JP3362348B2 - 衛生材料用ポリオレフィン系不織布 - Google Patents

衛生材料用ポリオレフィン系不織布

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JP3362348B2
JP3362348B2 JP14345796A JP14345796A JP3362348B2 JP 3362348 B2 JP3362348 B2 JP 3362348B2 JP 14345796 A JP14345796 A JP 14345796A JP 14345796 A JP14345796 A JP 14345796A JP 3362348 B2 JP3362348 B2 JP 3362348B2
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polyolefin
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衛生材料用ポリオ
レフィン系不織布に関し、詳しくは衛生材料用ポリオレ
フィン系不織布に対して、特定の処理剤を付与すること
により、初期若しくは瞬間透水性を付与し、同時に耐久
透水性を改善した衛生材料用ポリオレフィン系不織布に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維
等のポリオレフィン系繊維は、疎水性繊維であるため生
理用ナプキンや紙オムツ等の表面素材として使用すると
肌に接触した部分に湿潤感がなく肌触りが快適であるた
め、かかる用途に広く利用されている。
【0003】ところで、紙オムツ、生理用ナプキン等の
着用時の発汗、尿、体液等による不快感の回避は、それ
ら製品の肌触り部の濡れ易さ、それもその濡れ易さが短
時間で瞬時に発揮させることが重要であると考えられて
いる。そのため肌触り部を構成しているポリオレフィン
系繊維には、短時間内で瞬時での透水性が要求されると
同時に、紙オムツ等では本人自身が排泄物を処理するこ
とができない幼児、老人、病人等が着用するため、1回
の着用で必ずしも1回の排泄物が処理されるとは限られ
ず、数回の排泄に対する不快感の回避が必要とされ、そ
こで上記透水性の耐久性(繰り返しの透水性)、および
濡れもどりの少ないこと(濡れもどり性)等がまた強く
要求されている。当然、瞬時の透水性、耐久性の付与に
より、衛生材料で最も不快とされる表面材上から尿等の
洩れもなくなる。
【0004】本発明は、その疎水特性から本来親水性に
極めて劣るポリオレフィン系繊維について、上記のよう
なる要求に応える親水性改良剤を付与した繊維から構成
されてなる衛生材料用ポリオレフィン系不織布に関す
る。従来、ポリオレフィン系繊維の親水性付与には、 1)低分子量親水性化合物の付与 2)親水性高分子樹脂の付与 3)薬品処理、溶剤処理、プラズマ処理、コロナ放電処
理等による表面改質 等がなされている。
【0005】ところが、低分子量親水性化合物では、疎
水性の繊維表面への付与剤の濡れが悪くて付着しにくく
期待する透水性が得られにくいばかりでなく、浸透性強
い処理剤である程度の透水性が得られる場合でも耐久性
は全く得られず、しかも皮膚への刺激性の強いものが多
いという問題点があった。また、親水性高分子樹脂で
は、概して思ったより耐久性が不充分であって、ある程
度の耐久性が得られる付与剤を用いた場合には透水性が
不充分となったり、付与剤が樹脂であるため不織布製造
工程で各種の障害を引き起こすという問題点があった。
そして、繊維表面での改質による手段では、皮膚の刺激
性や透水性の面で比較的良好な結果が得られる利点を有
する反面、繊維表面の改質により生じた極性基の経時的
な変化により透水性の低下が起こり易く、また、耐久性
も低下し、しかもかかる手段それ自体が非経済的でもあ
るという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、叙上
の如き従来の問題点を解決して、前述した要求に応え得
る処理剤を付与した繊維から構成されてなる衛生材料用
ポリオレフィン系不織布を提供するものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】しかるに本発明者は、上
記観点からポリオレフィン系繊維用親水性改良剤につい
て鋭意検討した結果、単独化合物では強い疎水性と強い
