JP4070118B2 - テープカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触式のメモリーユニットを備えているテープカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関して、本体ケースの内部に非接触式のメモリーユニットを配置すること、およびメモリーユニットを交換可能とすることは公知である(特許文献1参照)。そこでは、本体ケースの後隅内面に設けた装填部に対して、メモリーユニットを差し込み装填し、抜け外れ不能に係合固定している。メモリーユニットは、基板の片面にアンテナとICチップを実装して形成されており、メモリーユニットを交換する場合には、装填スロットに臨む基板の周縁をプライヤーやピンセットなどの工具でつかんで抜き出すことができる。
【0003】
本発明においては、メモリーユニットへの読み書きを本体ケースの後壁外面と側壁外面との異なる二方向から行えるようにするが、この種のテープカートリッジは公知である(特許文献2参照)。そこでは、断面L字状の基板の各面壁にアンテナを配置し、片方の面壁にICチップを装着してメモリーユニットを構成し、各面壁が本体ケースの後部内隅に沿うように基板を固定している。アンテナおよびICチップの外面は絶縁性の接着剤で封止してある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−266534号公報(段落番号0025、図1)
【特許文献2】
特開2002−117644号公報(段落番号0027、図6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種のメモリーユニットのICチップには、テープに記録されたデータファイルのディレクトリーや使用履歴データなどの管理情報と、ロット番号、テープの仕様や特性等のメーカー情報とを記録してあるが、これらの情報を無限に保存しておくことはできず、テープカートリッジを長期間保管する場合には、ICチップの寿命期限が到来する毎に新規なICチップと交換して、情報を更新する必要がある。
【0006】
この点、特許文献1のメモリーユニットは、装填スロットに臨む基板の周縁をピンセットなどでつかんで抜き出すことができるので、その交換が比較的簡単に行える。しかし、ピンセットやプライヤー等の工具で基板の周縁をつかむ必要上、装填スロットの開口幅を基板の厚みに工具を差し込むための余裕隙間を加えた寸法にしなければならず、メモリーユニットが装填部内でがたつきやすい。がたつきを抑止するために余裕隙間を小さくすると、工具で基板をつかむのが困難になるうえ、出し入れ時にメモリーユニットに無理な力が加わりやすい。アンテナの指向方向が本体ケースの一側面に限られるので、テープドライブにおけるメモリーリーダの配置位置に制約がある不便を免れない。
【0007】
ICチップに対する信号の読み書きを異なる二方向から行えるようにした特許文献2のメモリーユニットの場合には、隣接する2側面のうち都合の良い側を選択してメモリーリーダを配置でき、あるいは信号のやり取りを異なる二方向から行うことにより通信距離を伸ばすことができる利点を持つ。問題は、メモリーユニットが断面L字状に形成してあるため、本体ケースを分解したうえで、メモリーユニットを出し入れしなければならず、メモリーユニットの取り外しや再組み付けに多くの手間が掛かる点にある。
【0008】
本発明の目的は、非接触式のメモリーユニットを備えたテープカートリッジにおいて、メモリーユニットが装填部内でがたつくのを確実に防止しながら、その取り出しを無理なく簡便に行えるようにすることにある。本発明の目的は、ICチップに対する信号の読み書きを異なる二方向から行えるメモリーユニットでありながら、その着脱が簡便に行え、従って長期間保管する際のメモリーユニットの交換作業をより少ない手間で簡単に行えるテープカートリッジを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のテープカートリッジでは、本体ケース1の内部に、情報信号を記録するテープ3と、テープ3を巻き込み収納するリール2と、非接触式のメモリーユニットMとが配置してある。メモリーユニットMは、板面に操作部29が形成してある基板26と、基板26に実装されるアンテナ27およびICチップ28を含んでいる。本体ケース1の周壁に沿って、メモリーユニットM用の装填部20を設ける。装填部20に臨む本体ケース1の上壁と底壁19とのいずれか一方には、メモリーユニットMを出し入れするための装填口21が開口している。装填部20に差し込み装填したメモリーユニットMと、本体ケース1との間には、メモリーユニットMを脱落不能に係合固定する係合構造を設ける。操作部28と対向する本体ケース1の周壁には、メモリーユニット1を取り出し操作する取出窓33が開口している。
