあらかじめ秤量した濾紙(EatonDikeman社製“631”:12.5cm角×2枚)を重ね、速やかに3600g/10cm角の荷重(乳幼児のオムツに加わる荷重に相当)を2分間かけ濾紙の質量増加を測定し、濡れ戻り量(g)を濡れ戻り指数とした。
【0046】
(4)45度傾斜流長
吸収体としてトイレットペーパーを10枚重ねて、その上に試験布を置き、45度傾斜板上にセットし、布の上方10mmの高さから1ccの生理食塩水を滴下した。滴下速度は3.3秒/25ccとした。吸収開始位置より終了までの生理食塩水が流れ落ちた距離を45度傾斜流長とした。
【0047】
(5)3回目耐久透水指数および4回目耐久透水指数
吸収体としてトイレットペーパーを15枚重ねて、その上に試験布を置いた。更に、その試験布の上に、直径1.5cmの穴を10箇所開けたステンレス製の板を置き、この穴から試験布に生理食塩水0.3ccを滴下し、1秒以内に吸収される滴数を数えた。更に3分間経過後、同様のことを繰り返した。
【0048】
これを3回繰り返し、3回とも1秒以内に吸収された滴数の割合を求め、3回目耐久透水指数とした。また、これを4回繰り返し、4回とも1秒以内に吸収された滴数の割合を求め、4回目耐久透水指数とした。
【0049】
〔製造例1〕(不織布の製造)
65mmの押出機を用い、メルトフローレート(MFR)が38のポリプロピレンを、押出温度240℃、押出量1300g/minにて定量的に押出し、1540ホールの紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、これを高速気流牽引装置を使用して3000m/minの速度で牽引し、移動する吸引装置の付いた金網製ウェブコンベアに受けてウェブを作製した。
【0050】
得られたウェブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、上下ロール共135℃且つ60kg/cmの圧力で部分圧着することにより、単糸繊度2.3dtex、目付20g/m2のスパンボンド不織布(以下、2.3dtexPP不織布という)を得た。
【0051】
〔製造例2〕(不織布の製造)
65mmの押出機を用い、メルトフローレート(MFR)が38のポリプロピレンを、押出温度240℃、押出量950g/minにて定量的に押出し、1540ホールの紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、これを高速気流牽引装置を使用して5000m/minの速度で牽引し、移動する吸引装置の付いた金網製ウェブコンベアに受けてウェブを作製した。
【0052】
得られたウェブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、上下ロール共131℃且つ60kg/cmの圧力で部分圧着することにより、単糸繊度1.0dtex、目付20g/m2のスパンボンド不織布(以下、1.0dtexPP不織布という)を得た。
【0053】
〔製造例3〕(不織布の製造)
65mmの押出機を用い、エチレン成分含有量が4.3モル%、メルトフローレート(MFR)が24のエチレン・プロピレンランダム共重合体を、押出温度230℃、押出量1300g/minにて定量的に押出し、1540ホールの紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、これを高速気流牽引装置を使用して3000m/minの速度で牽引し、移動する吸引装置の付いた金網製ウェブコンベアに受けてウェブを作製した。
【0054】
得られたウェブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、上下ロール共110℃且つ60kg/cmの圧力で部分圧着することにより、単糸繊度2.3dtex、目付20g/m2のスパンボンド不織布(以下、ランダムPP不織布という)を得た。
【0055】
〔製造例4〕(親水化剤:ポリエーテル化合物の製造)
水にプロピレンオキシドを付加重合して平均重合度85のポリプロピレングリコールを得た。次いで、該ポリプロピレングリコールにエチレンオキシドを平均重合度25となるように付加重合して、平均分子量約6000の(PO)85・(EO)25のブロックポリエーテル化合物を得た。
【0056】
〔製造例5〕(親水化剤:ポリエーテル変性シリコーンの製造)
ジメチルヒドロキシポリシロキサンにメチルアルコールのエチレンオキシド反応物を付加して、下記一般式におけるaが22、bが2、cが2、dが40のポリエチレンエーテル変性シリコーン(Si22,SiE2,EO40)を得た。
【0057】
【化1】
【0058】
式中、R’’はエチレン基又はプロピレン基、R’’’は水素或いは炭素数1〜12のアルコキシ基又はカルボキシ基を表す。
【0059】
〔実施例1及び2〕
製造例1で得た2.3dtexPP不織布を、室温22℃の雰囲気下にて放電量45W・min/m2(放電度4.0W/cm2)の条件でコロナ放電処理機に通し、濡れ張力39mN/mの不織布を得た。
【0060】
得られた不織布に、(PO)85・(EO)25のブロックポリエーテル化合物70wt%と(Si22,SiE2,EO40)のポリエチレンエーテル変性シリコーン30wt%との混合物からなる親水化剤の1wt%水溶液を噴霧法により付与し、次いで80℃で5分間熱風乾燥した。