親水性を持つものはそのバランスが難しくその化合物の
開発の可能性が低く、強親水性で透水性の優れた化合物
とポリオレフィンとの親和性が高い化合物とを併用する
ことで相互の相乗効果が期待できることを知見し、特定
のポリエーテル化合物と特定のポリエーテル変成シリコ
ーンとを含有する処理剤が前述の要求に応え得る処理剤
であることを知見し、該処理剤を付与した繊維から構成
されてなる衛生材料用ポリオレフィン系不織布が優れた
瞬間透水性、耐久透水性を有することを見出し本発明を
完成するに到った。
【0008】即ち、本発明は、下記一般式(A)、 特
に一般式(A’)で示されるポリエーテル化合物及び下
記一般式(B)で示されるポリエーテル変成シリコーン
を含有する処理剤が付与されていることを特徴とする衛
生材料用ポリオレフィン系不織布、である。 一般式A: HO−,−(R−O)a −,ー(R’−O)b −,−H (式中、R=プロピレン基、R’=エチレン基、a=5
〜100、b=1〜100、を表す。) 一般式A’: HO−(R’−O)n −(R−O)m −(R’−O)n'
−H (式中、R,R’は前記Aと同じであり、mは前記Aの
aであり、n+n’は前記Aのbである。)
【0009】
【化5】 (式中、R”=エチレン基及び/又はプロピレン基、
R”’=水素あるいは炭素数1〜12のアルコキシ基又
はカルボキシ基、c=7〜100、d=1〜10、e=
2〜3、f=20〜80、を表す。)
【0010】さらに、本発明は、下記一般式(C)で示
される脂肪酸金属塩を含有する処理剤を付与してなる上
記の衛生材料用ポリオレフィン系不織布、 一般式C: RCOOM (式中、R=炭素数11〜17のアルキル基又はアルケ
ニル基、M=Na又はK、を表す。) 下記一般式(D)、(E)、(F)で示される化合物の
いずれかを含有する処理剤を付与してなる上記の衛生材
料用ポリオレフィン系不織布、
【0011】
【化6】 (式中、R=炭素数11〜17のアルキル基又はアルケ
ニル基を表す。)
【0012】
【化7】 (式中、R=炭素数11〜17のアルキル基を表す。)
【0013】
【化8】 (式中、R=炭素数8〜12のアルキル基を表す。)で
ある。
【0014】一般式Aで示される繰り返し単位を有する
ポリエーテル化合物としては、一般的にはプロピレンオ
キシドとエチレンオキシドとを共重合したものであり、
その共重合体はランダム共重合体でもブロック共重合体
でもかまわない。特に、水あるいはプロピレングリコー
ルにプロピレンオキシドを付加重合させて得られるポリ
プロピレングリコールにエチレンオキシドを付加重合し
て得られた前記一般式(A’)で示されるブロック共重
合体がポリオレフィン系繊維との親和性の点で好ましく
用いられる。そして、該ポリエーテルの重合度は、プロ
ピレンオキシド単位(a)が5〜100、好ましくは1
0〜90であり、エチレンオキシド単位(b)が1〜1
00、好ましくは5〜70であり、疎水性、親水性のバ
ランスの点から、aは60〜90、bが10〜30が特
に好ましく、a/bが2〜7、更には3〜6であること
が好ましい。
【0015】具体的には、a=65、b=15、および
a=85、b=25の一般式(A’)で示されるブロッ
ク共重合体などである。さらに該ポリエーテルの分子量
は、繊維に付着したものの溶けにくさに関連すること、
また、溶解作業性の点から設定する必要があり、100
00以下であるもの、特に1000〜9000であるも
のが耐久性、溶解性、及び取扱性等の観点から好まし
い。
【0016】一方、一般式Bで示されるポリエーテル変
成シリコーンは、ジメチルハイドロジェンポリシロキサ
ンに、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ルとポリプロピレングリコールのブロック又はランダム
共重合ポリエーテル、炭素数1〜12のアルコールへの
エチレオキシド付加物、炭素数1〜12アルコールへの
プロピレンオキシド/エチレンオキシドのブロック又は
ランダム共重合体付加物等のモノアリルエーテルを付加
して得られる変成シリコーンである。
【0017】本発明において、上記ポリエーテル変成シ
リコーンの特徴は、その構造に基づいて水溶性が小さい
ことにある。即ち、それ自体の水への溶解性ができるだ
け小さいか、または他の乳化剤の補助でやっと乳化する
