JP4074334B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、最近では米国だけでなく、日本も含めたほとんどの国においてもこのUL規格を採用するようになってきている。
第一は、樹脂100質量部に対しハロゲン系化合物を10〜20質量部添加し、該ハロゲン系化合物を燃焼した炎に対し酸化反応負触媒として働かせることにより、燃焼速度を低下させて、難燃性を付与する手法である。
第二は、樹脂100質量部に対しシリコーン化合物を数〜十数質量部程度添加するか、又はリン酸系化合物を数〜数十質量部添加し、燃焼中に樹脂の表面に該シリコーン化合物をブリードさせたり、該リン酸系化合物を樹脂内で脱水素反応を起こさせたりすることにより、表面にチャー(炭化層)を生成させて、断熱皮膜の形成により燃焼を止める手法である。
第三は、樹脂100質量部に対し水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、などの金属水酸化物を40〜110質量部程度添加し、樹脂の燃焼によってこれらの化合物が分解するときの吸熱反応、及び生成した水の持つ蒸発潜熱により、樹脂全体を冷却させて、燃焼を止める手法である。
また、前記第二の手法の場合、用いる難燃剤が前記シリコーン化合物の場合、樹脂に該難燃剤を大量に添加する必要があるため、例えば、強度が低下するなど、樹脂本来の物性を変化させるおそれがあり、また、難燃剤が前記リン酸系化合物の場合、樹脂を有する家電OA製品を廃棄物として燃焼させると、燃焼灰に含まれるリン酸によって、水質汚染などが引き起こされるという問題がある。
また、前記第三の手法の場合、難燃剤である金属水酸化物を、樹脂に多量に添加する必要があるため、樹脂が加水分解したり、機械的物性が低下するという問題がある。
しかしながら、樹脂の燃焼においては、該樹脂が分解することによってガスが発生し、このガスが空気中の酸素と連続反応して燃焼が継続することも知られており、前記タンニン化合物の添加による樹脂の安定性の向上だけでは、十分に満足できるレベルの難燃性を付与することは困難であるのが現状である。
即ち、熱可塑性ポリエステル系樹脂等の樹脂の燃焼は、該樹脂が分解することによりガスが発生し、このガスが空気中の酸素と連続反応することによって燃焼が継続する。このとき、該樹脂中に有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の少なくともいずれかが存在していると、これらの化合物は、特に熱可塑性ポリエステル系樹脂に対する熱安定効果が高い上に、該樹脂が熱分解する際、安息香酸やフタル酸などの比較的燃えにくいガスを燃焼ガス中に放出する。したがって、これらの化合物を該樹脂中に添加することにより、該樹脂の燃焼時に生じる燃焼性ガスが低減され、熱分解反応により生じる炭化水素が抑制されるため、該樹脂の燃焼が効果的に抑制され、UL94の難燃規格を満たす高い難燃性が得られる。しかも、これらの化合物は、微量添加によって十分な効果を有するので、該樹脂の物性変化に悪影響がない。また、有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩は、ハロゲン元素及びリン元素を含まないため安全性に優れており、難燃剤として特に有効である、という知見である。
<1> 熱可塑性ポリエステル系樹脂と、該熱可塑性ポリエステル系樹脂100質量部に対し0.0002〜0.8質量部の有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の少なくともいずれかとを含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物である。
<2> 有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の少なくともいずれかの含有量が、熱可塑性ポリエステル系樹脂100質量部に対し0.01〜0.05質量部である前記<1>に記載の難燃性樹脂組成物である。
<3> 有機スルホン酸化合物及び有機カルボン酸化合物の少なくともいずれかにおけるスルホン酸基又はカルボン酸基以外の部分が、脂肪族化合物、芳香族化合物、ヘテロ脂肪族化合物、及びヘテロ芳香族化合物から選択される少なくとも1種の骨格を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
<4> 有機スルホン酸化合物及び有機カルボン酸化合物の少なくともいずれかにおけるスルホン酸基又はカルボン酸基以外の部分が、脂肪族化合物、芳香族化合物から選択される少なくとも1種の骨格を有し、該脂肪族化合物が、オレフィン類又はモノテルペン類であり、該芳香族化合物が、アルキルベンゼン類である前記<3>に記載の難燃性樹脂組成物である。
<5> 脂肪族カルボン酸化合物、又はヘテロ脂肪族カルボン酸化合物が、2価以上の多価カルボン酸化合物である前記<3>から<4>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
<6> 芳香族カルボン酸化合物、又はヘテロ芳香族カルボン酸化合物が、1価以上のカルボン酸化合物である前記<3>から<5>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
<7> 有機スルホン酸化合物の金属塩及び有機カルボン酸化合物の金属塩の少なくともいずれかの金属塩が、アルカリ金属塩である前記<1>から<6>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
<8> 有機スルホン酸化合物の金属塩及び有機カルボン酸化合物の金属塩の少なくともいずれかの金属塩が、ナトリウム塩及びカリウム塩の少なくともいずれかである前記<7>に記載の難燃性樹脂組成物である。
<9> 熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂である前記<1>から<8>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
<10> 熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂と、該ポリエチレンテレフタレート樹脂以外の樹脂との混合物である前記<1>から<9>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル系樹脂と、有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の少なくともいずれかと、を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、などが挙げられる。これらの中でも、有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩が高い難燃性を付与できる点、及びフィルム、シート、繊維、などの難燃性を要求される用途が多い点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、少なくともPETを含むことが好ましい。
