JPH11181255A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH11181255A
JPH11181255A JP34966997A JP34966997A JPH11181255A JP H11181255 A JPH11181255 A JP H11181255A JP 34966997 A JP34966997 A JP 34966997A JP 34966997 A JP34966997 A JP 34966997A JP H11181255 A JPH11181255 A JP H11181255A
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JP
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acid
metal salt
parts
talc
resin composition
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JP34966997A
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English (en)
Inventor
Yoichi Ohara
洋一 大原
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のようにフッ素化ポリオレフィン樹脂を
用いなくとも、燃焼時の溶融滴下が防止される難燃性の
熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)ポリエステル系樹脂100部、
(B)タルク0.1〜50部および(C)パーフルオロ
アルカンスルホン酸のアルカリ金属塩および(または)
アルカリ土類金属塩0.001〜5部からなる熱可塑性
樹脂組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、えられる成形体が
燃焼する際の溶融滴下が防止される、難燃性の熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は、機械的特性、耐熱
性、成形加工性に優れており、電気電子部品用材料、自
動車部品用材料、建築用材料、シート用材料、フィルム
用材料、食品容器用材料などに広く用いられている。
【0003】ポリエステル樹脂の機械的強度、耐熱性を
向上させる目的でタルク、マイカ、炭酸カルシウムなど
の無機充填剤を用いる方法が従来より知られている。た
とえば特開昭54−22456号公報にはポリエステル
樹脂にタルクあるいはマイカを15〜50%(重量%、
以下同様)およびガラス繊維を10%未満用いる方法が
提案されている。
【0004】また、ポリエステル樹脂の帯電防止性、染
色性、接着性を改善する目的で有機スルホン酸のアルカ
リ金属塩などの金属塩を用いる方法も知られている。た
とえば特開平9−87496号公報には、ポリエステル
樹脂および特定のポリエーテルエステル共重合体に有機
スルホン酸金属塩を添加する方法、特開平3−7674
7号公報には金属スルホン酸基を含有するジカルボン酸
を共重合したポリエステル樹脂にタルク、カオリン、シ
リカなどの不活性粒子を添加する方法などが提案されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ようなタルクなどの無機充填剤およびパーフルオロアル
カンスルホン酸のアルカリ金属塩および(または)アル
カリ土類金属塩以外の有機スルホン酸金属塩を含有した
ポリエステル樹脂を、電気電子部品用材料、自動車部品
用材料など、難燃性の要求される成形材料に適用したば
あい、難燃性とともに、燃焼時の溶融滴下性に問題があ
ることがわかった。
【0006】燃焼時の溶融滴下性を改善する目的で、一
般的に、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポ
リオレフィン樹脂が用いられている。たとえば特開昭4
7−72942号公報には充填剤で強化されたポリエス
テル樹脂に難燃剤およびポリテトラフルオロエチレン樹
脂を併用する方法が提案されている。
【0007】しかしながら、ポリテトラフルオロエチレ
ン樹脂に代表されるフッ素化ポリオレフィン樹脂は、燃
焼時の溶融滴下性を防止する効果とともに、樹脂の溶融
粘度を上昇させる作用もあり、えられる樹脂組成物の成
形流動性を低下させる原因となっている。また、フッ素
化ポリオレフィン樹脂は軟化温度が比較的低いため、た
とえば押出混練時に押出機に添加する際、スクリューに
付着するなど、その取り扱いが困難である。
【0008】このため、フッ素化ポリオレフィン樹脂を
用いずに、燃焼時の溶融滴下を防止する技術が望まれて
いる。
【0009】本発明の目的は、タルクおよびパーフルオ
ロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩および(また
は)アルカリ土類金属塩を含有したポリエステル系樹脂
を用いることにより、従来のようにフッ素化ポリオレフ
ィン樹脂を用いなくとも、燃焼時の溶融滴下が防止され
る難燃性の熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、燃焼時の
溶融滴下が防止される難燃性の熱可塑性樹脂組成物につ
いて鋭意検討した結果、無機充填剤としてタルクを選
び、有機スルホン酸金属塩としてパーフルオロアルカン
スルホン酸のアルカリ金属塩および(または)アルカリ
土類金属塩を選ぶことにより、前記目的が達せられるこ
とを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、(A)ポリエステル
系樹脂100部(重量部、以下同様)、(B)タルク
0.1〜50部および(C)パーフルオロアルカンスル
ホン酸のアルカリ金属塩および(または)アルカリ土類
金属塩0.001〜5部からなる熱可塑性樹脂組成物
