JP4071927B2 - クラッチユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロック手段の楔係合力によるロック動作とロック解除動作とを通じてトルクの伝達・遮断を行なう機械式のクラッチユニットに関する。本発明のクラッチユニットは、入力側からの入力トルクは出力側に伝達する一方、出力側からの逆入力トルクはロックして入力側に還流させない機能を有し、例えば自動車の座席シート調整装置に用いることができる。
【0002】
【0003】
【従来技術】
機械式のクラッチとして、相対向する二部材間に、該部材同士を楔係合力によってロックするロック手段を設け、該ロック手段のロック・ロック解除動作を通じて上記二部材間でトルクの伝達・遮断を行なうクラッチが知られている。この種のクラッチには、大別して、ロック手段の楔係合部を上記二部材に固定的に設けたものと、ロック手段の楔係合部に独立した部材である係合子を用いるものとがある。後者のクラッチでは、上記二部材間に楔隙間を形成し、この楔隙間に対して係合子を楔係合・離脱させることによって、両部材間のロック・ロック解除(空転)を切換える構成にしている。係合子としては、円形断面のローラ又はボール、非円形断面のスプラグ等が使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種のクラッチでは、ロック手段の楔係合力が大きいと、ロック状態を解除するために大きな操作力が必要になったり、また、ロック状態からロック解除状態に移行する際の摩擦抵抗力に起因して振動や振動音が発生する場合がある。
【0005】
本発明は、この種のクラッチやクラッチユニットにおいて、ロック手段のロック状態からロック解除状態への移行動作を円滑にして、操作力の低減化を図ると共に、振動や振動音の発生を抑制することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、前記入力側部材と前記出力側部材との間のトルク伝達経路に介在する制御部材と、回転が拘束される静止側部材と、前記入力側部材と前記制御部材との間に設けられた第1クラッチ部と、前記静止側部材と前記出力側部材との間に設けられた第2クラッチ部とを備え、前記第1クラッチ部は、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記入力側部材と前記制御部材とをロックする第1のロック手段と、前記入力側部材が解放されたときに前記入力側部材を入力トルクが入力される前の中立位置に復帰させる復帰手段とを備え、前記第1のロック手段は、前記入力側部材に設けられたカム面と、前記制御部材に設けられた円周面と、前記カム面と前記円周面との間に介在する係合子とを備え、前記カム面は前記円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成し、前記復帰手段は、前記係合子を保持する保持器と、前記保持器を前記静止側部材に回転方向に連結する弾性部材とを有し、前記第2クラッチ部は、前記出力側部材からの逆入力トルクに対して前記出力側部材と前記静止側部材とを楔係合力によってロックする第2のロック手段と、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記第2のロック手段によるロック状態を解除するロック解除手段と、前記第2のロック手段によるロック状態が解除された状態のときに前記制御部材と前記出力側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝達手段とを備え、少なくとも前記第2クラッチ部の前記第2のロック手段を含む内部に潤滑グリースが封入され、かつ、該潤滑グリースの基油の25°Cにおける粘度が750cSt以上である構成を提供する。このクラッチユニットは、前記入力側部材からの入力トルクは前記第1クラッチ部および前記制御部材を介して前記出力側部材に伝達し、前記出力側部材からの逆入力トルクは前記第2クラッチ部を介して前記静止側部材との間でロックする機能を有する。この構成によれば、入力側部材からの入力トルクによって出力側部材の回転方向の位置を調整することができ、また、出力側部材からの逆入力トルクは第2クラッチ部でロックするので、調整後の出力側部材の位置を保持することができる。また、入力側部材と制御部材との間に復帰手段を備えた第1クラッチ部を設けているので、出力側部材の位置調整後に、入力側部材を中立位置(入力トルクが入力される前の位置)に復帰させることができ、その場合でも復帰時の動作が円滑でラチェット機構のような騒音発生の問題も生じない。また、潤滑グリースの基油の25°Cにおける粘度を750cSt以上としているため、ロック手段の移行動作が円滑化され、操作力が低減すると同時に、移行動作時の振動や振動音の発生が抑制される。
【0007】
ここで、粘度750cStは25°Cにおける値である(本明細書において基油粘度は全て25°C時の値で示す。)。一般に、この種のクラッチに使用されている潤滑グリースの基油粘度は100cSt程度あるが、基油粘度を750cSt以上と大きくすることにより、潤滑グリースの油膜形成力が高められ、ロック手段の周辺に油膜強度および油膜厚さの大きい潤滑油膜が形成される。そのため、ロック手段がロック状態からロック解除状態へ移行する際の滑りに対する摩擦抵抗力が低減する。また、油膜強度および油膜厚さが大きくなることにより、振動衝撃の緩和効果も大である。その結果、ロック手段の移行動作が円滑化され、操作力が低減すると同時に、移行動作時の振動や振動音の発生が抑制される。
【0008】
上記潤滑グリースには、固体潤滑剤や極圧添加剤を添加することができる。これにより、上記摩擦抵抗力を一層低減して、上記効果を高めることができる。固体潤滑剤としてはPTFE、グラファイト、極圧添加剤としては二硫化モリブデン、有機モリブデンを例示することができる。
【0009】
前記ロック手段は前記2つの部材と楔係合する係合子を有するものとすることができ、その場合、係合子は前記2つの部材と軸方向に線接触する形状を有するものとすることができる。係合子には、円形断面のローラ又はボールと、非円形断面のスプラグ等があり、その中で、ローラおよびスプラグ等が「軸方向に線接触する形状を有する」係合子に該当する。
【0010】
係合子としてローラを用いる場合、その転動面にクラウニングを施こすことができる。これにより、ローラの転動面との接触部分におけるエッジロードが抑制され、潤滑グリースによる油膜形成が促進される。ここで、「クラウニング」とは、ローラの転動面に僅かな曲率を設けることをいう。転動面の両端部領域に曲率を設けた構成のほか、転動面の全領域を1つの曲率で描いた所謂フルクラウングも含まれる。また、クラウニング領域を直線(傾斜線)で描いた所謂カットクラウニングも含まれる。転動面の両端部領域にクラウニングを設ける場合、クラウニング量(クラウニング領域の軸方向長さや半径方向ドロップ量)を左右異ならせることもできる。また、転動面にフルクラウニングを設ける場合、クラウニングの曲率中心をローラの軸方向中心位置に対して軸方向にオフセットさせることもできる。上記の効果が得られるほか、ローラの転動面の接触面圧が左右不均一になるので、ロック状態からロック解除状態への移行時に、ローラにスキューを生じさせることができる。したがって、これらの構成は下記の「スキュー発生手段」にもなる。