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の分子量としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、PETの場合、数平均分子量で16,000〜25,000が好ましい。
前記有機スルホン酸化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該有機スルホン酸化合物におけるスルホン酸基以外の部分としては、脂肪族化合物、芳香族化合物、ヘテロ脂肪族化合物、ヘテロ芳香族化合物、などの骨格を有するものが挙げられるが、これらの中でも、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に高い難燃性を付与できる点で、脂肪族化合物及び芳香族化合物のいずれかの骨格を有するものが好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これらの化合物は、天然植物から抽出されたものでもよいし、合成されたものでもよいし、あるいは天然化合物からの誘導体でよい。
前記脂肪族化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に高い難燃性を付与できる点で、オレフィン類及びモノテルペン類のいずれかが好ましい。該オレフィン類としては、例えば、オクタエン、ノナエン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、などが挙げられる。該モノテルペン類としては、カンファン形が好ましく、該カンファン形のモノテルペン類としては、具体的にはカンファー、ボルネオール、ボルニレン、などが挙げられる。
前記芳香族化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に高い難燃性を付与できる点で、アルキルベンゼン類が好ましい。該アルキルベンゼン類のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オクシル、ノシル、デカシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、などが挙げられる。
前記有機スルホン酸化合物の金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、などが挙げられるが、これらの中でも、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に高い難燃性を付与できる点で、アルカリ金属塩が好ましく、該アルカリ金属塩の中でも、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。これらの有機スルホン酸化合物の金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
したがって、前記オレフィン類、モノテルペン類、又はアルキルベンゼン類から誘導されるスルホン酸化合物又はこれらの金属塩としては、例えば、スルホン酸デシル、カンファースルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、これらのナトリウム塩、カリウム塩、などが挙げられる。これらの中でも、環境への負荷が小さい点で、天然のカンファー(樟脳)のスルホン酸誘導体であるカンファースルホン酸が好ましい。
なお、前記有機スルホン酸化合物及び前記有機スルホン酸化合物の金属塩は、それぞれを1種又は2種以上を併用してもよい。
前記有機カルボン酸化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該有機カルボン酸化合物におけるカルボキシル基以外の部分としては、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に高い難燃性を付与できる点から、脂肪族化合物、芳香族化合物、ヘテロ脂肪族化合物、及びヘテロ芳香族化合物のいずれかの骨格を有するものが好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これらの化合物は、天然植物から抽出されたものでもよいし、合成されたものでもよいし、あるいは天然化合物からの誘導体でもよい。
前記脂肪族カルボン酸化合物又はヘテロ脂肪族カルボン酸化合物としては、2価以上のカルボン酸化合物が好ましく、例えば、2価のカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、などが好ましく、これらの化合物には、アルキル基や水酸基などが導入されていてもよい。3価のカルボン酸化合物としては、ニトリロ三酢酸、アコニット酸、カンホロン酸、など好ましい。4価のカルボン酸化合物としては、エチレンジオキシビスエチルアミン四酢酸などが好ましい。5価のカルボン酸化合物としては、1,2,3,4,5−シクロヘキサンペンタカルボン酸などが好ましい。6価のカルボン酸化合物としては、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸などが好ましい。
前記芳香族カルボン酸化合物又はヘテロ芳香族カルボン酸化合物としては、1価以上のカルボン酸化合物が好ましく、例えば、1価のカルボン酸化合物としては、安息香酸、サリチル酸、桂皮酸、などが好ましい。2価のカルボン酸化合物としては、キノリンジカルボン酸、カルボキシ桂皮酸、カルボキシフェニル酢酸、ナフタレンジカルボン酸、フランジカルボン酸、などが好ましい。3価のカルボン酸化合物としては、ベンゼントリカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、などが好ましい。
前記有機カルボン酸化合物の金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、などが挙げられる。これらの中でも、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に高い難燃性を付与できる点で、アルカリ金属塩が好ましく、該アルカリ金属塩の中でも、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。これらの有機カルボン酸化合物の金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
こうした中で、本発明の難燃性樹脂組成物に対して、特に好適に用いられる有機カルボン酸化合物又はその金属塩としては、安価で入手が容易な点で、アジピン酸、サリチル酸及びこれらのナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
なお、前記有機カルボン酸化合物及び前記有機カルボン酸化合物の金属塩は、それぞれの1種又は2種以上を併用してもよい。
