JP4076280B2 - 薄膜抵抗発熱体及びそれを用いたトナーの加熱定着用部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電することにより発熱する抵抗発熱体に関する。さらに詳しくは、優れた発熱性能と機械的強度を有する薄膜抵抗発熱体に関する。また、本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等において、被転写物に転写されたトナーを加熱により定着させる際に用いる、トナーの加熱定着用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーボンナノチューブを導電性、熱伝導性、電磁波シールド性等の機能の付与要素として用い、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド等の有機材料、あるいはガラス、セラミックス材料等の無機材料等をマトリックスとして用い、それらを複合して、導電性、熱伝導性、電磁波シールド性等の機能を有する構造材料用複合材とすることは知られている。また、カーボンマイクロコイルが電磁波シールド材等に利用されることも知られている。しかし、未だ、カーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルを機能付与要素として含有し、基体に任意の厚さの堅牢な被膜を容易に形成し得るコーティング剤組成物は提案されていない。カーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルは、その特異な特性からして、多くの分野で利用することが期待されており、その一つとして、機能性コーティング剤の分野において、所望の厚さで均一に容易に塗布し得て、均一で堅牢な被膜を容易に形成できる、カーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルを含有する機能性コーティング剤組成物の提供が望まれていた。
【0003】
一方、複写機、ファクシミリ、レーザープリンター等において印刷等を行う際には、被転写物に転写されたトナーを印刷の最終段階で加熱溶融し定着させる必要がある。従来、この加熱定着させる方法としては主に2つの方法が知られている。
【0004】
従来の方法の一つは図2に示すように、トナーに接触するローラー11の内部にヒーター10を設置し、ローラーの全体を輻射熱で加熱することによりトナーを間接的に加熱する方法である。この方法は、ローラー全体を均一に加熱できるため、印刷スピードが速いという利点を有する一方、電力のロスが大きい、印刷を始めるまでの待ち時間が長い、ローラーの温度コントロールが困難である等の問題がある。
【0005】
従来の方法のもう一つとしては、図3に示すように、トナーに接触する部分を、エンドレスベルト13を介してヒーター12で間接的に加熱する方法である。この方法は、ベルトの一部分のみを加熱するため、電力のロスも少なく印刷開始までの待ち時間も短い利点があるが、エンドレスベルトの回転に伴って次々に異なる部位を加熱しなければならないため、温度むらが生じ易く印刷スピードを遅くせざるを得ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記機能性コーティング剤組成物についての従来の状況に鑑み、カーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルを含有させた優れた機能性コーティング剤組成物を開発すべく鋭意検討していたところ、図らずも、カーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルが、薄膜抵抗発熱体を形成するのに用いられる機能性コーティング剤組成物において、抵抗発熱機能付与要素として好適に用い得ることを見出した。すなわち、被膜形成性成分にカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方を配合したコーティング剤組成物の硬化被膜が、薄膜抵抗発熱体として優れた性能を示すことを見出した。したがって、本発明の第一の目的は、優れた性能の薄膜抵抗発熱体を提供することにある。
【0007】
また、トナーの加熱定着用部材についての従来の状況に鑑み、本発明は、上記薄膜抵抗発熱体を利用して、ローラー表面の温度コントロールが容易で、温度むらが生じず、さらに電力のロスが小さく、印刷開始までの待ち時間も短く、印刷スピードを速くできる新規なトナーの加熱定着用部材を提供することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る薄膜抵抗発熱体は、被膜形成性成分にカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方が配合されたコーティング剤組成物を、基材に塗布して硬化せしめてなることを特徴とする。
【0009】