【0011】
また、本発明は、上記目的を達成するため、トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、前記入力側部材と前記出力側部材との間のトルク伝達経路に介在する制御部材と、回転が拘束される静止側部材と、前記入力側部材と前記制御部材との間に設けられた第1クラッチ部と、前記静止側部材と前記出力側部材との間に設けられた第2クラッチ部とを備え、前記第1クラッチ部は、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記入力側部材と前記制御部材とをロックする第1のロック手段と、前記入力側部材が解放されたときに前記入力側部材を入力トルクが入力される前の中立位置に復帰させる復帰手段とを備え、前記第1のロック手段は、前記入力側部材に設けられたカム面と、前記制御部材に設けられた円周面と、前記カム面と前記円周面との間に介在する係合子とを備え、前記カム面は前記円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成し、前記復帰手段は、前記係合子を保持する保持器と、前記保持器を前記静止側部材に回転方向に連結する弾性部材とを有し、前記第2クラッチ部は、前記出力側部材からの逆入力トルクに対して前記出力側部材と前記静止側部材とを楔係合力によってロックする第2のロック手段と、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記第2のロック手段によるロック状態を解除するロック解除手段と、前記第2のロック手段によるロック状態が解除された状態のときに前記制御部材と前記出力側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝達手段とを備え、前記第2のロック手段は前記出力側部材および前記静止側部材と楔係合する係合子を有し、該係合子は前記出力側部材および前記静止側部材と軸方向に線接触する形状を有し、前記第2のロック手段によるロック状態が解除されるときに、前記係合子にスキューを生じさせるスキュー発生手段を設けた構成を提供する。このクラッチユニットは、前記入力側部材からの入力トルクは前記第1クラッチ部および前記制御部材を介して前記出力側部材に伝達し、前記出力側部材からの逆入力トルクは前記第2クラッチ部を介して前記静止側部材との間でロックする機能を有する。この構成によれば、入力側部材からの入力トルクによって出力側部材の回転方向の位置を調整することができ、また、出力側部材からの逆入力トルクは第2クラッチ部でロックするので、調整後の出力側部材の位置を保持することができる。また、入力側部材と制御部材との間に復帰手段を備えた第1クラッチ部を設けているので、出力側部材の位置調整後に、入力側部材を中立位置(入力トルクが入力される前の位置)に復帰させることができ、その場合でも復帰時の動作が円滑でラチェット機構のような騒音発生の問題も生じない。また、スキュー発生手段を設けているので、ロック状態からロック解除状態への移行時、係合子にスキューを生じさせることにより、係合子の楔係合部分(線接触部分)が軸方向の一端部から他端部にかけて漸次に外れてゆくので、移行動作時の摩擦抵抗が低減する。そのため、ロック手段の移行動作が円滑化され、操作力が低減すると同時に、移行動作時の振動や振動音の発生が抑制される。
【0012】
ここで、「スキュー」とは、ローラ等の係合子の軸線がクラッチの軸線に対して傾く現象をいう。ロック状態からロック解除状態への移行時、係合子にスキューを生じさせることにより、係合子の楔係合部分(線接触部分)が軸方向の一端部から他端部にかけて漸次に外れてゆくので、移行動作時の摩擦抵抗が低減する。そのため、ロック手段の移行動作が円滑化され、操作力が低減すると同時に、移行動作時の振動や振動音の発生が抑制される。
【0013】
前記係合子に係合し、これを押圧して前記ロック状態を解除する係合要素をさらに備えた構成においては、前記係合要素の係合面に段差部を設けることによってスキュー発生手段を構成することができる。係合要素の係合面が係合子を押圧する際、段差部以外の領域が先に係合子の一部と接触してこれを押圧するので、係合要素の押圧力が係合子の軸方向中心位置に対して左右不均一となり、係合子にスキューが生じる。同様に、前記係合要素の係合面に軸方向の傾斜を設けることによっても、スキュー発生手段を構成することができる。「軸方向の傾斜」を設けた係合面には、直線状のもの、曲線状のものが含まれる。
【0014】
また、前記係合子と前記2つの部材との接触部のうち、少なくとも一方の接触部について、前記係合子の軸方向中心位置を基準とする左右領域間で、接触長さを相異ならせることによって、スキュー発生手段を構成することができる。これは、例えば、前記係合子と接触する前記2つの部材の接触面のうち、少なくとも一方の接触面に段差部を設けることによって実現することができる。この段差部を設けた領域では、係合子は上記係合面と接触しないか、あるいは、段差部の高さが微小である場合は、段差部以外の領域に比べて低い面圧で接触する。そのため、係合子に作用する摩擦抵抗力が軸方向中心位置に対して左右不均一となり、係合子にスキューが生じる。
【0015】
スキュー発生手段として、上記構成のほか、ローラの転動面やこれと接触する接触面の表面性状を、ローラの軸方向中心位置に対して左右異ならせた構成とすることもできる。具体的には、上記接触面の表面粗さを部分的に変える{例えば、部分的にディンプル処理(ショットピーニング等)を行なう。)、上記接触に部分的に摩擦低減処理(例えば、りん酸塩被膜処理等、摩擦低減のための被膜処理を行なう。)を行なうことができる。
【0016】
この発明において、係合子としてローラを用いることができ、また、前記ロック手段を含む内部に潤滑グリースを封入し、かつ、該潤滑グリースの基油の粘度を750cSt以上とすることができる。この潤滑グリースには、固体潤滑剤や極圧添加剤を添加することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態に係るクラッチユニットの全体構成を示している。この実施形態のクラッチユニットは、入力側部材としての外輪1と、出力側部材としての出力軸2と、制御部材としての内輪3と、静止側部材としての外輪4と、外輪1と内輪3との間に設けられた第1クラッチ部5と、外輪4と出力軸2との間に設けられた第2クラッチ部6とを主要な要素として構成される。
【0037】
図2は、入力側部材としての外輪1を示している。外輪1の外周には、外径側に突出した複数(例えば3つ)のリブ1aと、複数(例えば4つ)のリブ1bと、複数(例えば2つ)のリブ1eと、1つ又は複数のリブ1fが円周方向に所定間隔で形成される。リブ1aの軸方向一端側部分は外輪1の一端から軸方向に突出して、突出部1a2を形成する。また、3つのリブ1aのうち何れか1つ、例えば同図で上側に位置するリブ1aの外周に、このクラッチユニットを相手側部材に取付ける際の方向識別に用いる識別マーク1a1が設けられている。この実施形態において、識別マーク1a1は軸方向溝の形態をなしている。これらリブ1a、1b、1eおよび1fは、外輪1の外周に装着される操作レバー(13:図8、図9参照)と回転方向に係合して、操作レバー(13)の外輪1に対する相対回転を防止する。
