JP4075169B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置における外気導入口の配置レイアウトに関するもので、特に、送風機部分と熱交換器部分とを車両左右(幅)方向の中央部に配置して、車両前後方向に空気を送風する、いわゆる完全(フル)センター置きの車両用空調装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては、車室内前部の計器盤下方部において、送風機ユニット、クーラユニット、およびヒータユニットを車両左右方向に並べて配置する、いわゆる横置きの配置レイアウトや、送風機ユニットを助手席側にオフセット配置し、冷房暖房用の熱交換器部分を収容する空調ユニットを車両左右(幅)方向の中央部に配置する、いわゆるセミセンター置きの配置レイアウトが主流になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この横置きやセミセンター置きの配置レイアウトによると、車両左右方向の中央部から助手席側にかけて、大きな搭載スペースを必要とするので、例えば、小型トラックのように、空調装置搭載スペースが限られた小さなスペースになってしまう車両では、横置きやセミセンター置きの空調装置の搭載が困難となる。
【0004】
そこで、送風機部分と熱交換器部分をともに車両左右方向の中央部に配置する完全(フル)センター置きに変更することが考えられるが、この完全センター置きの配置レイアウトによると、車両左右方向の搭載寸法は確かに大幅に低減できるが、その代わりに、送風機部分が熱交換器部分の車両前方側に配置されるので、車両前後方向寸法が増加して、小型トラック等のスペース的制約の大きい車両への空調装置の搭載が困難となる。
【0005】
そこで、本発明は上記点に鑑みて、車両左右方向のみならず、車両前後方向に対しても、搭載寸法を低減できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車両前方側の上方部位に送風機部(13)を配置し、この送風機部(13)に対して車両後方側で、かつ、車両下方側に、送風機部(13)からの送風空気と熱交換する熱交換部(14)を配置し、この熱交換部(14)を収納するケース(11)を備え、
送風機部(13)に対して車両後方側で、かつ、熱交換部(14)の車両上方側に吹出モード切替部(15)を配置し、熱交換部(14)で温度調整された後の空気を吹出モード切替部(15)により所定の開口部(151、154、155)を通して車室内へ吹き出させるようにし、
さらに、外気を導入する外気導入口(121)と、この外気導入口(121)から導入された外気を送風機部(13)の吸入口(134)に導く外気通路(122)とを備え、
送風機部(13)は車両左右方向に対してケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置し、
外気導入口(121)は、送風機部(13)の車両下方側に配置するとともに車両前後方向に対して送風機部(13)の車両前方側端部よりも車両前方側へ突出しないように配置し、
さらに、外気導入口(121)および外気通路(122)を、車両左右方向に対してケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置することを特徴としている。
【0007】
これによると、送風機部(13)と外気導入口(121)とが上下方向に積層される配置関係となり、また、熱交換部(14)と吹出モード切替部(15)とが同様に上下方向に積層される配置関係となる。そして、送風機部(13)、外気導入口(121)および外気通路(122)を、車両左右方向に対してケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置している。
このため、後述の図2に示すように、空調装置全体の車両左右方向寸法を熱交換部(14)や吹出モード切替部(15)で決まるケース幅寸法まで短縮することができる。
【0008】
しかも、空調装置全体の車両前後方向の寸法についても、後述の図1に示すように、送風機部(13)と熱交換部(14)との合計寸法まで短縮することができる。すなわち、送風機部(13)より前方側に外気導入口(121)部分が突出したり、熱交換部(14)より後方側に吹出モード切替部(15)が突出することがなく、空調装置全体の車両前後方向の寸法についても、従来技術に比して短縮できる。
【0009】
以上の結果、空調装置全体の車両左右方向および車両前後方向の体格を縮小でき、車両への空調装置の搭載が容易となる。