なお、前記有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩は無色透明であるが、これらを含む前記難燃性樹脂組成物は、着色剤により所望の色に着色することもできる。
また、前記有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、前記有機スルホン酸化合物と前記有機スルホン酸化合物とを併用することが、それぞれ単独で用いるよりも樹脂に極めて高い難燃性を付与できる点で好ましい。
なお、本発明において、有機スルホン酸化合物及びその金属塩は、熱可塑性ポリエステル系樹脂等のポリマーをスルホン化するものではなく、熱可塑性ポリエステル系樹脂中に混合されている。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、樹脂組成物に使用される公知の添加剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機繊維、有機繊維、無機粒子、などが挙げられる。該無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、ウィスカー、などが挙げられる。該有機繊維としては、例えば、ケブラー繊維などが挙げられる。該無機粒子としては、例えば、シリカ、タルク、マイカ、ウォラストナイト、クレー、炭酸カルシウム、等の鉱物などが挙げられる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、更に必要に応じて、前記有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物及びこれらの金属塩以外の既存の難燃剤、難燃助剤、各種劣化防止剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等)、抗菌剤、着色剤、などを含有することもできる。
前記難燃性樹脂組成物の成形の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方
法の中から適宜選択することができ、例えば、フィルム成形、押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファ成形、カレンダ成形、熱成形、流動成形、積層成形、などが挙げられる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性及び成形性に優れ、各種形状、構造、大きさの成形体とすることができ、例えば、パソコン、プリンター、テレビ、ステレオ、コピー機、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、ステレオ、等の各種家電OA製品の部品などとして幅広く用いることができる。
−難燃性樹脂組成物の調製−
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(「三井PETJ120」;三井化学株式会社製)を除湿乾燥機(株式会社松井製作所製、PO−200型)で110℃にて10時間乾燥した後、有機スルホン酸化合物として、脂肪族スルホン酸化合物であるカンファースルホン酸(関東化学株式会社製、試薬1級、以下CPSと記す)を、該PET100質量部に対し表1に示す割合で添加して、ロット番号1〜3の難燃性樹脂組成物を調製した。
前記難燃性樹脂組成物を、タンブラー(「タンブルミキサーTM−50型」;日水加工株式会社製、8枚羽)を用いて攪拌羽回転速度約300rpmで4分間、攪拌・混合した。これを射出成形機(クロックナー製、F−85型、型締め圧力85ton)を用いて、UL94で示される各厚み(1/16in:1.47〜1.59mm)の燃焼試験片が共取りできるように設計された金型を用いて成形し、試験片を作製した。
得られた試験片について、UL94Vの垂直燃焼試験方法に基づき、燃焼試験を行った。なお、燃焼時間は2回着火の和で、試験片5片の平均である。得られた結果を、以下の基準に従って、UL94V−0、V−1、V−2のいずれかの等級に評価した。なお、これらのいずれも満たさないものは、「不合格」とした。
−評価−
V−0:点火炎を取り除いた後の平均燃焼時間が10秒以下、且つ、全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎を落下しない。
V−1:点火炎を取り除いた後の平均燃焼時間が30秒以下、且つ、全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎を落下しない。
V−2:点火炎を取り除いた後の平均燃焼時間が30秒以下、且つ脱脂綿に着火する微粒炎を落下する。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例1において、CPSに替えて、芳香族スルホン酸化合物であるドデシルベンゼンスルホン酸(「ネオペレックスGS」;花王株式会社製、以下、DB−Acと記す。)を、PET100質量部に対し表1に示す割合で添加した以外は、実施例1と同様にして、ロット番号4〜6の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号4〜6の難燃性樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表1に示す。
−樹脂組成物の調製−
実施例1において、CPSを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、ロット番号7のポリエステル樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号7の樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表1に示す。
−樹脂組成物の調製−
実施例1において、CPSを、PET100質量部に対し、0質量部〜10質量部の範囲で選択した割合で添加した以外は、実施例1と同様にして、各樹脂組成物を調製した。
得られた各樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を図1に示す。