また、上記のコーティング剤組成物における、カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方の配合割合は、被膜形成性成分100重量部に対して1〜50重量部であることを特徴とする。
【0010】
さらに、上記のコーティング剤組成物における被膜形成性成分は、(a)オルガノポリシロキサンを主剤とし、それに架橋剤として官能性側鎖を有するオルガノシロキサンおよび硬化触媒が配合された組成物、(b)セラミックス粒子に高熱用溶媒が配合された組成物、(c)ペルヒドロポリシラザンの有機溶媒溶液、あるいは(d)金属酸化物粉末の存在下に低分子量のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を触媒を用いて反応させ、調製されたプレポリマー、から選ばれた一のものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の薄膜抵抗発熱体は、カーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルの特異な形状からして、それら相互が絡み合ってそれら相互の接触が容易に密に図られ、かつ被膜形成性成分との結合も強固なものとなるから、高性能でかつ優れた機械的強度を有する。
【0012】
また本発明は、トナーの加熱定着用部材として、上述の薄膜抵抗発熱体を用いたことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、上記のトナーの加熱定着用部材において、薄膜抵抗発熱体が、トナーの加熱定着用部材の円周面を構成することを特徴とする。したがって、トナーを間接的に加熱する従来の方法と異なり、トナーに接する部分が直接発熱するため、温度コントロールが容易になり、温度むらも生じない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いるカーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルとしては、公知の種々のカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルを用いることができる。カーボンナノチューブは、一般に、炭素からなる、外径2〜70nmで、長さが直径の102 倍以上である円筒状の中空繊維状のものであって、炭素含有ガスの気相分解反応や、炭素棒・炭素繊維などのアーク放電によって得られるものである。また、その末端形状は必ずしも円筒状である必要はなく、例えば円錐状等変形していても差し支えない。さらに末端は閉じた構造でも開いていてもどちらでも良い。好ましく用いられるカーボンナノチューブの例として、ハイペリオン・カタリシス・インターナショナル社製のGraphite Fibrils・Grades BN(商品名)等が挙げられる。
【0015】
カーボンマイクロコイルは、一般に、炭素からなる、繊維直径が0.05〜5μm、コイル外径が繊維直径の2〜10倍であり、巻数が10μm当たり5/コイル外径(μm)〜50/コイル外径(μm)であるコイル状繊維のものであって、炭素含有ガスの気相分解反応によって得られるものである。本発明の実施に当たり、カーボンナノチューブとカーボンマイクロコイルを併用することもでき、その併用割合は必要に応じて適宜選択することができる。
【0016】
本発明の薄膜抵抗発熱体の製造は、方法自体は従来の薄膜抵抗発熱体の製造法に準じて行うことができる。すなわち、従来から知られた、抵抗発熱性被膜を形成するコーティング組成物を基材に塗布して硬化せしめる方法において、コーティング組成物の被膜形成性成分に配合する抵抗発熱性付与要素としてカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方を用いることにより、製造することができる。
【0017】
この際、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルの配合割合は、必要に応じて適宜選択することができるが、一般に、被膜形成性成分100重量部に対して1〜50重量部が適当であり、好ましくは5〜10重量部である。配合割合を変えることによって発熱体の抵抗値を変えることができ、したがって発熱量を制御することができる。
【0018】
また、本発明者らは、本発明の薄膜抵抗発熱体の製造に関して次のことを知見している。すなわち、被膜形成性成分として(a)オルガノポリシロキサンを主剤とし、それに架橋剤として官能性側鎖を有するオルガノシロキサン及び硬化触媒が配合された組成物、(b)セラミックス粒子に高熱用溶媒が配合された組成物、(c)ペルヒドロポリシラザンの有機溶媒溶液、及び(d)金属酸化物粉末の存在下に低分子量のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を触媒を用いて反応させ、調製されたプレポリマーという特定の被膜形成性成分から選ばれた被膜形成性成分を用い、それにカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方を配合したという特定のコーティング剤組成物を用いると、所望の厚さで均一に容易に塗布することができ、均一で堅牢な被膜を容易に形成することができるので、一層好適に品質の優れた薄膜抵抗発熱体を製造し得ることを知見している。