請求項2に記載の発明では、車両前方側の上方部位に送風機部(13)を配置し、この送風機部(13)には、送風ファン(131)とこの送風ファン(131)の送風空気が流れるファンケース(133)を備え、このファンケース(133)の吹出部(136)を車両下方側に配置し、
送風機部(13)からの送風空気と熱交換を行う熱交換部(14)を送風機部(13)に対して車両後方側で、かつ、車両下方側に位置するようにしてケース(11)内に配置し、
送風機部(13)は車両左右方向に対してケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置され、
吹出部(136)と熱交換部(14)の空気入口部との間を連絡通風路(143)により連絡するとともに、この連絡通風路(143)を吹出部(136)の部位から熱交換部(14)の空気入口部に向かって車両後方側へ斜め下方に傾斜する形状とし、
この連絡通風路(143)の傾斜によりこの連絡通風路(143)の車両前方側に形成される空間(C)に、外気を導入する外気導入口(121)を配置し、
この外気導入口(121)から外気通路(122)を通して外気をファンケース(133)の吸入口(134)に導くようになっており、
外気導入口(121)は、送風機部(13)の車両下方側に配置されるとともに車両前後方向に対して送風機部(13)の車両前方側端部よりも車両前方側へ突出しないように配置され、
さらに、外気導入口(121)および外気通路(122)は、車両左右方向に対してケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置されていることを特徴としている。
【0010】
これによると、連絡通風路(143)の傾斜形状による空間(C)を有効利用して、送風機部(13)の下方側に外気導入口(121)を配置できる。そして、送風機部(13)、外気導入口(121)および外気通路(122)を、車両左右方向に対してケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置しているから、空調装置全体の車両左右方向寸法を熱交換部(14)や吹出モード切替部(15)で決まるケース幅寸法まで短縮することができる。
また、外気導入口(121)は、送風機部(13)の車両下方側において送風機部(13)の車両前方側端部よりも車両前方側へ突出しないように配置している。これにより、空調装置全体の車両左右方向および車両前後方向の体格を縮小でき、車両への空調装置の搭載が容易となる。
しかも、連絡通風路(143)の傾斜形状により熱交換部(14)への流入空気の分布を上下方向おいて均一化でき、熱交換部(14)の性能向上にも貢献できる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、送風機部(13)は、熱交換部(14)に比して車両左右方向の幅寸法が小であり、この送風機部(13)を熱交換部(14)の車両左右方向の中央部の上方に配置し、ファンケース(133)の車両左右方向の側面に吸入口(134)を配置し、外気通路(122)は外気導入口(121)の部位から斜め上方に立ち上がって吸入口(134)に連通することを特徴としている。
【0012】
このように、外気導入口(121)の部位から斜め上方に立ち上がって吸入口(134)に連通する外気通路(122)を持つことにより、外気導入口(121)の車両左右方向の幅寸法を熱交換部(14)と同一の幅寸法まで拡大することができ、外気導入口(121)の必要開口面積の確保が容易となる。
請求項5に記載の発明では、吸入口(134)に近接して内外気切替ドア(123)および内気導入口(124)を配置し、内外気切替ドア(123)により外気通路(122)からの外気と、内気導入口(124)からの内気とを吸入口(134)に切替導入するようにしたことを特徴としている。これによると、内外気の切替導入の作用を良好に発揮できる。
【0013】
請求項6に記載の発明では、送風ファン(131)は遠心式ファンであり、ファンケース(133)はスクロールケースであり、送風ファン(131)をその軸方向が車両左右方向となるように配置し、スクロールケース(133)のノーズ部(135)を吹出部(136)の車両後方側に位置させ、送風ファン(131)の回転方向を、吹出部(136)からの吹出空気が車両下方で、かつ、車両後方側へ向くように設定したことを特徴としている。
【0014】
これによると、送風ファン(131)の送風空気をスクロールケース(133)の吹出部(136)から車両後方側の熱交換部(14)に向かってスムースに流すことができる。