【0010】
メモリーユニットMの基板26はL字状に形成し、本体ケース1の内面隅部に沿って、メモリーユニットM用の装填部20をL字状に折れ曲がる状態で設けることができる。
【0011】
前記係合構造は、装填口21の開口内面に形成した突起32からなり、基板26の周縁を突起32で受け止めて、メモリーユニットMを脱落不能に係合固定することができる。
【0012】
装填部20は、本体ケース1の後壁17と、後壁17に隣接する側壁18との内面隅部に形成する。係合構造は、後壁17ないし側壁18と対向する状態で本体ケース内に設けられる弾性変形可能な係合爪35と、係合爪35と対向する基板面壁26aに形成される係合体とで構成することができる。
【0013】
メモリーユニットMは、基板26と、基板26に実装されるアンテナ27およびICチップ28とをL字状のモールド体の内部に埋設してカートリッジ化する。
【0014】
【発明の作用効果】
本発明では、メモリーユニットMを本体ケース1に設けた装填部20に対して出し入れできるようにしたうえで、メモリーユニットMと本体ケース1との間に設けた係合構造でメモリーユニットMを脱落不能に係合固定した。このように装填部20に装填したメモリーユニットMを、ケース外面から操作して取り出しやすくするために、基板26に操作部29を設け、操作部29と対向する本体ケース1の周壁に取出窓33が開口している。メモリーユニットMを取り出す場合には、操作片Kを取出窓33を介して操作部29に係合した状態で基板26を装填口21側へ移動操作し、その周縁を装填口21から突出させる。ケース外へ突出した基板26の周縁をプライヤー等の工具でつかんで抜き出すことにより、メモリーユニットMを確実にしかも簡便に取り外すことができる。
【0015】
上記のように本発明では、装填部20に装填したメモリーユニットMをケース外面から移動操作し、基板26の一部をケース外へ露出させることにより、メモリーユニットMの取り外しを無理なく行えるようにしたので、装填部20の余裕隙間や装填口21の開口幅を可能な限り小さくできる。従って、メモリーユニットMが装填部20内でがたつくのを確実に防止しながら、その取り出しが無理なく簡便に行える(請求項1)。
【0016】
メモリーユニットMの基板26、およびを装填部20のそれぞれをL字状に形成したテープカートリッジによれば、ICチップ28に対する信号の読み書きが、隣接する壁面に沿うアンテナ27を介して異なる二方向から行え、必要時には、基板26を操作片Kで操作して、メモリーユニットMを簡単にケース外へ取り出すことができ、テープカートリッジを長期間保管する際のメモリーユニットMの交換作業がより少ない手間で簡単に行うことが可能となる(請求項2)。
【0017】
装填口21の開口内面に形成した突起32で基板26の周縁を受け止めて、メモリーユニットMを脱落不能に係合固定したテープカートリッジによれば、突起32を本体ケース1と一体成形することにより、部品点数の増加を阻止できる。基板26の周縁を突起32で受け止めるので、基板26側に係合構造を設ける必要がなく、その分だけメモリーユニットMの構造を簡素化できる(請求項3)。
【0018】
本体ケース1の後壁17と、後壁17に隣接する側壁18との内面隅部に装填部20を形成し、その装填口21を底壁19に開口すると、後壁17と側壁18をそのまま利用しながら、本体ケース1の一部を変更するだけで装填部20を形成できるので、テープカートリッジをより低コストで提供できる。本体ケース1内に設けた弾性変形可能な係合爪30を、これと対向する基板面壁26aに形成される係合体31に係合させてメモリーユニットMを係合固定すると、係合爪30が本体ケース1内に設けてあるので、例えば本体ケース1が他物と接当するような場合でも、係合爪30が不用意に係合解除されることがなく、ユーザーの明確な意図が無い限りはメモリーユニットMを取り出せない点で有利である(請求項4)。
【0019】
基板26、アンテナ27およびICチップ28などをモールド体内に埋設し封入したメモリーユニットMによれば、温度や湿度などの周囲環境の変化によるメモリーユニットMの劣化や機能の低下を極力避けることができ、その分だけメモリーユニットMの耐久性が向上する。メモリーユニットMをカートリッジ化するので、その交換時などにアンテナ27やICチップ28を傷つける心配もなく、交換作業をさらに容易に行える(請求項5)。
【0020】
【実施例】
図1ないし図5は本発明に係る単リール型のテープカートリッジの実施例を示す。図2においてテープカートリッジは、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合してなる角箱状の本体ケース1有し、その内部に配置した1個のリール2にテープ(磁気テープ)3が巻き込んである。本体ケース1の前側にはテープ引出口4が開口しており、このテープ引出口4は揺動するドア5で開閉できる。ドア5はばねで閉じ勝手に付勢してあり、閉じ状態のドア5は図外のロック機構でロック保持してある。上下ケース1a・1bは、本体ケース1の内隅と、テープ引出口4の近傍に設けた4個のボス6どうしをビス7で締結することにより一体化してある。