【0019】
上記特定の被膜形成性成分にカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方を配合したコーティング剤組成物は、本発明者らが案出し、別途特許出願(平成10年7月14日出願)された発明に係る新規なコーティング剤組成物である。
【0020】
上記特定のコーティング剤組成物で用いられる被膜形成性成分の一つは、上記のとおり、オルガノポリシロキサンを主剤とし、それに架橋剤として官能性側鎖を有するオルガノシロキサン及び硬化触媒が配合された組成物(以下「オルガノポリシロキサン組成物」と略称)である。このオルガノポリシロキサン組成物において、主剤のオルガノポリシロキサンは、メチル基あるいはフェニル基を有するものが好ましい。架橋剤としては、アルコキシ基、アシロキシ基、オキシム基等の官能性側鎖を有するオルガノシロキサンが好ましい。硬化触媒としては、Zn、Al、Co、Sn等の金属を含有する有機化合物及びハロゲンが好ましい。また、このオルガノポリシロキサン組成物は、珪素成分をSiO2 換算で40%以上含有していることが好ましく、また溶剤、水もしくは水酸基を含有しないものである。また、このオルガノポリシロキサン組成物は、低温加熱や常温乾燥でも硬化して、硬質で密着性に優れたセラミックス被膜を形成する。また、その硬化機構は、主剤のオリガノポリシロキサンの官能基が、まず空気中の水分により加水分解を受けて水酸基に変化し、次に該オリガノポリシロキサンの水酸基を架橋剤のオルガノシロキサンの官能基がアタックし、硬化触媒の作用も受けて脱アルコール反応を起こし、三次元構造の高分子化合物たるポリシロキサン硬化体を形成すると考えられている。いわゆるゾル・ゲル法による金属アルコキシ縮合物となる。かかるオルガノポリシロキサン組成物の例として、ホ−マーテクノロジー株式会社販売のヒートレスガラス(HEATLESS GLASS)(商品名)等が挙げられる。上記オルガノポリシロキサン組成物には、必要に応じて、例えばシロキサン結合が三次元に伸びた網状構造で、珪素原子に一個のメチル基が結合した無機と有機の中間的な構造を有するシリコーン樹脂の微粒子などの他の配合物も添加することができる。
上記無機と有機の中間的な構造を有するシリコーン樹脂の例として、東芝シリコーン株式会社販売のトスパール(商品名)等が挙げられる。
【0021】
被膜形成性成分の他の一つは、上記のとおり、セラミックス粒子に高熱用溶媒が配合された組成物である。この組成物における高熱用溶媒の例としては、ブタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。
またセラミックス粒子の例としては、アルミナ、アルミニウム、ジルコニア、溶融シリカ、パーライト、ムライト等のセラミックス粒子が挙げられ、その粒径は、必要に応じて適宜選択することができるが、一般に数〜数十μmが適当である。高熱用溶媒は、被膜形成性成分全体で比重が2〜3程度になるように配合したものが好適に用いられる。このセラミックス粒子に高熱用溶媒が配合された組成物の例として、株式会社熱研製のレッドプルーフ(商品名)等が挙げられる。
【0022】
被膜形成性成分のさらに他の一つは、上記のとおり、ペルヒドロポリシラザンの有機溶媒溶液である。ペルヒドロポリシラザンは、構造式が〔SiHa NHb 〕n (式中、aは1〜3、bは0または1である。)で表されるセラミックス前駆体である。このペルヒドロポリシラザンは、例えば、ジクロロシランと溶媒中のピリジンとの錯体生成を経由して合成することにより(ピリジン錯体法)、低分子量環状体の少ない、比較的高分子量のオリゴマーを得ることができる。実際の分子構造は複雑であるが、不規則な環状部を多く含む、数平均分子量が数千のオリゴマーである。このペルヒドロポリシラザンは、基体表面に塗布後焼成することによりセラミックスに転化され、大気またはそれに準じた雰囲気下で焼成した場合には、シリカガラス(SiO2 )に転化する。有機溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられ、中でもキシレンは好ましく用いられる。有機溶媒溶液中のペルヒドロポリシラザンの濃度は、必要に応じて適宜選択できるが、高濃度であると水飴状となり作業性に劣るので、適当に粘性を有する範囲とする。かかるペルヒドロポリシラザンの例として、東燃株式会社製の東燃ポリシラザン(商品名)等が挙げられる。また、このペルヒドロポリシラザンの有機溶媒溶液には、必要に応じて、酸化マグネシウム、炭化珪素等ののフィラー等を配合することができる。
【0023】