請求項7に記載の発明では、外気導入口(121)を、熱交換部(14)の車両左右方向の幅寸法と略同一の幅寸法にすることを特徴としている。これによると、外気導入口(121)の必要開口面積の確保が容易となる。
【0015】
本発明は、具体的には、請求項8に記載のように、キャブオーバー型車両に搭載される車両用空調装置において、外気導入口(121)を、キャブオーバー型車両における前面壁(W)の直後の部位に配置する形態として実施できる。これによると、前面壁(W)前方の外気を外気導入口(121)に直接、容易に導入できる。
【0016】
また、本発明は、具体的には、請求項9に記載のように、キャブオーバー型車両の車室前部において、車両左右方向の中央部に搭載される車両用空調装置として好適に実施できる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、小型トラック用完全センタ置き空調ユニット10に本発明を適用した一実施形態を示している。この空調ユニット10は、キャブオーバ型トラックの車室内前部の計器盤下方部において車両左右方向の中央位置に搭載されるものであり、空調ユニット10は樹脂製のケース11を有し、このケース11は複数の分割ケースを一体に締結することより構成される。また、ケース11は図1にて示すごとく、小型トラックの車室内前部の床面F上に狭い間隔で近接配置され、車体の前面壁(ファイヤーウォール)Wにより支持固定される。
【0018】
空調ユニット10は、大別して、外気導入部12、送風機部13、熱交換部14および吹出モード切替部15を備えており、この順に空気が送風さる。
図1に示すように、送風機部13は、車両前方側で、かつ、上方側の部位に配置され、遠心多翼ファン(シロッコファン)からなる送風ファン131とこのファン131を駆動するモータ132と送風ファン131の送風空気を案内するスクロールケース133とを有している。
【0019】
ここで、送風ファン131とファン駆動用モータ132の回転軸(図示せず)は車両左右方向に向くように配置され、スクロールケース133の車両右側にモータ132が配置され、スクロールケース133の車両左側にファン吸入口134(図3)が配置されている。
さらに、スクロールケース133の渦巻き形状の巻き始め部であるノーズ部135は、図1に示すように車両後方側に配置され、そして、スクロールケース133の吹出部136が車両前方側に配置されている。従って、送風ファン131の回転方向はノーズ部135から吹出部136側へ空気が圧送されるように図1において反時計方向Aに設定されている。
【0020】
そして、送風機部13の下方側で、かつ、車両後方側の部位に熱交換部14が配置されており、この熱交換部14において、最も車両前方側の部位にエアフィルタ141が配置されている。このエアフィルタ141の直後の部位(車両後方側の部位)に蒸発器142が隣接配置されている。
ここで、蒸発器142は図2に2点鎖線で示す矩形状の形状であり、車両前後方向には薄型で、左右方向に延びるようにケース11内に配置され、また、エアフィルタ141も同様な形態で、蒸発器142の空気入口側に配置されている。ここで、エアフィルタ141は、不織布のようなフィルタ材料からなり、蒸発器142への流入空気の塵埃等を分離、除去するものである。なお、ケース11の車両右側の側壁部にはエアフィルタ141の装着孔(図示ぜす)が設けられ、この装着孔を通してエアフィルタ141は図2の矢印B方向(車両右方向)へ取り出して、その点検交換ができるようになっている。
【0021】
そして、送風機部13のスクロールケース133の吹出部136と、エアフィルタ141の空気入口部(車両前方側の面)との間に連絡通風路143が形成されている。この連絡通風路143の形成に当たって、本実施形態では、吹出部136の車両前方側の部位から車両後方側へ向かって斜め下方に傾斜する傾斜面144をケース11に形成している。図4では、この傾斜面144を斜線部の追加により明示している。
【0022】
この傾斜面144についてさらに詳述すると、図1、4に示すように、傾斜面144の上端部は吹出部136の車両前方側の部位に接続され、そして、傾斜面144の下端部はエアフィルタ141の車両前方側の下端部位に接続される。また、傾斜面144(連絡通風路143)の上端部は、図2に示すようにスクロールケース133の幅寸法W1 より若干大きい幅寸法W2 を有し、下端部は蒸発器142(エアフィルタ141)の幅寸法と同等の幅寸法を有するように形成されている。そのため、傾斜面144(連絡通風路143)は車両前方側からみると略台形状になっている。