(請求項1)、(C)パーフルオロアルカンスルホン酸
のアルカリ金属塩および(または)アルカリ土類金属塩
が、一般式: (Cn2n+1SO3mM (I) (nは1〜8の整数、Mはアルカリ金属および(また
は)アルカリ土類金属、mはMの原子価)で示される化
合物であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹
脂組成物(請求項2)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリエステル
系樹脂(A)は、2価以上のカルボン酸成分と2価以上
のアルコールおよび(または)フェノール成分とを公知
の方法で重縮合することによりえられる熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂である。
【0013】前記2価以上のカルボン酸成分としては、
炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、炭素数
3〜12の2価以上の脂肪族カルボン酸、炭素数8〜1
5の2価以上の脂環式カルボン酸などのカルボン酸類お
よびこれらのエステル形成性誘導体があげられる。これ
らの具体例としては、炭素数8〜22の2価以上の芳香
族カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体とし
ては、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフ
ェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4′
−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスル
ホンジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピ
ロメリット酸などのカルボン酸ならびにこれらのエステ
ル形成能を有する誘導体たとえばアルキルエステル、ア
ルカリ金属塩、ハロゲン化物などがあげられ、また、炭
素数3〜12の2価以上の脂肪族カルボン酸、炭素数8
〜15の2価以上の脂環式カルボン酸およびこれらのエ
ステル形成性誘導体としては、コハク酸、アジピン酸、
セバチン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデ
カンジオン酸、マレイン酸、1,3−シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など
のカルボン酸または、そのエステル形成能を有する誘導
体などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種
以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中ではテレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸がポ
リエステル樹脂の成形加工性の点から好ましく用いられ
る。
【0014】前記2価以上のアルコールおよび(また
は)フェノール成分としては、炭素数2〜15の脂肪族
化合物、炭素数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜4
0の芳香族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を
有する化合物類およびこれらのエステル形成性誘導体な
どがあげられる。これらの具体例としては、炭素数2〜
15の脂肪族化合物であって分子内に2個以上の水酸基
を有する化合物類である、たとえばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオ
ール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリ
セリン、ペンタエリスリトールなど、炭素数6〜20の
脂環式化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有す
る化合物類である、シクロヘキサンジメタノール、シク
ロヘキサンジオール、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
シシクロヘキシル)プロパンなど、炭素数6〜40の芳
香族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する
化合物類である、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ハイドロキノンなどがあげられる。ま
た、これらのエステル形成性誘導体として、たとえばア
ルカリ金属塩アルコキシド、アルキルエステルなども用
いられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み
合わせて用いてもよい。これらの中ではエチレングリコ
ール、ブタンジオール、2,2′−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンがポリエステル樹脂の成形加工性
の点から好ましく用いられる。
【0015】またポリエステル系樹脂(A)には前記の
成分以外に本発明の熱可塑性樹脂組成物の燃焼時の溶融
滴下性防止効果などの特性を損わない範囲で、公知の共
重合可能な成分を共重合してもよい。前記共重合可能な
成分としては、p−オキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安
息香酸のようなオキシ酸およびこれらのエステル形成性
誘導体、たとえば両末端アルキルエステルなど、ε−カ
プロラクトンのような環状エステルなども共重合成分と
して使用することができる。
【0016】さらに、ポリエーテル化合物としてポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド・プ