【0061】
得られた親水性ポリオレフィン不織布の親水化剤付着量は、0.3wt%(実施例1)及び0.5wt%(実施例2)であった。初期スポット吸収速度、5cc吸収速度、45度傾斜流長、3回目及び4回目耐久透水指数等の測定結果を表1に示す。
【0062】
〔比較例1及び2〕
実施例1において、不織布にコロナ放電処理を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして行い、親水化剤付着量が0.3wt%(比較例1)、0.5wt%(比較例2)のポリオレフィン不織布を得た。初期スポット吸収速度、5cc吸収速度、45度傾斜流長、3回目及び4回目耐久透水指数等の測定結果を表1に示す。
【0063】
〔実施例3〕
製造例1で得た2.3dtexPP不織布に、室温22℃の雰囲気下にて放電量20W・min/m2(放電度4.0W/cm2)の条件でコロナ放電処理を施し、濡れ張力36mN/mの不織布を得た。
【0064】
得られた不織布に、(PO)85・(EO)25のブロックポリエーテル化合物70wt%と(Si22,SiE2,EO40)のポリエチレンエーテル変性シリコーン30wt%との混合物からなる親水化剤の1wt%水溶液を噴霧法により付与し、次いで80℃で5分間熱風乾燥した。
【0065】
得られた親水性ポリオレフィン不織布の親水化剤付着量は、いずれも0.3wt%(実施例3および4)であった。初期スポット吸収速度、5cc吸収速度、45度傾斜流長、3回目及び4回目耐久透水指数等の測定結果を表1に示す。
【0066】
〔比較例3〕
実施例3において、コロナ放電処理のみを施し、親水化剤を付与しなかったポリオレフィン不織布について、初期スポット吸収速度、5cc吸収速度、45度傾斜流長、3回目及び4回目耐久透水指数等を測定した。結果を表1に示す。
【0067】
〔実施例4〕
製造例3で得たランダムPP不織布を、室温22℃の雰囲気下にて放電量45W・min/m2(放電度4.0W/cm2)の条件でコロナ放電処理機に通し、濡れ張力41mN/mの不織布を得た。
【0068】
得られた不織布に、(PO)85・(EO)25のブロックポリエーテル化合物70wt%と(Si22,SiE2,EO40)のポリエチレンエーテル変性シリコーン30wt%との混合物からなる親水化剤の1wt%水溶液を噴霧法により付与し、次いで80℃で5分間熱風乾燥した。
【0069】
得られた親水性ポリオレフィン不織布の親水化剤付着量は0.3wt%であった。初期スポット吸収速度、5cc吸収速度、45度傾斜流長、3回目及び4回目耐久透水指数等の測定結果を表1に示す。
【0070】
〔実施例5〕
製造例2で得た1.0dtexPP不織布を、室温22℃の雰囲気下にて放電量45W・min/m2(放電度4.0W/cm2)の条件でコロナ放電処理機に通し、濡れ張力39mN/mの不織布を得た。
【0071】
得られた不織布に、(PO)85・(EO)25のブロックポリエーテル化合物70wt%と(Si22,SiE2,EO40)のポリエチレンエーテル変性シリコーン30wt%との混合物からなる親水化剤の1wt%水溶液を噴霧法により付与し、次いで80℃で5分間熱風乾燥した。
【0072】
得られた親水性ポリオレフィン不織布の親水化剤付着量は0.3wt%であった。初期スポット吸収速度、5cc吸収速度、45度傾斜流長、3回目及び4回目耐久透水指数等の測定結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
以上の実施例、比較例の結果から、本発明の特定の親水化処理を施したポリオレフィン不織布が、瞬間吸水性、耐久親水性に優れ、かつ少ない濡れ戻り性を有することは明らかである。
【0075】
【発明の効果】
本発明の親水性ポリオレフィン不織布は、フィルター、ワイパー、電池用セパレーター等の工業用資材や、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料表面材として、親水性及び耐久親水性に優れた不織布である。特に、人体より排出された尿や体液を瞬時に吸収すると共に、複数回の排出にも耐えうる吸水性を有し、且つ少量の親水化剤でそれら性能を発現するため、敏感な肌への親水化剤の影響を少なくすることが可能である。したがって、本発明により、従来にない優れた衛生材料の表面材を得ることができる。
Claims (3)
- ポリオレフィン繊維に親水化剤が0.2〜0.6wt%固定化された親水性ポリオレフィン不織布であって、親水化剤を付与する前のポリオレフィン不織布にコロナ放電処理もしくは常圧プラズマ放電処理を行い、親水化剤付与前の不織布の濡れ張力を35〜41mN/mにした後、親水化剤を付与してなり、親水性ポリオレフィン不織布の濡れ張力が60mN/m以上であり、初期スポット吸収速度が0.25秒以下、4回目耐久透水指数が50%以上であり、濡れ戻り指数が1.0g以下であることを特徴とする親水性ポリオレフィン不織布。
- 45度傾斜流長が150mm以下であることを特徴とする請求項1記載の親水性ポリオレフィン不織布。
- 不織布がスパンボンド法により製造された長繊維不織布である請求項1または2に記載の親水性ポリオレフィン不織布。
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