被膜形成性成分のなおさらに他の一は、上記のとおり、金属酸化物粉末の存在下に低分子量のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を触媒を用いて反応させ、調製されたプレポリマーである。このプレポリマーは、例えば、国際公開番号W090/08168号公報の実施例1〜5の記載に従い、次の製造方法により得ることができる。まず、反応容器に低分子量のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂と触媒を投入し、加熱下において反応させる。次に、反応容器に金属酸化物粉末を投入し、攪拌しながら加熱を継続し、所要時間後に反応を終了させ、プレポリマーを得る。このプレポリマーの製造において用いる低分子量のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等を挙げることができる。また、触媒としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール等を挙げることができる。さらに、金属酸化物粉末としては、特に制限はないが、シリカ粉末、アルミナ粉末、マグネシア粉末が好ましく用いられる。また、このプレポリマーの例として、株式会社ニッケーコー製のセラプロテックス(商品名)等を挙げることができる。
【0024】
上記特定のコーティング剤組成物におけるカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方の配合割合は、必要に応じて適宜選択することができるが、一般に、被膜形成性成分100重量部に対して1〜50重量部が適当であり、好ましくは5〜10重量部である。
【0025】
また、上記特定のコーティング剤組成物の調製は、上記各種被膜形成性成分のいずれかと、カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方とを、ヘンシェルミキサー、オープンロールミキサー、バンバリー混合機等の公知の混合手段を用いて適宜混合して行うことができる。
【0026】
本発明の薄膜抵抗発熱体の製造に当たり、上記それぞれのカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方を含有したコーティング剤組成物は、スピンコート法、ディッピングコート法、スプレイコート法、バーコート法、ロールコート法、印刷法など公知の塗布方法により基体に塗布することができる。基体としては、フッ素樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ブチルゴム等のポリマー材料、あるいは各種セラミックス、ガラス等の従来から薄膜抵抗発熱体を構成するに用いられていた基体を、必要に応じて適宜選択して用いることができる。
【0027】
基体に塗布されたコーティング剤組成物の塗膜は、硬化させて、薄膜抵抗発熱体とされる。コーティング剤組成物の硬化条件は、用いたコーティング剤組成物の被膜形成性成分の種類等に応じて適宜選択できる。
【0028】
特に、(a)〜(d)の被膜形成性成分を含むコーティング剤組成物を用いることによって、より堅牢なコーティング被膜を得ることができる。その際の硬化条件は、(a)及び(b)の場合は常温〜120℃で1〜24時間、(c)の場合は100〜600℃で1時間、(d)の場合は80℃で4時間保持するのが適当である。またこの硬化は、従来から知られた方法により行うことができる
【0029】
また、本発明の薄膜抵抗発熱体は、従来の薄膜抵抗発熱体と同様に、電極が設けられることは無論のこと、必要に応じて、例えば、合成樹脂、セラミックス等等の被覆材、防湿防滴材等で被覆する等、所望の付帯要素を付加することができる。
【0030】
本発明の薄膜抵抗発熱体は、住宅における床暖房用ヒータ、融雪パネル用ヒータ、温室ハウス用ヒータ、サウナ用ヒータ、各種保温貯蔵庫用ヒータ、発酵室暖房用ヒータ等、従来応用されている用途に用いることができる。
【0031】
また、本発明の薄膜抵抗発熱体の好適な用途として、複写機等のトナーの加熱定着用部材に用いることができる。用いる場合の実施の形態としては、トナーを加熱できれば特に限定されるものではないが、例えば、図3におけるヒーターとして用いる場合、あるいは図1に示すようにローラー状の加熱定着用部材の円周面を薄膜抵抗発熱体1で構成する場合等が挙げられる。
【0032】
特に、図1に示すようなローラー状の加熱定着用部材にすることによって、ローラーの表面全体が直接発熱するため、ローラーの温度コントロールが容易になり、また温度のむらも生じない。結果として、印刷スピードを速くすることができ、電力のロスが小さく、印刷開始までの待ち時間が短かい加熱定着用部材となる。
【0033】
さらに、上述の(a)〜(d)の被膜形成性成分を用いることによって、より堅牢な抵抗発熱体にすることができるため、印刷時にローラーにしわ、ゆがみ等が生じず、さらなる印刷スピード、印刷品質の向上が可能となる。
【0034】