【0023】
そして、傾斜面144を吹出部136の車両前方側の部位から車両後方側へ向かって斜め下方に傾斜させているから、送風機13の下方側の部位で、かつ、傾斜面144の車両前方側に図4に示す斜線部の空間Cを確保できる。そこで、この空間Cに横長長方形の外気導入口121およびこれにつながる外気通路122を配置している。キャブオーバ型トラックでは、車体の前面壁Wの前方は直接外気雰囲気に開放されているため、外気導入口121は前面壁Wの前方から直接外気を導入できる。
【0024】
上記外気通路122の全体形状(外気ダクト形状)は図5の太線部に示す形状であり、車両前方から後方側へ向かって、徐々に左側へ偏向され、かつ、上記した連絡通風路143の左側の部位にて、上方向に通路方向を転換している。すなわち、連絡通風路143の左側の上方を通って、外気通路122は斜め上方向に通路方向を転換し、外気通路122の上端部はスクロールケース133のファン吸入口134の車両左側部位まで延びている。
【0025】
ところで、連絡通風路143は車両後方側のエアフィルタ141の幅寸法に向かって図2、3、5の破線および実線143aに示すごとく拡大されるので、外気通路122において、連絡通風路143の左側上方部位における断面形状は図5の斜線部で示す三角形状となり、外気はこの断面形状三角形状の外気通路122を下方から上方へと流れる。
【0026】
図5において、矢印Dは、外気導入口121から外気通路122を通ってファン吸入口134に吸入される外気の流れを示す。また、矢印Eは、送風ファン131によりスクロールケース133および連絡通風路143を経てエアフィルタ141の入口部に向かって流れる空気流れを示し、矢印Fはエアフィルタ141、蒸発器142を通過する空気流れを示す。
【0027】
スクロールケース133のファン吸入口134の車両左側部位付近(外気通路122の上端部付近)に平板状の内外気切替ドア123(図2)が回動可能に配置され、この内外気切替ドア123の上方部に内気導入口124が配置されている。そして、内外気切替ドア123を回転軸123aを中心として回動することにより、内気導入口124と外気通路122の上端部通路とを切替開閉して、ファン吸入口134に外気と内気を切替導入するようになっている。
【0028】
熱交換部14において、前述した蒸発器142は冷房用熱交換器であって、車両エンジン(図示せず)を駆動源として作動する冷凍サイクルに設けられ、温度式膨張弁(減圧手段)142aにより減圧された低温低圧の気液2相冷媒が流入し、この低圧冷媒は蒸発器142にて連絡通風路143からの送風空気と熱交換(吸熱)して蒸発することにより送風空気を冷却する。ここで、蒸発器142には高圧側冷媒配管142bと低圧側冷媒配管142cを通して冷媒が循環するようになっている。
【0029】
そして、蒸発器142の空気流れ下流側に、所定の間隔を開けて、かつ、車両後方側の上方部位にヒータコア145が傾斜配置されている。このヒータコア145はの車両左右方向の幅寸法は、図2に図示してないが、蒸発器142と同様に、ケース11の幅寸法と略同等に設計されている。
ヒータコア145は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱する暖房用熱交換器であって、温水配管145a、145bにより車両エンジンの高温の温水(冷却水)がヒータコア145に流れ、この温水を熱源として空気を加熱する。
【0030】
なお、蒸発器142およびヒータコア145は周知のごとく冷媒あるいは温水が通過する偏平チューブとこれに接合されたコルゲートフィンとからなる熱交換用コア部を有し、この熱交換用コア部にて冷媒あるいは温水と空気との間で熱交換する構成となっている。
そして、ヒータコア145の車両前方側から上方に向かう部位に、ヒータコア145をバイパスして空気(冷風)が流れる冷風バイパス通路146が形成されている。ヒータコア145と蒸発器142との間には、平板状のエアミックスドア147が回動可能に配置されている。このエアミックスドア147はヒータコア145を通過して加熱される温風と、冷風バイパス通路146を通ってヒータコア145をバイパスする冷風との風量割合を調整して、車室内への吹出空気温度を調整する。
【0031】
一方、ケース11において、ヒータコア145の空気下流側(車両後方側)の部位には、ヒータコア145の直後から上方に向かう温風通路148が形成されている。この温風通路148の下流側(上方側)はヒータコア145の上方部において車両前方側に方向を転換して、冷風バイパス通路146の下流側と合流し、その合流部にて冷風と温風の混合を行う空気混合部149を形成する。