【0021】
本体ケース1の対向する内隅の2箇所には、リール2のフランジに設けたギヤ歯と係合して、不使用時のリール2を遊転不能にロック保持するリールロック10・11が配されている。ケース背壁の一側には、誤消去防止用の切換えピース12を設けてある。リール2と上ケース1aとの間には、リール2を下ケース1bへ向かって押し下げ付勢するばね13が配置されている。このばね13とリール2とは、ばね受プラグ14と、リール2に装着したベアリング15を介して接触している。
【0022】
テープ3に記録されたデータファイルのディレクトリーや使用履歴データなどの管理情報、およびテープカートリッジのロット番号、テープ3の仕様や特性等のメーカー情報などを記録するために非接触式のメモリーユニットMを有し、これが本体ケース1の内部に形成した装填部20に配されている。
【0023】
図1および図3において装填部20は、隅部に臨む本体ケース1の後壁17および側壁18と、上下ケース1a・1bの上壁および底壁19から、前記各壁17・18と平行に対向突設されるガイド壁23・24(図5参照)とで、上面側から見てL字状の独立した区画として形成してある。装填部20に対してメモリーユニットMを出し入れするために、本体ケース1の底壁19に装填口21がL字状に開口している。装填口21の開口縁のうち、側壁18と平行な開口縁の前部に、後述するICチップ28を装填するための切欠22を形成してある。メモリーユニットMが装填部20の内部でがたつくのを避けるために、側壁18とガイド壁23・24、および後壁17とガイド壁23・24との対向間隔は、基板26の厚み寸法に僅かな余裕を加えた値にしてある。
【0024】
図5においてメモリーユニットMは、上面から見てL字形の硬質の基板26に、アンテナ27とICチップ28とを実装して形成されている。アンテナ27とICチップ28の外面は絶縁性接着剤で被覆してある。ICチップ28は直交する基板面壁26a・26bのうち、片側の基板面壁26aの外面に配置してあり、この配置位置に対応して先前記欠22を形成してある。後側の基板面壁26bの板面中央には、メモリーユニットMを装填部20から取り外す際に使用する、四角形の穴からなる操作部29が形成されている。
【0025】
装填部20に差し込み装填したメモリーユニットMを脱落不能に固定保持するために、本体ケース1とメモリーユニットMとの間には、係合構造を有する。図3に示すように係合構造は、装填口21の開口内面に形成した突起32からなり、突起32で基板26の下縁を受け止めることにより、メモリーユニットMを脱落不能に固定保持する。
【0026】
突起32は、先の切欠22に隣接する装填口21の外開口縁の1箇所と、後側のスリット部分の前開口縁、および後開口縁の左右2箇所との合計3個所に形成してある。これらの突起形成個所における装填口21の対向間隔は、基板26の厚み寸法より僅かに小さく設定してある。従って、メモリーユニットMを装填部20に差し込み装填する場合には、後壁17および側壁18がケース外方へ弾性変形する。メモリーユニットMを本体ケース1に装填した状態においては、アンテナ27が後壁17および側壁18と平行になるので、ICチップ28に対する信号の読み書きを異なる二方向から行うことができる。
【0027】
先に説明したように、後側の基板面壁26bには操作部29を設けてあるが、この操作部29をケース外面から押し下げ操作するために、操作部29と対向する後壁17に取出窓33が開口している。メモリーユニットMを装填部20に装填した状態においては、操作部29は取出窓33の上部に臨んでいる。従って、ピンや棒などの操作片Kを取出窓33を介して操作部29に係合し、操作片Kを取出窓33の下縁に接当するまで押し下げ操作すると、基板26の下縁を装填口21から突出させることができる。以後はプライヤー等の工具で基板26の下部をつかんで抜き出すことにより、メモリーユニットMを確実にしかも簡便に取り外すことができる。
【0028】
図6は操作部29の変形例を示す。そこでは、後側の基板面壁26の中央に上下一対の突起を設けて操作部29とした。両突起は小さな間隔を隔てて上下に対向しているので、両突起の間に操作片Kの先端を当てることにより、基板26を押し下げ操作できる。なお、装填部20には突起に対応する切欠を設けておくことになる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じ扱いとする。
【0029】