ロピレンオキシド)ブロックおよび(または)ランダム
共重合体、ポリ(エチレンオキシド・テトラヒドロフラ
ン)ブロックおよび(または)ランダム共重合体、ポリ
(エチレンオキシド・プロピレンオキシド・テトラヒド
ロフラン)ブロックおよび(または)ランダム共重合
体、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体、
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加重合体、ビ
スフェノールAのテトラヒドロフラン付加重合体、ビス
フェノールAの(エチレンオキシド・プロピレンオキシ
ド)付加重合体、ビスフェノールSのエチレンオキシド
付加重合体、ビスフェノールSのプロピレンオキシド付
加重合体、ビスフェノールSのテトラヒドロフラン付加
重合体、ビスフェノールSの(エチレンオキシド・プロ
ピレンオキシド)付加重合体などのビスフェノール類の
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロ
フランなどのアルキレンオキシド付加重合体なども共重
合成分としてあげられる。また、ポリラクトンとして
は、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクト
ン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−
カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ヒバロラクト
ン、γ−バレロラクトン、エナントラクトン、カプリロ
ラクトンなどの環状ラクトン類の重合体が共重合成分と
してあげられる。
【0017】前記ポリエーテル化合物および(または)
ポリラクトンは単独で用いてもよく異種および(また
は)分子量の異なる2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0018】前記ポリエーテル化合物および(または)
ポリラクトンの共重合割合は50%以下、さらには45
%以下、とくには40%以下が好ましい。共重合割合が
50%をこえると、燃焼時の溶融滴下防止性が低下する
傾向がある。
【0019】ポリエステル系樹脂(A)の具体例として
は、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステ
ル、ポリエチレンアジペートなどの脂肪族ポリエステル
などがあげられ、さらには、これらの芳香族ポリエステ
ルと脂肪族あるいは脂環族ポリエステルとの共重合体で
あってもよい。これらは単独で用いてもよく2種以上を
組み合わせて用いてもよい。これらの中ではポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリブチレンナフタレートが機械的強
度と成形加工性のバランスの点から好ましく用いられ
る。
【0020】ポリエステル系樹脂(A)の、フェノール
/テトラクロロエタン=1/1(重量比)混合溶媒中、
25℃で測定したときの固有粘度(IV)は、好ましくは
0.30〜2.00dl/g、さらに好ましくは0.4
0〜1.80dl/g、とくに好ましくは0.50〜
1.60dl/gである。固有粘度が0.30dl/g
未満のばあい燃焼時の溶融滴下防止効果、成形体の機械
的強度などが不充分であるばあいが多く、2.00dl
/gをこえると成形加工性に問題のある傾向がある。
【0021】本発明では、ポリエステル系樹脂(A)の
燃焼時の溶融滴下を防止する目的で、タルク(B)とパ
ーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩および
(または)アルカリ土類金属塩(C)とを組み合わせて
用いる。なお、それぞれ単独で用いても効果はない。
【0022】本発明で用いられるタルク(B)はとくに
限定なく用いられる。
【0023】平均粒径としては0.01〜20μm、さ
らには0.05〜15μm、とくには0.1〜10μm
のものが燃焼時の溶融滴下防止効果の点から好ましい。
0.01μm未満のばあいには凝集により分散性不良に
なる傾向があり、20μmをこえるばあいには本発明の
組成物からえられる成型体の機械的強度が低下する傾向
にある。
【0024】タルク(B)は、シラン系カップリング
剤、チタネート系カップリング剤などの表面処理剤で処
理されていてもよい。前記シラン系カップリング剤とし
てはたとえばエポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニ
ル系シランなどがあげられ、チタネート系カップリング
剤としては、たとえばモノアルコキシ型、キレート型、
コーディネート型などのものがあげられる。これらの中
ではシラン系カップリング剤が分散性の点から好まし
い。
【0025】タルク(B)を表面処理剤で処理する方法
にはとくに限定はなく、通常の方法で実施しうる。たと
えばタルクに該表面処理剤を添加し、溶液中であるいは
加熱撹拌しながら撹拌あるいは混合することで行なえ
る。
【0026】タルク(B)は単独で用いてもよく2種以
上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせ
て用いるばあいの組み合わせ方はとくに限定されない。
たとえば、粒径あるいは表面処理の異なるものなどが限
定なく用いられる。これらの中では平均粒子径が0.1
〜10μmのタルクが本発明の組成物の溶融滴下防止性
の点から好ましい。
【0027】タルク(B)の含有量は、ポリエステル系
樹脂(A)100部に対して0.1〜50部であり、好
ましくは1〜45部、さらに好ましくは5〜35部であ
る。前記含有量が0.1部未満のばあいには燃焼時の溶
融滴下性防止効果が不充分であり、50部をこえると、
本発明の熱可塑性樹脂組成物をうる際の加工性が低下す
る。
【0028】本発明で用いられるパーフルオロアルカン
スルホン酸のアルカリ金属塩および(または)アルカリ