【0032】
そして、ケース11において空気混合部149の上方側に吹出モード切替部15が配置されている。ケース11の上面部のうち、車両前方側の部位にデフロスタ開口部151が横長形状(図3)で開口している。このデフロスタ開口部151は上記空気混合部149から温度制御された空調空気が流入するものであって、図示しないデフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続され、このデフロスタ吹出口から、車両前面窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出す。
【0033】
デフロスタ開口部151に隣接して平板状のデフロスタドア152が回動可能に配置され、このデフロスタドア152によりデフロスタ開口部151への空気流路と、連通口153が切替開閉される。この連通口153は、上記空気混合部149からの空調空気をフェイス開口部154およびフット開口部155側へ流すための通路となる。
【0034】
フェイス開口部154は、空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部151よりも車両後方側(乗員寄り)の部位に横長形状(図3)で開口しており、このフェイス開口部154は図示しないフェイスダクトを介して、計器盤上方側に配置されているフェイス吹出口に接続され、このフェイス吹出口から車室内の乗員の頭部に向けて空気を吹き出す。
【0035】
また、上記したフット開口部155は、空調ケース11の左右の両側面においてフェイス開口部154より少し下方の部位に配置され、この左右のフット開口部155は図示しないフットダクトを介して左右のフット吹出口に接続され、この左右のフット吹出口から運転席側および助手席側の乗員足元に空気を吹き出す。
【0036】
そして、フェイス開口部154と左右のフット開口部155の入口流路155aとの間には、平板状のフットフェイス切替ドア156が回動可能に配置され、この切替ドア156によりフェイス開口部154と入口流路155aとを切替開閉する。
ところで、デフロスタドア152およびフットフェイス切替ドア156は吹出モード切替手段であって、図示しないリンク機構、ケーブル等を介して空調操作パネルの吹出モード操作部材に連結して、この吹出モード操作部材の手動操作力により吹出モード切替手段を連動操作するか、あるいは、図示しないリンク機構を介してサーボモータ等からなるアクチュエータ機構に連結され、このアクチュエータ機構により連動操作されるようになっている。
【0037】
また、温度調整手段であるエアミックスドア147、および内外気切替ドア123も同様の操作機構により、手動操作またはアクチュエータ機構により操作される。
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。いま、内外気切替ドア123を外気モード位置に操作すると、内外気切替ドア123により内気導入口124が閉塞され、外気通路122の上端部通路が開放されファン吸入口134に連通する。従って、送風機部13のモータ132に通電して、モータ132により送風ファン131を回転駆動すると、送風ファン131の吸引作用により車体の前面壁W前方の外気が外気導入口121内に吸入される。
【0038】
そして、外気は外気導入口121から外気通路122を通過して、矢印Dのごとく車両の左側へ偏向して斜め上方へと流れ、ファン吸入口134に吸入される。その後、外気は、送風ファン131により矢印Eのごとくスクロールケース133および連絡通風路143を経てエアフィルタ141の入口部に向かって流れる。
【0039】
外気はまず、エアフィルタ141を通過して塵埃等が除去されて清浄化され、その後、蒸発器142で冷却され、冷風となる。次いで、この冷風はエアミックスドア147によりヒータコア145を通過する温風と冷風バイパス通路146を通過する冷風とに振り分けられ、この温風と冷風が空気混合部149で混合して所望温度となる。
【0040】
この所望温度の空気は、複数の開口部151、154、155のうち、吹出モード切替ドア152、156により選択された任意の開口部から車室内へ吹き出して、車室内の空調および車両窓ガラスの曇り止めを行う。