【0038】
リブ1bには、軸方向のねじ孔1b1が形成される。操作レバー(13)の外輪1に対する軸方向相対移動は、リブ1bのねじ穴1b1に操作レバー(13)をねじ結合することによって防止される。図9に示すように、この実施形態では、右ハンドル車や左ハンドル車、車体や座席シートの設計等に応じて、クラッチユニットおよび操作レバー(13)を座席シートの左右いずれの側にも配置可能とするため、外輪1を同図におけるY軸に対して左右対称形状にして、操作レバー(13)を左右いずれの向きにも装着できるようにしている。この場合、操作レバー(13)の操作トルクは主に180°対向した位置にある2つのリブ1bのねじ結合部分に作用するので、これらの2つのリブ1bにのみねじ穴1b1を形成し、残りの2つのリブ1bにはねじ穴1b1を加工する際の下穴(貫通穴)をそのまま残しておいても良い。これにより、ねじ穴加工の加工コストを低減することができる。例えば、操作レバー(13)を同図で右向きに装着する場合(実線)は、同図でY軸に対して右方向に傾斜した傾斜線上に位置する2つのリブ1bにねじ穴1b1を形成し、左方向に傾斜した傾斜線上に位置する2つのリブ1bは下穴1b1’にする。操作レバー(13)を同図で右向きに装着する場合(2点鎖線)は、上記とは逆にする。勿論、4つのリブ1bに全てねじ穴1b1を形成しても良い。
【0039】
突出部1a2の内周には、後述する第1クラッチ部(5)のセンタリングバネ(12:図11参照)が収容される。また、突出部1a2が後述する外輪(4:図5参照)のストッパ部(4a1)と回転方向に係合することによって、外輪1の回動範囲が規制される。
【0040】
外輪1の他端部内周には、内径側に延びた鍔部1cが形成される。この鍔部1cは、後述する第1クラッチ部(5)の保持器(11:図1、図10参照)を軸方向の一方に抜け止め規制すると共に、外輪1の内輪3に対する同軸性を保持する役割を持つ。また、外輪1の内周には、複数(例えば10個)のカム面1dが円周方向に等間隔で形成される。各カム面1dは、円周方向中央部が深く、そこから円周方向両側に向かって傾斜状に浅くなっている。
【0041】
外輪1は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、外輪1を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、少なくともカム面1dにおける表層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。ここで、HRCはロックウェル硬さのCスケールを表している。尚、外輪1は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0042】
図3は、出力側部材としての出力軸2を示している。出力軸2は、一端側にジャーナル部2a、中央側に大径部2b、他端側に連結部2cを備えている。ジャーナル部2aは、後述する内輪(3:図4参照)のラジアル軸受面(3a1)に挿入される。大径部2bの外周には、複数(例えば8つ)のカム面2b1が円周方向に等間隔で形成される。各カム面2b1は、出力軸2の軸心を中心とする円に対して弦をなす平坦面状に形成される。また、大径部2bの一端側部分には軸方向の複数(例えば8つ)のピン孔2b3が円周所定間隔に形成される。これらピン孔2b3には後述する内輪(3:図4参照)のピン(3b1)が挿入される。また、大径部2bの他端側部分には環状凹部2b4が形成される。この環状凹部2b4には後述する摩擦部材(9:図7参照)が装着され、また、環状凹部2b4の内周壁2b5は、後述する固定側板(7:図6参照)のラジアル軸受面(7e2)に挿入されるジャーナル面になる。連結部2cには、他の回動部材を連結するための歯型2c1が形成される。
【0043】
出力軸2は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、出力軸2を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。尚、出力軸2は、鋼材の削出し品とすることもできる。
【0044】
図4は、制御部材としての内輪3を示している。内輪3は、筒状部3aと、筒状部3aの一端から外径側に延びたフランジ部3bと、フランジ部3bの外径端から軸方向の一方に延びた複数(例えば8本)の柱部3cとを主体として構成される。筒状部3aは、出力軸2のジャーナル部2aに外挿され、かつ、外輪1の内部に内挿される。筒状部3aの他端側部分の内周には、出力軸2のジャーナル部2aをラジアル方向に支持するラジアル軸受面3a1が形成され、筒状部3aの他端側部分の外周には、外輪1のカム面1dとの間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する円周面3a2が形成される。フランジ部3bには、軸方向の一方に突出した複数(例えば8つ)のピン3b1が円周方向に所定間隔で形成される。これらピン3b1は、出力軸2のピン孔2b3にそれぞれ挿入される。また、円周方向に隣接した柱部3c間には、軸方向の一方に向かって開口したポケット3c1が形成され、これらポケット3c1に後述する第2クラッチ部(6:図15参照)のローラ(20)と板ばね(21)が収容される。ローラ(20)と板ばね(21)を、ポケット3c1の軸方向の開口部から該ポケット3c1内に組み入れることができるので、組立作業が容易である。
【0045】
内輪3は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、内輪3を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。尚、内輪3は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0046】
図5は、静止側部材としての外輪4を示している。外輪4は、半径方向に延びたフランジ部4aと、フランジ部4aの外径端から軸方向の一方に延びた筒状部4cと、筒状部4cの一端から外径側に突出した鍔部4dとを主体として構成される。フランジ部4aには、軸方向の他方に突出した複数(例えば3つ)のストッパ部4a1が円周方向に所定間隔で配列形成される。これらストッパ部4a1は、外輪1の突出部1a2と回転方向に係合して、外輪1の回動範囲を規制する。また、フランジ部4aには、軸方向の他方に突出した一対の係止部4a2と、複数(例えば2つ)の装着部4a3とが形成される。一対の係止部4a2の円周方向外側面には、後述する第1クラッチ部(5)のセンタリングバネ(12:図11参照)の係合部(12a1、12a2)がそれぞれ係止される。また、装着部4a3の外周には、センタリングバネ(12)の巻き部(12a)が装着される。
【0047】
筒状部4cの内周には、出力軸2のカム面2b1との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する円周面4c1が形成される。鍔部4dには、複数(例えば6つ)の切欠き部4d1が円周方向に所定間隔で形成される。切欠き部4d1は、後述する固定側板(7)の加締部(7c:図6参照)と適合する。