土類金属塩(C)のうちパーフルオロアルカンスルホン
酸の具体例としては、パーフルオロメタンスルホン酸、
パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパン
スルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフル
オロペンタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホ
ン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、パーフルオロ
オクタンスルホン酸などがあげられる。これらの中では
パーフルオロブタンスルホン酸が本発明の組成物の溶融
滴下防止性の点から好ましい。
【0029】前記アルカリ金属および(または)アルカ
リ土類金属としては、スルホン酸と塩を形成するもので
あればとくに制限はなく、アルカリ金属としてはリチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムな
ど、アルカリ土類金属としてはベリリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどがあげ
られる。これらの中では、リチウム、ナトリウム、カリ
ウムが本発明の樹脂組成物の溶融滴下防止性の点から好
ましい。
【0030】パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカ
リ金属塩および(または)アルカリ土類金属塩(C)と
しては、たとえば一般式(I): (Cn2n+1SO3mM (I) (nは1〜10の整数、Mはアルカリ(土類)金属、m
はMの原子価を表す)で示される化合物があげられ、好
ましくは一般式(I)でn=1〜8の化合物であり、そ
の中でもパーフルオロブタンスルホン酸のアルカリ金属
塩および(または)アルカリ土類金属塩がポリエステル
系樹脂(A)との相溶性および本発明の樹脂組成物の燃
焼時の溶融滴下防止性の点からとくに好ましく用いられ
る。
【0031】パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカ
リ金属塩および(または)アルカリ土類金属塩(C)の
具体例としては、たとえばパーフルオロブタンスルホン
酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウ
ム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、パーフ
ルオロブタンスルホン酸カルシウム、などがあげられ
る。これらの中では、パーフルオロブタンスルホン酸カ
リウムがポリエステル系樹脂(A)との相溶性および本
発明の樹脂組成物の燃焼時の溶融滴下防止性の点から好
ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合
わせて用いてもよい。2種以上組み合わせて用いるばあ
いの組み合わせ方にはとくに限定されない。たとえば、
パーフルオロアルカン単位が異なるもの、アルカリ(土
類)金属が異なるもの、分子量が異なるものなどを任意
に組み合わせて用いることができる。
【0032】パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカ
リ金属塩および(または)アルカリ土類金属塩の含有量
は、ポリエステル系樹脂100部に対して0.001〜
5部であり、好ましくは、0.005〜4部、さらに好
ましくは0.01〜3部である。0.001部未満のば
あいには燃焼時の溶融滴下防止性の効果が不充分であ
り、5部をこえても燃焼時の溶融滴下防止効果はほとん
どかわらないが、樹脂組成物を成形体としたときの表面
性がわるくなる傾向になるため好ましくない。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、難燃性
を付与する目的で各種難燃剤を用いることができる。難
燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレ
ン樹脂、臭素化ポリカーボネート樹脂、臭素化アクリル
樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などの臭素あるいは塩
素原子を含有したいわゆるハロゲン系難燃剤、リン酸リ
ン系難燃剤、チッ素系難燃剤、水酸化物、膨張性黒鉛、
ホウ酸亜鉛などの無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤な
どのいわゆるノンハロゲン系難燃剤があげられる。
【0034】好ましい難燃剤としては、溶融加工時に腐
食性のガスが発生しないなどの点からノンハロゲン系難
燃剤である。
【0035】本発明で用いられるノンハロゲン系難燃剤
とは、臭素および塩素原子を含有しない化合物あるいは
樹脂である。具体的には、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフ
ェートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスフィ
ンなどの亜リン酸エステル類、赤リン、熱硬化性樹脂、
水酸化物などで被覆処理された赤リン、リン酸メラミ
ン、リン酸アンモニウム、ホスファゼンなどのリン系難
燃剤、メラミン、メラミンシアヌレート、グアニジンな
どのチッ素系難燃剤、アルミナ水和物、水酸化マグネシ
ウムなどの水酸化物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛(水和
物)などのホウ素系難燃剤、膨張性黒鉛、硫酸メラミン
などのイオウ系難燃剤、ポリオルガノシロキサンなどの
シリコーン系難燃剤などがあげられる。
【0036】ノンハロゲン系難燃剤の含有量は、難燃剤
の種類によって大きく異なるが、概ね、ポリエステル系
樹脂(A)100部に対して、好ましくは0.1〜10
0部であり、さらに好ましくは、リン系難燃剤では0.