一方、内外気切替ドア123を内気モード位置に操作すると、内外気切替ドア123により外気通路122の上端部通路が閉塞され、内気導入口124が開放されファン吸入口134に連通する。従って、内気導入口124から内気がファン吸入口134に吸入され、上記と同様の経路にて内気が送風され、内気モードによる車室内の空調が行われる。
【0041】
ところで、スクロールケース133の吹出部136と、エアフィルタ141の空気入口部(車両前方側の面)との間に連絡通風路143を形成するに当たって、本実施形態では、吹出部136の車両前方側の部位から車両後方側へ向かって斜め下方に傾斜する傾斜面144をケース11に形成しているため、吹出部136からの吹出空気を傾斜面144に沿ってエアフィルタ141の下方部位までスムースに案内することができる。
【0042】
その結果、エアフィルタ141および蒸発器142において、その上方部位から下方部位までにわたって、均一に空気を流すことができる。このため、エアフィルタ141において、その全表面で効率よく空気清浄作用を果たすことができるとともに、蒸発器142においても熱交換用コア部への流入空気の分布を均一化して、蒸発器142の冷却能力を効率よく発揮できる。
【0043】
(他の実施形態)
▲1▼上記の一実施形態では、車室内への吹出空気の温度調整手段として、冷温風の風量割合を調整するエアミックスドア147を用いているが、エアミックスドア147の代わりに、ヒータコア145を循環する温水の流量もしくは温水温度を調整する温水弁を用い、この温水弁を用いて車室内への吹出空気の温度を調整するようにしてもよい。
【0044】
▲2▼上記の一実施形態では、蒸発器142の空気流れ入口部にエアフィルタ141を配置しているが、エアフィルタ141の配置場所は他の場所でもよく、また、エアフィルタ141を持たない空調ユニット10にも同様に適用できることはもちろんである。
▲3▼上記の一実施形態では、送風機部13のファン吸入口134および内外気切替ドア147等をスクロールケース133に対して車両左側に配置し、ファン駆動用モータ132をスクロールケース133に対して車両右側に配置しているが、これとは逆に、送風機部13のファン吸入口134および内外気切替ドア147等をスクロールケース133に対して車両右側に配置し、ファン駆動用モータ132をスクロールケース133に対して車両左側に配置することもできる。
【0045】
▲4▼本発明は、キャブオーバ型車両(小型トラック)に限ることなく、完全センタ置きタイプの空調ユニットを採用する車両であれば、同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す小型トラック用空調ユニットの側面図である。
【図2】図1の空調ユニットを車両前方側からみた正面図である。
【図3】図1の空調ユニットを車両前方側からみた概略斜視図である。
【図4】図1と同じ側面図で、連絡通風路の傾斜形状と、その傾斜形状による車両前方側の空間を分かりやすく図示するものである。
【図5】図3と同じ概略斜視図で、外気通路の全体形状を分かりやすく図示するものである。
【符号の説明】
12…外気導入部、13…送風機部、14…熱交換部、
15…吹出モード切替部、121…外気導入口、122…外気導入通路、
143…連絡通風路、144…傾斜面。

Claims (9)

  1. 車両前方側の上方部位に配置された送風機部(13)と、
    この送風機部(13)に対して車両後方側で、かつ、車両下方側に配置され、前記送風機部(13)からの送風空気と熱交換を行う熱交換部(14)と、
    この熱交換部(14)を収納するケース(11)と、
    前記送風機部(13)に対して車両後方側で、かつ、前記熱交換部(14)の車両上方側に配置され、前記熱交換部(14)で温度調整された空気を所定の開口部(151、154、155)を通して車室内へ吹き出す吹出モード切替部(15)と、
    外気を導入する外気導入口(121)と、
    この外気導入口(121)から導入された外気を前記送風機部(13)の吸入口(134)に導く外気通路(122)とを備え、
    前記送風機部(13)は車両左右方向に対して前記ケース(11)の車両左右方向幅寸法の範囲内に配置され、
    前記外気導入口(121)は、前記送風機部(13)の車両下方側に配置されるとともに車両前後方向に対して前記送風機部(13)の車両前方側端部よりも車両前方側へ突出しないように配置され
    さらに、前記外気導入口(121)および前記外気通路(122)は、車両左右方向に対して前記ケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置されていることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 車両前方側の上方部位に送風機部(13)を配置し、