【0048】
外輪4は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、外輪4を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。尚、外輪4は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0049】
図6は、外輪4に固定される固定側板7を示している。固定側板7は、半径方向に延びたフランジ部7aと、フランジ部7aの外径端から外径側に突出した複数(例えば4つ)のブラケット部7bと、フランジ部7aの外径端から軸方向の一方に突出した複数(例えば6つ)の加締部7cと、フランジ部7aから軸方向の一方に突出した複数(例えば4つ)の係止部7a1と、フランジ部7aの内径端から軸方向の一方に突出したボス部7eとを主体として構成される。4つのブラケット部7bは円周方向に所定間隔で形成され、それぞれに中空ピン状の加締部7b1が一体(又は別体)に形成される。6つの加締部7cは円周方向に所定間隔で形成され、それぞれ、二股状に分岐した一対の爪部7c1を備えている。この加締部7cを外輪4の切欠き部4d1に装着し、一対の爪部7c1を円周方向の相反する方向に加締めて鍔部4dに当接させることにより、外輪4の固定側板7に対する軸方向相対移動および回転方向相対移動を防止することができる。加締部7b1は、相手側部材の取付け穴に加締固定される。
【0050】
ボス部7eの内周には、ラジアル軸受面7e2が形成される。ボス部7eは出力軸2の環状凹部2b4に挿入され、ボス部7eの外周と環状凹部2b4の外周壁との間に後述する摩擦部材(9:図7参照)が装着される。係止部7a1は摩擦部材(9)の凹部(9a)と回転方向に係合して、摩擦部材(9)の固定側板7に対する相対回転を防止する。ボス部7eのラジアル軸受面7e2は、環状凹部2b4のジャーナル面2b5に外挿され、ジャーナル面2b5をラジアル方向に支持する。
【0051】
固定側板7は、例えば、冷間圧延鋼鈑等の鋼鈑材からプレス加工によって成形される。この実施形態では、固定側板7を形成する鋼板材として冷間圧延鋼鈑(例えばSPCE)を使用している。また、加締部7c及び7b1を加締加工する際の加工性等に配慮して、熱処理は施していない。尚、加締部7c及び7b1等の加締加工を行う部位に防炭処理(又は防炭防窒処理)を施して、浸炭焼入れ焼戻し(又は浸炭窒化焼入れ焼戻し)を行っても良い。
【0052】
図7は、制動手段としての摩擦部材9を示している。この実施形態において、摩擦部材9はリング状のもので、その一方の端面には複数(例えば4つ)の凹部9aが円周方向に所定間隔で形成される。凹部9aは、固定側板7の係止部7a1と回転方向に係合して、摩擦部材9の固定側板7に対する相対回転を防止する。
【0053】
摩擦部材9は、ゴムや合成樹脂等の弾性材料で形成され、例えば出力軸2の環状凹部2b4の外周壁に締代をもって圧入される。摩擦部材9の外周と環状凹部2b4の外周壁との間に生じる摩擦力によって、出力軸2に回転方向の制動力(摩擦制動力)が与えられる。この制動力(制動トルク)の大きさは、出力軸2に入力される逆入力トルクの大きさを勘案して適宜設定すれば良いが、逆入力トルクの還流現象を効果的に防止する観点から、想定される逆入力トルクと同程度の大きさに設定するのが好ましい。シート高さ調整装置の場合では、着座シートに着座者が着座した状態で出力軸2に作用する逆入力トルクと同程度の大きさに設定するのが良い。この実施形態のように、制動手段として摩擦部材9を用いると、制動力を摩擦部材9の締代調整によって設定し、また変更できるという利点がある。
【0054】
摩擦部材9の材質は特に問わないが、この実施形態では、摩擦部材9を合成樹脂材料、例えばポリアセタール(POM)にグラスファイバーを30重量%配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
【0055】
図8(図1のB−B断面)は、第1クラッチ部5を示している。第1クラッチ部5は、外輪1に設けられた複数(例えば10個)のカム面1dと、内輪3に設けられた円周面3a2と、カム面1dと円周面3a2との間に介在する係合子としての複数(例えば9個)のローラ10と、ローラ10を保持する保持器11と、保持器11を外輪(4)に回転方向に連結する弾性部材、例えばセンタリングバネ(12:図11参照)とを主要な要素として構成される。カム面1d、円周面3a2、及びローラ10によってロック手段が構成され、保持器11およびセンタリングバネ(12)によって復帰手段が構成される。この実施形態において、カム面1dは円周面3a2との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する。また、外輪1には操作レバー13が結合され、操作レバー13から外輪1に正方向又は逆方向の入力トルクが入力される。また、外輪1の内周と内輪3(筒状部3a)の外周との間の空間部、特にカム面1dと円周面3a2との間に潤滑グリースが封入されている。
【0056】
図10は、保持器11を示している。保持器11は、ローラ10を収容する複数(例えば10個)の窓形のポケット11aと、一方の端面から軸方向の一方に突出した係止部11bを備えている。係止部11bは例えば円弧状に形成され、外輪4の係止部4a2の内周側に挿入される。また、係止部11bの円周方向両側面11b1、11b2には、センタリングバネ(12:図11参照)の係合部(12a1、12a2)がそれぞれ係止される。
【0057】
保持器11の材質は特に問わないが、この実施形態では、保持器11を合成樹脂材料、例えばポリアミド66(PA66)にグラスファイバーを30重量%配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
【0058】
尚、この実施形態では、係止部11bの円周方向側面11b1および11b2のうち一方と近接するポケット11a’の軸方向寸法を他のポケット11aよりも小さくしている。このポケット11a’には、ローラ10は収容されていない。ただし、この形態に限定されるものではなく、ポケットを全て同じポケット11aにして、計10個のローラ10を収容しても良い。
【0059】
図11は、センタリングバネ12を示している。センタリングバネ12は、複数の巻き部12aと、内径側に屈曲した両端の係合部12a1、12a2を備えている。係合部12a1、12a2は、円周方向に所定間隔で相対向する。センタリングバネ12は例えば角形線材で形成され、この実施形態では、線材としてピアノ線材(SWPB)を使用している。角形線材を用いることにより、同一の内外径に対して、大きなバネ力を得ることができる。また、各巻き部12aの相互間に隙間を設けることにより、巻き部12a同士の接触による摩擦損失を回避してバネ力の増大を図っている。
【0060】
図11(b)に示す自然状態において、センタリングバネ12の各巻き部12aの巻き中心は、同図における横軸方向に互いにオフセットされている。同図に示す例では、各巻き部12aの巻き中心が奥部側(係合部12a2の側)から手前側(係合部12a1の側)にかけて、漸次、横軸左方向にオフセットされている。