図7はメモリーユニットMを固定保持する係合構造の変形例を示す。そこでは、側壁18と対向するガイド壁24を利用して弾性変形可能な係合爪35を形成し、この係合爪35と対向する基板面壁26aに係合穴36を形成した。係合爪35の上端の係合突起37が係合穴36に落込み係合することにより、メモリーユニットMを固定保持できる。この実施例における係合穴36は、先の実施例における操作部29を兼ねることができ、その場合には操作片Kで係合突起37を係合穴36から押し出し操作し、その状態のままで操作片Kを押し下げ操作することにより基板26の下縁を装填口21から露出させることができる。
【0030】
メモリーユニットMは、基板26と、基板26に実装されるアンテナ27、およびICチップ28とを、横断面がL字状のモールド体の内部に埋設してカートリッジ化することができる。モールド体はエポキシ樹脂やウレタン樹脂などを成形型に注入して形成する。このように、メモリーユニットMの構成部品をモールド体の内部に埋設し封入すると、温度や湿度などの周囲環境の変化によるメモリーユニットMの劣化や機能の低下を極力避けて耐久性を向上できる。
【0031】
上記の実施例以外に、メモリーユニットMは、本体ケース1の内部構造の違いに応じて、実施例で説明した内隅以外の隅部分に配置できる。必要があれば、本体ケース1の上壁または底壁19と、これらの壁に隣接するケース周壁とにわたってメモリーユニットMを配置することができる。アンテナ27、およびICチップ28は、交差する基板面壁26a・26bのそれぞれに独立して形成することができる。ICチップ28は交差する基板面壁26a・26bの内外面の任意部分に設けることができる。装填口21は上ケース1aの上壁に開口することができる。ガイド壁23・24に代えて、複数個のピンでメモリーユニットMを位置決めできる。本発明は、メモリーユニットMが平板状に形成してあるテープカートリッジにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メモリーユニットの装填構造を示す横断平面図である。
【図2】テープカートリッジの横断平面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】メモリーユニットの取り外し要領を示す図3と同位置の断面図である。
【図5】テープカートリッジを側面および底面側から見た斜視図である。
【図6】メモリーユニットの変形例を示す斜視図である。
【図7】係合構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
2 リール
3 テープ
20 装填部
21 装填口
26 基板
27 アンテナ
28 ICチップ
29 操作部
33 取出窓
M メモリーユニット

Claims (5)

  1. 本体ケースの内部に、情報信号を記録するテープと、前記テープを巻き込み収納するリールと、非接触式のメモリーユニットとが配置されており、
    前記メモリーユニットは、板面に操作部が形成してある基板と、前記基板に実装されるアンテナおよびICチップを含んでおり、
    前記本体ケースの周壁に沿って、前記メモリーユニット用の装填部が設けられており、
    前記装填部に臨む前記本体ケースの上壁と底壁とのいずれか一方に、前記メモリーユニットを出し入れするための装填口が開口しており、
    前記装填部に差し込み装填した前記メモリーユニットと、前記本体ケースとの間に、前記メモリーユニットを脱落不能に係合固定する係合構造が設けられており、
    前記操作部と対向する前記本体ケースの周壁に、前記メモリーユニットを取り出し操作する取出窓が開口していることを特徴とするテープカートリッジ。
  2. 前記メモリーユニットの前記基板がL字状に形成されており、
    前記本体ケースの内面隅部に沿って、前記メモリーユニット用の装填部がL字状に折れ曲がる状態で設けられている請求項1記載のテープカートリッジ。
  3. 前記係合構造が、前記装填口の開口内面に形成した突起からなり、
    前記基板の周縁を前記突起で受け止めて、前記メモリーユニットを脱落不能に係合固定してある請求項1または2記載のテープカートリッジ。
  4. 前記装填部が、前記本体ケースの後壁と、前記後壁に隣接する側壁との内面隅部に形成されており、
    前記係合構造が、後壁ないし前記側壁と対向する状態で前記本体ケース内に設けられる弾性変形可能な係合爪と、前記係合爪と対向する基板面壁に形成される係合体とで構成されている請求項1または2または3記載のテープカートリッジ。
  5. 前記メモリーユニットが、前記基板と、前記基板に実装される前記アンテナおよび前記ICチップとをL字状のモールド体の内部に埋設してカートリッジ化してある請求項1記載のテープカートリッジ。
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