1〜50部、チッ素系難燃剤では0.5〜70部、水酸
化物、ホウ素系難燃剤などの無機化合物では1〜80
部、シリコーン系難燃剤では0.1〜50部である。前
記含有量が少なすぎるばあいには難燃性が不充分とな
り、多すぎるばあいには本発明の熱可塑性樹脂組成物の
機械的特性などが損なわれる傾向がある。
【0037】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに
タルク以外の強化充填剤を添加することで、さらに耐熱
性などの向上をはかることができる。強化充填剤の具体
例としては、たとえばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸
カリウム繊維などの繊維状充填剤、ガラスビーズ、ガラ
スフレーク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、スメ
クタイト、ケイ藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウムなどがあげられる。
【0038】前記強化充填剤の中ではタルク以外のケイ
酸塩化合物および(または)繊維状強化剤が好ましい。
【0039】前記タルク以外のケイ酸塩化合物として
は、化学組成にしてSiO2単位を含む粉体状、粒状、
針状、板状などの形状をもつ化合物であって、たとえば
ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カル
シウム、マイカ、ワラストナイト、カオリン、ケイ藻
土、スメクタイトなどがあげられ、天然であっても合成
されたものであってもよい。なかでもマイカ、カオリ
ン、スメクタイトが好ましく、さらに好ましくはマイカ
である。
【0040】前記ケイ酸塩化合物の平均径[顕微鏡写真
を画像処理することにより求められる円に換算したばあ
いの粒径]にはとくに制限はないが、好ましい平均径と
しては、0.01〜100μmであり、さらに好ましく
は、0.1〜50μm、とくに好ましくは0.3〜40
μmである。平均粒径が0.01μm未満では強度改善
効果が充分でなく、100μmをこえると靭性が低下す
る傾向がある。
【0041】さらに前記ケイ酸塩化合物はシラン系カッ
プリング剤、チタネート系カップリング剤などの表面処
理剤で処理されていてもよい。前記シラン系カップリン
グ剤としては、たとえばエポキシ系シラン、アミノ系シ
ラン、ビニル系シランなどがあげられ、チタネート系カ
ップリング剤としては、たとえばモノアルコキシ型、キ
レート型、コーディネート型などのものがあげられる。
【0042】前記ケイ酸塩化合物を表面処理剤で処理す
る方法にはとくに限定はなく、通常の方法で実施しう
る。たとえば層状ケイ酸塩に該表面処理剤を添加し、溶
液中であるいは加熱しながら撹拌あるいは混合すること
で行なえる。
【0043】前記繊維状強化剤としては、ガラス繊維、
カーボン繊維などがあげられる。繊維状強化剤を用いる
ばあい、作業性の面から、集束剤にて処理されたチョッ
プドストランドガラス繊維を用いるのが好ましい。ま
た、樹脂と繊維状強化剤との密着性を高めるため、繊維
状強化剤の表面をカップリング剤で処理したものが好ま
しく、バインダーを用いたものであってもよい。カップ
リング剤としては、前記と同様の化合物をあげることが
できる。
【0044】前記強化充填剤としてガラス繊維を用いる
ばあい、直径1〜20μm、長さ0.01〜50mm程
度が好ましい。繊維長が短すぎると強化の効果が充分で
なく、逆に長すぎると成形体の表面性や押出加工性、成
形加工性がわるくなるので好ましくない。
【0045】前記強化充填剤は単独で用いてもよく2種
以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わ
せて用いるばあいの組み合わせ方にはとくに制限はない
が、好ましい組み合わせとしてはマイカおよびガラス繊
維の組み合わせである。
【0046】強化充填剤の含有量は、ポリエステル系樹
脂(A)100部に対して、好ましくは0.5〜100
部であり、さらに好ましくは0.5〜80部である。た
だし、強化充填剤とタルク(B)の合計量がポリエステ
ル樹脂(A)100部に対して150部以下、さらには
120部以下であるのが加工性、機械的強度などの点か
ら好ましい。
【0047】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の特性
を損わない範囲で、さらにほかの任意の熱可塑性あるい
は熱硬化性の樹脂、たとえばポリオレフィン系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン
スルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポ
リアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ゴム状弾性
体などを単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0048】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物をより
高性能なものにするため、フェノール系酸化防止剤、チ
オエーテル系酸化防止剤などの酸化防止剤、リン系安定
剤などの熱安定剤などを単独でまたは2種類以上を組み
合わせて用いることが好ましい。さらに必要に応じて、
通常よく知られた安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、紫外
線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性
付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤などの添加剤を単独
でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】本発明でえられる熱可塑性樹脂組成物の成
形加工法はとくに限定されるものではなく、熱可塑性樹
脂について一般に用いられている成形法、たとえば射出
成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、
カレンダー成形などが適用できる。
【0050】このようにしてえられる本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、電気電子部品材料、自動車部品材料など
の用途に好ましく用いられる。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】なお、熱可塑性樹脂組成物の評価は下記の
方法で行なった。
【0053】評価方法 溶融滴下性および難燃性評価:えられた熱可塑性樹脂組
成物を120℃にて4時間以上乾燥させたのち、35t
射出成形機(日本製鋼(株)製JSW−35)にて3.