【0061】
図11(c)に示すように、センタリングバネ12は、係合部12a1、12a2間の間隔を自然状態から円周方向に押し広げて(この時、センタリングバネ12は若干拡径する。)、外輪4の係止部4a2および保持器11の係止部11bに係止する。これにより、保持器11がセンタリングバネ12を介して外輪4に回転方向に連結される。上記のオフセットを設けているため、係合部12a1、12a2を外輪4の係止部4a2および保持器11の係止部11bに係止した状態で、すなわち、センタリングバネ12を所定量拡径させた状態で、各巻き部12aの巻き中心が一致して、全ての巻き部12aが略同心円状になる。
【0062】
例えば、保持器11が図11(e)で外輪4に対して時計方向に相対回転すると、センタリングバネ12の時計方向(回転方向前方)の係合部12a1が保持器11の係止部11bに押されて時計方向に弾性変位する{反時計方向(回転方向後方)の係合部12a2は外輪4の係止部4a2に係止される。}。これにより、センタリングバネ12は一対の係合部12a1、12a2間の間隔が押し広げられる方向(拡径する方向)に撓み、その撓み量に応じた弾性力が蓄積される。尚、上記のオフセットを設けているため、センタリングバネ12が同図に示す状態に拡径した場合でも、外輪1の突出部1a2との干渉は起こらない。また、保持器11が同図で反時計方向に相対回転した場合も、上記とは逆の動作によってセンタリングバネ12に弾性力が蓄積される。
【0063】
次に、図12〜図14を参照しながら、第1クラッチ部5の作用について説明する。尚、図12〜図14において、センタリングバネ12および外輪4は模式化され、概念的に示されている。また、操作レバー13も記載が省略されている。
【0064】
図12は、第1クラッチ部5の中立位置を示している(図8に示す状態)。中立位置において、ローラ10はカム面1dの中央部に位置し、カム面1dと円周面3a2との間に形成される正逆両回転方向の楔隙間からそれぞれ離脱する。ローラ10の直径は、カム面1dの中央部と円周面3a2との間の半径方向距離よりも若干小さく設定されており、ローラ10とカム面1dの中央部および円周面3a2との間には半径方向隙間がある。尚、後述するように、出力軸2から入力される逆入力トルクは第2クラッチ部6で正逆両回転方向にロックされる。従って、内輪3は、操作レバー13(外輪1)から入力される入力トルクに対してのみ回動動作を行い、出力軸2から逆入力トルクが入力されても回動せず、その位置を保持する。
【0065】
図13は、操作レバー13を揺動操作して、外輪1に入力トルクを入力した時の状態を示している。例えば、同図において、外輪1に反時計方向の入力トルクが入力されると、外輪1の回動に伴い、カム面1dがローラ10に対して反時計方向に相対移動して、ローラ10がその方向の楔隙間に楔係合する。これにより、外輪1からの入力トルクがローラ10を介して内輪3に伝達され、外輪1、ローラ10、保持器11、および内輪3が一体となって反時計方向に回動する。そして、保持器11の回動に伴ってセンタリングバネ12が撓み、その撓み量に応じた弾性力fが蓄積される。尚、外輪1の回動量の最大範囲は、外輪1の突出部1a2と外輪4のストッパ部4a1との係合によって規制される。
【0066】
図14は、図13に示す状態から操作レバー13(外輪1)を開放した時の状態を示している。センタリングバネ12に蓄積された弾性力fによって、保持器11に時計方向の回動力が働き、ローラ10が保持器11に押されてカム面1dを押圧する。そうすると、外輪1が開放されているので、ローラ10、保持器11、および外輪1が内輪3に対して時計方向に空転して、図12に示す中立位置に復帰する。その際、内輪3は、図13の回動操作によって与えられた回動位置をそのまま維持する。従って、図13の回動操作を繰り返し行った場合では、内輪3に各回動操作ごとの回動量が重畳的に蓄積される。尚、図12において、外輪1に時計方向の入力トルクが入力された場合は、上記とは逆の動作を行う。
【0067】
図15(図1のA−A断面)は、第2クラッチ部6を示している。第2クラッチ部6は、外輪4に設けられた円周面4c1と、出力軸2に設けられた複数(例えば8つ)のカム面2b1と、各カム面2b1と円周面4c1との間に介在する係合子としての一対(例えば総数8対)のローラ20と、一対のローラ20間に介在する弾性部材、例えば断面N字形の板バネ21と、内輪3の柱部3cと、内輪3のピン3b1および出力軸2のピン孔2b3とを主要な要素として構成される。カム面2b1、円周面4c1、一対のローラ20、および板ばね21によってロック手段が構成され、一対のローラ20の円周方向両側に位置する内輪3の柱部3cによってロック解除手段が構成され、内輪3のピン3b1および出力軸2のピン孔2b3によってトルク伝達手段が構成される。尚、この実施形態において、板バネ21はステンレス鋼(例えばSUS301CPS−H)で形成し、熱処理としてテンパー処理を施している。また、外輪4の内周と出力軸2(大径部2b)の外周との間の空間部、特にカム面2b1と円周面4c1との間に後述する潤滑グリースが封入されている。
【0068】
図16に拡大して示すように、中立位置において、一対のローラ20は板ばね21によって、それぞれ、カム面2b1と円周面4c1との間に形成される正逆両回転方向の楔隙間の方向に押圧される。この時、内輪3の各柱部3cと各ローラ20との間にはそれぞれ回転方向隙間δ1が存在する。また、内輪3のピン3b1と出力軸2のピン孔2b3との間には正逆両回転方向にそれぞれ回転方向隙間δ2が存在する。回転方向隙間δ1と回転方向隙間δ2とは、δ1<δ2の関係を有する。回転方向隙間δ1の大きさは、例えば0〜0.4mm(第2クラッチ部6の軸心を中心として0〜1.5°)程度、回転方向隙間δ2の大きさは、例えば0.4〜0.8mm(第2クラッチ部6の軸心を中心として1.8〜3.7°)程度である。
【0069】
同図に示す状態で、例えば、出力軸2に時計方向の逆入力トルクが入力されると、反時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間と楔係合して、出力軸2が外輪4に対して時計方向にロックされる。出力軸2に反時計方向の逆入力トルクが入力されると、時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間と楔係合して、出力軸2が外輪4に対して反時計方向にロックされる。従って、出力軸2からの逆入力トルクは、第2クラッチ部6によって正逆両回転方向にロックされる。
【0070】
図17は、外輪1からの入力トルク(同図で時計方向)が第1クラッチ部5を介して内輪3に入力され、内輪3が同図で時計方向に回動を始めた初期状態を示している。回転方向隙間がδ1<δ2に設定されているため、先ず、内輪3の反時計方向(回転方向後方)の柱部3cがその方向(回転方向後方)のローラ20と係合して、これを板ばね21の弾性力に抗して時計方向(回転方向前方)に押圧する。これにより、反時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間から離脱して、出力軸2のロック状態が解除される。従って、出力軸2は時計方向に回動可能となる。
【0071】