程度の溶解性を示すものである。実際、得られる変成シ
リコーンに最小限の水溶性を持たせて満足のゆく透水性
を得るためには、一般式Bのdが1以上である必要があ
るが、逆にdが10より大きいと、得られる変成シリコ
ーンの水溶性が大きくなり過ぎて、透水性の面では満足
に行くものの、耐久性が不充分となってしまう。また、
同様に、得られる変成シリコーンに最小限の親水性を持
たせて満足のゆく透水性を得るためには、前記一般式B
におけるfが20〜80の範囲であることが好ましく、
20未満であると満足な透水を付与するこができず、逆
に80より大きいと、得られる変成シリコーンの特に耐
久性が大きく損なわれてしまう。この場合、オキシエチ
レン単位とオキシプロピレン単位のモル比も影響し、オ
キシエチレン単位が1/4以上であることが好ましい。
更に、一般式Bにおけるcは7〜100の範囲であり、
該値が7未満である得られる変成シリコーンの耐久性が
悪く、逆に100を超えると透水性が悪くなってしま
う。
【0018】本発明の衛生材料用ポリオレフィン系不織
布に付与する処理剤は、以上説明したような一般式Aで
示されるポリエーテル化合物と一般式Bで示されるポリ
エーテル変成シリコーンとを、前者が10〜90重量
%、後者が90〜10重量%の割合で含有し、前者が3
0〜90重量%、後者が70〜10重量%の割合で含有
するものが好ましく、前者が50〜90重量%、後者が
50〜10重量%の割合で含有するものがより好まし
く、特に、前者が60〜80重量%、後者が20〜40
重量%の割合で含有するものが初期透水性能と耐久性の
バランスが取れていて更に好ましい。この配合によっ
て、ポリエーテル変成シリコーン単体ではポリオレフィ
ン系繊維への浸透しにくさの点も改良される。
【0019】該処理剤を付与するに際しては、原液をそ
れぞれ、あるいは混合して直接付与することも有効であ
るが、予め混合し、水等の溶媒で希釈して付与するのが
好ましく、その場合は水等の溶媒に均一に分散させるた
めに、一般式Cで示される脂肪酸金属塩等の活性剤を5
重量%以下含有させることが更に好ましい。活性剤の含
有量が5重量%を超えると処理剤の性能に悪影響を及ぼ
し、更に好ましくはその含有量は1重量%以下である。
【0020】衛生材料用ポリオレフィン系不織布への処
理剤の付与方法をとしては、通常希釈した処理剤溶液を
用いて、浸漬法、噴霧法、コーティング(ロールコータ
ー、グラビアコーター、ダイ等)法等の既知の方法が採
用でき、均一に付与後、熱風、熱ロールなどの乾燥手段
を用いて乾燥する。以上の付与において、主にコーティ
ング法で付与する場合には、特に高速での付与では布へ
の浸透が均一である必要があり、その際一方の成分であ
るポリエーテル変成シリコーンが布への浸透性が弱いこ
と、また他方の成分であるポリエーテル化合物が布への
浸透の温度依存性が強く影響することから、この浸透性
を安定化させるために、該処理剤に、更に浸透性安定剤
として、一般式Dで示されるアルキロールアミド化合
物、あるいは同Eのアルキルアミノキシド化合物、ある
いは同Fのアルキルアンモニウムホスフェート化合物等
を各々10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%
含有させることができる。
【0021】処理剤の付与量は、求める性能によって異
なるが繊維に対して、0.1〜1.0重量%の範囲であ
るが、人体に直接接することから、必要最小限に設定す
ることが好ましい。必要に応じて、例えば、表面材の中
央部等の液透過の必要部にのみ付与することも有要であ
る。
【0022】本発明の処理剤は、一般式A或いはA’で
示されるポリエーテル化合物と一般式Bで示されるポリ
エーテル変成シリコーンとを前述の如くそれぞれ所定の
割合で含有して成るものであるが、更に本発明を効果を
損なわない範囲で、所望の目的に応じて他の化合物、例
えば、帯電防止剤、乳化剤、平滑剤としての各種界面活
性剤を適宜含有させることができる。
【0023】衛生材料用ポリオレフィン系不織布を構成
するポリオレフィン系繊維としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのポリオレフィン繊維、あるいはポリ
オレフィン系樹脂を表面層とする芯−鞘繊維などが挙げ
られるが、強度が強く使用時において破断しにくく、且
つ衛生材料の生産時における寸法安定性に優れることか