    この送風機部(13)には、送風ファン(131)とこの送風ファン(131)の送風空気が流れるファンケース(133)を備え、
    このファンケース(133)の吹出部(136)を車両下方側に配置し、
    前記送風機部(13)からの送風空気と熱交換を行う熱交換部(14)を前記送風機部(13)に対して車両後方側で、かつ、車両下方側に位置するようにしてケース(11)内に配置し、
    前記送風機部(13)は車両左右方向に対して前記ケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置され、
    前記吹出部(136)と前記熱交換部(14)の空気入口部との間を連絡通風路(143)により連絡するとともに、この連絡通風路(143)を前記吹出部(136)の部位から前記熱交換部(14)の空気入口部に向かって車両後方側へ斜め下方に傾斜する形状とし、
    この連絡通風路(143)の傾斜によりこの連絡通風路(143)の車両前方側に形成される空間(C)に、外気を導入する外気導入口(121)を配置し、この外気導入口(121)から外気通路(122)を通して外気を前記ファンケース(133)の吸入口(134)に導くようになっており、
    前記外気導入口(121)は、前記送風機部(13)の車両下方側に配置されるとともに車両前後方向に対して前記送風機部(13)の車両前方側端部よりも車両前方側へ突出しないように配置され、
    さらに、前記外気導入口(121)および前記外気通路(122)は、車両左右方向に対して前記ケース(11)の車両左右方向の幅寸法の範囲内に配置されていることを特徴とする車両用空調装置。
  3. 前記連絡通風路(143)は、前記吹出部(136)の車両前方側部位から車両後方側へ斜め下方に傾斜する傾斜面(144)を有していることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記送風機部(13)は、前記熱交換部(14)に比して車両左右方向の幅寸法が小であり、
    前記送風機部(13)は、前記熱交換部(14)の車両左右方向の中央部の上方に配置され、
    前記ファンケース(133)の車両左右方向の側面に前記吸入口(134)が配置され、
    前記外気通路(122)は前記外気導入口(121)の部位から斜め上方に立ち上がって前記吸入口(134)に連通することを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調装置。
  5. 前記吸入口(134)に近接して内外気切替ドア(123)および内気導入口(124)が配置され、
    前記内外気切替ドア(123)により前記外気通路(122)からの外気と、
    前記内気導入口(124)からの内気とを前記吸入口(134)に切替導入するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記送風ファン(131)は遠心式ファンであり、前記ファンケース(133)はスクロールケースであり、前記送風ファン(131)はその軸方向が車両左右方向となるように配置されており、
    前記スクロールケース(133)のノーズ部(135)は前記吹出部(136)の車両後方側に位置しており、
    前記送風ファン(131)の回転方向は、前記吹出部(136)からの吹出空気が車両下方で、かつ、車両後方側へ向くように設定されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  7. 前記外気導入口(121)は、前記熱交換部(14)の車両左右方向の幅寸法と略同一の幅寸法を有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置がキャブオーバー型車両に搭載されるように構成され、前記外気導入口(121)は、前記キャブオーバー型車両における前面壁(W)の直後の部位に配置されることを特徴とする車両用空調装置。
  9. 請求項8に記載の車両用空調装置がキャブオーバー型車両の車室前部において、車両左右方向の中央部に搭載されるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
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