内輪3がさらに時計方向に回動すると、図18に示すように、内輪3のピン3b1が出力軸2のピン孔2b3と時計方向に係合する。これにより、内輪3からの時計方向の入力トルクがピン3b1およびピン孔2b3を介して出力軸2に伝達され、出力軸2が時計方向に回動する。外輪1に反時計方向の入力トルクが入力された場合は、上記とは逆の動作で出力軸2が反時計方向に回動する。従って、外輪1からの正逆両回転方向の入力トルクは、第1クラッチ部5、内輪3、およびトルク伝達手段としてのピン3b1およびピン孔2b3を介して出力軸2に伝達され、出力軸2が正逆両回転方向に回動する。尚、内輪3からの入力トルクがなくなると、板ばね21の弾性復元力によって図16に示す中立位置に復帰する。
【0072】
上述した外輪1、出力軸2、内輪3、外輪4、第1クラッチ部5、第2クラッチ部6、固定側板7および摩擦部材9を図1に示す態様でアッセンブリすると、この実施形態のクラッチユニットが完成する。外輪1には例えば樹脂製の操作レバー(13)が結合され、出力軸2は図示されていない出力側機構の回動部材に連結される。また、固定側板7は図示されていないケーシング等の固定部材に加締部7b1で加締固定される。尚、外輪1は、鍔部1cの外側に装着されたワッシャ(又はナット)18と外輪4のフランジ部4aとの間で所定の隙間をもって軸方向の両側に抜け止め規制される。
【0073】
第1クラッチ部5において、センタリングバネ12は外輪1の突出部1a2の内周に収容され、外輪1の一方の端面と外輪4のフランジ部4aとの間で軸方向の両側に抜け止め規制される。また、保持器11およびローラ10は、外輪1の鍔部1cと外輪4のフランジ部4aとの間で軸方向の両側に抜け止め規制される。第1クラッチ部5の保持器11、ローラ10、およびセンタリングバネ12が外輪1の内部に収容されており、入力側部分に突出した部分がない。また、保持器11が内輪3の円周面3a2に外挿され、保持器11の回動が内輪3の円周面3a2によって案内されるので、回動時の保持器11の傾きがなく、円滑なクラッチ動作が可能である。
【0074】
第2クラッチ部6は、外輪4と固定側板7とで囲まれた空間部に径方向および軸方向にコンパクトに収められている。また、ロック解除手段としての柱部3cと、トルク伝達手段としてのピン3b1が内輪3に一体に設けられているので、部品点数が少なく、構造も簡単である。また、柱部3c間のポケット3c1が軸方向の一方(側板7側)に開口した形状であるため、出力軸2、内輪3、外輪4等をアッセンブリした後、ローラ20と板ばね21を、ポケット3c1の軸方向の開口部から該ポケット3c1内に組み入れることができ、組立作業が容易である。
【0075】
さらに、出力軸2を内輪3のラジアル軸受面3a1と固定側板7のラジアル軸受面7e2によって両持ち的に支持する構造であるため、出力軸2の回動動作が安定し、しかも第1クラッチ部5および第2クラッチ部6に偏荷重が作用しにくく、円滑なクラッチ動作が可能である。
【0076】
図19は、自動車の乗員室に装備される座席シート30を示している。座席シート30は着座シート30aと背もたれシート30bとで構成され、着座シート30aの高さHを調整するシート高さ調整装置31、背もたれシート30bの傾斜θを調整するシート傾斜調整装置32、および着座シート30aの前後位置Lを調整するシートスライド調整装置(図示省略)を備えている。着座シート30aの高さHの調整はシート高さ調整装置31の操作レバー31aによって行い、背もたれシート30bの傾斜θの調整はシート傾斜調整装置32の操作レバー32aによって行い、着座シート30aの前後位置Lの調整はシートスライド調整装置の操作レバー(図示省略)によって行う。上述した実施形態のクラッチユニットは、例えばシート高さ調整装置31に組込まれる。
【0077】
図20(a)は、シート高さ調整装置31の一構造例を概念的に示している。シートスライドアジャスタ31bのスライド可動部材31b1にリンク部材31c、31dの一端がそれぞれ回動自在に枢着される。リンク部材31cの他端はリンク部材31eを介してセクターギヤ31fに回動自在に枢着される。セクターギヤ31fは着座シート30aに回動自在に枢着され、支点31f1回りに揺動可能である。リンク部材31dの他端は着座シート30aに回動自在に枢着される。上述した実施形態のクラッチユニットXは、固定側板7を介して着座シート30aの適宜の部位に固定され、その外輪1に例えば樹脂製の操作レバー31a(図8、図9における操作レバー13に相当)が結合され、出力軸2にセクターギヤ31fと噛合するピニオンギヤ31gが連結される。
【0078】
例えば、図20(b)において、操作レバー31aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオンギヤ31gに伝達され、ピニオンギヤ31gが反時計方向に回動する。そして、ピニオンギヤ31gと噛合するセクターギヤ31fが時計方向に揺動して、リンク部材31cの他端をリンク部材31eを介して引っ張る。その結果、リンク部材31cとリンク部材31dが共に起立して、着座シート30aの座面が高くなる。このようにして、着座シート30aの高さHを調整した後、操作レバー31aを開放すると、操作レバー31aが第1クラッチ部5のセンタリングバネ12の弾性力(弾性復元力)によって時計方向に回動して元の位置(中立位置)に戻る。尚、操作レバー31aを時計方向(下側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート31aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー31aを開放すると、操作レバー31aが反時計方向に回動して元の位置(中立位置)に戻る。
【0079】
上記構成のシート高さ調整装置31によれば、操作レバー31aの揺動操作のみで着座シート30aの高さHを調整することができ、しかも、高さ調整後の着座シート30aの高さ位置を自動的に保持することができる。また、高さ調整後に操作レバー31aを開放すると、操作レバー31aを中立位置に自動復帰させることができ、その場合でも復帰時の動作が円滑でラチェット機構のような騒音発生の問題も生じない。さらに、摩擦部材9によって出力軸2に回転方向の制動力を与えているので、操作レバー31aの操作時における逆入力トルクの還流現象がなく(又は少なく)、安定した調整操作が可能である。
【0080】
ところで、図16に示す第2クラッチ部6の中立位置において、一対のローラ20のうち一方のローラ20は、座席シート30の側から出力軸2に入力される逆入力トルク(座席シート30の自重と着座者の体重によって発生する。)を受けて、カム面2b1と円周面4c1の双方に比較的大きな係合力で楔係合する。そのため、該ローラ20が内輪3の柱部3cによって押圧されて楔隙間から離脱する際(図17参照)の摩擦抵抗力が大きいと、着座シート30の位置を下げる方向に操作レバー31a(13)を操作する時に大きな操作力が必要になったり(以下、この方向の操作を「押し下げ操作」という。)、該ローラ20の係合部分から振動や振動音が発生する場合がある。そこで、この実施形態では、第2クラッチ部6に封入する潤滑グリースとして、基油粘度が750cSt以上のもの、例えば、協同油脂社製「マルテンプSH−Y」(基油:PAO、増ちょう剤:Li−Ohst、添加剤:PTFE+特殊固体潤滑剤を成分とする)を使用して、かかる不都合を解消している。