らポリプロピレン繊維を用いることが好ましい。また、
その繊維形状も通常の円形繊維のみでなく、捲縮繊維、
異形繊維などの特殊形態の繊維も含まれるが、強度、寸
法安定性および透過性について使用に耐えるに充分な性
能を有すると共に、特に、肌ざわりと濡れもどり性に優
れることから捲縮繊維を用いることが好ましい。
【0024】処理剤のポリオレフィン系不織布への付与
に際しては、単繊維に付与して後、繊維ウェブとしても
よく、繊維ウェブ及び不織布とした後付与してもよく、
その繊維ウェブの形状も、平坦ウェブと捲縮ウェブの積
層等種々の繊維ウェブを積層した不織布、表面層をポリ
オレフィン繊維ウェブとし、中心層を親水性ウェブ、異
種ウェブとする特殊な不織布などが用いられるが、特に
捲縮繊維を少なくとも一層とする積層体とした不織布と
して用いるのが特に好ましい。
【0025】付与に際しては、必要に応じて、繊維ウェ
ブの表裏に付着量に差をつけてもよい。繊維ウェブを接
合して不織布となす場合の接合手段としては、熱圧着点
(ポイントボンディング)法、熱風法、その他、溶融成
分での接合(ホットメルト剤)法、などがあるが、安全
性および柔軟性の点で部分的に熱圧着されたものが好ま
しい。
【0026】ウェブの形成方法としては、短繊維をカー
ド機等でウェブ化したもの、また、紡糸に直結したスパ
ンボンド法、メルトブロー法等特に限定されるものでは
ないが、性能面への影響の点からカード油剤等他の処理
剤を使用しない点、ウェブの接合時の融着等の過度の熱
が加わることがない点から、ウェブ接合後の付与が好ま
しく、この点で紡糸直結方式で接合・付与するスパンボ
ンド不織布が性能安定の点で好ましい。
【0027】
【実施例】本発明を実施例、および比較例などを用いて
更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等によ
り何ら限定されるものではない。なお、本発明における
各種測定方法、および評価は以下に記載のとおりであ
る。 (1)瞬間透水速度:吸収体としてトイレットペーパー
10枚を重ねた上に測定器(約800g、10cm角で
中央に直径25mmの穴を設け、その中央に向け2本の
電極を設けてタイマーに接続したもの)を置き、測定は
試験布10cm角(以上)を吸収体と測定器の間に置
き、布の上方15mmのスポイトから生理食塩水を1滴
(0.1cc/滴)滴下する。滴下から表面通過終了ま
での時間を電極でチェックし、瞬間透水速度(秒)とし
た。
【0028】(2)5cc透水速度(秒/5cc)と濡
れ戻り量(g):吸収体として、吸収体の特性を一定化
しておくため、特定濾紙(EatonDikeman社
製“939”10cm角×3枚重ね)を測定器(約80
0g、10cm角で中央に直径25mmの穴を設けたも
の)の下部に置く。この吸収体の上に試験布(10cm
角)を置く。まず、この上部25mmから5ccの人工
尿を滴下する。人工尿は生理食塩水に非イオン活性剤を
添加し25℃において45±3dyne/cm(乳幼児
の尿に相当)に調製し、滴下速度は3.3秒/25cc
とした。これを5cc透水速度(秒/5cc)とした。
【0029】次いで、このまま人工尿を追加し、吸収体
に含まれる液量が一定化するように、全液量が吸収体重
量の約4倍にする。このまま試験布の上から800g/
10cm角の荷重を3分間かけ、吸収体中の液の分布を
一定化させる。次いで、試験布の上に予め秤量した濾紙
(Eaton Dikeman社製“631”12.5
cm角×2枚)を重ね速やかに3600g/10cm角
(乳幼児のオムツに加わる荷重に相当)を2分間かけ濾
紙の重量増加を測定し、濡れ戻り量(g)とした。
【0030】(3)透過耐久性(回数):5cc透水速
度の測定器を用いて一定濾紙上での生理食塩水5ccの
透過速度を測定する。試験布の位置を決め、透過速度を
測定した後、50℃以下の温風で乾燥し、新たな濾紙上
での透過速度をの測定を繰り返す。目安として透過速度
60秒以下を有効とし、それまでの繰り返し回数を測定
してその回数を耐久透過回数とした。
【0031】(4)厚み(mm):試料片に100g/
cm2 の荷重をかけた場合の試料の厚みを測定した。 (5)引張試験(強力・伸度):幅2.5cmの試料を
試料把握間隔10cmで把握し、引張り速度20cm/
分で試験した。
【0032】不織布(A)の調製:直径65mmの押出