図1の結果から、CPSの添加により難燃時間が明らかに短縮し、添加効果が顕著に認められる。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例1において、CPSに替えて、表2に示す有機スルホン酸化合物(関東化学株式会社製、試薬1級)をPET100質量部に対し0.05質量部の割合で添加した以外は、実施例1と同様にして、ロット番号8〜12の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号8〜12の難燃性樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表2に示す。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例1において、CPSに替えて、有機スルホン酸化合物の金属塩として、芳香族スルホン酸化合物又は脂肪族スルホン酸化合物の金属塩である、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(「ネオペレックスG−25」;花王株式会社製、以下DB−Naと記す)、トルエンスルホン酸カリウム(関東化学株式会社製、試薬一級、以下STSと記す)、ナフタレンスルホン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬1級)、オレフィンスルホン酸ナトリウム(「リポランPB−800」;ライオン株式会社製、以下OS−Naと記す)、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(関東化学株式会社製、試薬1級)、又はリグニンスルホン酸カルシウム(「サンエキスP201(粉末)」;日本製紙ケミカル株式会社製)を、それぞれPET100質量部に対し0.05質量部の割合で添加した以外は、実施例1と同様にして、ロット番号13〜15の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号13〜15のポリエステル樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表3に示す。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例1において、CPSに替えて、有機カルボン酸化合物として、脂肪族カルボン酸化合物であるアジピン酸(関東化学株式会社製、試薬1級、以下AZAと記す)を、PET100質量部に対し表4に示す割合で添加した以外は、実施例1と同様にして、ロット番号19〜21の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号19〜21の難燃性樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表4に示す。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例6において、AZAに替えて、芳香族カルボン酸化合物であるサリチル酸(関東化学株式会社製、試薬1級、以下SAAと記す)をPRT100質量部に対し表4に示す割合で添加した以外は、実施例6と同様にして、ロット番号22〜24の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号22〜24の難燃性樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表4に示す。
−樹脂組成物の調製−
実施例6において、AZAを、ポリエステル樹脂100質量部に対し、0質量部〜10質量部の範囲で選択した割合で添加した以外は、実施例6と同様にして、各樹脂組成物を調製した。
得られた各樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を図2に示す。
図2の結果から、AZAの添加により難燃時間が明らかに短縮し、添加効果が顕著に認められる。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例6において、AZAに替えて、表5に示す有機カルボン酸化合物(すべて試薬1級、関東化学株式会社製)をPET100質量部に対し0.025質量部の割合で添加した以外は、実施例6と同様にして、ロット番号25〜32の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号25〜32の難燃性樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表5に示す。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例6において、AZAに替えて、表6に示す有機カルボン酸化合物の金属塩(関東化学株式会社製、試薬1級)をPET100質量部に対し0.025質量部の割合で添加した以外は、実施例6と同様にして、ロット番号33〜35の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記ロット番号33〜35の難燃性樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表6に示す。
−難燃性樹脂組成物の調製−
実施例1において、CPSの添加量をPET100質量部に対し0.01質量部とし、更に、実施例6で使用したAZAを該PET100質量部に対し0.01質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、ロット番号36の難燃性樹脂組成物を調製した。
得られた前記実施例11の難燃性樹脂組成物について、実施例1と同様にして、燃焼試験を行った。結果を表7に示す。
Claims (7)
- ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む熱可塑性ポリエステル系樹脂と、該熱可塑性ポリエステル系樹脂100質量部に対し0.0002〜0.8質量部の有機スルホン酸化合物を少なくとも含有してなり、
該有機スルホン酸化合物のスルホン酸基以外の部分が、モノテルペン類であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - 有機スルホン酸化合物の含有量が、熱可塑性ポリエステル系樹脂100質量部に対し、0.01〜0.05質量部である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 有機スルホン酸化合物が、カンファースルホン酸である請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 更に、2価以上のカルボン酸化合物を含む請求項1から3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 2価以上のカルボン酸化合物が、アジピン酸である請求項4に記載の難燃性樹脂組成物。
- ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む熱可塑性ポリエステル系樹脂と、該熱可塑性ポリエステル系樹脂100質量部に対し0.0002〜0.8質量部のアジピン酸、エチレンジオキシビスエチルアミン四酢酸、ベンゼントリカルボン酸、及びニトリロ三酢酸二ナトリウムの少なくともいずれかとを含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
- アジピン酸、エチレンジオキシビスエチルアミン四酢酸、ベンゼントリカルボン酸、及びニトリロ三酢酸二ナトリウムの少なくともいずれかの含有量が、熱可塑性ポリエステル系樹脂100質量部に対し、0.01〜0.05質量部である請求項6に記載の難燃性樹脂組成物。
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