【0081】
図22は、第2クラッチ部6に、基油粘度のみが異なる4種類の潤滑グリースをそれぞれ封入し(基油粘度100cSt、410cSt、750cSt、1650cSt)、操作レバー31a(13)の押し下げ操作と復帰動作とを繰り返し行なって、振動の発生を測定した結果を示している。横軸の1目盛は5secで、縦軸は振動加速度である。振動波形はローラ20の楔係合が外れる瞬間にピークを示している。同図に示す結果から、潤滑グリースの基油粘度が大きくなるに従って、振動のレベル値が小さくなることが確認された。
【0082】
図23は、各基油粘度における振動値(図22)の平均値をプロットして、基油粘度と振動値(加速度)との相関関係を線図化したものである。操作レバー31a(13)を押し下げ操作する際に若干の振動や振動音が発生したとしても、それが着座者に感知できないものであったり、不快感を感じさせないものであるなど、許容範囲内に入っている場合は、とりたてて問題視する必要はない。同図に示すように、基油粘度が750cSt以上の潤滑グリースを封入したクラッチユニットでは、振動値が許容範囲内に低減することが確認された。
【0083】
尚、ローラ20の転動面、外輪4の円周面4c1、及び出力軸2のカム面2b1のうち、少なくとも一の接触面に摩擦低減のための被膜処理、例えば、りん酸塩被膜処理、りん酸マンガン被膜処理、固体潤滑被膜処理などを施すと、上記の効果が一層顕著になる。また、上記の潤滑グリースは第2クラッチ部6のみならず、第1クラッチ部5の内部にも封入しても良い。
【0084】
図24に示すように、第2クラッチ部6のローラ20の転動面にクラウニング20aを施しても良い。これにより、ローラ20の転動面との接触部分におけるエッジロードが抑制され、潤滑グリースによる油膜形成が促進される。尚、第1クラッチ部5のローラ10の転動面にもクラウニングを設けても良い。
【0085】
図25〜図28に示す実施形態は、第2クラッチ部6にスキュー発生手段を設けたものである。
【0086】
図25および図26に示す実施形態は、ローラ20と係合する内輪3の柱部3cの係合面に段差部3c1を設けたもので、図25は段差部3c1を柱部3cの先端側に設けた例、図26は段差部3c1を柱部3cの基端部に設けた例を示している。
【0087】
柱部3cの係合面がローラ20を押圧する際、段差部3c1以外の領域が先にローラ20の一部と接触してこれを押圧するので、柱部3cの押圧力がローラ20の軸方向中心位置Zに対して左右不均一となり、ローラ20にスキューが生じる{図25(b)参照}。ロック状態からロック解除状態への移行時、ローラ20にスキューを生じさせることにより、ローラ20とカム面2b1および円周面4c1との楔係合部分(線接触部分)が軸方向の一端部から他端部にかけて漸次に外れてゆくので、移行動作時の摩擦抵抗が低減する。そのため、ロック状態からロック解除状態への移行動作が円滑化され、操作力が低減すると同時に、移行動作時の振動や振動音の発生が抑制される。
【0088】
図27に示す実施形態は、内輪3の柱部3cの係合面に軸方向の傾斜θを設けたものである。上記と同様の態様で、ローラ20にスキューが生じる。
【0089】
図28に示す実施形態は、出力軸2のカム面2b1に段差2b11を設けたものである。段差2b11を設けることにより、ローラ20とカム面2b1との接触部において、ローラ20の軸方向中心位置Zからの接触長さが左右不均一となり、ローラ20にスキューを生じる。すなわち、段差部2b11を設けた領域では、ローラ20はカム面2bと接触しないので(段差部2b11の高さを微小にして、ローラ20を段差部2b11と低い面圧で接触させても良い。)、ローラ20に作用する摩擦抵抗力が軸方向中心位置Zに対して左右不均一となり、ローラ20にスキューが生じる。尚、外輪4の円周面4c1に同様の段差部を設けても良い。さらには、出力軸2のカム面2b1と外輪4の円周面4c1の双方に同様の段差部を設けても良い。
【0090】
尚、上述した実施形態のクラッチユニットにおける内輪3に代えて、図21に示す内輪3’を使用しても良い。同図に示す内輪3’は、筒状部3aと、それ以外の部分(フランジ部3b、柱部3c、及びピン3b1からなる部分)とを別体構造とし、両部分をロー付け等の適宜の固着手段で固着したものである。一体構造の内輪3に比べ、比較的低コストでかつ精度良く製造できるという利点がある。
【0091】
本発明は、上述したクラッチユニットに限らず、相対向する2つの部材間に、該部材同士を摩擦係合力によってロックするロック手段を設け、該ロック手段のロック・ロック解除動作を通じて上記2つの部材間でトルクの伝達・遮断を行なう構成のクラッチ一般に広く適用することができる。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、楔係合力によるロック手段を備えたクラッチユニットにおいて、ロック手段のロック状態からロック解除状態への移行動作を円滑にして、操作力の低減化を図ると共に、振動や振動音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るクラッチユニットを示す縦断面図である。
【図2】外輪(入力側部材)の縦断面図{図2(a)}、正面図{図2(b)}である。
【図3】出力軸(出力側部材)の縦断面図{図3(a)}、正面図{図3(b)}である。
【図4】内輪(制御部材)の正面図{図4(a)}、縦断面図{図4(b)}、ポケット周辺部を外径側から見た図{図4(c)}である、
【図5】外輪(静止側部材)の正面図{図5(a)}、縦断面図{図5(b)}である。
【図6】固定側板の縦断面図{図6(a)}、正面図{図6(b)}である。
【図7】摩擦部材(制動手段)の縦断面図{図7(a)}、正面図{図7(b)}である。
【図8】第1クラッチ部を示す横断面図{図1のB−B断面}である。
【図9】操作レバーの取付け態様を示す図である。
【図10】第1クラッチ部の保持器を示す横断面図{図9(a)}、縦断面図{図9(b)}、正面図{図9(c)}である。
【図11】第1クラッチ部のセンタリングバネを示す側面図{図10(a)}、正面図{図10(b)}、装着図{図10(c)}、動作図{図10(e)}、巻き部の断面図{図10(d)}である。
【図12】第1クラッチ部の作用を説明する概念図である(中立位置)。
【図13】第1クラッチ部の作用を説明する概念図である(トルク伝達時)。
【図14】第1クラッチ部の作用を説明する概念図である(復帰時)。
【図15】第2クラッチ部を示す横断面図{図1のA−A断面}である。
【図16】第2クラッチ部の作用を説明する部分拡大横断面図である(中立位置)。
【図17】第2クラッチ部の作用を説明する部分拡大横断面図である(ロック解除時)。
【図18】第2クラッチ部の作用を説明する部分拡大横断面図である(トルク伝達時)。
【図19】自動車の座席シートを示す概念図である。
【図20】シート高さ調整装置の一構造例を示す概念図である。
【図21】内輪(制御部材)の他の実施形態を示す正面図{図20(a)}、縦断面図{図20(b)}である。
【図22】クラッチユニットの動作時における振動の発生を測定した結果を示す図である。