また、ローラー状のトナーの加熱定着用部材として用いる際には、抵抗発熱体とトナーが直接接触するとトナーの電荷が奪われてしまいオフセットの原因となるので、抵抗発熱体の外側を、絶縁性材料で被覆することが好ましい。例えば、フッ素樹脂やイミド樹脂等は離型性にも優れるため好適に用いられる。またゴム等の緩衝材で被覆することもできる。
【0035】
被覆する方法としては、特に限定されるものではないが、ローラー状の抵抗発熱体の外側にスプレーコート法、浸漬法等によって絶縁性の樹脂をコーティングする方法、インサート成形によって抵抗発熱体の層の外側に絶縁体の層を成形する方法、あるいは2色射出成形機を用いてローラー基材の外周面に抵抗発熱体の層と絶縁層を2色成形する方法等が挙げられる。
【0036】
また、上記被覆材と抵抗発熱体の間には粘着剤、接着剤等を適宜用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
ヒートレスガラス GS600A1(ホ−マーテクノロジー(株)販売;商品名;オルガノポリシロキサンを主剤とし、それに架橋剤として官能性側鎖を有するオルガノシロキサン及び硬化触媒が配合された組成物)100重量部と、イソペンチルアルコール20重量部及びカーボンナノチューブ(ハイペリオン・カタリシス・インターナショナル社製Graphite Fibrils・Grades BN)5重量部とを、ボールミルで6時間混合してコーティング剤組成物を調製した。このコーティング剤組成物を、メタクリル板に、スプレーコートで塗布し、膜厚200μmの塗膜とした。これを、硬化炉により120℃に2時間保持して塗膜を硬化させて、薄膜抵抗発熱体を得た。この薄膜抵抗発熱体(硬化被膜)の厚さは100μmであった。
上記硬化被膜の形成されたメタクリル板について、三菱化学(株)製ローレスターHPを用いて表面抵抗値及び体積抵抗値を測定した。その結果は、表面抵抗値は3.375×103 (Ω/□)、体積抵抗値は101.93(Ω・cm)となり、体積抵抗値から計算される発熱量は良好な値を示した。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた性能の薄膜抵抗発熱体が提供される。本発明の薄膜抵抗発熱体は、カーボンナノチューブあるいはカーボンマイクロコイルの特異な形状からして、それら相互が絡み合ってそれら相互の接触が容易に密に図られ、かつ被膜形成性成分との結合も強固なものとなるから、高性能でかつ優れた機械的強度を有する。特に、上記特定のコーティング剤組成物を用いて形成された薄膜抵抗発熱体は、当該コーティング剤組成物が、所望の厚さで均一に容易に塗布することができ、均一で堅牢な被膜を容易に形成することができるので、一層品質の優れたものとなる。
【0039】
また、上記の薄膜抵抗発熱体を用いたトナーの加熱定着用部材は、加熱定着用部材全体が直接発熱するため、ローラー表面の温度コントロールが容易で、温度むらも生じない。結果として、印刷スピードを速くすることができ、電力のロスが小さく、印刷開始までの待ち時間も短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトナーの加熱定着用部材の1形態を示す模式図である。
【図2】 従来のトナーの加熱定着用部材を示す模式図である。
【図3】 従来の別のトナーの加熱定着用部材を示す模式図である。
【符号の説明】
1 薄膜抵抗発熱体
10 ヒーター
11 ローラー
12 ヒーター
13 エンドレスベルト
Claims (4)
- 被膜形成性成分にカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方が配合されたコーティング剤組成物を、基材に塗布して硬化せしめてなる薄膜抵抗発熱体であって、
前記被膜形成性成分は、(a)オルガノポリシロキサンを主剤とし、それに架橋剤として官能性側鎖を有するオルガノシロキサンおよび硬化触媒が配合された組成物、(b)セラミックス粒子に高熱用溶媒が配合された組成物、(c)ペルヒドロポリシラザンの有機溶媒溶液、(d)金属酸化物粉末の存在下に低分子量のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を触媒を用いて反応させ、調製されたプレポリマーから選ばれた一のものであることを特徴とする薄膜抵抗発熱体。 - コーティング剤組成物における、カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方の配合割合が、被膜形成性成分100重量部に対して1〜50重量部であることを特徴とする請求項1記載の薄膜抵抗発熱体。
- 請求項1または2記載の薄膜抵抗発熱体を用いたトナーの加熱定着用部材。
- 請求項1または2記載の薄膜抵抗発熱体で、トナーの加熱定着用部材の円周面を構成することを特徴とする請求項3記載のトナーの加熱定着用部材。
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