機でメルトフローレート(MFR)が38のポリプロピ
レンを押出温度240℃にて1300g/mm定量的に
押出し、1540ホールの紡糸口金を用いてフィラメン
ト群を紡出し、これを高速気流牽引装置を使用して35
00m/分の速度で牽引し、移動する吸引装置のついた
金網製ウェブコンベアに受けてウェブを作った。このウ
ェブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組合わせた熱
圧着ロールにて上下ロール共135℃且つ60kg/c
mの圧力で部分熱圧着して単糸デニールが2.2デニー
ル、目付20g/m2 のポリプロピレンスパンボンド不
織布(PP不織布)を得た。さらに、コンベア、熱圧着
ロール、巻取機の速度を変えて、目付18g/m2のポ
リプロピレンスパンボンド不織布を得た。
【0033】不織布(B)の調整 (A)と同様にして押出したポリプロピレンを同ホール
のV型異形紡孔を配置した紡糸口金を用いてV型断面フ
ィラメント群を紡出し、これを(A)と同様に牽引し
て、異形断面糸の偏冷却効果で捲縮したフィラメント群
からなるウェブを作った。このウェブを(A)と同様に
熱圧着して2.2デニール、目付20g/m2 のポリプ
ロピレン捲縮スパンボンド不織布(捲縮PP不織布)を
得た。
【0034】処理剤成分: ポリエーテル化合物;プロピレングリコールにプロピレ
ンオキシドを付加重合して平均重合度85のポリプロピ
レングリコールを得る。次いで、該ポリプロピレングリ
コールにエチレンオキシドを平均重合度25となるよう
に付加重合して、平均分子量約6000の(PO)85
(EO)25のブロックポリエーテル化合物を得た。同様
にして、平均分子量約5800の(PO)85・(EO)
20のブロックポリエーテル化合物を得た。
【0035】ポリエーテル変性シリコーン;ジメチルヒ
ドロキシポリシロキサンにメチルアルコールのエチレン
オキシド反応物を付加して、一般式Bにおけるcが2
2、dが2、fが40のポリエチレンエーテル変成シリ
コーン(Si22、SiE2 、EO40)を得た。
【0036】(実施例1)前記PP不織布(A)(目付
量20g/m2 )に、(PO)85・(EO)25のブロッ
クポリエーテル化合物70重量%と、(Si22、SiE
2 、EO40)のポリエチレンエーテル変成シリコーン3
0重量%との混合物からなる処理剤の1%水溶液を噴霧
法により付与し、乾燥して不織布に対して0.5重量%
の処理剤を不織布に付与した。得られた不織布の瞬間透
水速度は0.18(秒)であり、5cc透水速度は2.
9(秒/5cc)であり、濡れ戻り量は0.15(g)
であり、透過耐久性は5(回)以上であった。得られた
結果を表1に示す。瞬間透水性、耐久性共に優れ、ま
た、濡れもどり量も肌に感じないレベルであった。
【0037】(比較例1、2)処理剤として、ポリエー
テル化合物とポリエーテル変成シリコーンとを併用せ
ず、個々の成分を用いた以外は実施例1と同様にして、
処理剤で処理したPP不織布を得た。得られたPP不織
布の実施例1と同様に各種物性を測定した。得られた結
果を表1に示す。ポリエーテル化合物では、耐久性は優
れるものの瞬間透水性が悪く、また、ポリエーテル変成
シリコーンだけでは瞬間透水性は速いが耐久性に劣るも
のであった。
【0038】(実施例2)ポリエーテル化合物として
(PO)85・(EO)20のブロックポリエーテル化合物
を用い、更に脂肪酸金属塩としてラウリン酸カリウム塩
を0.7重量%添加し、液温を18℃とし、グラビアコ
ーティング法によった以外は実施例1と同様にして処理
し、処理剤付与PP不織布を得た。得られたPP不織布
の実施例1と同様に各種物性を測定した。得られた結果
を表1に示す。処理時の溶解、布への浸透も問題なく、
瞬間透水性、耐久性、また濡れもどり性共に良好であっ
た。
【0039】(実施例3)不織布(A)及び(B)を用
い処理剤に、更に、ラウリン酸ジメチロールアミドを2
0重量%添加した以外は実施例2と同様に処理し、処理
剤付与PP不織布を得た。得られたPP不織布の実施例
1と同様に各種物性を測定した。得られた結果を表1に
示す。処理液の溶解性、安定性に優れ、布への浸透も問
題なく、布の性能も良好であった。特に、不織布(B)
では柔軟性も一段と優れ、厚みも2.5g/cm2 の低
荷重下では(A)が0.32mmであるのに対して0.