【図23】潤滑グリースの基油粘度と振動との関係を示す図である。
【図24】第2クラッチ部のローラを示す側面図である。
【図25】第2クラッチ部におけるスキュー発生手段を示す平面図である。
【図26】第2クラッチ部におけるスキュー発生手段を示す平面図である。
【図27】第2クラッチ部におけるスキュー発生手段を示す平面図である。
【図28】第2クラッチ部におけるスキュー発生手段を示す縦断面図である。(c)}である。
【符号の説明】
1 外輪(入力側部材)
2 出力軸(出力側部材)
3 内輪(制御部材)
4 外輪(静止側部材)
5 第1クラッチ部
6 第2クラッチ部
20 ローラ

Claims (16)

  1. トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、前記入力側部材と前記出力側部材との間のトルク伝達経路に介在する制御部材と、回転が拘束される静止側部材と、前記入力側部材と前記制御部材との間に設けられた第1クラッチ部と、前記静止側部材と前記出力側部材との間に設けられた第2クラッチ部とを備え、
    前記第1クラッチ部は、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記入力側部材と前記制御部材とをロックする第1のロック手段と、前記入力側部材が解放されたときに前記入力側部材を入力トルクが入力される前の中立位置に復帰させる復帰手段とを備え、前記第1のロック手段は、前記入力側部材に設けられたカム面と、前記制御部材に設けられた円周面と、前記カム面と前記円周面との間に介在する係合子とを備え、前記カム面は前記円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成し、前記復帰手段は、前記係合子を保持する保持器と、前記保持器を前記静止側部材に回転方向に連結する弾性部材とを有し、
    前記第2クラッチ部は、前記出力側部材からの逆入力トルクに対して前記出力側部材と前記静止側部材とを楔係合力によってロックする第2のロック手段と、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記第2のロック手段によるロック状態を解除するロック解除手段と、前記第2のロック手段によるロック状態が解除された状態のときに前記制御部材と前記出力側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝達手段とを備え、
    少なくとも前記第2クラッチ部の前記第2のロック手段を含む内部に潤滑グリースが封入され、かつ、該潤滑グリースの基油の25°Cにおける粘度が750cSt以上であるクラッチユニット。
  2. 前記潤滑グリースに固体潤滑剤が添加されている請求項1記載のクラッチユニット。
  3. 前記潤滑グリースに極圧添加剤がさらに添加されている請求項2記載のクラッチユニット。
  4. 前記第2クラッチ部の第2のロック手段が、前記出力側部材および前記静止側部材と楔係合する係合子を有する請求項1記載のクラッチユニット。
  5. 前記係合子が、前記出力側部材および前記静止側部材と軸方向に線接触する形状を有する請求項4記載のクラッチユニット。
  6. 前記係合子がローラである請求項5記載のクラッチユニット。
  7. 前記ローラの転動面にクラウニングが施されている請求項6記載のクラッチユニット。
  8. トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、前記入力側部材と前記出力側部材との間のトルク伝達経路に介在する制御部材と、回転が拘束される静止側部材と、前記入力側部材と前記制御部材との間に設けられた第1クラッチ部と、前記静止側部材と前記出力側部材との間に設けられた第2クラッチ部とを備え、
    前記第1クラッチ部は、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記入力側部材と前記制御部材とをロックする第1のロック手段と、前記入力側部材が解放されたときに前記入力側部材を入力トルクが入力される前の中立位置に復帰させる復帰手段とを備え、前記第1のロック手段は、前記入力側部材に設けられたカム面と、前記制御部材に設けられた円周面と、前記カム面と前記円周面との間に介在する係合子とを備え、前記カム面は前記円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成し、前記復帰手段は、前記係合子を保持する保持器と、前記保持器を前記静止側部材に回転方向に連結する弾性部材とを有し、
    前記第2クラッチ部は、前記出力側部材からの逆入力トルクに対して前記出力側部材と前記静止側部材とを楔係合力によってロックする第2のロック手段と、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記第2のロック手段によるロック状態を解除するロック解除手段と、前記第2のロック手段によるロック状態が解除された状態のときに前記制御部材と前記出力側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝達手段とを備え、前記第2のロック手段は前記出力側部材および前記静止側部材と楔係合する係合子を有し、該係合子は前記出力側部材および前記静止側部材と軸方向に線接触する形状を有し、前記第2のロック手段によるロック状態が解除されるときに、前記係合子にスキューを生じさせるスキュー発生手段を設けたクラッチユニット。
  9. 前記第2クラッチ部のロック解除手段は、前記係合子に係合し、これを押圧して前記ロック状態を解除する係合要素を備え、
    前記スキュー発生手段が、前記係合要素の係合面に段差部を設けることによって構成されている請求項8記載のクラッチユニット。
  10. 前記第2クラッチ部のロック解除手段は、前記係合子に係合し、これを押圧して前記ロック状態を解除する係合要素を備え、
    前記スキュー発生手段が、前記係合要素の係合面に軸方向の傾斜を設けることによって構成されている請求項8記載のクラッチユニット。
  11. 前記スキュー発生手段が、前記係合子と前記出力側部材および前記静止側部材との接触部のうち、少なくとも一方の接触部について、前記係合子の軸方向中心位置を基準とする左右領域間で、接触長さを相異ならせることによって構成されている請求項8記載のクラッチユニット。
  12. 前記係合子と接触する前記出力側部材および前記静止側部材の接触面のうち、少なくとも一方の接触面に段差部を設けた請求項11記載のクラッチユニット。
  13. 前記係合子がローラである請求項8記載のクラッチユニット。
  14. 少なくとも前記第2クラッチ部の前記第2のロック手段を含む内部に潤滑グリースが封入され、かつ、該潤滑グリースの基油の25°Cにおける粘度が750cSt以上である請求項8記載のクラッチユニット。
  15. 前記潤滑グリースに固体潤滑剤が添加されている請求項14記載のクラッチユニット。
  16. 前記潤滑グリースに極圧添加剤がさらに添加されている請求項15記載のクラッチユニット。
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