2mm厚さのバー(幅12mm、長さ127mm)を成
形し、以下の方法で評価した。バーを用いてUL94
垂直燃焼性試験(V規格)にしたがい燃焼試験を行な
い、溶融滴下性および難燃性を評価した。なお、難燃性
における「notV」は、UL94 垂直燃焼試験規格
外を表わす。また、溶融滴下性における「○」はUL9
4 垂直燃焼性試験(V規格)で「とくに溶融滴下な
し」を、「×」はUL94 垂直燃焼性試験(V規格)
で「とくに溶融滴下あり」を示す。
【0054】流動性:えられた熱可塑性樹脂組成物を1
20℃にて4時間以上乾燥させたのち、JIS K−7
210に準じ、設定温度275℃で予熱5分にてB法フ
ロー(10-2cc/sec)を測定し、流動性を評価し
た。B法フローが高いほど流動性は良好であることを表
わす。
【0055】また、用いた原材料を以下にまとめて示
す。
【0056】 PET :ポリエチレンテレフタレート(固有粘度 0.65) PBT :ポリブチレンテレフタレート(固有粘度 0.85) タルク :タルク(日本タルク(株)製 ミクロエースK−1、 平均粒子径 約2mm) PFBSK :パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(大日本インキ化学 工業(株)製 メガファックF114) PFBSNa :パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム PFOSK :パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム PFBSCa :パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム PTFE :ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリ フロンF−104) GF :ガラス繊維(日本電気硝子(株)製 T−195H) マイカ :マイカ(山口雲母(株)製 A−21S) 難燃剤1 :縮合リン酸エステル(旭電化工業(株)製 PFR) 難燃剤2 :安定化赤リン(燐化学工業(株)製ノーバエクセル140) 難燃剤3 :メラミンシアヌレート(日産化学工業(株) 製MC− 440)
【0057】実施例1 ポリエチレンテレフタレート(PET)100部、タル
ク30部、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(P
FBSK)0.3部をドライブレンドしたのち、同方向
2軸押出機((株)日本製鋼所製 TEX30)を用
い、シリンダー温度設定270℃で押出混練を行ない、
樹脂組成物をえた。えられた樹脂組成物を前記評価方法
にしたがって評価した。
【0058】結果を表1に示す。
【0059】実施例2〜14および比較例1〜7 表1、表2および表3に示した組成で行なったほかは、
実施例1と同様にして樹脂組成物をえ、評価した。
【0060】結果を表1、表2および表3に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】実施例1〜10と比較例1〜6とを比較す
ると本発明の熱可塑性樹脂組成物は、燃焼時の溶融滴下
が防止され、さらに、ポリテトラフルオロエチレンを用
いた比較例4〜5と比べ流動性にも優れることがわか
る。
【0065】さらに、実施例11〜14と実施例1およ
び比較例1、4〜8とを比較すると本発明の熱可塑性樹
脂組成物に難燃剤を用いることで、難燃性熱可塑性樹脂
組成物をうることができるとともにポリテトラフルオロ
エチレンを用いた比較例5および8と比べ流動性にも優
れることがわかる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、タルクおよびパーフル
オロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を含
有したポリエステル系樹脂を用いることにより、従来の
ようにフッ素化ポリオレフィン樹脂を用いなくとも、燃
焼時の溶融滴下が防止される燃焼性の熱可塑性樹脂組成
物を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリエステル系樹脂100重量
    部、(B)タルク0.1〜50重量部および(C)パー
    フルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩および
    (または)アルカリ土類金属塩0.001〜5重量部か
    らなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (C)パーフルオロアルカンスルホン酸
    のアルカリ金属塩および(または)アルカリ土類金属塩
    が、一般式: (Cn2n+1SO3mM (I) (nは1〜8の整数、Mはアルカリ金属および(また
    は)アルカリ土類金属、mはMの原子価)で示される化
    合物であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
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