53mmと一段とふっくらしており、濡れもどり性に優
れた不織布を得た。
【0040】(実施例4)処理剤に、更に、ジメチルラ
ウリルアミンオキシドを20重量%添加した以外は実施
例2と同様に処理して、処理剤処理PP不織布を得た。
得られたPP不織布の実施例1と同様に各種物性を測定
した。得られた結果を表1に示す。実施例3と同様に良
好なものであった。
【0041】(実施例5)処理剤に、更に、ラウリルア
ンモニウムホスフェートを20重量%添加した以外は実
施例2と同様に処理して、処理剤処理PP不織布を得
た。得られたPP不織布の実施例1と同様に各種物性を
測定した。得られた結果を表1に示す。実施例3と同様
に処理上の問題もなく、布性能共に良好であった。
【0042】(比較例3)処理剤として、従来、一般的
に使用されているノニルフェノールポリエチレンオキシ
ド付加物(EO10付加)の1%水溶液を用いて、実施例
2と同様に処理して処理剤付与PP不織布を得た。得ら
れた不織布の性能は表1に示すように、瞬間透水性、耐
久透水性共に劣るものであり、本発明の処理剤が瞬間透
水性、耐久性、また濡れもどり性のバランス良く、優れ
たものであることが明らかである。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】特定のポリエーテル化合物と特定のポリ
エーテル変成シリコーンとを併用した処理剤を付与する
することにより、瞬間透水性、耐久透水性、濡れ戻り性
を改善し、更に少量の処理剤でこれら特性を合わせ持っ
た性能を付与することができ、安全性にも優れた衛生材
料用ポリオレフィン系不織布を提供する。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(A)で示される繰り返し単
    位からなるポリエーテル化合物及び下記一般式(B)で
    示されるポリエーテル変成シリコーンとを含有する処理
    剤を付与してなることを特徴とする衛生材料用ポリオレ
    フィン系不織布。 一般式A: HO−,−(R−O)a −,ー(R’−O)b −,−H (式中、R=プロピレン基、R’=エチレン基、a=5
    〜100、b=1〜100、を表す。) 【化1】 (式中、R”=エチレン基及び/又はプロピレン基、
    R”’=水素或いは炭素数1〜12のアルコキシ基又は
    カルボキシ基、c=7〜100、d=1〜10、e=2
    〜3、f=20〜80、を表す。)
  2. 【請求項2】 ポリエーテル化合物が下記一般式
    (A’)で示される化合物である請求項1記載の衛生材
    料用ポリオレフィン系不織布。 一般式A’: HO−(R’−O)n −(R−O)m −(R’−O)n'
    −H (式中、R,R’は前記Aと同じであり、mは前記Aの
    aであり、n+n’は前記Aのbである。)
  3. 【請求項3】 処理剤が下記一般式(C)で示される脂
    肪酸金属塩を含有する処理剤である請求項1又は2記載
    の衛生材料用ポリオレフィン系不織布。 一般式C: RCOOM (式中、R=炭素数11〜17のアルキル基又はアルケ
    ニル基、M=Na又はK、を表す。)
  4. 【請求項4】 処理剤が下記一般式(D)、(E)
    (F)で示される化合物のいずれかを含有する処理剤で
    ある請求項1又は2記載の衛生材料用ポリオレフィン系
    不織布。 【化2】 (式中、R=炭素数11〜17のアルキル基又はアルケ
    ニル基を表す。) 【化3】 (式中、R=炭素数11〜17のアルキル基を表す。) 【化4】 (式中、R=炭素数8〜12のアルキル基を表す。)
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系不織布繊維がポリプロ
    ピレン繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の衛生
    材料用ポリオレフィン系不織布。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系不織布繊維が捲縮を有
    するポリオレフィン系繊維である請求項1〜5のいずれ
    かに記載の衛生材料用ポリオレフィン系不織布。
  7. 【請求項7】 不織布が部分的に熱圧着されてなる請求
    項1〜6のいずれかに記載の衛生材料用ポリオレフィン
    系不織布。
  8. 【請求項8】 不織布が少なくとも捲縮を有する層との
    積層体からなる請求項1〜7のいずれかに記載の衛生材
    料用ポリオレフィン系不織布。
  9. 【請求項9】 不織布がスパンボンド法によって得られ
    た不織布である請求項1〜8のいずれかに記載の衛生材
    料用ポリオレフィン系不織布。
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